2021年06月

2021年06月29日

車軸の太さ

 M10000の改造依頼があったSE氏に完成した部品を送ったら、その日のうちに組付けして、youtubeにupされていた。あまりにも素早くて、驚いた。

 当方としての心配箇所は、付随車の台車の摩擦だった。送られてきた台車の車軸の回転は悪く、機関車の牽引力では牽けないだろうという感触があった。油を替えてみようと思い付いて、洗浄スプレーで溶剤を吹き付けた。もちろん回転させながら、念入りに洗った。乾燥後、Wako'sのエンジンオイルを注し、しばらく回転させて馴染ませた。再度洗って注油した。かなり軽くなったような気がする。200 gの錘を載せて斜面で調べると1.56%でも滑り降りる。 
 油は低粘度であるが、ミシン油より粘い。車のエンジンオイルを替えた時に缶の中に少し残ったのを取っておいたものだ。これでなくてはならぬと言うものではないが、適当な粘度で具合が良い。

 軸の太さ(半径比、テコ比)については、友人たちからいろいろな話題が出た。分かっている人にとっては当然のことだが、初めての人もいるだろうから、少し話をしたい。

 小学生のころ、インディアンが馬で引き摺って荷物を移動させる様子をテレビで見た。簡単なソリの片方を持ち上げて馬で牽かせるのだ。一緒に見ていた父は、「車輪にするとどうして楽に牽けるか、分かるか?」と聞いた。

 もちろんこの問題では、ソリには油を注す条件であり、それと比較するわけだ。これは小学生には難しい質問であった。答は、「車軸が細いから」であった。
 説明は、車軸の直径を車輪の直径の半分にするとどうなるか、から始まった。摩擦部分の速度が半分になるから、熱になるエネルギィが半分になる。それなら1/10にしたらどうなるというわけで、「車軸は折れない限り細くしたほうが有利だ」という結論を導いた。
 それ以来、車軸は硬い材料を用い、できる限り細くしている。潤滑は最重要項目である。


2021年06月27日

続 M10000の駆動方式

 モータの取り付け方法については悩んだ。この車体には奇妙な中間床板と言うべきか、サブ・フレイムがある。これは流線型の丸い外被を床に被せているから付けたのだろうが、あまり賢い設計とは思えない。大きなモータを付けてあったので、その孔が大きく、サブフレイムには剛性が全くない 。仕方がないので0.7 mm板で床板を張り、ネジ留めしたら、とても堅くなった。

M10000 truck  (1) モータは小さいので長孔を切り抜き、少し沈めた。沈め具合は孔の縁を斜めに削る事によって調整できる。そうしておいて、押さえをネジ留めすれば良い。ドライヴシャフトと同じ高さにしておけば損失は小さくなる。

M10000 power unit 台車内に集電ブラシを付ける。アースは車軸に、他方は車輪の中心に近いところを擦るようにする。DCCにする前の仮配線をして完成だ。余分な孔をあけた所はアルミニウム板で塞いだ。

 ついでにヘッドライトの配線もせねばならない。不思議なことにヘッドライトは2つある。一つは250 Wの前方照射であるが、もう一つは鉛直方向照射の100 W球である。アメリカの車輛には、たまにこういうのがある。
 蒸気機関車でもCN&Wの急行機関車は45度前方上方に向けたのを付けていた。夜間に見るとどの様な効果があったのかは、想像すると楽しい。 

 改造は簡単と思ったが、意外と手間取った。それは、既に形があるものを直すのは面倒だということである。思い切って下半分を全部捨てるべきであった。台車など見えなくなるのだから、それを利用することなどなかったのだ。機械加工で作った機能だけの駆動台車にすべきだった。そうすれば無調整で完成だ。この調整作業に多大な時間がかかる。 
 今回は自分のものと、友人のものを並べて作業したので、効率的ではあったが、かなり時間がかかった。 

2021年06月25日

M10000の駆動方式

3-thread worm gear 駆動台車の車軸には、新設計の3条ウォームギヤを装着した。新規発注のホブによる進み角21度の高性能ギヤである。これは希望者が多くなってきたので、いずれ頒布するつもりだ。HO用もある。現在ギヤボックスの試作中である。上の角はトルクアーム取付用である。必要がなければ切り落とす。 
 2つのドライヴ・シャフトを共通にして一本にすれば、反トルクはお互いに乗り掛かって、一挙に解決だ。普通の模型はそうなっている。先に述べた折れるドライヴ・シャフトは実に愚かな発想だ。

 自分で設計した台車なら、ウォームギヤの位置を決めて固定すればできあがりだが、この台車は怪しいロストワックス鋳物で軸距離が正確とは言えない。こういう場合はドライブシャフトを分割して、パイプで結び、ロックタイトで留める。台車にはめて、固まるまで、ごろごろと転がしていると間違いが無い。ほんの1分ほどの間である。 

  ユニヴァーサル・ジョイントはやや高級なものを使った。どこで求めたのかは忘れたが、ラジコン用である。片方がΦ2、他方がΦ2.5であった。位相は正しく、その位相でしか組めないようになっているのは素晴らしい。ラジコン屋で売っているユニヴァーサル・ジョイントは9割方、位相が間違っている。

  モータはEscapの18M61である。もう購入してから30年近く経つ。これは、このサイズで当時世界最大のトルクを持つものであった。希土類磁石を使っている。
 Old Black Joeに使った。40ft の標準貨車12輌(4.2 kg)を牽いて1.56%の坂をらくらく登る。


2021年06月23日

実験をすることの重要性

 友人が新たに組み立て式線路を作るので、材料を融通した。彼は道床にコルクを張るつもりだった。それは止めたほうが良いと言ったが、彼はコルクにも吸音性があると、比較的近年のTMSにも書いてあったような気がする、と言う。その記事は見たことがないが、実際のところはどうなのか、比較実験をするように提案した。

 彼は実験の価値を認めたので、ゴム板、コルク板を交互に使用した線路を作るように勧めた。線路と緩衝材との留め具合も変えるように言った。

 3日後、電話があった。
「仰るとおりでした。コルクは殆ど効果がないですね。カーッとかコーッとかいう音がします。ゴムの上で緩く留めたものは音がしません。大したものです。実験をして良かった。」
とのことであった。

 ところが、さらに3日後、電話があった。
「この間の実験は、Low-D車輪を使ったときの結果です。普通の車輪を使うと、ゴムのほうがはるかに良いが、コルクでも効果がないとは言えないのです。」と言う。
 それでは12 mm合板に直接敷いた線路も作ってみて、試してくださいと言うと、
「それもやりました。それと比べればコルクにも効果があることは否定しないが、騒音がもともと大きいので、無いよりマシという程度です。」

 彼の話から結論をまとめると、こういうことになる。
1 普通の車輪を使うと発生する音量が大きいので、コルクでも多少は静かになる感じはする。
2 ゴムの板の上にゆるく留めたフレクシブル線路上の音は格段に小さく、低速では殆ど無音である。
3 Low-D車輪であると、ゴム板上の静粛性はさらに顕著である。
4 フレクシブル線路は孔を大きくして、釘で緩く留めるべきである。

 要は車輪踏面が粗雑であるとやかましく、何らかの緩衝材がないと実用にならない。コルクよりゴムのほうが、はるかに効き目があるのは間違いない。

 こちらの主張どおりであったから、安心した。ここではコルクかゴムか、留め方が固いか緩いかで、彼はその4種を並べ替えて、走らせて音を聞いたそうだ。簡単なことなのに、この種の比較実験をしない人は多い。

 これだけの事なのだが、やる人は少ないのだ。2つの次元を組み合わせるだけだから簡単だが、実験せずに間違ったことを流布する人は居る。またそれを聞いてすぐ納得してしまう人もいるようで、困ったものである。ウソでも信じる人がいる限り、いつまでも広がっていくだろう。それで損をするのは、善良な模型人だ。
 実は、博物館のレイアウト建設中にその実験をしている。動画を撮ってあるので、探している。ただしそれはLow-D車輪での実験で、普通の車輪の走行実験はしていない。

 実験結果が全てだ。そういう点でも、この国の鉄道模型雑誌のやる気の無さには、ため息しか出ない。 

2021年06月21日

続々 M10000の改良

passengers 台車の上に載っている状態はこれである。台車が廻るように、外被の上を少し切り取った。大変うまく行って、曲線上で接触しない。

 これも筆者の蒸気機関車群と同様に、機関車と付随車の車体、台車をすべて同極性にしてある。最近は今野氏の貢献で「機炭同極」という言葉が市民権を得たようだ。数十年も昔に決められた実利が殆どない規則を堅持する必要はない。筆者の機関車群は30年以上前から、機炭同極である。駆動軸から集電するのがミソである。常に多少スリップするから、汚れが蓄積しないところに価値がある。

 機関車の動力台車の左右の車輪から集電し、テイルライト電源も、最後尾車輛の台車内のコレクタ・シュウで採る。こうすれば、ショートの可能性が極端に減る。

 乗客はパラパラと乗っている。あまり見えないから、これで十分だ。車内燈を点けると、中の乗客のお行儀が悪いのが見えてしまうので、今回は割愛する。

power truckpower truck2 友人の動力台車を同時に改造する。ボルスタが、こんな変な形をしている。ギヤボックスを避け、偏心したセンタ・ピンを持つ。この部分が嫌で、4 mm厚のブラス板をフライスで削ってボルスタを作った。これをはめて銀ハンダで付ける。そうすれば、このヘナヘナのボルスタが強固なものとなり、軸重も等しくなるわけだ。

 軸重なんてどうでも良いと考える人は、多いようだ。軸重が等しくないと、走行音がおかしいのと、脱線しやすくなる。特に動力台車では問題が大きい。軸重が軽い方の軸が、起動時の軸重移動で浮きやすくなるからだ。特にこの模型ではセンタ・ピンの位置が少し高く、それが起きやすい。車輪をLow-D化したので摩擦係数が小さくなり、その危険は減っている。しかし、偏心しているのは許せないのだ。

2021年06月19日

続 M10000の改良

 流線型外被の付いた台車は、車体に当たる。模型だから実物より車輪が厚く、ゲージも少し広いからだ。
 どんな工夫をしても当たるから、車体の一部を切り取るか、台車外被の上の方を切り取るしか無いだろう。

rubber grommet 台車には弾性懸架がないから、その上の部分で衝撃を緩衝せねばならない。電線を通すゴムのグロメットがたくさんあるので、使ってみた。厚み方向には、良いクッションである。最近のは品質が格段に良くなって、20年経ってもへたらない。


interior 車内には座席がついているので、乗客を座らせた。窓からちらりと見えるだけなので、少々出来の悪いのを使った。足を切ったり、尻を削ったりして、かなり無理をして入れている。椅子、床の塗装は元の持ち主による。 


aero-dynamic 最初付いていた後ろの方の動力台車部分には、座席がついてない。設計当初はあったのだろうが、走らなかったので動力台車を追加して、座席を外したのだろう。愚かな発想だ。
 24人分の座席を作らねばならない。この種のものを揃えて作るのは大変である。アルミ板を切って作り始めた。
 重い車輛なので、少しでも軽くしないと抵抗が大きいからだ。この模型は前頭部、後尾とも一体ロストワックス製の重い部品でできているから始末に負えない。また造形は美しいとは言えない。遠くから見るべきもののようだ。
 実物の車体は、飛行機と同じ作り方のジュラルミン製である。 


2021年06月17日

M10000の改良

M10000 内側台車 直すべきものは付随車の台車である。内側台車の軸をプレスで押し抜き、新たに細い軸を作って、ボールベアリングで承けるつもりであった。しかし、台車に流線型外被を取り付けると、写真のように、車輪外側とピヴォット軸の先端が同時に触る位置である。すなわち、流線型外被の丸みを考えると内側軸受にする価値がない。ピヴォットのほうが、はるかに抵抗が小さいからだ。線路上では、どの方向から見ても台車の内側は見えにくい。模型として最高の性能を出すようにするのが目的だから、形には拘らない。

 この写真の上の方に写っているのは、内側台車の軸箱の孔を広げて、ボールベアリングを入れるためのジグである。万力に銜えると、軸の心が出るように段取りしてあったが、取り止めた。内側台車は叩き潰して廃棄した。設計があまりにも下手で、直す価値がないし、退路を断つと良いものができるという経験が多いからだ。また、外側台車にしても誰も気が付かないはずだ。

 1 mm板を台車側枠とした。その末端には、さらに板を貼り足して厚くした。ピヴォットの軸穴を、専用カッタで厚さの3/4掘った。台車は3つしか無いので、全て手作業である。一つずつ、最良の結果が出るように磨り合わせて組んだ。穴の深さを調節し、ガタが最小になるようにしたのだ。互換性は無いから、刻印を打ってある。

M10000 外側台車 台車ごとに3点支持にする。段付きネジを旋削して、ガタがないように磨り合わせて留めた。側枠が回転し過ぎて車軸が外れないように、回転制限も付けてある。この種の工作は楽しい。分解して他の台車の部品と入れ替わると、組めない。
 台車枕梁は12mm角材から削り出しである。流線型カヴァは、仮に置いてある。ネジ一本でピタリと留める方式を採る。こういうところで2本もネジを締めるのは好きではない。


 モリブデングリスを付けると素晴しい転がりで、ボールベアリングをはるかに凌ぐ。小さなモータで快適に走るはずだ。本物の車輌も、そういう走りをするものである。


2021年06月15日

二人の模型人

 古いTRAIN誌(1948年2月号)に伊藤剛氏が興味深い一文を載せている。この号には軌楽会の栗山 弘氏や椙山氏も記事を書いている。



 二人の模型人が居ます。二人とも私の友人です。二人とも私は尊敬しています。その名前を挙げることに私は意義を認めないから、假に一人をA君とし、一人をB君としませう。
(この書き出しをどこかで見たことがあるって?ーーそうです。これは昨年末新聞の文化評論にあった「二人の書家」のそのままですが、私は全く同じに感じてゐるのです。)
 A君はいわゆるマスプロ屋です。彼に30時間を與えればボギー貨車10輛から成る急行貨物列車をまたたく間に作り上げます。木の角材、セメダイン、ラッカー、ダイカストの台車と連結器、サンドぺーパーは彼が必要とするもの全部です。
 A君の車には細かな器具類はほとんどついていません。しかし奇妙に実物のそのままの感じが出ます。A君はいつも新しい形式を求めて、イヤあそこにある窓が小さい。すみにドアがあった方が好いとっています。A君は常に自からの夢を 最大速度でレールの上に乗せてみたいらしいです。彼は造形美術家の一人と云えませう。展覧会あたりにると、ボール箱に三杯ほども車をつめ込んでレイアウト上に一杯になる程出品します。しかも今も尚6輛編成の急行旅客列車の図面を一晩で書き上げて「君ィどんな色が好いだらう。一週間ばかり色の事を考えてゐるので、頭が痛くなった。」とやってきます。
 彼は”Oゲージ”で1/45ですが、アメリカの16m/mレイアウトを見てやって見たいなあと嘆息しています。
 B君は物凄い腕を持っています。その精密な工作はちょっと類を見ないほどで、ED16の1/40台車に全部スケール通りのブレーキシューをつけたと云ふことから推して知るべしです。B君の客車はフランス人形と云ふあだ名がついてゐますが、窓のカーテンの具合、テーブルクロース展望車の本棚の上に飾られた油絵の額まで、本当に1/40でよくこれまで出来るものだと思はれる程のデリケートな手法で作られています。
 一輛に數ヶ月或いは數年の年月を費やしても決して惜しいとは思いません。気に入らぬ部品はすべて気に入るまで作り直し、非常に高級な材料を選んで製作にかゝります。もちろん現代の日本のダイカスト既成部品は気に入る筈もありません。彼の作品には一種の香りがあります。それは出来上がった品物の美しさより、その工作方法の深く新しい考察によるものでありませう。
”O"ゲージ1/40では充分に工作の腕が振えないのか最近では96m/mか64m/mでライブスチームロコをやって見たいな等と云ってゐます。
 A君とB君もお互いの作品を感心して見てゐます。もっといいことには二人とも自分のサイドのほうが好いとは一言も云わないことです。
「模型はその人の趣味だから」と二人は口を揃えて云っています。しかも二人とも、”Oゲージ”のレールに関する諸規定だけはきちんと守ってゐます。
 二人の模型人があります。二人とも私の友人です。
 二人とも、私は尊敬しています。  この部分不鮮明】

 なるべく原文のまま再現するように努力したが、判読不能部分もあることはご了承戴きたい。 

2021年06月13日

OゲージのC53

 ”ウーンド”を調べている途中で、益田氏のC53の記事を見つけた。TMSの99号である。98号には辻阪信一郎氏の作品が載っている。

C53 drive HOの棒型モータを2台つなげて、スパーギヤで平行に落とし、それからウォームギヤで減速している。スパーギヤはヘリカルギヤを使っているそうだが、騒音がひどいらしい。よほど優秀なギヤを使って密閉式ギヤボックスに入れない限り、この方法では騒音を撒き散らし、とても蒸気機関車とは思えない走りになる。記事にも、うるさくてだめだったと書いてあるが、その後に売り出された模型で、この種のドライヴを持つものは多い。すべてギャーギャーとやかましい。

 益田氏のドライヴで良いところは、隣の軸に跨がせて反トルクを受け持たせたところだ。残念なことにひねりが利くようには作られていない。2軸が3点支持にはなっていないからだ。この種の、反トルクを受け持たせる機構(トルクアームトルクチューブ)を付けた模型は、その後60年以上に亘って、ほとんど出現していないのは、理解に苦しむ。少数は発表されているが、強調がなされていない。前後進で調子の異なる機関車が大半だ。これは走らせている人が少ないということだろう。

C53 写真を見るとボイラが少し太くて立派過ぎる。C59の感じである。説明には2 mm太くしたとあり、失敗だったと書いている。キャブも低くしたようだ。
 この模型は今どこにあるのだろう。拝見したいものだ。


2021年06月11日

TMSの発音表記

 taper-wound の発音調査にはかなり時間がかかったが、一応見るべきものは見た。山崎氏の最初の表記 "ウーンド” は明らかな間違いで、その後の "ワゥーンド"は、誰かに注意されて直したのだろうが、まだ駄目ということだったのだろう。その注意した人とは、翻訳家の日吉菊雄氏に違いない。しかしそれを聞いているのに、再現が不完全だ。

 このミキストの記事は高校生の時に読んだ。ウーンドでは”負傷”という言葉であり、文法的にも成り立たないと気づいた。その後NMRAの会報を読んで、なーんだということになった。TMSの102から106号は読むチャンスがなかったので、今回お知らせ戴くまで気が付かなかった。
 この件に関して、ドイツ語に堪能な方から興味深い連絡を戴いている。

 今回のレオスタットに関する記事を興味深く拝読しました。TMSは昔から外国語のカタカナ表記におかしなところがあるのですね。コアレスモーターのメーカーであるFaulhaberを、ずっと「フルハーベル」と表記しています。日本のドイツ学園でハノーファー標準音による教育を受けた友人やミュンヘンとサルツブルク(ザルツブルク)の模型屋で確認したことがあるのですが、いずれもカタカナ表記にすると「ファウルハーバー」になる音でした。大学の一般教養のドイツ語で習う簡単な規則通りです。そもそも新光電子や光進電気といったFaulhaberの代理店も「ファウルハーバー」と表記しています。
 一般的にも数学の「ファウルハーバーの公式」とか日本でのFaulhaberのカタカナ表記として、「ファウルハーバー」は慣用化しているので「フルハーベル」という表記は不可解ですが、ある有名ブログでも先日「フルハーベル」が使用されていたので当惑しているところです。 


 出版人は教養を持たねばならないという話を書いた。日本には鉄道模型誌は3誌あるがどれも怪しい。アメリカ情報を垂れ流していた某誌の記事は、眉唾ものが多かった。推測と妄想が多い。結局のところは語学力に欠けるというところなのだ。語学が出来なければいけないと言う意味ではない。語学のできる人が親しい友人に居て、その人から正しい情報が来たら受け入れれば良いだけのことである。妙なプライドがあって、自分の力でやろうとするからこういうことになるのだと思う。「客観的に正しいのは何か」ということを考える力がないと間違いを繰り返すことになる。

(日本ではアメリカ映画”Sound of Music”の影響でザルツブルクという音が定着しているが、現地ではサルツブルクと言っている。筆者註) 

2021年06月09日

耐薬品手袋

gloveschemical-resistant glove いつも行くバッタ屋で見つけた。以前は意外と高値で売っていたが、数分の1に値下がりしていた 。売れなかったのだろう。サイズは小であったが、十分な大きさである。全部買い占めた。まともに買えばかなり高価である。


 Ansellはもともとはダンロップが作ったゴム手袋製造会社だったが、現在では医薬品製造用を始めとして、あらゆる用途の防護服、フィルタなどを作る多国籍企業である。
 この手袋は、ほとんどすべての薬品、溶剤に対し、耐性がある。模型工作で有効なのは、塗装剥がしと、めっきである。

 塗装剥がしは、ブレーキフルードを使うが、9割は取れてもあと少しが取りにくい。ラッカーシンナを深皿に取り、刷毛で軽くこすると溶けてしまう。その時車体を手で持つと、あとで臭くて仕方がないし、健康にも宜しくない。この手袋をはめていると、シンナーの中に指先が入っても平気である。かなり荒っぽい作業も、安心してできる。手が汚れないのがありがたい。

 めっきは、あまり安全とは言えない薬品も使うので、手に付けないようにせねばならない。

 風向きを考えるだけで、安心して作業できる、手袋をよく使ってくたびれてきたら、車の整備に使う。エンジンオイルを抜くときには、汚れなくて助かる。その時使用した手袋は、迷わず廃棄する。

2021年06月07日

続々 昭和20年代初頭の同人誌

 他にもいくつかある。

Kyuden これは京都の奥野利夫氏が主宰していた京都鉄道趣味同好会による発行の「急電」である。副題は”EXPRESS"とある。
 関西圏(富山、和歌山あたりまで)の電車関係の情報がぎっしりである。乗務員室ドアの開く方向とか、パンタグラフの形の差、車内の照明器具の形を詳細な絵で示してある。謄写版であるから、図を描くのは大変であったはずだ。富山地鉄の新線開通を知らせる記事もある。

Extra 臨急電というのも発行されている。当時はカメラは貴重品であったから、スケッチが多い。その分細かいことまで気がついて、まとめてある印象を受けた。編集者は、「電車の記事が圧倒的に多いが、蒸気機関車、客車、貨車何でも結構ですから、ご紹介ください。」と書いている。


Tokai これはインクが薄く、ほとんど見えなくなってしまっているが、東海鉄道同好会が発行していた”TRAIN"である。岡崎の大嶽十四男氏が編集していたとある。伊藤 剛氏、椙山氏も投稿している。



 まだあるが、主要なものはこれぐらいである。細かく読んでいくと、投稿者には著名人がたくさんいたことがわかる。その中でも、竹島紀元(鉄道ジャーナル創刊者)という名前を見て驚いた。九州からの投稿である。その他、多彩な人々がこれらの同人誌に登場している。竹島氏は初期のTMSにも投稿している。

 発行部数がどれくらいだったのかはよくわからないが、欲している人には行き渡るくらいの数であったろう。

 その他、いわゆる「三号雑誌」と呼ばれた、発行して三号で倒産消滅したものも来ている。これはいずれ紹介しよう。


2021年06月05日

続 昭和20年代初頭の同人誌

 他の同人誌を見ていこう。

Osaka これは大阪鉄道同好会が発行していた「快速度」である。編集者は佐々 武氏であったり、前田一夫氏であったりする。汽車会社の寮が住所になっていたことがある。新しく作られたC62の情報が、異常に詳しく載っている。どのD52から作られたかなど、普通には分かりにくいことを詳報している。


Tsujisaka 辻阪信一郎氏のComet Roadである。これはどちらかと言うと模型を中心にしている。辻阪氏は当時三重県津市に住んでいたようだ。Sゲージを始めている。当初から、椙山氏とは親交があり、椙山氏の祝辞を兼ねたかなりの長文が掲載されている。
 辻阪氏は後に、筆者の仮住まいのすぐ近くに住まれたので、親しくお付き合いしていたが、こんな同人誌を発行していたとは知らなかった。腕の立つ鉄道模型人であった。

Kita 富山の北氏が松本正二氏を訪ねたときの様子が書かれている。この時代はまだ 35 mmゲージがあったのだ。  

2021年06月03日

昭和20年代初頭の同人誌

 椙山氏の書庫の整理をK氏と行った。

 古い海外の雑誌を約100 kg運び出した。それらの大半はすでにあるので、保存状態の良い方を博物館で並べ、良くない方は書庫に収めた。日本の雑誌の大半はすでにあり、残りは防カビ処理をして気密箱に入れた。
 
 ボロボロのファイルが見つかった。その場では判読が難しいものばかりだったが、自宅に持ち帰って明るい光の下で拡大鏡で見ると、昭和21年あたりからの、全国各地の同人誌であった。TMSの発刊前の時代に、実物、鉄道模型に関する同人誌が、全国各地でこんなにたくさんあったことなど、現代の誰も知らないことであろう。

ShiraiToyama 発行者は著名人が多く、名鉄出身で大井川鐵道副社長だった白井 昭氏、富山の北龍一氏らが、それぞれ自ら編集して発送している事がわかった。白井氏、北氏には直接お目にかかった事もあったが、このようなことは一切お話にならなかった。白井氏は、最近このブログによく登場する伊藤禮太郎氏(国鉄)とは同級生であり、伊藤氏は印刷を担当したとある。また、白井氏は伊藤剛氏の後輩で、親しかった。東京モノレールは白井氏が中心になって作られた。

Shirai2 貴重な原稿がたくさんあり、これを保存し、部分的には公開したいが、紙、インクの劣化が甚だしく、かなり難儀しそうだ。白井氏はご存命であるので、許可を得ることも可能だろう。また、このアーカイブに入れて戴くことも考えている。 

2021年06月01日

Tenshodo のレオスタット

 しばらく前に扱った天賞堂製の最高級パワーパックの記事中、Marn-o-Statと書いたが、それは誤りであった。この記事はTMS105号(1957年3月)からコピィをさせて戴いている。この(F)という執筆者が誰なのかはわからないが、的確な記事を書いている。

Tenshodo 40 Ωの”テーパーワインディング”とある。若い方は意味がわからないだろうと思うので、簡単に説明しよう。モータの回転数が低いときに細かな速度制御ができるように、そのあたりの巻線が細い。中高速域では電流が増え、大まかな調整で良いので線は太い。大抵は、3段階になっている。もうすでに過去の遺物で、現在の低電流で動かす模型には使えない。
 40 Ω とあるので、初期短絡電流は 0.3 Aだ。当時としてはかなり優秀なモータ搭載した機関車を想定していたのだろう。実際には半分近く廻して、1 A弱でスタートしたものと思われる。

 可変抵抗による電流制御であり、本来は直巻電動機の制御に適する。現在使われているマグネットモータは分巻特性であるから、電圧制御でなければうまくコントロールできない。

 この記事によると日本製のようだ。アメリカでの特許が切れているのを承知して作ったのだろうが、それにしてもよく似ている。現代なら文句を付けられそうだ。

 日本では、この種のスロットルを縦に動かす電源は、殆ど見ることがなかった。固定されたレイアウトの存在があまりにも少なかったからだろう。ともかく、このスロットルは日本のどこかに眠っているものと思う。現物を拝見したいものだ。
 taper-wound の発音は、昔のTMSで議論されていたが、正しいものがなかったように思う。 ウーンドというのは意味が違う言葉だ。windの過去分詞だからワウンドである。この件についてTMS記事を調査中だが、見つからない。お教え願いたい。 

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