2010年01月

2010年01月31日

equalized と sprung その8

 昨日の"井上式”イコライザの装備車輌は時々見る。走らせているのを見ると、レイルの継ぎ目でゴツンゴツンと音がする。ボイラに鉛を注ぎ込んだ車輌であれば、走らせていると徐々に壊れてくることは明白だ。軸箱の直上の尖った部分が、徐々につぶれていく

 それから逃れるには、一番長いイコライザをバネで曲がるようにすればよい。一か所でもバネで曲がれば、イコライズされるのだから、機構上一番都合のよい場所を探す。その場所が曲がれば、インパクトが小さくなるので、"井上式"イコライザは薄く、小さくできる。
 いろいろな場合が考えられるので、HO以下の場合は工夫されるとよいだろう。

曲がるイコライザ たとえばこのような工夫はどうだろう。フレームの中の空いた部分にバネ装置を付ければよい。引きバネでも、押しバネでもよいから付ければよいのだ。
 この図では、先台車の緩衝装置は省略してある。先台車の車輪は少ないので、突き上げは小さくない。バネを入れられない時はゴム板を挟むとかなりの効果がある。

イコライザ・ダンパ この方法は極めて模型的な工夫であるが、うまく作動する。実物に比べてバネ下質量が無視できるのでこれで良いのだ。ただし、重ね板バネに比べると、ダンピング効果がないから、それは別の工夫が要る。軸箱とぺデスタルの間にやや粘いグリスを塗るだけでも十分過ぎる効果がある。
 メカニズムに頼りたいのなら、何かの摺動片を付けて、摩擦させればよい。

一か所でも可動し、その部分がダンピングされていれば、それは一系統全てに影響が及ぶから、問題は解決する。

2010年01月29日

equalized と sprung その7

equalizer イコライザを付けたという話はよく聞くが、イコライザを設計したという話はまず聞かない。

 左の図の上は4-6-0タイプのイコライザである。先台車は一点で、動輪軸は二点で受けて三点支持となる。先回のF級電気機関車と同じ形で分かり易いと思う。
 いま、最後軸が少し持ち上がったとする。するとイコライザはこのような変位を示す。ここで大切なのは、変位を生じた隣の板バネが最も大きな動きを示すことである。
 模型の場合は変動が大きい可能性があるので、板バネのシーソウ運動の余裕を確認する必要があることがお分かりであろう。もちろんこの時、機関車の主台枠は、わずかに後ろが持ち上がる。
 厳密に言うと、釣り合いがとれた時には持ち上がっている。本物が走っているときには、機関車には慣性があるので瞬時に持ち上がることが出来ない。数個の板バネが曲がってそれをしのぎ、しかるべき時間ののちに板バネが復元して釣り合いのとれた状態になる。線路が下に沈むというのも大きなポイントだ。
 しかしながら模型の場合は、線路は硬く、そう簡単には沈まない。すなわち、車体の方でそのインパクトを緩和する(簡単に言えば、変位が長い時間かかって行われるようにすること)が必要である。

 右の図は "井上式" 簡易イコライザである。「≡」の記号があるのは、同等であるという意味である。もちろんバネがないことは承知いただきたい。つまり、左の図の重ね板バネが曲がらない材質で出来ていれば、右の図と全く同じである。
 しかしながら、これを本物のサイズにすると、右のイコライザは太くて重い。とても扱いにくい。重ね板バネと交互に置けば、バネ下質量が小さくなり、さらに具合がよい。

2010年01月27日

equalized と sprung その6

F級台車のイコライジング F級電気機関車の先台車のキングピンにバネを入れたという話を最近聞いた。「落ち着かない走りをしたから、やはりバネ付きイコライザは駄目だ。」と言うのだ。

 それはおかしな話だ。先台車にはバネは入れなかったという。3つの動軸には重ね板バネ型を摸したたわまないものを付け、実物同様のイコライザを入れているそうだ。それでは駄目だろう。この方法では全体でバネは一か所であるから、荷重変化により、台枠全体の姿勢が大きく変わる。すなわち板バネは大きく向きが変わる。また、線路の不整で跳び上がることがある。
 全ての重ね板バネをわずかにたわむ様に硬めに作るべきである。この図の先台車には、コイルバネ風のものが描いてあるが、本当は重ね板バネのような内部損失の大きなものが適する。
 バネ付きイコライザを正しくセットするのは難しいだろうと思う。姿勢が少しでも変わると、板バネが傾く。その向きを全て水平にしようと思うとかなりの調整時間が必要だろう。

 40年ほど前、実物のF級電気と並走しているときに、その動作を眺めたが、バネはほとんどたわまない。しかし目に見えない位はたわんでいるはずだ。その程度のたわみなのである。

 HO模型を作っている人から、「仰ることは全て正論なのですが、HOの大きさではバネ付きにするのはとても難しいと思います。」というご意見を戴いている。
 ゴム片を付けるか、井上方式の簡易イコライザの主イコライザにバネを付ける以外ない。実はゴム方式はK氏が近々発表されると思うし、バネ付き簡易イコライザは筆者がチャレンジャのテンダに付けるべく製作中であるのでお待ちいただきたい。

2010年01月25日

equalized と sprung その5

 先日、伊藤剛氏にこの話をした。

「バネは、あった方がよいに決まっています。付けてはいけない、というのは間違いです。そんなことを仰っる人があるのですか。バネがなければ、そのうち壊れてしまいますよ。」
と、当然のように仰った。

 以前、井上豊氏の話を書いた。これは栗生弘太郎氏のブログにも引用されている。

 井上氏は、戦前戦後の蒸気機関車による特急運転の経験者で、構造には当然詳しい。「どんなものにもバネは必要だ。バネがなかったら壊れてしまうよ。プラットホームの上の手荷物運搬の車も、ゴムタイヤがなければ壊れてしまう。昔はバネなし鉄タイヤだったから、車軸などが折れないように太くしてあって重かった。ゴムタイヤが使われるようになってから、軽く設計できるようになったのだ。」
バネなしイコライザなんてのは、ありゃ絵に描いた餅でね…。」と仰った。
だから、TMSに連載された記事については、自らはあまり評価していなかったのだ。
「まあ、HOで軽いし、速度も遅いからね。勘弁してもらおうか。」という程度のことであった。「あの記事は、こうすると出来ますというだけで、これでなくてはいかんという意味じゃあないんだがね。」と勘違いをすることを恐れていたように感じた。

 そういうわけで、筆者のイコライズ計画に対しては「重ね板バネを使うこと」と念を押されたのだ。

2010年01月23日

equalized と sprung その4

 実物の機関車の重ね板バネは硬い。そう簡単には作動するのが分からない。しかし工場で分解整備している写真を見ると、バネは反り返っている。荷重が掛かった状態ではまっ直ぐに見えるが、元はかなり湾曲しているのである。

 もしこれが柔かければ、機関車はまっすぐ走らないだろう。線路の不整に対して、バネはほとんど作動しない。イコライザが先に動いて、その変位を他のバネに伝える。沢山のバネは、力を均等割りして受け持つので、ますます変位は少なくなり、見掛け上、なにも作動していないように見える。これが勘違いのもとである。

 インパクトはバネで吸収される。イコライザでは吸収できない。もちろんコイルバネでは、吸収されたエネルギはすぐ放出されて、機関車は飛び跳ねる。重ね板バネでは、板の隙間の摩擦でそれは消費されて、緩衝される。

 模型でも重ね板バネは有効である。うんと硬いバネで良いから作るべきなのである。イコライザを一枚の板で作る方式であれば、その先端に何らかの工夫をすべきである。そこには内部損失の大きいゴムなどを付けるべきである。

 このところ、筆者のところに、「ほらイコライズしたんだよ。」と見せに来てくれる人が多い。手で押して段差を乗り越えるところを見せてくれるのだが、コツンコツンという音がする。さっと一周運転しておしまいになるが、会場が騒がしく、音は聞こえにくい。静寂な場所で走らせると、愕然とするはずだ。そのような経験がないのだろうと推察する。
 静かな列車を牽いて運転すると、その機関車の真の実力が分かる。そのようなチャンスがないと、この表題の論議は不毛なものとなる。

2010年01月21日

equalized と sprung その3

「正しくイコライズされた模型にはバネを入れてはいけない。」と何度も言われてきた。「それは迷信だ。」と声を大きくしなければならない。

 最近、いろいろな人からイコライズについての基本的な質問を戴いている。静力学的な設計手法については、中学校の理科の範囲にあり、図を描けば終わりである。
 問題はそれがある程度の速度で走行中にどのような力を受けるかである。高校で習う物理に、力積という概念がある。英語で言う方が分かりやすい。Impulse(衝撃)である。

 衝撃は時間が短いと大きくなる。絨毯を敷いた部屋を歩いても静かであるが、板張りの床を歩くとコツコツとやかましい。力がかかる時間を長くすると衝撃は小さくなる。絨毯はその役割を果たしている。長い時間かかって体重が床に伝わると、静かである。バネはまさにその役割を果たしている。

 絨毯を敷いてない部屋で転ぶと痛い。ズボンも破れるかもしれない。歩き廻ると膝にも良くない。バネなしイコライズはまさにそのような状態である。

 ヤング率という概念も高校の物理で習う。力を掛けた時の弾性変形の話である。物質のヤング率は一定不変であるが、模型は小さい。長さが小さいということはモーメントが小さいということである。すなわち、模型は硬い(堅い) 。硬いからたわみにくい。

 本物の電車は相対的に柔らかいので、脱線すると車体が目で見てわかるほどねじれる。乗用車でも、峠の急カーヴを廻るとき、車体が歪むのが分かる。窓を数ミリ開け、指をその部分に当てて旋回すると、隙間が変化するのが分かる。

2010年01月19日

equalized と sprung その2

バネ無しイコライズド台車とバネ付きイコライズド台車 この2週間で車検落ちの貨車の整備が終わった。車輪以外に台車のキングピンのあたりの不具合も車検項目に入れている。
 台車にスプリングがない時には二つのキングピンにワッシャをはさみ、適当なスプリングを入れてネジを締める。スプリングが入った台車のときは、三点支持になるように台車ボルスタのサイドベアリングを有効にする。これらの作業の目的は、線路の不整により車体が左右に振られる時、車輪が浮くことを防ぐためである。

 イコライズだけの台車ではキングピンで車体が多少傾くようにする。そうしないとねじれた線路に追随できない。これは擬似二点支持である。人によって四点支持と呼ぶようである。
 sprung(ばねが効いている)であれば、多少の傾きはバネの中で吸収される。三点支持でもうまく作動する

 こう書くと、「三点支持なら、どんな不整な線路でも追随するはずだ。」と思われる方は多いが、重く、重心の高い車輛では、線路のひねりに対して車体の振り遅れが必ず発生する。すると三点支持だけでは車輌の進行方向によって、ひねりへの追随能力に差が生じる。
 バネがよく効いていると、車体の振り遅れは、バネで吸収され脱線しなくなる。また、推進運転でも安定する。

 筆者のレイアウトには、カント付きのSカーヴがある。緩和曲線もついていて、カントもかなり合理的につけてある。そこを、長大編成の中間にはさまれてかなりの高速で無事通過できなければ、車検を通過できない。

 イコライズは静的なつり合いだけでは機能しない。必ず動的なつり合いも考慮する必要があることをこの線路上の運転は教えてくれる。イコライジングには、バネも必要なのである。

2010年01月17日

equalized と sprung その1

 オークションで落としたデルリン製コイルバネ付きのAthearnの台車を、重いブラス製車輌に付けると、とても静かである。一方、同じデルリン製ではあるが、イコライズだけのWeaverの台車が、重いブラス製車輌に付いているとやかましい。
 レイルの継ぎ目、ポイントのフログでコンコンという音がする。バネがついていれば、ショックを吸収するので、タタンタタンと小気味よく響く。

 今回の事件が解決したので、重いブラス貨車に仮に付けてあったウィ―ヴァの台車を、アサンのバネ付き台車に取り替えた。
 スケールスピードで時速60マイルの貨物列車が、実に静かに走るようになった。新しい車輪の真円度が高いので転動音が小さくなったこともあるが、レイル・ジョイントを踏む音が格段に小さくなったことが大きい。

 カブースの台車はLobaughのブロンズ製である。イコライズするだけの青銅鋳物である。見掛けはとても良いのでそのまま使っているが、ポイントを通る音が凄まじい。カツンカツンと脳天に響く音がする。イコライズだけでは駄目なのである。フログがその瞬間に確実に壊れていく。

 同じカブースでsprung(バネの効いた)台車を付けたものがある。それを走らせると気持ちの良い音がする。

 イコライザにバネを付けてはいけないとおっしゃる方たちに、その音を聞かせて差し上げたい。Oゲージともなると慣性が大きく、バネなしイコライザはすぐにへたってしまうし、レイルにも良くない。フログは速やかにつぶれてしまう。
 貨車でさえもこの調子であるから、重い機関車でバネが付いていないとどうなるかは、想像に難くない。

2010年01月15日

続 忘れ物 見つかる

これがAthearnと称したWeaver trucks, e-Bayより 忘れたものの中に Athearn のデルリン台車がある。この台車は発売以来50年以上経過しているだろう。当初はダイキャストであったが、それをデルリン(ポリアセタール)で作るようになった。コイルバネ3本が付いていて、ちゃんと作動する。摩擦も少なく評判がよかった。当初、組立済みで売られていたが、その工賃が高くなってバラキットで売るようになったら、誰も買わなくなり、ついに発売が中止されてしまった。

 そうなると、欲しがる人は一定量あるので価格が吊り上がり、オークション・サイトでも手に入れるのが難しくなった。
 O Scale West のようなスワップ・ミートでは、たまにその価値を知らずに売る人がいるので、ごっそり買い占めたのであった。それを忘れたので、大損害であった。

 仕方なく、e-bay で手当たり次第に落としている。結構高いものについた。その中で見つけた「アサン・ベッテンドルフ台車3組」というものをいくつか、他のタイプのアンドルーズとかシミントン台車と同時に沢山落札した。

 それが届いてびっくりしたことに、それはWeaverの安物のデルリン台車であった。早速苦情のメールを送り、「あなたの写真をよく見てくれ。これはアサンではなく、安物のウィーヴァである。これはあなたのミスであって、私の責任ではない。従って、払い戻しを請求する。そしてここにある不良品はあなたの負担で送り返すが、良いか?」

 すると1時間もしないうちに、「あなたは正しい。これは私のミスである。恥ずかしい。直ちに返金する。そちらにあるゴミは好きなようにしてくれ。返してもらう必要は無い。」と言ってきた。総額の4割くらいの返金で、トータルとしては随分安く上がった。

 売主は非常に潔い人で、好感が持てた。また、買おうと思う。

2010年01月13日

忘れ物 見つかる

 最近、嬉しいことがあった。昨年の2月、カリフォルニア州サンタクララ市で行われた O Scale Westに参加した際、忘れ物をしたのが戻ってきたのだ。
 それは、もう市販されていない部品とか、ウェブ上でもなかなか探し出せない細かい部品などを数十個入れた箱であった。

 テーブルの下に置いておき、それをあとで取りに行こうとして忘れたのだ。会場の撤収作業をしているときに駆けつけて、係りの人に聞いても分からなかった。ホテルの忘れ物のところに届いていないかも調べ、主催者事務局に電話して聞いたが分からなかった。一応、代表者のRod Miller氏にメイルして何か連絡があったら知らせてほしいと書いた。
 彼は、1か月後、丁寧なメイルをくれて、調査報告を送ってくれたが、結局のところ手がかりなしであった。

 年末に見知らぬ人から手紙が届いた。それには、「あなたのものではないかと思われるものを保管している。先日Rod Miller氏から、次回のO scale National Convention(全国大会) の案内文書が来て、その中に、『こういう忘れ物を探している人がいるから、心当たりの人は連絡してくれ』と書いてあった。」とあった。
「早速、Rodに連絡してあなたの住所がわかった。だからもしその該当者であれば、その中身を知らせてくれ。一致すればすぐに送ってあげよう。」とあった。

 早速電話して礼を述べた。すると次の日には発送してくれたのだ。それが新年早々届いた。「送料以外にお礼がしたい。」と申し出ても「とんでもない、もっと早く連絡すべきであった。申し訳ない。」とメイルを送ってきた。

 その部品はアメリカまで行ってこの種のスワップ・ミートに行かないと手に入りそうもないものばかりで、回収出来てとても助かった。
 しかも今年の夏は多忙で、その全国大会には出席できない。代わりに3月のシカゴでの行事に行こうと思っているので、今年の夏にその方と会うこともできなかったであろう。

 最近撮った動画のYou Tubeのリンクを送ったところ、ずいぶんお気に召されたようで、友人に連絡してくれたらしく、視聴者数がぐんと増えた。    

2010年01月11日

Carbon Rod Soldering  その2

 なぜカーボン電極なのかということについてお話したい。

 黒鉛は電気を通すが、異方性(向きによって性質が異なること)があり、特定の方向では電気が流れにくい。と言ってもその辺に転がっているものは、異方性がある様な高級品ではなく、どの方向にも同じような抵抗値をもつものが多い。
 さて、抵抗に電流を通すと、ジュール熱が発生する。それは最も抵抗が大きいところに沢山発生することは自明だ。接触部分は面積が小さいのでそこで熱が発生するだろう。

 黒鉛の特性として、熱の良導体であることがある。すなわち、先端部分で発生した熱は、工作物に速やかに吸収されるだろう。そしてハンダの融ける温度以上に加熱される。

 その時、半分弱の熱は手元の方に逃げる可能性がある。逃げても先方に熱が伝わる量が多いので、ハンダ付けは簡単に終わる。

 ここまでお読みになれば、どのような構造の炭素棒を使えば良いかはお分かりだろう。長いと損である。途中で熱が発生するだろう。
 bestの構造は先端近くまで銅で巻いた構造である。電位差が先端に集中するようになっている。

 ピンセット型のものもあるが使い心地はあまり感心しない。ニッケル合金製抵抗線の太いのを使うのだが、全体が赤くなるので効率は悪い。先を尖らせてその部分だけでつまめばよいが、小さいものしかつかない。
 やはり炭素棒あるいは炭素クランプがよい。


2010年01月09日

Carbon Rod Soldering  その1

Carbon Rod Soldering Transfromer 最近、「炭素棒ハンダ付けをしたいのだが、どうしたらよいのでしょう。」という問い合わせを複数の方から戴いている。

 結論を言えば、「こんな簡単な方法はめったにないので、失敗を覚悟でやってみてください。」である。
 
 トランスは、その辺に落ちている電気器具をばらして取り出す。二次線が外に巻いてあるものを見つけたら、儲けものだ。二次線を完全に外すのだ。100 VA程度のものがよいだろう。
 二次線に太い銅線を巻く。電圧が低いのでエナメル線でも問題ない。被覆が薄いと太い線が巻ける。出力は5 V近辺になるようにする。
 なるべく太い線(最低でも 2平方mm)を巻くのがコツだが、使用時間が短いので多少細くても、焼けるまでに仕事が終わる。30秒定格で良いということだ。

 焼けるかどうかは電流の二乗と時間の積だから、5秒しか通電しなければ焼けるわけがない。プロとして仕事をする人以外は、正直なところ、「太めの線を使えば問題なし」とお答えしたい。筆者は5.5平方mmというとんでもない太さのものを使っているが、これには大きな意味はない。たまたまあったので使っただけである。

 カットコアトランスがあれば、作業が一番楽である。コアを分解し、二次コイルを抜けばよい。出力電圧は4,5,6 Vくらいで良い。二次線を切り替え式にするときは、大きなスウィッチがいる。
 しかしこれも、接触しているときに通電を開始するので焼けることはまずない。スウィッチの定格は電流を入り切りする能力を表しているはずだ。
 一次側のタップ切り替えにすると、小さいスウィッチで良い。筆者はそうしている。

 テストをして2つぐらいを選び、それを切り替えるようにするとよいだろう。その選択の必要性は、炭素棒の太い時と細い時を選ぶ時に限られる。

 とにかく低電圧で短時間なので事故は起こりにくい。起こったとしても大したことはない。100 V側に触らないように適当なアルミ箱に入れる。通風の穴も要らない。
 100 V側をフットスイッチで On, Offする。これは手動ではまずい。足で踏むからこそ、うまくいく。また事故を起こしにくくしている。踏んだ時以外は、全く電気が流れないので、事故は起こり得ないはずだ。

2010年01月07日

車検の日

 今年も大みそかには車検を行った。レイアウト上の全ての車輌をひっくり返して、旧規格の車輪を探し出す。旧アトラスのプラスティック台車は2 mmのプレーン軸なので、それに合わせてRP25を作ってはめたのが何台か紛れ込んでいた。台車ごと外して、最新のデルリン台車にLow-D車輪をはめたものに取り換える。けしからぬことにボルスタ高さが異なるので、改造用部品を作っておいたのをはめて完成である。1.8 %の坂を下る程度のものであったが、0.3 %でも動いてしまうほど軽くなる。

 また、アサンのデルリン台車にはめたステンレス製RP25が見つかるので、その場でLow-Dに取り換える。一晩で100軸以上はめ替えた。

 せっかく車輪を塗装してあったのに、またはじめからやり直しだ。連結器高さが合っていても、妙に腰高な車輌もたまにあるので、実物写真を見て確認する。今年も容赦なく不合格にしたので、正月早々その修正作業に忙しい。

 連結器をむしって、台座を削り落すかハンダを外して連結器中心を持ち上げる。同時にボルスタの座を低くする。
 人間の目は大したもので、0.5 mm 腰高であるだけでも違和感を感じるものだ。
 合格した車輌は機関車につないで運転する。抵抗が少なくなっているので速度が上がる。この日、筆者のUP835 FEF-3 は、当レイアウトで初めて120マイル/時を出した。65輌を引っ張っての記録である。以前は危なくてとてもできなかったが、全車輪がLow-Dであるから安心して高速運転が出来る。しかし非現実的であった。もうそんな遊びをすることもないだろう。

 ポイント脇で見ていると、先台車の復元装置が作動するのがよくわかる。先台車が尖端軌条に入った瞬間に、機関車の鼻が右に動き、機関車が微妙に左に傾くのが分かる。 
 抵抗が小さいが、質量が大きいので、加速時にはスリップするのが分かる。発進時には、連結器が伸びているとスリップが目立つ。少々バックして連結器を詰めて、ゆっくり加速すると、本物のような出発になる。車輪の真円度が高いので、走行音が極端に静かになった。 

2010年01月05日

リモネンの効能 

step broken プラスティック製貨車のステップが折れることがある。ABS製は折れにくいが、ポリスチレン製はすぐ折れる。

 このように細いものは接着剤でつけてもすぐ折れて、結局は行方不明になってしまう。リモネンはこのようなときにも絶大な威力を発揮する。

 折れた部分をきれいにし、密着するのを確かめる。リモネンを付けて折れた部分を押し当てる。そのまま30秒くらい保持して、さらにリモネンをしみ込ませる。

 手を離して30分くらい経てば、ついている。完全に乾くには1日掛かるが、本当によくつく。多少手荒な事をしても、パリッとはいかない。周りの材質と同じになっているような感触だ。

 
step fixed w/ limonene 今回の例では全く廻りと見分けがつかない。

 今まで折れたものを数多く紛失したし、捨ててしまったような気がする。この直し方に気がついていれば、沢山の箇所が修理が可能であった。
 今まではブラスの切れ端で部品を作って修理していたので廻りと感じが違うものが出来てしまった。



2010年01月03日

Digital Pull Meter

digital pull meter by Micro-MarkDigital Pull Meterを見つけた。これを長年探し求めていたのだ。嬉しくてすぐ注文した。

 届いたものを調べていて、妙なことに気が付いた。カタログには   0.01 オンス刻みで表示されると書いてあったので信じていたが、どのように測定しても 0.18 オンスか 0.17 オンス刻みでしか表示されない。
 要するに、0.00の次は0.18、その次は0.35、そして0.53,     0.71、0.88、1.06、1.23という具合である。
 1 オンスを 28.35gで計算してみると、このincrement(増え方の刻み)は、 5gであることが分かった。

 この秤は安い。デジタル吊秤でこんなに安いものはないので注文したが、とんでもない「安物買いの銭失い」であった。すぐに発売元に詳しい事情を書いて送ったので返品できると思う。また、そのうちにカタログからも消えるはずである。

 実は、ダイナモメータ・カーを作るつもりであった。デジタル出力があれば、速度と引張力の積を演算して出力できる。それを手元に送らせて印加電圧と消費電流の積で割れば、効率は直ちに出る。最近はテレメータ(遠隔測定)が常識になっているので、そうするつもりであった。
 今年のプロジェクトはダイナモメータ・カーに決定済みであったが、軌道修正を余儀なくされた。古い客車の屋根を切ってある程度は作ってあったので、余計腹立たしい。


 車輪を全て更新したので、同一の機関車でも引っ張れる車輛が増え、より慣性が効くようになった。
 

2010年01月02日

動輪の清掃

abrasive cleaner on test roller stand レイアウト上の試運転をする前に、短いテストトラックで試運転をすることにしてきた。いきなり本線に持っていくと、思わぬ事故を引き起こすことがあるからだ。

 今回はもうその種のテストは終わっていて、目的は動輪のタイヤの汚れを取ることである。回転させながら、細いドライバを当てて、大きな汚れを外す。
 そのあとは、リモネンをしみ込ませた綿棒を当てて、粘り気のある汚れを落とす。

 いつもは、機関車を手術台と称する台の上に逆さまに置き、動輪を手で廻しながら行っていたが、この装置があればいとも容易である。

 しばらく前にウェブ上で見た画像に、この種の試運転台の支持ローラの隙間に研磨剤の入っているスポンジ状のものを挟み込んで、動輪の回転によって汚れを取るアイデアが紹介されていた。なかなか良いアイデアで、やってみたいと思う。

 それをリンクしようとして探しているのだが見つからない。もしご存じの方があればお知らせ戴きたい。

 実は貨車、客車の車輪の汚れも、ある程度自動で取る装置を作りたいと思っている。さすがに本線上に置くことは出来ないが、外してその機械の上に押し付けると、車輪が回転して清掃が完了するタイプのものを考えている。古いオープン・フレーム・モータの使い道にもなる。溶剤を使うか、物理的に取るかで、かなり異なる構造になる。

 沢山あると、車輪磨きを考えるだけでうんざりする。
 

Recent Comments
Archives
Categories
  • ライブドアブログ