2009年08月

2009年08月31日

不思議な表現

 TMS799号を見ていくつか首を傾げる所があった。
 
 まず“Pike”という言葉の意味についてである。アメリカ型鉄道模型大辞典には「もともとの意味はRailroad System、すなわち一つの鉄道会社の組織全体を指す。転じて、個人所有のレイアウトを指すときに使う。」とある。この定義は伊藤剛氏が昭和23年頃名古屋模型鉄道クラブの会報"Yard"誌に書かれたものである。全くその通りで間違いはない。
 ところが当該TMSのp.116メディアチェック欄には「卑称である」と書いてある。英語にも卑称があるのか、と感心されて読まれた方もいらっしゃるであろう。
 もし卑称であるなら、"my pike"で始まる文章しかあり得ない。しかし、"your pike"で始まる文章を検索すると、いくらでもある。あなたのパイクを登録しませんか?というNMRAの呼びかけもある。
 
 この卑称という解釈は、明らかに間違いである。活字を扱う人間としてはあまりにも軽率な文章だ。

 アメリカに行くと、仲間から、「君のパイクの進行状況はどうなっているか?」とよく聞かれる。明らかに、これは卑称ではない。
「君のつまらないレイアウトはどんな調子かね。」などとは聞かないはずだ。

 日本ではこの言葉はほとんど定着せず、昭和30年代からしばらくはTMS誌上でもほとんど見ることがなかった。
 そのまま消えていくものと思っていたら、持ち運びできる極小レイアウトをパイクと呼ぶという珍説が披露されていた。言葉は進化するものとは言え、それはおかしい。この様な言葉の定義は、格式ある雑誌であれば、正しい方向に持っていくのが筋ではないだろうか。

2009年08月29日

電球の明るさ

 先日の電球の突入電流の話はかなりの反響があった。いろんな方から感想や意見を戴いた。

 まず、突入電流の比率は12倍と書いたが、「文献によると13.5倍というのが常識だ」という意見を戴いている。筆者の値は、自作の直流電源で12V用の電球で調べた値であって。交流100Vでは多少の違いが生じうるであろう。今度なるべく正確に測定して見ようと思う。

 白熱電球は温度が上がってしまうと、多少電圧変動があっても明るさが変化しにくい。ということは模型の電燈としては非常に具合がよい。多少の過電圧でも焼け切れにくいし、電圧が下がっても温度が下がって電気抵抗が減るのでそれほど暗くならない。

 LED照明ではそんなわけにはいかない。したがって何らかの工夫が必要となる。最近は大容量の電気二重層キャパシタがあるのですぐ解決しそうであるが、これは内部抵抗が大きいので電流を取ると電圧が下がってしまう。

 また、集電不良で明滅するのがよくわかる。そのための大容量キャパシタであるが、少しでも電圧が下がると暗くなるからそれほどの効果があるわけでもない。

 永末さんのところの製品はその電圧降下をなくすような工夫がされていて一定の電圧を保つ。この辺りの工夫は、さすがである。
 
 

2009年08月27日

Solid State

 先回の記事で「ソリッドステート」という言葉を出したところ、複数の方から「ソリッドステートって何でしょう?」という質問を受けた。

 少々ショックであった。ソリッドステートとはまさに固体化状態 Solid State のことであり、旧来の真空管方式からトランジスタの時代に移った時によく使われた言葉である。1960年ごろから70年ころまで、よく新聞などで見た。電気製品の広告には必ず使われていた言葉である。

 確かに最近は聞かなくなった。すべてのものがソリッドステートであり、言う必要がなくなったからであろう。もはや死語に近い。たまに見るのは、ハードディスクがないコンピュータを指す言い方である。

 気体状態 Gaseous State、液体状態 Liquid State の次の言葉であり、物理、化学で出てくる言葉ではある。真空管は内部に空間があったので固体ではない。固体化すると隙間がないのでショックに強い。落しても壊れなくなった。
 真空管には必要であったヒータがないので、省電力である。その他ありとあらゆる点で高性能になり、IC、LSI の時代になって現在に至る。

 ASTRAC もトランジスタがなければ成立しなかったであろう。正確に言うと、SCRがなければ、あんなにコンパクトにはまとまらなかった。SCR とは Silicon Controlled Rectifierのことである。ゲートに電圧を掛けると通電し、主電流が止まれば通電しなくなる。交流を使って電力制御をすることができる画期的な素子であった。

 筆者はSCR制御に興味を持ち、いろいろな装置を作って遊んだ。日本にはほとんど資料がなくアメリカから手に入れた資料に基づいて作った。

2009年08月25日

続 電球の寿命を延ばす

Carousel 予熱してある電球は切れにくい。コダックのキャラセルを例に出したが、本当に長持ちする。
 このキャラセルは日本では“カローセルと発音するという指摘も戴いた。キャラル(セにアクセント)は回転木馬のことである。面白い命名である。

 コンピュータのディスプレイがCRTでなかったころ、点滅する電球で文字を作っていた。それがいつも熱くて参っていた。消せばいいのに、消灯してもほの赤いのである。それが寿命を長くしていると気が付いたのは、それから何年も経って、世の中からそのような電球方式が姿を消してからのことである。

 いわゆる電光ニュースはどうなっていたのだろう。昔よく見たのは、球切れで歯抜けになったものであった。見ていると、だいたい一週間に一回球を取り替えているようであった。
 あれほど明滅させるのであるから、この予熱方式を採用していれば、それほど取り換えなくてもよかったであろうと思う。

 すべての機械は、連続運転する限り故障は少なくなるという経験則がある。
 車の耐久力を示す事例に、「100万キロ連続走行を達成!」などという話をよく聞くが、そんなことは驚くべきことでもない。連続と言えどもオイルを入れ替えたり、タイヤを替えたりしているだろうが、エンジンは熱いままである。故障は膨張収縮を繰り返すことによって起こる。いろいろな所にクラックが入り、故障の原因を作る。車の耐久性を誇示したいのなら、冷間起動・最大能力運転・停止放冷のサイクルを無事故で繰り返す回数を表示すべきである。

 原発も同様である。原発は負荷に応じての運転はしない。故障が怖いからである。作ったら20年、フルパワーで運転して廃炉というのが正しい使い方だ。地震で停止するとそれだけでも寿命がかなり縮む。

2009年08月23日

電球の寿命を延ばす

 電灯線2本で行う多重制御の記事にはいくつかのコメントを戴いている。ある程度はお答えしたが、まだ不足しているのでここでお答えする。

 アメリカやヨーロッパの発想と日本の住宅用に開発された製品の発想には大きな違いがある。

 欧米の家は寿命が長く、100年は住める。天井の電気配線も昔のままで住んでいるから、多重制御ができれば便利だと思う人が多い。
 壁のコンセントにスタンドランプのプラグを挿して使うので、コンセントに多重制御の子機が付いていれば便利だ。遠くからでも点滅できる。自動点滅のシーケンスを組み込んだものもあるので、夜になると自動で点き、防犯上も都合がよい。

 片や日本のものは4線式が多い。「2本の電力線 + 2本の信号線」というパターンである。これでは新築以外には使いにくい。新築時にしかこのような装置を付けないと思っているのであろう。

 日本ではスタンドランプを使っている人が少ない。ほとんどが天井からの均一照明である。ドイツ人の友達が面白いことを言った。彼が住んでいた団地には日本人家庭も数多くあったが、夜間に外から見るとすぐわかったそうだ。現地人はスタンドランプなどの局所照明を使うが、日本人は蛍光灯の均一照明を使うので目立ったらしい。
 それで泥棒に見抜かれて、日本人の家だけ被害があったという。

 フィラメントの予熱について、よく分らないというご意見も頂いている。

 一般的にいえば、金属の電気抵抗は温度が高くなると大きくなる。要するに熱いと電気が通りにくくなるというわけである。(逆に高温では電気伝導率が増すものは半導体という。)
 冷たいフィラメントには電気が良く流れ、加熱されると電流は絞られて落ち着く。常温と2000度では約12倍の違いがある。つまり、100Wの電球は、点灯直後は1200Wの電熱器と同等であるというわけだ。冷たいフィラメントが急激に温まるので、熱膨張が不均一に起こると、たちまち切れる。フィラメントそのものと支持部に接しているところでは熱容量が異なるので、温度の上昇速度が異なる。それが原因で伸びが不均等になるのである。

2009年08月21日

続 ASTRAC

 ASTRACはMRなどに大きな広告を載せて宣伝されたが、意外に買う人が少なかった。
 
 初めは5チャンネルであったが、GEの内部では16チャンネルまで増やす予定であったという話を聞いた。さすがにアメリカとは言え、当時の顧客はそこまで成熟していなかったとみえる。あと10年後なら、確実に市場を形成したであろうと思われる。

 このASTRACの制御卓の配置は当時としては非常に先進的である。筆者は1970年代にHeathkitに夢中になっていた。いろいろな物を作ったが、そのパネルデザインによく似ている。
 最近はHEATHKITと言うらしい。随分様変わりした。昔はテレビのキットとか、ありとあらゆる電化製品のキットが売り出されていて、ステップ・バイ・ステップの説明書を見ながら、本当に100%自分で作るようになっていた。最近はプリント基板に部品が付いたものを差し込むだけのようだ。
 今でも持っているのは超音波洗浄機である。これは意外と大出力で役に立つ。塗装はがしでブレーキ液に付けた後、この中で残りを取り除く。



 このASTRACは事実上の世界最初の同時多重制御による模型列車の運転装置であった。この記事にも書いてあるが、1940年代にライオネルが2チャンネルの同時制御装置を売り出したとある。あまり調子が良くなかったそうだ。真空管を使った周波数の違いによる方式では、いろいろな問題が生じうる。電波障害もすさまじいものであったろうと推測する。

2009年08月19日

ASTRAC

ASTRACという多重制御方式があった。これはGE General Electric が発売した装置で、Automatic Simultaneous Train Control 自動同時列車制御という意味である。
 1963年から66年あたりまで発売されていたようだ。現物は70年代に1度しか見たことがない。Web上では写真も見つかるが、もうほとんど存在していないのであろう。
 FM変調で5台の動力車を動かすものであった。車上素子はそれほど大きくはない。

 この技術はGEの内部では別のところに使われていたもので、製品化してみたもののあまりにも売れなくて、販売停止になったようだ。

 電灯線経由の多重制御もこれと同じところに根ざすものであろうと推測する。この当時の特許を見ると様々な方式が見つかる。アナログ方式はどれも比較的似ている。

 デジタル方式のクロックに相当する部分を同期用の電動機で機械的に作り出し、受信側では所定のパルスを拾い出す工夫など涙ぐましい工夫の跡がある。ソリッドステート化以前は大変だったようだ。

 日本では、たくさんの列車を同時に走らせられる人の数が少なかったので、このような工夫は
ほとんど興味をもたれなかったし、その存在にも興味がなかったように見受けられる。

 さすがに伊藤剛氏は興味があった。氏は昭和23年ころ、2台の自動車を個別に制御する自動車レース場のアイデアを出されている。これは路面からの集電装置の工夫で自動車が左右に動いても、常に独立した集電をするようにしたものであった。

2009年08月17日

続々 多重制御

 アメリカでは35年ほど前から家庭電化製品の中に多重制御の工夫が入り込み始めた。正面きっての多重制御ではなく、各電球や、扇風機の中に組み込んだモヂュールにより見掛け上の多重制御ができるようになった。

 一番良く売れたと思われるものは、電球のソケットの中に埋め込んだ切り替え装置で、壁のスウィッチを手早くOn、Offすると、明るさが三段階に変化するものであった。これは筆者もたくさん買った。ありがたいのは電球が極端に長持ちすることであった。タングステンフィラメントが冷たいときには、その抵抗が小さく1/12くらいしかない。そこに規定電圧を掛ければ、電流は12倍流れてフィラメントは急激に膨張して切れる。
 この素子はその突入電流 rush current を抑制するように設計されているので、ほとんど切れない。ざっと10倍くらいは持つ。点灯すると、ボワッと明るくなるのがわかる。パッと付くのではない。

 時間が来ると自動消灯する電球もあった。賢いことに30分経つと、点滅して警告を発してから、やがて消灯する。これは我が家のトイレの電球に使っている。これもソフト点灯するので、築18年で一度も切れていない。

 天井の扇風機と電灯は2本しか電線が来てない家庭が多かった。電灯だけしかなかったところに扇風機をつけたのだから当然である。ぶら下がっている紐を引いてファンとライトを切り替え、回転速度は手を伸ばしてロータリー・スウィッチで切り替えていた。これを壁スウィッチのOn、Offで、全てコントロールできる。手早くOn、Offするとモードが順次切り替っていく。このモジュールはとても小さくまとまっていて、天井扇のベースに収まる。我が家の天井扇にもつけてある。大変具合が良い。

 ややぜいたくなタイプは、壁スウィッチのパネルに3つのモードの切り替えと明暗、回転の無段階調整がついている。扇風機中のモジュールとの通信は、最初からある2線で行うので、配線を触る必要はない。

2009年08月15日

続 多重制御

 先回の電灯の点滅をする装置は Phillips の製品であったように思うが、もう製造を停止しているらしい。検索しても出てこなかった。
 同等品はある。どこの国で作っているかは知らないが、この価格は驚異的に安い。
 すでに世の中はLED照明に移り変わりつつあるようで、これを探しているとその種の情報はいくらでもある。

 HornbyのZero1の記事はCQ出版のトランジスタ技術という雑誌に載った。10数ページにわたるかなり詳しい説明で驚いた。NHKブックスだったかで、このZero1について書かれていたのは長氏であった。今その本が行方不明で詳しいことがわからないのは残念である。

 CQ出版というその道の権威ある出版社が、その主力雑誌でZero1の詳細な記事を発表したのには驚いた。TMSに投書して、より懇切丁寧な記事を書いてもらい、掲載すべきだと伝えたが返答はなかった。

 今のところDCCの解説書は2冊である。3冊目はCQ出版が出すべきであろうと思う。


 
 

2009年08月13日

多重制御

 何といかめしい標題であろうか。
実は筆者は中学生のころから多重制御に興味があった。経済的には無理であったので理屈を考えるだけであったが、交流と直流を交互に送って、車内の切り替え装置を動かすことをひたすら考えていた時期があった。いろいろな案をみせると技術者であった父は、「くだらないことを考えるより、無線で操縦する方がよほど簡単だよ。」と取り合わなかった。

 それから何年も経って、MRに連載されていたCTC16とか、ホーンビィのZERO-1などには興味があった。このころは自身の仕事が多忙を極めた時期で、実際に作ったり購入したわけでは無い。
 そのころアメリカの家庭用品で、たくさんの電灯を手元の小さいコントローラで自在に制御する製品を見つけた。電灯線を通して指令を送り、最大16個の電灯のOn、Off、2台の扇風機の調節、逆転ができた。今でも売っているかもしれない。問題は隣の家がそれを使っていたらどうなるかであった。16通りのコードがあって、それを選ぶから問題ないとは言うものの、同じ柱上トランスの範囲内であれば、よその家からでも作動させられるように思った。
 家庭で使う品であるから、価格も安く、簡単に使える。まずカタログを集め、帰国したときに伊藤剛氏に見せた。
 
 剛氏は「これだね。」「これが一番可能性が高い。」と仰った。いずれそれを購入して分解し、使える所を取り出して入れてみようと思っていたが、DCCの台頭がその必要性を失わせた。

 鉄道模型は線路があるので、その2本の線から、かなりの電流を継続的にとることができる所が、他にない利点である。また、その2本が平行しているので、高周波であっても他に影響を与えにくいし、受けにくいところも利点である。
 
DCCがこの世に現れて十余年、欧米ではかなりの普及率を持つのに、日本ではまだまだである。結局は走らせる人が少ないということに尽きるのだろうか。

2009年08月11日

続々 DCCの可能性

 連結機の解放は筆者にとって懸案事項の一つである。基礎実験には成功しているので、いずれ、ある程度の動力車と客車列車の先頭、一部の貨車には付けたいと思っている。

 方式は3つあって、一番確実なのはスロゥモーションのポイントマシンを付けることである。Oゲージでは体積が大きいので、テンダ内に全く問題なく付けられる。強いバネも押し開くので、電源をOffにすると自然に戻る。

 2番目は、小さいソレノイドコイルを使ってナックルを開く方法である。これも特に難しいことではない。しかし、うっかり長時間通電すると、焼ける可能性がある。

 3番目の方法は、形状記憶合金である。ヒータで温めると元の形に戻るのでバネと組み合わせると、往復運動ができる。最近はこの手の材料は通販で簡単に手に入るようだ。筆者は苦労して手に入れたが、最近は安い。問題は、ヒータを添わせると熱容量が大きくなり、応答が悪くなることだ。細い材料を使えば、そのものに電流を通じて加熱することもできるだろう。
 このユニットを量産すれば、話は簡単になる。いろいろなパターンを考えているが、長さの変化を期待する方式が一番素直である。これもOゲージは有利である。長さ200 mm程度のワイヤであれば5 mm程動く。テンダの床下につければ良い。長いと抵抗値が大きく焼けにくい。すなわち動作がゆっくりになるから都合がよい。

 形状記憶合金と言えば思い出すのは、伊藤剛氏の線路工夫の保線カラクリである。親方の合図で、8人の工夫が保線作業に従事する。
 完成直後にそれを見せて戴いた時、それだけでも十分に面白いのに、もっと面白くする方法はないかと問われたのでこう答えた。 
「線路がまっすぐでは面白くないですよ。レイルを形状記憶合金で作り、列車が走ってぐにゃぐにゃになったら、線路工夫たちがエンヤコーラして、その間にレイルに通電してジュール熱でピンとさせて見たらどうでしょう。」
 その時の剛氏の顔は今でも忘れられない。

 

2009年08月09日

続 DCCの可能性

 DCCの楽しみの一つに燈火がある。
 
 DCのときにはヘッドライトとテールライトが一つづつ付いていただけである。DCCでは最低限がその二つで、あとはいろいろな燈火が付け放題である。
 マーカーランプ、運転室の室内燈、点検燈、場合によっては警告燈(縦軸を中心に左右に振るタイプ、丸く振るタイプ)をそれらしく再現する光り方を選ぶことができる。
 光度も点滅速度も自由に選べる。蒸気機関車の火室下には火がちろちろと見えるのも再現できる。このような燈火は最大8回路あるので好きなように選べる。

 煙を出したければ、そのうちの1つを使ってリレィを作動させ、大電流のON,OFFをすることができるので、かなりの迫力ある煙を出すことが可能だ。

 レイアウトの電源を入れると、サウンドが起動すると同時に、これらの燈火が一斉に点く。機関車の番号を指定すれば、その機関車のライトが明るくなり、呼ばれたということがわかる。設定次第で音を大きくすることもできる。
 火室下の赤い火を明るくすると、出発間近いということになる。ドレインを切りながらゆっくり出発して、列車に連結する。

 出発まで待機しているときはブロワ音を大きくする。前照燈を明るくするとターボ発電機のヒューンという音が大きくなる。汽笛一声、出発である。スロットルを細かく調節し、スリップぎりぎりで加速するのは楽しい。たまに大きくスリップすると、激しいドラフト音が鳴り響き、再粘着と同時に元に戻る。

 このような運転を寝る前に楽しむ。DCCは楽しい。15分のつもりが2時間になる。

 費用対効果を考えると、DCCはもっとも価値あるおもちゃであると思う。




2009年08月07日

DCCの可能性

 重連した機関車を両手にスロットルを持って走らせる話を書いた。自分でもやや異常な雰囲気だと思ってはいたのだが、ある方から、「それは当然です。」という連絡を戴いた。大いに力づけられた。

 コンシストは多重連ディーゼル機関車の制御に用いるように作られている。その証拠に先頭車しかライトが点かないし、汽笛も先頭車だけから鳴る。電車に使うのも全く問題ない。
 手動の協調運転をするときには機関士の数だけスロットルが要るのは当然であるという趣旨である。

 最近、番線切り替えによるルートコントロールの補助装置が安く市販されるようになった。
 ルートコントロールのみならず、車輌検知、信号まで対応する。

 これがあると、ヤードごとに線路配置を描き、ポイントの開いている方向を現示させることもできる。大きな表示装置では勘違いも生じるので、個別に付けられればとてもよい。

 実は筆者の所属しているクラブのOゲージの組み立てレイアウトのコントロールボードがあまりにも巨大である。配線も太く重い。これだけでもDCC化できれば楽である。
 車両はしばらくはDCで行くしかないと思う。線路だけでもDCC化すると、そのうち車両をDCC化する人も出てくると思う。
 ここしばらく、筆者は動力車を持っていかない。自分の車輌はDCC化してしまったので、そこでは走らせることができないのである。

2009年08月05日

続々々 「DCCで楽しむ鉄道模型」

コンシストについての説明がある。コンシストは編成という意味である。要するに重連をしたらどうなるのかということだ。
 いくつかの例が示してある。たとえば碓氷峠の横川駅で待機したEF63などが、やってきた列車に補機としてつなげられる場面とか瀬野・八本松間の解説である。

 確かに同時に一つのキャブから全体を制御できればお手軽ではある。しかしそれでは筆者は満足できない。
 DCCでは、運転者が縮小されてキャブに入っているという錯覚が生じるほど、個別運転が可能である。
 重連では、総括制御ではない限り、キャブを複数作動させて走らせたい。

 特に蒸気機関車は総括制御など不可能であるから補機は別のキャブで運転したい。そうすれば後部補機の押し過ぎで列車が脱線しない様にコントロールする面白さが出てくる。

 筆者はキャブを3台持っている。いつもは2台で遊んでいる。両手に持って重連を楽しむ。汽笛の応酬を楽しみ、場合によっては片方がさぼった状態で運転する。

 押して動くギヤが付いているので1両でも引っ張れるが、やや苦しい。特に勾配区間では困難だ。勾配に差し掛かった時だけ両方が頑張るとぐいっと引き上げることができるのを見るのは楽しい。

 ディーゼルの多重連は総括制御なのでコンシストに限る。

 


2009年08月03日

続々 「DCCで楽しむ鉄道模型」

“走らせる鉄道模型”という極めて当然なことが、この本では扱われている。
 DCCが導入されれば、走らせたくなるのは当然である。走らせるためにはそのような機構が必要である。日本の鉄道模型のもっともおろそかにされていた部分が変化せざるを得なくなったのである。
 この本はその部分を大いに改善してくれるであろうと思う。

 筆者は固定のレイアウトを持たない人こそDCCを始めるべきだと思っていた。その実例がこの本に載っている。スナップ・トラック(要するにお座敷運転のパチパチつなぐ線路)を使ってもすぐできる。ポイントの動作は走行電流から取れる。ほとんどのポイント用デコーダは走行電流を少しずつとって充電し、指令に従って放電させて動かす。走っている車両がつんのめることもない。
 ポイントマシンとコントロールボードを結ぶ、あのうっとうしい電線がすべてなくなる。これは大変大きな進歩である。大規模な組み立てレイアウトでは電線だけで20 kgもあることもあるのだ。

 サウンド付き車両の運転の楽しさにも触れている。実は筆者がDCC化したのは10年ほど前だが、サウンドが目的であった。
 当時は高価であったが、現在はそうでもない。動力車を購入する価格で何台ものサウンド化が実現する。これは楽しい。

 日本の模型屋さんの中でDCCについての知識のあるところは少ない。やってみれば簡単で誰もが欲しがるものなのに。この状態を放置してきた日本の雑誌の不作為の罪は大きいと思う。

 この本の続編(応用編)の出版を期待したい。

2009年08月01日

続 「DCCで楽しむ鉄道模型」

 この本を読んでいていくつか気がついたことがある。

 DCCはすべての動力車とポイント切り替えができるはずである。ポイントの切り替えもするのだが、ヤードなどの各枝線には個別のスウィッチを付ける、またはポイントの切り替えによっての遮断をする。という話が二つも載っている。
 要するに、常時通電の「DCCに依る動力遮断」をせず、別の装置(スウィッチであったりポイントの切替えであったり)の遮断をするというわけである。DCからDCCに乗り替えた人にこういう方式をとる人が多い。過去の行動様式が深く刻まれていると、それから抜け出して新しい方式には馴染みにくいものだ。ポイントを切り替えたとき、その線路が遮断されると安心ではある。ところが通電がないので、機関車のランプは消え、サウンドも止まってしまう。
 初心者が読む入門書の最初の部分にこういう話が載っているのは感心しない。DCCならではの楽しみ方を載せるべきだ。過渡期にはこのようなことはあるにせよ、わざわざ書くこともあるまい。付け足し程度の扱いで十分だ。

 この話は、アメリカのDCCの本などによく出てくる。しかしこの手の話とは少し違う。
 DCCを古くから楽しんでいる人は初期の怪しい遮断性能しかないデコーダの記憶があるのだろう。筆者の持っていた古いデコーダにもとんでもないものがあり、OFFにしてあるのに勝手に少しずつ動くものがあったのだ。現在のデコーダにはそんな恐ろしい製品はない。
 アメリカの本の話は、安全装置としての遮断だ。ターンテイブルの枝線にはスウィッチを付けるという話がある。
 
 レイアウトルームに行き、メイン・スウィッチを入れると、いくつかの機関車のランプが点き、またサウンドが聞こえるのは気分が良い。
 機関車の番号を指定すると、その機関車のランプが明るくなり、ボイラの圧力が高まる音がする。汽笛一声、発進!という楽しみが失せてしまうのは残念だ。

 最近のDCCデコーダは性能が格段に上がって、信頼性が高い。
 

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