2011年01月

2011年01月23日

続々々 磁気回路

 モータの設計においては、磁力線が外部に漏洩しないようにせねばならない。皆さんのお近くにある缶モータと称するものに、鉄片を近づけてみられるが良い。くっつくものは磁気回路がまともではない。うまく処理すれば、よりトルクが増大するであろう。ちょうど内径の合う鉄パイプをかぶせると良いのである。
 一部のコアレスモータでもそのようなものがあるのは不思議だ。

 いわゆるOpen Frame Motorであっても、適正な磁気回路を設計して界磁を作れば、かなりの効率改善が見られるはずである。
界磁のコアは積層になっているが、直流モータでは積層の必要はない。ムクの軟鋼塊で良い。切るのはレーザで十分ですばらしいものが出来るであろう。

 問題はその積層鋼板を締め付けるネジである。もっとも大事な部分に孔を空けて、こともあろうかブラスのビスで締めているものがある。これは当然鉄ビスを使うべきであろう。
 磁気抵抗が大きい部分があると、磁束は外部へと漏れ出してしまう。磁気回路が途中で遮断されれば磁気漏洩は当然起きる。

怪しいトランス しばらく前のセンタ試験の物理の問題で、閉じていない磁気回路を持つ変圧器が発生する電圧の問題があった。問題を作った人は実際にトランスを作ったことがない人であるのは明白だ。答えは理想的なトランスでの値で、実験値は、想定値の8割くらいであった。
 これを指摘した人は工業高校の先生で、実技の経験豊富な人だ。モータの設計においても全くその通りで、エアギャップは少なく、その他の磁気抵抗も最小になるように工夫せねばならない。
 Lobaugh series wound motorLobaugh motor いま、その形を模索しているところであり、いずれ発表できるであろう。Lobaughと言えども完璧ではない。しかしその電機子の作りはすばらしい。スタティック(静的)なバランスしかとってないが、廻してみても振動をほとんど感じない。

 この写真の軸にギヤがついているのは、そこにボール紙で作った羽根を貼り付けた痕である。例の光学式回転計で測定した直後に撮影したのだ。12V で9700回転であった。

 強磁界によりモータの回転数が1/4になれば、減速比が小さくなり、ベベルギヤ1段でも十分になるであろう。すると容易に、押して動く機関車が実現できる。ウォームギヤは過去のものになる日が来そうな気配である。




 無事であれば、今頃筆者はまた、カホン峠あたりをうろついている。帰国までしばらく休載させて戴く。

2011年01月21日

続々 磁気回路

 先日、高橋淑氏にお会いして聞きたかったのは、誰がOゲージ用モータの設計をしたかということであった。なんと祖父江氏であった。Lobaughのモータを元に彼が絵を描き、それを元に電気屋を何軒か回って作るところを探したのは高橋氏であった。道理で、ブラシ支え部分の作りが似ているわけだ。しかし、ほとんど完璧な真似であったのでかなり良いモータであった。
 当初5溝のロータを作ったのだが、プレス型がでたらめで、重ねると極の位置が違って、がたがたになる。巻線機で巻くとひっかってエナメル線が切れてしまう。しょうがないので、ひとつずつヤスリで削るなどということをしていたそうだ。
 より良い抜き型を作るまで苦労したそうである。仕方なく合印を作って、特定の位置で縦にそろえたのだ。

磁気回路短絡 その後、どの位置でも合う抜き型を作るところがあったので、それ以降は合い印はないということだ。昔筆者の持っていた三線式のOゲージの機関車のモータは軸受け部の支え板が鉄板製であった。父は「こんな馬鹿な設計はない。」と憤慨して、ブラスの板で作り直してくれた。要するに磁気回路が短絡されて、トルクが減るのである。

 これについて、高橋氏に聞くと驚くべき答が返って来た。「あれはコストを下げるためにやったのです。無論私は反対しましたよ。でも、『安くせよ』と言うもので仕方なくなるべく薄い鉄板で作ったのを付けたんです。多分動かないだろうと思っていたんですよ。でもトランスをつないだら一応廻りました。社長の『廻るじゃねえか』の一言でおしまいだったんですよ。」

 このあたりに、日本のOゲージがおもちゃで終わってしまった大きな原因が隠されているように思う。「より良いものを作ろう」という気迫が全く感じられないのである。
 ところが輸出用の模型のモータはどれも例外なく、軸受け部の支え板がブラス製である。磁気回路は短絡していない。
 インポータの指示があったのである。当時のインポータは「金はいくらでも払うから良い物を作れ。」と言ったそうだ。

 当初のEB電関の台枠は、ブラスの1mm板であった。それを安くするために0.9 mmにし、さらに0.8 mmまで薄くしたら、強度がなくなった。ところが、蔵前にあったある問屋の下請けが0.7 mmの鉄板で作ってきた。これは安く、丈夫であったのでそれが標準となった。
 台枠を固定するリベットも最初は銅であったのがアルミになった。
 我が家のEB電関はこの鉄板製台枠であった。軸穴の中でブラス製の軸が回転する。当然軸は磨り減って細くなり踊るようになる。またまた父の怒りは炸裂した。
「軸は硬い材料で、軸孔は軟らかい材料でというのは鉄則だ。何を考えているんだ、こいつらは!」とブラスの軸受けを作ってくれた。軸は鉄製のを手に入れたから、改造は簡単であった。

2011年01月19日

続 磁気回路

KTM 30mm Core Motor Magnet Removed 次に1970年ころ製造のKTM製モータ②の磁石を外した。これはアルニコ系の磁石で、高橋氏によると三菱系の会社の製品だそうだ。もうすでに磁力は落ち、吸着力はたったの300g重(3 N)しかない。これを外した空間に30x15x5 mmのネオジム磁石(吸着力8.2 kg重、83 N )を入れ、残りの部分は軟鋼板のつもりであった。しかし、20 mmもの厚さを板で埋めるのは大変である。

KTM 30mm Core Motor Modified そこで外した磁石を90度ひねって吸着させたところ磁極に関係なく着いてしまった。いかにネオジム磁石が強いかがよく分かる。しかしアルニコの磁極が生き残っていると面白くない。何かの本に、衝撃を与えると、容易に磁極の変更ができると書いてあった話を思い出した。ネオジム磁石に吸着させたまま大きなクランプで磁気回路を形成するように挟んで金床の上に置き、割れない程度に金槌で百回ほど叩いた。すると本当に磁極が90度転換してしまった。それを押し込んだら改造は完了である。これなら早いと思ったが、実のところ思わぬ障碍があった。磁力が強すぎてフレームがたわみ、電機子に接触した。少し修正して廻るようになった。

 電流を通じると、起動電圧が1/4以下になり(7 V⇒ 1.5 V)、12 Vでの無負荷電流も1/3(1.2 A⇒0.4 A)になった。このデータは以前の状態がいかに駄目であったかを物語っていて、ネオジム磁石がどの程度機能しているのかはわからない。
 しかしトルクはかなり大きくなっていて、測定はしていないが、数倍になっているような気がする。7溝であるのでさしたるコッギングもなく、調子よく回った。

torque meter 今トルク計を設計している。トーション・バー(ねじり棒)にパイプをかぶせ、それに付けた針が、ねじり棒上の文字盤のどこを指すかを見ればよい。回転しているからストロボで短時間の発光をさせて見る必要があるが、最近はデジカメの時代だから撮影、検証は容易だ。定常状態で行うのでブレーキを掛けつつ、電流電圧を表示させ、写真を撮らねばならぬ。このような実験装置を作るのは楽しい。何かの発見があるかも知れぬ。
「ノーベル物理学賞を取ろうと思えば、まず実験装置を自作せよ。」とは、よく聞く話ではある。

Tachometer and Optical pick-up 
 回転計は旋盤の主軸回転数を測る光学式のものがあるので、それを外して一時的に使用する。旋盤用は40枚の羽根がついているので、それを4枚にすれば回転数測定時には、単に読みを10倍すればよいことである。


 トルク × 回転数で出力が計算される。電流 × 電圧で電力が算出されるので、それらを元に効率も知ることができる。ネオジム磁石によってどの程度改善されたかが分かり、コスト・パーフォーマンスが客観的に示されることになる。
この客観的というところが大切で、このようなデータは模型雑誌ではついぞ見かけることがないものである。
 どんなに良いといっても信じがたい話が多い。特に機関車の性能についての記事は、怪しいものばかりだ。

2011年01月17日

磁気回路

 磁気回路という言葉をご存じない方が多いと思う。モータ、変圧器などの中を通っている磁力線の通り道が一周しているその通り道である。筆者は幼少のころより、父から散々聞かされて育った。

 最近話題のネオジム磁石を模型用DCモータに使うとどうなるだろうか、という話を土橋和雄氏とした。土橋氏は本物の電車の電路屋さんだ。
 既製品のモータはアルニコかフェライトの磁石を使用している。直巻モータよりは省電力(界磁を励磁する必要がない)だが、界磁の磁束密度が高いとも思えない。これをネオジム磁石にすれば単純計算で10倍くらいにはなる。すると逆起電力は10倍になるから回転速度は落ち、トルクは増大するはずである。いろいろなファクターがあって一概には言えないが、全て良い方向に行くはずである。

 改造すべきモータをジャンク箱から探し出した。

①Lobaughの直卷モータ コア厚み38.0mm(1.5インチ)電機子径31.75mm(1.25インチ)7溝
②KTMのマグネット・モータ コア厚み32mm 電機子径32mm 7溝
③All-Nationのマグネット・モータ コア厚み25.4mm(1インチ)電機子径25.4mm(1インチ)7溝
④中村精密のマグネットモータコア厚み20mm 電機子径12.5mm 5溝

 磁石はNeoMag社から購入した。注文すれば即日送ってくる。ぴったりの寸法がなければ軟鋼板を削って隙間に入れれば改造完了である。

 久しぶりに糸鋸で鉄板を切った。バローべの2番でがしがしと切り、ニコルソンのヤスリですり落とした。普段のブラス工作とは違い、刃物の切れ味がもろに分かる。ニコルソンのヤスリは鉄工には不可欠だ。
 よくブラス工作にもニコルソンでなければ…と言う人がいるが、筆者にはどれでも良いと感じる。ブラスは軟鋼に比べればはるかに快削であって、どんなヤスリでも大差なく削れるはずだ。

Modified Nakamura Seimitsu MotorOne magnet is removed to ensure bertter performance 最初に④のモータをばらして磁石を捨て、25x5x10というサイズの磁石を嵌めた。吸引力は5.1 kg重(52 N)もある。もちろん軟鋼板を隙間に入れた。
もともと二つの磁石があったが、磁気回路を考えると無い方が良いということになって、ひとつだけ嵌めた。

 これは失敗であった。磁力が強すぎて、電機子の鉄心が吸い付けられ、コッギング(英語ではTeething)が起き、電流を通じてもそれを引き離すだけの磁力が生まれなかった。もっと弱い界磁にしなければ動かない。これは5溝しかないことも大きなファクタである。完全に磁極にはさまれる瞬間があるからだ。多少電機子をねじった(Skewed)状態にしても追っつかない。
 5 A も流せば吸引力から逃れることが出来るだろう思ったが、とても無理で焼け始めた。この種のモータにはもうすこし弱い磁石が適する。しかし現況のは弱すぎて全く力がない。電機子の巻き数も多くすると良いだろうが、磁気飽和を考えると無駄かもしれない。薄くて安いものを買ってみよう。

 後述のOゲージ用モータに比べると、当時のHO用のモータの設計は見るからに駄目そうである。  

2011年01月15日

続々 危険信号

 この番組は長く続いたので、高橋氏にとっては、それが部品の耐久力試験の場であったと述懐する。
 電圧をセットして、スナップ・スイッチでパチンと電源を投入すると動くようにしていたのだが、そのスイッチはすぐに壊れてしまった。意外に寿命が短いものであることが分かったのだ。

 次はロータリースイッチにしたが、これも壊れた。最終的には肉が厚いナイフスイッチにしたらしい。

 当時はあちこちの地方都市に開局記念番組として出張した。人気番組であったから引っ張り凧だったらしい。
 地方都市にとっては、NHKの放送局が出来るということは大変重大なことであって、番組放映後の打ち上げは、今では想像出来ないほど豪勢なものであったそうだ。市長、警察署長、消防署長…という御歴々がずらりと並ぶ大パーティであった。この番組を支えるのは楽しかったけど、とても疲れたそうである。

 高橋氏は、カツミの現社長を毎日品川のM学園の幼稚園まで送っていったという。当時は家内工業的な企業であった。そして高橋氏はカツミ模型店を支える大きな柱であった。このころからアメリカとの交渉に当たり、年に何回も渡米して打ち合わせをした。おそらく当時のわが国の鉄道模型業界ではもっとも訪米回数が多い方であろうと思われる。英語が非常に堪能な方である。
 


[追記]
 ナイフスイッチは1回しか使用しなかったということだ。
 視聴者から、電車の速度が速い回と遅い回があって、不公平だと指摘されたのだそうだ。それで変圧器の1次側に3Aのスライダックを入れたところ、スイッチが要らなくなったのだそうだ。今までは変圧器の出力が2V刻みであったが、無段変速になって具合が良かったのだ。

 風船を載せる台のあとに金網で作ったトンネル風のものがあったことをご記憶の方もあるだろう。風船が割れるとゴムの切れ端が飛んでレイル上に落ちる。それを列車が巻きこんでしまうことが立て続けにあったそうだ。インサイドギヤに巻き込まれると外すのに苦労する。
 それで、風船のゴムが落ちないようにトンネルを作ったところ、列車が見えないと言う苦情が来て、それでは透けて見える金網にしようということになった。大道具を作る人がすぐ作ってくれたそうで、それ以降全く問題なく運営された。
 この金網は、出演者が走って戻るときに列車を壊さないためだと思っていたが、全く別の理由であったのは大発見であった。                           
                                  1/31/2014記

2011年01月13日

続 危険信号

 高橋氏の話は続く。
 この番組の出場者は関東地方からの応募者で、与えられた課題を風船を割らずに完成すると賞金が3000円もらえたそうである。高橋氏への謝金は1回500円であったが、プロデューサに着服されたことがあったそうだ。それを避けるために、一月ごとにまとめてもらえるようにしてもらったなどの、生臭い話もあった。

 はじめはマイクロフォンが有線であって問題がなかったが、ワイヤレスに切り替わった途端、線路上の微細なスパークを拾うようになり、毎回線路磨きに追われた。しかしいくら磨いてもそのパチパチ音が消えなかった。

 当時のワイヤレス受信機は真空管式で、2時間前から予熱してスタンバイしていたそうである。そのとき高橋氏がレイルを磨かずに走らせたところ、全く音がしないことに気がついた。レイル面に、むき出しのウォーム・ギヤから飛び散った油がついたままで走らせていたのである。
 彼は油がスパークを防ぐことに気が付き、油を全面にうすく塗布することにしたのだそうだ。その後スパークからは完全に解放されたそうだ。これは戦後すぐのMRに載っていた"Oiled Track"そのものである。牽引力を稼ぐ必要がない電車列車には良い方法であろう。
 ブラスの車輪と銅のレイルであるから、表面に薄い酸化被膜が出来やすいので油膜でそれを防ぐというわけである。これは今でもかなりの人に支持されている。DCCの時代になり、スパークでデコーダの設定が狂うのを避けるためである。Clipper Oil(バリカンの油)を模型店で売っている。筆者の実験ではミシン油でも十分である。筆者は牽引力を大切にするために決して使わない。

 車輌の故障はほとんどなかったが、参加者が壊すことはほとんど毎回のようにあった。修理道具と交換部品はいつも持っていたそうだ。

 一度、芸能人大会で、若の花が参加したとき、電車をつかんで投げ落としたことがあった。このときはひどいダメージを受けてしまい、「もう相撲取りは出さない。」ということになったのだそうな。その場面は筆者の記憶にもある。

 司会は木島則夫アナウンサであった。



[追記]
 レイルは銅の引抜きであったそうだ。筆者も持っているが、一時期はそれが人気商品であったそうだ。電気伝導性が良く、大電流が常識の時代には電圧降下を抑えるにはそれがベストの方法であった。
                                   1/30/2014 記 

2011年01月11日

危険信号

高橋 淑氏 危険信号というTV番組があった。記録を見ると1956年から64年まで放映されたとある。
 筆者の世代は毎週土曜日はこれで盛り上がった。実際に三線式Oゲージでこれをまねて遊んだ覚えもある。


 先日、元カツミ勤務の高橋淑氏にお会いしてその当時の話を伺った。当方にとって意外だったのは、それが2線式Oゲージであったことである。1番ゲージであるとばかり思っていた。

ALCO PAPB By KTM 放送開始当初はALCOのPAPBを黄色に塗装し赤のラインを入れたものにNHKと書いて使用していたそうである。写真の模型は栗生弘太郎氏所蔵・撮影の同等品。
 この模型は荻窪の職人が手作りで10両くらいずつ納品していたのだそうである。筆者も何台か持っているが、全て出来具合が異なる。

 二代目は「こだま号」になった。スケール車輌ではなく、ショーティであったそうだ。16メートルくらいに切り縮めたものらしい。それは使用をやめたあと、誰かが持ち去って、行方不明だそうだ。
 新幹線開業が近づいて、国鉄から新幹線を使用してくれという要望があり、ショーティの0系「ひかり」を作って使用した。それが人気を博したので、量産して販売したのだそうだ。これは今でも中古市場でよく見る。

 放送時には高橋氏が詰めて運転、保守に携わったとのこと。確かに、途中で動かなくなってもすぐに代替車輌が登場し、しばらくすると「直りました。」と交換されるのを、手際が良いと感心して見ていたものだ。 


[追記]
 当時の国鉄が新幹線開業を控えて、宣伝のために新幹線の模型を使わせたいと思い。国鉄本社が発注して、それを NHK に寄贈したそうだ。テレビを見て「こだま号」の製造元を調べ、カツミに注文が来た。
 新幹線車輌は、初め鋳物で前頭部を作ったのだそうだ。厚さ4 mmほどもあって、重くて走りが悪かったという。その理由は、厚いスカートがあるので、外側台車を付けることが出来ず、輸出用の蒸気機関車の先台車を、前部台車として用いた。それは内側台車であって、軸の太さが5 mmもあり抵抗が大きかったためである。
 完成したものを車に積んで国鉄本社に納品に行ったところ、守衛が怪しんで入れてくれず、電話して担当者を呼び出した。守衛を排除して地下の駐車場に入り、エレベータで4階に行って展示したところ、みな興奮して見ていた。走らせてみると、ちっともうまくいかない。重心が前に在って、動力台車がスリップしたのだそうだ。すぐにそれは解決したのだが、窓ガラスを入れろと言われた。放熱用に窓は開いていた方が良かったのだが、とにかく窓ガラスを入れた。鋳物であるから、厚みがあって、難しかったのだそうだ。
 放映が始まると、大人気でカツミには「あれを売ってくれ」という要望が多数あり、プレス型を作って薄い板金製の車輌を作った。何台かはフルスケールの長さの物を作ったそうだが、短いものを作ると爆発的に売れたそうだ。いわゆる三線式Oゲージのショーティである。  
                            1/30/2014 記

2011年01月09日

続々々 鉄道模型の価格

 最近、当鉄道への見学者が増えた。鉄道模型を嗜まれる方ばかりではないが、ご親戚にそういう方がいらっしゃる方が多いようだ。
 地下室にご案内すると、皆さん同じことをおっしゃる。

「いくつぐらい牽くのですか。」
 最初から全周に亘って貨物列車が停泊しているので、それが動くとは思わないのだろう。
「それでは動かしますから、数えてみてください。」と申し上げると、皆さん驚きながらも一生懸命数える。80輌位のものであるからほとんど誤差なく数えることが出来る。その次の言葉も大体同じだ。

「これって高いのでしょう?1台1万円として80万、2万なら160万……」
 その価格は過去に聞いた価格から算出しているようだ。
「この鉄道では、1台10ドルが相場で高くても50ドルしませんよ。」と言うと信じない。それは塗装、デカルなどの効果で高そうに見えるのであろう。もちろんそういう経費は掛かっているが、車体そのものは10ドルが目安である。

「こんな小さい貨車でも高いんですって!!」と強調する方もあるが、それはHOの価格を聞いているからであろう。Oゲージは安いのである。体積あたり、質量あたりでも『お得感』が大きい。

 そんな話をすると、当のHOを嗜んでいる方が見学にいらっしゃる。価格を聞くと愕然とする方が多い。
「Oの方がいいですね。でもスペースがないから…」とおっしゃるので、レイアウトをお持ちなのだと思ったら、持って居ない方ばかりだった。
 そこで先回の話を持ち出すと、皆大笑いだ。

2011年01月07日

続々 鉄道模型の価格

「アメリカ型鉄道模型は安い」と書いたが、それはHOを楽しんでいらっしゃる方からもよく聞く。日本型は高すぎるのである。あまりにも凝り過ぎて手の入れ様がないらしい。塗装済み完成品を眺めて、箱に入れてしまうのが鉄道模型の楽しみとすれば、それはあまりにも面白味に欠けると感じるのは筆者だけだろうか。

 線路に置いて走らなければ意味がない。出来ればよく走って欲しい。音も出ると嬉しい。このようなHO模型をアメリカでは既製品として市販している。価格も決して高くない。小さいから航空便で送っても送料は知れている。

 日本でOゲージが衰退したのは、TMSの方針という説もあるが、KTMをはじめとするメーカが、より優れたものを作ろうという気迫に欠けていたことがファクタとして大きい。良いものは輸出品だけで国内向けはおもちゃの域を出なかった。仕方なく自作する人たちは、クラブを組織し精緻な模型を作り、それが綿々と続いて現在につながる。  
 彼らは完成品の模型を買わない人が多いので、メーカはますます製品化をしなくなった。しかし、何かの切っ掛けで量産品が現れるとファンの数が急に増える。それはOJのC62であった。これは祖父江氏の製造で、筆者が17号機の上にまたがって写真を撮ってきた資料に基づいている。もちろんそれを保存していた公園の園長の正式な許可を取った上での行動である。 

 さて、あるOJファンの言葉を紹介しよう。
「鉄道模型押入れ一杯でいくらかと言われたら、HOが一番高い。」
 これは完成品を買い集めたときの価格であるそうな。彼は我が家に来てOゲージ機関車の箱の寸法をいくつか測定して行った。「HOは箱が小さいからな。」と言う。

 何度か細かい計算をして、HO,N,O,Gの順であると断言した。このような次元での価格比較は初めてであったので、妙に感銘を受けた。亭主が自由に出来る空間は押入れ一本であるという前提だそうだ。

 都市部に住むとそういうことになるのだろう。筆者は早々に田舎に住居を移したので、地下室全部を自由に使っている。もっと田舎に行けば平屋で楽しめるであろう。

2011年01月05日

続 鉄道模型の価格

 筆者は長くこの趣味に浸っているので、長年の間に各種のヴィンテージ模型をコレクションしている。しかし、それに拘らなければ、ある程度の模型を揃えるのに多額の資金が必要とはとても思えぬ。
 日本製ブラス模型も、アメリカでの中古価格は最近はかなり安価になってきた。その理由はいろいろあるが、ハンダ付けが出来る人が減ってきていることが最大の原因である。要するに修理が出来ないのである。塗装ができる人も極端に少なくなっている。缶スプレイで直接塗ることしか出来ない人が増えている。

 アメリカでOゲージの集会に行くと必ずその話になる。ハンダ付けのテクニックの講習会もよく開かれている。日本とは違い、専ら炭素棒による方法である。
 少々大きなものはガスバーナで加熱し、コテは電気配線以外使わないと言う人も居る。

 全くの素人も講習会で目覚めてブラス工作の名人になる人も居る。会うたびにテクニックが向上し、すばらしい作品を持ってくる。
 彼は、安値で手に入れたブラスロコをばらして再組立てをする。よく実物を観察しているので、実感的な塗装の効果もあってコンテストに上位入賞するようになった。

 日本の鉄道模型界においても、このような人が増えればよいのだが、なかなかお目にかかれない。やはりOゲージは高価だと思っているのだ。
 e-bay で輸入ブラスモデルの価格をご覧になると良い。韓国製よりその前の時代の日本製の方が安価である場合が多い。運賃も円高でそれほど高くない。

 動力装置をばらして少々手入れをするだけで、そこそこに走るようになる。押して動くようにするには更なる工夫が必要だが、ギヤボックスのグリスを入替えるだけでも、十分かもしれない。

 筆者は上に述べた外観の細密度にはさほど拘らぬ。嘘のない程度に仕上っていれば良いことにしている。

2011年01月03日

鉄道模型の価格

 元旦は、来訪した甥の長男がレイアウトを見たがったので、その相手をした。大変であったが、貴重な後継者候補であるので出来る限り詳しく説明した。
 買ってきただけのものがほとんどないということにはかなり驚いていた。NやHOを見たことはあるが、Oゲージを見たことはないのだそうだ。HOなどでもあの値段なのだから、さぞかし高価なものだと思ったようで、それを打ち消すのは大変であった。

 結論を言うと、"アメリカ型Oゲージは安く楽しめる趣味”なのである。
 意外だろうが、これは事実である。全ての工業製品は、量産効果があれば安価になる。ということはたくさん作っているものは安いということである。
 日本型Oゲージ(OJゲージ)は極めて高価である。生産台数が数十台であるからだ。これではどんな生産手段をとっても安価には出来ない。
 その昔Max Grayの時代、ブラス製も機関車なら300台、貨車は1000台という発注単位であった。現在ではMTHは機関車は1ロット2000台ほど作っているようだ。それはライオネルのような三線式Oゲ−ジの需要があるからである。95%は三線式仕様で、5%が二線式である。
 しばらく前は、その比率が12:1と言われていたが、今は20:1なのである。それだけ作っても全て売り切るのだから、市場は深い。
 価格も手の届く範囲にある。
 

2011年01月01日

続々々々々 慣性を増大させる装置

 
               謹賀新年 
 
 このあたりの構成はかなり面倒であるが、設計を試みていた。そうこうしているうちに、産業用の機器に組み込まれた遊星ギヤ装置があるので、その製造元からサンプルとして購入してみることになった。直径が36mm程度である。細いのは11mmというものもある。

 さらに小さなものを探すと、弦楽器のチューニングに使う物もある。ヴィオラ・ダ・ガンバのような大きなものの弦を張るのにはかなりの力が要る。それを同軸減速ギヤを用いて小さな力で行うようにした工夫である。 鉄道模型にはあまり用いられていない。モータ自身の中に組み込まれたものは最近よく見るが、単なるギヤボックスとしての使用例は見たことがない。

 遊星ギヤは同軸であるから、モータ軸の延長上に置くことが出来るし、効率が良い。1段で98%と謳っているものもある。悪くても90%だろう。2段でも80%ある。車軸にべべルギヤを用いればトータルでも70%くらいの伝達効率になるだろう。
 
 そろそろウォームギヤ一辺倒から脱却しても良い時期かもしれない。モータも今、低速回転モータを開発中で、それを使えばギヤなど不要になるかもしれない。

 新年早々 初夢にお付き合い戴いてありがとうございます。今年もよろしく。

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