2019年08月

2019年08月30日

またまた3条ウォーム

時々コメントを戴く、むすこたかなし氏が連載されている記事が興味深い。筆者が自分で書くより、客観的な記事を書いて下さるだろうと思い、サンプルをお送りした。

 このギヤボックスは10年ほど前に、硬いアルミ合金からCNCフライスで削り出したもので、かなり高価なものである。飛行機の部品を作っていたY氏が作ってくれたものだが、再生産は難しい。ネジはM1.4を使用している。ネジ孔はタップを立ててあるが、切削タップではない。転造タップである。これは素人が手で廻すものではなく、高性能のCNCマシニング・センタでなければできない。切削後、黒染めを施してあるので、プラスティック製と間違える人が居る。

 スラスト・ボールベアリングを用いていない。小型化を狙ったので、ラジアルベアリングだけで作った。
 むすこたかなし氏の解説にもあるように精度高く作ったベアリング・ハウジングに油を付けて滑り込ませてある。アウタ・レース(外輪)はハウジングに油膜によって支えられている。油がないと玉が押し出されて、壊れやすいはずだ。

 ミクロン単位で作られているので、無調整で最高の性能を発揮する。噛み合わせの調整は全く要らないというところがミソである。組み立てただけで所定の性能を発揮する。手製のギヤボックスでは到底考えられないところまで行っている。


2019年08月28日

片持ち式ロンビック

 中澤氏の片軸の支持方式が話題を呼んでいる。いくつか問い合わせを戴いた。

 筆者の作例は、ひたすら頑丈さを求めている。角棒を支持板にネジ留めし、それに角棒を曲げたものをハンダ付けし、ステンレス軸の細いところを押さえている。たまたまこの軸はテーパを付けているので、細い部分を保持すれば、摩擦は少ない。ほんのちょっとモリブデン・グリースを付ければ、全く摩擦を感じないほど滑らかである。ステンレス軸を高精度の旋盤で挽いたものとブラスとの組合せは、下手なボールベアリングに勝るとも劣らない。
 ほんの少し、ガタを付けてハンダ付けし、軽く押しつけてガタを減らした。

 中澤氏は洋白板を曲げて作られた。あとで、微妙な曲げによって高さ調整、ガタ調整をされているようだ。

 電車のような2台車の車輛は、ボルスタが傾いても構わない。お互いに相手の台車に載っているので転ばないからだ。中澤氏は台車ごとに完結させて、それを車体全体の等角逆捻りメカニズムと連動させるおつもりのようだ。伊藤剛氏はその方式で電車を作られている。


2019年08月26日

続 中澤 寛氏の記事

 中澤氏のお手紙によると、先回の2番目の写真の支点は、軸中心の高さになるようにされたそうだ。それができる構造ならば、わざわざ外した位置にする必要はないので、それが正解である。高さの微調整ができるのは良い方法だ。

 戴いたお手紙をそのまま掲出する。

nakazawa5nakazawa4 参考までに伝動台車の別の不掲載画像を添付させていただきます。

 ピンのある内側の底板前方とギヤボックスはM1.4ネジで留めていますが、密着させておらずフリーにしています。

 なお、外側の台車枠は吊り下げただけのいわばダミーで、車軸の先端は軸受パーツを嵌める位置のガバガバの穴に浮いています。


 軸孔を緩くして外側台枠は形だけというのは、うまい解決法である。中澤氏は数多くの電車を作られているので、その中での「現場知」としてこのような方法を会得されたのであろう。このような素晴らしい記事を、不完全な形でしか読めないというのは、読者にとって極めて不幸な状態である。

2019年08月24日

中澤 寛氏の記事

 中澤氏から、TMSに載らなかった写真が送られてきた。掲載する許可を戴いたので、ここで紹介したい。

Nakazawa1 ロンビック・イコライザの一種の方法で、片軸だけに依存するタイプである。この方法は、ガタが大きいと、動作が不確実になる可能性がある。それを強調する人も居るが、作ったことが無い人だろう。作ればすぐに理屈が分かり、解決法が得られる。
 このタイプは、ガタが無いように作ることができれば、イコライザの回転中心と軸とが同じ高さにならなくても良い。つまり、菱形タイプより、はるかに作りやすい。どちらかと言えば、初心者にはこれをお勧めしたい。アメリカの講演会で見せた時も、このタイプの方が人気があった。軸の中央に、ボールベアリングを嵌めて、そこを保持することができれば、さらに具合が良くなるだろう。

Nakazawa2 伝動台車である。電車では1軸に伝導することがあるので、そこにイコライザ支点を置く方が良いことがある。微妙にひねられるが、その角度が小さければ、コジることはないだろう。
 これは、台車枠を外した状態である。スペイスがあれば、手前に支点を置いて、ギヤボックスを完全に浮動させる方がより良いが、実際にはそのようなスぺイスを得るのは難しいだろう。


Nakazawa3 集電シュウは先を二股にしている。接触点を増やし、接触抵抗を低減させる。ブラシは極めて薄いものを使うべきである。全軸がイコライズしていて、なおかつ、全軸集電であるから、走りは極めて滑らかな筈である。


 TMSがどうしてこれらの写真を使わなかったのかは、極めて不可解である。全くイコライザというものを理解していないのではないか。写真を見て、その作動状況が目に浮かぶ人なら、必ず使うであろう。車輛の外観だけにしか興味のない人が編集に携わるのならば、この雑誌の存在価値はない。どうして、スタッフに工学を理解する人材を入れないのだろう。見つからないのなら、連絡してくれれば助言くらいはして差し上げる。出典に書いてあるのだから、連絡が付かないことはない筈だ。 

2019年08月22日

続 NMRAの古い会報

3-chime 例の切り抜いた合板はこれになった。汽笛である。記事には mellow sound とある。mellowは訳しにくい語で、「豊かな」とか、「まろやかな」という意味である。
 確かに、吹いてみると、優しい音である。エア・コンプレッサにつないでみると、かなり荒々しい音になった。圧力をかけると流量が変化し、音色も音の高さも変わる。開放部を掌で軽く抑えただけでも、音色が変化する。

 汽車の汽笛というものは、単音のもの以外は、不協和音を出すことになっているらしい。あまり良い音だと、聞き惚れて事故になるからだそうだ。この3音はド、ソ、シのようだ。シの音を強く出すと汽笛風になる。
 次はふいごを作る必要がある。それを紐で引っ張るか、足で踏むと圧力が上がるので、より鋭い音になるだろう。

 工作時間は3時間ほどである。右手が不自由だが、丸鋸盤2台を駆使して、最少の手間で作った。接着剤はエポキシである。最初の2枚の側板を直角に立てて、ジグで押さえて錘を載せると10分で固まる。内側を立てて、再度接着する。
 一番難しいのは、スリットの隙間を均一にすることだ。側板より0.4 mm狭いものを挽き出しておき、それに0.4 mmのブラス板を載せてスペーサとする。そして天板を接着する。硬化後引き抜くわけだ。説明を見ると、この空気室も plenum chamber と書いてあることに気が付いた。

whistle 音を出す部分の三角断面の板はヒノキ棒から削り出したものを貼り、隙間が無いように取り付ける。
 木工に30分、組立て、接着を5回で、実質的には2時間でできるが、途中で設計変更があって3時間となった。この種の工作にはエポキシが一番使いやすい。材料を薄くすると、直角に自立させにくいので、手間がかかる。筆者は、経験上 、5.5 mmの板が一番使いやすいと感じる。
 ふいごに取り付け、訪問者は吹鳴させることができるようにする。

 箱の長さと周波数の関係を探っている。妙な関数になる。もう少し研究して解明し、5音階の汽笛を作りたい。

2019年08月13日

Big Boyの排気管

Big Boy's exhoust nozzles 先日の記事で、排気は前後の煙突から均等に同時になされると書いたところ、そうではないと仰る方があった。その方を納得させるには、図面集を調べて、見せる必要があった。

 これは先方の単純な勘違いであって、見せる必要もなくすぐ解決したが、せっかくスキャンした図面があるので紹介しよう。この図はLocomotive Cyclopediaの1944年版からのコピィである。この年の発行数は極めて少なく、貴重な本である。日本には、まず他に持っている人はないだろう。とは言っても1941年版の図と比較しても、このページに限って言えば、さほど変化はない。お持ちの方は調べられると良い。文字の位置と図面番号が違う程度である。

 さてこの図では、中心線の左右で描き方が異なる。左は断面、右は外観も表している。前後から来た排気はここで合流する。そしてその上面にある十文字に排列された4本のノズルから噴出する。即ち、前後で8本のノズルがある。排気は煙突からぶら下がっている petticoat(スカート状のもの)の中に吹き込まれ、周りの煙を吸い出す。いわゆるエジェクタの効果を現出するものである。この中にはさらにもう一つのペティコートがあり、それは4つの裾をもつ。こうすることによって、排気はよりたくさんの煙を吸い出す。このあたりはUPの長年の工夫の成果である。

 前後のエンジンから来た排気はいったん小さな部屋に入るが、単なる接続箱であって、日本型蒸機についていた、排気膨張箱なる無用の物とは異なる。この部屋の名前が分からない。ノズルが載っているだけの、鋳鋼製の前後に長い箱である。

 先のコメントで plenum という言葉を使った。それが正しい用語かどうかは分からぬが、この種のものをプレナムという。例えばエアコンで冷気を作り、それをダクトで各部屋に分配する時、最初に断熱した箱に入れ、それからダクトを使って分配する。そうしないとダクトごとの圧力が均一にならない。その箱を、plenum chamberと言う。
 また、汽笛の5室に均等に蒸気を当てるために分配する根元部分の小さな空間も、プレナムと言っていた。

 手に針金が入ったまま、飛行機に乗ることができた。

(註)最近は配列と書くが、本来は排列が正しい。排は並べるという意味である。台湾に行くと、駅のプラットフォーム床に”排”と書いてある。そこに並ぶわけである。

2019年08月11日

O gauge

O gauge (2) この写真をお見せするのを忘れていた。
 これはNMRAの Oスケールの建築限界ゲージである。これを入手した時は、NMRAが現在のようなステンレス板打ち抜きのゲージを売っていなかったので、フロリダの知り合いが作ったのを買った。高かった。30年ほど前、20ドルもした。今の感覚だと5千円以上の感じである。完全な手作り品である。おそらく50枚くらい重ねて締め、フライス盤で削り落としたのだろう。正確にできている。

 40ミルのブラス板製である。40ミルというのは、40/1000 インチのことであり、
1.02 mm位だ。

O gauge 中心の穴に棒を取り付け、それを持って限界を調べる。隣に大きめの車輛を置くと、すれ違いの様子もわかる。
 筆者のアメリカの友人は、いわゆる”オイラン車”を作った。柔らかい針金を車体から突き出させ、それを一周させて、曲がりがないか確認する。しかし、どこで曲がったかを突き止めるのは、なかなか大変であった。今なら、無線で送信させることもできるだろう。簡単にするなら、針金付近に集音マイクを付けておいて、アンプで増幅し、積んであるスピーカから音を出させると良い。触った瞬間にガリガリとか、バリバリとかの音が聞こえるかもしれない。

 レイアウトを作るには不可欠の道具であるが、日本でこれを持っている人は少ないと感じる。線路敷設用ゲージすら持っていない人が多いのだから、当然ではある。

 このゲージによって、走行する車輛がO scaleであることが定義される。土屋 巖氏はかなりの数の1/24サイズ(1/2インチスケール)、32mmゲージの軽便車輌を遺された。すべて、スクラッチ・ビルトである。それらは平坦な、何もないヤード上を問題なく走行するが、橋やトンネル、駅のプラットフォームは、当然ながら、通過できない。車輛限界がスケールを決めているのである。同様にOn30はHOのレイアウトを走らない
 1/80日本型16.5 mmゲージの車輛はアメリカ型1/87.1のレイアウトを問題なく走る。これは50年前から椙山 満氏のレイアウトで見ている。単純なことである。

 最近、HOのポイントが入手困難になったという話を聞いた。
「自分で作ればいかがですか。」
と提案すると、
「そんな難しいことはできない。」
と言う。決して難しくはない。
 筆者は高校生のころから自作のポイントで遊んでいる。確かに尖端レイルを正確に削り落とすのは、機械を使わないと難しいが、そこまでの正確さが要求されることでもない。線路ゲージさえあれば簡単である。
 彼は今度フライス盤を使いにやって来るそうだ。訳なくできるから、きっと驚くだろう。エポキシ基盤の枕木も用意しておこう。NMRAのHOゲージを持ってくるのを忘れないように念を押した。

2019年08月09日

古いNMRAの会報

 NMRAに加入当時の冊子を、自分で合本にしたものがある。それをめくると、アナログ時代のありとあらゆる挑戦の記事が並んでいる。よくもまあ、こんなものを作るものだ、というのが目白押しだ。そういう意味ではTMSなどより、はるかに面白かった。当時これに夢中になり、いろいろなものを試作した。今でも作動する踏切警報器も載っている。それについては作者にいろいろなことを質問した。
 NMRAの本部はすぐに転送してくれて、返事が直接来た。さらに改良して、良い音が出るようにした。TMSが転送を拒絶したことは、今でも腹が立つ。吉岡氏の記事を見て、直接聞いてみたいことがあったのだ。のちに吉岡氏も、それを知ってかなり怒っていた。だから、NMRAが手紙を転送してくれたのは、本当に嬉しかった。

 Paul Shimada氏と会ったとき、その話をした。
「Mr.Yamazaki はすべての情報を自分で握っていたい人なんだね。そういう人に日本支部を預けるわけには行かない。情報は自由闊達に伝えられなければならないというのが、NMRAの精神だ。」
と言った。以前にも書いたが、Model Railroderも、Rairoad Model Craftsmanも、手紙を転送してくれた。TMSだけがおかしかったのだ。現在のTMSはどうなのだろう。

What is this? さて、この板は何だろうか。寸法を写し取って、5.5 mmのシナ合板を切り抜いたものだ。これに何か簡単なものを付け足して、天井に相当するものを載せると、完成である。
 これを作ろうと思ってから、早くも40年以上も経つ。材料はプラスティックでも、木材でも良いし、金属板でもよい。今年こそ完成させて楽しもうと思う。

 さて、何であろうか。


2019年08月07日

TMSの記事

 正直なところ、TMSを読んだのは久しぶりだ。旧体制のころからやっているドイツの”速報”とやらを、1年も続けているのは、どう考えてもおかしなものだし、小林氏の記事も連載するようなものでもない。金をとって見せるのだから、もうすこし良い記事が欲しい。

 今月号の中澤 寛氏の車輛は素晴らしい。ところが記事がおかしい。皆さんの中で、あの記事を熟読されて、意味を完全に理解できた人が居るのだろうか。
筆者は何が言いたいか」を忘れてしまった編集だ。
 何回か読んだが意味が分からないので、中澤氏にそれとなく聞いてみたら、やはり筆者の推察した通りであった。説明に対応する写真を殆ど載せていないとのことだ。走行性能を向上させる工夫について画像が全く無くなっていたのは、心外であったそうだ。

 言えることは、編集者は模型工作をしたことがあまりにも少ないのではないか。ゼロではないだろうが、糸鋸、ヤスリ、ドリル、ハンダゴテを使って、ブラスの板から、イコライジングやその他のメカニズムを作り上げた経験がほとんどないのではないか、と思う。あまりにもトンチンカンな記事で、情けなくなってしまった。

 30年前のヤマ氏のころ、実物誌が増えてきたので、実物の話題を載せるのをやめるとの決断があった。またぞろ実物の話題が載っていて、しかもそれが間違っているのでは困ったものだ。
 金を取っているということを忘れてはいけない。先のM氏が書いた不発弾の中に、「TMSを100円にして、イモンの広報紙とする」という案が書いてあった。その第一歩なのかとすれば、あまりにも悲しい。


2019年08月05日

Big Boy の復活

 アメリカではかなりの騒ぎになっている。筆者も行きたいが、手の中を針金が貫通していて、その上にギプスを巻いているので、空港での検査に通るかどうかが怪しい。過去に筆者が見ていた範囲では、別室に通されて、金属探知機と犬による検査があり、さらに医師の判断でX線で見る。要再検査の乗客が一人だけならよいが、何人か居るとそれだけで長時間かかって、飛行機に乗り遅れということになるのが目に見えている。

 さて、動画をたくさん見た。分岐をくねくねと曲がるところが面白い。模型でも同じなのだが、実物の動きを見るのはまた格別だ。蒸気は洩れまくっている。Tom Harveyが言うには、
「夏は良いのだ。冬は、蒸気管継手から漏れた湯気で真っ白になって、前なんて全く見えやしない。」
 球面の高圧蒸気管自在継手はネジとバネで締め込んであるが、効果があまりなかったそうだ。現代の工具で研削してもダメなのだろうか。 
 もう一つ気になるところがある。シリンダの前蓋がない。鋳鋼製の鋳物が丸見えだ。Tom はそれをとても嫌がっていた。ニッケルめっきの部品を付けるべきだ。

 石炭を焚かないというのが興味深い。アメリカには妙な法律が出来てしまい、石炭を燃やした排気ガスを、そのまま大気中に放出してはいけないことになっているのだそうだ。それなら重油は良いのかというと、それも怪しい。
 今回燃やしているのは、ディーゼルエンジンの廃潤滑油という説がある。潤滑油には硫黄化合物、場合によっては塩素化合物が含まれているので、却ってよくないような気がする。


 ところで、先日TMSの最新号を見た。田舎に住んでいるものだから、この種の雑誌には遭遇しない。友人に見せて貰ったのだ。

 その中にBig Boyの特集記事があり、最後の部分はでたらめである。Big Boyが二本煙突の理由を書いているが、全く筋が通らない説明だ。

 煙突下の2組のノズルが付いている排気管には、中間に仕切りは無く、前後のノズルから、同時に全く同じ圧力で噴出する。前後のエンジンからの排気が独立に噴出するわけではないのだ。それは動画を見ていればよく分かる。片方だけが噴出することがあれば、他方の煙突では煙が吸い戻されるだろう。膨張後の蒸気の噴出で、煙室の空気を吸い出して燃焼を助ける、という理屈が分かっていれば、こんなデタラメは書けない。大きな図面があるのでチェックしたが、当然のことながら、中間の仕切りはない。
 写真の説明には、エクスパンションジョイントという言葉も書いてある。前部高圧蒸気管は屈曲して長さの変化を吸収するが、継手部分での伸縮はしない。だからエクスパンションという言葉は使わない。後部エンジンの上の継手は温度差による多少の伸縮を吸収する機能を持っているが、それのことを指しているとは思えない説明だ。

 詳しい人はたくさんいるので、電話一本で解決することだろう。この種の間違いがあると、だれも信用しなくなる。10,000トンを牽くという話も書いてあるが、重連でも無理だ。ちょっと高校一年の物理の計算をすれば理解できることなのだが、それをしないのはどうしたものか。そういう能力が無いのなら、記事を書くのはやめるべきだ。
 ちなみに、勾配を緩く(10‰)した第3本線でなら、1輌で6,000トン牽けた。こういうことは文献を調べた上で、計算すると正しいかどうかわかる。この記事は2009年2月号の平岡氏の記事をなぞっただけである。それだけなら間違いはないが、上積み分が間違っているというのは編集者の能力の問題だ。能力が無いということを知っているというのも、能力の一つである。

 査読者が必要であることは、論を待たない。

(その後この記事の訂正記事が載ったという話は聞かない。山崎氏は訂正を載せることにはためらいのない人であったことだけは評価している) 

2019年08月03日

OOについて

 OOの件で、ここで述べた意見に納得できない人も居る。下記の調査結果をイギリスの事情に詳しい方にお送り戴いたので、紹介する。筆者はアメリカの模型屋でOOがHOと並べて売られているのをよく見た。当然であるが、線路は共通であった。

BL000BL067BL069BL085 OO4mmスケールということについて述べます。1956年のバセットロークのカタログでは、イギリス製のOO以外に欧州製のHOも掲載されていますが、それはOO3.5 mmスケールと表示されています。商売上のことを考えると、同じ16.5 mmの線路上を走れて、それほど大きさに差もないのだから、OOと表示しておいたほうが、消費者の混乱が少ないとの配慮としたのでしょう。(4 mmと3.5 mmの違いが気になるような人は、表示を見て自己判断できるでしょうから)。
 これは、日本でHOゲージが1/80の日本型も含めていたのと同様のことで、消費者にとってはむしろ親切なことと思います。

 写真説明
1枚目 1956年10月1日発行のシールが貼られている。
2枚目 ドイツ、トリックスの製品紹介 頭のところに、OO Gauge  3.5mmscale と記載
3枚目 同じくカタログ中 イギリス型もあり、3.5 mm scaleである。
4枚目 ホーンビィの製品紹介 解説文左上に、 4 mm scale1/76の記載がある。



 また、Empirebuilder氏からは次の意見をお送り戴いている。

 OOについての言及が多々ありました。16.5 mmゲージでありますが、OO1/76なのでHOではない、だから1/80HOではない、という理屈です。OOについて改めて調べてみると、英国向けの特殊な規格であり、HOと同じ縮尺では、車体が欧州大陸の規格より小さい英国型に、同じ動力メカニズムが搭載できないため、車体を1/76とした規格でした。ゲージは16.5 mmのままです。この規格のために、DOGAという組織まで作っています。Brexitでしょうか。NMRANEM?にはOOは定義されていません。この1/76という縮尺が採用された理由からわかりますが、同じメカニズムを使っているのであれば、実質的に大陸型と同じHO規格内に収まる、ということです。ただ、4 mm scaleと主張するためだけに、独自の組織を作ったとも言えます。

 NMRAでは、このOOについては脚注でDOGAを参照するように、と書いてあります。NEMも 4 mmに言及しているようです。要するにDOGANMRA, NEMはその基準が異なっていると考えられます。NMRAの最新規格で考えると、OOは完全にHO規格内です。ただ、別組織が管理しているためか、OOは採用していません。このことからOOHOは別の組織による規格で、基準が違うため、その関係を定義、比較することは無意味であることがわかります。OOHOの線路を使います。そのため近年は箱にOO/HOと書かれています。独立してOOと名乗っているのにHOと箱に書くな、と言われていますが、実際にHOの線路を使うため容認されているようです。ストラクチャーもOO/HOと書かれているものが多く、縮尺もかなりいい加減のようです。初期の16番にはOOも含められています。そのOOが、英国型を意味するのであれば、16番は、HO規格から逸脱していない、と言えます。HO16番は、HO規格をはさんで同じ意味となります。個人的には、最新のNMRA規格は16番の概念を取り入れたかのように見えます。

 
ここで大切なのは、理念ではなく消費者と製造業者の関係である。商品としてどう扱うか、という視点が欠けた論争は意味がないし、論点がはぐらかされてしまう。少数の人が、ここに書いてあることとは異なる縮尺、ゲージを採用しているが、それは個人の自由であって、本件とは関係が薄い。



2019年08月01日

続 矜持

 M氏は、ゲージ論は感情論だと言っている。彼の読解力には、おおいに問題がありそうだ。ここで展開されているのはビジネスのあり方である。個人的に楽しむ模型であれば、どんなサイズでも、いかなるゲージでも、どんなフランジ形状でも問題はない。彼の文書に名前を使われたOJの三木氏は、まさにこの路線を行っている。全く関係ないところに引張り出されて、迷惑しているはずだ。しかし、商業目的の文書の捏造部分については公正取引委員会のお世話になる。

 また、HOと表記されたものを買ったのに16.5 mmゲージでないということになれば、訴訟にもなりかねない。しかも、会社が公表している「1/80はHOではありません」の記事の一節に12mmがHOだとあったとすれば、客をだまそうとしている立派な証拠にもなりうる。アメリカで、友人の弁護士に近々会うので、話しておこう。現実に、間違って買ったという人の報告は聞いている。これは日本の話であるが、国境を跨いだ問題が発生するのは時間の問題である。オリンピックはあと1年後だ。

「HOという文字列は 縮尺のみを指す」という証明は極めて困難である。HOは軌間を表す例が過去にも現在にも無数にある。それを大昔から1/87.1縮尺のみを表すことに決まっていたと、商売上の宣伝の文言に使って、他社製品をニセモノと誹謗するのは明らかに商業上のルールに反する。もし公正取引委員会に申し立てられたら、勝ち目はないだろう。他社はどうしてこれを訴えないのかが、不思議である。有効な証拠はたくさん用意してあるから、要望があれば提供できる。

 だれしも、楽しく鉄道模型を楽しみたいはずだ。静かに楽しむことはできないのだろうか。
 趣味の世界で、自分達以外は間違っているということは、言うべきではない。「こっちのみーずはあーまいぞ」は良いのだが、「そっちのみーずはにーがいぞ」を言ってはいけないのだ。それどころか、「そっちは毒入りだぞ。」とまで言っているような気がするが、皆さんはどう感じられるだろうか。しかもそれは、一個人の趣味者が言うのではなく、商業上の文書として流布されているのである。

 ところで、M氏は自宅のレイアウトで日本型1/80も走らせるようだが、その時、ストラクチュアは1/80に取り換えるのだろうか。 

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