2018年02月

2018年02月27日

職人との会話

 どうしてそんなに職人と親しくなれるのか、という質問があった。

 一つにはそういう時代に生きていた、という運の良さがあった。住んでいるところが町工場がたくさんある地域であったこともある。友人の家がそのような仕事をしているところもあった。
 中学で技術家庭という時間があったが、授業はつまらなかった。教師が分かっていないことが、はっきり分かったからだ。旋盤のある工場で窓の外から見ていると、中に入れてくれて触らせてくれたし、職人芸を見せてもらった。

 そういう時に、「この仕事をやりたい」と思っていたから、それを口に出すと一生懸命教えてくれた。フライス番は切粉が飛び散るので、飛ばない方向からしか見られなかったが、すごいものだと思った。仕事が速いのだ。父に聞くと、「セーパー(型削り盤)は刃物が一つしかないが、フライスはたくさん付いているからな。」と言う。それはそうだが、あの速度で焼けた切粉が煙を上げて飛んでいくのは凄い眺めだった。超硬の刃というのも初めて見た。

 旋盤とフライスで家が建つほどの金額だと聞いたので、自分で趣味で持つことはできそうもないと思ったが、のちにアマチュア用のものがアメリカ、イギリスを中心に出ていることが分かった。

 様々な分野の職人と話をするのは楽しかった。図面を描いて注文すると、面倒そうな顔はするけど、受け取りに行くと得意満面で、腕自慢する。その自慢を良く聞いて、さらに面倒な注文をする。だんだんとエスカレートするのが面白かった。職人は学校には行っていないが、知識がある人が多かった。父は、
「分からないことは、工場に行って職人の頭に聞くんだ。賢い人が居るからな。」
とよく言っていた。
 現場でなければ分からないこともあるのだ。本を読んだだけではできない仕事だ。まさにプラグマティズムの世界である。 

 祖父江氏と知り合ったのはその頃で、模型職人なのに機械工学の基礎を完璧に知っているのには、驚いた。そういう人は見たことが無かった。
「14枚以下の歯車は、歯車じゃねえよ。」
 この言葉が模型職人の口から出るとは思わなかった。すっかり参ってしまって、通うようになった。

2018年02月25日

続々 プラグマティズムについて

要するに、「主体性の有無」が、「プラグマティズムの有無」を決めていると感じています。プラグマティズムというと高尚な感じがしますが、要は、自分がやろうとする目的に対し、どうしたらいいか考え、それを実践するという単純なことです。

主体性がある人は、その考えや行動が是か非かは人にもよりますが、少なからず行動しています。考えを実践しなくても平気であるということは、そもそもの目的がはっきりしていない、即ち主体性がないということです。どうせ考えてもやらないのであれば、考えるだけ時間の無駄です。

主体性がある人は、「やらないなら考えない」、きっとこういう行動でしょう。実証して初めてその考えが認められることを知っているからです。


 考えても実践しないのであれば、考えていないのと同じ、「考えている風」なのです。ただ、この「考えている風」の人が一番厄介です。彼らは、理屈上できることは、何とかすればできると信じています。

 彼らの話自体の理屈が通っていると、その分野に精通していない人は「よく物事を考えている人」だ、と感じてしまいます。しかし
その分野に精通していて、勘所がある人からすると、それは理屈だけで、経験から来る技術を踏まえた考えではないことに気づいてしまいます。そのため「考えるのはいいけれど、やってから言ってくれ」と思い、辟易してしまうのです。日本に居た時にはそういう人が多く、気にしていませんでしたが、アメリカに居ると、それを言った瞬間に評価が下がることが分かるのです。

 本や文献からの知識、理屈は、ベースとはなり得ても、それが全てではありません。以前、辞書に載っていないから間違っていると評価された話が記載されていましたが、良い例です。知識に加えて、足で稼ぐ、手を動かすといった、身をもって経験したからこそ持っている技術に対するセンスがなければ、実力があるとは認めてもらえないのだと、アメリカに来てから実感しました。

 このブログも、ただ知識や理屈を述べるものなら、全く興味を持たなかったと思います。実際やっているからこそ直面する困り事や、悩み事、経験に基づく情報が満載であるところが、模型人から見て魅力的なブログです。


 壮大な計画が、具現化されるのをブログを読みながら楽しみにしています。



2018年02月23日

続 プラグマティズムについて

鉄道模型の話をしましょう。アメリカでは、「走行第一主義の鉄道模型を作りたい」という人は、走らせるための線路を持ち、自分で改造、あるいは製造できる設備を整え、試行錯誤しながら、自分の考えを具現できる人がほとんどです。

もちろん、「写実第一主義の鉄道模型を作りたい」という人もいます。そのようなモデラーは凝ったレイアウトを作り、模型を楽しむわけです。走行第一主義者と写実第一主義者とで話をすると、互いに目的が違い、フォーカスするところが異なるため、お互いにやはり考えが違うなと感じるでしょう。ただ、意見を言いあって、考えが違っていても、否定をされたとは捉えません。主体性があるから、人は人、自分は自分という考えがはっきりしていて、ブレがないからでしょう。

他人が何を言おうが、自分の評価は自分が決める。故にアメリカ人は自己主張が強いと言われるのでしょうが、自分の幸せを自分で追求するのがこの国の特徴でしょう。

 

一方日本では、他者評価を気にする人が多いのではないでしょうか。目的が違えば、考えも違って当たり前なのです。たとえば写実第一主義者の方からの意見に、「それは『走り』を追求する上では採用できない。」と言えば、”否定された” と感じる人が多いのではないかと思います。その逆のパターンの場合も同じです。

 人と同じであれば良い、人より幸せであれば良い、という比較の判断基準は他人の眼ですから、「違う意見=否定」と捉えられても仕方がないのかもしれません。

                                                                     <続く>



2018年02月21日

プラグマティズムについて

 1月10日号のコメントを読んで、アメリカから長文のコメントを戴いた。日本とアメリカで自然科学を研究されている方からである。日米の鉄道模型文化の比較論である。興味深いので、紹介したい。コメントは800字を限度としているので、数回にわたって送られてきたものを編集した。

 
 私は、こうすれば良くなる、こうすればできると考えたらやってみたい、と思うタイプの人間です。ところが、日本の殆どの人は、考えただけでできた気になり、やらない人が多いと感じます。いざとなったらやるし、やればできるはずと思うのでしょうが、実践していない人には経験から得られる勘所がないので、それまで手を動かしてきた人間にはかないません。それだけではなく、考えたことをやってみてどうなるか見たいと思わない人は、最後まで実践することもできません。

「考えたことをやってみたい!」と行動する人間と、「考えた。理屈上うまくいく。」と満足する人間とは、生き方の根幹が違うからです。

 

アメリカには、考えて終わりという人はあまりいませんね。学生達は、私などそっちのけで考えを言い合い、白熱した討論の後、必ず「その実験をやってみよう」となります。残念ながら、日本ではあまり見ない光景です。

日本では考えは言い合っていますが、自ら行動することは非常に少なく、大学院にもなって「指導してもらう」という感覚の学生がいることには驚きます。教育の違いかと考えたこともありますが、結局、主体性があるかないかの違いなのだと思うようになりました。主体性があるということは、「自分がこうしたい」という目的意識がはっきりしているということです。そのため、その目標達成のためにはどうすべきか考えて、実践するということになります。
                      <続く>  




2018年02月19日

集電装置

electrical pickup このところ、集電装置を作るのに忙殺されていた。転車台が回転すると、DC回路は途中で極性が反転するが、DCCはそのままである。照明は、電源とは無関係に点滅させたい。場合によっては人形に旗を振らせることもできるようにしたい。


Lionel collector 集電レイルは5本ある。回転の抵抗はなるべく小さくしたいが、確実な集電を期したい。いくつかの方法で実験をして、力学的抵抗の小さい物を採用した。それはライオネルなどで使われている、回転ドラムである。
 ライオネルは焼結合金を使っているようだが、バネが強く、摩擦抵抗が大き過ぎる。
 バネは縮んだ時と伸びたときで、接触圧が随分と異なる。いつも同じように接触させようと思うと、よほど長いバネを用意しなければならない。

 しばらく前、軽井沢の駅前で草軽の電気機関車を見た。集電装置は錘による上昇である。それを見て閃いた。コンプライアンス(追随しやすさ)は小さくても良いので、この錘方式を採用した。錘は 10 g であるから、接触圧は 0.1 N で一定とみなせる。
 廃材を使っているので、部品が不揃いだ。誰にも見えないところだから気にしないことにしている。ただし、軸受等は機械加工して寸法は同一である。

 錘と言えば、TMSのHOの記事で、先輪や中間台車に錘を付ける記事があった。あれはまずい。HOといえども、走行すれば線路の不整で車輪が飛び上がる。軸重という言葉があるので、重さを掛ければ良いと思っているのだろう。慣性質量があるものを、動く部分に載せるのは間違いだ。いわゆるバネ下質量の問題である。脱線機を押しているようなものだ。止まっている時と走っている時では、全く異なる様子を示す。

 軽くバネ圧着するのが一番良い方法なのだが、その種の間違った記事はよく見た。走らせていないから、気がつかないのだ。バネにすれば、走行音もずっと良くなるのに。
 Oスケールで錘を載せると、速度が大きいので、たちまち脱線だ。しかし、この転車台は極めてゆっくり廻るので、錘方式でも十分に不整に追随する。

electrical pickups 集電レイル間隔は 30 mmであるから、集電子は千鳥配列にした。同一直線状にはないから、微妙に傾けて接線方向に向けてある。すべての可動部は、撚り線で結んで接触抵抗を低減している。

 これらの写真は2週間以上前のもので、その後線を1本増やす必要が出てきて、5本になった。

2018年02月17日

constant velocity

 角速度が変化しないという意味である。
 
 CV joint  等速継手というものは、30年ほど前から生産量が格段に増えた。いわゆるFF自動車がたくさん売れたからだ。FFは、50年ほど前は、国産ではスバル1000という車ぐらいのものだった。友人の父君が乗っていて、乗せてもらうと水平対向の独特な音だった。BMW のオートバイの音である。バックでステアリングを切って坂を登ると、切れ過ぎる方向に行くとのことであった。一方、四日市の椙山氏はシトロエンに乗っていて、これまた陸上の乗り物とは思えない乗り心地であった。

 これらの車には等速継手が使ってあった。ステアリングを切っても駆動軸の回転と車輪の回転が完全に一致した。即ちステアリングに何ら振動が伝わって来なかった。その後、筆者はスバル・レオーネに乗っていたことがあるが、12万キロも乗ると等速継手が摩耗して、ステアリングを切るとカラカラと音がし始めた。

 80年代になるとトヨタ、日産も大量にFFを売り出し、FRをはるかに凌ぐようになった。等速継手の材料、工作技術、潤滑が進歩し、耐久性が飛躍的に向上したのだ。今乗っている車は15万キロをはるかに超えているが、ステアリングは新車同様の切れ味で、全くガタがない。進歩したのだ。

 この頃はステアリング・ホィールいわゆるハンドルの軸の曲がっているところにも使われている。昔は、エンドウの継手で言えば、ABAまたはCBCのタイプを使っていたが、これなら軽くできるからだ。もしこれが不等速継手であると、カーヴを曲がるときに非常に奇妙な感じがする筈だ。ガードレイルを擦る人が増え、人身事故も大幅に増大するだろう。そういう点でも、等速であるということは大切なことだ。


 ユニヴァーサル・ジョイントを単独で使うと、何が起こるのだろう。角速度が変化するのだ。二つ組合わせてその変化量を打ち消させると、出力軸は入力軸と等速になる。もちろん中間軸は速くなったり遅くなったりする。伊藤 剛氏の解説によると、
「中間軸は細くて軽いものですからね、速度が増減しても、殆ど問題は起こらないんですよ。でもね、出力軸の角速度が増減すると、人間が乗っていますからね、激しい振動が生じれば乗り心地が悪くて困ってしまいます。もちろん出力軸が入力軸と平行でなければ多少の不具合は起こりますが、工夫をする前と比べたら大幅に緩和されていますよ。
 中間軸が高速で廻れば、問題が起きるでしょうから、そういう用途には向きませんね。別の等速ジョイントを使うでしょうね。その辺は経験に依りますな。それを使わなくてもね、最近はそういう角速度変化を吸収する継手があるのですよ。強化したゴムでできています。それが付いていると、高速回転での振動が大いに軽減されるんだそうです。」

という事であった。


CV or not  今回の電車の模型の台車がカーヴで振った時は、まさにその状態ではあるが、間違った位相の時に比べてはるかに振動は低減されるはずだ。この図は極端に誇張して描いてある。角αは角βより大きいから、等速にはならない。しかしかなり良くなっている。
 この角度が小さいときは、α≒β だから、等速と近似できるだろう。振れる量を小さくしようと思ったら、センタピンの位置をジョイント側に近付けるべきだ。もちろん荷重を負担するものを、台車中心に付けねばならない


 このyoutubeをご覧戴きたい。中間軸の不等速を、カードを押し当てて発生する音で分かり易くしている。非常にうまい表し方だ。模型とはいえども、こういうことを知っていないと、よく走る模型はできない。


2018年02月15日

続 困ったユニヴァーサル・ジョイント 

 先回の記事に対し牛越氏から送られてきたコメントには、恐れ入った。このブログ始まって以来、最大の衝撃を受けた。旧製品は3種3個の部品からなるようで、「それらの中の同一のものを組合せると、対称的なものができる」というアイデアだ。非常に賢い解決方法である。牛越氏には感謝する。これを広めるべきだ。

 しかし、メーカーはどうして3種作ってしまったのだろう。何かむなしいものを感じる。

 先回の写真を使って解説しよう。

ABC これは最初の状態である。仮に左からA,B,Cと呼ぶことにする。もう一組あるから、これらをばらばらにしよう。中間軸の B はひねることができない。

ABA 次に、 A に B を挿し、そしてもう一つの B を挿す。これで第1組の完成である。


CBC その次は、C に B を挿し、次いで C を挿す。これが第2組である。こうして正しいものが二組完成した。

 
 実に賢明な方法で、作り直す必要はない。生産する時はとりあえず C を作るのをやめるだけで済むという訳だ。 売るのはA-B-A だけにすれば良いということだ。


nakazawanakazawa2 最初のコメントを戴いた中澤氏から、写真が送られてきた。形が変わっている。既に型を変更して、スプライン軸が片方の部品と一体になっているように見える。
 誰かから指摘を受けて直したのだろうが、それが公表されていないというのはおかしな話だ。

 写真を探すとイモンのウェブサイトにもあった。これは位相が間違っている。市場には、かなりの間違った製品が在庫されているものと思われる。エンドウは、とりあえず市場にあるものすべてに、この方法を知らせる紙を添えるべきだ。それによって企業のイメージを向上させることができれば、却って大きなプラスとなろう。今のままではいけない。


 railtruck氏からお知らせ戴いたウェブサイトの最下行には、正しいことが書いてある。"constant velocity" という言葉が使ってあるのが、すばらしい。 どうして日本の模型界にはこのような”常識”がないのだろう。おそらく、走らせている人の数が少ないということに起因している。走らせていなければ気が付かないことだからだ。外見しか興味がない人の比率が多いのだろう。
 ある程度の編成を牽いて曲線のある勾配線を走らせれば、如実に差が出ることである。

2018年02月13日

困ったユニヴァーサル・ジョイント

MPギヤ2 10年以上前に、このブログで扱ったことのある話題だ。先日所属クラブの会合があり、HOの人たちと話をしていた。ある会員が持って来た動力車が、大半径の曲線上では快調であるのに、小半径の時はゴロゴロという音がする。
 どうしてだろうと皆が裏返して見ている。結論が出なかったようで、指名があった。見てみるとユニヴァ―サル・ジョイントの位相が間違っている。回転ムラを助長する方向の接続である。

revised この写真を加工して、正しい配置にしてみた。こうでなければならない。要するに左右対称でなければならない。こうすると不等速はかなり打ち消される。以下の写真は、加工していない他の車輛のものである。 



MPギヤ3「こりゃダメですよ。中間軸を90° ひねらないと・・・。」
バラしてひねろうとすると、それはプラスティックの成型品で、スプラインがモールドされている。打つ手はない。ということはたくさんのダメな製品が日本中にばらまかれているということだ。

MPギヤ その場にあった何台かの動力車を見たが、すべて間違っている。困ったことだ。その会社はエンドウである。MPギヤという製品の一群の中にある。たくさんの製品を売ってしまった後なのだろうが、良心があれば、無償交換すべきであろう。中間軸のスプラインが90° ひねられたものと現物を交換すべきだ。安いものだから、現物との交換ではなく、申し出があれば渡すという選択肢もある。

 このブログで大きな話題になったから、この種の間違いはもう存在しないと思っていたが、とんでもない思い違いであった。
 このブログで、もっと頻繁に繰り返し扱うべきことなのだろう。TMSの記事で、この種の間違いは、昔はたくさんあったが、誰も指摘しなかった。しても無駄、と感じていた人も多いのだろうと思う。

 まさか現行のMPギヤに間違いがあるとは思わなかった。エンドウともあろうものが、こんな間違いを放置するとは信じられない。

2018年02月11日

working path

 先日、ER25というコレット・チャックを取り付けた様子を紹介した。これはどう考えても、ワーキング・パスが長いからダメである。職人の言葉では、「道中が長い」と言う。
 要するに工具が飛び出しているから、スピンドルの位置が高い。即ちコラム(柱)の高い位置にスピンドルが留まっているわけで、コラムが撓み易い。刃物はスピンドルから飛び出しているので、これまた撓み易い。極めて不利である。工作の力が伝達される経路(path)はなるべく短くしなければならない。

micro mill with ER11 自宅の工具箱を隅から隅まで探した所、ER11が出て来た。しかもMT2が付いている。これなら20 mmほど短くなる。左の写真は取り替えてみた様子を示す。MT2の引きコレットに直接つけると、さらに20mm弱短くできるが、取り外しが大変だ。


 とにかく刃物は短くくわえて、スピンドルは最大限低く保つのがコツだ。ワーク(被工作物)は万力の上の面ぎりぎりで把持する。そういう意味では各種の高さの平行台(正直板、ヨーカンともいう)を所有し、最良の高さに保持しなければならないのだ。以前雑誌の記事で、「万力の底の部分にワークを置く」とあったが、あまりにもお粗末であった。絶対にやってはいけないことである。
 ER11は小さなコレット群で、掴める範囲は 0.5〜6 mm であるが、実際に使うのは4 mm と6 mmだけだろう。それらを専用に残して、あとは自宅に持って帰った。

ER11 collets 堅木の小片があったので、7/16 インチ(11.1 mm)径の刃物でコレットの置台を作った。鉛筆で罫書きを入れたけれども、DROの数字だけを見て作ったので、罫書きの意味は全くなかった。

 ER25は旋盤の方に移設してみよう。8 mm径までなら材料を貫通させられることが分かった。ただし、引きボルトがない場合である。普通の作業なら引きボルトは要らないだろう。もっぱら、6 mm径までの部品作成専用である。
 引きボルトは、M10 で首下110 mmのネジがあれば良い。中空のネジであれば好都合だが、作りにくい。MT3の引きボルトは中空のものを見たことがあるが、最近はない。


2018年02月09日

既製品のダブルスリップ

 もう一つのアイデアを紹介する。これは所属クラブの大先輩の杉山洋二氏からお聞きしたことである。

 シノハラがダブルスリップを出している。杉山氏は買ってみて走らせたのだが、全く駄目でことごとく脱線する。ゆっくり走らせても、脱線するので、じっくり観察したそうだ。

 細かいレイルが、微妙な量、上下していたのだそうだ。要するにすべてのレイルが同一平面上にはないのだ。そこで氏は、飛び出しているものをヤスることにした。定規を当てて、出ているところを削り始めたのだが、とても難しい。そこで、大きな油目のヤスリを全体に当てて、数十回軽くヤスったのだそうだ。
 すると、出ている部分が完全に削れて、低い部分と同じ高さになった。車輌を高速で走らせても、全く脱線しなくなったという。先日、M氏のレイアウトでそれをお伝えしたら、早速試されて、快調になったそうである。 

 杉山氏は、
「メーカーで、出荷前に大きな定盤上にサンドペーパーを貼って、その上にダブルスリップをうつ伏せに置いて、ざっとヤスればすぐできるのにね。」
とおっしゃった。その後数十年経ったが、目立った進歩はないようだ。

 筆者が作るダブルスリップは、それをお聞きして、レイル表面の整列には気を遣っている。

 杉山洋二氏はTMSの100号時代あたりから載っている電車模型の大家であった。近鉄を1/80、18 mmゲージで作られた方である。

2018年02月07日

sound cam

 先日クラブの会合で披露したところ、評判の良かったアイデアを紹介する。

 蒸気機関車のサウンド装置には、ドラフト音を動輪の回転と同調させるために、動軸にカムが入れてある。このカムを入れるためには、正攻法としては動輪の嵌め替えをせねばならない。慣れている人には簡単だが、一般的には難しいようだ。

 アイデア商品として、僅かに弾力を持つカムを、開いて軸に無理やり横から押し込むものがある。他に、二つに割って組むものもある。どちらも、そういう部品がないとできない。

 筆者が採用しているのは極めて楽な方法である。クロスヘッドは前後しているので、その前後の死点付近に針金を出しておく。もちろん、絶縁パイプを介して固定する。当たっても抵抗がないように曲がりやすいバネにしておくことが大切である。左右で4点の接触がある。4点も要らないという方は、片方で2点にすれば良い。

 あまりにも簡単で拍子抜けするほどだ。針金は洋白が錆びにくくて良い。線が見えるかもしれないからいやだ、という方は、シリンダブロックの中に入れることもできる。

 この方法は25年ほど前、祖父江氏と話していて思い付いた。氏は早速やってみて、「うまくいくよ。簡単だからいいよね。」ということだったが、注文主から見ると手抜きをしているように見えたらしい。仕方なく回転するドラムを付けていたが、筆者のは、針金接触方式である。誰も気が付いていない。

 このようなヒントは無数にある。Model Railroaderの特集号で”764 Helpful hints”というのがある。楽しい本で、いつも寝る前に読んでいた。類するものは、TMS誌上にもたくさん載っていた。これこそがプラグマティズムである。まともにやろうと思ったら、大変な手間が掛かるが、これでも可能というアイデアを出すわけだ。
 鉄道模型はプラグマティズムの実践の場である。まともに唯一絶対の解を求めていたら、お金や時間がいくらあっても足らない。

2018年02月05日

ER25コレット

ER25 collets and holder 自宅の工作室の抽斗を整理したら、ERコレットのMT2シャンクが出て来た。ER25も1 mm〜16 mmまで完全に揃っている。しかも引きネジはどういう訳か、M10であった。つまり、そのまま使えるわけだ。これを付ければ、引きネジを緩める必要がなくなる。即ち、上に飛び出しているZ軸DROが、邪魔にはならないということだ。

 博物館に持って行って取り付けてみた。40 mm以上突出するので、ワーキングパス(working path)が長くなって多少不利であるが、小径の刃物しか使わないので問題がないかもしれない。ブレが大きければ、元に戻しても良い。エアスプリングの取り付け位置も下げて、動く範囲の邪魔をしないようにした。少々大き過ぎるような気もする。もう少し小さいERコレットがあると短く掴めて良いのだが。
 モータの出力から考えても、12mm径の刃物は使うはずもない。

 新しく来た旋盤の主軸もMT2なので、それに付けても使える。ERコレットなら連続した寸法を掴める。ただ、貫通穴がないと不便だ。

 ER25コレットはどこに仕舞うべきか考えたが、下手に仕舞うと目的の大きさのコレットを取り出しにくい。一覧できなければならない。そういうホルダをブラスの板を切って作ろうと思って居たところ、具合の良いものを見つけた。
 もう少し大きめのR8コレット用のロータリィ・ホルダである。実はR8を入れるつもりであったのだが、オーク材でやや贅沢な専用ホルダを作ってしまったので、行き先がなくなってしまったのだ。

collet holder フライス台の背面壁に取り付けた。3つは余るが、それは大径の16, 15, 14mmのものだから、抽斗に仕舞った。もちろん一覧できるような仕切りを付けた。

 

 道具や部品が一覧できるというのは、時間の節約になる。昔、近所の自動車修理工場に行くと、すべての道具が、壁に絵を描いて、その通りに掛かっていた。あんなことしなくても、と当時は思ったが、非常に理にかなった方法である。

 実は模型の部品もすべて一覧できるように、床と壁に並べてある。床は正月には片づけなければならないが、壁はそのままである。これは便利である。


2018年02月03日

Z軸 DROの取り付け

Z axis DRO フライス盤の改良工事を終わらせておかないと、転車台のちょっとした部品の製作にも支障が出る。切込み深さ方向のディジタル表示器が必要であるが、クイル部分が本体とは別に微妙に回転するのが困ったものである。
 クイル quill とは鳥の羽の軸部分を指す言葉で、要するに中空軸のことだ。電気機関車にもクイル駆動がある。中空軸があって、中で別の軸が回転するようなものを指している。このフライス盤は設計が拙くて、少しだが、上下するクイル全体が廻ってしまう。中央の太いスティールの丸棒が廻るのだ。考えられない間抜けな設計で、廻らないようにするのはとても難しい。

Z-axis DRO3 クイルが回転すると、取り付けたDROが捻じれてしまう。クイル表面の円周上で0.3 mm程度の動きである。当て金を作って、そこに当てて変位を検知しても良いが、仕上面の精度で0.02 mm程度はばらついてしまう。

 支点を遠くに持っていって、微妙な角度の動きの影響を無視できるようにしてみた。長い棒を立てたとして、先端を少し振らせた時、高さが測定できるほど変化するか、を考えればよい。
 取付け位置はクイルの外周上より少し遠いところにある。200 mmの棒の先が、0.2 mm左右に振れると、概算で背の高さは0.0002 mm弱低くなる。DROは0.01 mmの差を拾うので、全く影響はないと言える。十分に近似は成立しているのだ。
 
Z-axis DRO2 この棒は2x4 mm のブラス平角棒で、左右の剛性はほとんどない。前後にはやや曲がりにくいが、多少は撓むので2x2の支えを入れた。これはよく効くブレイスで、後ろには全く撓まなくなった。しかし左右には自由に撓む。
 落として使えなくなったノギスのクチバシを切り落とし、ネジで留めた。デプスゲージ部分を上にして、ハンダ付けした。あらかじめハンダメッキしておいて、炭素棒で 一瞬でくっつける。ネジの本数を減らして、接着剤で補助している。

Z-axis DRO4 ノギスの切り落とした少しの出っ張りを、フライスで削り出した部品で押えている。下の台形の断面のブラス隗は、その辺にあった切れ端を使っただけで、形には全く意味はない。
 クイルを最大限捻じっても、読みには全く影響しない。それは成功なのだが、上に突出しているので、コレットの引きネジを廻すのが少々やりにくくなった。左手でやれば済むことではある。引きネジを廻さない方法を考えるべきかもしれない。
 一方、短くすると、かえってうっかり引っ掛けやすくなるようにも思う。しばらく考えて、結論を出そう。

2018年02月01日

走れ!!機関車

走れ!!機関車 アメリカの子供向け絵本の翻訳書である。往々にしてこの種の本は鉄道マニアから見て、面白くなく、間違いが散見されるものである。しかし、この本は違う。鉄道マニアが読んでも面白い。翻訳の間違いらしきものもない。northerns484氏から紹介され、長らく書店で探していたが、ついに見つけることができなかったので、通信販売で購入した。

 ネブラスカ州オマハから、サンフランシスコまでの鉄道の旅ができるようになったのは1869年である。開通直後のユニオン・パシフィック鉄道、セントラル・パシフィック鉄道(のちのサザン・パシフィック鉄道)に乗って大平原を越え、山地を抜けて太平洋岸に到達する様子が、淡々と、しかし躍動感ある記述と絵で表されている。

走れ!!機関車2 筆者はこの沿線を何度か車で往復しているから、様子はよく分かっている。その風景は150年前も今も変わりがない。この絵はネブラスカ州のノース・プラットの東の方だ。本当に何もない。今も同じだ。ただ、線路が複線になっているだけである。

 途中の食事の様子、トイレの様子、連結手が危険な仕事をしていることなどを紹介している。チキンのはずなのに、プレーリードッグの味がしても質問してはいけない、とあるのには吹き出した。
 気になったのは、挿絵の中の看板などが日本語に書き換えられていることだ。子供向きだから日本語の方が良いという判断だろうが、元のままにして、下に訳を付ければ良かったのに、と思った。

 アメリカの歴史の中で、鉄道の敷設というのは非常に大きな部分を占めている。鉄道がなければ、あの巨大な国は機能しなかったのだ。

 英語版を発注した。1週間で届くというから驚いた。


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