2019年12月

2019年12月31日

余分のハンダを取る

 ハンダというものは、すべての接続部を満たしていなければならない。隙間があればそこから錆びる。大きな平面に小さな平板を付ける時、側面から半分しかハンダを入れない人は多い。いずれ剥がれて、泣きを見る。完全に付けるべきだ。

 しかもハンダは富士山の裾野のようになだらかに広がる必要がある。そうなっていないと完全に入ったという証拠にはならない。それでは形が良くない。部品の側面が垂直になっていないといけないという部分には、良い方法がある。 
 電線をほぐして銅の心線だけ取り出し、良く捩じっておく。それに塩化亜鉛を少しつけ、炭素棒あるいは熱い鏝で押さえつける。余分のハンダは99%吸い取られて、エッジが出る。あとは磨き砂で磨けば、綺麗になる。
ハンダの色が見える」と言う人は、どうぞお好きなようになされればよい。

 先月号のTMSに名取氏が、コンテスト応募作品の開封時に壊れているものが多いことを紹介している。それはハンダが廻っていないということである。筆者はいかなる部品も、それだけで全体をぶら下げられる程度の強度で付いていることを確認する。こうしておけばまず壊れることが無い。

2019年12月29日

リーマ

reams reamer と綴るが、アメリカ人の大半はreamと言う。なぜだろう。

 先日博物館に来てくれた友人(日本人)にリーマを見せたら、「始めて見た」と言った。これには驚いた。
 今までドリルで孔をあけて、軸を通したと言う。それではいけない。リーマを通さなければ、軸受にならない。油膜が切れてしまうからだ。

 筆者は1 mmから12.7 mmまで、かなりたくさんのリーマを持っている。シャフトを通すところには全て必要だ。傷をつけないよう、大切に保管している。
 継手など旋盤で作っても、その内側を平滑にしないとシャフトが通らない。ミシン油を塗って組む。油膜が必要である。

 ドリル寸法が公称値よりわずかに細いことは、知られている。即ち、ドリルで孔をあけてもシャフトは通らない。リーマを通す前提になっている。使っているシャフトの寸法のリーマは持つべきだ。

 ロックタイトを使うときも、リーマを通して滑り込みにし、そこに浸み込ませると世話が無い。その程度の隙間に入るように設計されているからだ。

 圧入する時は微妙に細いリーマを使う。リーマは 1/100 mmピッチで揃っているし、特注寸法も買える。ドリルであけただけではダメなのである。
 昔何かの記事で、ドリル孔をそのまま使えば、細いリーマを使ったのと同じ効果で圧入に使える、と書いてあった。これはとんでもない間違いで、拡大鏡で孔の内側を見れば、あまりにも違うので驚くだろう。細密工作が自慢の方達なのが、基本的なことをおろそかにしている。
 圧入用の少し細いリーマは、特注しても3、4千円程度で買えるものである。

2019年12月27日

四角棒を削る

 ユニヴァーサルジョイントのちょうど良い長さのものが無いので、スプラインを作り直した。既存のものを分解して角棒を作り直せばよい。 

turning square rod 旋盤のコレットに四角棒を銜えた。自宅の旋盤のコレット群はアメリカ製で、6分割になっているから、六角棒は具合よく銜えられる。博物館のは8分割であるから、四角棒を銜えられる。本当は多少傷が付くので避けるべきなのだろうが、表面を磨くので問題ない。

 快削材なので調子よく削れて、短いスプラインができた。伸縮は僅かに0.8 mm以下である。ガタガタのユニヴァーサル・ジョイントを使えばスプライン無しでも行ける範囲だったが、音がするのが許せないので、この方法を採った。

 ごく狭い範囲の軸ずれを吸収するには、例の六角ジョイントが良い。これも部品を作る。六角棒を削って作るのだ。六角ジョイントの構造は、先が丸味を持っているヘキサレンチを考えれば良い。多少の傾きを吸収する。角速度は、厳密には一致しないはずだが、角度が小さいので、無視できる範囲にある。実際に使ってみて、振動、騒音は感じられない。かなりうまく出来たものであると思う。

2019年12月25日

続 洋白材を削る

milling 3 横から見るとこんな形をしている。土台の 2.6 mm厚のブラス小片との対比で大きさがお分かりであろう。溝や穴は0.35 mm彫り込んである。


 removing soldering ハンダを外すとこんな形である。周りをヤスリで削って成型する。この種の仕事に使うヤスリはセイフ・エッジを持たねばならない。それがあれば、簡単に削れるし、失敗が無い。これの縁をさらに薄く削り、例の丸アンヴィルに載せて、ゴムハンマでぶん殴るとできあがりである。丸みが大切で、ここがうまく出来ていないと密着しない。

finished これが完成品である。ここまで来るのに2時間もかかった。これは蒸気機関車のボイラ・ジャケットに付けてあるステップである。飛び出している状態と、畳んだ状態があるのだ。出ているものは7個あった。畳んだものを用意してあると思っていたが、どうしても見つからない。板材を切って貼り、ごまかすつもりであったが、置いてみると不自然だ。結局彫り出すことにした。ロストワックス部品というものは高価であるが、自作するともっと高くつくという事例である。

steps 完成品を貼り付けるとこんな状態である。例によって、完全なハンダ付けがしてある。絶対に剥がれない。付着したハンダは吸い付けて、磨き砂で磨けば取れる。ちなみに黒いのは炭素棒の粉であるからすぐ取れる。吸い付けるというのは別項でいずれ紹介するが、毛細管現象を利用するものである。


2019年12月23日

銀ハンダ

 ほとんどのハンダ付けは 63%のスズを含むハンダで行う。流れが最高で、薄く付く。この薄さが強度確保につながる。ハンダの厚さがあると弱い。これは接着剤の働きと同様である。スズとの合金層だけでくっついている状態が望ましいのだ。こういう接着をしようと思うと、十分な加熱が必要で、炭素棒を使えば簡単であるが、鏝ではなかなか難しい。

 他のハンダは使わないのですか、という質問を受けた。盛らなければならない時は50%のものを使う。フレイムを組むなど強度が必要な部分には銀ハンダを用いる。3.2 mmの板を直角に付けて、しかも力が掛かる部分(端梁など)はこれに限る。そうでないと連結時のショックで疲労し、取れてしまう。

silver solderingsilver bearing solder 今回は台枠の作り直しがあったので、銀ハンダをかなり使った。できあがりはロウ付けに近い。実は筆者はロウ付けは得意なのだが、あまりやらない。銅合金はロウ付けで全体に熱が廻り、焼き戻されるのを避けたいのだ。Oスケールは比較的大きく、モーメントが大きいので、くたんと曲がってしまうことがある。そういう点ではHO以下では便利な手法ではある。

 煙室戸にヘッドライト支えを付ける時など、ロウ付けすると固くて良さそうだが、ハンダでも十分な結果を得ている。イモ付けより、ピンを入れておくことだ。そうすれば落としても壊れない程度の強度がある。もっとも、十分に熱が廻らないと意味がない。良く削って新しい面を出し、機械的に接続された状態で保持し、加熱する。炭素棒があれば言うことは無い。

2019年12月21日

洋白材を削る

 ロストワックスの部品が足らないので、それらしく自作する羽目になった。機械加工で作る。1.2 mm厚の洋白材をブラスの2.6 mm厚の切れ端にハンダで貼り、それを縦フライスの万力で銜えた。この洋白材は快削だと信じていたが、そうではなかった。 

milling 1 刃はΦ1.0 とΦ0.5 である。細い工具には回転数が必要であるから、ベルトを掛け替えた。結果はこんな調子である。普通のブラスよりはマシであるが、粘りがある。切粉がさらさらとは出ない。

 DROの数字は事前に何度も検算し、間違いがないことを確かめる。初めの(0,0)点を決め、刃を降ろす前に計算値の通りに一周して、ワークからはみ出さないかを確かめる。

 切削はすべてDROの読みだけで行うので、ワークはあまり見ない。というよりも切粉が山盛りで、見えない。荒神箒(こうじんぼうき)で払っても取れない。Φ0.5を使うので、回転は最高、送りは最小である。7 mmx4 mmを一周するのに10分かけた。
 荒神箒は旋盤などでの快削材の切粉払いには最適である。最近はあまり見かけない。見付けると買い占めて、仲間で分ける。

milling2 周りは太い刃で削り落とす。さて、何を作っているのだろう。

2019年12月17日

非快削材を削る

快削ブラス 複数枚の部品が必要な時は、板をハンダで貼り合わせて切り抜く。糸鋸でも良いが、フライスが使える物であれば、機械加工の方が楽であるし、正確だ。刃の太さを考慮した図面を描き、基点を決めて切削を開始する。刃が細いので、回転は最高に上げる。

 この4つの孔はハシゴになる。正確にケガいて糸鋸で切っても、不揃いになるから面白くない。昔は念入りに切って、ヤスリ掛けをした。最近はDROを使って機械で切り抜く。半径 0.5 mmのRで抜けるから、丸い形の物はそのままで良い。
 これは快削材であるから、すいすいと切れてバリもない。

快削 非快削 次の部品を切り始めたら、それ(右)が快削でなかったようだ。もう少しであるのに、くしゃっと行ってしまった。腹が立つが仕方が無い。捨てて、快削材で作り直した。ハンダ付けが全面にされてなかったことも原因の一つだが、粘る非快削材であったことが大きなファクタである。

ladder 出来上がったステップの踏み板は、薄手の滑り止めの付いたエッチング板があったので、折り曲げて貼った。間隔が揃っているので、気持ちが良い。こういうものは機械加工には敵わない。
 この種のステップは、蹴込みの深さも大切だが、向こう側に板があって、足が滑り込まないようにすることが義務付けられている。その板は連続であったり、分かれていたりする。この安全基準が設けられたのは1940年頃だ。
 Alco社の図面を参考にしたので、間違いはなかろう。

2019年12月15日

whistle support

whistle support 汽笛は斜めに付いている。配管は前の方からスーパ・ヒータを避けて、後ろに来る。場所がないから、汽笛は斜めにせざるを得ない。この手法は日本のC62で真似をしている。こんな長い汽笛を、単に斜めに付けると、モーメントが大きいので振動で疲労して根元が折れてしまう。必ず先端にサポートがある。これが付いていないと、見た時に不安感がある。しかし、サポートを付けた模型には殆ど遭遇しない。

whistle support on FEF1 模型を見て、本物を想像し、その機能、作動を考える。ありえない形をしていると、気持ちが悪い。今回の製作では、特にそこに留意した。この写真は、土屋氏と行った時に Council Bluffで撮ったものだ。支えは1/4インチ(6.35 mm)の鉄板である。意外に厚い。

 昔から汽笛の位置には興味がある。
 Tom Harvey は、「湯気で視界を妨げられるのは、許せない。」
と言っていた。
 手元にある機関車を見ると、大半の機関車では、汽笛は左側(要するに機関士席側ではない方)にある。中心線上の時は、ついたてを立てて、湯気が直接には流れて来ないようになっている。UPの大型機では煙突直後にあって、前に傾けている。この場合、湯気は煙突の方に吹き出し、排気と共に上に向けて飛んでいくのだろう。

 小型機ではキャブの真前にあるのが普通だ。安全弁もそこにある。この場合は速度が小さいので、問題は起こらないだろう。キャブの近くだからやかましい。ついたてを付けて、音を反射するようにしたものがある。 

2019年12月13日

aftercooler

aftercooler しばらく前に作った部品が出て来た。Challenger用に作った部品だ。空気圧縮機で作った高圧の空気が熱いので、これを通して冷やす。日本では単なる蛇管であるが、この機関車は大きな圧縮機が2台もあるので、このフィン付き放熱管を通して冷やす。後ろに置いてあるshield(盾)の背後に置かれる。ゴミやほこりが付くのを避けるためである。

 本物によじ登ってみるチャンスがあったので、写真を撮って寸法を測り、その通りに作った。配管は実物通りで、縦横にU字型のパイプを付けた。 これだけ見るとなかなか良い。ただし、機関車に取り付けるとほとんど見えなくなる。

 チャレンジャではヘッドライトの下になって、ますます見えなくなるが、今製作中の機関車なら多少見えるので、これに付けることにしたのだ。

cab interior (1)cab interior (2) 運転室の内装もある程度作った。凝っても仕方が無いが、窓から見える部分は作った。35年前に作った 4-8-4 にはキャブの吊りボルトまで入れた。今回は oil burnerだから、焚口戸は簡易型である。この写真はしばらく前のもので、現在はもうすこし実感的になっている。ブレーキ・スタンドが大き過ぎるので切縮めたり、スロットルとか砂撒き装置、その他を追加した。どの部品も完全にハンダを廻してある。絶対に外れることが無い。まだ洗ってない状態で写した。黒いものは炭素のかけらである。

 洗口栓を付けるがミソである。それらしい部品を7つ作ってつける。ロストワックス鋳物は、似たものを探して切り継いで作る。すなわち、あまりまじめに考えないようにしている。 それらしく出来ていれば良いのだ。ただし、正しい位置になければならない。locomotive  cyclopedia は毎日ひっくり返して見ている。

 今回はメカニズムが主体で、外観は添え物である。シリンダブロックはブラスで作ったが、いずれ3Dプリンタで作り直す。あまりにもややこしい形で、ブラスでは作り切れない。

2019年12月11日

inspection car

 インスペクション・カー(巡察車と訳すことになっているらしい)の話題が出たので、いくつかの写真を見た。F氏が送ってくれた写真を見よう。

Inspection car この写真は東欧のハンガリィで写したものらしい。元車はアメリカ製だ。車種は、今一つ正確には分からない。排障器が目立つが、接地ブラシはついていない。

 アメリカでこの種の車を見ることがたまにあるが、非常に大きな接地ブラシが付いている。たいていは前後左右に4箇所ある。それは信号装置による検知を確実にするためだ。左右のレイルを跨いで鉄車輪が載っているが、軽いし、多少錆びているから、電気の導通が良くないかもしれない。だから、銅の太い網線で作ったブラシをネジとバネで押えている。

 Inspection を巡察としたのは、初期のTMSである。日本の鉄道模型界では巡察車で通っている。どうして巡という文字が入ったのかはわからない。視察とか検査と訳すのが普通だと思う。巡察を英語にするとpatrol であろう。
 
 昔見たのは、UP色の黄色であった。屋根上に赤の大きな警告灯とサーチライトがついていた。作ってみたい。小さな車輪を挽かねばならない。径を揃えるのは大変である。1/100に拘らなければ簡単かもしれない。サーチライトと人形の首が連動して動くようにしたい。やりたいアイデアはいろいろある。   

2019年12月09日

続 HOゲージャの訪問

 夫人は転車台が見たいと仰る。案内すると、その大きさに愕然とされた。亭主は、「うちには面積がないから難しい。」と言うと、ご不満そうであった。
 その後ろの岩壁を見て「凄い!」と褒めて戴いた。よくある例には、線路の上に山を被せてトンネルを作ったようなものが多い。
 実際の鉄道は山を避けて作られる。実際にある山沿いの鉄道を見ればよく分かるのだが、そうでない模型は多い。

「この山は、本当はこの辺まであったのですけど、線路を敷く必要があって削らなければならなかったのです。半分は発破を掛けて崩し、残りは岩が軟らかかったので擁壁で抑えてあります。」とストーリィを説明すると、なるほどと感心された。色については不思議そうだ。この色のままか、それとも茶色に塗るのかと聞かれた。
 そこでディスプレイ・レイアウトという概念について説明した。色が無くても不自然でない、と仰ったので安心した。逆に実際のレイアウトでは、色が不自然なものが多いのは残念だとのこと。

 転車台のメカニズムを遠隔操作で動かしてお見せした。適当な位置まで廻して、アラインメントをあとで合わせるのを見せたところ、亭主の方が非常に感心した。
「どちらから来ても、必ず合うのだね。凄い!」
と興奮した。シャフトの太さについても正しい認識を持つ方であったので、殆ど説明することなく理解戴けた。細いシャフトはダメなのである。また、必ず回転橋の両端が線路の高さと合うことも理解戴けた。大きさがあるから、外の線路と高さが合うと、自然に橋の質量による捻りで馴染んで、もう一方も合う。剛性を少なくした設計にはなるほどと納得してくれた。

2019年12月07日

HOゲージャの訪問

 HOの友人が夫人を伴って来訪した。
 かねてから、夫人はこの博物館のレイアウトのことを聞かされていたので、「どうしても見たい」といらしたようだ。120輌が音もなく発車し、ドラフト音を響かせながら坂を登って降りて来るのをご覧になって、大変驚かれたようだ。
 御亭主に、「どうしてうちのは短いのに、ここは長くても牽けるの。」と質問された。彼の自宅のレイアウトには、電車を中心に車輛が走っている。

「すべてが違うんだよ。車輪旋削の精度、材質、軸受の精度、歯車の設計、モータの種類、すべてが全く異なるのだ。」と彼が答えると、「HOでもできないの」と聞く。
「残念ながらそういう車輪を作る人が居ない。誰か作らないかなと待っているんだけど誰も作らないから無理だ。」と彼が言うと、残念そうな顔をされた。

「『誰かが作らないかな』と思っていても、駄目さ。自分で作らなきゃ。そういう工場はいくつか伝手があるから、紹介しようか。」と切り出したけど、話はそれ以上進まなかった。

 どうして誰もやらないのだろう。研究結果は発表されているので、HO用のヴァージョンを作るだけのことだ。半分の大きさにすると、いくつか予想外のことが出てくるかもしれないが、少なくとも、めっきされた車輪よりはずっと静かになる。

 動力車用の40インチの車輪のネジの嵌め外しを、して貰った。さすがに技術者だけあって、その違いに気が付いた。
「このネジは高精度だ。こんなのは他に例がない。」
 全くガタがないネジで、締まるとき、コツンと当たるともう動かない。軽く締めただけで、そう簡単には緩まない。細目のM4ネジである。車輪の製造所が胸を張って「世界最高峰のネジです。」と自慢したネジである。左右の車輪径が1/100mmの桁まで合っているし、バックゲージ(back to back)のばらつきがない。
 それを言うと、彼は、
「ここまで来ると模型じゃないな。精密機械だね。この静かさには参るね。HOはオモチャかな。オモチャから脱却したいもんだ。」と言った。

 彼は、筆者が上廻りの出来具合にはあまり興味がないことを、良く知っている。模型屋には殆ど行かないと聞いて、夫人はどこに行くのかと聞いた。
「クズ屋です。廃金属回収の店に行くと、楽しいものがたくさん見つかりますから、洗いざらい買ってきます。工作した残りのクズは持って行って売ります。50 kg買って40 kg以上売りますよ。」
と言うと、ずいぶん驚いた。ブラス専用の屑箱をお見せすると、納得されたようだ。


2019年12月05日

japan

IMG_20191204_0002_page-0001 japanとは何を意味するか。大文字ではない "j" で始まるのが、今回の題材である。
 chinaは陶磁器なら、japanは何だろう。常識的には漆(うるし)であろう。

 Union Pacific 鉄道 の古文書を漁っていて、見つけた。1930年頃の客車の内外装に関する文献だ。BURNT SIENNA IN JAPAN とか DARK OLIVE IN JAPAN という名前でそこら中に出て来る。

 Siennaはイタリアの地名で、トスカーナ地方の都市である。地面の色は鉄の酸化物のせいで赤っぽい。それを焼いたものは赤褐色の顔料である。それを漆に分散させたものを使っていたことになる。
 vehicleという言葉が見える。これは乗り物という意味で使う場合が多いが、何かを乗せているもの、即ち溶かしているもの、分散媒という意味である。ペンキで言えば、顔料を沈まないように分散させている油である。1920年代に、漆がそんなにアメリカに輸出されていたとは知らなかった。

 漆はもともとの色があり、他の色の顔料を混ぜて色を出すのはかなり難しかったはずだ。筆者が知っているのは、昭和の初めにレーキ顔料(アルミニウム水酸化物などと共に沈殿させたもの)を混ぜる技術が見つかって、黒、赤以外のものができるようになったことだ。それが同時にアメリカの客車の塗料に使われていたとは驚いた。漆の持つ艶、耐久性が評価されたのであろう。

 この古文書は、蒸気機関車の塗装の変遷を調べるために手に入れたもので、いずれ発表するが、いくつか思わぬ発見があった。

2019年12月03日

天賞堂のキャンペーン

 どうして当選したのか、はっきり覚えていない。Youtubeにいくつか動画を載せているので、それを見て勘違いして連絡が来たのだと思う。正直にOゲージであると返答しておいたのだけど、当選したと言ってきた。何かの怪しい勧誘メイルかと思ったが、調べるとそうでもないらしい。住所を知らせると送って来た。

 箱を開けると、パンタグラフや車輪はプラスティックのようで、ソリッドモデルかと思ったが、中の小箱にパワートラックが入っていた。コアレスモータ使用らしい。これを完成させて感想を知らせよ、ということなのだ。
 3か月以内にSNSで発信してくれたら、品物は差し上げる。オークションに出したら直ちに訴えて取り下げさせる、とある。
 車体キットにウェイトが入っていたのには驚いた。モータライズ・キットに付けるべきもののような気がする。ソリッドモデルには要らないものだ。

Tenshodo 要するに、ある程度のレヴェルの客に商品を配って、感想を述べさせ、宣伝に使おうというわけだ。困ったことに、こちらはHO国鉄型の知識はあまりない。組んだこともないので、どうしようかと悩んだ。天賞堂の趣意書を読むとコアレスモータを使ったところが売りで、これだけを使ったものの動画でも良いらしい。

Inspection car しばらく前に鋳造した inspection car を、これを使って動力化してみようとも思ったが、今忙しいのでそんなこともしていられないし、動力装置を完全自作する方がよほど楽である。


completed 迷っていたが、クラブの会員が集まった時にその話をした。M氏が「僕が組んでみる」と言ってくれたので、お渡しした。彼のレイアウトでの走行の様子の動画を撮ってくれるそうなので、助かる。撮影後は彼の鉄道に移籍する。博物館には置かない。

Campaign 昨日それを持って来て、見せてくれた。パンタグラフは金属製に取り換えてあった。手際よく組んであって、走らせたときの感想も聞いた。牽引力は少ないそうである。電車であるからそれは当然だ。動画が楽しみである。


2019年12月01日

快削ブラス

 最近、模型界では快削ブラスが市民権を得たような気がする。40年前は、おそらく殆ど知られていなかった。大阪の福原金属だけが売っていたという情報はあるが、大半の模型屋で売っているものは普通のブラス板であった。本当に切りにくくて腹が立った。一方、建材の引戸レイルは、糸鋸でとても切りやすかったことが印象に残っている。大きなモータに付いている銘版の廃品を貰ったが、これは粘い材料で、油を付けても切りにくかった。

 アメリカに行くと、ブラス板は少々色が違って緑っぽい感じがした。糸鋸ですいすいと切れるし、シアでは、すとんと切れる。
 性質が違い過ぎて、同じ金属とは思い難かった。日本製のブラス模型の色は赤く、アメリカ製は黄緑色であった。

 日本の材料屋でその違いについて聞くと、「快削と指定して取り寄せてあげるよ」と言う。それならばと、t0.3から順に定尺を全サイズ買った。色は普通材と同じであった。とても使い易く、友人に譲ったりして、その後は快削しか買わない。今は 0.3 mmが市販されていないようである。昔は、この板は時計の歯車用に大量に消費されていた。

 今野氏と知り合ってそのことを伝えると、KKC内部での頒布材料は、すべて快削材になったと言ってよいだろう。いろいろな場面で感謝されることがある。

 しばらく前、クラブの会合に手持ちの半端材料を大量に持って行って、安価で処分した。半分ほどは快削でなかったので、印を付けておいた。そうしたら、買おうとした人が、「えっ、快削じゃないの?僕は快削しか使わないんだ。もう普通のブラスなんて買う人は居ないよ。」と仏頂面で、のたもうた。その言い方にはとても驚いたが、内心とても嬉しかった。皆さんが使ってくれているんだと知って、多少なりとも貢献していることを実感した。これには今野氏の努力が大きい。この記事など、読んでくれた人など殆ど居ないのだから。 

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