2008年03月

2008年03月30日

続々々 Bill &Kitty のレイアウト

Track PlanElevation このレイアウトの全体図と標高を表す図である。
 このように大きな場所を使える人は、長大な勾配を作って楽しむ。実はそこが落とし穴で、ほとんどの列車は勾配ではあまり多くつなぐ事ができない。質量と摩擦の問題がある。
 実物のように軸受の摩擦が少なく、フランジの摩擦も影響が少なければよいのだが、そのような貨車や客車を採用している人はほとんどいない。だから、長大な列車を牽くのを見ることはまずない。摩擦の問題が解決しても質量の問題がある。

 ブラスの貨車は意外と重い。実物と比べてみると空車のときの質量がかなり大きい。勾配線ではプラスティックの貨車を使わないと坂を登りきれないことが多い。

 筆者はそのことを承知の上で、敢えて全ブラス製貨車にこだわっている。摩擦さえ少なければ、勾配での動きは実物に近くなる。もっとも、筆者のレイアウトには勾配は少ないが。連結器が切れると実物どおりの runaway になり、悲惨な結果が待ち受ける。したがって勾配を上るときは、後ろに補機をつけて、万一の事故に備えている。
  
infection warning 最後にこの文をお読み戴きたい。難しい文章ではないが、接触感染と言う言葉が出てくるので、何だろう?と思う。辞書を引いてお確かめ願いたい。この文は、このレイアウトの入り口に張ってあった。

2008年03月28日

続々 Bill &Kitty のレイアウト

The Wells' Layout 4 UPのChallengerと同型機である。これもゆっくり走る。サウンドが付いているが、前後の位相が同じなので、いつまで経っても同じ音なのが残念だ。関節機は音がずれるのだ。ひとつの方法として、前後どちらかのカム・ローラをゆるく留めておくのだ。弱いバネで押して摩擦で留まっているだけにしておけば、少しずつずれるに違いない。

 ここは峠である。少しずつ標高を稼いで、ここから下りである。DCCのBEMFフィードバックで下りの速度も同じである。高効率のメカニズムであると、下りはかなり速くなるだろう。しかしそれは、貨車も摩擦の少ない車輪をつけている時の話である。

 このレイアウトではないが、筆者の機関車を持って行った時に、下りが怖いと言って、「自分で運転せよ。」ということになった。スロットルをほとんどゼロに近くして、つりあい速度は60マイル位であった。何かあったら逆回転させて停める必要があった。実はこのときダイナミックブレーキの必要性を強く感じた。


 これは峠を下ったあとの列車である。
 シーナリィは簡単であるが、好感が持てる。これぐらいで十分だ。 

2008年03月26日

続 Bill &Kitty のレイアウト

The Wells' Layout 3 Santa Feの2-10-4である。この鉄道のコンセプトは1950年代のリオ・グランデ鉄道に、サンタフェとバーリントン(C&S)、ロック・アイランドが乗り入れている状況を表したものである。
 機関車は韓国製が多かった。この機関車もMax Grayではなかった。ロッド周りが異なる。どれも非常にゆっくり走る。アメリカのレイアウトではどの機関車もゆっくりである。これだけ大きいと、一周するのに5分くらいかかることになる。

ATSF 2-10-4 at the Wells' 戻ってきた機関車である。動画もあるのでご覧戴きたい。これも栗生氏撮影である。
ヘッドライトが低速でも明るく点いている。もちろん停車中でも点灯する。ただし多少暗くする。減光は自動である。これはDCCの効果である。サウンドも、燈火も当然のように採用されている。もしこれがDC運転なら、あまりにも情けない状態だろう。低速でも、けつまづかないのは、DCCの効果のひとつで、モータの回転数を読み取り、フィードバックを掛けているからである。あまり上等でないメカニズムでも、安定した走りを作り出すことが出来る。

 


2008年03月24日

Bill &Kitty のレイアウト

 The Wells' Layout 1
 Wells家には初めてお邪魔した。ここはサンフランシスコからかなり遠い。Golden Gateを渡って1時間以上掛かる。
 Rio Grande をPrototypeとしている。かなり広い。54坪ある。一周してくると1mくらい登る。峠を越えると静かに下っていく。
 DCCによるサウンドが付いているので、音を聞いているだけでどこを走っているかが判る。奥様のKittyがかなり熱心に参加している。背景画は彼女の筆によるものである。山の斜面も手伝ったとのこと。

The Wells' Layout 2 機関区で給炭中である。給炭装置はOagleとかいうタイプである。鋼板製のタンクで、軽く出来ている。合理的な設計である。
 UPでは本線上にこれが設置してあるところがあった。給炭装置には給砂装置も付設されている。手前のベイジュ色の装置は、アシュピットから灰を掻き出す装置であり、止まっているホッパは灰捨て用である。





2008年03月22日

続々 Holombo氏のレイアウト

Log shelf 運ばれてきた材木はここで降ろして、棚に置く。一杯になったら、山に戻す。
 ここのヤードの奥には、シェイやクライマックスがいた。

 


最終到達地はこの池(未完成) ここの池のあたりは、まだ工作が完了していないように見えた。手前が池になるのだろう。
 本来は、ここで材木を落とすわけである。池から引き上げたら、チェイン・コンヴェイヤでソウ・ミル(Saw Mill)に引き込む。上の写真の赤い壁についている斜面がそれである。
 縦割り(ripping)をしてから、同時に多数の刃で板を作る。2インチピッチで刃があり、それを通過すると、いわゆる2バイ材になる。2by4というのは、のこぎりの間隔のことである。実際には、鋸の厚みと、かんな代(しろ)があるから、材の厚みは1.5インチとなる。

 最後に、2-8-2タンクの牽く空車回送列車の動画を紹介する。これも栗生氏撮影である。


2008年03月20日

続 Holombo氏のレイアウト

Lumber Jack's shack これらはきこりたちの飯場(shack)である。現場が移動するとき、フラットカーに載せて移動する。
 その後ろには最新型のディーゼル機もある。時代背景は、蒸気機関車が君臨すれども、ディーゼルに追い詰められようとしている頃という設定である。1955年頃であろうか。このレイアウトはMRの94年7月号に紹介されている。

A bear is walking there! 禿山を歩いている熊である。自分の住処がなくなって、当惑している。ちょっとしたところに、このようなものが置いてあるのは気が利いている。




Mallet Engine 空車を牽いて山を登るマレーである。動輪数が多いので、急曲線でも集電がよく、よく走った。栗生氏撮影の動画があるのでご覧戴きたい。

2008年03月18日

Holombo氏のレイアウト

Sawmill Building このレイアウトには初めてお邪魔した。ロッギング・レイアウトである。スタンダード・ゲージのロッギング・レイアウトは比較的珍しい。

 16坪程度の部屋に急曲線が張り巡らされている。山で木を切り倒して、集材機で集めた丸太を積んで、製材所まで下ってくる様子が見られる。階段で一階から上ってくる部分を製材所としているのは、なかなか良い工夫だ。

Mr.Holombo 最終的には積荷を降ろして空車を牽いて山に帰る。山の中にはデルタ線があり、編成の向きを変える。これを繰り返して遊ぶわけだ。何回か遊ぶと製材所の池には丸太が一杯になるので、それを箱に入れて山に返しに行かねばならないのはご愛嬌だ。この人がHolombo氏である。

 急曲線に対応する機関車ばかりで、本線用の機関車はない。シーナリーは実感的に作られている。

古橋正三氏に親しくお付き合い戴いたので 筆者にとってもロッギングは、親しみ深いものである。シェイ、クライマックス、ハイスラーなどたくさん見せて戴いた。レイアウトの製作時には何度もお邪魔した。
 洋書を抱えてよく相談にいらしたので、こちらも知らず知らずのうちに、ある程度は詳しくなった。

Holombo's Layout このレイアウトもNCEのDCCで、サウンドつきである。ギヤード・ロコの排気音はせわしく響き、興味深い。

2008年03月16日

続々々 Garyのレイアウト

Hopper cars このホッパ貨車は、KTMから輸出されたMax Grayの3-Bay Offset-side Hopperである。製造はA製作所である。内部を見ると内側のリブが実物どおりにつけてある。ここまで加工したのを見たことがない。図面集を見れば、確かにそうなっていることはすぐ分かるが、やろうとは思わない。どうせ内側は積荷で見えなくなるということにするからだ。ハシゴもプレスを捨て、線を曲げてつけている。

ATSF Caboose これもその時代のカブースであるが、Wigwagをつけている。無線のない時代の、カブースから機関車への連絡装置である。簡単な加工で面白さが出る。これはやってみよう。しかし、穴を同心円状に開けないとみっともない。作るのは大変そうである。
 隣のDaylightもS製作所の製品であるが、細かく作り直してある。

ATSF 2-10-4 これはKTM-Max GrayのAT&SFである。製造はS製作所。実に手際よくディテール工作がほどこしてある。キャブの窓の位置を移動させてあるのはさすがである。普通はそこまで気が付かない。 

2008年03月14日

続々 Garyのレイアウト

集電装置 これがターンテイブル上の集電装置である。トラスの組み方も正確である。回転しても線が緩むことはない。たいしたものである。




線路配置図 線路配置図を見ると、筆者のレイアウトとの共通点がある。ターンテイブルを大きくし、枝線の数を増やしている。ヤードの長さを確保して長大編成の収容に備えている。筆者のレイアウトは地下にあり、螺旋階段で降りていくので、そのスペースが無駄になっている。その部分をヤードにすればこの配置とやや似ている。大きさも大差ない。地下は耐力壁の位置が決まっているので自由度が少ない。もし地上に作っていたらこれと近いものになっていただろうと思う。

 Garyのレイアウトは見せるのを目的としている。すなわち、観覧者がうっかり手を触れてしまうところは、全てガードが施してある。腰壁の上にある各種のスイッチもうかつに動かないようにしてあるところが興味深い。

 制御装置はDCCでNCEを使っている。O scaleの人はほとんどNCEである。



2008年03月12日

続 Garyのレイアウト

440V 3-phase power line これがその送電線である。実に見事に再現してある。ターンテーブルの動力は三相モータのOn,Offのみで制御しているものがほとんどである。たまにスター・デルタの切り替えが付いているものもある。電車に比べると制御方式はやや怪しいが、短時間しか廻さないので問題ないらしい。


Gary's engines この写真を見て戴きたい。どの機関車も色調が同じである。筆者の好みとしてはたまにぴかぴかの機関車があってもよいと思うが、Garyは色調をそろえることをポリシィとしているのだ。




ATSF Pacific この機関車は40年以上前にKTMを通して輸出された。製造は祖父江欣平氏である。筆者も2台持っている。非常にプロポーションのよい機関車である。それをGaryが手を加えるとこうなる。筆者のと比べた写真を出そうと思ったが、その差があまりにも大きいので、今回は取り止めである。とりあえず塗装を落としてやり直すことにした。 しかしこのように手際よくは出来ないような気がしている。



2008年03月10日

Gary のレイアウト

Garyのレイアウト 今年もGary のレイアウトに行った。彼はOSW期間中、毎日レイアウトを開いているので見学に行き易い。
 相変わらず、超細密志向で、どこも非の打ちどころがない。すべての機関車、車輌を同レベルで細密化し、レイアウトもそれにあわせてある。過去に見たどのレイアウトにもない水準である。

 貨車のブレーキ装置もすべて完備している。このあたりはまねできない。筆者のところにはブラスの貨車が100輌くらいあるが、ある程度の加工しかしていない。貨車は輌数があればよいとしか考えていないからだ。作るときに下廻りの細密化を考慮していない。

 ところがGaryは、執念で全てを細密化している。塗装も厳密に時代考証し、ウェザリングも統一しているところが尋常ではない。

 今回はターンテイブル周辺を念入りに見た。というのは、筆者のレイアウトのターンテイブルを完成させなければならないからだ。

 このターンテイブルの中心は、回転する集電装置が実物どおりに作られている。三相交流を受電する鉄塔がある。回転してもぶれないところがすばらしい。

2008年03月08日

続々々 三次元印刷機

 この項が始まってから、このブログを読まれる方の数が急に増えた。あちこちのブログで三次元造形の記事がほとんど同時多発的に出ている。
 それをお読みになって、検索をかけてここにいらした方が多いのではないかと推察する。私信も多く戴いている。「もっと詳しく」とか、「日本からでも頼めるのだろうか」というものである。

 Brisko氏は、注文を引き受けているし、価格は日本の相場より安いはずである。三次元のデータさえあれば、話は簡単である。それを作れということになると、かなり難しいだろう。形を見たことがないものを二次元の図面から起こすのは、かなり困難な仕事だ。Brisko氏は、三次元のソフトウェアとしてSolidworksを使っていた。

 近未来の話は先回書いたが、そうなるとますます工学的素養が要求されるだろう。「なぜこの部分はこうなっているのだろう」ということが判らないと、その形にする意味がない。そういう意味で、ディジタル化はますます頭脳の勝負になるであろう。

 今までは、達人の域に達した方たちは、実物の構造に通じた人たちばかりであった。そうでないと作られたものは実感味がないはずだ。二次元の図面では、角の丸みは表現されていないことが多い。それを読み取るのはかなり難しい仕事である。実物を知らないと出来ない仕事である。 

 ところで三次元造形で検索するといくつかの項に行き当たった。この方のブログでも今後の価格の推移について記されている。興味深い記事であるのでお読み戴きたい。

2008年03月06日

続々 三次元印刷機

UP9000 25年ほど前、アルビン・トフラーの「第三の波」という本があった。筆者はそれを繰り返し読んだので、かなりの部分は覚えている。その中の一節に「安くなるから大量生産が行われてきた。一品ものの注文生産は高価であるのが常識であったが、これからはそうではなくなる。」というくだりがあった。
 印刷物が送られて来て、封筒を開ける。一人一人の宛名人に、異なる名前が書いてある手紙風のダイレクト・メイルが入っていることがある。このようなことは20年前には考えられなかったことだ。鉄道模型もそれと同じことが可能である。

 例えば、UPの9000という機関車がある。4-12-2という軸配置で筆者の好きな機種のひとつである。2台あって、標準型と改造型である。フレームも微妙に異なる。
 近未来の模型製作はこうなるだろう。

 注文するとCDが一枚届く。それをコンピュータで読むと三次元の図面が出てくる。
Boldfaceにしたいと思えばあちこち修正して、電送する。
 するとフレームが、鋳鋼製そのままの形で一体成型のロストワックスで送られてくる。後は自分で加工して出来上がりというわけである。もっとも、機械加工を同時に頼むこともできるようになるだろう。

 ついでにボイラも薄く鋳造することもできるだろう。すべての部品が付いたボイラが、ネジも切った状態で鋳放しで納品されるかも知れない。ハンドレイル・スタンションだけは別部品の方が見栄えがよいであろう。

 煙突の固定ボルトまで、法線方向に植えられた状態で出来てしまう。こうなると優れたソフトウェアを使いこなすのが、模型製作になってしまうであろう。

 機構部品はモジュール化して別売となるわけだ。

2008年03月04日

続 三次元印刷機

 Brisko氏とは毎年いろんな話をしてきた。ほとんどCNC関連の話であって、これと言って目新しいものではなかった。

 昨年、"3D-Printer”があるんだよ。あれを買えばさー"と言うので、"そうだね、買えればいいね。"と言って別れた。本当に買ったのだ。

 公演中に、"E-bayで中古を買った"と言ったのには驚いた。帰宅後、熱心にE-bayを覗いているが出てこない。3D-inkはいつもいろんなものが出ている。

 価格については言わなかったが軽自動車程度らしいと見当をつけた。これさえあれば、3Dソフトで作成したデータを入れれば、後はインク代、電気代、それと支持用ワックスを溶かす溶剤だけでいくらでも出来てしまう。

 副業としては面白そうだ。現実に、彼はたくさんの模型メーカから、動輪、その他のパーツの原型作りを請け負っている。

 見せてもらったサンド・ボックス(蒸気機関車の砂箱)には驚いた。厚さが均一でプレスで打ち抜いたように滑らかである。これならプレス型など要らない。

 この機械はこれからどんどん安くなるだろう。1台20万円くらいまで下がると思う。すると模型の世界は大きく変わる。
 どうなるかは、想像がつく。今までは作る技能が大切であった。達人が評価されてきた。達人でなければ出来ないものがたくさんあった。

 しかし、これからはソフトが評価される。すばらしいソフトが出来ればOゲージであろうとHO、Nであろうと同じものが出来る。そういう時代が、すぐやってくることを感じた。     

2008年03月02日

三次元印刷機



 今回のコンヴェンションで一番印象的な講演は、William Brisko氏の「三次元印刷機」であった。

 理屈はそれ程目新しいものではない。ただ、どの程度のものが出来るかは見たことがないので、それを現物で見せてもらえたのは面白かった。

 最近は、歯科医は技工(入れ歯を作ったりする作業)を外注するのが普通である。技工士は、石膏型をレーザ光線で三次元測定し、それを三次元印刷機で作り、鋳造する。鋳造時の微妙な鋳縮みは、係数を掛けることにより、完全にキャンセルすることが出来る。これが最新の技工技術である。それを模型に応用するのだ。

 詳しい説明はNorthern484氏がレポートされているので、それをご覧になるのがよいだろう。また、Brisko氏のウェブサイト をご覧になると、非常に詳しい説明が図入りでなされている。

このような方法があることは知っていても現物を見せられると、さすがに興奮する。
要するに図面さえあれば、何でも出来てしまうのである。もちろん三次元に変換するソフトが必要であるが、このような動輪などは簡単に出来てしまう部類に入る。
 やろうと思えば、ボックス動輪を本当に中空にすることも可能である。

 このような技術が、それほど高価でないところまで降りてくると、手作りに頼る必要がなくなる。すなわち、達人でなければ作れなかったスポーク動輪の卵型断面など、完璧な形が自動的に生成されるわけである。
  

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