2015年05月
2015年05月30日
高架部分の建設
先日ケチな板取りの工夫を紹介したところ、N氏が、
「そりゃそうです。無駄なことはもちろんのこと、ごみを捨てるのも大変です。HOでも困るのですから、Oなら余計大変ですよ。」
とおっしゃった。実際にレイアウトを作っている人の言葉は重みがある。
今回もかなり工夫して、無駄が出ないようにした。斜めの切れ端は背中合わせで貼り付けて、支えにした。まだ仮の状態であるから、天端(高さ)は合っていない。
問題は三分岐のあたりが周回部に近いことである。その部分の路盤をほんの少し削らないと、オウヴァ・ハングになる。特にシーナリィを設けないディスプレイ・レイアウトなので、どうでも良いのだが、鉄筋コンクリート造風にはしたくない。岩の上を走っている形にする。岩のテクスチャは作るが、色は他の部分と同じグレイである。
100 mmの余裕部分を、75 mmほど削ることになる。すなわち、犬走になる。
鉄橋の設計にかかっている。例によって図面化はnortherns484氏にお願いしている。鋼板をレーザで切り抜いて積層する。稲妻型の補強もレーザで切れば、訳はない。模型の橋を鋼で作るというのは、模型界広しといえども、珍しいはずだ。かなり重くなるだろう。
スパンは650 mmで複線型だ。その部分でBig Boyが2台すれ違うと、ざっと700 tonだから、かなりの強度がないと不自然だ。重量級の橋になる。
音をピックアップするマイクロフォンを付けて、通過する列車の音を拡大して聞かせるようにするつもりだ。
2015年05月28日
truck tuner
本来はAthearn用として開発されたのだが、他の台車(Weaver など)の中では踊ってしまうとのことである。解決法としては、長短二種を作ることだが、それは避けたい。最小ロットを考えると、発注数を引き上げねばならないからだ。すでにAthearnの台車は少数派で、手に入りにくい。それなら長い方を作って、Athearnの台車の軸穴を深くするのが楽である。
その目的の工具はtruck tunerと云って市販されているが、アメリカから取り寄せるのは最近はあまりにも高くて避けたい。その工具の刃は1本で、喰い込みを小さくするような作りである。深くするのはできないと云う意見もあるが、そうでもない。ただ、深くするのには多少時間がかかるのは事実である。気が短い人には具合がよくない。
ホームセンタでガラス用ドリルと云うものを見つけた。新潟精機の製品だ。700円台であった。 3、4、5、6・・・最大12 mm が市販されている。これには超硬の刃が4枚ついているから、穴を深くするのは簡単である。
指で回す部分を旋盤で作り、軸にロレットを掛けて、押込む。
穴を1 mm程度深くするのは簡単である。左右均等に彫込み、モリブデングリスをほんの少しつけて車輪を嵌めれば完成だ。
アメリカの客が欲しがったので、作って送った。
「あなたの知恵(wisdom)には感服する。」と書いてきた。大した工夫でもないが、作るのが簡単で効果が大きい。
2015年05月26日
スパーギヤ
さて、その中で分岐の様子を観察した。筆者の作っているレイアウトに、参考になるところは吸収したいからだ。関東のは歴史が古く、何もかも手作りで立派なものである。そのフログ部分を見て、少々驚いた。
ガードレイルに等間隔に傷が付いている。ある方の解説によると、スパーギヤが当たったのだそうだ。しかもスパークしてブラスが融けている。
と云うことは、絶縁側にスパーギヤがあることになる。これはまずい。根本的にスパーギヤをむき出しで使うことには、筆者は反対である。しかも、その径が車輪径と等しいのは言語道断である。さらに絶縁側に付けるとは………。
「 困ったもんだね。」と話をしていたところ、他の部分に油が点々と「印刷」されていることに気が付いた。ショートは免れているが、レイル面に接触しているのは間違いなさそうだ。フログでの落込みで接触している。事実上、歯車で走っている。
このフログは古い規格であって、落込みをフランジで支えるようになっている。最近はそのフランジが低くなったので、かなり落ち込んでいる。本当はフログを更新すべきであろう。
筆者の建設しているレイアウトに車輌を持って来られても、すぐには運転させない。車検がある、と書いたところ、何人かの友人から、「すこし厳しすぎるのではないか。」と言われた。
しかし、現実はこのようなものである。これでは線路の損傷が起きるし、油を撒き散らされて迷惑そのものである。
車検は行うし、短期間の車検証も発行する。本当はレイアウトから持ち出すと、再車検を受けるのが筋である。アメリカのレイアウトではそのようなシステムを採るのがふつうである。決して厳しすぎるルールではない。
博物館に車輌を持ってきて走らせよう、とお考えの方にお願いしたい。油が飛散するのを防止する装置、あるいは、ギヤボックスが付いていない車輌は、運転ができない。
2015年05月24日
博物館工事進捗状況
高架部分の路盤がある程度出来上がった。大体の様子はお分かり戴けるだろう。
高さもまだオート・レヴェルで合わせてはいないが、ほとんど正しい高さにはなっている。合板は24 mm厚で、これも節約して2枚取れるように工夫した。写真では切り落としていないが、卦書きは入れてあるので、切り離して別の場所で使う。レシプロ・ソウを使えば、この高さであっても簡単に切り離せる。
この写真でお分かりかと思うが、Sカーヴは直線を挟んで作られ、緩和はきわめて大半径の円曲線をいくつか組み合わせている。カントが付けられているので、列車は左へ右へと傾きながら走るはずである。見せ場である。
下の平面の線路と交差するところはトンネルで解決する部分と、橋を掛ける部分がある。複線間隔が小さいので、複線用のトンネル、橋を用意せねばならない。
高架線が広い平面にある時は盛り土風にすれば良いのだが、下の線と近い場合は垂直に逃げなくてはならない。細かいストラクチュアを作らないディスプレイ・レイアウトであるから、その部分を板で作ることになるのだが、多少の工作もする必要があるだろう。その手加減が難しい。
複々線部分の路盤は完成して、すでに塗装も完了している。この写真はかなり古い。
2015年05月22日
switch machine
これは1950年代のOゲージ用のポイントマシンである。HO にも使えるとは書いてある。
全長15 cmもある。3 Aくらいで小気味よく作動する。アメリカの好景気の時代に作られたもので、材料をふんだんに使い、職人が手作りで仕上げたものだ。おそらく、製造者は電気部品製造に従事していたのであろう。基本を正しく守り、インチキはない。
今でも古いレイアウトにはこれが使われているのを見る。以前紹介したのはB29爆撃機の爆弾倉を開くロータリィ・リレィを流用したものだ。時代は違うが、これも確実に作動し、何十年ももつだろう。
アメリカのOスケールのショウに行って、古いものを山積みしている店で丹念に探すと、このようなものがいくつか見つかる。昔のModel Railroaderの広告に載っていても現物を見ることができなかったものばかりだ。
買ったらすぐに作動を確認したが、潤滑がないので、磨り減るだろうと思った。さりとて、油を差すと埃を寄せて却ってダメになりそうだ。こういう時は固体潤滑に限る。早い話が鉛筆の芯の粉である。6Bの芯を刃物で削って粉にし、それを摺動部、回転部に押し込む。動きが格段に良くなる。ここで紙やすりを使って粉にする人をたまに見かけるが、絶対に避けるべきである。砥粒が剥がれ落ちて混じり、中で磨り減りを助長する。
この種の潤滑材は最近は鍵屋さんで見かける。鍵穴に入れるのだ。スプレィ式のを見たことがある。粉末が出るらしい。
以前液体潤滑剤の宣伝で、油を鍵穴に噴霧するのを見たことがあるが、あれは決してやってはいけない。その場は良いが、二週間もすると埃を寄せて固まり、まったく作動しなくなることがある。そういう場合は錠を分解してシリンダを揮発油でよく洗って乾かす必要がある。もちろんそのあとで固体潤滑材をまぶしてやる。
KadeeのGreas-emという商品は、まさにグラファイト粉末であって、6Bの芯と同等である。
2015年05月20日
wheel counter
ミシシッピ川をはじめとする大河川をまたぐ橋の数は、限られている。その橋を渡る旅客列車、貨物列車に対しての課金は車輌数に応じて決められる。
この写真はIllinois Railway Museumにある信号所の2階で撮ったものである。この移設された信号所にはUP本線のCTC装置の列車表示板の古くなったのがある。
真ん中あたりはミズーリ川(ミシシッピ川の支流)を渡る鉄橋だ。Omaha−Council Bluffとあり、そこに見える文字はwheel counterである。通る車輪を検知をしている。説明してくれた人によると、axle counter とも呼ぶそうで、
「本当はそう呼ぶのが正しいんだ。車輪は1軸に2枚ずつあるからね。事実、そう呼んでいる会社の方が多い。」
とのことであった。
「機関車、貨車には4軸以外のものもありますが、どうするのですか。」
と聞くと、
「それらはすべて4軸とみなして、課金します。軸数を4で割るのです。」
と答えた。細かいことは言わないらしい。
列車が通過すると、カウンタが数字を示すので加算し、4で割った数字をもとに各鉄道会社に請求書を送る。
このカウンタの横のボタンを押すと、リセットされて0にするところを見せてもらった。
下には各鉄道会社の名前が書かれたボタンがある。これを押すと加算されるのかもしれない。
2015年05月18日
投錨効果
やはり、金属同士の接着にも投錨(とうびょう)効果はあると信じている方もあるようだ。しかしある方から、それについて興味深い実験の結果を知らせて戴いた。
エッチングされたキットを組んで、塗装したものについての実験である。
エッチングした部分は、表面が粗粒面になる。要するに梨地である。その部分と地金の部分にまたがって塗装がしてあるのを、物理的に無理やり剥がすのだが、剥がれる様子に差はないとのことだ。すなわち、でこぼこにしても、つるつるでも差がない。つまり、投錨効果はないことになる。
彼の考察によると、投錨効果を発現させようと、サンド・ペーパなどで一生懸命に磨くと、結果として脱脂が行われたりして、塗膜が剥がれにくくなるのではないかというものだ。比較実験は、同条件で行われなければならないのは当然だ。
でこぼこにすると、凹んだところでは接着剤の層が厚くなり、そこが切れてしまう。接着面より、接着剤の内部の方がはるかに弱いのである。たとえば、Super Xはよく付いて剥がれないが、キャップについている接着剤のみが固まったのは、手で容易に引きちぎれる。はみ出している部分は手でもちぎれてくるが、被着面に着いた部分は取れない。
工業的には接着は広い面にスプレイするかローラで塗布し、被着物を置いて締め付ける。この締め付けるという操作が大切で、接着力が最大二桁も違ってくるのだそうだ。木工屋には無数のクランプがあるのはこれを知っているからだ。。
締め付けは圧締という。たくさんのクランプで、母材同士を締め付ける。締め付けると、接着剤がはみ出して、母材が近接する。
そういう意味でも、クランプを多数保持していることは、大切なことである。伊藤剛氏の遺品をすべてお預かりしているが、その中に多量のクランプがある。大小合わせて、全部で60個以上あった。理屈がわかっている人はたくさん持っているのだ。
2015年05月16日
歯車、車輪についての問い合わせ
最近作のLow-Dは素晴らしい造形である。裏面も実物風に削り、精度が一段と良くなっている。おそらく機械が更新されたのであろう。走行音が一段と良くなった。
軸の長さを微妙に長くした。各社の規格のうち、一番長いものを基準にしたのだ。その代わり、台車の軸受を少し彫り込む必要が出てくる。その作業をする tuner を作って頒布している。これは別項で紹介する予定だ。以前のタイプは高価であるし、アメリカから取り寄せるのも面倒だ。
tuner は穴を深くすることができる。市販の物も同様だ。できないという記述をどこかで見たことがあるが、否定の証明は難しい。やってみればわかるが、深くできる。今回作成の物はその彫り込む能力を大きくした。アメリカに何本か出て行ったが、大変評判が良い。
歯車は、難しい問題に直面している。昔頼んだ工場が廃業してしまったのだ。蒸気機関車用には小さいが、ディーゼル用は売るほどある。これはHOにも使える大きさである。
先日3条ウォームを欲しい方がいらしたので、スラストベアリングを含めてお売りした。すぐに「動かない」と文句を言ってきた。案の上、有鉄心モータを付けていた。
「それは無理ですよ。」
「あっ、そうか。すまん。」で済んだが、このコッギング(米口語ではteething)の件は、あちこちで同様のことが起きている。コアレスでないと意味がないのだが、なかなか難しいようだ。
さてこのteething と云う言葉であるが、辞書に載っていないという指摘を受けている。辞書に載っていないから怪しいというのは短絡的な発想で、メディア・リテラシィ(新聞、放送などの情報を受けて、正しく理解する力)に問題があるかもしれない 。
この言葉は正しい。
10年ほど前カリフォルニアで、この件について講演をした。その時、coggingと云う言葉を使ったら、ほとんどの人が不思議そうな顔をする。近くの人が小声で、「teethingだよ」と言うので、言い直したら皆が納得した顔つきになった。
コッギングは書き言葉らしい。これが気になっていたので、次のシカゴではわざと、「書物には使ってあるが、あまり通用しないらしいコッギング」と言ったら、全員が爆笑した。
「その通り!」との声があった。
ニューヨークの会合でも確かめたが、teethingが何の問題もなく通用した。
言葉は生きている。辞書に載るまでにかなりの時間がかかりそうだ。使われて通用している言葉であるから、辞書に載っていなくても正しいのだ。
現地で集めた情報を書くと、それをいろいろな方法で検索して関連情報を集める人がいる。どういうわけか、「この情報はおかしい。調べたけどどんな本にも載っていない。ウェブ上でも調べたが載っていない。」と言って来るのだが、ことごとく外れている。足で稼いだ情報には多少なりとも敬意を払ってほしい。こちらも英語は不自由しないので、それ程ひどい間違いはないはずだ。
2015年05月14日
続 博物館の工事進行状況
この棚3本を増設しても、土屋氏のところから戴いて来た雑誌を、すべて置けるか、きわどくなってきた。紙が上質紙であることも相まって、これだけで800 kgある。
ガラス棚が地震で倒れる心配があり、転倒防止鎖を付けた。ふつうは、壁に向かって穴をあけて固定するのが常識であろうが、天井からの鎖を接着して留めた。
天井の骨へは4本のネジで留め、人間がぶら下がっても取れないことを確認する。側面にはSuper Xを用いた。塗ってから一度くっつけ、それを引き剥がして3分待って付けた。クランプで締め上げ、2昼夜放置した。棚をわざと倒しても、倒れないことを確認した。鎖の熔接はプロのU君にやってもらったから、完璧だ。
接着剤はこのような条件では極めて有効だ。双方の金属を磨き、つるつるにする。決してざらざらにしてはいけない。接着は接着剤と母材の間のみに働く。接着剤の層が厚いと、そこが切れてしまう。これはその世界では常識なのだが、表面を荒らすと食い込んで離れない(投錨効果)と信ずる人は多い。
以前、投錨効果を否定することを書いた。様々なご意見を戴いたが、それらはすべて、「投錨効果はある。」であった。実験をしてみれば一目瞭然であるが、どなたもしていない。接着も塗装も母材がつるつるのほうが良いのである。ただし、分子間力を増す工夫(酸化被膜を作るなどの化学的処理)は効果が非常に大きい。
今回の接着に関しては、小規模での基礎実験をした。この面積なら垂直方向に2トン重の力をかけても全く大丈夫であるという結果であった。しかし、接着は一端からめくり上げるような引き剥がしには弱い。今回はそういう力はかからない。剪断に近い形になる。この種の力には接着が一番良い。ガラス棚の揺れは、後ろの壁で制限されるから、それほど大きな力で前に押されるわけでもない。モーメントが小さいので十分であろう。鎖は200 kg重でかなり伸びたが、ステンレスだから破断はしない。いずれにせよ、かなりの安全率を見込んでの話である。
棚は倒れなくても、中身は被害を受けるだろう。それをどうするかが課題だ。
2015年05月12日
博物館工事の進捗状況
当初の予定から、線路配置を一部変更した。機関区への進入路を、より自然な曲線にしたのだ。northerns484氏の助けを得て、線路の曲線を細かく指定して戴いたので、より実感味のある配置となった。
複々線の部分の路盤がようやく完成し、すべての線路に正しいカントが付いた。かなり、手の込んだ方法で作ったのだが、仕上がりを見るとなかなか良いので、苦労が報われた。
高架部分の緩いSカーヴ(cosmetic curveと云う)の路盤も完成し、線路を載せたときの感じがつかめるようになった。しかし、まだ架台の工作が完成していないので、固定できない。
先日の路盤の「縦割り法」をここでもやってみるつもりだ。そうすると、高価な厚い合板を有効利用できる。
最近博物館の近所では、博物館のことが話題になることが多いらしい。様々な人が訪ねて来て、いつ完成するのかを尋ねる。
「来年でしょうね。」と答えると、
「早くしてくれ。待ちかねている。」と言われることが多い。ご近所の方たちを主たる訪問者としては想定していなかったので、驚いている。
ご近所の人達とは友好的な関係を築きつつある。ちょっとした便利大工をして差し上げたり、粗大ごみを捨てに行って上げたりしている。通勤の通り道なので、大した手間ではない。先日は100 kg近い粗大ごみを処分場に捨てに行った。
鉄クズは分類して、鉄以外の物を外し、リサイクル業者に持って行く。
学校帰りの小学生の一団は、大声で、
「ここには博物館ができまーす。」と宣伝してくれる。しかし、必ず、
「こんな小っちぇー博物館なんておかしい。博物館はもっと大きな建物だ。」という子がいて、毎回吹き出しそうになる。
路盤をたくさん作って塗装していると、線路がないのに線路だということが分かるらしい。Nゲージの線路を考えているらしく、一本に複々線を敷くと勘違いしているようだ。現物を見たらきっと驚くだろう。
まだ内部には誰も入れていない。防犯装置が作動するまでは、入れるわけにはいかないのだ。本棚の増備が完了した。今度の本棚はスティール製で、丈夫である。また1トン近くの雑誌を並べなければならない。助っ人が来てくれるまで待つつもりだ。
2015年05月10日
続 パズル
とても簡便な操作で確実な接合ができるので、筆者は愛用している。
接合部に高さを揃えて、円の一部の切り込みを入れる。木工用接着剤を入れて、ビスケット状の接合部材を差し込む。このビスケットは水を吸うと膨らみ、30秒で抜けなくなる。筆者は、使用前に電子レンジで30秒加熱して乾燥する。乾いていれば縮んでいて、差し込みやすい。接着剤はElmerの大工用の強力型を用いている。一般の物は白いが、これは淡黄色である。どういうわけか、日本ではかびやすく、時々黒い部分を捨てている。1ガロンの包装を買ったので割安であるが、半分は捨てているような気がする。
動画でお分かりのように、長手方向には多少のガタが許される。すなわちある程度動かせるので、微調整が効く。
この路盤を作るのには10個ほど使用した。45度に差し込むことも容易にできるので、四角の箱を組むこともできる。さらに角度を調整することができるので、多角形にすることもできる。
現在はマキタなどの国産品もあるようだが、現物を見たことはまだない。箱形の棚を作ったりするときはとても便利である。
クランプで、裏表交互に押さえておく。数時間以上の放置が望ましい。
後ろに見える水色の箱は、昇圧器である。長い30mのコードリールを使うと多少の抵抗があるので、大電流を取り出すと電圧降下が無視できない。回転が上がらす 、モータが焼ける恐れがある。それを防ぐ装置であるが、輸入品の電動工具を使うときには便利である。125 Vの出力を使うが、使用時には120 Vになる。
以前は単巻き変圧器(いわゆるオートトランス)を自作して使っていたが、電流が大きいと焼けそうだった。この昇圧器は便利だ。いわゆるバッタ屋で手に入れた人が「使わないから」と、くれたものだ。
レシプロ・ソウで外周に沿って細く切って出来上がりだ。切口はなめらかで、仕上げがいらない。
2015年05月08日
パズル
工夫して2枚取れないものかと、ずいぶん考えた。長手方向でつなぐと、弱くて意味がない。幅の方向なら、つないでもよいことにする。
ある程度考えて、northerns484氏に相談した。コンピュータで細かい数字を調べてもらうためだ。たちどころに修正された答が返ってきた。
筆者の案よりはるかに素晴らしい解で、内側の部分を切り取って外側に貼り足す。殆ど無駄にならない。剥ぎ合わせるのは、専用の機械と部品があるので、訳なく出来る。
問題は切り出し方だ。真ん中の直線は、丸鋸を注意深く沈めれば切れるが、端は深さ方向に、丸くなる。完全には切れない。細かいところは、手で鋸を挽く以外なさそうだ。しかしこの合板は固い。曲線部分の切り出しも大変だ。外周の方は丸鋸で大きく切って、多角形にしていけばできるが、内側の曲線は不可能だ。
曲線を丸鋸で切るのは、筆者の得意技である。後ろの切れ目にくさびを押し込んで広げながら切るのだ。しかし、厚い板はできない。せいぜい12 mmの板までで、それ以上はアサリの厚みでは切れない。
そこで登場するのは recipro-saw である。レシプロ・ソウとは、往復動で切る電動鋸である。日本の大工はあまり持っていないが、アメリカの大工は非常によく使う。窓を抜いたりするときに便利だからである。
普通は垂直に使うが、今回は寝かせて曲線切りをする。刃のしなりを利用するのだ。この調子で切っていたら、近所の人が見ていて、「名人芸だね。大したもんだ。」と感心していた。
これが切り終った状態である。残材が少ないので気分がよい。
この話を数学の先生に話したら、
「条件が足らない。切る回数を少なくと言わなきゃ駄目だよ。僕だったら、極めて細く切って張り合わせるな……。」
2015年05月06日
続 Atlas' covered hopper car
製作は安達庄之助氏である。安達氏は手抜きする人ではないからだ。
上面のハッチの造作が異なる。MGの方は、ラッチを掛ける部分の構造が、実物を見ないで作られたように思える。残念だ。全体の寸法は正確だ。
裏面のホッパの補強は興味深い。Atlasはダイキャストで作るのでやりたい放題の表現である。MGの時代であれば、この部分は省略するであろうと思う。
車端のブレーキ装置は、Atlasではさすがによくできている。ブレーキ・シリンダからのロッドを受けるテコが実に実感的である。
カプラはKadeeそっくりである。上がAtlas、下がKadeeである。シャンクの長さが異なるので辛うじて識別できるが、よくぞここまで、と言うくらい完全なコピィである。意匠の点で訴えられないのだろうか。
スプリングは異常に硬く、話にならない。よほどの力を加えないと首を振らない。仕方がないので、Kadeeのスプリングを二重に入れてみたところ、調子が良くなった。
上がKadee、下がAtlasである。Atlasは伝統的な左右の張り出しを持っている。ここが引っ掛かって、左右の復元をする。
総じて良くできているが、走行性能は極めて怪しい。台車の出来も良くないが、ブレーキシュウが付いているのは良い。下廻りは総取替えが望ましい。
2015年05月04日
Atlas' covered hopper car
預かった理由は、脱線が多いからである。見ると車輪が振れている。彼のレイアウトはゲージが多少広いところもあり、振れて狭くなった瞬間に、たまたま広い軌間にはまり込む可能性があるのだ。
Low-Dに取り替えることを条件に引き受けた。Atlasの台車は、車輪の厚いハイレイルにも対応する設計で、台車枠が広い。すなわち側面から見ると台車枠が、車体の側面に近い。ただでさえ、Oスケールは線路幅が2 mm弱広く、車輪厚さも多少は厚い。それに加えてこのせり出しでは見かけが相当悪くなる。また、台車枠が捻れない。すなわちイコライズしない。走行音が面白くないのだ。
しかも車軸は2 mm径で摩擦が大きい。かなりの量の潤滑油を保持しているが、ピヴォットには敵わない。
ボディ・ボルスタがないのは台車の心皿高さが高いからである。NMRAの規格から大きく外れている。どうしてだろう。他者の製品と互換性がない。仕方がないから、別部品のボディ・ボルスタを作って接着した。
台車はAthearnの高級なピヴォット台車(今は品薄である)に振り替えた。
Atlasの台車枠はよくできていると感じるが、いかんせん厚すぎる。横から見ると、黒いボルスタが上の方に飛び出している。バネも2本しかないのは残念だ。右はAthearnである。
2015年05月02日
続 曲率ゲージ
見せ場となる頂上部の緩いSカーヴも細かい曲率変化を指定して作った。路盤のカントも同時に高さを指定して作ったので、完成すると、右に左にうねる素晴らしい光景が出来るはずだ。半径は10 m以上のものから順次小さくして、繊細な変化である。
良く似たのがたくさんあると、間違える惧れがあるので、文字を刻んでもらった。ほんのわずか凹ませてあるだけである。
先日出来てきたCNCで切り抜いた路盤用合板を組んでみた。せっかく計算して長さを決めたのに、側板が数mm余る。そんなはずはないと巻尺で測っても、曲線の外の長さと足に相当する合板の長さは一致しているではないか。
合板は天板の下に直角に貼られるので、側板の中心線は外周より内側にある。中心線の伸縮はないと考えると、側板の厚みの半分の位置、つまり天板の外から6 mmの位置の円周長さに切るべきであった。