2021年03月

2021年03月31日

double slip linkage

double slip linkage ダブルスリップのリンク機構が完成している。すべて1.5〜3 mm厚のブラスの角棒から削り出して作った。関節はフォークにしてあり、ピンはΦ1である。木製部分は他と同様のグレイに塗るつもりである。リンクは黒染めするから、やや濃い色になるだろう。

 支え部分は、捻られないようになっている。滑動を妨げないようにして、直線運動を回転運動に変換している。Φ4のボールベアリングを使って、摩擦を減らしているのだ。

 当初はリンク機構を隠すつもりだったが、見えた方が良いという意見が多く、全露出型となった。イコライズする様子が見えて面白いと感じる人も居るだろう。もちろんスライドする部分には、蓋をかぶせる。

swarfslider base リンクが滑動する部分は、10 mm厚のブロックを削った。快削材であるから、気持ちよく作業でき、切り粉はかなり出た。黒染めを施し、モリブデン・グリースを薄く塗るつもりだ。
 本当は切り粉を掃きながらやるのだが、荒削りなのでさぼっている。仕上げ削りではこんなことはしない。刃を替え、ゆっくり送ってぴかぴかにした。


double slip kinkage (2) モータはΦ45のギヤード・モータを半分埋め込んだ。この写真では、少し持ち上げて中を見せている。
 箱状の路盤を増設した。それに取り付けた上で、路盤に固定する。塗装すれば目立たない。

2021年03月29日

続々 ER collet

 ERコレットの精度の高いものは、所定の軸を入れると抜けて来ないようになっている。よくできている。
 例えば、Φ6 のコレットに Φ6 のエンドミルを差し込んでも、落ちて来ない。すなわち抜け落ちた時、万力に当たってしまって刃が欠けるということが無いのだ。

 振れが大きいものは、当然不良品だ。それ以外に駄目なものがある。クランプナットの偏心した留め輪にひっかからず、ナットを緩めても抜くことができないものがある。これでは話にならない。これは、コレットよりもナットに問題がある場合が多い。

 いくつかの販売サイトで買ってみたが、アメリカの店経由で買うと、変なものにはまず当たらない。台湾の店も良い。ところが、中国から直接送って来るのは、ハズレが多い。
 これにはいろいろなファクタがあるだろうが、一つだけ言えることは、アメリカ人は駄目なものには駄目と言って、返金を要求する。ところが日本人は、駄目でも簡単に諦めてしまうことが多いからだと思う。おかしな商品が来たら、直ちに抗議して交換を求めるべきである。クレジット会社に言って支払いを止めるのが効果的であろう。

 最近は、中国のサイトは全て日本語表示で、怪しい日本語のオンパレードだ。その中に、”春コレット”と書いてあるものがあったそうだ。間違っていたのは、訳だけであったかどうかは分からない。

 ER コレットは使い易く、精度が高いが、切り粉を噛みやすい。外したら、歯ブラシで丁寧に内外を払い、注意して組み直すようにしたい。また、コレット、コレットホルダー、クランプナットには適宜注油しておく必要がある。 

2021年03月27日

続 ER collet

ER25 + ER11 大きなコレットで細いものを掴むと、掴み損なって振れが発生することがある。こういう時には 、根本にΦ8 のストレートシャンクがついたコレットホルダをさらに銜えて2段にすると、誤差が減る。要するに、細いものは細いコレットで掴むということだ。この写真はER25にER11を挿し込んだ様子を示す。ストレートの部分は長過ぎたので、40 mm程度に切り縮めた。切るのには回転砥石を用いた。
 ERコレットは、先も奥も同時にワークに接していないと振れてしまう。短いものを掴むときは、コレットの奥にも同じ径の”捨て駒”を入れる必要がある。

ER32 + ER11 たまに、Φ19の車輪を掴みたいが、そのためには自宅の旋盤で、専用のコレットを用いて掴まねばならない。博物館でも作業したいので、昔に買ってあったER32のコレットホルダを付けるようにした。

 スピンドルのフランジを加工し、コレットホルダの裏側(主軸側)の印籠組み部分の径と合わせた。幸いにも振れは検出できないほど小さかったが(2/100 mm以下)、主軸側からは隙間が無いので、ボルトを差せない。反対側のワーク側からボルトを締めたかった。コレットホルダにバカ孔をあけ、フランジにM8ネジを切って、右側(ワーク側)からネジを締められるように改造した。

 と簡単に書きたいところだが、コレットホルダは熱処理がしてあって、ドリルが滑るほど硬かった。既存のM6ネジ穴を拡げてΦ8にするだけだから簡単だと思ったが、とても無理だった。
 友人の鉄工所に持って行って相談すると、超硬のドリルなら可能ということで、ドリルを発注した。自宅の道具では無理で、3箇所の孔の拡大はプロにお願いしたが、大変な苦労を掛けたようだ。それほど硬かった。


2021年03月25日

ER collet

 旋盤でいつも心を出して掴もうと思うと、コレットで掴むしかない。コレットは各種あるが、特定の径の物しか掴めないので各種の径の物を多数持たねばならない。
 ERコレットはいわゆる spring collet であり、多少の誤差があっても平均して収縮するので、1 mm程度のピッチで揃えていれば、いかなる径の物でも掴むことができることになる。この8度、30度のテーパによって平均的に縮みながらワークを把持する。パイプも潰さず掴めるところが有難い。

 模型人が使う頻度の高い軸を掴むのなら、ER11(Φ7まで)、あるいはER25(Φ16まで)のセットを持っていると良いだろう。コレットはクランプナットに斜めに押し込まれると、内部の偏心した留め輪に引っ掛かり、抜けて来ない。これは卓抜したアイデアである。

 コレットの嵌め替え時に、探すのは時間の無駄であるし、無くす可能性もある。コレットは一覧できるようにすべきである。

collet turret for ER25collet holder  ER32 筆者はER25用のセットを回転するホルダに入れてある。大きなER32は、堅木で傾けて作ったホルダに入れ、取り出し易くしている。 

2021年03月23日

続々々々々 アメリカ製の切断機

shear 3 ハンドルの長さの台に固定して出来上がりだ。とても使いやすい。台が短いと力が入らない
 筆者はシァには興味があり、過去に様々なものを購入している。中国製のも買ったが、根本的に設計が駄目で、また精度が無かったので整備できず、始末した。今回はアメリカ製ということで、少々不安であったが、結果としては非常に良くなった。

 この機械は、アメリカ製の製品によくある欠陥を、すべて持っていた。設計と材料と工作機械は素晴らしいのだが、クラフツマンシップが駄目なのである。すなわち、組立工の質が悪いのだ。筆者は昔アメリカに居て、それをいろいろなところで感じた。

 例えば車である。アメリカの車は、実用機械としてはとてもよくできていて、信頼性がある。基本的な構成が正しいのだ。しかし、製造時のミスがあまりにも多い。一番腹が立ったのは、後輪のブレーキ装置である。グリスを入れずに組まれていて、錆びて固着し、引きずるようになってしまった。しかたなく抜き出して磨き、グリスを塗ってOリングを入れ替えると直った。
 子供を乗せると、座席ベルトが締まらない。よく見ると左右逆で、裏返っている。あちこち点検すると座席の下から、アイスクリームの木の棒が出てきた。食べながら組み立てている奴がいるのだ。その他無数にあった。友人の車は走行中に運転席ドアが開いた。違う長さのボルトが使ってあった、というあり得ないミスだった。
 日本製の車が評判を勝ち得たのは、こういうことが無かったからだろう。Bill Wolferは、"World’s Best Craftsmanship"と言って、日本車しか乗らず、Datsun 240Z を乗り回して絶賛していた。 
 
 しかし、手を入れていれば非常に調子が良く、筆者の車は20万マイル(32万キロ)を無故障で走った。隣人が車の整備を趣味としていたので、教えてもらって整備した。タイヤとエアフィルタは、10回近く替えただろう。
 今回の切断機はそのことを思い出させてくれた。手を掛ければ素晴らしいが、そんなことなんかやっていられるか、という方には薦められない。
 しかし自分で整備して高性能になったものには愛着が湧く。0.1 mmの板を、正確に繰返し切ることができるのは、素晴らしい。 (この項終わり)

2021年03月21日

続々々々 アメリカ製の切断機

 実のところ、到着時にはすでに刃は傷付いていた。固定刃に乗り上げてしまって降りない状態なのに、無理に押し下げて、"Shipped tested"(検査して出荷)と称している。どうしようもない組立工がいるのだ。
 定盤上で、1200番のサンドペーパで研いで平面を出し、2000番の砥石で擦った。この作業で2/100ミリ強薄くなった。刃物を研ぐのは好きであるから、時間を掛けて行った。
 これらの刃を取り付け、きっちりと位置合わせをすると、素晴らしい切れ味である。

back stopper この切断機の特長の一つに、可動刃の裏側のストッパがある。そこまで(緑の線の高さで)材料を突き当てて(黄色矢印の深さまで)切り落とすと、同じ幅のものが大量に簡単にできる。深さ寸法は0から始められるところが優秀である。
 ストッパの回転軸の高さ(オレンジの線)が絶妙で、押しても逃げないが、刃を下ろすと逃げるようになっている。バネで逃げるのだ。うまい工夫だが、可動刃は斜めに降りるのだから、ストッパがプラットフォーム方向から見て水平であってもよいのか、詳しく調べてみたい。回転軸にはわずかのガタがある。それには害があるのか、それともそのガタが有効に作用している可能性があるのか、まだ判断できていない。
 深さの目盛りは、ミリとインチの併用であるのは有難い。

 リン青銅板を正確な幅に切り落とせるから、重ね板バネが簡単にできる。窓枠の部材切断なども簡単だ。

slide 切り落とした小さなものが奥に入ってしまうと取り出しにくいので、滑り台を付けた。滑りの良い洋白の板を、少し曲げて貼り付けただけである。切ったものが滑り出して来るのを見るのは面白い。         


2021年03月19日

続々々 アメリカ製の切断機

slack 可動刃のブロックである。本体のスロットにはめ込むと微妙なガタがある。矢印がそのガタである。その分だけ刃が前に出る(この写真では左に行く)と、固定刃に当たる。乗り上がって自壊するのだ。 
 可動刃が、上下するスロットの中で一番奥(右へ)に押し込まれて、手前に出て来られないようにする必要がある。
  
wavy shim 薄い洋白の板を短冊にして、はさんでみた。0.1 mm厚では足らない。0.15 mmでは少し苦しい。こういう時は、0.10 mmを波状に細かく折ってから、平らな金床上でゴムハンマで叩き伸ばす。折ったところは微妙に曲げ跡が見えるが、押せば凹む。すなわち極めて薄いバネを作ることができる。これを隙間に押し込んだらぴったりで、何もしなくても固定されてしまい、なおかつズレて出て来ることもなかった。刃は滑らかに降りる。

 次に、刃当たり調節ネジを少しずつ締め、刃が無理なく降りて剪断するかどうか確認する。祖父江氏の言うように、ティッシュをはがした1枚を置き、それがスパッと切れるようにするのだ。クラインシュミット氏も同じことを言っていた。
 今度は反対側を締めるが、こちらでは固定刃により、可動刃はスロットの中で後ろ側に押し付けられているから、洋白の短冊を押し込む必要はない。すでに刃は降りているので、コジることが無いようにするだけである。少しずつ締めて様子を見る。この締めネジはつぶれていて困ったが、M6ネジであることが判明した。鋼製に取り替えれば安心だ。アメリカでもメートルネジが増えてきたのだ。車の影響だろう。

ネジ山破損 H氏からお知らせ戴いたが、ネジを切り忘れたところがあり、それにネジ込まれていたので、外すのにも苦労したそうだ。写真を送ってくれた。M6のタップでネジを切ったという。ネジ切りの深さが足らないところもあったそうである。

2021年03月17日

続々 アメリカ製の切断機

 バリではないが、キサゲを掛けていないので、刃の固定が怪しいということもあった。可動、固定の両方の刃が鋼製ブロックにはめ込まれ、ネジで固定されるが、その接触面は機械で削っただけである。手仕上げはなく、フライスの刃が切った面そのものを黒染めして刃を締めてある。これでは、メクレで微妙な浮き上がりが生じ、ネジを締付けても、刃の平面性が保証されない。おそらく微妙にすり鉢状に締まるはずだ。

hand scraping 台に固定し、バイトに”のみ”のような握りを付けたキサゲで時間を掛けて仕上げた。部分的に虹のように光る。こういう仕事は、昔見せてもらったことがある。油を付けて撫で、違和感を感じなくする。刃を置くと吸い付いて取れなくなる。好きな作業でもあるから、時々やる。概略の平面は機械が出しているので、微細なメクレを取ることが目的だ。サンドぺーパを当てるとそこが凹んでしまう。あくまでも出ている部分を無くすことに傾注する。
 プロは、1/100ミリの凹凸でも指先で感じるそうだ。筆者は3/100ミリ程度しかわからないだろうと思う。 

 刃を外し、丁寧に研いで取り付けた。彼らが使っている機械の精度は素晴らしいと思う。しかし、わずかの手仕上げが足らない。キサゲでなくても、砥石で擦るだけでも良かったのだが。

2021年03月15日

続 アメリカ製の切断機

shear 1 もう一つ、根本的なミスがあった。
 刃当たりを調整する送りネジがある()。それはステンレスネジであった。筆者はステンレスネジは原則として使わない。伸びたりつぶれたりするからだ。ネジ穴から抜けなくなることがありうる。この写真の()は先回の面取りの足らない部分である。
 今回の送りネジは、締め込んで相手の鋼製ブロックを押すのだが、馬鹿力で締めた跡があり、先端がわずかにつぶれて太くなっていた。ネジがつぶれると太くなると同時に、ピッチが狂うから始末に負えない。こうなると緩ませて抜くことは不可能だ。こういうところには、鋼製ネジを使わねばならない。仕方がないから、時間を掛けて先端のネジ溝をヤスリで削って拡げ、抜き取った。ひどい話だ。

 このステンレスはオーステナイトと云う状態で、塑性変形が起こりやすい。力を掛けてはいけないものなのだ。ステンレス・ボルトで締めると時間が経つと緩むのはこのせいだが、日本ではそんなことはお構いなしで、あちこちで使われて事故を起こしている。
 近所で上水道の大規模水漏れ事故があった。交通を遮断して掘り返すことになり、自治会としての立ち合いを求められた。見るとおバカなことに、このステンレスボルトが使われていた。水道事務所の工事担当者は、
「緩んでいるのは不思議だ。締め付けトルクの記録もあるのに。」
と言うので、このことを教えたら大変驚いた。
 後日上司から感謝の電話があった。今後すべてのステンレスボルトを、順次高張力ボルトに切り替えると言っていた。ついでに濡れるところではステンレスと鋼とを混用しないように釘を刺した。今まで税金をドブに捨てていたのだ。世の中こんなものらしい。

 アメリカ製の物で、間違って使われているのを見るのは初めてだ。アメリカ人はステンレスボルトを使うのに、ためらうことが多い。いろいろな弊害を知っているのだ。これはおそらく、指示間違いであろう。

2021年03月13日

アメリカ製の切断機

 複数人でアメリカから取り寄せた切断機について書きたい。動画を見て、設計の妙に驚き、注文した。日本製のものにはない工夫が凝らされ、どうしても使ってみたかった。過去に遠藤機械製の切断機を改良する工夫はしたが、根本的に異なる発想から出てきた製品を見たかったこともある。
 消費税の10%を逃れる術はなかったが、たまたまセールで割安であったのと、多人数で運賃を割って大幅に節約できたのは有難かった。今回の幹事は、このブログにもよく登場するF氏である。

 生産地のオクラホマは、未曾有の大雪で交通が1週間ほど遮断され、発送には時間が掛かったが、無事に到着し、F氏の献身的な努力で無事配送された。一つだけ部品が足らなかったが、電話を掛けてすぐに解決してくれたのは有難かった。

Shear1 鋼製の本体に、硬いアルミ合金製のプラットフォームと足が付いている。黒染め処理で美しいが、作動状況は芳しいものではなかった。可動刃が微妙にせり出しやすく、固定刃の上に乗ってしまう。そのまま押し込むと刃がへたり、修復が難しい。上の可動刃を安定させ、一定の位置で降ろすようにせねばならない。何度も分解して検討した。この写真では乗り上げていない。ちらりと四角の金属板が見えているのは、後述するバネを兼ねたシムである。 

 問題点はいくつかあった。
 設計は素晴らしいと思う。しかし、クラフツマンシップには大きな疑問点があった。良いものを作って、客を喜ばせようと考えているようには、見えない。工員の質が悪いのである。
「言われた通りに組んだから、これでいいだろ?」と言わんばかりだ。

 分解して気が付いたのは、バリが取ってないところがあることだ。面取りが不完全だから、直角に仕上げた入隅に押し付けても、隙間から光が透けて見える。密着させるためには、双方の面を良く仕上げるのみならず、出隅の角の面取りを念入りに行う必要があるのは常識だ。また、削りクズが残っていて、はさまっている。


2021年03月11日

続々 double slip mechanism

 軸がずれても、トルクを伝達する方法はいくつかある。高級なものではブフリィ式などがある。先の祖父江ジョイントにおける、ある位相での挙動も同様である。
 簡単で壊れにくい構造は、リンク機構である。これは、例があまり発表されていないように見えるが、蒸気機関車のロッドはまさにこれで、多少の動軸の上下動があっても、問題なく動く。スイスあたりの電気機関車の駆動方式は、さらに大きな動きを許容する。このロッドには垂直に動くスライダがあるからだ。筆者はこれに目を付けた。

 2:1に内分する点に、テコから直角(枕木方向)に張り出した別のテコを付け、長い既存のテコがレイル方向にずれないように長孔で保持してトルクを生み出す、という方法である。文章では分かりにくいので、図示する。

double slip mechanism 3 上の方に伸びたテコにはリンクが付き、左右に振られる。左に行けば、支点は左右には動かないから、リンクが傾き、どちらかの作用点が接触するまで行く。例えば左が接触すれば、右端が接触するまで左に回転するので、支点は少し上に動くだろう。

 支点は、スライダの溝の中を滑るボールベアリングが嵌まった軸である。上下の抵抗は、無視できるほど小さい。この方法の利点は、イコライザとしてのテコの平面上で力が掛かるので、捻りが生じないことである。機構は極めて簡単になる。動く角度が小さい範囲では、3点への力は均等であると見做せる。

 T字型のリンクの根元は補強しておく必要があるが、面積があれば普通のハンダ付けで十分だ。


 本日は東日本大震災から10年目の日である。当日、日本を離れていて、帰国できるかどうか心配していたことを思い出す。テキサスのデニスは「うちに来い。いつまで居ても良い。」と言ってくれた。
 帰国の日、日本に近い太平洋上で、飛行機から親潮と黒潮の潮目が見え、そこに膨大な量の漂流物があるのを見た。建物も船も、おそらく遺体も含まれていただろう。むごいことであった。  

2021年03月09日

続 double slip mechanism

double slip mechanism4 テコの長さを 2:1 に内分する点を回転軸としてみよう。そうすると腕の長さが違うので、力は 1:2 となり目的を達する。
 一方がある程度動いて、目的地点まで到達すると支点となり、他方が別の目的地点に向かって動く。
 下の図の左端が目的地に到着すると右端が上に行き、同時に回転軸も上に、その 2/3 移動する。トルクを与えている軸が動くことになるのだ。これは問題だ。

 軸にはモータが付いている。モータはある程度動くと同時に、反トルクを受け持つ何らかの機構を持たねばならない。しかもテコの作動面とモータの位置は、上下にある程度離れているから、反トルク承けの構造は捻りに耐える工夫が必要である。そうなると、かなり難しい構造を覚悟せねばならない。

 トルクアームをどうすべきか、あるいは小さなギヤボックスを付けて、トルクチューブにするか、それともつまらぬことを考えずにテコを延長するか、しばらく悩んでいた。
 皆さんならどうされるだろう。 

2021年03月07日

double slip mechanism

 いくつかお答を戴いている。フレッド折澤様が正解で、その他の方は部分的に良くても、うまくいかないこともあるので不正解とした。

double slip mechanism この図を見て戴きたい。上の図は単純な天秤棒で、2倍の荷重が掛かっている方に近いところを押せば、すべてが均等に押される。
 中の図はテコを右に延長したものである。テコの右端を下に押すと、左端が動作を終えて引っ掛かり、支点となる。すると中心の部分が作用点になる。2点を2倍の力で押すから、すべての点が均等の力で押されることになる。
 下の図では、中の2点が支点となった状態である。左の作用点は力点と同じ力となり、中点は2倍となるが、2点に分配されて均等になるというわけだ。

 これらの動作中、長孔は何ら力が掛かっていないので、不要である。実はその部分は、単にスライドするだけの滑り子を作ってある。

 テコを延長するのが最も簡単な解決法だが、偶力が働いているのだから、トルクと置き換えできる。    


2021年03月05日

炭素棒ハンダ付け

 むすこたかなし氏のRSU (resistant soldering unit) の記事が面白い。筆者はOゲージを楽しんでいるので、細かい工作をしていないと思っている人も多い。だから、太い炭素棒で高い電圧を掛けていると思われているようだ。
 筆者は細かい作業もする。ディーゼル機関車のブレーキ・リギングなどは極めて細かい。その組立てはRSUを用いる。相手が大きいので、ハンダごてではできない。

 炭素棒は、1/16インチ(1.6 mm径)を用いる。電圧は5 Vである。先端が白熱するのではないかと思われるだろうが、そんなことはない。発熱量は、電流の2乗と時間との積である。時間を短くすれば良いのだ。

 筆者がペダルを踏むのを見ると、ほとんどの人が「すごい」と言う。きわめて短時間の踏み込みを、猛烈な速度で繰り返す。それがコツなのだ。炭素棒は相手に触れたままにする。発生した熱は殆ど相手に吸収させるようにする。通電は0.2秒程度だ。通電中に離すとアークが出て穴があくかもしれない。 
 毎秒2回程度踏む。足踏みスウィッチは、耐久性が保証されているものを選んであるから、思い切り速く、細かく踏むべきである。

 ハンダめっきしておいて、炭素棒を押し当てればハンダはつるりと沁み込み、完了する。きわめて単純な話で、簡単だ。 もちろんフラックスは塗っておく。

2021年03月03日

続 switch motor

Hankscraft この丸いものはアメリカ製で、もともとは商品ディスプレイ用の動く宣伝媒体の動力などに使われていた。
 バラすと歯車が5段に入っていて、減速比は1:200ほどだ。とても調子が良い。民生用として大量生産されているもので、消費電力は極めて少ない。

 Honeywellにはstall motor(止まってしまっても良いモータ)があり、それは特許であった。エアコンのバルブや、ダクトの開閉に用いているものだ。その特許が切れてから、上記の安くて電流の小さなモータはポイントマシン用に使われ始めた。トルクは強大である。

 ダブルスリップの連動装置に使える。観客から近いところにあるので、動くところが見える。故障せず、長持ちするリンク機構が必要である。それによって、この種の機構に興味を持つ人が増えれば嬉しい。

equalizer 一つのテコで、3組の尖端レイルがイコライズされて動く様子を見ることができる。それが2組あるのだ。
 これらは全てブロックから削り出している。長年の使用に耐えねばならないからだ。
 ポイントマシンでいくつかのスウィッチが駆動され、信号機の燈火が変化する。それだけでも面白い。

 この種のモータはたくさん入手してあるのだが、結局のところ、アメリカ製のものしか使えない。力と耐久性とを考えると、そうなってしまう。それ以外のものはすぐ壊れてしまうものが多いと感じる。


2021年03月01日

switch motor

 ポイントマシンを取り付けている。すべてモータ駆動になるので、各種のギヤードモータの電流値を調べている。

 優秀なモータは5 mA以下で回転する。1.5 kΩの抵抗を直列に介して 12 Vを掛けると 6 mAで起動し、無理に回転を止めると8 mA弱で一定となる。抵抗では 0.1 Wが熱になるが、尖端レイルは押し付けられている。その力は十分大きく、脱線は起こらないだろう。抵抗は熱くなるはずだが、30分待っても温かく感じなかった。十分安全である。もちろんモータは単なる銅線であるから、熱は発生しないと考えて良い。 

switch motor (1)equalizer この種のモータが一番良いのだが、もう手に入らない。10年以上前にたくさん買ったが、友人が一つずつ「サンプルに」と持って行って、ほとんどなくなってしまった。3 mAで動くが、ほこりを噛みやすい。脱脂洗浄剤でよく洗い、注油して密閉空間に入れた。こうすれば20年は問題なく動くだろう。これはおそらく、当時の8ミリビデオのズームレンズを駆動するものではなかったかと思う。

 ここで問題を一つ。このダブルスリップの「1つのモータで動く3組の尖端レイル」の圧着力をすべて等しくしたい。この図の構成では圧着はするが、均等ではない。どのように改良すれば良いだろうか。矢印の長孔は十分に長いものとする。

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