2021年11月

2021年11月30日

走らないものも鉄道模型か?

 展示会の終わりに、出席者が皆で各1分程度自己紹介をした際、ある方が興味深い発言をした。
「最近のレイアウトコンテストに、模型が走らないものを出して、入賞しているのはおかしなものだ。あんなものはレイアウトではない。」

 筆者は思わず拍手をしてしまった。コンテストの主催者は、とんでもない思い違いをしている。観光地の土産物屋で売っているような、その地の風景の立体的なレリーフに、極端な遠近感を付けただけのものがレイアウトの筈がない。それはある分野の芸術作品であるに過ぎないのだ。模型の世界には入って来てほしくない。
 最近の模型雑誌で、走りについて書いてあるのをご覧になったことがあるだろうか。北海道のレイアウトが大きく採り上げてあったが、その上での走りを動画で拝見したいものだ。

 走りの改善に貢献するために、HO用の3条ウォームとギヤボックスの2次試作品を持っていった。どなたも興味深そうであった。価格は安いので、予約された方が多かった。一月以内に出来てくるであろう。中にはお持ちのすべての機関車を改装したいと言う方もあった。確かに押して動くというのは魅力があるようだ。ただし、Oスケールのように1輌を押すと、もう1輌も動くというのはかなり難しい。機関車、テンダのすべての軸受の摩擦を最小にせねばならないのだ。ボールベアリングを付けても、車輪径が半分ほどのHOでは半径比の問題があり、抵抗は相対的に大きい。

 その点でも、O scaleはこういう動きを再現できるギリギリの大きさなのだろうと思う。 

2021年11月28日

本物はどのように動くか

 本物は重い。この4-8-4は、テンダを含めて400トン強もある。機関車が起動するということは、その質量を持つ物体が動き始めるということだ。徐々にしか動かない。この模型では、その動きを見ることができる。普通の模型は、電圧を掛けると、すっと動き始める。しかし、UP850はじわっと動く。その瞬間、電流は0.5 Aほどである。筆者の普通の機関車は0.1 A以下で動くのであるが、5倍も電流を喰っている。
 そのエネルギィは、フライホイールに注入されて蓄積されているのだ。巡航速度になると、電流は0.1 A以下である。制動時には電流は逆方向に流れる。発電しているのだ。その電流をダイオードで阻止してあれば、かなり惰行する。

 この様子を展示会で再現するように求められた。動かすと拍手喝采である。SS氏は、
「止まるときには、ブレーキシュウのきしり音が聞こえるようだ。」
と言った。なかなか止まらないのだ。

 その後で、T氏が、
「機関車だけで発進するのと、テンダをつないだ状態の発進とを比較してはどうか。」
と提案した。なるほどと思い、切離した。当鉄道の機関車群は、40年前から機関車だけで走るようになっている。
 機関車だけだとすいすいと走り、動きは滑らかだが、模型の動きである。動輪も滑らない。テンダを連結すると、途端に本物の動きになる。スロットルを開けるとじわりと動き、その開け具合が大きいと、動輪が半回転スリップして動いていく。
 これは数人が見ていただけだったが、皆歓声を上げて喜んだ。分かる人には分かるのである。雑誌社の人が分からないのは悲しい。
「分かるわけないよ」と言った人が何人かいるが、分かってもらわねばならない。 

2021年11月26日

気が付かない人

 スパーギヤを使った車軸と平行のフライホイールを持つ増速装置は、作ったことがある。一言で言えば音が気になる。効率はあまり良くなかった。もちろんピニオンは15枚歯である。ここはぬかりない。しかし、3条ウォームを使う直角伝動では静粛である。

 10年ほど前、高効率のウォームギヤ・セットを作ることが出来たので、それを使うと、無音で逆駆動でき、効率は非常に高かった。あとはチェイン駆動である。Delrin製のチェインは素晴らしい性能で、十分に静粛である。しかし、テンダを強く押すとチェインが多少伸びるせいか、少し音がする。すなわちチェインの伝達能力の限界ギリギリで使っているのだ。当初はフライホィールが重過ぎて、車輪とレイルとの摩擦力が大きくなり、限界を簡単に超えた。そこでフライホィールの中を中空にして軽くし、摩擦力を減らした。すると慣性モーメントは少し減るので、増速率を上げて補った。
 簡単な経緯を説明すると、「素晴らしい。見事だ。」という感想を戴いた。


 午後には某雑誌社の取材があったが、その質問には失望した。
これってスクラッチですか?」それ以外聞かない。
 その程度の感受性しか無い人が取材しているのだ。
「それ以外の質問はないのですか。なければ取材を受ける必要はなさそうです。」
と答えると、
「FEF3は844までですよね。850というのは想像の産物ですか。」と来た。生産されなかった形式であることを告げるとメモして立ち去ろうとした。放置するつもりだったが、他の人がわいわいと見に来て、慣性の話をしているのを聞いて、慣性増大装置とメモしていたようだ。筆者に詳しく聞けばよいのに、そのまま行ってしまった。理解したかどうかは、しかとは分からない。そのようなことなら、記事にならないほうが良い。

 こういう人が取材しているのでは、まともな記事は期待できない。 この社の人ばかりではない。最近の模型雑誌は、写真映りが良いものしか載っていない。外観だけだ。もう一社来ていたようだが、見に来ることもなかった。外国の雑誌に載ると取材に来るのかもしれない。

2021年11月24日

気が付く人

 先日の会合でのことである。何か面白いものは無いかと見て回っているうちに、筆者の展示にいらした方があった。機関車が、ゆっくりと前後進していた。
「あっ」と声を上げ、「ありえない!」と叫んだ。膝をついて見ている。
「一体これは何なのですか。実物の動きですよ。実物の起動停止の再現ができるのですね。DCCのなにかの機能の工夫ですか? いやそんなことではこれは出来ない!」 
と興奮していた。素晴らしい感性の持ち主である。本物をじっくり見たことがあり、普通の模型の動きとの違いに気が付いている方なのだ。模型の世界しか見ない人が多い中で、この方の考察は素晴らしかった。

 筆者は、ヒントを与えずにゆっくり動かすだけで、彼の考察の進展を見ていた。2分ほど掛かって、
「テンダ内に増速したフライホィールが入っているに違いない。」と正解を出した。素晴らしい方である。
「しかし、この静粛性はどうやって確保しているのだろう。」と考え込んでいた。問題点はそこなのである。よくぞ気が付かれたと思う。

2021年11月22日

続 実物のような動き

 モータ軸にフライホィールを付けるというのは、モータの性能が悪く、均一な回転が出来ないとか、駆動系の出来が悪くて微妙なひっかかりがあるときの弥縫策(びほうさく)である、と剛氏はおっしゃった。根本的な解決ではないということである。また、モータに付いているものは、走行中は良いが、起動停止が不自然であるともおっしゃった。

 機関車の他の部分で慣性モーメントを稼がねばならないから、テンダ内に増速したフライホイールを付けたらどうか、と筆者は、提案した。剛氏は、大きく眼を見開いて、
「それだよ ! それしか無いね !!」
と興奮した。
「作って見せてよ。dda40xさんならできるでしょう!」
とおっしゃるので、頷かざるを得なかった。しかし、ギヤをたくさん使って、どのように効率を下げずに静かに駆動するかは、結構大きな問題であった。遊星ギヤを使う増速なども考えていたが、結局はウォームギヤの逆駆動とチェインによる方法に落ち着いたのは、ご覧の通り。より高性能なウォームギヤ・セットが出来たので、使ってみたのだ。静粛であることは類を見ない。正確な歯型を持つということは大切である。見かけだけの歯車も、世の中には存在している。

 その後、剛氏とは時々この話題で盛り上がった。ディーゼル電気機関車巨大な増速フライホィールを付けたのを持って行った。
「やっぱりこれですよね !  早くテンダに付けて見せて下さいよ。」と催促された。それから30年も掛かり、剛氏にお見せできなかったのは、残念であった。 

2021年11月20日

実物のような動き

 先日のKKCの展示会でUP850の走行を披露した。主催者のリクエストが有ったので、長い展示スペイスを戴き、往復運転をして見せた。その展示会の出席者は、かなりレヴェルの高い人ばかりで、走行を見て、その違いに気が付く人が多かったのは喜ばしいことだった。

 10分ほどのスピーチの場も与えられたので、歴史的な背景の説明が出来た。その中で、35年ほど前の伊藤剛氏との会話を紹介したが、かなり驚かれたようだ。

setoden1setoden2 剛氏はOJゲージの瀬戸電を作られた。その動きは尋常ではない。木造の電車が、ガタガタギシギシと動く様子を再現していた。側板・妻板にはガタがあり、急停車すると平行四辺形になる。自作モータは軸が垂直に付き、そのアーマチュアが大きなフライホイールになっていた。直捲モータだから、軽いブラシしか抵抗がないので廻り続ける。すなわち、モータ自身に大きな慣性モーメントを持たせている。そのモータの磁路については製作時に打診があり、たまたま筆者の案と剛氏の案が一致した。
 剛氏は、
「どうしてあなたはこんな考え方をしたのか。」と問うた。
「父に聞いた話を思い出しただけです。」と答えると、かなり驚かれたようだった。

 もちろん、大きな慣性モーメントのおかげで、起動もゆっくりだ。巡航速度から電源をOFFにすると、「山口さんちのツトムくん」を歌い終わるまで廻っていた。(図はTMS 400, 401号より)

 運転状況を拝見していると、剛氏はこう言われた。
「もうお分かりとは思うけど、これは邪道です。動力系の慣性モーメントが最小になるように設計するのが常識です。それなのにモータ自身の慣性モーメントを最大にしているのは、おかしなものなのですよ。専門家の皆さんからは叱られそうですね。最近の模型では、機関車の中にフライホィールを付けて滑らかに走るようにしているものが多いのですが、正確に言えば、あれは間違いなのですよ。駆動系以外の慣性を大きくする工夫が必要なのです。誰もそんなことを考えようともしないのですけどね。今回は単車ですから、勘弁してよね。」
  
 電車はゆっくりと惰行して、素晴らしい走りだった。車体はゆらゆらとピッチングし、急停車すると車体がゆがんで、拍手喝采であった。 

2021年11月18日

信号装置の修理

signal wiring 信号機の一部が不調であった。設置時から、1つがうまく作動しない。開発者のNS氏から連絡戴いて、見てもらうことになった。車から荷物を出すのを手伝ったところ、陰極線管の付いた、重いオシロスコープまで持ってきて下さった事に気がついた。

 要点を押さえたトラブル・シューティングにより、すぐに不具合の箇所がわかった。さすがは開発者である。配線をやり直して、作動を確認した。テストをしながら新しい部品に替えてみたところ、無事作動を確認できた。

 レイアウト一巡り100 m弱が4セクションに分かれている。短い旅客列車は全く問題ないが、長い貨物列車は2セクションをまたいで走るので、緑色の信号が出ないのは仕方がない。いつも黄色を踏みながら走る。短い60輛運転なら緑色信号が出る。

 渡り線がある部分では、遠方信号機がその開通方向を示すので、なかなか面白いはずだ。

2021年11月16日

上手さ と 速さ

 ヤスリがけは、ハンダ付け、穴あけと並んで、金属工作の大単元である。これを軽視する人は多い。先に真ん中を凹ませる話を披露したが、いまだに「そんな事できるわけない」と思っている人は多いようだ。そういう人は向上しないだろう。

 H氏の話は続く。H氏は電車を製造する会社に居た。そこで、木工職人を雇う必要があった。広告を出して、志願者を集め、実技試験をするのだそうだ。完成見本はなく、図面だけを見せて、窓枠や座席の枠などを作らせる。道具は会社の備品を使っても良いし、自前のものでも良いことになっていた。

 制限時間は3時間だそうだが、30分で持って来る人と、3時間きっちり掛けて仕上げる人の作品を比べると、早い人の方が数等出来が良かったそうだ。
 要するに、頭の中に作品のかたちが出来ていて、それに近づければ良いという人の作品の出来が良いというわけだ。あっちを削り、こっちを削って仕上げる人は結局は時間の無駄使いであって、ろくなものは出来なかったと言う。筆者には納得できることが多い。

 工作の上手な人は速い、というのは真理だろうと思う。内野氏の製作速度には、いつも驚かされたことを思い出す。祖父江氏はさらに速かった。

2021年11月14日

ヤスリがけ

 最近、長老のH氏と話をすることが多い。H氏宅のレイアウトの改造・補修の手伝いに行くのだ。木工の電動工具一式を車に積んで30分のドライヴである。H氏は老齢で体を動かしにくいので、手伝いが必要だ。近いところなので、都合が付けば即日行く。

 H氏は工程管理の専門家であるので、やるべき仕事はすべてリストアップしてあり、ジグまで用意してあることが多い。小1時間で終わり、あとは1時間ほどおしゃべりをして帰る。貴重な情報を伝授して戴く充実した時間である。

 そのときに出た話題である。ヤスリを何本持っているかについてだ。筆者は「120本くらいかな。」と答えると、「そらそうでしょうな。」ということであった。
 万力はどんなものを持っているかと聞くので、「4インチ(約10 cm)の万力で厚さ2寸(約 6 cm)の作業台にネジ留めしてあります。」と答えた。すると、
「流石ですな。そうでなきゃ、ええ模型は出来ゃしませんわ。」

 H氏はヤスリの切れ味にこだわった。
「切れんヤスリばっかり、ぎょうさん持っとるようではあきまへんな。切れんもんは、どんどん捨てなあかんのです。ヤスリはダース買いして使うべきですわ。」と言う。さらに、
「他人には、刃物を触らせてはあかんのですわ。」
と言う。ヤスリは刃物なのである

 また、ヤスリがけの姿勢についても話題が出た。大物は立って両手で押す必要がある。小さいヤスリは座って押すが、先を指で押さえて押すだけでも仕上がりが違う。

 この話題が出たのは、ポイントを自作する人が少ない、というのがきっかけであった。尖端レイルをうまく削れない人が多いのだ。良い万力を使わないと難しい。筆者は最近はフライス盤を使うが、昔はヤスリで仕上げていた。姿勢の大切さは、その時よく分かった。よく切れるヤスリで削るのだが、水平に押す能力が不可欠だ。削り粉をよく掃除しながら、押すのだ。
 ヤスリの掛け方は父に基本を習ったが、祖父江氏、Bill Melis氏による指導は得難いものであった。

2021年11月12日

続々 博物館の入場者

 その業界の友人たちは様々なことを提案してくれる。防犯カメラの設置に対しても、単なる録画では効果が薄いそうだ。インターネットを通じて世界中に放映せよという。そうすれば指名手配犯は来ないと言う。

 また、事前登録、身分証明書の提示は不可欠であるそうだ。「それが嫌な人は、来て戴く必要はない」と言い切れとまで言う。さらに、入場料を徴収するのは身元確認に必要なことで、事前の振込みに限ることだそうだ。振込みがあれば、身元は確実である。さらに、入り口での荷物置き場、コート掛けを設置する準備をしている。

 筆者は、この種のことには頭が回らないボンクラであるが、セキュリティ関係の仕事をしている友人にとっては、朝飯前の事のようだ。

 これらの提言を受け、様々な点で見直しをしている。線路の周りの防護の透明バリアも高さを上げることにした。
 先日の会合でこの話題が出たが、すでに盗まれているという話をすると、とても悲しそうな顔をされた方が何人もあった。誠実な方なのだろう。しかし現実はそうでもないことは、明白になってきた。 

 日本では、「嘘をついてはいけない」と言われて育つ。だから、悪いことをする人は、顔にそれが出て、眼の動き等が不自然になるのだそうだ。最近のAI技術は、それを捉えて分析するようになっているという。導入したいが、なかなか難しそうだ。またこれは、一部の外国人には通用しにくいそうだ。 

2021年11月10日

続 博物館の入場者

 最近親しい友人たちに会うと、必ず言われることがある。博物館を開館するにあたっては、性善説を採ってはいけないと言うのだ。

 窃盗目的の者が、ある確率で来ると主張する。これは、それに詳しい業界の人達の話である。その種の犯罪者予備軍は、目の動き、素振りでもわかるという。筆者にはそんなことはとても無理だが、
「絶対に入場者から目を離してはいけない。トイレにも行くな、入場者は一回3人までとせよ。」
と言う。

 すぐには対応出来ないことをリクエストして、奥に引っ込んだ瞬間に盗むのだそうだ。また、奥(backshop)には他人を入れないことなど、細かく御指導戴いた。

 クラブの会合でも、窃盗事件は発生するそうだ。その手口も教えて戴いた。みなさんもご注意戴くと良い。目的の車輌の周りに自分の車輌を置くのだそうだ。撤収時に目的のものも一緒にかばんに入れたそうで、その現場を押さえた人から聞いた。不思議なことにその犯人は、まだクラブに在籍しているそうだ。間違いだと言い張ったのだろう。しかし事前に目をつけられていて、現場を押さえられたようだから、言い逃れはむずかしい筈であった。その後、彼には皆が注意を払っている。

 盗癖のある人は居る。実は当博物館でも、すでに被害が発生している。この写真の奥の機関車の上廻りが忽然と消えた。容疑者は居るのだが、今の所、直接の証拠がない。
 以前、別件でいたずらをされて迷惑をしたことがあった。わざと見えにくいところに隠してあった。今回もそれだと思ったが、何年も見つからない。もし見かけたらご連絡をお願いしたい。薄謝進呈する。犯人は知っている人だから、始末に負えない。

2021年11月08日

面圧を下げる

 滑り軸受(いわゆる普通の軸受)は、金属同士の直接の接触を避けるため、油膜を生成するような設計が求められる。ところが模型の軸受には、それが完全に無視されているものが多々ある。

 台枠を切り欠いて、軸を嵌めただけのものや、軸を簡易イコライザで直接押さえるものがある。これでは接触圧が高すぎて、油膜は切れてしまう。先に述べたように、軸の径の2倍半というのが軸受の設計の基本だそうだから、模型の蒸気機関車の場合は、軸の全長に亘る軸箱が望ましいことになる。

 このことを書いたら、根拠なく異論を唱える人もあったが、何人かの方から「当然だ」という意見を戴いた。機械設計に携わった人たちばかりだ。模型化にあたっての実践例があれば、その結果を知りたいと思っていた。

 先日、畏友U氏から、「あの樋型軸受を作ったら、大変効果があった」という報告を戴いた。リーマを通して割ったのではなく、ボールエンドミルを使ったそうである。ある程度の研磨が必要だろうが、とにかく滑りが大変良いそうで、こちらとしても嬉しい。
 その後、実物の保守に関わっていた方からも情報を戴いた。本物でもよく使ってあるそうだ。取替が楽なのだそうだ。これは模型についても言える。動輪をバラさなくても軸箱をニッパなどで切り捨てて、新しい樋型軸受を嵌めれば良いのだ。

 油膜を保持するには、面圧が大きくならないようにすることだ。狭い面積の軸箱ではうまくいくはずはないのだ。このあたりにも、日本の理科教育の欠陥が露呈していると思う。 

2021年11月06日

六角ジョイント

 前回の短いユニヴァーサル・ジョイントは、この六角ジョイントを使う予定だった。長さが20 mmと短いが、心ずれ、伸縮に対応する。これも完全に対称に使えば等速になるが、そうでなくても、模型では全く問題ないだろう。

 HO用がないので誰も使わないのは問題だ、と感じ、3Dプリントで作っている。来週には出来てくるだろう。構造は単純で、中央に薄い隔壁がある。
hexagonal joint 軸の太さは自由だが、先端にM1.4のナットがはまるようにする。ナットをはめて、ハンダ付けしてから旋盤で角を取り、ジョイントが多少傾いてもひっかからないようにする。要するに、ジョイントの中は、M1.4ナットの対辺 3 mmがはまる六角穴である。中にはKadeeの軟らかいバネを、前後に一つずつ入れることを推奨する。要するにジョイントを浮動させるわけだ。
 この試作品では、表面に粉をふいた状態だが、内部は焼結されていて十分堅い。 

 KKCの先達のNZ氏がこれと同様のものを作っているのを確認したが、金属製であり、給油が必要である。また材料も六角のボックスレンチの先を切り落とすなどして調達する必要があり、少々面倒であった。
 
 今回の部品はナイロン製であり、HO用は必要に応じて供給するつもりだ。安くて、機能的である。これを使えば、動作の怪しいシリコーン・チューブを使わなくて済むはずだ。しかし、これを採用すると反トルク承けが必要になることを、強調せねば、無数のトラブルが生じうることは承知している。それが模型界を進歩させるきっかけになるはずだ。シリコーン・チューブでトルクを承けている例を、よく見る。間違いであるが、それなりに走るので、見逃されているのだ。

 おそらくこのジョイントは、KKCからの発売になるだろう。


2021年11月04日

カルダン・ドライヴ

 GG1の記事に対するコメントで、本物通りでない駆動方式と書いたところ、何人かの知人から連絡を戴いた。クイル駆動の模型化は出来ないのは明白だからだ。

Cardan drive for GG1 大方の予想通り、平行カルダンを考えていた。12台のコアレスモータに14枚歯のピニオンを付け、29枚歯のスパーギヤに伝動する。
 その先は反対側にある駆動軸ピニオンまで、短いユニヴァーサルジョイントで結び、45枚歯のスパーギヤに伝えるものであった。総ギヤ比は、14/29 ✕ 14/45 ≒ 1:6.7になり、出力 20 W強というとんでもなく強力な機関車になるはずであった。軸重は 8 N(800 g重)で、牽引力は11 N以上もあり、全体の質量は6 kgになる。もちろん、可動のギヤボックスには反トルク承けを付ける。

直角カルダン駆動 ところが新たに作った3条ウォームの性能が予想以上に良く、直角カルダン駆動が簡単に出来てしまうので、設計を破棄した。軽い機関車に変更だ。この図は昔TMSに載った井上豊氏の記事からである。ユニヴァーサルジョイントの位相、バネを用いた簡易トルクアームなど手抜かりがない。

 過去に人を乗せて牽く機関車はいくつか見たが、どれも吊掛け駆動で、面白くなかった。原氏のGG1も12モータであったが、平行駆動であった。平行カルダンの機関車を作った人は、まずいないのではないかと思う。ED54を3人での競作記事がTMSにあったが、簡易ブフリィと称して、オルダム継手を付けたものもあった。 

 モータはたまたま20個を手に入れたので、これで人を牽いて走る予定であったが、それらのモータは電車などの駆動用に転用された。

 重い機関車の動輪が自由に動くさまを見るのは、楽しいはずだ。


2021年11月02日

近鉄2200

2200 ends 先日の2200を焙って分解した。妻板を外して再度良く見た。これは一体どこの電車だろうと思うくらい、出来が悪い。

 窓が大き過ぎるのだ。京浜急行の電車かと思うほどだ。2200の窓は細い。高校生の時、この電車が名古屋線に来たので、毎日乗っていたから、細かい部分までよく覚えている。
 先日動画の撮影に来たAM氏も、大阪線で高校生のときに乗っていたそうで、話が合った。 

「2200の窓は細く、側面の窓も細いのです。この模型の窓は国電のようです。緑に塗って『2200です』と言い張っているだけのようですね。」と言う。
 国電は800mmの窓だそうだが、近鉄は狭い。

 この模型の製造にあたっては新規にプレス型を作るのが惜しくて、国鉄の窓型をそのまま流用したのだろう。屋根材も国電の形であった。しかも左右で形が違う。
 討議した結果、使い物にならないということになった。苦労して塗料を剥がしたのは、徒労である。真鍮クズになって地金として処理される日は遠くない。そう言えば、昔作ったものも、寸法がおかしかったので、別の材料をケガいて切り抜いて作ったことを思い出した。

 レーザで窓を切り抜くようにする。northerns484氏が、早速その図面を作成してくれた。ステンレス・ボディの2200が誕生する日も近い。

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