2014年01月

2014年01月30日

推進運転

 長い列車を推進運転するのは勇気が要る。脱線したときの被害は甚大だ。特に高架線では転覆して落下すると修復不能な被害を被る可能性がある。
 友人が来るとたまに80輌列車の推進運転をして見せる。心配する人は多いが、急加速しないようにすれば、うまくいく。列車の編成時に、重い車輌を機関車に近い位置に置くのは当然必要なことである。

 全体がLow-Dで摩擦が少ないので、推進時に掛かる力も少ない。緩やかな加速であれば、物理の法則通り、必要な力が少ないから、脱線の心配はない。以前はピヴォットでない車輌が存在したので、転がり抵抗が大きく困難であった。

 ポイントを渡っての入れ替え作業は楽しい。トングレイルの浮きさえ気をつけていれば、まず脱線はありえない。側線の平坦度は大事なことである。下手をすると流れてしまい、接触限界標を越えれば即事故である。

 アメリカでは、そこを突っ込んで来る。「側線に停めて置くことができないような車輌は役に立たない。」
レイアウトに見に行くと、車軸に油が注してないので、キーキーと音を立てる。「油を注すと動いてしまうから、入れ替えが楽しめない。」と言うのだ。
 何か間違っているのだが、直そうとしないから、話しても無駄だ。以前KadeeのNゲージ用のカブース台車には軸端にコイルスプリングが入っていることを知った。軽くブレーキを掛けておいてDU ディレイド・アンカプリングを成功させるためと聞いた。一つのアイデアではあるが、筆者にはなじめない話である。要するにKadeeのNゲージ車輌は、類まれなる転がりを示すという自信の表れと解釈した。

 伊藤英男氏のところで車輪を見せて戴いて驚いた。Low-Dに似た、大半径のフィレットを持っている。その理由を聞くと、「こうすると曲線での抵抗が減るのです。実験もしてみました。」と仰る。Low-Dを作ってしばらくしての訪問時であったので、時間的には伊藤氏の方が多少早かったのかもしれない。一緒に訪問した吉岡精一氏も非常に驚いたが、同じ実験結果を得たということで、納得した。 

2014年01月28日

低摩擦、高効率の鉄道模型を追求する

 このブログの副題である。趣味の方向性を宣言しているのであるが、はたしてどの程度の方が、その意義を汲み取っていらっしゃるのだろうか。つまみ食いは感心しない。全てを改善しないとよい走りは実現できない。
「適当に走ればよし」という時代は高校生の時に卒業して、そのあとはひたすら高効率の実現に邁進した。手に入るものは何でも使ってみたが、最終的に3条ウォーム + コアレスモータに落ち着いた。 
 スパーギヤはより高効率だが、使いにくいし、密閉ギヤボックスを作るのが大変だった。3条で逆駆動は完璧にできる。横浜の博物館には、「ウォームギヤは逆駆動出来ない」と書いてあるそうだ。ウソはいけない。

 1987年からは吉岡精一氏の指導のもと、RP25の研究を始めた。当初はそれでうまくいくものと思っていたのだが、走らせると不具合が見つかった。NC旋盤屋を見つけて、なだめすかして仕事をさせた。当時は景気が良かったので、なかなか仕事を引き受けなかった。 

 ボールベアリングの導入もそのころである。いったい何個買ったのだろう。トータルで数万個買ったのではないかと思う。国内外に原価であっせんした。しかし、貨車はピヴォットに限るということがわかった。

 Low-Dは一発で成功したので、その後3万軸以上作った。とにかく数を作って、原価でばらまき、国内の市場を席巻してデファクト・スタンダードにすることに専心した。利益はないが、皆さんの車輌の性能向上に役立った。
 持っていたRP25は、「あまりたくさん走らせない」とおっしゃる方に差し上げた。アメリカの友人で、性能向上に興味がない人に渡したのだ。10輌しか牽かない人達には、それで十分だからだ。
 そういうわけでRP25はもう手元にないので、さらなる比較実験が出来なくなった。

 やはり、「80輌編成をやりたい。」という人はたまに居て、大量に買ってくれる。評判は上々だ。最近は円安なので多少安くなって、買いやすいようだ。送料、関税を節約するために、アメリカまで持っていって、送ってやる。

 Low-Dの3D PDFをご覧戴けるようになった。直線を走っている時と、押し付けられてフィレットの最下端に来た時を比較することが出来る。 そこまで来ると、脱線抗力の最大値に達したわけだから、そのまま辷り上がって脱線するはずである。全軸sprung, equalizedであるから、そういうことはまずない。
 スケールスピードで時速100マイルでも、全く脱線しないし、80輌の推進運転でも、幾つものポイントをくねくねと渡れる。

2014年01月26日

フィレット

jpg 曲線上で2軸台車をつけた観察用の車輌を転がすと、台車は曲線の接線より外を向こうとする。すなわち、第1軸の外側フランジがレイルヘッドに当たろうとする。
 第2軸は内側に入ろうとするが、半径2800 mmの上で観察すると、ちょうど中央付近である。1800 mmではやや内側に寄るように見える。

 さてこの時、第1軸の実際にレイルヘッドに触れている部分(フィレットの裾に乗り上がった部分)の半径を計算すると、行路差を十二分にキャンセルするほどの半径比になる。第2軸では踏面勾配が小さいので左右に寄ってもあまり影響を与えず、行路差がほとんどそのまま出る。すなわち、Low-D車輪を装備すれば、2軸台車では行路差に基づく損失の半分近くは、取り戻せる可能性がある。
 上記の計算では、19mm車輪より17.5mm車輪の方が、フランジの裾を踏んだ時の行路差キャンセルの効き目が大きいことになるだろう。何度も書くが、この時、フランジの円錐台面はレイルヘッドと接触していないすなわち見掛け上、フランジは輪軸の転向に寄与していない。大きいフィレットがフランジの代わりとして機能し、車輪半径を大きくして摩擦を減らすように働いている。また、フィレットの肩が輪軸を転向させている。
 車軸は曲線の接線に垂直ではないので、多少は回転方向に対し斜めに滑りながら動くことになる。その時もステンレスの摩擦係数が小さいことが有利に働く。

 このあたりの接触状況は、3D設計の専門家にシミュレイションをお願いして、色々な角度から覗いて見た。当然のことながら、フィレットを大きくすると、線路半径を小さくしてもフランジに当たりにくくなることが分った。
 市販の模型の車輪の精度は低い。マイクロメータで測ってみると、直径が  3/100 mm 程度のばらつきならば極めて優秀で、ひどいものは 0.5 mmも違うのがある。車輪踏面にはテーパが付いているので、転がせば多少片方に寄って走ることになる。そうすると、 場合によっては、2軸台車の車軸が進行方向に垂直にならずに、斜めになって走ることもある。こうなると、当然、摩擦損失が生まれ、抵抗が増す。Low-Dは1/100 mm以下のばらつきである。
 精度の高い車輪は、装着するだけで抵抗が小さくなるのである。

 筆者はLow-D採用時に、あまりにも摩擦が減少したので驚いたことを、覚えている。それは、ステンレス製RP25車輪をつけた列車が、当鉄道のエンドレスを一周繋いで(95輌)走るのは限界ギリギリであったのに、Low-Dにすべて取り換えたら、途端にらくらく牽けて、電流が70%になったことである。潤滑条件は同一であった。模型を実際に作って測定している人が得たデータは尊重すべきであろう。
 反論するには、独立した実験をしてその結果を示すのが自然科学の常識である。

 このような問題を解決するには、多次元の解析をしなければならない。この条件で、どのファクタが一番大きく効いているかを、調べるのだ。今回の条件での実験観察でわかったことは、摩擦係数が小さいことが一番効き目があったということである。 これでは実物とは全く異なる理屈によると言わざるを得ないであろう。 

2014年01月24日

続 フランジ

 フランジが摩耗した車輪で手を切った方は少ないであろう。”ピザ・カッタ”と揶揄する人もいたが、本当に切れる。
 筆者には経験がある。昭和30年代の3線式Oゲージで、EB電気機関車の動輪が摩耗したのだ。軟らかいブラス鋳物を挽いた動輪と、ブリキ線路とが擦れるわけだから、当然のことながらブラスが負けるのである。擦り切れるまで走らせたわけで、動輪を嵌め替えて、さらに走らせた。
 ライオネルは極端に固い焼結合金(sinteredという)の車輪だから、レイルには負けない。すなわち、手を切る心配はない。

 フランジでカーヴを曲がるということに異存はない。それは当然である。レイルヘッドの食い違いを乗り越えることにフランジ角が効いていることは、筆者も小学生のころから気が付いている。 フランジが擦り減った車輪は脱線しやすく、新品の車輪は多少フランジ角が小さいので脱線しにくかったのである。フランジ角を小さくしようと、減った車輪を父親の電気ドリルに銜えてヤスリを当てた。いわゆるドリルレースなのだが、あっという間にフランジが丸坊主になって泣きべそをかいた。

 フィレットがレイルヘッドの食い違いを乗り越えるというMR, TMSの説明が明確な間違いであることは1987年に吉岡精一氏から知らされた。彼は国鉄の研究所の友人から教えられたそうだ。ナダルの式もその時知った。その結論は当然であるが、このような数式を生み出した能力には畏敬の念を覚えた。

 フランジ角は脱線抗力を決める。直角では最大値になるが、別の原因で直ちに脱線する。ここでも摩擦係数が絡んでくる。摩擦係数が小さい材料を使えば、フランジ角が小さくても良いのである。
 フィレットは何のためにあるかということは、実物の専門家が解説されているが、その概略は、圧力が一点に集中して金属組織が破壊されるのを防ぐためである。実物と模型は同じ理屈によると、力説されているが、圧力が異なるので、理屈は正しいが応用する必要は全くない。ステンレスの摩擦は小さいので、フランジ角に到達する前にフィレットを滑り落ちる
 すなわち、模型ではフィレットの効用が別にあるわけだ。先回のLow-Dの写真でフランジにほとんど擦過痕がないのは、この結果である。

 昨年から、フィレットについてかまびすしい論議があった。どうして反論しないのかという問い合わせは多くの方から戴いていた。専門家だという方の論理展開は全て同じで、「素人は知らないだろうが…」という書き方になっている。素人も観察くらいは出来る。模型の走行を時間を掛けて観察するべきである。観察に時間を掛けないと、理論に振り回されてしまう。
 不思議なことに、専門家が「こうだ」と言うと、「私もそう思っていました」という意見が出てくる。ものを言う前に観察しよう。
 Low-D車輪をカーブ上で乗り上げるように押しても、フランジの円錐台面に当たる前にずり落ちるのが観察できる。撮影は非常に困難であるが、望遠鏡で覗くとよく分かる。半径の大きなフィレットはよく働いている
 模型と実物は大いに異なるのである。フランジが接触しなくなるだけでも、曲線抵抗はかなり小さくなることを、だれも否定することはできないだろう。

 実物の技術者は、鋼と鋼の接触を考えているが、模型には異なる材料が使われている。当然のことながら圧力が異なり、曲率も異なる。さらに速度も異なる。フランジ塗油器もないし、散水装置もない。 フィレットが大きいと走行が安定しないそうだが、模型には誰も乗っていないから乗り心地は考慮する必要はないだろう。

 観察はまだまだ続く。

2014年01月22日

フランジ

RP25 使い古した写真だがRP25である。
 これは♯110のコンタを拡大したものを作った。明らかにフランジ形状のまずいところが露呈している。
 模型の線路半径ではフランジの変曲点付近が当たるのだ。これさえなければ、筆者はRP25でも良いと思っている。

 この写真は雄弁だ。筆者の記事がModel Railroaderに載ったときに、写真が無かったので記事を読んでケチをつけてきたのが、複数いた。図面を送ってやったのだが、収まらない。
「フランジの抵抗なんて、車輪の行路差分の摩擦に比べて無視できる。」
「俺は専門家だ。」
などと色々言ってきたが、この写真を見せた途端に、誰からも文句が無くなった。明らかに二点接触であり、余分な損失を生みだしていることは否定できなかったのだ。

 
Low-D これはLow-Dである。初めはLo-Dとしていたが、どこぞのオーディオの会社に文句を言われる可能性があるという忠告を受け、一文字足した。あまりにも分野が異なるので、大丈夫だろうということだったが、法律の専門家の助言を受け容れた。
 フランジが円錐台の斜面であるから、逃げが大きく、レイルヘッドに当たることがない。この写真を撮った時点で10年以上毎日走らせているが、フランジが働いている形跡がほとんど見られない。
 
 レイルヘッドの食い違いでは働いてもらわなければならないが、整備の良い線路では、出番が無かったようだ。また、全ての車輪はイコライズしてあり、大半はバネが効くので、浮き上がることもまずない。すなわちフィレットの範囲だけで走っていると言っても、何ら間違いではない。

2014年01月20日

走行抵抗

 曲線での内外の車輪の行路差は、無視できない。その差の分だけ車輪が滑る。軸重の約半分が掛かった状態の滑りである。その損失を少なくしようと思えば、摩擦係数の少ない材料を使うことである。
 筆者がステンレスに拘るのはそれがあるからである。高級な機械で旋削した車輪の摩擦は小さい。ごく普通のブラスにニッケルメッキの車輪に比べると 3/4 から 2/3 ほどである。めっきしたものは表面が粗くて音がするし、摩擦が大きい。
 それを考慮すれば、機関車にステンレスのタイヤを嵌めるのは、かなりまずい選択である。

 Oゲージでは、半径1800 mm (72 inch)の曲線では、走行距離に対する行路差は1.78%もある。半径3000 mmでも1.06%もある。HOでは半径を910 mm、1500 mmと読み替えて下されば良い。しかし、筆者の測定では、走行抵抗の比は、1.78 / 1.06 =1.68 でという比率ではない。フランジが当たっているからだ。
 
 RP25という、規格でも何でもない妙なRecommended Practice(推奨手法とでも訳しておこう)がある。このRPが無茶苦茶なことを勧めているので、というより何も大事なことを決めていないので、模型製造会社はそれぞれ勝手な判断で、珍妙な車輪を作る。

 NMRAのRP25というページに載っている車輪コンタ contour (形状)はかなり怪しい。どの番手の数字を使って描いているのかよく分からない。どう考えても図面が描けない番手の数字がある。明らかにD'の数字がおかしい番手があるのだ。#175、#148、#54が問題だ。

RP25 これについて、「どうやったら描けるのか?」とNMRAに問い合わせたら、でたらめな絵を送ってきた。フランジの中間部を直立させた絵である。左図中、赤字のVertical Segmentという部分である。いくらなんでも、これはないだろう。どうかしている。
 NMRAの車輪線路部会のレヴェルはそんなものであるらしい。まともなことを考えられる人材はいないようだ。NMRAとは35年付き合って、多少の寄付もしてきたが、縁を切ることにした。

2014年01月18日

ピヴォット軸受

 筆者の車輌での測定値を下に示す。

 17.5mm(33 inch)車輪を付けたデルリン台車装備の4軸貨車(質量358 g)の、勾配での起動角θのtangentは0.0030である。
 また、動いている貨車が止まらない最小角は0.0023である。1 m行って2.3 mm だから、これはほとんど目に見えない角度である。すなわち、水準器代わりになるほどである。
 筆者の貨車は、迂闊には机の上には置けない。あっという間に滑り落ちてしまう。この値はピヴォット軸の場合である。HOなら、単純に考えると輪軸のテコ比で2倍となるから、0.006ほどを期待できることになる。

 先回のコメントで戴いたデータは、かなり大きな値である。どのような潤滑方法を取っておられるかは分からないが、ピヴォット軸受のような接触圧が大きい物には、極圧型の潤滑剤が不可欠である。液体だけの潤滑油では、油膜が切れるので、意味がない。最近はモリブデン粒子入りのグリスがとても安くなったので、それをホンのちょっと入れるだけで、摩擦が激減するはずだ。この「ホンのちょっと」というのは、尖端に0.5 mm径ぐらい付いていればよいのであって、多すぎると攪拌抵抗が増える。

 19 mm(36 inch)の車輪が付いた6軸プルマン客車は、tangentが0.0041である。何が違うかというと、集電ブラシが付いているからである。集電ブラシは、軸の細いところに接触していて、注油してある。
 軸受はデルリンでなくダイキャストのままである。それも大きなファクタかもしれない。動摩擦では0.0033である。

 牽引力7 N(約700 g重)の機関車(動輪上重量が約3 kg)で、平坦な直線上なら、200 kg以上の貨車を牽ける計算だ。すなわち500輌以上の貨物列車だ。
 3%勾配であるなら、20 kg すなわち50輌ほど引っ張り上げることが出来る。ただし、これは直線上の話であって、曲線上ではフランジがこすれたり、左右の車輪の行路差があるので、この半分ほどになることが多い。

2014年01月16日

潤滑油

 最近、「〇〇ローラー」という輪軸の話を聞いた。もう30年近く売られているものらしいのだが、効果があるのかどうかが良く分からない。
 ボール・ベアリングのような構造なのだが、アウタ・レースとインナ・レースがデルリン(ポリアセタール)なのだそうだ。ボールが入っているのだが、リテーナが無いのだそうだ。
 ボール・ベアリングはリテーナがないと玉が、擦れ合って具合が悪い。グリースが入っているのでもないそうで、ありえない話ではある。

 その現物を見ていないので、どのようなもので、どの程度の性能を持つものかはわからない。いずれ、この話を聞かせてくれた友人が、客観的なテストをされるのだろうと期待している。

 HOの皆さんは、牽かれるものの摩擦低減についてあまり熱心でないように思う。運転会に行っても、さほど長くない編成を、機関車がスリップしながら牽くのを見る場合がある。潤滑油を替えるだけでも、かなりの効果がある場合が多いはずだ。定量的な実験結果が、全く発表されないのも不思議である。
「△△輌牽いた。」という話は聞くが、全質量が何キログラムで、起動勾配がどれくらいのなのかが知りたい。

 摩擦を測定するのは簡単で、斜面を作れば良い。撓まない程度の剛性のある路盤の下に何か挟んで、勾配を作り、起動する限界を探れば良い。
 静止時から動き出す勾配と、動いている車輌が止まらない勾配を測定しなければならない。

 筆者のピボット軸受には、必ずモリブデン・グリスを少量入れてある。軸受がポリアセタールであれば、潤滑油が要らないと信じている人は多いが、測定してみると潤滑油の有無で1.5倍ほどの違いがある。潤滑は必要である。
 ほとんどの人には十分小さい値で、問題がないのだろうが、筆者にとっては軽く動く車輌でないと100輌編成が牽けないので、そこは譲ることができない。

2014年01月14日

再開

 しばらく休載させて戴いたのは、休養をとる必要があったからだ。
 昨夏より、7年越しの仕事を完成させる必要があり、数か月の間、毎日12時間以上コンピュータとにらめっこをしていた。年末に決着が付いたのだが、極端な視力低下で車の運転も危ない状態になった。一言で言えば、蓄積疲労であって、休む以外ないということであった。1月近く、休ませて戴いたので視力が十分に回復し、やる気も出てきた。夜間の車の運転も不都合が無くなった。

 休んでいる間、何を書くべきか、いくつか案を練った。実物の構造の話とか、機関士Tom Harveyの手記の翻訳、車輪コンタの話、工作機械などについて随分考える時間があった。リクエストがあれば順に書いて行きたい。

 最近、色々な方がボール・ベアリングに興味を持たれるようになり、筆者が安く仕入れたものを提供して差し上げることが多くなった。貨車、客車にそれを入れれば転がり抵抗の低減に寄与するものと思われるのだろうが、渡すときに申し上げても、それに対する期待が大き過ぎたことに実際に完成するまでは気が付かない方が多いようだ。
 廻りくどい表現になったが、早い話が、HO以下ではOゲージのように慣性が感じられないので、ご不満の方があるのだ。

 先に結論を言うと、客貨車では軸重100 g 以下ではボール・ベアリングの効果は目に見えない。ボール・ベアリングの中に封入してあるグリスの攪拌抵抗がかなりあって、するするとは回転しないのである。Oゲージのブラス製客車のように1台 2 kg もあると、ボールベアリングの効果は絶大である。一押しで1周30 m強 のエンドレスを廻って来る。それを見せると、HOでも可能なように思うのであろうが、それは無理である

 まず、車輪半径が半分なので、テコ比の問題がある。同じ回転抵抗でも、車軸を回転させにくい。また質量が、単純計算で 1/8 なので慣性が小さい。速度が半分なので運動エネルギーが 1/4 である。事前に説明しているのだが、一押し 30 m の夢から逃れられないようである。
 それでは、車体を極端に重くすればどうだろう。これはアメリカで一度見せてもらったことがあるが、かなりの効果があった。しかし、脱線すると大変なことになるし、ポイントのフログがすぐに駄目になるであろう。

 貨車や客車について言えば、ピヴォット軸受には敵わない。筆者の実験では軸重100 g 以下はピヴォット軸受が良い。軸受はブラスの板にセンタ・ポンチで凹みを付けたもので十分で、僅かのモリブデン・グリスを入れると良い。凄まじくよく転がり、水準器代わりになるほどである。この動画はピヴォット軸での転がりを示す。

 17.5 mm と 19 mm のピヴォット軸(英語ではCone Endという)を新たに作ったので、ご希望の方にはお頒けしている。 

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