2015年06月
2015年06月29日
続々 easement
短い貨車たとえばore carばかりの編成だと、緩和曲線がなくてもそれほど不自然な曲がり方はしていないように見える。ある程度長い客車列車を緩和なしの線路に通すと、クキクキと曲がって変である。
そこに大半径の円曲線を挟んでやると、かなり緩和されて、気持ちよく走る。その半径の大きさは車体長(厳密には少し違うのだが)に関係があることがわかる。
吉岡氏の研究によると、基準半径の1.5倍の半径を持つ線路を挟むだけで、ほとんどの場合有効だそうだ。
このレイアウトに敷く線路は、曲線が円周の15度分に相当する。すなわち24本組だ。緩和部分は7.5度分である。ちょうど客車の長さに近い。
15度÷7.5度=2である。緩和を2本挟んで、基準円の一本分を外せば、小判型の線路の半分ができる。
市販の線路にこのような方法のものがあると良いのだが、見たことはない。
建設中のレイアウトの本線には緩和もカントもついているが、側線にはつけていない。速度が遅いからだ。縦曲線は直線部分につけた。
橋以外の路盤が完成した。高さのチェックをしてシムを挟んだ。Dr.Yに手伝いに来て戴いたので、手早く済んだ。レーザの光を物差しに当てて見ているところの写真である。
2015年06月27日
続 easement
彼は建築屋さんなので、この種のcantilever(片持ち梁)の撓みの計算などはお手の物だ。記事を見せると、先回も出てきた式を直ぐ導き出し、いろいろな場合を想定して、コンピュータ画面で見せてくれた。記事中、図の定規の向きが反対であることを説明し忘れたのだけども、すぐにこの図は間違っていると気づいた。専門家であるから当然だろうが、筆者が言い忘れても直ちに見破ったのは、さすがだ。
彼の説明である。
梁は重力場の中にあって水平であると仮定する。梁には質量があるから、その全長に亘ってその重さを積分しなければならない。すると三次曲線から大きく外れる。それでも三次曲線にしたいなら、梁をだんだん細くしなければならないと言う。
やはり、彼は現場でいろいろな場合を見ているので、非常にプラグマティックだ。その細くする関数はかなり難しいけれど、結論としては指数関数であるそうだ。もっともこれは撓み量が目に見えないぐらい少ないときの話で、先回の話のように、撓み量が大きいと外れて来る。
数学というものは面白いもので、素人には想像もできないような現象を計算して予測することができるのだ。
ここまでは重力場の中の話であって、これから記事の中身に戻る。
MRの記事にある、重さによる撓みを無視することができる横方向の撓みについても見せてくれた。もちろん細くする必要などない。
彼も同じことを言った。
「大きく撓むと駄目です。バネはいけません。」
これが5年前のことだ。その結果をいろいろな人に伝えたところ、面白がる人も居たが、聞く人の取り方にはいろいろあるらしく、三次式なのがわからないのかと御立腹の人も居る。世の中は単純ではないのだけども。
先回の数理工学の先生の口から出たファンタジィという言葉には感銘を受けた。様々な問題点がそこに集約されていると感じる。プラグマティズムとは対極の方向にあるものだ。
2015年06月25日
easement
同時に数理工学という恐ろしく難しそうな分野の先生をしている友人にも、コピィを送って評価してもらった。彼はもともと建築科の出身で、数学を使って様々な自然現象を解明するのが仕事である。
会って解説してもらったが、がっくりきた。
「一言で言えばファンタジィ(おとぎ話)だね。本人は正確だと思っているし、理屈が通っているはずだと確信しているけど、正確とは言い難い。向きが反対とかそういうことは置いておいてもおかしい。 」
書いてくれた数式は見かけ上、三次式だ。
「しかし、この式の中の定数が曲者だ。本当は定数ではないのだよ。しかも、それが定数だとしても、変位が大きいと外れてくる。十分に正しいと言えるのは、変位が目に見えない程度の範囲だ。この図では明らかに曲がっているだろう。こうなると無茶苦茶だ。」
与えてくれた式は、有名な式なのだそうだ。もともと梁のような構築物の撓みを近似する式で、このようなバネ状のものを想定しているのではない、と言う。
「ところで、君はこれで何をしたいわけ?」と聞かれた。
「模型の鉄道の直線から曲線への移行部分に使いたい。」と言ったら、
「なーんだ、そんなもの、コンピュータで簡単に描けるだろう。外注すれば、レーザで三次式でも正弦曲線でも、たとえクロソイド曲線でも、すぐ定規を切り出してもらえるさ。くだらないことを考えるなよ。時間の無駄だよ。」と蹴飛ばされてしまった。
実は、この件には伏線がある。
2015年06月23日
MRの整理
今回の本棚には低い棚がたくさんある。これはこの種の雑誌の収納には適する。平積みで見やすいし、雑誌の傷みも少ない。写真に写っている平積みだけで26年分以上ある。その他合本を合わせて約50年分は手に取りやすいところにある。古いものは触るとばらばらになるものもあるので、開架しない方針である。
こうやって並べると、時代の流れがわかる。広告が多くて分厚かった時代から、ディジタル化が進んでペラペラの時代への変化だ。経営は苦しくなったのだろうか。
整理していると、昔挟んだ栞があって、思わず開いて見入ってしまう。これには見覚えのある方は多いはずだ。
60年以上前から、このようなメカニズムを作っていた人があるのだ。この頃のアメリカのOゲージでさえも、モータの性能は良いとは言えず、より滑らかな走りを追及する人が作ったのである。低速でのトルクが小さいモータでも、滑らかに発進できたのだ。
この時代の日本の16番は走りが悪かった。小さいモータは、機関車それ自身が走る程度の出力しかなく、車体の小さい日本型16番には大変苦しい時代であった。だからこそ、70年代にシカゴで会った元進駐軍の将校は、「日本はSスケールを採用すべきだった。」と言ったのだ。
大きなOゲージは、このクラッチの成果を十分に堪能できる。Kleinschmidt氏に頼んでおいたけど、ちっとも送ってこないので、自分で作ってみることにする。ボールベアリングを入れて完璧な構造にしてみたい。大きめのフライホイールを付けると面白い走りとなるだろう。
2015年06月21日
続々 Promontory Point を訪ねて
岬の先端の丘の上から東を見ている。遠くから貨物列車が走って来たのが見えた。慌てて丘の上に車を進めて写真を撮った。まったくの平坦線なので、機関車は少なく、前2輌、後1輌であった。
眼下を走り去っていく。低い位置にあるNゲージのレイアウトを、立って見ているようだった。この辺りは塩が析出して、塩砂漠となっている。
ずっと先の方に行くとS字のカーヴを描いて元に戻っているはずなのだが、よく見えない。
岬の先端部分だけ複線になってすれ違いができるようになっているが、Lucin Cutoff その物は単線である。
大変な苦労をして見に行ったのだが、さしたる成果もなく引き揚げた。
2015年06月19日
続 鉄橋
新レイアウトはアメリカの鉄道を主題としているので、橋は当然アメリカのデザインになる。日本には少ないがBaltimore Truss にしようと思っている。筆者の好みである。これは圧縮材に座屈(buckling)が起こらないように補助を入れている。日本には例が少ない。あっても上路型である。
手で作ると大変面倒な形であるが、レーザで切れば、楽である。
ガセットプレートはブラス製でリヴェットを押し出す。このような仕事にもってこいの道具があるので、それを利用する。いずれ詳細については述べる。
橋台には熱膨張を逃がす装置が必要である。かなり大きなものになるので、省略はできない。枕木は正確に切り出してカントを付けて並べねばならない。その工法については、検討中である。
たかだか600 mmの橋ではあるが、専門家が見てもケチがつかない程度に仕上げたい。前回のNゲージの鉄橋は、高さがまったく足らないとのことである。それと、これには大きな忘れ物がある。門構えのところは良いが、中間部に筋交いに相当する部品がない。だから非常に寂しい感じがする。
この写真の縦横比を変化させてみた。順に、高さを100%、130%、150%、170%とした。どれが良いだろうか。
2015年06月17日
鉄橋
伊藤剛氏は、高速道路の橋を見るたびに、「軽くて良いなー」と思ったそうである。曲がった橋を見て、「自動車は軽いんだね。せいぜい30トンだからね。」と仰った。
「『鉄道模型の橋の曲がったのを作るのは間違い』とある本に書いてありますが、勘違いで曲がったガーダ橋を実際に作った人がいます。」と言うと、
「機関車が100トンもあることなど知らないんですねー。落ちてしまいますよ。」 と苦笑いされた。
作るべき橋は全長650mm、複線で曲線上にあるから、幅は少し広くなる。 カントは枕木に付けねばならない。厚さの異なる鋼板をレーザで抜いて積層する。そうすれば、やや複雑な断面も、容易にできる。接着剤で付けるつもりだ。脱脂してあれば、驚くべき強度で接着できる。細かい部品もすべてレーザで抜いて取り付ける。
ガセットにはリベットを打ち出して貼り付ける。
問題は色である。どんな色が良いか、土屋氏に聞くのを忘れた。彼は無彩色を勧めるはずである。 黒か銀にするつもりだ。
隣に置くガーダ橋はすでに材料を調達し、作り始めるところである。上路式にするつもりだ。
Nゲージの複線鉄橋を見た。どうも弱そうな感じがする。背が低いのだ。機関車を通すのには無理があるように思うのは筆者だけだろうか。歩道橋なら可だ。この橋が実物のどの橋を模型にしたのかを知りたいものだ。
2015年06月15日
organizing bookshleves
中には見たこともない雑誌があって、驚いた。土屋氏は丹念に鉄道関係の雑誌を集めていらしたのだ。
その作業後、人数が居ないと出来ない作業を手伝ってもらった。それは6 mもある鋼の帯板をレイアウト路盤の24 mm合板に取り付ける作業だ。4人で持ち上げて押さえ、40 mmのネジで留める。
この部分は本棚の上を通過するのだが、オウヴァハングになっていて、下を車椅子が通過できるだけの幅を確保している。立っている大人は目の高さを列車が通過するのを眺めることができる。その時、せり出し部に手を掛けたりする人が居るだろうから、一応、大人一人の体重が掛かっても安全な設計にした。
本棚から角パイプで骨を出し、それに合板を固定したが肋骨状の骨だけでは、荷重が一本に集中してしまう。
棚部分の先端の全周を鋼板でつないでしまえば、荷重が一点に集中することがない。すなわち、走行時に路盤が波打って脱線ということから逃れることができる。
完成後ぶら下がってみたが、3mm程度の変位であったから、十分安全圏に入っているものと思う。この部分にはアクリルガラスの防護壁が付く。
この写真左の赤いファイルはNMRAのBulletinである。毎月送ってきた会報である。
70年代のものがまだかなり残っていた。80、90年代のものは、かなり捨ててしまったように思う。たまに見てみると思わぬ情報に接して、のめり込んでしまうことがある。
2015年06月13日
rock texture
トラス橋とつながっているので、接続部にはピアも作らねばならない。pierはいわゆる橋脚である。比較的短い橋なので、垂直荷重だけ考えればよい。長い橋だといろいろなファクタを考える必要があるのだ。
アメリカの重量級の橋を調べている。細い橋では実感が湧かない。それなりのデザインが必要だ。当分は仮の橋でまかなう。
ヤードの横を走る高架部分は微妙にオウヴァラップしていて、気分が良くないので、路盤の縁を切り落とした。その部分は岩壁を作り、垂直に近い傾斜を作って逃げる。
堆積岩が層をなしている場面にはよく出会う。筆者の地下のレイアウトにはそれが数メートルにわたって作られている。作るのは簡単で、天井材を手で割って、木工用ボンドで貼り重ね、それに水性ペイントを層に沿ってこすりながら塗り重ねればよいのだ。摩擦で角の部分が丸くなり、簡単にそれらしくなる。層理が水平では面白くないので、破片を挟んで傾けてある。なかなか具合が良い。角度が一定では面白くないので、破片を挟む位置を加減して波打たせると実感が出る。
天井材は安いものである。原材料はセルロースとロックウールで、それに防火剤を含ませて成型してある。工事現場で捨てられるのを、大工に訳を話して貰ってくる。喜んで渡してくれるはずだ。場合によっては半端物を箱ごとくれる。 筆者のところにはそれが3箱ある。
2015年06月11日
laser level
今までは路盤の高さをオートレヴェルと云う望遠鏡(右)で見ていた。向こうに短い物差しを立て、それを覗いて見る。目盛を読み取って、「あと何ミリ下げる」と言うと、向こうに居る人がクランプを緩めて調節する。目盛が合ったところで、熔接するわけだ。必ず二人要るので、助っ人が来た時の仕事である。
この器械を貸して戴いているので、その仕事は一人でもできる。レーザ本体を分厚い定盤(じょうばん)の上に置き、レーザ・ビームを出す。物差しを現物に当てて、レーザの位置を読み、目的の数字になるように上下すればよい。大変なスピードアップだ。
電池もかなり長持ちする。すべての仕事が終わった後で、路盤に沿って物差しを当てながら歩くと、水平が出ているかどうかはすぐわかる。今までは、完工検査は実際の作業と同じ手順であって、面倒なこと、この上なかった。疲れていると、いい加減になってしまう。
高架部分の水平が出た。ここが水平でないと、間違って列車を流出させて大事故を招く。そういう意味で、大切な部分である。各種の厚さのシムを用意し、補正量を挿入する。重い材料であるので、肩で持ち上げて差し込む。
二期工事の隠しヤードへの入り口の勾配も計算して、見当を付けた。工事は当分先になるだろうが、目論見は必要なことである。200輌ほどの容量を要求されている。隠しヤードに列車を入れておかないと、いちいち車輌を線路に載せなければならないので、事故の元である。運転の便を考えて、機廻し線も用意するつもりだ。
2015年06月09日
続 wheel counter
ところが最近、レイアウト建設で助けて戴いているnortherns484氏が大変興味深い事例をお知らせくださったので、それを紹介する。
これは、O Scale Meet 2010でご一緒させていただいたときに見たものですね。懐かしく思い出したので、ちょっと調べてみました。
次の掲示板のアーカイブの中に、Rock IslandのCouncil Bluffsで働いていた人の1956年12月当時の思い出が書かれています。この中に、1)Wheelage Charge(要するに橋の通行料金)を決めるために、Axle Counterを使っていた、2)UP、RI、C&NW、CGW、Wabash、MILW、IC、たぶんCB&Qのそれぞれの鉄道に別々のカウンターがあった、とあります。 この投稿に対して、もっと詳しく教えてくれという返信があるのですが、その後が続いていないのが残念です。
もう一つ、Popular Scienceという雑誌の1926年6月号 の55ページに面白い記述があります。Council Bluffs在住のMichael O’Connorという人が、それまでの17年の間(つまり、1910年ごろから?)、Wheelage Chargeを決めるために、件の橋を通過する列車の車輪を数えていて、その数は一日3200にもなった、とのことです。当時は信頼性のある数字を自動的に算出する手段がなかったからでしょうが、来る日も来る日も通過する列車の車輪の数を正確に数え続けるには、相当の集中力が必要だったことは間違いありません。
もうこれで決着がつくものと思う。他にもいくつかの項目についての問い合わせもあるのだが、足で稼いできた情報よりも、雑誌で見つけることができないから怪しいというのはいかがなものか。その雑誌が模型雑誌や趣味誌では話にならない。
まず製造元のカタログとか特許を調べるのが筋であろう。
2015年06月07日
続 Promontory Point を訪ねて
昔は複線のようだったが、列車本数が少ないせいか、単線である。半島の西北の方に行ってみたかった。西側には砕石を採取した穴があるはずで、その写真を撮ろうと思ったのだ。ところが鉄条網が張り巡らされて、半島西側には行く方法がない。
25年前には何の問題もなく入ることができ、岩石の見本を持って帰ることができたが、時間の経過とともに、徐々に制限がかかってきたのだ。
東の方はcausewayという感じがしない。線路の左は陸地になり、さらに北側には塩田が広がる。
岬の突端には例の家具屋の作業場があり、材木を加工して並べてあった。広げて置けば、雨にあたって塩が抜けるという期待であろう。切れ端は山になっていたので、記念に少しもらって帰った。
なめると塩辛い。これで家具を作ると、現地ではよいだろうが、日本では塩の中に含まれるマグネシウムの影響で多少潮解性があるかもしれない。すなわち夏は、じとっと湿る可能性がある。
小一時間そこにいて、何本か列車の写真を撮り、また同じ道を通って帰った。帰り道、大きな鹿が道路を悠然と渡った。当たれば大事故であろう。途中には農家が3軒ほどあった。そこに住んでいると、町まで出るには2時間近くかかる。それでもそこから離れたくない人がいるわけだ。一応電力は電線がつながっているから供給されている。しかし、雪などで停電することはありうるだろう。大変な生活だ。
2015年06月05日
Promontory Point を訪ねて
途中、休憩所があるわけでもないので、水を持っていかねばならない。道は一応舗装されてはいるが、草が舗装を蝕んでいる。野生動物がちょろちょろ出てくる危ない道である。大きな動物もいるので、よく見ていないとぶつかりそうになる。この写真は東を見ている。
プロモントリィ半島の根元には、旧セントラルパシフィックの線路があるが、ほとんど砂漠と区別がつかないところが多い。
半島の先端には湖を渡ってきた線路がある。たまたまやって来た貨物列車を写した。平坦線なので機関車が少ない。東の方を見ている。
最先端の波止場まで行ってみる。たくさんの資材が置いてあり、数人の人が働いている。彼らはエビの箱詰めをしている。エビと言ってもshrimp(小エビ)であって、長さ5〜8 cm
ほどである。中華料理に使うらしい。すべて東南アジア方面に輸出される。
半島の方を振り返る。北東の方を見ていることになる。たくさんある杭は工事用の船着き場の址である。湖面には虫がたくさんいる。その死骸のせいか、とても臭い。
これがエビの箱である。1つが1㎥ほどもある大きな箱である。
2015年06月03日
East Meets West
博物館のレイアウトにおいても、いよいよ二つの方向から伸びてきた線路が、近日中に結合される予定だ。
作図をnortherns484氏にお願いしたので、先日測量をして戴いた。大体のところは図面通りで、誤差は1/1000程度であった。15 mで15 mm以下の誤差である。大きなものであるから、ノギスを当てて測ることができない。レーザの距離計、大きなコンパス、レーザのレベル出しなどで、レイアウトを作った訳である。実際のところ、誤差がどの程度か、見当もつかなかった。100 mmもあったらアウトである。曲線を作っていっても、向こうで二つの線路が合致しない。結果が出るまでヒヤヒヤであった。
路盤は15 mmの合板を使うつもりであったが、同じ敷地内の裏の家を取り壊しているときに出てきた、大きな分厚い一枚板があるので、それを使うことにする。幅650 mm、長さ2100mm、厚さ28mm もある。和服の手入れの時に使ったらしい。もう何十年も使ってないので、乾いていて、 カリカリと云う音がする。捨てることはないので運んできた。
今回は二つの線路を向かい合わせると、間に直線を挟めばOKであった。十分正確とみなせる。 向こうにトンネル内壁が見える。これはテキサスから運んできたもので、Lorrel Joiner氏にもらったものだ。
これを使おうと思ったが単線用であり、どうやっても曲線の複線には向かない。
トンネル部の上は築堤であるから、どちらかと言えば、コンクリートの擁壁を作って天井にIビームを並べたもので十分である。そういう作りをよく見た。鉄骨はむき出しであった。塗装がないと云うのは内陸部の常識である。しかし、蒸気機関車の時代は煙に酸性物質が入っているから、錆びやすかったはずだ。
鉄橋が完成するまでにはしばらく時間がかかるので、仮橋を作って仮開通の予定だ。自宅から貨車を大量に輸送しなければならない。2編成で200輌必要だ。
2015年06月01日
vertical curve, reverse curve
高架部分には縦曲線がある。vertical curve という。1.56%の坂を登って、平坦線になるところである。
車輌に人間が乗るわけではないので、加速度を正確に増減する必要はない。ごく適当である。連結が切れないような動きをすればよいだけなので、深く考えた訳ではない。ただ、見たところ不自然であってはいけないということだけを念頭に置いて作った。
この3.6 mのセクションをいくつか試作してみたのだが、2本の鉄骨(30 mm角アングル)の間に合板を置き、それが重力でたわんだ形が気に入った。
厚い24 mm合板では、その剛性が大きすぎて不自然だった。15 mmではやや薄すぎる。12 mm合板を2枚接着剤を付けずに重ねるとよくたわむ。荷重を掛けない状態で接着剤をはさんでもう1枚載せ、数か所をネジで留めた。すなわち、グランドピアノの曲がった板のように、曲がった状態で固着し、その状態を保存したわけだ。
接着剤が固まると大きな剛性があり、形もよい。全体を鉄骨で挟んだ状態でたわませたので、そのまま、ドリルビスで留めた。鉄骨と合板は6本のネジだけで留まっている。合板は少しずらして使ったので、切れ目が見えるわけでもない。鉄骨も大きな剛性があるので、人が載っても大丈夫である。
この写真をご覧になると路盤のたわみ具合がよくわかる。reverse curve とは、日本語でいうところのSカーヴである。間に車体長程度の直線を挟んである。これがないと脱線するし、見かけが良くない。緩和部分は大半径の円曲線を挟んでいる。当初、怪しい方法だと思ったが、吉岡氏の理論をよく理解できるようになると、実に合理的であることがわかった。車体の食い違いを十分に補正してくれ、走行時の見かけが大変良い。
フレクシブル・トラックは仮に置いただけなので、多少食い違っていることはお許し願いたい。カントが徐々に減少し、やがて増えていく様子もよくわかる。自動車用パテで三次曲面を作るのは面倒ではあったが正確なカント逓減、逓増が実現できた。