2015年07月
2015年07月28日
走る鉄道模型
簡単に言ってしまえば、すべての面で摩擦を減らすことである。軸を細くして潤滑油が溜まる構造にするだけで、8割は解決だ。
友人の所で走るのを見ると、油を注してないことが多い。「油を注そうよ。」と言っても、その油注しがない。軸に適度の粘り気の油があるだけで、摩擦は激減するのだ。
フランジの形が悪く、ツバの全面がレイルヘッドに触っているような模型がある。これでは、曲線通過の抵抗が莫大だ。Low-Dを持っていたので、取り替えてみた。軸受はそのままで、大き目である。中でストレート軸が踊るような状態であった。それでも摩擦は激減し彼は驚いた。ピヴォット軸でないと駄目だと思っていたのだろう。4倍以上の牽引が可能であった。
この例はあまりにも酷い例であるが、 牽かれるものに無頓着な人は多い。日本で油を注さないのは、昔のTMSにピヴォットには注油不可とあったことに起因すると考える。余りにもよく出てきたフレーズで、油を注すことがタブゥになったのではないかと思う。
アメリカの事情はやや異なる。 入替えを楽しもうと思うと、軽く動くのは連結しにくいと言うのだ。また、「線路が水平でないと転がっていってしまう」と、まで言う。彼らは走らせている人たちである。
最近、博物館の建設現場に助っ人がよく来てくれている。筆者は週5日行っているが、そのうちの1日は、どなたかが来てくれる。重いものを動かしたりしてくれるので、助かる。彼らは、置いてある車輌が、余りにもよく転がるので驚いている。
無事であれば、アメリカに到着している頃だ。暫くの休載をお許し願いたい。
2015年07月26日
続 frog numbers
Fast Tracks の♯4のYポイントのフログ角は14.04度で、#8は7.13度である。すなわちどちらも簡易式での値だ。NMRAのRP準拠と言っているので、NMRAも怪しい。このままでは操車場の線が平行にならない。
以前にフランジの件で書いたように、NMRAにはまともな人材がいないようだ。いずれアメリカの雑誌に書いて、反応を見てみよう。
多少角度が違っても、線路を敷くときに少し曲げれば難なく敷けるのであろう。実物であれば、乗り心地が大幅に悪くなるので大問題になるが、模型であれば構わないということなのかもしれない。
しかし、きちんとしたものを売れば、その会社の評価も上がるはずだ。この会社には直接言ってみよう。改善されれば大したものだ。
先回のTMSの旧号はすぐ探せた。それを読んだ場所、時期がわかっていたので、その前後を探したら、ちょうど中心の6月号にあった。南海の凸電が表紙だ。鉄道模型に熱中していた少年期が思い出される。
他の記事も拾い読みしたが、ディテールをどうするかという記事ばかりだ。動力機構とか線路関係の記事などほとんどありはしない。この状態が50年も続いた結果が、現在につながっている。
細密な完成品がこれだけ豊富にあるのに、動力機構が素晴らしいと感じるものはまずない。どれもこれも、効率が悪く、音が出やすい設計のように、筆者には思える。ほとんどがギヤボックスがなく、むき出しの歯車をつけている。
ある先輩はこう言う。「日本の鉄道模型はフルパワーで30分走るとおかしくなる。たいていギヤが減ってしまう。」
そうだろうと思う。両方ブラスの歯車を使っているからだ。小さいほうを快削鋼にするだけでも20倍くらい持つ。もちろん潤滑は大事だ。油を差しても、走り出したら無潤滑の状態に近い。そろそろ気が付いてもよさそうなのだが、走らせている人は少ないのだ。
追記
fast track には優先車線という意味がある。アメリカの高速道路では最中央の1ないし2車線は優先車線であり、2人以上乗車の際には使える。一人で乗っていると捕まれば数百ドルの罰金である。
それを走るためのリアルな人形を売っているようだ。おそらく摘発されると大変なことになるはずだ。
高速道路上の実際の表記は少し変えて、Fast Trakになっている。
2015年07月24日
frog numbers
以前にも述べたが、フログの番手についての正しい解説は模型雑誌中、非常に少ない。
正しいことを書いた号もあったようだが、ほとんどは怪しい方法(いわゆる簡易式)を紹介している。
リンクされた2つの記事を全てお読みになれば、言わんとすることはお分かり戴けるはずだが、記事が長くて難解だというご意見も頂戴している 。気の短い方は【追記8】の部分だけ読まれると良い。それをさらに要約するとと、次の三つである。
a) 簡易式が紹介されることが多かったが、これは誤り。
b) 正しくは正規式で計算すべき。
c) ただし、シザーズ・クロッシングやY分岐を正しく構成するためには、#8〜#14までは正規式で計算するが、それより小さな/大きな番手は、正規式の値を倍/半分にする。
稲葉清高氏がすべての番手を正規式で計算するわけではないと指摘されたことは、分岐を単独でなく、組合せ使用する時の矛盾を解決する方便である。正規式でできた分岐のみを組合わせると、できた線形が平行にはならないのだ。つまり、実物の本線用の分岐には#4〜#7の片分岐などないという前提だ。こうなると、番手で指定するよりも、角度で指定するほうが面倒がなくなる。欧州ではそうしているという話もある。
稲葉氏の指摘は、極めてぼんやりとは認知していたような気がしないでもない。しかしその模型を作ったことがなかったので、詳細は詰めてなかった。シザーズ・クロッシングや今回初めて作るY分岐を設計すれば気が付いたのだろう。本物の鉄道会社あるいは製鋼所に勤務して、分岐の設計が仕事であれば、当然気が付く。
50年前のTMSの新製品紹介で、シノハラの♯4Y分岐の紹介があり、その簡単な解説を読んだときは非常にすんなりと理解した。それはその筈で、当時は筆者の頭の中は簡易式しかなかったし、その記事の解説も簡易式に基づいた(としか考えられない)説明になっていたからだ。
「左右それぞれ8番並の曲がり方をする。直線コースのない8番ポイントともいえるわけ」と書いている。
この♯4の角度は♯8の角度の2倍にせざるを得ない。角度を分度器で測るわけではないので、三角形の寸法を計算して角度を出す。微妙な角度差だが、作図するとはっきり差が出る。
レイアウトの建設現場で、また少し考えている。うまくいけば10線にできそうである。そうすれば、有効長が多少短くても余裕が生まれそうだ。友人の意見は、「建築限界は、まだ高すぎる。」である。
「大物車が来なければよい。」と言うのだ。そうすれば、かなり低くできる。「Hi-Cubeの貨車が入れば文句なし」、ということであれば、かなり助かる。写真はハイキューブをくぐらせたところである。
本線とは異なり、木製の足で支えた路盤であって、ネジ式のアジャスタをつけているので、勾配の変更はかなり容易だ。
2015年07月22日
Auel製の支承
最近の橋を見に行くと、鉄板とゴムを貼り合わせたブロック状のものを使用してあることが多い。それが平行四辺形にゆがんで熱膨張を逃がしている。おそらくそれは、地震の時などの撓みを逃がすこともできるのだろう。現実に建物用の耐震装置はそんな形だ。
これは Auel Industry という会社(Pennsylvania州 Irwin市にあった)が1950年ころに作っていたものだ。この会社は17/64インチスケールすなわち、実物の1 foot を17/64 inch にする精密模型(1/45.2)をダイキャストで作っていた。かなりの資本投下で大量生産したのだが、時代の趨勢には敵わず、創業者の死後急速に忘れ去られた。
プルマンの heavyweight の精密な客車などもあったが、現在の1/48に比べると一回り大きく、一緒に走らせるわけにはいかない。16輪のflatcarもあった。このリンク先の写真はHOであろう。これは木材のような密度の小さいものを積む目的の車輛ではない。
Auelの貨車は幅が広いので、それを縦割りして幅を4mmほど縮めて使おうと思ったが諦めた。スパン・ボルスタだけ使って、先日の大物車(MTH製)の改造をした。その形はすばらしく良く、実感的である。二軸台車の側受けを押さえる部材まで表現してある。一方、MTHの既製品のそれは、まるでオモチャである。
車輛はともかく、ストラクチュアは十分に使える。この支承はよくできている。ピン(軸)で受けるタイプのものだ。これを改造すれば、ローラー式の可動支承に作り替えられる。
アメリカで実物をいくつか見たが、地震のない国で、外れるということに関心がないようだ。低い堤防状のガイドがあってその中で動くようになっている。日本のは、何があっても外れない構造である。
この部品はずいぶん前に友人から貰ったのだが、使う機会がなかった。今回の鉄橋の支持台として活用することになった。ダイキャストのシーズンクラックが心配であったが、全く問題ない高品質のものだ。
このAuelの発音は難しい。人名である。カタカナで一番近そうなのは”オール”であろう。
2015年07月20日
続 隠しヤード
所属クラブの例会をたまにここで開きたいという要望を受け、了承したからだ。例会用の組立式レイアウト(HOなど)を置くスペイスをあらかじめ決めておかねば、後になってから、「ここは隠しヤードの勾配線になるので小さくしてくれ」とは言いにくい。
最初に用地買収をしておかねば、あとあと困るのでヤードのスペイスと機廻り線、デルタ線の場所を決めた。
近日中に彼らは測量に来て、新レイアウトの線路配置を決めていくであろう。新レイアウトは組立て式である。当博物館に収納する。
鉄骨でできた支柱に勾配線の受けをつける作業は非常に簡単である。インパクトレンチがあれば、ドリルビスで一発で締付けられる。ドリルビスの刃の部分は極めて硬い。一回しか使わないので、思い切り硬く熱処理がしてある。一方、いわゆるドリル刃は繰り返し使うことを前提にしているので、刃には靭性が要求される。欠けたりしてはいけないのだ。刃先角も吟味している。
ドリルビスは硬さだけしか考えていない。2 mmの軟鋼板を通過すれば用が済むので、10秒ほど持てば十分である。刃先が欠けても問題はない。
ドリルビスがあまりにもよく切れるので、ドリル刃の代わりに使っていたら、10回くらいで全く切れなくなった。虫眼鏡で見たら、やはり刃先が欠けていた。
ドリルビス以外にも、よく似たものでピアスビスがある。作っている会社が違うので登録商標が異なるのだ。先端に刃がついていないタイプも使う。薄板を重ねて留める時に使うのだ。角スタッドを組むときに多用した。先端の円錐についているネジが食い込んで穴をあける。相手が薄い軟鋼板だから、押し付ければへこんで、食い込むのだ。まさかとは思ったがよく効くネジだ。
鉄骨に合板などの木材を留める時にはこの羽の付いたドリルネジを使う。使うとその威力には驚かされる。普通のネジ(羽がついていない)を使うと、木材にもネジが効いてしまい、鉄骨に穴をあけているときにネジ頭がめり込んでしまって役に立たない。仕方がないから、ドリルを逆回転させながら押し込んで、木材のメネジを完全につぶしてしまう。そうして鉄骨部のネジを立てるという面倒な操作をしていたが、このネジは羽が木材を拡げて、ネジを効かなくする。鉄骨にネジが立って食込むと、羽が折れて奥まで入る。実によくできたネジで、一回使うとそのありがたみがよくわかる。
2015年07月18日
隠しヤード
Oゲージでは長さが 7 m もあり、それを正確に動かすのは難しい。長いと撓みを生じるから、剛性のある支えを作らねばならず、その質量はとんでもないものになる。今回、振り分け線を可撓式にし、フレクシブル線路で左右に振って解決する方法を考えたが、様々な点で難しい。入替の機関車がB-Bのような柔軟な軸配置の場合は良いが、固定軸距離の長い5軸の重い蒸気機関車が来ると、可撓性の線路は真っ直ぐに伸びてしまい、末端部のアラインメントが狂い、用をなさなくなるからだ。
結局、よくあるポイントによる振り分けを採用した。#4のY分岐は#8のフログの2倍の角度で作らねばならない。左右均等の振り分けにしたので、ヤードの全長は短くできる。本当は、直線から等角で平行に枝が伸びるタイプが好きなのだが、仕方がない。写真はポイントの型紙を仮置きしたときの状態である。
ヤードの手前に分岐があるのは、機廻り線の帰りである。機廻り線にはデルタ線を設置して、機関車は向きを変えて出られるようにしたい。このあたりは機能のみの発想で、現実的かどうかは一切考えない。どうせ見えないところであるから、それでよいだろうと思っている。ただし、TVカメラを置いて、機関車の位置は把握する必要がある。
ヤードの入り口にはtell-taleをつけるつもりだ。貨車の中には積み荷などで背の高いものもあるので、それが高架部に激突するのを避ける装置だ。実物のテルテイルは、SANTA-FEの延長煙突をひっこめるのを忘れてトンネルに入るのを防ぐなどのために設けられた。鉄の鎖をたくさんぶら下げたものだ。ぶつかるとかなりの衝撃があったろうと思われる。多少は柔らかいロープをぶら下げたものもある。
模型の場合は光電式にして警報を発すると良いかもしれない。
2015年07月16日
続 博物館工事進行状況
隠しヤードへのスロープを作った。当初1.6%だったが、1.9%にしないと、ヤードの有効長が稼げないことがわかって、急遽作り替えた。これでも分岐の途中までは勾配線の中だ。
ヤードは8線で、最初は#4 Y分岐である。そのあとは#8分岐をそれぞれ3台ずつ付ける。枝線の先端は障害物を避けて少し曲がる。
本線のような吉岡式道床ではなく、合板の上にフレクシブル・トラックを、ゴムを介して敷く。そうしないと本線の下をくぐる時に、深い位置に基盤を作らねばならない。吉岡式道床は30 mm あるので、それを用いると基盤を低くせねばならなくなり、その下を通るのが困難になる。少しでも薄いほうがよいという判断だ。
建築限界は最低限にする。普通の客貨車が入れば良いので、ぎりぎりの高さにしてある。
隠しヤードは楽屋裏であるから、人に見せるものではない。貨車等をしまっておくところである。それを引き出すのに、ガラガラゴロゴロ音がするのは許せない。だから、5 mmのゴム板を置き、その上に道床型樹脂を敷いて線路を敷く。非常に静かになるはずだ。
本線部分は不測の事態に備え、多少の余裕をみた建築限界を持っているが、ヤード部分は最低限である。例の大物車の上端から2 mmしかないが。普段その貨車は、そこには入れないことにする。
2015年07月14日
博物館工事進行状況
橋の部分はオフセットして、abutment(橋台)を作る準備をした。支えとなっているスティールの棚には筋交いを入れて剛性を高めた。3×25の鋼板をネジ留めしただけである。高架部分は28 mmの合板を用い、継手も同じ板を用いて、接着剤とネジで固着した。
南から見てみよう。ターンテイブルの座標が確定したので、そこに線路を置いてみた。右上のほうから降りてくる線路は再設計している最中に撮ったので、続き具合がおかしい。現在は設計が完了したので、不自然さはなくなっている。
高架に沿って廻り込んでいるのは、整備工場への分岐だ。本当はもう少し本数がほしいのだが、これが限界だ。空いているスペイスに何か欲しいのでそれを置くことにした。
建築限界を調べている。この大物車は、当鉄道で一番大きく、125 mmの高さがある。高架部は203 mmある。レイルの高さが51mmなので、30 mm 弱のクリアランスがあることになる。直線の線路ならば、レイル高さは3 mm強低くなる。
2015年07月12日
続 double slip
先回魚田氏のレイアウトのことを持ち出したが、彼のスケッチを見たことがあるのは、たぶん筆者だけだろう。驚いたのは、敷地の対角線上に最大限の長さでヤードを置き、それにダブルスリップが5連置いてあった。
「このダブルスリップはどこで調達するの?」と聞くと、筆者に作らせるつもりであった。当時はアメリカに、そのような特殊スウィッチ専門の職人がいたので、「そこに頼めば?」と話を逸らせたのだが、しつこく頼まれた。
何とか逃げようと思っているうちに、悲報を受け取った。
魚田氏は、ダブルスリップの価値を見抜いていたのだ。シカゴに行ってたくさん連なった現場を見たらしい。写真集もよく見ていて、「こんな便利なもん、他にあらしまへん。たくさんつこうて、楽(らく)しますわ。」 筆者のレイアウトに来て、電磁式解放ランプの作動状況を調べていた。
ハンプを作ってリターダを働かせるアイデアを紹介すると、早速線路配置を少し変えていた。やるつもりだったのだろう。そのリターダは圧縮空気の噴射でブレーキを掛けるものである。50年代のMRにアイデアが紹介されていた。
Low-Dのピヴォット軸なら、実感的な運転ができそうだ。実は今回のレイアウトで。それをやりたかったのだが、スペイスが少し足らない。
隠しヤードの脇にそれを作りたかったが、地下への斜面がかなり長く、場所が足らない。残念だ。先週はその斜面を作った。結局、勾配は1.9%とした。緩くすると、地下に下りた時には、すでにヤードの有効長を消費してしまっている。
2015年07月10日
double slip
建設中のレイアウトにはダブルスリップがある。もう一つ必要になってきたので、工程表には書き込んだ。ある人が、「都市部にはダブルスリップが有用なのはよくわかるが、田舎にもあるのだろうか?」という質問をされた。土地に余裕があれば、その必要はないはずなのだが、現実にはあった。ダブルスリップは便利なのだ。ヤードの入り口にあると助かることが多い。
この写真はワイオミング州シャイアンのヤードである。ダブルスリップの8連がある。シャイアンは大変な田舎で、スぺイスを節約する意味などない。しかしこんなヤードを持っていた。今はなくなってしまっているが、この写真が撮られた1950年頃まで稼働していた。
そういえば、昔小田急線の海老名駅のあたりにも、ダブルスリップがあったように思う。当時は大変な田舎で、スペイスを節約する必要などないと思った。昭和40年ころの話だ。
高層ビルを出て、すぐのところに阿倍野防災センターがある。面白いと評判なので、行ってみた。地震で壊れた街並みを再現してある。近づくと物が落ちてくる様子も再現され、なかなかリアルである。このような映画撮影のセット風のディスプレイは最近は非常にリアルである。以前新横浜のラーメン博物館を見たが、ここより20年も古く、そのテクニックはやや差があることは否めない。
起震装置で、神戸の大地震の地震波を再現するのだが、最初の縦揺れが凄い。あの2回の縦揺れで、ほとんどの古い建物が壊れたのだ。魚田真一郎氏の早すぎる死を思い出し、しばし瞑目した。
彼が生きていたら、神戸にも60坪のレイアウトが完成していたはずだ。あの年の春、新しいビルを建てる予定だったのだ。昭和30年ころの鉄骨のビルは崩れ、彼の夢は断たれた。残念でならない。
近鉄南大阪線の誤りであった。
2015年07月07日
地名、人名
正直なところ、現地の発音はカタカナに当て嵌めることができないものが大半だ。日本の地図、辞書などの表記は明治時代から大して変わっていないだろうと思われる。
アメリカで気づいたのは、地名、人名ともアクセントが大切だということである。それはシラブル(音節)の中のどれが一番大きな音かということに過ぎない。
ジョン万次郎はhundredを「はんずれ」と書いたそうだ。「はん」と「ずれ」の二音節であることをよく理解している。
東部に行ったときに一番驚いたのは、Philadelphiaの発音である。「デル」以外聞こえないことが多い。要するに、アクセントのある音さえ聞こえれば、用は足りるのだ。Wilmingtonも「ウィ(ル)以外あまりよく聞こえない。発音していないのではないかと思ったぐらいだ。Pennsylvaniaも「ヴェイニア」以外は弱い。
Mississippiは1番と3番にアクセントがあるが、後のほうが強い。Cinncinatiは後ろから2番目にアクセントがある。
法則性をいろいろと考えたのだが、アメリカの地名にはアングロサクソン系の地名、フランス系、スペイン系、ドイツ系、インディアン系等があって、残念ながら統一法則はない。スペイン系の名前はたいてい後ろから2番目にある。
困るのは綴りから推測しにくい発音だ。たとえば、Readingはレディング である。「リーディング」とアメリカ人でも間違う人もいるそうだ。Wikipediaにも書いてあるが、単なる豆知識で、掲載する価値があるとも思えない。この記事は以前にも述べた「娯楽」の範囲に入るのだろう。
ネヴァダ州にBeattyという小さな町がある。この発音はベイディである。母音もありえないし、TをDと発音するのは不可思議だが仕方がない。地名とはそういうものだ。
カリフォルニア州の砂漠にZzyzxという地名がある。ありえない綴りだが、発音はザイズイックスである。これは辞書に載せれば最後になるような綴りを考えてつけたようだ。
先回のBucyrusの発音は、その隣の町出身の友人がいて、クイズとして出されたのが筆者との最初の出会いだ。その時、「あれ、君知らないの?君の好きなものに書いてあるよ。」と言うのでクレインの製造会社だと気付いた次第だ。
2015年07月05日
Bucyrus-Erie
日本人には発音が難しい会社名である。カタカナで一番近そうな音はビューサイラス・イャゥリである。前半はオハイオ州ビューサイラスにあったクレイン製造会社名から、後者はErie Steam Shovel社から来ている。後半は「エリー」ではない。耳のイャにRiの音をつなげばよいのだ。"R”の音を出すコツは、小さく「ゥ」を付けてゥリーと言うのである。writeのつづりを見れば、”w”がついているので、その通り発音すれば、それらしく聞こえる。
スティーム・シャヴルで有名なMarionも昔に吸収合併されている。
この会社は、世界中のほとんどすべての鉱山会社に製品を納めている。浚渫、坑道採掘、露天掘りなどの大半の用途を満たす掘削機、運搬機械を作っている。だから鉄道用クレインは、ほんのわずかな生産額であるそうだ。
筆者がアメリカに居た頃に、UPにこのクレインが導入された。どういうわけか、今までの銀色あるいは黒ではなくて、緑色であった。その色がなかなか良くて、たくさん写真を撮ったのだが、見つからない。いずれ出てくるはずだが、とりあえずWeb上からお借りしている。
模型も買ってしまったので、色を塗れば完成できる。ところが、少し欲を出してしまい、DCCですべてのファンクションを動かしたくなり、結局挫折して止まっている。諦めて手動にすれば良いのだが、なかなか思い切れない。アウトリガを張り出さないと倒れてしまうのも、挫折の一因だ。模型はKTM製なのだが、台車のバネが柔らかく、上が重いので走らせると非常に不安定である。バネを硬くした。
ついでに、このクレインにつながっている車輛を順に紹介することにしよう。これは作業員の宿舎で、10人収容と書いてある。出動した先の地名を付けて、○× Hiltonと呼ばれていた。中を見せてもらったことがあるが、外見からの判断より、意外と快適そうであった。シャワールームとトイレの付いた車輌も用意してある。上に飛び出したのはエアコンである。いわゆる冷凍機がついていず、水を流してそれを蒸発させ、その気化熱で直接冷やすタイプである。砂漠地帯ならではの工夫だ。evaporative coolerと呼ぶ。水の中のカルシウム分が析出して、内部はがりがりである。木の繊維でできた綿状のものに水を滴下させているので、その替えをたくさん用意している。
枕木を載せた車輌である。こういう状態でたくさん運んでいく。壊れた線路を横に放り出して敷き、とりあえずの開通である。新たに砂利を持ってきて、タイ・タンパで突き固めるのは、しばらく先である。
軌框の状態で運ぶこともある。
脱線の現場で作業が長引きそうなときはbusiness carが置かれる。これは現場監督が乗っている。かなり豪華な設備で、衛星電話を持っていた。
2015年07月03日
脱線の復線作業
この場面に出てくる車輌(非鉄道車輌)はすべてゴムタイヤかゴムで保護した履帯(いわゆるキャタピラ)を付けている。レイルの上を走ってもレイルを損傷させないようになっている。
車体を持ち上げる機械がある。大きなカウンタ・ウェイトを反対側に張り出して釣り合いをとっている。脱線しただけで転覆していなければ、この機械が2台あれば、復線できそうだ。このタイプの機械は初めて見た。(1分55秒あたり)
クレインはそれ自身が鉄道車輌である場合と、ゴムタイヤが付いたトラッククレインがある。後者は現場ではラバータイヤとしか言わない。はじめ、何のことかわからなかったが、現場ではそう言う。線路に乗り上げたりしてかなりいろいろな使い方ができる。
この脱線ではレイルが横倒しになっているので、車体の前方だけ持ち上げて、引きずっている場面がある。レイルがまともに立っているところまで行かないと、復線できないからだ。枕木の上を走る台車が、かなり無茶苦茶な動きをする。倒れたレイルを引っ張って、少しでも起こそうという様子も見える。(15分01秒あたり)
昔、UPの沿線に居たので、脱線情報があるとすぐに見に行った。ラバータイヤが大活躍だった。いつも友人から電話がかかってきて、脱線場所を教えてくれた。彼は無線を聞いているのだ。
鉄車輪のクレインもよく出動するらしく、車輪はぴかぴかだった。日本の操重車が錆びついているのとは対照的である。控車の次は軌框を積んでいた。替えの枕木や、仮台車、照明装置、燃料、作業者の休憩施設を積んだワークカーがつながっていた。
見に行くたびに止まっている位置が異なっていたので、よく出動していたらしい。
一度まったく帰ってこない時期があり、どうしたのかと思ったら、ハイウェイ(街道であって高速道路ではない)をくぐる部分で脱線転覆があり、高架の道路をすべて吹き飛ばして、貨車50輌ほどが横転していた。幸いにも自動車の方は怪我人はなかった。仮の踏切を作ったので、半年ほどそれを利用した。
2015年07月01日
続々々 easement
倍の半径を持つセクションを挿むようになっていて、角度も1/2になっている。複線を想定しているから大したものだ。果たしてどの程度売れているのだろう。
筆者が建設中のレイアウトの緩い reverse curve (Sカーヴ)には大半径の円曲線を順次細かくはめ込み、曲率を逓減させている。その最大半径は10 m以上ある。この部分は通して見たときに違和感がないように、かなり丁寧な設計になっている。施工もCNCで切り出してあるので正確である。以前にも述べたように、カントも正確につけることができた。
また、線路敷設用に定規をレーザで切り出してある。それをはめて線路を固定すると、きわめて正確な曲線が簡単にできる。
Armstrong氏はこの種のカーヴをCosmetic Curveと名付けた。単に直線にしても良い部分なのだが、緩やかな曲線にすると列車がうねりながら走り、感動的な場面となるはずだ。
本線上はカント、緩和いずれもつけてあるが、構内の配線には全くついていない。 また、隠しヤードへの勾配線にはカントなしである。勾配は1.5%であるから大したことはないが、半径がやや小さく2600R程度であるから、内側に引き込まれて脱線することがないようにという配慮である。逆カントを付けるほどではないが、多少は配慮が必要であろう。隠しヤードは10線で200輌以上の収容力を持たせる。機能だけを考えるので、かなり簡略化した構造となる。
隠しヤードはレイアウトの下に吊り下げる構造となる。事故時の対応を考えると、十分な照明と手の入るスぺイスが必要である。すべての線ではないが機廻り線を付けて、機関車を戻すようにする。途中にデルタ線があれば、転向も同時にできる。レイアウトの高さが1200 mmであるので、隠しヤードの路盤面は950mm程度になる。走行させるわけではないので、作りは簡便な形とし、ゴム板の上に線路を直接敷く。ゴム板の在庫は80 kgもある。これを有効利用したい。