2009年04月

2009年04月29日

続々 Track Gauge

 私信をすべて紹介するわけにはいかないが、興味深いご意見を紹介したい。
 実物の鉄道に携わっていた方からのお手紙である。

> プロト48やプロト87の存在意義は、このフランジウェーの狭さにあるというのが私の考えですから、御説はレールの魅力を引き出す、一つの方策であることは間違いありません。
> 一方私は、どうしても実物の事情が直ぐに念頭を過ぎりますから、やはり異線進入とか、フログ・ゲージの摩耗を考えてしまう……というあたりが正直なところです。


 当然、実物でこんなことをしたら大変なことが起きるのは目に見えている。しかしこれは模型である。模型のフランジは、実物の数倍の大きさであり、異線侵入は起こりにくい。これは先のこの図を見て戴ければすぐわかるように、フランジが厚いので、レイル・ヘッドの不整は、フランジの勾配の中で吸収されてしまう。即ち、異線進入は起こらない。

 proto48との比較でフランジ・ウェイが狭くて実感的ということもあるが、それ以上に、保線上の利点がある。欠線部の落ち込みがほとんどなくなるので、フログが傷まない。

 このような裏ワザ的な方法が採れるのは、輪軸の精度が素晴らしく良いからである。古いMax Gray時代や、韓国製の輪軸はすべて廃棄した。動輪はすべて28.5mmのバックゲージを持つので、全車両が同じ規格でそろった。

 

2009年04月27日

続 Track Gauge

 Low-D車輪の設計が始まったときに、吉岡精一氏にはたびたび貴重な助言を頂いている。
 「輪軸だけではなく、線路の規格も同時に考える。」という方針で進めた。

 「模型ではスラック(ユルミ)は内包されている。」という言葉は印象的であった。模型のスラックは、実物に比べて大きい。ガタが大きいので、車両が進行方向に向かって斜めに走るという状況がありうる。しかし、それは固定多動軸車両(蒸気機関車など)の設計を容易にする。
 
 曲線においても、ゲージを拡げてスラックを付けるということはしなくてよいのだ。むしろするべきではない。RP−25よりタイヤが薄いので、精度の悪い線路では落ち込むこともありうる。

 先回のトラック・ゲージを狭めるというのは、この裏返しである。広すぎるゲージを少し狭めても問題はないはずである。ただし、輪軸の精度が問題になる。ホイール・ゲージがそろっていないと大変な事になるだろう。

 この件については、いくつかのメイルを戴いている。
「素晴らしい!」から「やりすぎではないか」まで、多岐にわたる。

 筆者は鉄道模型の走りを楽しみたい。それが最も大きな原動力である。さらに、そこにある程度の視覚的要素を盛り込みたい。ポイントのフランジ・ウェイが広いのは我慢できない。さりとてすべてスケール通りにはできない。また、フランジ・ウェイの底をフランジで走るのは好きではない。
 それを工夫によって乗り越えるのが楽しい。 

2009年04月25日

Track Gauge

narrower flange-way ガード・レイルの方が広くて気持ち悪いという方が、たまにいらっしゃる。そういう方向けには、ガード・レイルを狭める方法がある。直線側のゲージを31.0 mmにするのだ。

 筆者は教条主義者ではないので、こういうことには柔軟に対応している。直線区間であって、輪軸がバック・ゲージ29.0 mmでできている。ユルミ(Slack)は1.0 mmある。このユルミは必要だろうか。
 輪軸が正確にできているなら、直線部にユルミはいらないはずだ。レイルを正確に敷かねばならないが31.0 mmでも何ら問題なく走る。

 直線同士のクロッシングを考えてみよう。フランジ・ウェイでの車輪の落ち込みは不愉快だ。しかもフログは摩耗し、いずれ脱線のもとになる。これもゲージを1.0 mm狭くするだけですべて解決する。
 NMRA規格は、「このように作れば、皆が共用できる線路が作れます。」と言っているだけで、このように作らねば、それは鉄道模型ではないと言っているわけではないのだ。輪軸の寸法がある範囲にあるのなら、それに対応する線路を作って悪いわけがない。少なくとも筆者のレイアウトに来た車輌で、無事周回できなかった車両などない。

 アメリカのOゲージはHOのようなスケールモデルではない。軌間がスケールより2 mmほど(正確には1.85 mm)広い。これにはいろんな経緯があってこの現実を受け容れざるを得ない。
 ゲージが1 mm狭くなるだけで、見かけはかなり良くなる。筆者のレイアウトでは、半島状に突き出たヤード部分は31.0 mmゲージである。来客が周りから見るチャンスの多い場所であるから、1.0 mm狭くすると、効果は抜群である。一瞬、スケール通りではないかと思う位だ。

<追記>
 ゲージを31.0mmにすると走行がやや不安定になるので、現在は31.4 mm で落ち着いている。これなら、高速で通過しても全く問題ない。

2009年04月23日

Frog

asynmetrical flange-way Frog は「蛙」のことである。長手方向から見ると、なんとなく蛙に見えるからである。
 フログのフランジ・ウェイ部分が広いと、間が抜けて見える。要するに玩具っぽく見える。

 既製品の分岐は、フログとガード・レイルのフランジウェイが同じ幅である。これが非対称でも何ら問題ない。 すなわち、フログのフランジウェイを限界まで狭くして、ガード・レイル側を広くすることは、何ら問題を起こさない。こうすることにより、フログでの落ち込みを減らすことができる。

 この工夫がなぜ我が国の商品で実用化されないかは、筆者のかねてからの疑問である。吉岡精一氏はかなり古くから採用しておられる。また、Lou Cross氏の製品はこの方式を採用している。ガード・レイルはその模型鉄道を走る最小バック・ゲージに合わせて設置すれば良い。筆者の鉄道では、13年前に古い輪軸を一掃したので、最小値は28.5mmである。車両を持ってきて走らせたいと言う人には、あらかじめ、断りを入れておく。古い輪軸の場合は、バック・ゲージを測定してから来てくださいと。

PECO PECOのOゲージ・ポイントはこれを採用している。
 古い車両も、チャンスがあれば、新しい輪軸に入れ替えるべきである。今回Low-D車輪を原価で頒けたので、多くの人が手持ち車両の更新をされたと思う。

2009年04月21日

Check Gauge

O track Standard Check Gauge とはポイントでのガード・レイルからフログまでの距離である。ポイントを通過する輪軸は正しいチェック・ゲージを持たねばならない。

 バック・ゲージという言葉はよく聞く。しかしチェック・ゲージを話題にする人は少ない。ポイントを通過するかどうかは、すべてこのチェック・ゲージに懸っている。
 
Low-D Dimension 2月に、Gary Schrader氏に会ったときに、その話を持ち出すと、「そうだ。その通りだ。チェック・ゲージがもっとも大切なのに、それを知らない人が多すぎる。バック・ゲージなど何の意味もない。」と言った。「あなたはよくわかっていらっしゃる。」と言うと、「当り前だろう。」と来た。

 バック・ゲージはどちらかというと日本語で、英語では
Back to Back と言う。英語には Check Rail という語がある。これはいわゆるガード・レイルのことである。やや古い言葉で、British 的な響きがある。

 さて、このチェック・ゲージは既存の線路を走らせるためには規定値でなければならない。
 RP25からLow-Dに移行する時、その点に最も気を使った。

 バック・ゲージは広くなった。フランジが少々薄くなったことによる。

2009年04月19日

Fillet

Fillet とは踏面とフランジとの隅を埋めるものである。ライオネルその他の toy train では踏面とフランジが完全に鈍角になっていて、丸みはない。

 RP25が日本に紹介されたのはTMSの206号ミキストである。山崎喜陽氏がこの内容を完全に理解していたかは、大いに疑問である。その説明には理解に苦しむところがある。発音だけは「フィリット」となっていたのは興味深い。

TMS #206 MIXT そのミキストにはレイル・ヘッドの不整合を乗り越えるのに役に立つだろうとこんな絵が描いてあったが、これはフランジの仕事でフィレットの仕事ではない。

TMS #206 MIXT 2 RP25の功績は、フィレットを紹介したことに尽きる。それまでの車輪は帽子のつば状のものであり、フランジにつながる丸みはほとんど無かった。すると、カーヴでは常にフランジがレイルヘッドに当たり、踏面とフランジの二点接触により、速度差が生まれて、その差が摩擦損失として現れる。フィレットがあれば、カーヴでわずかな乗り上げが起こることにより、常に一点接触の原則は保たれる。実物に比べ曲線が急な模型では、このフィレットは当然大きくとるべきであって、RP25の値でも、まだ不足するのだ。

<追記> NMRAの当時の記事、およびそれを紹介したMRの記事を見ると、このレイル・ヘッドの不整合を乗り越える絵が描いてある。すなわち、本家が間違っていて、それを誰も訂正できなかったのだ。

2009年04月17日

Flangeの厚み

Flange Thickness フランジの高さという概念は分かりやすい。フランジの裾野 (Filletという)が始まる点からの高さであるから、(フランジ径−車輪径)÷2で求められる。Low-D車輪では0.99mmである。

 フランジ厚の定義を理解している人は少ないはずだ。P点と車輪裏側との距離である。Low-Dでは1.00mmである。設計時にはここからスタートしている。軌道のフランジ・ウェイが2.0mmであるので1.0mmの余裕を見ている。フランジ・ウェイは少々広すぎる。

 実際にはレイル・ヘッドの丸みもあるのでもう少し余裕がある。しかし模型ではレイルを研磨するとき、平面に研磨紙を付けてこする場合が多く、レイル頂部は平面に近くなっている。フログ部分の清掃時には、なるべく指先に1500番の研磨紙を付けて丸みを出すようにしている。そうしないと、フログ通過音が大きくなる。場合によっては飛び跳ねることもあるだろう。

車輪裏のフランジ勾配はどの文献を見ても同じことが書いてあるので特段の考慮はしなかった。こうして表と裏が決まると後はフランジ先端をどうするかだ。丸くする必要もないが、そうしておかないとクレームが来るのは目に見えている。適当に絞って、先端は少しとがらせた。これは造形上の工夫で、フランジを薄く見せる効果がある。これを見せると、ほとんどの方は、「フランジが薄いですね」と仰る。成功であった。

 京阪電車のフランジは先端が丸くないそうだ。筆者が観察して気がつき、栗生氏に問い合わせたところ、「よく気付かれましたね。」とそのあたりのいきさつを説明してくださった。実物はフランジ塗油を前提にしているので、設計の条件が異なる。

2009年04月15日

続 Low-D Wheel Contour

復元範囲 この図はカーヴでのせり上がりにおける復元の様子を示している。
1は直線を走行しているときの規定位置である。Low-D車輪の直径というのはこの点での数値である。
2カーヴで車輪が外に押されてせり上がった様子を示す。車輪の有効半径が増大し、内側への転向力が生じている。
3レイルヘッドがP点に来ている。フランジ角は最大値に達し、脱線抗力は最大であるから、既にこの時点で脱線は始まっている。車軸が多少は傾くから、有効フランジ角が多少は増大するだろうが、事実上無視できる。

 P点の大体の位置はノギスなどで車輪を挟んでみるとわかる。片方のキャリパを車輪裏面に当て、他方は踏面からノギスのキャリパを狭めていくと車輪が押し出される感触を受ける。そのまま狭くしていくと、あるところで急に抵抗が大きくなり、動かなくなる。これは近似的にP点である。
 左右の車輪のP点間の距離がwheel gauge(車輪ゲージ)であり、track gauge(軌間)との差が「ユルミ」となる。ユルミが大きいと、蛇行が起こりやすく、視覚的によくない。さりとて、ユルミが小さいと、多軸車の曲線上での挙動を制限する。

 既存の線路の規格は決まっているので、チェック・ゲージはそれに合わせねばならない。そのあたりの数値の操作は、かなり面倒であった。最終的に、フランジ高さは1mm以下となった。何度も強調するが、フランジ高さはどうでも良い数字で、その他の条件で自然に決まってしまう。
 ここで0.99mmという数値を採用した理由は、旋盤屋で材料を無駄にしないための工夫である。19φの車輪を作るとき、21φの材料からスタートできる。このあたりの条件設定は、経営者としての吉岡氏の貴重な助言による。
 
 模型の車輪製作で大切なのは、旋盤での挽き目が出ないようにすることである。せっかくP点を正確に決めておいても挽き目が見えるようではその意味がない。

 <追記1> この図のレイル・ヘッドはごく一般的な模型レイルを表している。正確には5月5日の図が正しい
 <追記2> 最近号のTransPacificによると、本物のgauging pointはここに示す点ではないそうだ。RP25では、接線に置いてある。 Apr.17, 2013

2009年04月13日

Low-D Wheel Contour

Low-D Wheel contour この図はLow-D車輪のcontourである。このコンタを割り出すまでにはかなりの時間が掛かった。吉岡精一氏の助言を最大限に受け入れ、ある程度の直観に基づく形状を構成した。製図はnortherns484氏に助けて戴いた。

 この図中P点はフランジがレイルに触る直前の点で、このとき脱線抗力が最大になる。すなわち、P点を超えてフランジに接触しているということは、もうすでに脱線しているのと同じである。P点での脱線抗力以上には大きな抗力が生じないから、フランジがせりあがって、そのまま脱線してしまう。

Have you ever seen the flange like this? 言い方を変えると、このP点より高いフランジはなくても緩い曲線上なら脱線しない。もちろんsprungの状態に限る。それでは1ミリもあるフランジは何をしているのかという疑問が生じる。レイルヘッドの不整を乗り越えるとき以外何もしていないが、これがないとフランジの裏がポイントのガードレイルを擦るとき、妙な形になる。チェック・ゲージが決まっているので本物の様な低いフランジにすると、台形のフランジになって妙なものである。

 模型のフランジは模型の軌道を走る都合上、仕方なく高いフランジを付けているのである。それでは本物の1/48にすればそれで解決するだろうか。摩擦係数は小さくても同じかというとそうでもないから、いろんな点で不都合が生じるかもしれない。模型の車輪が、実物を1/48にした程度に平滑かどうかは疑問だ。ひどい場合は塗料がついた車両もある。塗料の厚みを48倍するととんでもないことになる。

 筆者の採用しているO Scaleは、こういうわけでやや高く見えるフランジを付けている。しかし、HO よりは相対的に低い。 タイヤも、ポイントのフランジウェイを無事通過するようにやや厚く作られている。アメリカではもっと薄くするのが最近のはやりだが、ポイントで落ち込んでしまい、やや不様な体をさらしている。薄くすると、ゲージがスケール通りの30mmより2mm弱広いのが強調されてしまう。 

2009年04月11日

続 Stainless Steel

accelerating corrosion on stainless steel 以前、ステンレスと普通鋼を接触させておくと、普通鋼の方がさびやすくなるという話を書いた。
 この写真は、ある公園で撮ったものである。ステンレスの手すりに、いわゆる“番線”を巻きつけてしばらく経ったものであろう。“番線”とはなまし鉄線の10番線か12番線のことであろう。詳しくは調べていない。

 ステンレスは酸化されにくい。専門用語で言うと「電位が高い」ということである。これと普通鋼が接触して電解液(雨水)に浸されると、電池を形成し、猛烈な勢いで普通鋼が溶け始める。溶けて流れる部分もあれば、周りの酸素によってさらに酸化されて赤さびになるものもある。

ステンレス 線がもう丸くなくなって、上の方は板のようになっている。これは電流の流れる接触部ではなく、その側面で酸化が起こることを意味している。この撮影時には持ち上げて写しているので元の接触部は浮いている。

 このようにステンレスにさびが着くと、さびの下に酸素が到達しにくくなる。ステンレスは常に空気中の酸素が接しているとさびにくい状態になるので、さびが着くとその下はさびやすくなる。常にサンドペ−パで磨いておくべきであろう。

 ステンレス製品をステンレスのワッシャを介して締めると、ワッシャの下がさびやすいのもこのためである。空気が供給されない部分ができてしまう。 

 もしもの話であるが、ステンレス鋼でできた車輪が実物のレイルの上を走ることがあれば、大変なことになるだろう。走行時はもちろんのこと、停車時にレイルが腐食されてへこみが生じる。摩擦が少ないから、ブレーキも効かないだろう。

2009年04月09日

Stainless Steel

 被牽引車の車輪にはステンレスが適する。なぜかというとそれは摩擦が少ないからである。すなわち動力車には本当は適さない。普通の鋼材に比べると摩擦が70%位である。

 しかし本物の車輪には使えない。それは塑性変形しやすいからである。この種のステンレスはオーステナイト系といって、簡単に変形する。すなわち本物の車輪のように大荷重が掛かるものには使えない。建築物の構造材にも使えない。クリープが起きて伸びてしまう。たとえば庇の鉄骨に使えば、いずれ垂れ下がってくるだろう。また、実用機器にステンレスのボルトを使う場合もあるが、強く締めると伸びるので、本当は使うべきではない

 ピヴォットの先端が曲がりやすいのも、オーステナイト系だからだ。何か硬いものに当たるとつぶれやすい。工場からトレイに入れて納品された時は全く問題なかった。
 箱に入れ替えて運ぶと100軸に一つくらい、このような事故が起こるようだ。また、人に見せると、見たあと無造作に放り込む人がいて、先端が潰れるようだ。ここまで精密に作られた部品に接したことは、ほとんどの人にはないだろうから、ついやってしまうのだろう。

 しかし、他の利点がこの欠点を補って余りある。また、模型程度の荷重ならクリープは起きない。

 ジャーナル部を円筒型に研削し、マイナス17μにした。ボールベアリングの滑り嵌めを実現するためである。工場では全数検査をしてくれたので、間違いなく嵌まる。さらに、面取りを大きく施したので、多少の打痕が生じても問題なくはまるはずである。このあたりのノウハウは、経験上確立されている。


2009年04月07日

続々 Low-D Wheel Sets

 昨日、川島氏のお宅で会合があったので出席した。その席上、Low-D車輪をお頒けした。発表の機会を与えられ、レイアウトの高架線上で手を離すと、斜面を滑り降りて滑走した。その一瞬、観客がどよめいた。

 ほとんどの人はボールベアリングの効果だと思われたようだが、ピヴォット軸受けの効果である。機関車のように軸重が大きいと、ボールベアリングの効果は絶大である。しかし貨車のように軸重が100g程度なら、ピヴォットの勝ちである。相手はデルリン(ポリアセタール樹脂)だから多少凹み、自己潤滑性があるのでよく回る。

 ボールベアリングには油が入っているので、その撹拌抵抗が無視できない。うんと重くなればそれが無視できるようになるというわけだ。

pivot failure たまに振れが出ているように感じる時がある。それは、他の部品と衝突して曲がってしまったからだ。ステンレス・ピヴォットは先端が曲がりやすい。焼きが入るとよいのだが、SUS303では無理だ。外して、もし曲がっているようなら、砥石で先端部を少し修正すると治る。箱にそっと入れてあるのだが、無造作に扱うとそういうことが起こりうる。

 実演を見て、初めて例の動画が本当だと実感したというコメントを戴いた。実はあの動画をご覧になった方からいろいろな質問が届いている。一番多いのは、「貨車の中に動力車が紛れこませてあるに違いない。」というものだ。次に多いのは、「ゴムタイヤを履かせてあるのだろう。」である。また、「CG(コンピュータで処理して多く見せている作り物の動画)だろう。」というものもあった。

 種も仕掛けもなく、ブラス製貨車が80%以上含まれた総重量約35kgの列車である。動力車は先頭の4-12-2蒸気機関車のみで、走行時の電流は0.37Aである。機関車は約3.5kgである。
 このような運転ができるのはこの車輪のお陰以外の何物でもない。

2009年04月05日

続 Low-D Wheel Sets

 今回は車輪の裏側を削った。これは、前回の製品との区別をするためでもある。また、明らかに軽量化にも貢献している。

 裏を削るというのは、実は大変手間がかかり、なおかつ難しい。CNC旋盤では刃物は片方からしか動かないので、出来上がってきた車輪を別の機械にくわえ直して、裏を削る。
 裏は精度が要らないので、総型バイトで削ればよいと言ったのだが、機械と職人が遊んでいたので、贅沢にもCNCで図面通りに作ってくれた。この仕事をするのに1個当たり30秒ほどもかかる。

 踏面は図面通りにできていないと意味がない。この工場には20倍の投影機があり、図面と実物を重ねて見ることができる。結果は完全に図面通りで感動した。
 このような検査機能をもつ工場は少ない。今回、こちらの要望が100%通り、思った通りのものがとても安くできた。

 仲間内で融通する分以外にもかなりの余分を作ったので、ご希望の方には原価でお渡しする。いつものことなのだが、事前に注文数を聞いて作ると、後で現物を見て欲しがる人が多い。今回も注文数の2倍を作ったので、ちょうどよいくらいだろうと思っている。コメント欄を通じて、価格等お問い合わせ願いたい。市価と比べると非常に安い。

・17.5φのピヴォット軸、及び19φのピヴォット軸 これらは圧入してあり分解できない。
・19φの5mmストレート軸、ジャーナルは2mmボール・ベアリングを嵌めることができるようにマイナス17μ、軸は片方のみネジ込み。
・21φの5mmストレート軸、仕様は上と同様。

 5mm軸もボール・ベアリングを嵌めることができるようにしてあり動力台車を作ることができる。

 17.5φは高性能のプラスティック台車(TR41似)にはまった状態でも出荷できる。この台車の転がりの良さには、だれしも驚く。工場で現物が転がるところを見せたら、「信じられない」と言った。

2009年04月03日

Low-D Wheel Sets

Low-D Wheel sets on Weaver Trucks Low-D 車輪が納品された。前回から13年、製造所が夜逃げしたため、ノウハウごと消滅してしまった。その後、手を尽くして新しい製造所を探していたが、好景気で誰も見向きもしなかった。

 今回のトヨタ・ショックで、近在の工場はすべて閑古鳥が鳴いている状態になった。いくつか当たってみると、ぜひやらせてくれという工場があった。工作機械は新品で、5000万円もする物に入れ替えた途端、仕事がなくなってしまったのだ。

 話を聞いて、最近の製品サンプルを見せてもらうと、素晴らしい精度であることがわかった。ネジも「ISO 4mm細目でガタの無いようにできるか」と問うと、「自信がある」とのことで図面を渡し、見積もりと試作を頼んだ。

 出来てきた試作品を見て驚いた。こんなネジは見たことがない。ガタが全く感じられない。「工作精度の限界です。世界最高レベルのネジです。」という。

 温度管理が大事で、昼間は人間が付き添っていて、あまり精度の要らないものを作る。夕方になって油の温度が上がって一定になったところで、多量の材料をセットし、朝まで自動で作ると、同じものができるという。

 圧入も寸法誤差範囲を小さくしなければならないのでこの方法で作る。前回は絶縁材を介して圧入してあるところが、場合によっては弛みやすかったが、今回はロレットを軽く切ったので、回らなくすることができた。

 圧入の方法も全く新しいジグを作って、精度高く組み上げてある。長年、この工場ではカメラ部品を作ってきたらしく、細かいネジは任せてくださいということであった。

2009年04月01日

客車用連結器

客車用タイト・カプラ 客車列車は乗り心地を優先するので、連結器の遊びが少ないものがよい。本物はタイト・カプラを使用していた。模型でもKadeeは使いたくない。貨物列車は良いが、旅客列車を牽き出すときにガチャガチャ音がするのは許せない。この写真はサクラメントの博物館前に置いてあるSPの客車と他社の客車が連結した様子(栗生氏ご撮影)。

 栗生氏のご説明によると、Knuckle(日本語ではどういうわけかヒジと言う)がいくらでも締まるように、くさび型のキィが落下するのだそうだ。上下の動きを制限する角(ツノ)が納まる凹みもあるがこの連結では機能していない。

 模型はMonarchを使う。この写真は出所不明のドラフトギヤに取り付けたもの。ばねで突っ張っているから、センタリングは完全である。引っ張り時に緩衝能力があるが、衝突時には無力である。取り敢えずこれを取り付けることにした。ジャンクで買ったので、使いきると補充はない。一応10組はあるので、デイライトには使える。

 モナークは簡単に連結でき、しかも勝手に離れないので、解結の少ない客車列車には好都合だ。離すときは指を突っ込んで下から、キィを押せばよい。実に簡単だ。これを開放テコで操作する方法もあるがそれほどの効果があるわけでもない。
 
Draft gear3Draft GearDraft Gear2





 
 床板に接着するには大きな面積が必要なので、薄手のブラス板にハンダ付けし、コの字型のガイドも付けた。


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