2011年07月19日

2011年07月19日

糸鋸の達人

DSC_1659 糸鋸のframe(弓)は何本も持っている。中学生のとき買ったものはネジが甘く捨ててしまったが、その他の物は今でも使っている。英国製の弓も良かったが、20年ほど前アメリカで買った弓が軽くて使いやすく、もっぱらそれを使っている。

 この写真の上は英国製らしいがアメリカで買った。少々重いのが難点だが、使いやすい。狙った方向に刃が向いて曲線切りには良い。下が米国製である。弓の一部がダイキャストであり、それがすぐ折れるだろうと思ったが、永持ちしている。価格は意外に安かったことを覚えている。当時の価格で10ドル強だったと思う。
 このダイキャストが軽いので驚く。マグネシウムでも入っているのではないかと思うほど軽い。ブランドはなく、ただ Made in USA としかない。 歳を取ってくると、少しでも軽いほうが助かる。人に勧めたいのだが、銘柄が不明なので検索しようがない。見つけたら買おうと思っているが、なかなか遭遇しない。

 刃はVallorbeである。この箱は10グロス(1440本)入りで、筆者が普通に使って10年分である。達人に使い方を習って折らないようにしているが、5秒で折ったりすることもあり、そういう時は別の仕事をして気を紛らす。達人とは伊藤英男氏のことである。先年TMSに平岡氏による紹介記事が発表されたので、ご記憶の方もあるだろう。

 伊藤氏によると「糸鋸の寿命は12分間」であるそうだ。「それ以上は持ちません。距離にして大体1200mmですね。」と仰る。「鋸も疲労するのです。どこにも引っ掛けないように注意していても、12分経つと自然に切れます。」と仰る。氏はおそらく生涯に何万本かの糸鋸を消費された上での結論であろう。伊藤氏はシァを使わないで、すべての直線を糸鋸で切るのである。
 伊藤氏は東京模型研究所という工房で船舶模型の一品物を製作するのを業とされた。生涯に約300隻作られたそうだ。戦後すぐ、カワイやカツミで特製品の製作をしていたと仰る。
 「その頃カツミに祖父江(欣平)さんが入って来られて、あの人にはとてもかなわないと思って、船の方に行ったのですよ。」と当時を振り返られた。それはちょうど一品物の特製品の時代から、機械を使う大量生産に移り変わる過渡期であったのだ。「私は糸鋸とハンドドリルとヤスリだけしか使わないハンドメイドでしたから、祖父江さんのように速く作ることはできませんでした。」と述懐する。

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