2019年05月

2019年05月31日

雑誌の存在価値

 Empirebuilder氏が一体誰なのかを知らせよ、ということも、複数の人から問い合わせがある。そんなことを聞くのは、非常識極まりない。
「素性のわからない人の意見は信用できないから」と書いてくるのである。信用できなければ応答する必要もなかろう。全く以って、理解不能だ。新聞社に電話したら、ニュースソースを教えてくれると思っているのだろうか。

 日本には確かな鉄道模型雑誌がない。何かの解決法になればと思って、このブログを始めた。初めは外国と提携して翻訳記事を載せようと思っていたが、独自記事だけでやってきた。
 なぜ既存の雑誌が面白くないかというと、スポンサがあるからだ。結局は提灯記事を書くことになる。”暮らしの手帖”誌は、その点よく頑張ってきたから、応援している。雑誌社には、やせ我慢の反骨精神が必要な筈だ。
 出版社がものを売るというのは禁じ手である。その雑誌そのものが、広告になる。読者が有料で広告を買うというのは、客観的に見れば滑稽だ。

 また、編集部の能力も透けて見えている。ある部分がすっぽり抜けた状態で、何十年もやっている。雑誌を手に取って開いて、脱力するような記事は多い。「工学」が全く抜けているのである。ありえない設計を見せつけられると、投げ捨てたくなる。このブログでは、雑誌の記事では見かけない部分に力を入れて来た。年少者のために、正しいことを多少の摩擦を覚悟で書いてきたのだ。

 雑誌では、走るかどうか怪しい、外見だけは極めて美しい車輛記事が多い。せめて、カーヴで建築限界に当らないとか、スケールスピードが確保されているかとか、スリップする時の引張力、その時の電圧・電流くらいは載せても罰は当たるまい。スリップしない機関車はそのままボツにすべきである。


 今回井門氏は、TMSの存続に、「金は出すけど口は出さない」とおっしゃっている。素晴らしい見識だ。この言葉を覚えておきたい。しかし、社長がそのつもりでも、社員は社長に対して忖度するだろう。「忖度を禁止しています」という言葉も欲しい。

 井門氏からコメントが入ったが、説明が全くないので困っている。当初、なりすましを疑ったが、先日の会話内容が含まれているので、間違いないと判断して掲載した。
 そのまま載せるので、是非とも詳しい理由をお聞かせ願いたいものだ。2千字以内でまとめて戴けると嬉しい。他人の言葉を引用する時は、そのご本人からの確認を再度お願いしたい。


2019年05月29日

読解力

 先日来の記事は、かなり多方面に反響を巻き起こしているという話だ。
 筆者は当事者ではないから、立ち入るべきではなかったのかもしれないが、
「1/80はHOではありません」
という文言には、許せない部分があると感じた。ものを知らない年少者に対して先入観を与え、正しい方向に進めなくする可能性があるのだ。

 コメントはいくつか戴いているが、どれも事の本筋を見誤っている。相も変わらず、「山崎氏は・・・」、などと書いてくる人は多い。また自分がやってきたことを宣伝する文章であったり、随筆風に書いてあって、内容は散漫で何が言いたいのかよくわからないものもあった。共通しているのは、「アメリカの話を日本に持ち込むな」である。これはおかしい。それではHOの存在も否定してしまう。

 連絡先が分かっていたので、このままでは載せられないと伝えると、書き直して来た方が複数あったが、その内容に自己矛盾がある旨伝えると、ご立腹で、
「他の掲示板か、自分のブログに載せる」とのことであった。
 その後のことは知らないが、某掲示板に載せるということは自殺行為も同然であろうから、感心したことではない。御自分のウェブサイトで展開すべきことであろう。

 コメントは、自己宣伝の場ではないということを、過去に何度も書いているのだが、お分かりにならない方は居るのだ。

 このブログで展開されていることは、”いわゆるゲージ論”ではない、と気付かれた方もいる。読解力のある方だ。
”いわゆるゲージ論”は宗教論争と同様で、結論は出ない。今回のこの問題提起に関しては、結論は出る筈だ。

 何度も繰り返すが、Empirebuilder氏の言いたいことは、

・「1/80はHOではありません」は間違っている。
・ カタカナの「ファインスケール」はおかしい。

である。それに対する意見でなければ、コメントは掲載できない。

 先日某所で、偶然に井門氏に会ったので、「ブログを読んでくださいね。」と伝えたが、その後どうなったかは、分からない。いずれ回答があるだろう。 

2019年05月27日

続 模型を走らせるためには

 船の中で友人に、日本の模型界の話をした。時間があるから、二日掛けて説明をした。メモ用紙を数十枚使って、細かく説明をしたのだ。彼はよく理解したと思う。並の日本の模型人の数倍、よく分かった筈だ。彼はイギリスやドイツに居たこともあるから、現地での模型事情も非常によく分かっている。日本には2回しか来たことが無い。

 彼の答は本質を突いていた。
「あまり走らせていないのだね。走らせている人は走りを確保しなければならないから、そのような些末なことは無視するね。(It has to be subtle.)」
 この些末なこと、無視しても良いこと、という言葉が出て来たことが、彼らの姿勢を表している。"subtle" という言葉には、”微妙” とか、いろいろな意味があるが、ここでは些末という言葉が当てはまる。これは本人に確認したから間違いない。

「走らせずに、机の上の短い線路に置いて、眺め廻すのだろうね。妄想が膨らんで、『こうするべきだ、これではけしからん』
ということになるのだろう。実は、自分もそうだった。君に会う前はね。
 君が3条ウォームのドライヴを開発した。後にLow-Dを実現した瞬間に、そんなものはどうでも良くなったんだ。」

 彼はProto48というグループに出入りしていた。すべてを1/48にするという狂信的グループである。よく走らなかったので、彼は疑問を抱いたのだ。車輪踏面に塗料が付いていることを指摘したら、愕然とした。無駄なことをやっていることに気付いたのだ。
「そうだよ、48倍したらとんでもない状態だ。タイヤに旋盤の挽き目が見える時点で、もう何をやっても同じだ。大体ね、車輪の直径が左右で3/1000インチも違うんだ。だからね、片方に寄って走るんだよ。これではだめだ。」
と言う。筆者のLow-Dを見たら、もうこれしかない、と脇目も振らず採用に踏み切った。Low-Dは、航空機部品を作る工場で作られているから、精度は一桁上である。
 彼は模型の「走り」を第一に考える人である。そういう意味では、筆者の良き理解者の一人だ。レイアウトの仕様はすべて筆者の様式を踏襲した。静かで、脱線せず長編成が可能だから、とても喜んでいるし、友人たちに自慢している。

 彼のように走りを中心に考える人にとっては、ゲージが広いとか、タイヤが厚いなどは些末なことなのだ。自宅にある程度の大きさのレイアウトを持たず、車輛のみを玩ぶ人たちは、線路幅、タイヤ幅に興味が集中するのだ。レイアウトを持ち、脱線しないように走らせようと思えば、そんなことを言ってられなくなる。そういう経験が少ないのではないか。ファンタジィの世界に閉じこもって、現実を直視することから逃避しているのかもしれない。

 ある方が耳打ちしてくれた。
「そういう世界の人たちは、撮り鉄から入った人が多いのです。」
 これには驚いた。そうかもしれない。模型工作から入った人は、ゲージのみに捉われるのはまずい、と直感的に気付くものだ。現在ではお金で買うことができるから、いくつか買い揃えて並べることができる。すると欠点には気付かず、並べた時の満足感が大きくなるのだろう。ものを作る経験が少ないと、そういうことになるかもしれない。 

2019年05月25日

模型を走らせるためには

 以前も書いたが、模型は本物とは異なる。

 曲線を通る列車がなぜ曲がるのか、という単純なことさえ、本物と模型は大いに異なる。本物は遠心力が大きいのでフランジが当る。フランジの摩耗は保守上、大切な点検箇所だ。しかし曲線半径が相対的に小さい模型でも、設計手法によっては、それを避けることは可能である。稚拙な設計では当たる。RP25は確実に当たっている
 本物と模型とでは材質が異なるし、速度が異なるので、摩擦係数が異なる。人も乗っていないのだから、乗り心地は考える必要はない。本物業界の人の中には、本気でそれを主張する人がいるが、全く考慮に値しない。

 模型では遠心力は無視できるほど小さい。カントの効果は無いに等しく振り子電車(自然振り子)の実現は不可能である。

 模型の曲率は大きく(急カーヴである)、線路は実物に比べてずっと不整である。路盤は実物に比べてはるかに堅く、サスペンションは実物の目的とは全く異なる目的のみの為に存在することになる(脱線防止、集電向上のためである)。人は乗っていないから、バネによる乗り心地向上など考慮しない。

 鉄道模型はそのような条件下で作られてきた。ゲージはいくつかに集約され、フランジ厚み、高さは必然的にある大きさを使わざるを得なかった。したがって、タイヤはある程度の厚さを持たせないと、フログで落ち込んでしまう。
 そういう中で多少はファイン化が進み、現今の規格ができたわけだ。要するに、完全縮尺ではうまく行かないことが多いから、現実路線を採っているわけだ。

 模型人の中で少数の人たちは、それでは飽き足らず、より実物に近いものを欲しがり、既存のものの一部だけを改変した物を作り出した。最初はゲージのみだったが、徐々にフランジ形状、タイヤ厚みを変えていった。総合的な力がある人が指導者になり、線路ゲージを頒布し、車輪も提供できれば問題はなかったはずである。しかし、それらの一部が欠如している場合が多く、出来たものの中には、直線の往復しかできそうもないものもあるようだ。

 模型は実物の完全縮尺では機能しない。これは、工学を修めた人ならだれでも知っていることである。飛行機はその点顕著であり、レイノルズ数という概念が導入されている。その他の場合でも、縮小されたものは実物の挙動とは全く異なる動きをする。それなのに、線路幅だけは実物に似せたいという欲求に負けてしまう人が、ある程度の数、居る。そういう人は、フランジ厚さ、車輪の厚さは考えないらしい。要するに、理想的に、「静止した模型」を考えているだけではないか。

 走る模型では、いろいろな点で「インチキ」を認めざるを得ないのである。それが大人の考え方である。部分的に「インチキ」を排除しても、破綻することが多いし、その労力たるや、他所事ながら心配するほどである。「実物通り」という言葉に拘るのは考え物であるということだ。過去に、実物通りと自慢する模型をいくつか見たが、素晴らしいと感じたものは無い。見かけは良いが、挙動がおかしいのである。車体は堅く、しなやかには走らない。
 
 先月、2週間ほど船に乗っていたので暇があり、アメリカ人の模型観と、日本人の模型観との差を、友人と討論しながら考えた。

2019年05月23日

続々 Empirebuilder氏からの最終意見

 日本のゲージ論は、以上のように、思い込み、恣意的な歴史の歪曲をベースにすることが多く、意味を成しません。山崎氏が主役のゲージ論は、もう必要ないのです。私が歴史は関係ないと言ったのは、そういう意味です。 

 今回のきっかけとなったファインスケールについてですが、finescale としてまず書きます。初期の鉄道模型はおもちゃ、TOYであると書かれています。それが一歩進んで、スケール志向が出てきます。ゲージが主であった時代に縮尺が規定され、車体の大きさとゲージの関係が重要視されてきました。NEM規格やNMRA規格はこの集大成として作られたわけです。ただ、これでも縮尺通りになっていないとして、さらに追及することにより finescale が生まれてきました。 

 NEMNMRA規格にも finescale 規格がありますが、現実問題としてきちんと製品化された製品はないと思います。したがって、一部の技術のある人たちが、すべて自作する覚悟で作るための規格だと思います。線路ではポイントが特に問題となります。また曲線もHOで半径数メートルといったサイズで、とても一般的とは言えません。現状では夢物語に違い規格ですが、日本では、ゆがんだ形で車輪のみ、エセfinescaleのような真鍮製品が作られています。線路の自作を強いるような製品を、なぜ作るのか疑問です。原因は日本には規格がない、ホームレイアウトは夢で年数回体育館サイズのレイアウトで走らせることがせいぜい、ということが原因と思います。つまり、鉄道模型として楽しむことを、かなりの部分諦めている状態です。そのため、走行用にはHO規格に沿ったプラ製か、Nゲージの選択となっているようです。本来の鉄道模型からすると、ゆがんだ状態と思いますが、日本という特殊な国ならでは、といったところでしょうか。いずれ高価すぎる真鍮製品はいずれ消えると思います。と言うより生産量を考えると完全な絶滅危惧種と言えます。プラ製品が主流になれば、ホームレイアウトも増えるかもしれません。プラ製品には、ぜひNMRA規格に沿ってもらいたいものです。 

ゲージが縮尺通りならば、ファインスケールである。」との解釈は、dda40x氏のおっしゃる通り、誤解のもとです。雑誌が使っているのを知って、その見識を疑います。雑誌の編集者には、もうプライドもないのでしょうか。カタカナ化すると、英語本来の意味を失う好例でしょう。 

 HO gaugeが和製英語と信じている方の説得はできません。ただ1/80HOであると考える根拠がある、と知って戴けたと思います。自分には、もう関係がないと思えることも書いてきましたが、これは一種の将来への警告です。このままでは、将来大きな問題が生じます。



2019年05月21日

続 Empirebuilder氏からの最終意見

 互換性のない、勝手な規格の製品が、日本でかなり出てきました。規格に対する理解のないモデラーを相手にしているためなのか、メーカー自体が規格を知らないのかはわかりませんが、それを市場が受け入れているのが不思議です。車輪にはエンドウと日光規格、伸縮カプラーも互換性のないものが多く出ています。製品の選択肢が増えて喜んでいるのでしょうか。車輪も薄くなっていますが、それに適合する線路はありません。トラブルを指摘するコメントも多く、問題になっているようです。私は使いません。シノハラが廃業した後、どの線路を使うのでしょうか。ちなみにこの薄い車輪は、もちろんNMRA規格のHOではありません。規格に関しては日本の模型界は原始時代に逆戻りしたようです。 

 「1/80HOではありません」について考えましょう。ONについては複数の縮尺を認めています。ところがこの主張によれば、HOは縮尺、1/87を意味するので複数の縮尺は存在しないというものです。HOのオリジナルはメルクリンですが、16.5mmゲージが決まってから、いろいろあって、1/87 に落ち着いたという文献が複数ありました。またHはハーフで、1/43.5 のきっちり半分と書かれていますが、1/43.5 は英国向けの特殊スケールです。日本型HOが 1/87 ではなく、1/80 を採用したのと似たような理由で採用された縮尺です。わざわざ特殊なスケールを引き合いに出していますが、オリジナルの 1/45 はどこに行ったのでしょうね。またHO gaugeは和製英語と書かれています。自説を主張するために、とんでもないことを書いているのです。HOゲージの使われ方を知っていたため、HO gaugeと言う英語が存在することを否定せざるを得なかったのでしょう。また多くの文献でHOはおよそOの半分という記述がありますが、これも否定しています。
 ところで、イモンの通販用のリストでは、
KadeeカプラーをHOではなく 1/80 に分類しています。イモンは、KATOの箱に「HOと書くな」と言っていますが、それならKadeeにもクレームを付けなければいけませんね。エンドウの線路は 1/80 で、KATOの線路は 1/87 です。「1/80 HOではありません」と信じる方は、納得されているのでしょうか?

 よく読めば、自社製品のPRのためでしたが、多くの人がこのようなプロパガンダを信じてしまうことは恐ろしいものです。                        

 16番ゲージでは、山崎氏についてよく引用されていますが、氏が故人となったため、好き勝手に引用されている印象です。氏は、とうとう規格は作りませんでした。16番ゲージという言葉は規格のように使われていますが、公式な規格でも何でもありません。16番に恣意的に意味を持たせることはやめるべきです。メーカーが規格を作るなど許せませんが、立場上適任者であった氏が、どうして規格を作らなかったのか、聞いてみたい気がします。

 個人的には、OOの規格が実質的にHOと同じで、日本型1/80HOも、HONMRA規格と同じ規格を作ることになり、その必要性を感じなかったのではないか、と推測します。ただ1/80HO規格を使用する、と明言しなかったことは大失態であったと思います。エンドウ規格、日光規格など、メーカーが勝手に自社規格を作り出す原因になっています。誰がこの2種の規格で利益を得るのでしょうか。メーカーには絶対に規格作りをさせてはいけない好例です。メーカー頼みの出版社の限界なのでしょうか。
                        (続く)

2019年05月19日

Empirebuilder氏からの最終意見

 今回のやりとりで、いろいろなことを知ることができました。最新のNMRA規格をベースに説明してきましたが、そもそも規格すら知らない方が多いことに驚きました。規格がないと思っている方もいるようです。それだけ規格が浸透している、と思えば良いかもしれませんが、現状は、声の大きい人の言葉が規格のようになっているようです。

 私は規格通りにやってきました。現今の規格外れの製品を買うこともなく、部品も中古で入手できるなど、問題には直面していません。ただ、1/80HOではありません」との主張が、根拠もなく流布され、信じる人が出てきたことに違和感があります。何を言いたいのか、最初はわかりませんでした。私には直接の利害関係はありませんが、他者を否定する必要はないはずです。その怒りが今回のコメントの始まりとなりました。

 さて、規格についてまとめてみます。NMRANEMは乱立する規格をできるだけまとめて、互換性を担保するために作られました。それゆえ、各社の製品でも、規格通りならばいっしょに楽しめます。規格がないと思っている方は、ただ規格を知らないだけ、と言えます。通常米国の雑誌の製品の紹介では、規格に合っているか書かれています。一番重要なことは、規格品は価格が安いことです。これだけでも規格を重要視する価値があります。
 何度か説明しましたが、規格は車輪、線路、車輌限界が最も重要と考えています。縮尺については、車輌限界内であれば十分と考えます。最新のNMRA規格を参考にしたのはこの理由です。日本型の古典機などの縮尺は、その作者のセンスで決めればよいと考えます。規格で縛るのは野暮です。もともと鉄道模型は、スケール通りにはできないことを考えれば、スケールにあまりこだわる必要はなく、設計者のセンスのほうが重要と思います。規格は最小限がベストです。1/80Jスケールとよぶ方は、1/75で設計した古典機を何スケールと呼ぶのでしょうか。スケール通りに鉄道模型ができればノーベル賞ものです。最近はスケール重視が言われていますが、フログ上を車輪が落ち込むことなく、スムーズに走れることは、より大切です。NMRA規格の最初のページに書かれています。もう一つ言えば、国土の広い米国でもHO入門用はR450ですが、狭い日本でR750とはおかしくありませんか?

 一部で車輌限界と建築限界についての言及がありますが、今回の件では、建築限界は直接には無関係です。車輌限界は車輌の断面の寸法が示されます。線路が直線で平らであれば、

車輌限界=建築限界

ですが、曲線や勾配がある場合は建築限界が必要になります。ストラクチャーなしのレイアウトであれば複線間隔だけで済みますが、レイアウトにホーム、架線柱、トンネルなどがあれば建築限界が必要です。建築限界を設定するためには実物、スケールは無関係で、使用する曲線、車輌の種類とその構造について決めなくてはなりません。現実的には米国のオート・ラック、関節型機関車が建築限界測定車の役目を果たします。

                         <続く>



2019年05月17日

過去のゲージ論

 寄せられたコメント(公開されていない)には、山崎喜陽氏の言葉の引用が多い。最近、手を動かせないので、博物館の蔵書を少しずつ点検しがてら、目を通している。山崎氏の言葉は、時が経つにつれ、徐々に変遷している。一貫性がなく、その場しのぎとしか言えないような表現もある。このような現実を踏まえると、山崎氏の言葉を基に考えるのは、適当ではない。Empirebuilder氏が「歴史は意味がない」と言ったのはこのことである。

 Empirebuilder氏のコメントには、やや皮肉な表現や、比喩表現があり、真意を理解できない人も多かったようだ。今回、氏と打ち合わせて、表現を大幅に変え、分かりやすく発表することにした。
 昔国語の時間に、「筆者は何が言いたいか。」という設問が多くあった。これは意外に難しいらしく、枝葉末節に拘る例(当然✖が付く)をたくさん見て来た。今回もそうかもしれない。
 最終的な意見であるので、筆者の意見を入れて、なるべくすんなり頭に入るように書き直して戴いた。

 先回の記事に対するコメントの中には、山崎喜陽氏と松本謙一氏が会見した時の様子を、その現場に居たような書き方をした方もいらしたが、その様なコメントは、とても採用するわけにはいかない。「歴史は作られる。」という言葉があるが、まさにそれを地で行くような話である。どうして、共産主義国家で書記長が最高位にあるか、という意味がよく分かる。

 コメントの採否は筆者の一存である。明らかにおかしなことは載せない。それに腹を立てる人も居るが、お門違いである。そういうことは、ご自分のウェブ・サイトを立ち上げて展開されるのが、筋であろう。

 ここからは客観的な話である。鉄道模型は、他のホビィとは根本的に違う要素を持つ。それは線路の上を走るということである。
 線路を100%自分で作れる人は稀有であろう。市販品の線路を購入するのが、現実的である。車輪についても同様で、参入者はまず既製品を購入するであろう。ということは、多くのメーカが、様々な製品を出しているゲージは強いということだ。
 今回シノハラが廃業して、困ったのはどのゲージか、ということを考えてみよう。Z,N,HO,O は困らない。手に入れようと思えば世界中のどこかから、良質な線路が手に入れられる。その他のゲージは困るだろう。特に困るのは日本型に特化したゲージだ。12 mm、13 mm、24 mmは他から手に入れるのが難しい。たとえゲージが合っていたとしても、枕木が異なると気分が良くないのだろう。

 On30という模型がある。16.5 mmの上を、1/48 のナロゥが走る。初め、それが発売された時、一過性のものだろうと思っていたが、アメリカでは一大勢力になった。既に、On3は吹き飛んでしまいそうな勢いである。まさに「既存ゲージは強い」である。

 最近は3Dプリンタがあるから、できないことは無いだろうが、枕木を自作するのは、コストの面では難しい。 


 Empirebuilder氏から、最終的な意見が届いているので、3回に分けて掲載する。
コメントはその後でお願いしたい。

2019年05月15日

線路、輪軸ゲージ

 ゲージ論が喧しい。筆者は傍観者に過ぎないのだが、当事者だと思っている人が多いらしい。ゲージ論はHO関連で発生していることが多い。 Oスケールは、ゲージ論がほとんど無い環境であって、過ごしやすいのだ。

 筆者はHOを所有したことは無いし、是非を論じる気はないが、一部の業者が使う言葉にだけは警戒している。人を動揺させて、自社の商品を正当化しようとしている、と感じる。「縮尺通りのゲージを採用している模型をファインスケールと呼ぶ。」というのは二つの誤りを含む。これを言うのは12mmゲージ、3.5 mmスケール(1/87.08 サイズ)の業界関係者である。(13 mmの人たちは、そんなことは言っていないようだ。)
 ゲージは正しいとは言えないし、finescaleの意味も正しくない。よく考えれば見破れるのだが、騙されてしまう人は多いと心配していた。(一説によると、シノハラの売っていたフレキ線路は12.3 mmゲージだったそうだが、この話の筋からは外れる。)

 そういうところにEmpirebuilder氏から直球を投げ込まれたので、紹介しているわけである。今回の問題に関しては、Empirebuilder氏がこの記事に対してのコメントを寄せられたのが最初だ。筆者のHOに対する知識は、皆無に近いのでお答えできなかったが、徐々に情報収集して看過できない状態にあることを知った。 

 日本は42インチゲージ(3フィート半ゲージ)を主たるゲージとして本線で使用しているから、車体の小さいナロゥゲージHOn3-1/2 などではないことになっている。
 しかし、外国から来た客を案内して駅に行くと、彼らは、
 ”Oh, narrow gauge!"
と、興奮するのだ。しかし車輛が来ると不思議そうである。小さくないからだ。明らかにフルサイズと言える車輛である。イギリスの車輛よりはるかに大きい。相模鉄道では、幅が 3 mもある大きな車輛が、42インチの線路を走っている。裾が絞られていない車輌もあるようで、JR車輛より広く感じる。これが日本独特の要素だ。

 さて表題のゲージ(寸法ゲージ)であるが、筆者は、そのゲージの線路が簡単に手に入らない環境にあると、そのゲージ(軌間)は発展しないと思う。
 このブログでそれを書いたら、一部の方から反発を受けた。13 mm用のゲージは頒布されたとのことだ。しかし、13 mmゲージャーの方に聞いてみると、そんなことは知らない、と言う人が複数いた。
 ということは、誰でもどこでも手に入る環境ではなかったということだ。有力な模型店には置いてもらうべきだろう。今ならウェブ上でアクセスできる環境になければならない。

「そんなもの、自分で作ればいいんだよ。」
と言った人がいたが、それは、そのゲージ(軌間)を自滅させる引き金を引いているのと同然だ。初心者が参入し易くするべきだ。誰でもできると思ったら、大間違いなのだ。
「上手な人しか、ここには来てもらう必要はない。」
ということを公言した人がいたそうだが、これは大変愚かな発言であった。筆者の知人はそれを聞いて、腹を立てて参入をやめた。

NMRA gauge 写真は、筆者が持っている NMRA の”O gauge” である。1970年代に買った。当時送料込みで2ドル弱だったと覚えている。これはステンレスの打ち抜きであるが、今なら、どんなゲージでもワイヤ・カット、レーザ・カットで簡単にできる。まず、これが誰でも手に入れられるというのが、第一歩だ。 


NMRA O scale Mark IV 現在はMark IVになったようだ。これは外周が建築限界になっている。1枚7.5ドルだそうだ。この価格は送料別である。

 

2019年05月13日

Nationalの台車

National trucks Nationalの丸い穴のあいた台車は、現物を見たことがある。もう40年以上前だ。不思議な形をしていた。UPのタンク車だった。写真を撮らなかったので、もう見ることもない、とあきらめていたが、たまたま開いた本に写真があった。

UP tank car 早速台車を取り付けて、写真を撮った。筆者の鉄道にしては、珍しく番号は近い。これはChampの見本帳を参考にして貼ったので、そこそこに正しい範囲にあったということだ。
 このタンク車は 50 ft でやや長い。ドームの周辺はテクスチャが異なるのが、お分かりになるだろうか。滑落防止のために砂が撒いてあるのだ。

 この貨車はアメリカに持って行ったことがある。皆興味があって、やり方を聞かれた。実は、艶出し塗装して、部分的に最大限の艶消し塗装をしただけである。
 十分 anti-skid の感じがするそうだ。

 この模型の台車にはバネを挿す穴が下から開いているので、不要な細いコイル・バネを差し込んでエポキシ樹脂を塗り、固めた。横からバネが見えるので、一瞬可動するのかと思ってしまう。バネは動かなくても本物を使うと効果があるという見本だ。
 人間は決して目だけで物を見ているのではないという実例である。脳が働いて見ているので、錯視が起こるのである。

(お詫び) 
 一部の方から、台車部の詳細が、写真が黒くつぶれてわからないとご指摘を受けている。見え方はブラウザによるらしい。Google Chromeでは良く見えるそうであるが、暗いことは確かなので、撮り直して写真を入れ替えた。  

dda40x at 05:13コメント(1)貨車 この記事をクリップ!

2019年05月11日

glaze のこと

 先回 glaze という言葉を出した。現在では glazed と言えば、ガラスが嵌まっているという意味である。アメリカでは、glazedと言えば、甘いお菓子である。ドーナツに融かした砂糖をかけて、つるっとした感じにしたものが、それだ。ナッツにも glaze が掛けてあるものがあって、それは大好物だった。
 glazeの語源は、glass と同じである。透明で、つるりとしていることを表す。艶を出すことだ。

 さて、Floquilという塗料があった。ラッカとは異なり、エナメル系で空気と触れて固まるタイプである。顔料が重金属を含み、環境によろしくないと廃業してしまった。筆者はその前に大量に買い込んだので、当分は足りる。この塗料は重金属硫化物の結晶などを顔料にしているので、粒子が大きく、粗粒面になる。完全艶消しである。艶を出そうと思うと、粒子の隙間を埋めるバインダと呼ばれる成分を増やさねばならない。その成分を含む液体を”glaze”という。たいていは 1 oz 入りの小瓶だが、筆者は 8 oz 入りの缶を入手した。沢山持っていたが、これが最後の一つである。この缶を見たことがある人は、アメリカ人でも殆ど居ないそうだ。普通は1ozの瓶入りである。
 この glaze を入れると顔料の隙間を樹脂が埋めるので、艶が出るから、ディカールが貼りやすくなる。

Glaze 空き瓶の中を綺麗に洗って、小分けしておく。こうしないと使いにくい。今回は8つの瓶に分けた。フロクイルの説明書には5%以上加えるとあるが、30%くらい入れないと艶は出ない。

2019年05月09日

UP cabooses 

UP CaboosesUP caboose 完成しているカブースを塗った。すぐできると思ったが、意外に手間がかかるもので、6日かかった。左端が今回完成の車輛で、あとは以前から塗ってあった。

 例の red car (オキサイド・レッドの車輛)は台車が仮台車であって、高さが合っていない。しばらく待てば、wood beam trucks(木製台枠の台車)が3Dプリンタで出来て来るから、楽しみにしている。台車は金属製であると、ショートの心配がある。機関車でない限り、台車はデルリン製かナイロン製に限ると思う。これらの材料は非常に安定で、100年以上は持つだろう。ステンレス、モリブデン・グリースとの相性も良い。

 その次は先回お見せしたもので、塗装の修整をしてある。狭い範囲の修整なら、マスクして細い刷毛塗りで十分である。 台車は3Dプリンタで作ったものだ。 

 一番右の台車は、Lobaugh の砲金砂鋳物を糸鋸で抜いて、バネを押し込んだものである。艶の無い黒に塗ってあるので気にならない。
 彩度が高すぎる。車体に極めて薄いグレイを全体に吹けば、彩度を抑えられる。この手はよくやる。

 右の二輌は同一の安達製のものなのだが、窓配置が異なる。実は左が正解なのだが、工場で間違えたものが、検査に通ってしまったのだ。当時はこのようなミスは多々ある。車体の反対側の窓配置は、さらに大きな間違いがある。深く追及してはいけない。資料がない時代だったのだ。
 
 Glazing(窓ガラス)が入れてないものがある。アクリルの薄板があるので早急に貼ってしまおう。
 
 UPのカブースは未組も含めてあと4輌ある。2輌はスクラッチから作った物で、1輌は不可思議な完成品を組み直したものである。もう1輌は上記の窓が異なるものと同じ時期の製品だが、一部バラしてかなり加工してある。
 UPのカブースだけでも早く形にしておきたい。右端のNYCはパイオニア製だと思う。出来が良くないのだ。ハンダが廻っていない。

2019年05月07日

Peabody Coal

PEABODY 10年以上前から半完成だったホッパ貨車を、5輌完成させた。1月ほど外に放り出して酸化被膜を付け、さらにプライマを塗った。黄色の塗料を塗り、床上部とホッパ下を黒く塗った。細かい部分の塗分けは大変なので、境目の面倒なところは細い筆で塗ってしまう。そうしておいて、マスキングを大きく簡単に施し、黒を吹き付けた。いつもやる手である。この方法を採用すると、マスキングの手間を1/10にすることができる。一輌ずつ手にとって眺め廻すものではないので、十分である。
 
 Peabodyの意味は、さやの中に一つだけ入っている大きな豆である、と昔聞いたが、最近の辞書には載っていないようだ。そういう種類の豆があるらしい。ここでは人名である。発音は、ピーバディ で石炭を掘る会社だ。石炭は燃やして電力にして売っていることもある。アリゾナ州の砂漠の中に突然出現する電化された貨物鉄道もPeabodyで、昔Amtrakで使われていた電気機関車がホッパ車をたくさんつないで走っているのに出くわす。30年以上前、それを見て狐につままれたような気がした。炭鉱で掘って数十マイル離れた町の発電所に運んでいるのだ。その鉄道は作られた電気で動いているという訳である。この発電所は有名な観光地の Antelope Canyon のすぐ脇にある。
 そこは期待して行くと、拍子抜けするほど狭い範囲である。これらの写真で見るのがすべてである。全体を眺める場所は無い。雨水で削れた砂岩の景勝である。徐々に削れてなくなっていくのだろう。雨の降りそうなときは進入が禁止される。過去に沢山の人が鉄砲水で死んでいるのだ。

 Champのディカールは一つしか手に入らなかったので、Dr.Yに複製して戴いた。番号はでたらめである。石炭はいつも通り、スポンジである。
 目立つ貨車群である。高校生の時から好きな塗り分けであった。

2019年05月05日

LA-SLのBig Boy

tenders2 博物館に持って行ってあるLocomotive Cyclopediaを見た。1944年版1950−1952年版にそれは載っていた。1941年版には載っていない。これらの年度のロコサイクロは珍しく、日本にはほとんど無いようだ。前者は蒸気機関車が先に収録されているが、後者では蒸気機関車は後になっている。ディーゼル電気機関車の時代になったのだ。
 American Locomotive Company(Alco社)はテンダの設計例を3種用意していた。真ん中のは、ビッグボーイその他に用いられた。上は採用例がない。
 下の図が、今回話題の図である。Los Angeles-Salt Lake線のことは、LA-SLと呼ばれた。現在のI-15号沿いである。 

16-wheel tender もう少し大きな図で見よう。従台車の形は、常識的な形とは異なるはずだ。5軸のイコライザの終端は、外側台枠だから、それと結ばれるように、従台車のイコライザが台枠に平行に伸びて来なければならない。床板は内側に強度部材が付くはずだ。最後端は復元装置の扇型のコロが付く。
 テンダ後端は、曲線上で建築限界に接触しないように、少し絞り込まれる。このあたりのことが、ベネット氏の絵からは全く読み取れないのが、残念だ。
 また、大型の4-8-4のキャブ(運転室)の形は上から見て長方形ではなく、台形であるということはあまり知られていない。オゥヴァハングが大きいので、少し絞らねばならないのだ。彼の絵を見ると、そういうところには配慮がないことがわかる。30年前に見せて貰った絵は、蒸気機関車が主であったので、筆者はそこが気になって仕方がなかった。

 給水温め器がWorthinton SAであれば、煙突前のスペイスは それに充てられ、ベルのサポートは煙室戸に付けざるを得ない。給水ポンプは太いので、今までの排気インジェクタの場所には付かない。その配管はどうすべきかなど、考えるべきところはかなりあるのだが、彼はそんなことには無頓着だ。

 ロッドのSKFベアリングは、どうやら、サイド、メイン両方に採用したナイアガラと同等のものらしい。これは、他の機種の仕様書を確認した上での推論だ。それだけでも外観上はかなりの変化がある。ロッドは、3Dプリンタで作ったロストワックス鋳物を採用すればすぐできてしまう。CNCで彫刻するという手もある。

 Big Boyの試運転が始まったようだ。井上豊氏の話にもあったが、試運転はフルギヤで行う。そうしないと圧力変動が大きく、焼き付きが起こるそうだ。 

2019年05月03日

Takeno氏のこと

 いつも有用な情報を教えて下さる01175氏から、驚くべき情報を戴いた。

 竹野三郎氏のことである。ご子息が詳しく書かれている。かなりの個人情報が含まれているが、ご子息がウェブ上で公開されていることなので、ここで紹介しても問題なかろう。

 竹野氏は橋梁設計に携わっていた技術者だったのだ。以前模型の現物を見た時、普通の職人の作ったものとは違う何かを感じたのはそこだった。力学的に無理のない構造であって、軽衝突にも耐える。祖父江氏の作品と相通ずるところである。
 当時の職人の作品の中で、巧拙以外の部分の本質的な良さを感じたのには、わけがあったのだ。

 ウォルト・ディズニーが直接訪ねて来た、というのも興味深い。名前が出ていたからだろう。KTMは個人名を出さなかったから、14,000輌も作ってもアメリカ人は祖父江氏のことを知らなかった。

 最近、当時の模型を手に取って見るチャンスが多くなった。概して、HOの模型の中では、出来が良いのにはなかなか巡り合わない。これではだめだ、という設計のものが多い中で、このTakenoの模型は光を放つ。

2019年05月01日

KKCの作品展

KKC 仙台の今野氏が主宰する組織である。金属工作によって模型を作ろう、というのが主題だ。
 来る5月19日に展示会がある。HOが主体である。お時間のある方はお越し戴けると嬉しい。
 
 40年以上前から、TMSなどで金属以外の素材を模型に使おう、という記事を見るようになった。プラスティック化の波が押し寄せ、ダイキャスト製の機関車も増えている。ペーパ製の工作の素晴らしい例もたくさん紹介されている。
 
 しかし、筆者はブラス製に拘る。KKC会員の皆さんの作品も、ほとんどがブラス製のスクラッチ・ビルトである。ブラスは類稀なる快削性を持つ材料である。切る、孔あけをする、旋削する、フライス加工する、ヤスる、どの作業も、実にた易い。またハンダ付けが実に容易である。この材料は、ヨーロッパの時計細工から始まる数百年の実績がある。これほど使い易い材料もない。また、我々の寿命を超えて受け継がれていく。
 これ以外の材料を使ってものを作ろうとするのは、無謀であるとさえ感じる。今でこそ、3Dプリンタ、レーザ・カットなどの方法が身近に存在するが、手作業ならブラス工作しかありえない、と個人的には思う。

 KCC会員は、この工作法を次の世代に受け継いで貰いたいと考えている。技法、工具は会員内で拡散、譲渡されている。今野氏は小規模での会の運営から全国規模にこの組織を拡大された。インタ・ネットあればこその組織である。筆者も工具の頒布には多少協力している。様々な工具をアメリカ等から取り寄せて、原価頒布してきた。評判の良い工具は多い。
 またヒントもいくつか提供した。それらは今野氏が宣伝して下さって、今では常識になったものもある。快削材の使用は、TMS等で全く知らされていなかったようだ。アメリカのブラスは、まず100%快削材である。これを使えば作業の速度は3倍になる。これは菅原氏の本にも出ていない。彼は模型業界の人からしか取材していないように思った。工業規模の製造所の技師、職人に聞かなければ分からないことはいくらでもある。KKCの会員には様々な業界の方がいらっしゃるので、その点でも、非常に参考になることが多い。

 今回の展示会では炭素棒ハンダ付けの実演をせよ、との要請だが、左手が動かないので、どなたかに助手をお願いすることになる。満足でない状態だが、努力する。


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