2015年12月

2015年12月31日

仮開通

 線路を敷き始めてから3か月以上掛ったが、ようやく仮開通した。仮橋付近の工作に手間取り、予定より3日遅れであった。まだまだ保線が不完全であるが、全線にわたって通電しても、異常は認められなかった。

trial trip 仮開通には、友人が二人立ち会ってくれた。プルマン8輌の優等列車と、70輌の貨物列車である。機関車は土屋氏のコレクションを整備して用いた。祖父江氏の精魂込めた工作で、注油のみで素晴らしい走りを示した。左の写真は貨物列車が上部ループを周回する様である。矢印が機関車である。
 貨車は70%がブラス製である。25kg以上ある。連結器が伸びて発進し、勾配では機関車が微妙にスリップするが、難なく登り切る。スリップは前後の動輪の位相が少しずつ変化するからわかる。関節型機関車articulatedsはすべて2個モータである。排気音を出すとその変化がわかる。
 勾配に掛かるのは約55輌でその他は平坦線にある。ということは、まだ30輌ほどつなぐつもりだが、負荷はそれほど増えないから楽勝である。平坦線を走るときの電流と、勾配を登っているときの電流は2.5倍ほど違う。単機では100 mA以下で、メータがほとんど振れない。ボールベアリングの効果で、ほとんど無負荷なのである。実測で効率は50%を超える。

 下り勾配では、適度のエンジンブレーキを効かせて降りる。電流を遮断しても貨車が押してくるが、3条ウォームの効果がそこにもある。筆者が採用した3条ウォームの効率は70%強である。すなわち、30%弱は損失になり、熱として放散されるが、その程度の効率が安全運転には必要なのである。もしこれがべヴェル・ギヤ、スパー・ギヤのみでの駆動であったりすると、抵抗が少なく暴走する可能性があるそれらの効率は90%以上だからだ。
 また、自動クラッチで開放すると大変な事故が起こるだろう
 3条ウォームはかなりの高効率と完璧な静粛性を持つ。蒸気機関車には最適である。筆者は、通常型蒸気機関車が歯車の音をさせて走るのは許せない
 伝統的に採用されている通常のウォームギヤの効率は普通15%内外である。しかもそれは良く潤滑されているときの話である。機関車全体の効率は数%程度である。

2015年12月29日

仮橋を架ける

temporary bridge 鉄橋が完成するのはしばらく先である。
 周回する本線の接続が完成したので、一周約80m弱が運転できるようになる。仮の橋は手間をかけずに、そこそこの強度があればよい。橋脚が立つところに、大工が床の束(つか)高さ調整する部材を使った。バッタ屋で買ったもので、ネジで高さが自在に調節できる。適当な厚い合板で台を作り、二つを仮留めしておいた。
 モックアップを載せて様子を見る。橋は、実際はもう少し上に来るはずだ。左半分は上路ガーダ橋になる。轟音を響かせて通過する。橋の中に集音マイクを付け、それを増幅する。

 敷いたばかりのレイルは様々な汚れが付いている。フレクシブル線路では型の離型剤が付いているので、溶剤を含ませた雑巾でふき取る。一部はweathered rail(レイル全体を薬品処理して黒染めしてある)であるから、上部を研磨剤の入ったナイロン・タワシでこすり取る。埃がたまるので、掃除機で丹念に吸い取る。

 レイルの切断に cutting wheel を用いたので、金属粉が飛び散っている。これも完全に吸い取っておかねば、後のショートの原因にもなりかねない。 
 饋電線に12Vを掛けて、漏電がないか調べる。意外とポイントのプリント基板の絶縁部分に溜まったゴミが導電性の場合が多い。歯ブラシでこすってゴミを掻き出し、錆があればそれを細ヤスリで取り除く。銅の錆は多少電気が通る。
 丸一日かけて保線作業をしても全体の1/3程度だ。先は長い。饋電線から立ち上がったレイルへの接続線が、枕木の下敷きになっていることがある。それが線路の上下方向の通りを悪くしている。高速で貨車を滑走させると、そのような不整がわかる。斜面を転がして、真後ろから観察する。

 近々、開通式をする予定だ。


2015年12月27日

Steel Rail

 steelレイルを磨いた。保管中、施工中に多少錆びたものもあるが、概して変化は少ない。色が良い。洋白とは比べ物にならない。
 日本の模型人は洋白(洋銀)を賛美する。ブラス(黄銅)より良いという人が多い。ブラスは黄色い。しかし、たいていの場合は塗装するし、メッキする場合が多い。しかし、ロッド類は洋白製にしたがる人が多い。
 洋白の色がもう少し良ければ筆者も使いたいが、やや黄色で、時間が経つと緑っぽくなるので好きではない。金属材料で鉄の色を出せるのは、快削鋼そのものか、クロム・ステンレスの一部である。井上豊氏は快削鋼を好んだ。良く磨いて光らせ、油を切らさなければ錆びない。機関車の動輪には必ずこれを用いた。ロッド類も快削鋼の場合があった。
 最近はエアコンがどこにでもあるのだから、錆を防ぐことは容易である。以前も書いたが、窓を開放しないこと、湿度を50%程度にすること、この二つが守られれば鉄は錆びない。
 筆者の機関車にはすべて快削鋼のタイヤが嵌まっている。これは日本もアメリカも同じである。日本製はメッキを掛けているが、薄いのですぐ剥がれてしまい、結果として鋼が露出している。

 鉄(鋼製)レイルの色は素晴らしい。訪問した人は、何も言わなくてもすぐ気が付く。「本物みたいだ。」複々線のうち、外2本は鋼製だ。摩擦が大きいのもさることながら、見かけが良いのは素晴らしい。
 HOでは昔のLIMA製線路が鉄レイルであった。安いから仕方がないと思ったが、意外と錆びず、見かけもよかった。錆びないのは、むき出しの歯車から飛び散る油のおかげの他、薄い亜鉛めっきが掛けてあることによるように思う。

2015年12月25日

機玄

114_4355 「機玄」という本を紹介したところ、その内容についていくつか質問を戴いた。

 この本は私家版で市販されていないのに、国会図書館にある。この本を西尾音吉氏が印刷され、いろいろな方に配った。TMSの山崎喜陽氏も受け取っている。当時のTMSにはこの話が少しだけ載っていた。その号を探し出せないのだが、「要するに総論は賛成で各論は反対」というような書き方だったと記憶する。

 機という字は「はた」とも読む。大昔は機織りというものは、世の中で最も複雑な器械だった。それから来ているのだろう。玄という字は人名で「はじめ」と読む人がいる。つまり機械の始めという意味だろうと推測する。せっかく書名になっているのだから、どこかに説明があると思ったのだが、その説明はない。表題の「機械美のルーツと機関車や機械を創る時の働き」を見て理解せよということらしい。

 模型は手で作れ、機械で作った模型より手で作ったもののほうが良い、と主張されている。これは達人の世界の話で、祖父江氏や伊藤英男氏のような方たちはそうだろうが、我々は機械で作ったものの方がよほど出来が良い。
 蒸気機関車の場合は手作業できれいに作ってあっても、走らせると悲惨な揺れを見せるものが多い。機能という点では機械で作ったものにはとても敵わない。精神論だけでは勝てないのだ。

 西尾氏は戦前に有名人であったので、筆者が若いころ、年上の著名人たちが、西尾氏を招いて話を聞いた。筆者はそこで末席に座っていたのである。2時間ほど持論を説明されたが、筆者には理解不能であった。他の方たちに聞いてみても、「あの人は戦前にはとても有名な人であった。」と言うのみで、お話の解釈については聞くことはできなかった。

2015年12月23日

レイルボンド

114_4292 これが鉄レイルに取り付けたレイルボンドである。ハンダは先にレイルにつけておいて、撚り線をハンダメッキしたものを近づける。こてを熱くしてあるので、融着させるのは簡単だ。
 撚り線は友人のところでもらってきたアース用の裸撚り線である。いろいろな太さがあるので、ちょうどよいのを選ぶ。電気ドリルで撚りをさらに掛け、末端をハンダ揚げする。そうしておかないと良い形に成型できない。

 こうやって取り付けたレイルボンドを見て、「はみ出しているのはみっともないから、もっと細いのを使うべきだ。」ということを言った人がいる。レイルボンドは太くなければならない。電流が大きくてもレイアウトのすべての部分で電圧降下が起こらないようにせねばならない。饋電線は太くせねばならないのは当然だが、すべてのレイルで同じ電圧が保証されねばならないから、レイルボンドも太くあるべきだ。レイルボンドは2本のレイルをつないでいる。その他の接続部は力学的に繋がっているだけで、通電はほとんど考慮していない。この写真には写っていないが、すぐ脇で、下から饋電線が出ている。大切なのはハンダがよく付いていることだ。
 いずれ配線が完成したら、10 A通電したときの電圧降下を全線で測定する。大掛かりにやるのは簡単だが、最も簡単でスマートな方法を考えている。
 
UP7002 and a string of Pullmans この機関車で重いプルマンをたくさん牽いて坂を登るのはなかなか大変だ。下手をするとスリップする。本物と同じように、滑ったらスロットルを戻す。再粘着させて引上げるのは、面白い。プルマンはどれも1 kg以上ある。機関車を重くすれば摩擦力は稼げるが、それは筆者の哲学に反する。補重していない機関車でたくさん牽きたいのだ。
 

2015年12月21日

踏固め試験

114_4283 遠方から友人が来訪したので、車輛を持って行って走らせてみることにした。レイルは磨いてないし、線路の通りはまだ不完全だ。
 機関車は今まで無事故を誇るものを持って行った。それに合わせて、客車はプルマンの5輌だ。客車の台車連結器は当社の仕様に交換してあり、調子が良いはずだ。

 電流を通じると、そろそろと動き始めて、全て順調かと思われたが、数箇所でショートが発生した。線路が浮いているのだ。二次元平面上への正射影はそこそこ良いのだが、フレクシブル線路が一部で浮いていたりする、高さ方向の不整合がある。路盤の不陸もたまにはあり、シムを挟んで釘で留めた。
114_4286 機関車はUP7000で、カウ・キャッチャが低くて恰好が良いのだが、このような未整備の線路では立ち往生してしまう。カウ・キャッチャが擦るのだ。そこでショートが起きる。すべての線路を正確に固定すれば、問題は解決するだろう。今までは全く問題が起きなかったのだから、機関車自身の性能には問題がない。
 
 あと何台か機関車を置いてみて、具合を見たが、どれも線路の浮き上がり箇所でショートした。これはまさに踏固め試験である。
 このUP7000は、線路の不具合検出用として、能力を発揮しそうだ。

 レイアウトが全通するまで、今しばらく時間が掛かるので、その間に問題解決をしたい。




2015年12月19日

電化工事

 今電化工事の真っ最中だ。ほとんどの線路はつながったが、レイルボンドが未施工であり、また饋電線につないでない。この工事はかなり面倒だ。全体をいくつかのセクションに区切り、レイル1本分ずつ施工する。そのたびにテスターで絶縁を確認する。一度につなぐと何かの間違いがあった時に、その場所を特定できない。
 先日のダブルスリップも、つないだ瞬間にショートしたので、それに異常があることがわかった。

 セクションごとに完成を確認して、隣のセクションにつなぐ。セクション長さは7 mと決めている。それが一日分の仕事量の限界である。一日5時間労働で、それ以上働くと、次の日に影響がある。ワークカーは平行する隣の線路に置く。そうしないとショートする。あの台車は三線式の時代のものだからだ。実は、最初にそれを忘れていて、ショートの原因追及に手間取った。

electrification 電化工事は工具と材料がたくさん必要で、それを移動させるだけでも大変な手間だ。この写真をご覧戴くと、その様子がお分かりになるはずだ。
 電線リール、圧着端子、三種の圧着レンチ、各種ペンチ、ハンダごて、金づち、ドリル、ナイフ、ワイヤ・ストリッパ、回路試験器、絶縁計、レイルボンドの材料の銅撚り線、掃除機、ガスバーナなどが必要だ。
 熱収縮チューブは便利だ。先に電線を通しておき、圧着レンチでつないで収縮チューブをずらし、少し温めるだけで絶縁被覆が完了だ。

 この種の工事は一人でせざるを得ない。よくわかっている人が手伝ってくれるとはかどるが、なかなかそのようなチャンスは巡ってこない。しかし、先日T氏が手伝ってくれた時の工事スピードは素晴らしかった。普段の5倍の速度で進んだ。彼は本物の鉄道の電気屋さんだから、当然ではある。 
 

2015年12月17日

鉄レイルにハンダ付け

 今回のレイアウトでは勾配線に鉄レイルを使用している。それは良いのだが、電気接続のハンダ付けをどうするかで悩んでいた。一応の結論としては、レイルを外して所定の場所に塩化亜鉛を使ってハンダメッキして、元に戻して電線をハンダ付けすることになっていた。数本やったが、面倒であると同時に、所定の場所が少しずれたりすると具合が悪い。また、外に持って行って、塩化亜鉛をタワシで洗い落とさねばならないのは大変面倒であった。

 プリント基板用のヤニ入り糸ハンダを使って配線するのだが、ハンダメッキしていないところに間違ってコテを当てたところ、なんとなくハンダが流れるような気がした。常識としては鉄のハンダ付けは、ペーストなどではうまくいかないもので、塩化亜鉛などの鉄表面を溶かすものが必要であるはずであった。
 そこで、条件を良くしてみた。マッハ模型のキサゲ刷毛を用いてレイル側面を丹念に50回くらい擦り、溶剤スプレイ(ブレークリーンなど)で完全に脱脂した。コテを当てて加熱し、糸ハンダを差し込むと、見事にハンダ付けが可能であった。洋白レイル上とは異なり、さらさらとはハンダ付けができるわけではないが、よく着く。意外なことでとても驚いた。最近のフラックスはよく効くのだ。
 これで、レイルボンドは容易に接続されて、完全な給電体制が整った。レイル2本を接続し、そのわきで饋電線が給電する。
 すなわち、電流はレイル各1本分しか流れないことになる。

 偶然の結果からこの方法が見つかったのだが、実にうまく付くのでお勧めする。要点は表面を磨いて新しい面を出すことと、完全な脱脂である。
 しかし、ここにそのテクニックを披露しても、いったい何人の方が、鉄にハンダ付けをするのだろうかという疑問はある。
 

2015年12月15日

double slip

 このレイアウトの本線上にダブルスリップがある。通過量は極めて大きい。耐久性と確実さが必要である。また、静粛性も非常に大きなファクタだ。

 まずは動画をご覧戴きたい。台車がイコライズのみでバネが入ってないものを選んだ。どんな音がするかをお聞き願いたい。ダブルスリップは欠線部は意外と少ない。二つのフログだけであって、他は斜めにつながっているから、うまく作ればそこから音はしないし、車輛の動揺も少ないはずだ。

 すべてのレイルが同一平面上にあるということが非常に大切である。製作に当たって、平面性を重視し、ハンダ付けするときに十分な重しを載せて行った。プリント基板を細く切ったものを枕木にしているが、当初安い紙エポキシを使ったのは大失敗だった。すべて反ってきて平面性が失われた。仕方がないから、一本ずつ外して再度重しを載せてハンダ付けをした。

 気を付けないといけないのはレイルの捻じれである。押し出しの型が良くないのだろうか、少し捻じれている場合がある。万力に挟んで逆に捻じって補正する。めっきは硬質ニッケルで、ヤスリが掛かりにくいほど硬い。十分な耐久性がある。

 動作させるリンク機構は、単純化するためにモータ2台で駆動する。またリンクは露出させる。メンテナンスを考えると裏側に置くのは避けたい。今回の線路配置では最初からそのつもりで、ダブルスリップの隣に空き地を作った。もちろん完全露出ではなく、モータ部は隠し、リンクのみを見せる。イコライザが作動するところも見える。

 HOの既製品の上を通過する様子をたまに見るが、欠線部が多く、プラスティックでできた欠線部のフランジウェイを高さの異なるフランジで踊りながら通過する場合がある。可動フログにすれば一挙に解決するはずだが、その工作をしたというのは寡聞にして知らない。 

追記
 youtubeの動画が直接見られないという苦情を戴いている。再度リンクを貼り直したので改善されたと思うが、ダメな時はコメントを通じて、ご連絡戴きたい。



2015年12月13日

Low-D wheelset の効果

 先回の動画を、別の角度で写したものがある。三脚にカメラを付けて写したのだが、少々パンする速度にムラがあり、見苦しいところはご容赦を願いたい。
 レイアウトの全貌がお分かり戴けるだろう。今、配線作業に掛かりきりだ。たまにショ−トするので、そのたびに大騒動だ。経験上、ポイントの隙間に何らかの導体が嵌まり込んで起きるのが普通だ。撚り線の一本が落ちていたりする。丹念に掃除機で吸いながら、隙間を刷毛で掃除する。今回もダブルスリップがショートしていることがわかり、何人かで見たが、原因がわからなかった。2時間くらい努力して、ようやく解決した。原因不明であった。こういう時は、荒っぽいがショートさせるという方法がある。
 大電流を流すと、その部分が融けたり、燃えたりして解決する。鉛蓄電池(内部抵抗が小さい)をつないで、スイッチ代わりの金属棒を一瞬接触させると、バチッと音がして、赤熱したものが飛び上がる。一瞬で解決だが、火事に気を付けねばならない。霧吹きで水を吹いておく。

 現場にやってきた友人にこの滑走を見せると、みな感動する。車体を裏返して、動力が付いていないことを確認する人もいる。模型としてあり得ない滑らかさであるからだ。台車はAthearnのデルリン台車で、sprungである。だから、ポイントを通過してもほとんど揺れない。これがイコライジングだけだと、高速では多少飛び跳ねて、脱線するかもしれない。

 実物の1/48の滑走距離なのだが、かなりインパクトがある。フランジが全く触っていないところには、みな驚く。この車輌も長年走っているが、フランジには多少の汚れが付いている。要するに接触したことがないわけだ。全てフィレットの範囲で解決し、フランジは走行時には機能していない
 摩擦係数の小さな材料であるステンレスを使用した効果がはっきりと出ている。実物の理論は全く通用しない。 

2015年12月11日

線路を敷く

 しばらく博物館のことに触れなかったが、着実に工事は進んでいる。

 現在は本線の電気配線をしている。友人たちが手伝いをしてくれるのは、本当にありがたい。一人で作業するのに比べて3倍以上の速さで仕事が進む。勾配線が完成したので、貨車を置いてみたら、40 m近く滑走した。勾配の上の平坦線が本当に平坦であるかは重要な問題で、この貨車が転がって行かないことを確かめねばならない。

 Youtubeに動画をアップロードしたのでご覧戴きたい。この撮影は先週行った。現在は複線がほとんど完成している。始めは平坦線なので少し押してやる。右手に黄色の家が見えてきた辺りから、下り勾配である。そこからぐんぐん加速して、最高160 km/hほど出ている。ポイントを渡る手前から平坦線である。

work car 工事に当たっては、必要な道具をひとまとめにして、作業が終われば2 mほど移動する。工具を箱に入れて動かしていたが、T氏が、「貨車に積もう。ワークトレインにしよう。」と言い始めた。なるほどと思った。しかし、
「斜面では滑って行ってしまうから、車止めを置かねばならず面倒だ。」と言うと、
「性能の悪い台車を使えば良い。」と言う。それはそうだ。
 古い台車を持ってきて、箱の下に付けた。油も切れているので、ブレーキがかかった状態だ。押せば動くが斜面でも安定している。思えば、昔はこんな車輛しかなかったのだ。10輌牽いても機関車がスリップした。現在の車輛は斜面には止まれない。


 一つまずいことが起こった。地盤沈下である。鉄骨の台のオウヴァ・ハングの大きいところに、二人が立ってしまったのだ。さすがに150 kg近く載るとまずい。アングルが微妙に曲がったらしく、5 mmほど下がったところがある。たまたま梁を継ぎ足して飛び出し量を200 mmほど増やした場所であって、要注意箇所であった。
 来週はそこの修理をする。自動車用の油圧ジャッキで持ち上げておいて、ブレイスを熔接する。おそらくそれで解決だ。
 その地盤沈下に気が付いたのも、この貨車のおかげだ。いつもそこで止まってしまうからだ。低抵抗車輪付き車輛は十分に水準器として機能する。 

2015年12月09日

面取りの意義

 質問を複数受けているのでお答えする。
「面取りは必要なのですか?」という質問が多い。答えは、「そうです。面取りのしてない部品を組み付けることはできません。」である。
「フライスで直角に削り出した溝に、角棒がきっちり入るはずです。」という意見もあった。それは幻想に過ぎない場合が大半だ。

chamfering 底を直角に削った溝あるいは入隅というのは、考えにくい。まず、フライスの刃が本当に直角に切り込めるかが怪しいのである。フライスの刃の先端が欠けていることはよくある。欠けていなくても、本当に角が出ているかはよくわからない。業界ではこういう直角の角をピン角(かど)というらしい。 もちろんうまくできているときの話だ。「ピン角が出ている。」と言う。
 見かけ上直角に切り込んであったとしても、信用できないのである。面取りしてある材を使えば、そのようなことはどうでもよくなる。面だけが接して、角は浮いている。これが大切なのだ。こうすれば要求される寸法通りのものができる。

 祖父江氏の工場で見ていると、プレスで打ち抜いた板をヤスリでひと舐めして、バリを取り、同時に面取りをしている。そのひと手間を掛けるかどうかで、仕上がりが違ってくる。線の切り口も、さっと撫でて角を取る。祖父江氏は仕上工をしていたから、そのあたりのことは当然のようにする。厚板を組合せたギヤボックスなどの仕上がりは素晴らしく、他の追随を許さぬものであった。
 面取りはヤスリ以外にキサゲなどを用いることもある。筆者は回転式のキサゲを用いる。30年ほど前アメリカで見つけたもので、非常に使いやすい。このShavivはイスラエル製だという。動画の1分のあたりから30秒ほど出てくるのを使っている。日本でも売っているからお薦めする。


2015年12月07日

木工機械

stackablesstackable これが、今回の面取りの結果である。積み重ねが自由である。手前は接着の圧締に用いたクランプの山。さらに細かく見て戴くと、面取りの様子がわかる。

 これらを水性塗料で下塗りして、サンドペイパで磨く。その上に油性塗料を塗ると一回塗りで仕上がる。継手部分は塗料を塗らないようにするのが肝要。
 
 筆者は丸鋸関連だけで7丁持っている。あとはレシプロ・ソウとジグソウがある。これらは住宅を建てる時に買った。すべての工具だけで何十万円か買って、内装と外構は全て自分で作った。家が完成して計算すると、約1千万ほど稼ぎ出していることがわかった。そののち、道具一式友人に貸して、彼も家を一軒建ててしまった。すなわち、これらの道具はすでに元を取っている。
 刃物を貸すと、研いで返してくれるので、実に調子が良い。超硬の鋸刃は目立てしてあるから、切れ味が抜群である。最近は小さい鋸刃は使い捨てであるが、直径10インチ(255 mm)もある刃は目立てに出す。刃の一枚当たりの請求だから、細かい刃は高い。
 鋸刃は日本製に限る。実によく切れるし、目立てをすれば、元に戻る。

 木工で一番大切なのが、クランプである。数10個あるが、それでも足りない。作業日には、参加者の手持ちのものを持ってきてもらう。

truss bridge mockup 最近の写真である。鉄橋を架けるにあたって、モックアップを作って置いてみた。長さは650 mmである。残りの部分は上路ガーダである。上路式は車輛が良く見えて面白い。
 開通の時は間に合わないので、仮の橋を架ける。
 

 
 

2015年12月05日

面取りをする

 最近、所属クラブのHOモヂュール・レイアウトを作る手伝いをしている。要するに、クラブのレイアウトを更新することになり、作業場がないので貸してくれということになった。
 木工機械は各種持っているので、それをうまく使えば作業は速い。手で鋸を使って切っているようでは精度も出ないし、切り口も汚い。角度切りのできるスライド・ソウ、縦割りのできるテイブル・ソウ、溝切りや角落としのできるラウタ(ルータ)を使うことにした。博物館の前の駐車場に道具を並べて、切った。たちまち材料はそろい、多量のクランプで締め付けて接着した。形ができたので重ねてみると、重なるはずが重ならないものもある。微妙な誤差があり、小さいほうに傾いたものと、大きな方向に傾いたものを組合せると嵌まらないわけだ。

stackable modules 面取りを施さねばならない。テイブル・ソウ table saw の枠ににラウタを取り付け、ラウタ・テイブルrouter tableとして使う。これが便利で、出席者は皆驚いた。大量のモヂュールの裏側と、表板の角を落とすわけだ。45度の刃を使う。フェンスの位置を調整し、刃物を上下して所定の位置に固定する、ワークを送れば、立ちどころに大量の仕事ができる。全てぴったりと同じ寸法に仕上がる。
 これを手でやったら、どれほどの時間が掛かるだろう。しかも合板のコバを斜めに削るのだから、カンナ刃がすぐダメになる。こういう仕事は超硬合金の刃を持つラウタでなければできない。

 ラウタ仕事で溝を切ったり、角を落としたりする時、ワーク(材料)がまっすぐ進むようにする定規をフェンス(fence)と言う。ガイドとは言わない。鋸盤の定規もフェンスである。

pressing できたものを重ねてみると、何ら無理なく重なる。実に気持ちが良い。面取りの意義がよくわかる。裏に補強の骨を入れて、接着する。積み重ねて圧締すると、自らの重さで密着し、完璧な接着ができた。その時挟むスペーサは、大量に用意してある合板を使った。

 このモヂュールの接続は吉岡氏の開発したほぞによる接続で、電気接続も同時に行う。組立5分、撤収2分が目標になるだろう。

2015年12月03日

”面取り”と”お迎え”

 最近所属クラブの会員が、本を整理したりする作業を手伝いに来て下さる。重い本を高い棚に入れるのは大変だから、ありがたい。
 今まで紙でできた家が載っていた棚に、本を載せた。さすがに100 kg 近く載せると撓んでいる。二段目を載せ始めたところ、棚受けがぐにゃりと座屈し、本が落ちそうになった。慌てて棚を支え、本を一部下ろして事なきを得た。明らかに許容荷重を超えていた。それを見ていた会員が、
「dda40xさん、棚を受ける縦の柱が必要です。前から嵌めるようにすると良いですよ。」と教えてくれた。
 早速、厳密に寸法を測定して棚板の厚み分を切り取った柱を作り、次の機会に押し込むことにした。もちろん、棚受けは交換した。

book shelves 翌週、3人で棚を押し上げながら嵌めようとした。ゴムハンマで前から打てばきちんと嵌まるはずだ。しかし、なかなか棚板が3枚同時には嵌まらない。それを見た車輛工場に勤務していた友人が、
「”お迎え”がないと無理だ。」と言う。
 ”お迎え”とは、溝の角を少し斜めに削ることだ。そうすれば、多少の誤差があっても叩き込める。なるほどと思い、早速削り落とした。ゴムハンマで各5回くらい叩いたら、ぴったり収まった。

 角のあるものを組み付けるには、”面取り”が不可欠だ。面取りがしてないと角にぴたりと嵌まらない可能性がある。ほんの少しのバリがあっても組み付けられない。この話をある人にしたら、なんとそれは家庭科の教科書に書いてあるそうだ。意外な話だったが詳しく聞くと、大根を煮る時、角を落としておくと煮崩れしにくいそうだ。

chamfering さて、面取りの図を示す。面取りとは英語で chamferingという。図面上には”c”という記号で表される。正確に削られた直角の角などはまずないので、微細なカエリなどを吸収する遊びの空間が必要なのである。

chamfering 今度は”お迎え”の図を示す。こうすれば、多少の誤差を吸収できて組み立てが楽になる。特に複数のものを同時に嵌めるのは困難なので、これは助かる。この言葉も英語では chamfering である。”お迎え”は車体のフレイム組立の時に使う言葉のようだ。熔接仕事にはよく出てくる。

 

2015年12月01日

複捲表現の初出

先日、界磁コイルに中点タップを持つものを複捲と書いているものがあるとお伝えしたが、その初出がどこにあるのか、がなかなかわからなかった。
 先日来、伊藤 剛氏の蔵書の整理に掛かっている。その中に注目すべき本があった。
 西尾音吉氏の「模型電氣機關車と電車の作り方」 科學と模型社版 昭和十年十月二十八日発行 である。その中に複捲の話が出てくる。

”複捲キ即チフィルドヲ倍ニ捲イテ ソノ中間ヨリ口出シヲナシ 之ヲブラシュニ續グ 他端ヲ図ノ通リニスレバ・・・・・・”とある。

 西尾音吉氏には30年ほど前に椙山氏の紹介で会ったことがある。芸術家、いや宗教家といった感じの人で、観念論ばかりを話す人であった。
 その時、「機玄」という本をくれた。言わんとすることはわからぬでもないが、工学が抜けていると感じた。鉄道車輛は機械であって、芸術品ではない。

otokichi nishio この「・・・・の作り方」の中身を熟読すると不可思議なところが多い。どなたかがおっしゃる文系工学の教科書のようだ。ユニヴァーサル・ジョイントの位相は間違っているし、スパーギヤをウォーム・ホイールとして使う、空前絶後のアイデアも載っている。ウォーム軸をその進み角θだけ傾けて、ジグザグの駆動軸を持つ電車が紹介されている。

 以前、剛氏にそのことを聞いてみた。
「いやあれはすごいアイデアですが、走るかどうかは別問題ですね。みんなそういうものに飢えていたのです。すごいなーと言って喜んで見てましたがね。」
 その後の言葉は出てこなかった。 


Recent Comments
Archives
Recent TrackBacks
Categories
  • ライブドアブログ