2020年03月

2020年03月30日

アメリカ製キット

CLW GP38-2 (1) レイアウトの工作ばかりでは疲れるので、車輛工作も手掛けている。30年ほど前アメリカで安く買ったジャンクを、少しずつ加工している。これらはCLWの製品である。アメリカ製のキットを組んだものだ。
 1日1時間のつもりだったが、意外と面白くなり、毎日超過勤務をしている。

CLW GP38-2 (2) この手前の機関車はGP38-2である。全く経験のない人がハンダ付けを初めてやったという感じの「作品」で、どうしようもない。部品を削って形を整えてからハンダ付けするべきだが、鋳物の湯口を付けたままでハンダ付けしてある。板もエッチングの指示している外形まで削ってから組むべきなのに、無理矢理付けている。ヤスリや糸鋸の存在を知らないようだ。前後の昇降台のハシゴが入るところだけは、金鋸で切り込んだ跡がある。
 ハンダのしずくで金属がつながっているような付け方であって、二つの金属板の隙間に浸み込んだような付け方は一箇所たりともなかった。曲げも、裏にV字溝を彫って曲げるところを、ペンチでぐいっと曲げただけで、話にならない。焼き鈍して、プラスティック・ハンマで叩き延ばした。
 
CLW GP38-2(3) 普通なら途中で諦めるのに、最後まで行ったところは、ある意味ですごいと思う。ペーストを使っているので、全体がべとべとである。少し錆び始めて、裏は緑色であった。
 結局、全体が漫画みたいに歪んだものができた。動力も押し込んであって、一応動かしたようだ。要するに、本物の形を観察しないで、箱に入っていたものを順に付けただけである。エポキシ接着剤は使ってないところが珍しい。

 すべてのパーツをガスバーナで焙りながら外す。よくぞここまで、という感じである。伊藤剛氏に教えて戴いた英語に、”the man who has ten thumbs" というのがあった。全部の指が親指であるということは、どういう状態かお分かりであろう。その実例は前にもあったが、これはそれを下回る。

 すべての板の外周部を単目のヤスリで削り落とし、油目ヤスリで仕上げた。完全に直線を出しておかないと、歪んで後で後悔する。削り粉がたくさん出た。ハンダは、ガスで焙って圧搾空気で吹き飛ばした。回収して使えるほどたくさん使ってある。

 このキットは板厚が 40ミル(1.02 mm)もあるので、極めて頑丈である。ぶつかっても被害が少ない。組み上がるとかなり重い。ハンダ付けは、200W以上の大きなコテか、炭素棒に依るのが望ましい。

 組み直すと立派になるはずだ。

2020年03月26日

続々 Texasからのメイル

 もう一人のMike Rは糖尿病の医者である。こちらも週2日しか、仕事に行っていないという。レイアウト漬けになっている。静電気で芝を植える装置を改良して、猛烈な速度で緑化したようだ。
 知らない間に橋を架けた。トラス橋は韓国製のブラス製である。ガーダ橋は Atlas の製品だそうだ。本体は金属製で、上のデッキ部分は耐候性のあるABS樹脂である。屋外での使用を考えた製品らしい。
 このレイアウトも線路はすべてハンドスパイクである。ここまで来るのに20年以上掛かっている。生きているうちにはできないと言っているが、もったいないから早く作れ、とけしかけてある。

 

「Tad が来てくれると出来る。航空運賃を払うから一月ほど来ないか。」と言ってきたが、こちらは信号機と転車台で忙しいから断っている。
 逆にこちらへも来たいという。彼は48年前に横須賀の海軍病院に赴任していた。当時はまだ蒸気機関車が沢山いた時代なので、日本中写真を撮りに歩いていた。コダクロームのスライドが数千枚あるそうなので、それを日本で出版したいとも言っていた。それもあって日本に来たいのだ。その時はうちに居候する予定だ。博物館の工事を手伝ってもらう。

 彼のところにはLow-D車輪が沢山ある。先日それを付けたタンク車を線路に置いて振り向いたら、それが消えていた。猛烈な速度で1%の勾配を下り降り、レイアウトをほぼ半周して目の前に止まった。事故はなかった。「壊れないで良かったけど、ひやひやしたぜ」と言う。この動画を送ったら、全く同じ走りだったそうで、喜んで見ていた。


 彼はFEF4のメカニズムに非常に興味がある。驚異的なメカニズムだと言っている。テンダの先台車の首振りリンクもやりたいようだ。 

2020年03月24日

続 Texas からのメイル 

21027 二人の Mike は二人とも医師である。最初のMike Wは前立腺の専門医であったが退職し、模型三昧だ。広大なレイアウトを作っている。この人はストラクチュアをスクラッチビルドするのが好きで、今回はこの大きな橋をブラスで作っている。これは駅の前の広場、駐車場を載せている。
 ハンダ付けはすべてペーストを使っているそうだ。ブラスならそれで良い。塗装前に熱湯で洗って洗剤でこすり、完全に落とさねばならない。塩化亜鉛なら水で洗い落とせるのだが、中々言うことを聞かない。

 信号橋の写真を送ってやったらとても感心して、作るのにどれくらいかかるかと聞いてきた。2本作るのに1か月と答えると、速いという。その橋は2年掛かっているそうだ。ようやく完成する。
056 次は駅本屋だそうで、これは石造りだ。どうやって作るのか興味がある。ボール紙でモックアップを作ってある。
 リヴェットを2万本打ち出したそうである。しばらくは、もう打ちたくないそうだ。


 筆者のFEF4の動画は、「実に面白い。」と書いてきた。
「たとえこんなことを考えても、作る奴はいなかった。動きが面白いから素晴らしい。世界で一番よく走る機関車だ。MRに載せろ。」

 よく走るかどうかは、レイアウトを持っている人には切実な問題だ。走らない、あるいは走らせると壊れる機関車は許せないと感じるのだ。
 日本の模型人は、そこを考えて欲しい。ほとんどの模型人はレイアウトを持っていない。持っていても勾配がない。外見だけで評価する風潮がずっと続いている。

 鉄道模型は走るということが、非常に大きなウェイトを占めていることを確認したい。走ることを前提としていないものは、鉄道模型とは言い難い。
 static(静態)なものならもう少し写実的に作るべきだ。プラスティック・モデルはとても出来が良い。ここまでやるかと思うほどよくできている作品を雑誌で見る。出来るものなら、細密感はそのレヴェルまで行くべきだ。現在の鉄道模型の作品レヴェルは、造形という次元だけで考えるなら、中途半端である。 

2020年03月22日

Texasからのメイル

 Dennis の調子が良くない。手術後今リハビリ中で大変だ、と奥さんが知らせてくれた。早速元気付けに行こうと思ったのだが、肺炎騒ぎで行けそうもなくなった。毎年この時期には、花粉症対策と称してアメリカに逃避していたのだ。今年は、行ったは良いが、帰って来られなくなる可能性もある。
 彼のところには、たくさんの友人が行っている。人望のある男だから、助けに行っているのだ。遠くカリフォルニアからも助っ人が何人も行って、レイアウトの工事をみんなでやっているのだ。かなり進歩したらしい。

 先日のFEF4の動画を送ったら、みんなで見たと連絡があった。単機で動輪がスリップする様子を見て、興奮したと書いてきた。MRに早く載せろと言うので、その準備を始めた。

 ついでに送ったEM-1が長編成を牽く動画は、評判が良くない。EM-1はこんなに牽けないというのだ。119輌を牽くには3重連が必要だという結論になったそうだ。時々片方のエンジンがスリップして音が変わるのは、とても楽しくて良いそうだ。様々な動画を送ってあるので、みんなで見てワイワイと批評して楽しんでいるようだ。ともかく、一人でつまらぬリハビリをしているより、はるかに良い。

 FEF4がスリップする場面は評判が良い。テンダの中身の写真を見て、皆仰天したらしい。車軸の回転をどうやって取り出しているのかわからなかったのだ。こちらはいつもやっているから当たり前だと思っているが、普段ウォームの逆駆動などしたこともない人は、実感が湧かないらしい。デニスが、虎の子の3条ウォームを取り出して廻して見せたら、のけぞったそうだ。軽く動くし、全く無音と言っても良いほどなので、ウォーム駆動とは思えないそうだ。
 ともかく、テンダ車輪の 6/7 から動力採取して増速してフライホィールを廻すメカニズムは理解した。それが機能して、テンダが機関車に当たり、それを押して行く場面は何十回も再生したという。慣性がここまで大きいのが面白いのだそうだ。

 予定ではDennisのところに寄って、後二人のMikeのところに寄ることにしていたが、それもダメになった。 


2020年03月20日

実感を与える

UP FEF3 久し振りにFEF3が本線上を走った。ここ3年はChallengerの牽くプルマン特急しか走っていなかった。Challengerにはminor problemが発生し、工場入りしている。マイナ・プロブレムというのは大したことのない故障であって、ごまかして使えないこともない程度であるが、完璧を期すために修理している。
 draw bar が外れやすいのである。坂の途中で外れると電気配線のソケットを引き抜いて、機関車だけがどんどん走っていく。当鉄道では機関車だけで両側集電しているから単独走行が可能であるからだ。ボールベアリングを装備しているので、タイヤからの集電ブラシを付けないと走らない。それを2組付けているのだ。サウンドは途切れてしまうから、切れたことはすぐわかる。

 テンダは機関車と同一極性にしてある。こうすれば、機炭間の無用なショートから逃れられる。10年ほど前、それをHOの友人に話したら大変驚いていたが、下らない昔の考えに捉われる必要などないのだ。
 ドロゥ・バァには斜めに切り込みが入れてあって、ワンタッチで連結できるが、その押さえのラッチ・バネが弱いのだ。すぐ直るが、あちこちついでに見ておこうと、休車扱いにした。すべての先輪、従輪、テンダ車輪は、既にLow-Dに替えてある。




 このFEF3は1985年にロールアウトして、おそらく1000キロメートルは走っている。日本で、いや世界で一番長距離を走った模型機関車かもしれない。自宅のレイアウトで、20年ほど、80輌牽かせて毎日1時間くらい走らせていた。山の手線と同じで、同一方向に走らせるとフランジが片減りするので、毎月初めに回転方向を逆にしていた。
 ひっくり返して見ると、従台車、テンダ―の車輪がかなり摩耗している。めっきがはげてブラスが見えている。フランジも形が良くない。直立に近づいている。これらはオリジナルのカツミ仕様であった。Low-Dに取り換える。動輪は一度も交換していないが、十分に持っている。鋼のタイヤだからだ。ボールベアリングはNMB製である。さすが日本製の高級品で、十分性能を保っている。ギヤボックスを開けて見たが、なんの問題もない。二硫化モリブデングリスは健在で、歯形も良い。

signals (5) この機関車を作るにあたって、本物を丹念に観察した。気が付いたのはキャブの下がり方と、除煙板の波うちである。前者についてはしばらく前に触れた。波うちは金床の上で木槌で丹念に打って再現し、内側には骨を付けた。配管も少し歪ませた。
 祖父江氏は、目ざとくそれに気が付いた。「でもねぇ、商品が歪んでいると、お客さんは買ってくんねぇよ。」
 実感的な歪みというものに、かなり興味を持ったようだが、実現には時間が掛かった。例のビッグボーイの配管は、実物の観察から、僅かの歪みを与えている。
「歪ませましたね。」と言うと「わかるかい。たいていの人は気がつかないと思うよ。その程度にしといたよ。」とのことであった。  

2020年03月18日

真ん中を凹ませる

 先日の記事で、ヤスリで平面を出す方法について述べた。コメントそのものは少なかったが、コメント欄を通じた<私信>はかなり来た。私信であるから、公表はできない。知っている人も多かったが、未知の人からも来た。連絡先は書いてない。

 かなりの調子で、「ありえないことを書かないほうが良い」と言って来た。自信家と見える。「あの固い鉄のヤスリは曲がりません」と書いてあるのだ。鉄という言葉が間違っているのは、ここでは追求しない。どんなものも、力を入れれば曲がる。

 こういうことを言う人は、ご自分の見聞きしたことが世の中のすべてである、と信ずるタイプの人であろう。いわゆるスクラッチ・ビルダの中には多く居る。自分がアマチュアであることに気が付いていない。世の中は広いのだ。過去のTMS の記事はこういうタイプの人が書いた記事が大半である。だから進歩が殆どない。プロの世界を紹介する記事、プロから見た見解を書いた記事が必要なのである。

 この件をクラブの掲示板に書き込んで、経験のある方はご披露下さいとお願いしたところ、年配の会員がこのように書いて下さった。
 その通りです。R加工のときは反りを大きくします。小生は63年前、仕上の授業で習いました 余談ですが平ヤスリには片面にRが付いており、反対面はストレートです。手持ち(200 mm)を確認したところ、1本は両面ともRが付いていました。(フラットな面も先端は細くなっています)R加工の反りは、スェイさす事です。

 
確認したところ、スェイとはスウェイ(sway)揺動させることである。

 また今野氏から、これまた年配のフライス工の方が、
手作業なら出来るよ。フライスが無かった時代は、そうやって平面を出していたもんだよ。」
とおっしゃっていた、と伝えてくれた。 

 ヤスリを反らせるにはコツがある。筆者の習った方法は、下記のようなものである。まずヤスリのわずかに丸味のある面を下にする。左手の親指を中央に当て、中指と薬指を先端に掛ける。押す瞬間に力を入れると撓む。丸味をなぞるように押す。
 できないと言っている人は、プロの世界を知らないのである。筆者はそういう世界が好きで、覗くのが趣味であった。もうすでに、そのようなテクニックは殆ど世の中に存在しないが、特定の場所にはまだ存在している。


 大きな会社であれば、技能五輪に出場するための部署がある。某企業の担当者とは親しいので聞いてみた。それは当然という感じで教えてくれた。
 ヤスリだけで定盤を削り出せるそうだ。そういうところでは高級なヤスリをまとめ買いして、選り出して使う。残りは廃棄する。それを筆者のところにも、時々廻してもらっていた。余談であるが、日本の選手は優秀だそうだ。
 時として課題に間違いがあるそうだが、それを指摘するという。他の国の選手は出来なくて困っていた。出題側は、間違いを認めて問題を修正したそうだが、その時点で日本の入賞は決まっていたらしい。


2020年03月16日

2本の電線

 大電流を取り出せる変圧器を分解してみたら、2次線が2本並列に巻いてあった。
これは問題である。確かに見かけは2倍になるが、その線がいつも2本あるとは限らない。

 例えば、屋内配線で許容電流値が足らないからといって、平行に2本並べて張るのと同じである。これは禁止されている。ネズミが齧って、線が減ることだってあるからだ。トランスの中でも安心はできない。接続が緩くて片方しか通電していないこともありうる。電圧は出るから、不良に気付かない。即ち事故の原因になりうる。鉄板製の筐体に入っているから、鼠の害はないと信じたい。
 購入されたら、内部をよく見て、線の接続具合を確認する方が良い。もしも圧着が緩かった場合には少し巻きほどいて、正確に圧着端子で留め直すべきだ。あるいは太い線を巻くべきだろう。
 これは意外と楽である。筐体に収めることを無視するなら、太いものを巻けば済むし、しかもその巻き数は少ない。試す価値がある。

 中国製のトランスはこのように二本巻きのものが多くあるという話である。

2020年03月14日

炭素棒ピンセット型ハンダ付け機

carbon pliers 筆者は炭素角棒の付いたピンセット型のものを使うことが多い。
 これは炭素棒が2つ、ワークとの接触部も2点あるので、単純に考えると電気抵抗は2倍だ。同じ電圧ならば出力も半分になる。つまり、これを使う時には入力電圧を上げねば、同等の発熱は得られないことになる。
高電圧用スライダックを用いて電圧を130〜170 Vほどにすると、出力が120 Wくらいになって、瞬時にハンダ付けができる。加熱点がハンダ付する箇所の両面にあるので、明らかに温度上昇が早い

 今までは必要があるとそのスライダックを持って来て接続をしていたが、今回の装置が導入されたので、単極の太い電極の場合は新型を用い、ピンセット型は、旧来のタイプにスライダックを接続済みのものをそのまま使うようにする。

 いずれにせよ、炭素棒ハンダ付けは数秒で終わることであり、変圧器が焼けることは考えられない。
 ところが電気工学を勉強したと称する方は、必ず、こんなものを紹介するのはおかしい、火災の危険があると言ってくる。しかし、忘れてはいけないのは連続定格ではないということだ。どんな電気装置であっても、短時間なら焼けない
 筆者の父は、昔、面白い表現を使った。
焼けるまでは焼けていない。」
 どんなものにも、熱容量がある。発生熱量がそれを昇温させる。熱くなると外界に熱が逃げる。逃げる熱量が少ないと温度が上がって来る。しかし許されないところまで温度が上がる前に、電源が切れていれば何の問題も無いのだ。

 この装置のトランスではその制限時間は30秒くらいだろう。それ以上時間が掛かるものには使うべきではない。普通は5秒程度である。そして、次の通電までには10秒ほどおけば全く問題ない。それでも文句を付けてくる人が居るから困ったものだ。客観性のない人たちだ。

 こういうことを考えて見よう。ノーフューズ・ブレーカは各家庭にある。ショートするとバチンと音を立てて落ちる(トリップと言う)。ショートしてから切れるまでの間、0.1秒弱は、電流が数百アンペア以上流れている。内部のバイメタルが焼けて温度が上がって曲がり、引き金を引いて切るのである。文字通り、短時間はショートしているけれど、火事にはならない。そういう仕組みを理解できれば、炭素棒ハンダ付け機が危険だと言うのは矛盾していることが理解できるはずだ。

 炭素棒ハンダ付け機を何かの装置に埋め込んで使う人はいないだろう。目の前に置いてあるのだから、焼けた臭いがすれば切るだろうし、温度ヒューズも付いている。手でスウィッチを入れるのではない。足で踏むのだから、踏みっ放しにはならない。また、ワークを手で持った炭素棒で押さえるのであるから、手を離せば電流は切れる。すべて意図しないと働かない方向だから、安全であると言えるだろう。

soldering 炭素棒ハンダ付けを導入すると、完全なハンダ付けが誰でも可能になる。先回紹介した信号橋の歩み板は、骨組の上に置いた角材に、少量のハンダで完全密着している。普通の方法ではコテが入らないから難しい。これを見た友人はかなり驚いていた。歩み板(0.5 mm厚)の裏面にハンダを少し付けて所定の位置に押さえ込み、上の面から炭素棒で触るだけである。一回で半径 5 mm程度が融けるので、それを順にやればできあがりだ。反ることがないから誰でもできる。何の骨(コツ)もない。

signal bridges 歩み板の上面は炭素棒の痕が付いているが、融けたりしたわけではない。実はこのエッチング板の表面には、レジストが残っている。それが熱分解して痕を残しているわけだ。磨き砂でこすると無くなる。アメリカ製の物にはよくある。面倒なのでそのまま塗るつもりだ。見えなくなる。 

2020年03月12日

トロイダル・コア

 昨年末に、むすこたかなし氏から相談があった。炭素棒ハンダ付け機の電源を作る工夫である。トロイダル・コアのトランスを二段階接続して(これを直列接続とは言うべきではない)、100 Vから 5〜6 Vを得る方法だ。素晴らしいレポートがあるので、詳細はそれをご覧戴きたい。

 驚いたのはそのトランスが一つ1000円ほどで出ているということである。パチスロというものがある。筆者にはどんなものか見当もつかないが、ソレノイドを多用した遊戯装置らしい。大電流を使うという話だ。出力は 24 Vで 10 A〜20 Aの電流が取り出せる。このトランスの放出は今だけなのか、それとも継続的に行われるのかも見当がつかないが、現在はインターネット・オークションでいくらでも見つけ出すことができる。 ただ一つの懸念は、たくさんの人が同時に買おうと殺到すると価格が上がってしまうことだ。そこはわきまえて安く買う工夫をされたい。

 トロイダル・コアは、変圧器の鉄心としては最も高効率のものである。昔、筆者の父が作ってくれた変圧器は戦災で焼けたケイ素鋼板をネジで締めたもので、通電するとブーンと音がした。隙間があったからだ。これは全く音などしない。

transformers 仕様を絞って見て行くと、出力 41 Aというとんでもないものが見つかった。要するに1 KVAである。質量は9 kgもある。これを2段目に使い(右) 、1段目に350 VAの(左) を使うと、1段目の容量が無駄にならない。それを購入して、2段目の入力を1段目の出力に圧着端子で固定接続した。総質量は12 kgある。そう簡単には動かせない。

 筆者は、炭素棒ハンダ付け機は既に2台持っているが、いずれも出力不足に悩んでいた。より大きなものを付けたい時には大電流の機種が必要であったので、安価にそれが実現できるわけでありがたい。もちろん、2回も変圧器を通すのだから、損失は多少はある。しかし、長時間使うものでもないので、安くできれば、電気代がわずかに余分に掛かろうとも全く問題ない。

 これをキャスターの付いた台に載せ、作業台の下に滑り込ませるようにする。手元のコードは可撓性のある電線を用いるが、5.5平方mmを使わねばならない。炭素棒も 8 mm径のものを使うつもりだ。ここまで来るとかなりの太さで、自動車のジャンパ線か、熔接機の電線のような感じである。

 以前の頒布終了後、多くの方から再度の頒布を要望されていたが、これで殆ど解決したように思う。前回のキットをまだ組まずに持っているから値が上がる、と信じているおかしな人もいるようだが、これでそんなことは何の意味もなくなる。今回の価格破壊で、どんどん作る方が増えるだろう。この技法を広めて戴きたい。


2020年03月10日

信号橋

signal bridges 1月から殆ど信号機に掛かりきりである。信号橋はそこそこの細かさで完成したが、時間が掛かったのはそれに付く信号機そのものと、手摺り、歩み板である。
 この場所に置くのではないが、たくさん並べて写真を撮った。これらは、まだ未完成の状態であることをお断りしておく。まだ手摺りが付けてない。下にある独立型は完成している。

 日本語では、手摺りは縦横両方の部材を指す場合が多いが、英語では手に触れる棒が hand rail, 縦の柱は stanchion という。
 
cantilever signal bridge (3)cantilever signal bridge (2) 片持ちの信号橋は完成した。手摺りが付いていると立派に見える。これは、重心が偏っているので、”L”の字の針金を裏にハンダ付けし、台枠にあけた孔に挿してある。下手に接着すると収拾がつかないこともあるので、抜き差しできるように配慮した。人形と比べると、かなり大きなものである。. 

 いよいよ信号機の配線に掛かる。問題は細い電線であった。パイプの中を電線が通るのだが、絶縁が強く、ある程度しなやかな線を探していたが、なかなか見つからなかった。クラブの会員が提供を申し出てくれたので助かった。

 信号機ができれば、あとはポイントマシンの配線だ。これはDCCだから簡単である。連動のパターンを検討している。

2020年03月08日

続々 US Hobbies のギヤボックス

 どうしてこのようなギヤボックスを作る必要が出て来たか、というのは少し説明が要る。Ajin製のヘリカルギヤだけのギヤボックスが複数見つかり、それにはEMD E7の車輪(36インチ)がついていた。 1:1のギヤボックスだから、事前に減速ギヤで減速しないと走らせることができないわけだ。
 
 これがうまく行くかどうかは、使ってみないことにはわからないところがある。というのは、減速されて大きなトルクが台車に伝わる。すると、反作用で車体が反対方向に傾く可能性がある。輪重も一定にはならないかもしれないから、それは脱線を誘発するだろう。しかし既製品は曲がりなりにも走ったようなので、うまく行く可能性もある。
 理想論を言えば、前後の台車のひねられる方向を逆にするために、ウォームのネジを鏡像にすれば良い。当然モータは2個を逆方向に回転させることになる。しかし、コストが増大するから、そんな模型は見たことがない。むしろ台車ごとにモータを付けて、独立した状態にするのが確実である。

 過去に筆者が作ったものは、すべて台車内で3 : 23にしている。即ち、ドライヴシャフトで伝達するトルクは小さいから、車体が傾く心配はまずない。
 今回のギヤボックスはCLWのE7に取り付ける予定で、それは砲金で鋳造された前頭部を持ち、すこぶる重い。ということは大きなトルクで推進軸を廻しても、その反作用に耐えてくれる可能性が高い。

2020年03月06日

続 US Hobbies のギヤボックス

 歯数が決まっているので、ギヤ比は変えにくい。ちょうどよい歯車があれば良いが、この M0.8 の手持ちは少なく、なかなか難しい。M0.5 であれば、異なる歯数の歯車をふんだんに持っている。軸距離を計算して可能な組み合わせを選び出す。今回、歯数が14枚に満たないものはすべて廃棄した。そんな歯車を使っている以上、ガリガリ・ジャラジャラ音からは絶対に抜け出せないからだ。(”M”とは歯車の歯の大きさを表す”モジュール”である。)

 ギヤボックスの内側のえぐりをフライスで拡げて、大きな歯車を入れると、自由度が増した。大きな50枚を最終段に置き、中間を大小二段の歯車にした。与えられた条件内で、14枚以上を用いた組合せを、限られた空間内に押し込んだ。設計にはかなり苦労した。
 まさに「フライスと旋盤の実技修了試験」のような工作であった。すべての孔をフライスとリーマで仕上げて、ボールベアリングはすべり嵌めである。全くガタの無い軸というのは気持ちが良いが、もう一つ作るのは勘弁してほしい。フランジ付きは、ミネベア製の高級品である。

US Hobbies gearbox modified 歯車のボス部分は細く削ってボールベアリングのインナ・レースのみに触れるようにした。また、正確に削って、予圧を与えることに成功した。
 ワッシャ無しで嵌めるように、ぴたりの寸法に削ったのである。ここでガスケットの圧縮による分を、計算に入れてある。最終的なギヤ比は 約 1 : 7 である。非常に軽く動き、音もほとんどしない。
 ガスケットの厚さは、ネジを緩く仮締めした時と、強く締めたときの差を、マイクロメータで調べた。その中間でネジを固定するわけだ。難しくはない。この方法は10年ほど前に思い付いたが、実践するチャンスが今まで無かった。ネジはロックタイトで固着させたので、中を開いて見せるわけにはいかないのが残念だ。

 上のモータに行く軸は撓み継手である。この頃はこういう部品が安く手に入る。以前は苦労して作っていた。事実上、一直線上に設定されたモータ軸ではあるが、微妙な曲がりがあっても全く問題がなくなる。こういうところには、ユニヴァーサル・ジョイントは使いたくない。効率が下がるからである。


2020年03月04日

US Hobbies のギヤボックス

US Hobbies gear box 次はUS Hobbiesの推進軸を下げるギヤボックスである。先回のMax Grayの時代から進化して、ダイキャストで作っている。この設計者も祖父江氏である。


KTM gearbox ネジは裏表互い違いになっていて、型を一つしか起こす必要が無い。ガスケットをはさんで14枚、16枚、28枚の歯車を収納している。軸は4mm軸で、スティール製である。フランジ付きオイルレスメタルによって保持されている。新しく組んだら、油を注して放置し、油が馴染んでから慣らし運転をする。歯数がすべて2で割れるのは面白くない。
 どうして偶数にしたのかと、祖父江氏に聞いたことがある。その理由は偶数の歯車は注文すればすぐ製作してくれる。奇数とか素数の歯車は時間が掛かる。「互いに素」は知っていたが、そうでなくても密閉型の場合は、さしたる問題は起きたことが無いそうだ。

 実情はそうかもしれない。しかし、3条ウォームの時は、「互いに素」を強く主張した。出来て来たものを組んでみた時、初めは多少しっくりこないところがあったが、1分も廻すと実に滑らかになったのには、祖父江氏は感銘を受けたようだ。2条で偶数歯のものは、特定の場所でひっかかりがあるといつまでも抜け出せない。3条で互いに素にしたら、全くひっかかりが無いものができたのだ。
「これは参ったねー。本当にあんたの言う通りだよ。大したもんだ。」
と称賛した。のちにこれと同じことをディーゼル用ギヤボックスを作ってくれた友人も言った

 このギヤボックスのオイルレスメタルは、内径 4 mm、外径 6 mmである。フランジは内側に付ける。軸を Φ3 にすると安価なボールベアリングが使える。たまたまフランジ付きボールベアリングがある程度の数あったので、それを使ってみることにした。そうすると今回の場合は、設計が極めて楽になる。筆者は過去にフランジ付きを使ったことはまず無い。その理由は前に述べた。今回は構成が全く異なる。フランジ付きを使わざるを得ない。


2020年03月02日

Max Gray のギヤボックス

MG gear boxes (1)MG gear boxes (2) ジャンク箱の中のギヤボックス中、一番古そうなのは、このFM Erie-builtの推進軸を下げるギヤボックスだ。ブラスの砂型鋳物を、大きなヤスリで削って平面を出し、孔をあけてギヤを入れてある。鋳物をフライスで削るのではなく、すべての面を手で削ってあるのには驚いた。大した腕である。普通の人が平面を削り出すことは、まず無理だ。よく見ると合印があって、番号も振ってある。その字は祖父江氏の筆跡ではないか!「8」の字に特徴がある。
 このハンダ付けも見事である。100 g以上もある塊りを一発で付けてある。しかもハンダが光っている。そう簡単にできる技ではない。

 40年ほど前、祖父江氏は筆者にヤスリ掛けの指導をしてくれた。四角のブロックを削って、真ん中を凹ませよと命じたのだ。そんなことが出来るわけがない、と思ったが、彼はちゃんとやって見せた。30 mmのスパンで、真ん中が 0.2 mmほど低くなった。定規を当てると光が通るのである。そうやっておいて周辺を削ると、平面になると言う。
 真ん中を凹ませるのはヤスリを少し反らせて、その反りに従って動かすのだ。もともとヤスリは腹が膨らんでいるものである。それをさらに反らせてやるのである。そんな馬鹿なと思う人が多いだろうが、彼はいとも簡単にやった。これは仕上工の必須技能だそうだ。腕に自信のある方はやって見られるとよい。これをやるには姿勢が大切なのだ。万力に向かって立つ位置が決め手だ。もちろん高さも重要である。
 のちに筆者もできるようにはなったが、もうそんな必要もない。フライスで一発である。

 ギヤ比は14 : 16 : 28であった。シャフトはスティールであるから滑りが良い。歯数が偶数であるのはまずいが、14枚という数字が祖父江氏らしい。12枚とは明らかに音が違う。他社製のギヤボックスがうるさいのは、歯数が足らないのである。少ない歯数で行こうと思えば、ホブを替えなければならない。そんな単純なことも出来ていないのが、この国の模型である。韓国でさえホブを替えたのに、どうしてできなかったのだろう。この国の模型雑誌で歯数に言及した例があっただろうか。
 
MG gear boxes (3) グリースが、固まって石鹸のようになっていたので動かなかったが、灯油で洗ってスピンドル・オイルを注したら、軽く動いて、音も静かであった。肉が厚いので油が保たれるから、摩擦が少ない。


MG gear boxes (4) 一つ110 g 近辺だ。捨てるには忍びない。そのまま使うことはないので、この半分を加工して新たなギヤボックスを作ろうと思う。フライスで彫れば、いかようにもできる。
 要するに単なるブロックであると考えて作るわけだ。あいている孔には、ブラスの棒を突っ込んでハンダ付けして塞ぐ。両側を鋳物にする必要はないので、片方をブラスの板にする。そうすると数が2倍になる。もちろんボールベアリングを入れる。使える機種を探している。この合わせ目に見えるハンダは、二つを合わせてヤスリ掛けするために仮付けした時のものだ。うまく付いているものだと、改めてじっくり見た。


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