2010年10月

2010年10月31日

続々々 Feather River Route を走る

IMG_2439IMG_2446IMG_2456 Feather Riverに沿って下る。線路は左岸に沿って走る。崖にへばりつくような路線だ。あたかも中央西線のような感じである。ところどころ、短い素掘りトンネルもあり、勾配は2%弱であろうか。

IMG_2450 崖の途中に少しでも広いところがあると、それは信号場になっている。100輌ほどの列車がすれ違う。この辺りの景色はすばらしい。川の流れから判断すると、勾配は緩い。
 汽笛が警告に響き渡り、素晴らしい鉄道風景がそこにある。ハイヴィジョンで動画も撮ったが、自動車の音が気になる失敗作であった。

IMG_2458 途中にダムがある。そこで線路は新線に切り替えられ、やや高いところを走って、長いトンネルに入る。おそらく昔の線路の方がはるかに景色は良いだろう。


2010年10月29日

続々 Feather River Route を走る

Steel Trestles in Feather River Route Keddie の wye に近づくと山々は険しくなり、線路が谷を縫うように走る。余部の鉄橋に勝るとも劣らぬほどの大きさの橋がいくつも連なる。どの橋も曲線を通しているが、桁は直線であることは言うまでもない


 この辺りの橋は、余部の鉄橋とほとんど同時期に作られた。設計手法も類似しているから、製造所もほとんど同じであろうと思われる。山中の塩分の飛んで来ないところであるから、全くと言ってよいほど錆びていない。無塗装でも十分持つのではないかと思う。

Keddie wyeKeddie wye side view しばらく行くとちょっとした峠があって、線路はそれをトンネルでくぐる。出たところが、かの有名なケディーの二股になった鉄橋である。


 当初はこの写真で言うと右向きの線路だけがあった。その後左向きの線を敷くとGreat Northernへの連絡線になるので、その鉄橋を作った。さらにこの写真の向う側の山の中にトンネルを掘って、デルタ線にしてしまった。しかし、トンネル線は、長大列車が通っているかどうかは疑わしい。どちらかと言えば非常用の線のような気がする。このトンネルを通る列車の写真・動画は少ない。

Toyota Camry HybridToyota Camry HybridCamry Hybrid engine




 この辺りの道路は起伏が激しく、ガソリンの消費が多いと思ったのだが、今回借りたレンタカーはカムリ・ハイブリッドであった。下り坂で回生制動して蓄えた電力で次の上り坂のエネルギを賄うので、極端に燃費が良かった。シアトルからLAX空港までの2600kmを1回の給油で走り通した。
 帰国後欲しくなってクルマ屋に聞いてみたところ、国内販売はしていないという。
 

2010年10月27日

続 Feather River Route を走る

 シカゴからソルトレークまではChicago, Burlington &Quincy鉄道、Denver & Rio Grande Western鉄道を経由し、サンフランシスコのすぐ手前のオークランドの隣町エメリヴィルに達する。これでUP,SPを経由しない大陸横断鉄道が完成したわけである。
 有名なCaliforinia Zepherはこの路線を通った。非常に風光明媚な路線で車窓からの眺めは抜群であったらしい。このFeather River Routeには「七不思議」という名所があり、その中にWilliams Loop や Keddie Wye がある。

Williams Loop は名前しか知らなかった。Tehachapi Loop に比べると有名ではない。その理由は現地に行ってみて、はじめて分かった。全くと言ってよいほど、見えないのである。衛星写真では明らかに丸く写っているのであるが、現地ではそれを見下ろす地点などない。全体が森の中にあって、全貌がよくわからないのである。木々の中に列車が見え隠れしていて、登っているのは感じられる。これと比べるとテハチャピ・ループは一目瞭然である。

Williams Loop アメリカ合衆国にはループ線が少ない。そのほとんどがナローゲージで、標準軌の本線には2,3しかないはずだ。その2番目を見ようと思って、あちこち動いてみたが、結局のところ、うまくいかなかった。歩けば何とかなりそうだったが、熊に出会うのは怖い。撮れた写真はこの程度である。

 ネット上を探せば、いくつかの写真が見つかる。どの写真も、よく見なければループ線だとは思えない。
 


2010年10月25日

Feather River Route を走る

 シアトルでのChooch訪問の後はレンタカーで南に向かった。

Western Pacific RR circa 1930 Western Pacific鉄道という会社があった。大陸横断鉄道としてCentral Pacific(のちのSouthern Pacific)鉄道とUnion Pacific鉄道が機能していたが、サクラメントとリノの間のDonner Passの急勾配は大きな障碍であった。1910年代、ソルトレークから西に湿地帯を抜け、Southern Pacificと並行しつつ、より低い峠を越える別線の建設が始まった。
 当時、太平洋側に抜けるルートは、事実上Union Pacific と Central Pacificの独占であり、Western Pacific鉄道が完成すれば、競合路線としての価値は高い。

Feather River Route シエラネバダ山脈を越える峠の数は少ない。Donner Passは標高2200mであるが、その北側約70kmにあるFeather Riverを分け入った峠はそれよりも610m低い。また、必要なトンネルの総延長も少ないことが分かった。しかし、川沿いのルートで、谷の向こうとこちらを縫うように線路を敷かねばならないから、高度の技術を駆使した橋梁建設が必要であった。

 多額の資金を費やしてWestern Pacific RRは完成したが、その財政基盤は脆弱であり、第二次世界大戦が始まるまでは、借金の返済に苦しまねばならなかった。
 戦中は膨大な貨物列車の需要が生じ、それを満たすために大急ぎでCTCを完備した。
 後には、大きな車輌限界が必要なダブルスタックのコンテナ運搬貨車を通すことができて、SPより有利であったが、1983年にUPに吸収合併されてしまった。そして1996年にはWPの長年のライヴァルであったSPもまたUPに買収されてしまい、シエラネバダ越えはUPの独占となった。

2010年10月23日

続々々 Chooch を訪ねて

Mike レイアウトは撮影禁止と言っていたが、ここなら良いということで1枚だけ撮影した。この一角はまだ何も作っていない。仮のヤードがあるだけである。

 他の部分は精緻を極めた造りになっていて、いずれ彼の手によって発表されるまでは秘密である。
 その広さを考えると、想像できないほどの労力が必要である。彼とアシスタント4人でやっているそうだ。
 他にパートタイムの職人が5人いるということである。

 自分のレイアウトを作るときにできるものを製品として売り、それを原資としてレイアウトを建設するというのは、アイデアとしてはあったが、それを高度なレヴェルで実現しているのは素晴らしい。

Chooch freight carChooch freight car 全ての車輌がこの仕上がりレヴェルを守っている。手すりなどの太さ、リヴェットの頭など、他の追従を許さない。これも硬質ウレタン樹脂の鋳物である。
 どの車輌も、十分重い。彼の使っている樹脂はFillerとして無機物を入れている様だ。何かの鉱物の粉であろう。樹脂そのものだけを用いた物より硬く、歪みにくい。

 彼の悩みは良い車輪がないことである。筆者の車輪に興味がある。高精度のCNC工作機械で作られた製品を採用したいという。最小ロットで3000軸なら作れるというと、その気になったようである。

2010年10月21日

続々 Chooch を訪ねて

rubber patternsRubber patterns on the shelves これらの棚は、過去に取ったゴム型の保存用である。ものすごい量である。
シリコーン・ゴムを使っているので、かなり長期間持つようだ。


rubber pattern for road bed これは砂利を撒いた路盤である。枕木にはタイ・プレートが付けてあるから、レイルに接着剤を塗って、置けば出来上がる。砂利は角の立った砕石である。
 全体をカーヴさせて鋳造すると曲線になる。いろいろな半径の曲線が用意されていた。

switch roadbed これはレイルを取付けた路盤である。さすがにPROTO48だけあって、フログのフランジウェイは実感的である。ここまで細かく作ったのに配線が露出しているのは興ざめだ。フィーダはレイルの下に穴を開けて差し込むべきである。まだ仮配線らしく、完成時にはすっきりすると言っていた。


casting oven 注型用のオヴンである。真空に引いて樹脂を入れ、陽圧を掛ける。単なる真空注型では樹脂が廻らないという。

2010年10月19日

続 Chooch を訪ねて

 マイクは子供の時から汽車が大好きで、汽車以外のおもちゃには見向きもしなかったそうだ。だから、友達からはChoochと呼ばれていたそうで、それがこの会社の名前になった。

building plansLaser Cuttermaterials cut out まず見せてくれたのは、本物の建物の図面である。山のようにある。
 それらを全て1/48のデジタル・データにしてレーザ・カットする。その切り抜いたものを20枚ほど積層すると窓枠から外装の一番飛び出しているところまでが、本物通りに再現される。場合によっては窓枠の内部まで作ってしまう。

「ということは、こちらからデジタル・データを送れば作ってくれるわけかね?」と聞くと、「理論的にはそうだが、忙しすぎて出来ない。こちらのレイアウトの仕事が終わらない限り、そのような特注の仕事はしない。」とのことである。
 要するに、彼は自分のレイアウトを高精密に作る時に作られた建物その他を市販しているわけである。彼のところの製品はどれをとっても信じられないほどの細密度である。

「Lorell Joiner のレイアウトは何度も見せてもらった。私に大きな感動を与えたレイアウトだった。でもね、あれをもっと細密にしたらと思ったのだよ。」と言う。確かにそうだが、それは一般の人には困難すぎる。 
building frontphoto studio 積層するとこのような仕上がりとなる。これをシリコーンゴムで型取りし、硬質ウレタン樹脂で複製を作る。出来たものを組んでカタログなどの写真を撮っているところである。背景は緑色で、これを消して別の写真にはめ込むのである。この辺りは映画の手法そのものである。
 Choochのカタログの写真は実によくできているのはこのようなわけである。
 

2010年10月17日

Chooch を訪ねて

tunnel portal Chooch Enterprises という会社がシアトルにある。チューチとは汽車の発する音、シュッポッポを英語で言う時のチューチューを短くしたものである。

 Mike O'Connel氏はワシントン州タコマの出身である。マイクとはここ10年くらい、あちこちでよく会うので招待を受けていた。シアトルへはやや行きにくくチャンスがなかったが、思い切ってテキサスの後で行ってみた。直行便でも4時間ほど掛かる。乗り心地の良くない飛行機で、一番後ろでエンジンの真横という最悪の場所であった。当然、窓の外の視界はゼロであった。安い切符を買うと往々にしてこうなるという例である。

 住所をGPSに打ち込んで車を走らせると、山の中の素晴らしい景色の場所に出た。GPSはここだと言っている。しかしそれは山の中の空き地である。よく見ると車が入れそうなところがあり、その路地を進んでいくと広い庭に出た。うらやましい環境だ。
 住宅の向かいに2階建ての大きな建物があり、1階は工房と倉庫、2階はレイアウトという作りであった。

 階下は何を写してもいいけれど、レイアウトは駄目だという。まだ発表する段階ではないからである。
 まず工房の見学をお願いした。マイクは若いときにウォルト・ディズニィ・プロダクションで働いていた。そういう意味では彼は模型作りのプロである。

 マイクのことを他の人たちが「何を見せても満足しないタイプの人間だ。変わり者だからな。」と言っていた理由はそこにある。映画のセットを作るように時代考証を完璧にして、誰にも文句を言わせないような作りの模型を作って来たのである。

 彼は10年ほど前からPROTO48に転向した。全てを1/48にした世界を作るわけである。筆者はどの程度のものか、お手並み拝見というつもりで行ったのだが、そこには驚くべき光景が広がっていた。

 広さは約100坪強である。高低差は2mくらいか。PROTO48の車輌をこれほど沢山所有しているということも驚きだが、作業の進んでいる部分を見せてもらうと、声も出ない。
 極端に精密に出来ている街並みが広がっている。

 Lorell Joinerのレイアウトは確かに凄かったが、それは彼のしたたかな計算に依るものであった。
「ある程度精密なものを複雑に組み合わせた景観を作れば、観客はその密度の効果によって、細密度に対しては注意力が減退する。」という効果をもたらすということに気が付き、実行したのである。これは事実で、実際にそれを見た人は全て、その計略に見事に引掛かる。心理学の応用であり、それを見抜いた彼は天才である。

 Mikeはそうではない。本当に全て1/48の世界を作ってしまうのだ。

2010年10月15日

続 ”まねる”ということ

 1912年にアンモニア合成法が開発されて、早速日本にも輸入された。

 その装置は水素と窒素の混合気を数百気圧まで圧縮し、加熱して触媒に接触させるというものであった。反応容器は二重構造で、内側は低炭素鋼管、外側はそれに密着する無数の穴を開けた高炭素鋼管であった。
 この構造は実にすばらしく工夫された造りで、高温高圧の水素が鋼管にもぐりこんで、内部の炭素と反応してメタンになるのを承知した工夫であった。炭素が抜ければ鋼管はただの鉄管になる。圧力には耐えきれない。
 外側の穴あき鋼管は、内部から漏れ出した水素を素通りさせて、耐圧性能を保持するための工夫であった。内部の鋼管を定期的に取り替えていれば、破裂の心配はない。鋼の水素脆化という概念がなかった頃の話である。
 日本の担当者は穴あき鋼管を見て、それを穴の開いていない鋼管に取り換えればより丈夫になると思ったのである。
 早速そのように改造し、爆発事故が相次いだ。それが元の様に戻されたのは、それから何年も経ってからのことである。しかも、それはその担当者が居なくなってからのことであったそうな。

 この事案は、基礎研究がいかに大切かということを雄弁に物語る。「やり方」では済まないものがあるということが、基礎研究をしていないものには分からない。
 最近ノーベル賞が日本にも多くもたらされている。それは2,30年前の業績に対してである。日本が基礎研究に力を入れ始めたのは、その頃からである。その後、日本人の精神構造はかなり変化している。ほとんど不自由ない生活を国民の大半が享受できるようになった。あるものを利用していれば不満はない。
 これからも、基礎的な分野の研究に力を入れ続けられるだろうか。


 模型と関係ない話をしたが、上のことは模型の分野にもそのまま当てはまる。正しいものを作った人がいるのに、それを能力に欠けた人が改造して製品化する。購入者は迷惑するのである。
 模型は小さな機械である。表面的なものを適当に再現してあれば喜ぶ客も居るのだが、性能を考えた模型はそうはいかない。

 また、こうすると良いという記事は時々見るが、データがない。「測定」という最も大切な部分が抜け落ちている。客観性のない記事にはお付き合いしかねる。測定すなわち客観という概念がないのだ。
 測定もデジタル機器を使えばそれで良いと思う人が多い。較正をしているのだろうか。測定器が正しいかを調べなければ意味がない。 
 機関車の効率測定には斜面を使う方法がある。実に簡単な方法なのだけれども実行している人はまずいない。

2010年10月13日

”まねる”ということ

"まねる"ということは、学ぶということでもある。まねられるということは、それが優れていることの証明でもあるのだから、決して悪いことばかりではない。
 さて、筆者は長年「鉄道模型を科学する」という姿勢で楽しんできた。いくつかの工夫は製品化されて、鉄道模型のレベルアップに貢献したという自負もある。

 しかしその"まね"の質には問題があり、過去にいくつか指摘してきた。
 まねるのであるならば、完全な形でまねをして欲しいと考える。押して動くウォーム・ギヤも13mmゲージで製品が出ている。しかしその歯数は割り切れる組み合わせになっている。歯数が「互いに素」でないと良い結果が出にくいと、発表した雑誌の記事にも書いておいたが無視されている。スラスト・ボール・ベアリングも使ってあるが、ラジアル・ベアリングのインナレースにも当たっているから無用の摩擦が生じる。
 この写真を見ればスラストベアリングの方が大きいので、その段差でスラストを受け持たせ、ラジアル軸受は接触していないことぐらいわかるはずだ。
 模型といえども小さな機械であるから、設計者の意図を汲むべきである。それが読みとれないのならば真似などしない方がよい。似ていれば同じような性能だろうというのは、根本的に間違っている。設計者は、限られた条件の中で最大の効率を発揮するように設計している。
 その押して動くウォーム・ギヤは怪しげなグリースを詰めて売られているようだ。これも記事の中にきちんと書いておいたモリブデン・グリースを使わねば所定の効率が出ない。最近はモリブデン・グリースなど安いものであり、簡単に手に入る。しかしそれを使わないのは一体何だろうか。そんなことはどうでも良いことである、と思っているのであろう。潤滑は奥が深い。調査の結果、それを使わなければならないと書いてあるのだから、ひとまずそれを使って、それから次の段階に行くときは、別の工夫をしても良いはずだ。その時は当然比較試験をしてどちらが優れているかを調べた上の話だ。

国鉄の図面による3気筒弁装置 話は変わるが、先日関西合運で1番ゲージのC62を3気筒にした機関車を見せて戴いた。C53のグレスリー・リンクをそのまま載せていらっしゃる。あまりにも細く、驚いた。図面通りですとおっしゃるのだが、その図面を描いた人の素養を疑う。アメリカから輸入されたALCO製C52のリンクは太い。魚腹のように丸く作り、曲げに対して耐えられるようになっている。それと比べてあまりにも細い上に、軽め穴まで開けてある。これでは剛性が無いのは当然だ。このような薄い部分の軽め穴など、ほとんど効果はない。

Mr.Sofue's SP5000 これは祖父江欣平氏製作によるAlco製のSP5000である。試作時の写真が出てきたので、掲載する。実物のSP5000 と C52 の製作時期はほとんど同時であり、動輪径も同様である。この太さにご注意戴きたい。十二分に強度を持たせている。
 
 C53がどうして短命に終わったかはいくつか原因がある。その中の大きな部分はこの剛性の足らないリンクにあると思う。このような構造では高速時に大きな撓みが出て、ヴァルヴ・イヴェント(弁を動かすタイミング)に遅れが出る。軸受が少しでも減れば、それはとんでもない動きを始めるであろう。
 C53の設計者がこの部分を設計するとき、オリジナルの部品の通りに作っておけば、異なる結果になったであろうと思う。この手のとんでもない設計は近代日本の形成過程に多く存在するが、その間違いのプロセスを検証するということはほとんどなされていない。写真は土橋和雄氏撮影。

2010年10月11日

続 Low-D Wheel の効果 

 会員のお子さんの中学生が、筆者の貨車を使って入替えをしていた。よく見ると突放をしている。彼らは初めてこの車輪を見て、この性能なら突放が出来ると考えたのであろう。さすがである。

 1950年代のModel Railroaderに、ハンプを使った入れ替えの話が出ている。TMSにも紹介されたので記憶がある方もいらっしゃるだろう。
 はたして、当時どの程度転がったのかは分からないが、かなりの急勾配であろうと推測する。カ―・リターダは圧縮空気のジェットを利用するとあったが、おそらく実用化はされていない。もし実用化されていたなら、どこかで見たことがあるはずである。

 時を経て、それが可能な時代がやってきた。筆者のレイアウトにもそのハンプとリターダをつけたかったが、現実にはスぺイスがなかった。アメリカの友人たちには、「Low-Dを使えばそれは可能だ。」と宣伝してあるが、まだ作ったという話は聞かない。

GGD 12-1 Pullman2GGD 12-1 pullman 最近発売になったプラスティック製の客車がある。そこそこの出来で価格は150ドルもしない。塗装済みでレタリングも正しく、室内が付いている。なおかつ人形まで乗せてある、もちろん照明も付いている。編成が欲しいと思えば、これを買うべきである。自分で作る労力を考えれれば、はるかに安い。
 筆者は Walthersの組みかけキットを20台分ほど保有しているが、それを投げ捨てたくなってきた。

Pullman 6-wheel truck この客車にはダイキャスト製の台車が付いている。一応スプリングが多少効くので、走行は静かである。イコライズはしていないが、その可動部分が細いイコライザごと動くので、Oゲージの大きさではそれが撓み、3軸であってもそこそこの動きをする。



Pullman truck with Low-D wheel sets 車輪は極端に精度の悪いピヴォット車輪であったが、それをLow-Dに嵌め換えた。偶然にも軸長が同じで、ぴったりとはまった。
 走らせてみると実に調子が良い。軸重は 200 g 位であるが、モリブデングリスのおかげで、わずかの傾斜でも転がるくらいよく走る。軸受は、デルリンでなくても大きな問題はないようだ。

 実はアメリカからは、これらの客車用の取替え部品として引き合いが多い。

2010年10月09日

Low-D Wheel の効果

 関西合運の舞台上のエンドレス・トラックには、いろいろなお客様が見にいらした。Oゲージの仲間にはすでに知れ渡っているので、他の方にも事前に宣伝して戴いたのかもしれない。

 感想としては、「ボールベアリングが入っているのだろう」というのが大半で、フランジ形状に言及される方はほとんどなかった。カーヴでもほとんど減速しないということにはほとんど誰も気が付かない。
 やはり、模型を走らせて性能を調べている方は少ないというのが実感である。

 ボールベアリングは、低軸重の車輌には不利である。というのはボールベアリングの中にはグリースが入っている。その攪はん抵抗は無視できない。
 筆者の実験では軸重 100 g まではピヴォット軸受が有利である。もちろんピヴォット軸受にはごく少量のモリブデングリスを付けてある。「ピヴォット軸には注油してはいけない」と書いた人が居たが、それは明らかな間違いである。全く訂正文が載らないのはおかしなものだ。

 ブラス製の重い客車などにはボールベアリングは不可欠である。筆者の客車の中には軸重が 800 g を超えるものがある。あるアメリカ人が作った客車で内部には9.5 mm 角のブラスの棒が補強で4本も入っている。全くの過剰品質である。脱線すると、周りのものがめちゃくちゃに壊れるだろうから、近所迷惑であること夥しい。重いが、ボールベアリングのおかげで、滑るように走る。

 電車ファンの方は、静かに走るということが非常に大事で、その点でこの車輪を購入する方が多い。めっきすると、平滑度は格段に低下するからやかましい。その点、この製品は高精度の旋削で、真円度が高いから静かに走る。
 今回の増産では、電車用ということで片方をネジ込みにした。絶縁側をネジ込みにするのは、性能保証上出来なかったが、外れるのは片方で十分である。
 そのネジはJISの 4 mm の細目で、超精密に仕上っている。ガタが全くない。ねじ込めばもう外れることはない。接着剤で緩み留めをすることは必要ないのだ。
 緩いネジは、それだけですでにエキセン(excentric)で振れている。
 
 製造所が変わったので心配したが、前回と同程度以上の仕上がりであった。「機械の精度が製品の精度」というのは本当である。市販も始まったので、いずれこれが「事実上の規格」になると信じている。

 13mmゲージの方たちも見にいらして、非常に興味深くご覧になった。聞くところによると、13mmゲージの車輪の規格はきちんとは決まっていないそうである。
 13mmゲージは、蒸気機関車と客車を主体とするファンによって支えられているとのことである。より安定な走行を求めると、それは新しい車輪を作らざるをえないことになる様だ。優れた車輪を大量に作って安く売れば、皆それを採用するだろうから、「お手伝いしますよ」と申し出ておいた。 

2010年10月07日

Who can believe it?

Kishi's DB10 pulls 21 carsDB10 pulls 21 cars 関西合運では、舞台がOゲージの指定席になっている。そこに簡易レイアウトを敷く。今年はやや小規模で小さく敷いている。1周27m程度しかない。


 他の参加者に断って、Low-D車輪の効果のほどをお見せすることにした。まず、岸健志氏の国鉄DB10をお借りして牽かせた。この機関車は岸氏による最初のOゲージでのスクラッチビルト作品である。質量は550g程度である。
 当日持って行った筆者の貨車は、ほとんどがAthearn社、All-Nation社の製品で1輌340gから500g程度である。Athearn社のデルリン製台車にLow-D車輪をはめてある。潤滑はモリブデン・グリースを少量付けただけである。
 貨車を20輌ほどつないで牽かせることにした。中には「牽くかな?」という声もあったが、スリップもせずに楽々と牽き出した。
 この動画では途中で必要以上の加速をしたのは失敗だった。実物なら50km/hも出ないであろう。しかし、十分な余力があるという証明にはなる。おそらく40輌は牽くであろう。
 止めようと思っても後ろの貨車が押してくるのでそう簡単には止まれない。 これらのビデオ撮影は栗生弘太郎氏による。


 次に、1台だけ楕走させることにする。この貨車は以前紹介した10ドル以下で購入したジャンクを再生したものである。
 脱線しない程度の速度で押してやると。見事に1周半を走った。もう少し速く押せば2周回ったかもしれない。曲線部分での抵抗が少ないのがよくわかる動画である。
 以前、自宅のレイアウトでこの楕走をアメリカからの来客に見せたことがある。彼は愕然として、「これは魔法か、それともサイエンスか?」と聞いた。「もちろんサイエンスだよ。」というと、「分かった。君の車輪を買うよ。」、と数百軸持ち帰った。

2010年10月05日

続 Track Cleaning Car 

track cleaning car's tapered roller 10月2,3日は、関西合運に参加した。このトラック・クリーニング・カーを持って行って、皆さんにお見せした。面白いアイデアが出るもので、橋本三郎氏は、ローラをソロバン玉のように左右を細くすると面白いだろうとおっしゃった。これは卓抜したアイデアで、ソロバン玉は蛇行し、より広い部分でレイルを磨くことが出来る。早速やってみたい。
 ポイント部分でどうなるかなど、不明なところもあるがほとんどの範囲で効果的であろう。ローラは少し幅を短くして左右に振れるようにせねばならない。

triple-roller for a truck cleaning car 筆者は、先回述べたようにローラを斜めにすることを試したい。一つだけでは、片方に力が掛かって脱線しやすくなるので、3本のローラを図のように排列するのが望ましいと思う。
 
 溶剤はリモネンが最も適するようである。合運の会場では、筆者の紹介したリグロインの瓶をよく見かけた。「灯油ほど臭くなく石油ベンジンより蒸発速度が遅いので、大変使い心地が良い。」というコメントを戴いている。
 来年はリモネンの瓶が並ぶであろうか。しかし、化学薬品であるから普通の薬局の店先に並んでいるわけではない。工業薬品店を電話帳で探して注文せねばならないのは、やや面倒であろう。



2010年10月03日

Track Cleaning Car

 答はTrack Cleaning Car である。

IMG_2665 Centerline Products という会社がTrack Cleaning Carを売り出している。使っているのを見たが、ローラが軽すぎると感じた。また全体がダイキャストで、ある程度の重さがあるのだが、もっと重い方がよいと思った。

 先回テキサスに行ったとき、その話が出ていた。特許ではないのだから、仲間内で作る分には問題はなかろうということになった。Jimが木型を作り、デニスが鋳造した。これは、はるかに重い。全体で1kgである。ローラだけでも250gある。これは筆者が旋盤で挽いて作った。台車は、連結器が付いたものがジャンク箱にあったのでそれを付けた。ジムは木彫りの名人であることは御承知と思う。

truck cleaning car roller ローラはソリッドのブラスの棒だが、一説によると、中空にして内部に堰を作り、鉛の散弾を半分くらい入れると良いという。これはゴロゴロと転がるのではなく、ドタドタと引きずられるのが良いということだ。多少の摩擦が生じて、レイルを擦る様になるらしい。それならばと、ローラを斜めにして、いつも横方向のずれを作るようにしようと考えている。次回までに原型を作ることにした。その角度は、試作してみないと決められないであろう。

 ペーパタオルを巻き付けて、リモネンを垂らし、レイアウトを2周ほど走る。ぺーパタオルは真黒になる。新しいのを再度巻き付けて何回か繰り返すと、汚れが付かなくなってくる。
 貨車を外して見ると、車輪がきれいになっている。要するに、レイルの表面がリモネンで濡れると、それが車輪にも付き、汚れが浮きあがる。それが再度レイルに付いて拭き取られるということを繰り返している。

 考えてみれば、レイルの清掃など、レイアウト建設以来、あまりしたことがなかったが、ポイントのフログ付近の黒い汚れも、たちまち無くなった。
 運転前には、これを牽いて2周するのが習慣になった。

 リモネンの消費が増えたので、500g入りの大きな瓶を買った。4000円くらいであった。おそらく2,3年は使えるのではないかと思う。試薬なので純度が高く、残り香が無い。不純物が入っていると、揮発分が乾いた後、妙な臭い(高沸点の不純物の臭い)がする。

2010年10月01日

続々 再度ロストワックス鋳造

IMG_2345 鋳造が完了したら水に浸ける。内部まで冷えるのには時間が掛かる。このクランプを緩めるとフラスコはバケツの底に沈む。そうすると、熱いのでバケツの底が抜ける。



IMG_2355 沸騰が止まるくらいまで冷やしてから、高圧洗浄機で埋没材を落とす。
白い塊から鋳物の姿が現れる瞬間は、何度見ても感動する。




SDP35 cast in brassfins on the casting Sprue(湯口)を切り落せば出来上がりである。今回は失敗で大きなFin(ヒレ)が出来てしまった。
 このフィンは、良く切れる「のみ」で押して切り取ることが出来る。幸いにも複雑な表面の部分にはフィンは出ていなかった。簡単に処理できるであろう。

IMG_2251 他にもいくつか持って行った鋳型で鋳造したものがある。
 これは、アシュ・ピットのレイルを支える足である。16個もあるので手で作るのは面倒だった。このようにある程度の精度で形がそろえば良いものは、鋳物に限る。あっという間にロウ型が出来て、鋳造準備が出来た。単純な形であるから、湯流れも良い。デニスは、「そうだ、うちのレイアウトにもアシュ・ピットを作る予定だ。」と自分の分も作った。

 この原型の湯口は Super X で付けた。これにはデニスも驚いた。加硫する時の温度で剥がれるのではないかと心配していたが、「大丈夫!」と押し切った。結果はもちろん問題なしであった。デニスはとても驚き、それを欲しがったので送ってあげた。固まった後でも軟らかいのが不思議そうであった。

IMG_2359 さて、これは何であろうか。

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