2022年02月

2022年02月28日

ウクライナ

 50年ほど昔、ウクライナ人の友人が居た。亜麻色の髪の毛をした人たちだ。そこのおじいさんはロシア革命の後にアメリカに逃げて来たそうだ。お宅に招かれて、よく話をした。ロシアの属国であって、ひどい目にあったという話を聞いた。日本はロシアをやっつけてくれたので感謝していると言う。それには驚いた覚えがある。

 その頃は、韓国が日本にひどい目にあったということを言い始めた時期だ。その説明を求められた。
 朝鮮を併合して搾取したと言っているがどうなのか、と聞かれた。叔父が戦前朝鮮に居て、いろんな話を聞いていたからそれを伝えた。叔父(父の妹の配偶者)は化学肥料製造の技術者だった。

 日本は朝鮮で何をしたと聞くので、奴隷制度をなくし、戸籍を作った。学校を作り、文字を教えた。病院を作ったので平均寿命が2倍になったそうだ。とか、鉄道を敷き、発電所を作った。農業指導をし、収穫量は倍増した、などの話をした。

 そうしたら、彼は目を剥いて驚き、韓国民は日本に感謝すべきだ、と言う。そこまでやってもらって何を恨んでいるのだ。ロシアがウクライナにしたことを教えてやろうか。
 何百年もの間、ウクライナ人は誰も学校には行けなかった。病院など無い。穀倉地帯だから農奴としてこき使われて、戦争が始まると男は全て徴兵され、最前線に行かされた。逃げて来ると銃殺だ。要するにロシアにとっては、ウクライナは使い捨ての兵隊の飼育場だった、と言った。おじいさんの一家は、ロシア革命の頃逃げてきたらしい。日露戦争のときに戦ったのもコサック兵(ウクライナ人)だ。将軍は無能なロシア人で、負け戦であった。その後日本にもかなり移住したらしい。  

 今回のロシアの動きを見ていると、そのおじいさんの表情が目に浮かぶ。人種への偏見が根本にある。ロシアとウクライナの人種は違う。 

 (ウクライナでの農奴解放令は19世紀中頃であるから、昔のことを語っていたのであろうが、嘘ではない。)

2022年02月26日

「続 蒸機を作ろう」の評判

 この本が発売されて1月になる。お会いするどの方からも、面白いという言葉を戴く。やはり、巻頭の「縮尺の物理学」の評判が良い。
 殆どの方はこのブログの読者なので、言わんとすることがすでに頭の中にある、という事も大きいだろう。しかし、それを差し引いても、今回の本の記事は、素晴らしい。異なる視点から見ているので、分かりやすいのだ。  

 今野氏が、商業誌の書評中、「縮尺の物理学」が面白いと書いてあるとおっしゃるので、街まで出て、購入してきた。
 TMSの3月号である。
縮尺の物理学」は非常に興味深い内容で、工作派や蒸機ファンでなくても「考えるモデラー」であれば一読の価値あり、とあった。編集に携わった人間としては、このような評価を受けるのは、とても嬉しい。

 この書評を書いた人が、編集部のどなたなのかは知らないが、このように感じた方が編集部に居られるということは、大きな救いである

 奇しくもこの号には、著者の谷川氏のアルゼンチンの機関車の記事がある。その記事を見て少々驚いた。ちょうど一年前谷川氏から、この機関車の写真が載っている鉄道ファン誌を持っていないか、と問い合わせがあったのだ。博物館の書棚を探し、1ページの記事ではあったが、すぐに複写して送った。それがこのような形になって、発表されていたのだ。大変嬉しいニュースであった。

 その頃、筆者は新たな慣性増大装置を開発したので、秋に締め切られるTMSコンペに出して、審査員を瞠目させてみようと思った。直前に気が付いたが、HO以下しか応募できない事がわかった。
Hideo Uchino HOkutan #16 たとえ出せたとしても、走りなど見ないようだからどうでも良かったが、このような書評を書く人が居るのなら、また話は変わって来るかも知れない。HO以下という制限は、不可解だ。1982年にTMS賞を受けた内野日出男氏の北炭16号機関車は、OJゲージである。 


2022年02月24日

ディジタル・ノギスの動作不良

 所属クラブの会員からの要望もあって、アメリカからノギススコヤを取り寄せた。その時の連絡の中に、
「以前買ったディジタル・ノギスの動作が不安定で、買い替えのチャンスだと思いました。」
というのがあった。それは何かの勘違いだ。そんなに簡単には、壊れはしない。

 実は、その種のトラブルは、筆者も何度か経験したことがある。切削作業中のDROのディスプレイに、あらぬ数字が飛び出してきて、それがぱらぱらと変わる。今までの読み取り(0点を起点とする)がどこかに消えてしまうのだ。全部やり直しである。電池を抜き差ししても、直らない。

 これは、細かい金属粉がノギスの棹(さお)と測定部の間に入っている可能性が高い。棹の表面には、ややこしいパターンを印刷してある。目には見えないが、プラスティックの目盛り板には、導電性樹脂のパターンがあるのだ。
 そのパターンを、数十個の静電センサで読み込んで演算し、数字を出している。だからその隙間に金属粉が入ると、異常を来たすわけだ。銅粉より鉄粉の方が異常が起きやすい。磁気でくっつきやすいのであろう。

 棹から測定部を抜き取って裏側にマスキングテープを貼り、剥がし取ると直る可能性が高いと伝えた。同時に棹の方も同じように掃除をすべきだと伝えた。

 すぐに、成功した旨、連絡があった。予想が当たって良かった。

 鉄粉が出るような作業をするときは、横に置いてはいけないわけである。掃除機で吸い取るのはもちろんのこと、あとで作業卓の周りを強力な磁石で掃除することが望ましい。  

2022年02月22日

ハンドル車の破損

 博物館の小型フライス盤のZ軸を動かすハンドル車(英語では hand wheel という)が壊れた。ここは力が掛かる箇所だ。フライス盤のクイル部分の質量は、10 kg以上ある。それを上げ下げしている。もっとも、改造してガス・スプリングで支えているから、かなり楽にはなっている。とは言うものの、他のハンドル車に比べたら、格段に力がたくさん掛かっている。

broken hand wheel 作業中にボロリと欠けてしまった。無茶な操作をした覚えは無い。外すとこんな状態であった。オリジナルは握りが回転しなかったので、力が入らなかった。回転する握りを購入して付け替えてある。ネジをM5からM6に切り直した。しかし、それが割れの原因になったわけではない。プラスティック製のハンドル車のねじ込み部分の構成が良くない。ブラスのインサートを入れてある部分を、少し太くしておくべきだったろう。力が掛かるたびに、周りが疲労して壊れたのだ。賢い設計ではない。

 鋳物のハンドル車はモノタロウあたりで買える。径を少し大きくして100 mmとした。またM5ネジを拡大し、M6を切り直した。
 購入したハンドル車はボスの肉が厚いので、10 mmほど削り落とす必要がある。掴みにくいからアルミ板で当て物をして、3つ爪で廻して、削り落とした。材料は快削であるから楽だ。切り粉は新聞紙で受けて、ブラス屑と混じらないようにしないと、引取り価格が下がる。   
 キィ溝を付けねばならない。本当は旋盤上で、キィ溝カッタを使って往復動で切るのだが、面倒なので、縦フライスで切り込む。あっという間に終わる。溝の底は丸くなるので、浅めにしておいて、角ヤスリで仕上げる。多少の丸い隙間があっても何ら問題はない。
  
   

 読者諸氏の機械のハンドル車も、いずれ壊れると思う。早めに交換の準備をされるべきだろう。これも力を入れている時に壊れると、怪我をする羽目になる。交換するときは大きめのハンドル車にすべきだ。それと、交換ついでにガス・スプリングを装着することをお薦めする。安いものであるし、工作は容易だ。

2022年02月20日

8-wheel Buckeye truck for Allegheny

 自宅の地下室の棚を整理している。長らく進まなかったプロジェクトを進ませるべく、順次引っ張り出して、工程を考えている。いくつか同時にやれば効率が良いからだ。
 地下室は20坪あるので、そこに置いてあるものは4トン車1台分くらいである。この一年で1/3ほど点検して、捨てるものは捨て、資源回収に廻すものは業者に持っていった。高校生のときに作った貨車、客車もかなり出てきたが、経年変化で捨てざるを得なかったので、地金として処分した。やはり、ブラス製は残るが、その他の材料は全て駄目であった。それを考えると、稲葉氏の客車群の状態は奇跡的である。 筆者は木工用ボンド(酢酸ビニル・エマルション)を使ったので、全て壊滅的な状態であった。エポキシは全く問題ない。
 
 1990年代、祖父江氏の仕事がなくなってしまった時期にお願いしたのが、このC&O 2-6-6-6 Allegheny である。プレスで抜いた板を井上豊氏が保管していて、それを戴いたものだ。主台枠の鋳物などはあったが、祖父江氏は自分の作ったものなのに「気に入らねえ。」と捨ててしまった。新たに、ブラスの厚板から切り出したものだ。シリンダ廻り、運転室の支持は、手が込んでいる。カスタムビルトの素晴らしい作品である。

8-wheel Buckeye truck テンダは自分で作りなさいということで、部品をある程度揃えてくれた程度だ。8輪台車の部品はあったが、肝心のイコライザがなかった。すぐ作るはずが、30年近く放置されてしまった。このイコライザは 3 mmの厚さである。快削材を削り出して作るのだが、寸法が大切である。誤差があると、動きが不自然になる。この写真撮影後、少し削って外形が変化している。

8-wheel Buckeye2 縦フライスで計算通りの穴をあけて、切欠きを付けた。それを切り抜いたのだ。イコライザの形は、力が掛かっても折れない設計になっている。この図は軸受等が異なるタイプである。図面は半分しかないので、反転して継ぎ足した。平面図もあるので拡大して見ている。素晴らしい設計だ。 
 ピンは何本か挽き出して、良いものを取った。余分なところにハンダが廻らないように注意して、目的部に完全にハンダを流した。滑らかに動き、強度は十分だ。

 この台車はある程度ひねられる可能性があるので、ボールベアリングは付けなかった。写真に写っている樹脂製の滑りの良いブッシュを入れ、シャフトは細いものを用いた。こういう時のシャフトは#2000で研磨しておく必要がある。素晴らしい滑りである。このテンダはとても重く、1 kgほどあるから、何も対策せずにブラスの鋳物に穴をあけただけでは、損失が大き過ぎる。

 祖父江氏は今から65年以上前に、この台車を作った。輸入者のMax Gray は、それを見せられて、驚嘆したらしい。それまでの台車は、全く可動しない、文鎮のようなものであったからだ。 

2022年02月18日

track cleaner

 track cleaner 自宅で使っていた線路磨きである。自宅地下室のレイアウトには短いながらもトンネルが有り、その中の掃除は面倒だった。これがあると、楽である。



 Micro Mark で売っていたものだ。20年位前に買ったが、価格は10ドルくらいだった。便利に使っていたが、博物館の方に主力が移ってからは、置き去りになっていた。

 先日クラブの会合に持参したら、使ってくれた。棒が長過ぎる感もするが、短く持って使うことは難しくない。
 製品は3分割であった。ネジがすぐ緩んで使いにくかったので、エポキシで固着させた。握りは綾目のロレットが切ってあり、滑りにくい。
 先端は硬い樹脂だが、研磨材が入っているらしく、線路が僅かに削れる感じである。

 最近地下室の整理を始めたので、面白いものが次々と発掘される。機関車や貨車以外にも、かなり出てくるのだ。いずれ、KadeeのTwin-Spikerも出てくるだろう。 
 金属材料、木材の発掘も馬鹿にできない量だ。木材とは堅木材料で、装飾用のものである。レイアウトの縁どりなどの材料である。
 塗料もたくさん出てきた。書籍類は、すでにかなり量の移動がなされている。 古い雑誌は面白い。

 地下のレイアウトをどうするか、考えている。きちんと仕上げてあれば残しておいてもよいが、中途半端では困るだろう。 

2022年02月16日

シァでの切断テクニック

 しばらく前のコメントで祖父江氏のテクニックを書いたところ、いくつかの質問を受けた。もう少し詳しくとのことで、ここに紹介する。

shearing シァで切ることは剪断であるから、押し切られて、多少は塑性変形する。すなわち、角がダレて丸くなる。切ったものは、片方がダレて、他方は角が出るわけだ。


shearing2 連続的に切ると、切られたものはこうなる。片方は丸く、他方は角が出る。その板を模型の表面に貼ると、奇妙なものである。ダレた面と角の出た面が同時に見える。これを避けるには、わずかに大きく切って、切り口をヤスリで落とす。とても面倒であるし、その作業量が一定でないと、大きさに差が出る。これを避けるには、どうすれば良いのだろう。

shearing3 材料を送る時、最初の1枚は捨て(discard)、1枚ごとに材料をひっくり返す(flip over)のだ。すると、ダレの出る面は片方になる。すなわち反対側は角が出た面になる。ダレた方を下にしてハンダ付けすると、ハンダは沁み込んで、ダレた面をちょうど隠すぐらいに広がる。いや、その量のハンダを流し込むのだ。これには多少の経験が要る。
 四角の全ての辺をこのように切ろうと思うと、短冊に切る時も、ひっくり返しながら切る必要がある。板が大きいので、やや面倒ではある。

 このようにして貼った板は極めて丈夫に付き、剥がれることは、まずない。ハンダが見えないように、などと考える人は、このテクニックとは無縁である。


2022年02月14日

入賞作

 読者氏からのコメントを読んで、やはり、という感じがした。TMSの新年号表紙の後ろにあるシャシを見た瞬間、反っている感じがしたのだ。目の錯覚か、レンズの特性か、それとも製版上の問題か、と思っていた。読者氏は実物を見たそうで、かなり派手に曲がっていたと言う。これは褒められた話ではない。車体と組合わせればなんとかなったのかもしれないが、大きな構造物が出ているので、運搬中に加速度が掛かると曲がるだろう。また、走るときにレイルに触らないようにできているのだろうか。しかし、線路には上り下りもある。

 機関車というものは、運転中にさまざまな加速度が掛かるものである。また、筆者は常に軽衝突を想定している。貨物列車に追突した時、ブラス製貨車の何輌かは破損しても、機関車の構造体には何ら影響が出ない程度の堅さに作っている。

 過去の入賞作を見ると、首を傾げるものも多々ある。椙山氏の仰った「コンテストは魔物だ」という言葉が、重みを増す。

 これは作者の問題ではない。コンテスト主催者側の問題である。模型の構造について、何が必要かを理解しているとは思えないのである。そういうものを入賞させると、それが一人歩きを始めてしまう。これが良いのだと読者に思わせてしまうようでは、これこそ「鉄道模型の発展に資する」とは言えない。

 入賞作は、それを真似て作っても問題が起こらない程度の出来でなければならないはずだ。スケールスピードも大切である。走らせて文句無いものしか、入賞させるべきでない。ヤマ氏は、走行テストをして、鉄道模型の名に相応しくないものは落としていた、と書いてあったように記憶する。 

 手厳しい感想を書いたが、例によって、悪口を言っていると感じる人が多いそうだ。そうではない。改善策を提示しているのだ。TMSはこの1年ほど、「鉄道模型の発展に資する」という言葉を、毎月掲げてきたではないか。それに沿った編集を心懸けるという意味だ、と信じたい。読者氏も提言しているように、建設的な討論がなされるべきである。

 古いTMSが博物館に揃っている。70年前からの過去のコンテストの記事を読み始めている。今回の件と共通した、ある問題点が、そこにはあるように感じている。

2022年02月12日

複数形

 複数概念は、外国人にはわかりにくいものだ。またその発音も複雑怪奇だ。

 house の  複数形は houses で、発音は濁って”ハウズィズ”と習った。確かにそうなのだが、それではクリスマスの複数形はどうなるだろう。
 White Christmas(1942)という有名な歌がある。
  "I'm dreaming of a white Christmas, just like ones I used to know."で始まる。最後は、
  "And may all your Christmases be white." で終わる。戦地にある将兵に向けての歌だったらしい。皆さんのクリスマスが全て白くありますように、という意味である。
 この発音はクリスマスィーズであろう、と誰でも思う。現実にこの歌手は、そう歌っている。

 Louis Armstrong という トランペット吹きであり、歌手でもあった人がいた。だみ声で歌うこの歌は、クリスマズィーズと濁っている。そんな発音は、この人以外聞いたことがない。色々あるものだ、と驚いた。


 Tom Harvey は、出会った友達には、
  "Howdy, palses! " と声を掛けた。向こうも同じことを言う。   Howdy!はカウボーイが発する挨拶で、「よぉ!」とか「やぁ!」という挨拶である。これは映画でよく見聞きする。その次の pal はペンパルのパルであって、 友達という意味だ。その複数形は、pals だ。ここまでは分かる。
 palses とは一体何だろう。このsの発音は、両方濁っている。 この意味を本人に聞いてみた。

 驚いたことに、「何かおかしいか?」と聞かれた。理屈はよくわからないと言う。
「友達はたくさんいるから、もうひとつ ”s”を付けて、何か悪いことがあるか?」先回の waters に似た感じだ。日本語の幼児用語で、友達にたちを付けることがある。「ともだちたち」が、ずばり、これである。

 これはワイオミングでの話である。よそでは通用しない。 

 何回目かに彼と会ったときに、”Howdy, palses!" と大きな声で挨拶したら、顔をくしゃくしゃにして笑った。
 最近、彼の娘さんと文通している。  

2022年02月10日

複数か単数か

 英語の単位の複数形についてコメントで述べたが、これについて確実なことを書いておきたい。これは英語の教科書には書いてないし、英語の教師も、まず知らないだろう。

 1967年頃英語の模型雑誌を読み始めた。Model Railroaderにはあまり書いてなかったが、Railroad Model Craftsman誌には、興味のあるパワーパックの記事が載っていて、電圧を見て調整する話があった。0.1 Volts、0.0 Volts などの数字が並んでいた。どうやら、小数点があると複数形になるということはわかった。
 そのうちに0 Voltsという表現も見つけたが、どういうわけか1 Voltだけは単数だ。1/10 Voltsがあったので、分数も複数らしいということがわかった。ここまでで、2年くらい掛かっている。言葉は理屈では解決できない。使われているものであるから、たくさんの実例を調べて帰納的に理解するしかない。 

 その後アメリカに行ったので、チャンスを見つけていろいろな人に聞いてみた。答は全くてんでんばらばらで、全部単数で良いと言う人やら、ハイフンをつければ(100-Volt)ごまかせると教えてくれた人もいた。大学の先生でさえも、怪しいことを言う人がいた。 

 最終的に得た結論は、1 Volt以外は全て複数形である

 小数が複数形というのは不思議である。分数も、もっと不思議だ。1 Voltは単位の量だから、これは単数で納得がいく。

 0 Voltsになる理由については、日本人の友人の言語学者が、いかにも、もっともらしいことを言った。
「インドゲルマン系の言葉はゼロでも複数形になる。例えば、
”I have no friends here.”
って言うだろ?」 
 こういうことを言う人は、信用してはいけない。  

 今回の記事を書くにあたって、複数のネイティヴの人に当たって確認をとってある。安心されたい。 

 アメリカの友人の奥さんは、「迷ったら複数形にしておけば、間違うことはまず無いわ。」と言う。不可算名詞でも複数にして良いこともある。彼女の口癖は、
”A lot of waters under the bridge."
である。たくさんあるときには複数形で問題ないのだ。これは日本ではほとんど教えていないのではないか。しかし気がかりなのは、彼女はテキサスの出身だ。そういう点では、少々怪しいかもしれない。
 ちなみにこの文の意味は、さしずめ ”九牛の一毛” だろうか。たくさんあって探すのは無理、という意味で使っている。

2022年02月08日

切断機の整備

 遠藤機械の切断機の出入りが多い。最近はこの機械のディーラになったような気分になる。立て続けに古いものが持ち込まれ、処分を依頼される。ほとんど切れなくなったものもあるが、鉄クズで捨てるには忍びないので、再生させる。再生品はクラブ員などに世話することになる。

 刃がガタガタのものがある。全部分解して、刃を研ぐ。この種の刃は、当たり面を触ってはいけない。材料に接する面だけを研ぐ。荒砥、中砥と来て最後はアーカンソーで研ぐ。最初の二段はダイヤモンド砥石で研いだ。無茶な使い方をしていたらしく、刃こぼれがひどい。長時間研がねばならず、結局、ダイヤモンド砥石がタダの鉄板になってしまった。
 当たり面のカエリだけを擦り落とし、研ぎは完成だ。SK鋼の鈍い輝きはなかなか良い。

 刃が上下に滑る溝には薄い鉄板が入っていて、その厚さが切れ味を決めている。先回到来したのは、限界まで刃をせり出していた。しかし、その鉄板に当たって、それ以上刃の隙間を小さく出来なかった。 切れるようにするには、その鉄板を薄くする以外ないのだ。0.2 mm削って研いだ。組み直すと素晴らしい切れ味になった。こういう作業は、工作機械があればこそだ。 

 この切断機の駆動シャフトはΦ16であった。これもシャフトが軟らかく、ネジを締めると変形してハンドルが抜けなかったり、カムがあらぬ位相にまで廻り始めていた。
 こういうものは、工具なのだから、分解できなければいけない。分解整備できないようなものは、工具とは言えない。これも前回と同じで、普通の分解を諦めて、鋸で切断した

 硬いS45Cのシャフトを磨棒鋼屋で取り寄せてもらい、縦フライスで加工して、カムの取り付けネジの座を作った。また、折れないハンドルを付けるには、少し細くしなければならない。径を15.87 mm(5/8インチ)まで削って、キィ溝を彫った。磨棒鋼屋は、同じ材を何度も買いに行くので不思議そうな顔をしていた。 
 このS45Cという材はかなり快削で、旋削は気持ちが良い。あっという間に作業は終わった。ハンドルを付け、キィを入れた。キィはスルスルと入り、ハンドルは微動もしない。カムには派手な打痕があり、油が固まって汚いので、全周を研磨した。こういう作業は楽しい。

 出来たものを発送するに当たり、少々考えた。完全に衝撃から防護すると同時に、他への影響も小さくせねばならない。ダンボール箱の中でこんな重いものが踊ると、箱を突き破って周りのものを傷つける可能性もある。

Packing Shears (1)Packing Shears (2) 15 mmの合板を切って、ずれないように縁取りを接着剤と木ネジで付ける。切断機をはめて、ずれ留めをねじ込む。上からは、これも大きな合板を切って押さえを作り、載せる。こうしておけば、かなりのショックに耐えられる。一番上の合板が箱の内法と一致しているところが、ミソである。やや厚い合板の切れ端を大量にもらったので、ふんだんに使っている。

Packing Shears (3)Packing Shears (4) 箱に入れて押さえを載せ、蓋を閉めてテープ貼りをする。重いので、持ちにくい。太めのロープで2重に縛れば、運び易い。これで 24 kg強であった。
 重心位置を書いておいた。郵便局はあまりの重さに驚いたが、25 kg以下なので、文句はない。発送先には重い箱が届く旨、知らせておいた。先方は、この梱包を随分お気に召したようだ。  

 工具の整備は楽しい。切れ味が戻ると感動する。        

2022年02月06日

続 「蒸機を作ろう」

more Building Steam Engines 今野氏の主宰するKKCの新刊書が発行された。筆者も微力ながらお手伝いしている。

 この新刊の目玉は、最初にある「縮尺の物理学」である。このブログの読者にとっては、何度も聞いた話であろう。
 筆者が書いた文章ではわかりにくいらしい。様々な質問が来て、丁寧に答えたつもりでも意を尽くし切れなかったようだ。書籍にして残そうと思うと 、それには専門家のわかりやすい説明を必要としていた。そこで、力のある執筆者にお願いして、書いて戴いた。ぜひとも読んで戴きたい。

 飛行機の模型を作っている人は、実物を縮尺したものはうまく飛ばないということを、感覚的に知っている。それは気体分子まで縮尺された空間を飛ばすことが出来ないからだ。翼に当たる分子は、相対的に巨大である。
 模型も同じであって、原子まで縮小されることは無いので、小さな部品を作ると、それは異常な堅さとなる。たわみというものがほとんど無いわけである。だから、模型の機関車は、鷲掴みすることが可能だ。本物なら、たちどころにペチャンコである。

 今回の本の記事では、急曲線を走っても脱線しない理由、カントが無意味な理由なども、計算値を出して示している。式の展開が上手で、何の関数になるかということをズバリと見える形で示している。

 これを読んで理解すれば、本物通り!と自慢することが本当に価値のあることかどうか、が分かる人が増えるだろう。
 真によく走り、脱線せず、実感的な動きを再現するには何が必要なのかを考えるチャンスになると信ずる。ろくに走りもしない機関車を評価することも、減っていくであろう。

 また、正しいユニヴァーサル・ジョイントの使い方とか、低抵抗車輪の効果についても客観的な記事がある。これらはメーカ側に対する助言であるとも言える。

 コロナ禍で人の動きが制限されていた中、ウェブ会議で編集した本である。筆者のコンピュータでは互換性に問題があって、細かい文字配列が再現できていないことがわかり、ほとんどのレイアウト(割り振り)を今野氏にして戴いたのは、申し訳ないことであった。また、今回の裏方の大黒柱は、northerns484氏である。様々なことに助力戴いた。また、筆者の原稿の拙い絵も、全て描き替えて戴いている。


 今回の書籍の編集中、動画を見られるようにQRコードを付けるように提案があった。これは優れたアイデアで、すぐ見られる。新たに撮り直した動画もあり、ぜひご覧戴きたい。

 価格は2500円(送料は370円)である。申込みは、
   konno#m1.bstream.jp  (#を@に変換)
に連絡されたい。まとめての取寄せは、筆者も代行する。

 この2500円という価格は、いささか安過ぎる。つまらぬ雑誌が1000円もする時代なのである。もう少し高くても良かったと個人的には思う。旧刊の方もまだ多少売れ残りがあるそうなので、一緒に購入されると良いだろう。その場合でも送料は変わらないはずだ。     

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