2015年03月25日

2015年03月25日

音について

 しばらく前、建設中のレイアウトを見に来た人があった。近所の人らしいが、鉄道模型をやっているという話だった。レイアウトの路盤を見るなり、「板が薄くないですか。」と言う。
「15 mmもあれば十分だと思いますが。」
「25 mmないと反響してうるさいです。」
「御経験がおありなのですか。」
「作ったことはないけど、本にはそう書いてあるし、インターネットでもそう書いてあるのを見た。」とおっしゃる。自分で確かめたことがないのに、批判をしたがる人は多い。
 一般論であるが、「教科書に書いてある。」などと言う人は、道を切り開けない。

 このレイアウトは、その音の問題を克服している。合板が 25 mmであろうが50 mmであろうが、ダメなものはダメなのである。ところで、25 mm合板はわが国で大量に市販されている厚さなのだろうか。特注品以外で見たことはない。24 mmの次は、28 mmである。
 吉岡精一氏と知り合った頃、すなわち30年ほど前だが、お宅を訪問すると、レイルを敷いた路盤がいくつも置いてあった。どれも長さは750 mmである。750 mmと云うのは、押し入れに無理なく入る深さなのである。収納の事を考えて決めたそうだ。

 厚い30 mm合板にコルクを張ったもの、薄い12 mm合板に厚さ 5 mm、3 mm、2 mmのゴム板を張ったもの、合成ゴムスポンジを張ったものがあった。それらに、フレキ線路を取り付けてある。道床の半分では釘を固く打ち付け、残り半分では枕木に大きめの孔をあけて緩く留めてある。

 それらを順につなげて、車輌を転がして音を聴く。結論を言うと、コルクは全く効果なしである。多少厚く敷いてもダメであった。スポンジは妙な高周波音がする。ゴムはどれも良い音がする。厚さの差はあまり感じない。


acoustics 吉岡氏のところから戴いて来た、当時の試験道床の一部である。Aはコルク、Bは5 mmゴム板、 C、Dは土屋氏が用意して下さったポリ塩化ビニルの押し出し製品である。Cは柔らかめで薄く、Dは固くて厚い。
 何度もテストをした。結果はB,Cがベストであった。しかし、Bは厚すぎる。
 厚いと重いし、重ねることが出来ない。この路盤は重ねて保管できるようになっているのだ。

 Aは、カーッと云う高周波音が頭の芯に突き刺さる。B以下は全てその高周波が吸収される。釘は枕木の孔を大きくして、緩くした方がはるかに良い。このCを、並べた机に載せて、車輛を走らせるととても良い音がする。レイルの継ぎ目はドドンと云う音である。路盤の下にフェルトを切って貼った。さらに高周波が遮断され理想的な音であった。
 ゴムは内部損失が大きい(音を熱に変える)ので、高周波が漏れてこないのだ。どういうわけか、我が国ではコルクを使う人が多い。ほとんど効果はないのだが、このような比較実験をしていないから、誰も気が付いていない。

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