2014年08月06日

2014年08月06日

吉岡精一氏の死去

吉岡精一氏近影 筆者撮影 吉岡精一氏が一昨日お亡くなりになったと、御家族から連絡を受けた。大正15年1月1日生まれであるから、88歳であった。写真は本年5月筆者撮影。

 吉岡氏とお知り合いになれたのは1983年であるから、もう30年以上も指導戴いたことになる。本当はもっと早く、お会いできたのであるが、TMSが接触を意図的に妨害したので3年遅れとなった。それが分かったときにはお互いに憤慨した。
 何度か泊めて戴いたことがあり、拙宅にも何回か逗留された。

 吉岡精一氏は、イコライザの研究者として名を知られている。古今東西の機関車のイコライザを徹底的に調べて、その理論を読み解き、数学的な検討を加えて冊子にされた。内野日出男氏と共著の形になっているが、実際は吉岡氏が大半を書かれた。

 氏は文章を書くのが大変お上手で、筆者の保管している書簡はB5の便箋で高さ1m近くにもなる。どの手紙にも精緻な図と数式がぎっしりで、毎回、手紙を戴くたびに、白紙に式を写して検算をするのだが、間違っていたことは一回もない。

 筆者のイコライジングの記事は吉岡氏の書かれたものを翻案して、数式を使わず直感的理解できるように表したものである。クロス・イコライジングの説明は、「良く書けている」とお褒めに与った。

 ウォーム歯車の効率についても、精緻な計算をされ、結果として筆者の採用した仕様が最高値を示すことを証明された。その時のお言葉には驚いた。
「偶然か、それとも計算の結果か?」
「一応計算しましたが、コンピュータを使ったわけではないので、極大値かどうかは分かりませんが、かなり良いところにあるという自信はありました。」
「運がいい奴だ。」

 吉岡氏は栃木県大田原市に在住で、食品会社を経営されていた。父君の開拓された畑にトウガラシを栽培し、その精製にかけては日本一の技術を持っていた。現在でも日本の香辛料の大半が氏の会社の製品である。カレーなどの加工食品にも広く用いられている。

 正直なところ、初めてお会いした時、大学の物理の先生だと思っていた。
「いや、これは趣味でね、社長室で暇な時、数式を弄っていると時間が経つのを忘れるよ。」
 とても趣味の範囲とは言えないレベルの考察を加えて、クラブ員の知的レベル向上に貢献された。 

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