2015年05月18日

2015年05月18日

投錨効果

 いくつかご意見を戴いている。

 やはり、金属同士の接着にも投錨(とうびょう)効果はあると信じている方もあるようだ。しかしある方から、それについて興味深い実験の結果を知らせて戴いた。

 エッチングされたキットを組んで、塗装したものについての実験である。
 エッチングした部分は、表面が粗粒面になる。要するに梨地である。その部分と地金の部分にまたがって塗装がしてあるのを、物理的に無理やり剥がすのだが、剥がれる様子に差はないとのことだ。すなわち、でこぼこにしても、つるつるでも差がない。つまり、投錨効果はないことになる。

 彼の考察によると、投錨効果を発現させようと、サンド・ペーパなどで一生懸命に磨くと、結果として脱脂が行われたりして、塗膜が剥がれにくくなるのではないかというものだ。比較実験は、同条件で行われなければならないのは当然だ。

 でこぼこにすると、凹んだところでは接着剤の層が厚くなり、そこが切れてしまう。接着面より、接着剤の内部の方がはるかに弱いのである。たとえば、Super Xはよく付いて剥がれないが、キャップについている接着剤のみが固まったのは、手で容易に引きちぎれる。はみ出している部分は手でもちぎれてくるが、被着面に着いた部分は取れない。

 工業的には接着は広い面にスプレイするかローラで塗布し、被着物を置いて締め付ける。この締め付けるという操作が大切で、接着力が最大二桁も違ってくるのだそうだ。木工屋には無数のクランプがあるのはこれを知っているからだ。。
 締め付けは圧締という。たくさんのクランプで、母材同士を締め付ける。締め付けると、接着剤がはみ出して、母材が近接する。

 そういう意味でも、クランプを多数保持していることは、大切なことである。伊藤剛氏の遺品をすべてお預かりしているが、その中に多量のクランプがある。大小合わせて、全部で60個以上あった。理屈がわかっている人はたくさん持っているのだ。  

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