2008年01月

2008年01月30日

続  川島氏のレイアウト訪問

 川島教昭氏 川島氏は、当初自宅の一室にレイアウトをお持ちであった。その後経営されている会社の一棟に、OゲージとOJのレイアウトを作られ、「第二病棟」と呼んでおられたのだ。
 何かの聞き間違いかと思ったが、間違いなく「病棟」であった。
 電話に奥様が出られて、「第二病棟に居ります。」とおっしゃったのには驚いた覚えがある。「だって、病気なんですもの。」と言われた。


Turntable その後、ご自宅の敷地内の大きな鉄骨の倉庫を改装して、現在のレイアウトを作られた。JORC日本0番ゲージクラブの東京地区の集まりの場所として提供されている。 

 筆者のような個人のレイアウトとは異なり、いろいろな人がいろいろな模型を持って集まるので、線路の側の対応はその点難しいことが多いとおっしゃる。

 RP25規格、NEM規格、昭和30年以前の怪しい0番の車輌も走らねばならない。三線式車輌も持ち込まれるので、それに対応しなければならない。また、その三線区間にも二線式の車輌が入ることがあるので、フログを取替えて対応している。
 
 川島氏の悩みは線路の汚れである。興味深いことをお聞きした。スプリングで可動する車輌の走行ではレイルの汚れはほとんどないそうである。一方、昔ながらの非可動の軸箱を持つ車輌が走ると、後の清掃が大変であるという事だ。これは大変貴重な情報である。

 筆者の車輌はすべての車軸がsprungである。フログの磨耗が少ない位に思っていたが、それだけではないのだ。  

2008年01月28日

川島氏のレイアウト訪問

川島氏 久しぶりに川島教昭氏のお宅を訪問した。世界でも有数のコレクションをお持ちで、それを拝見に伺ったのだ。

 川島氏とは30年以上前に、椙山満氏宅でお会いしたのが最初である。優れた経営者であられ、鉄道模型に関してもすばらしい見識の持ち主である。その後時々お会いするチャンスがあった。新レイアウトルームが完成してからは始めての訪問である。

 昨年、東京で大鉄道博が催されたが、川島氏のコレクションの一部が展示された。すべてOJゲージで見事な展示であった。あの展示は、当初HOを予定していたそうで、川島氏の御尽力なしには大鉄道博の展示は成功しなかったであろう。

 60坪の倉庫を二階にして、1階をOゲージ、2階をOJゲージのレイアウトにされている。いわゆるディスプレイ・レイアウトである。この言葉はシーナリィ付きレイアウトに対する言葉である。運転を見るためのレイアウトである。 
 日本では最大であろう。筆者のレイアウトの3倍近くある。

 線路の敷き換えに対応して、路盤を移動できるようになっている。非常に柔軟な設計で、走らせてみて路線変更を繰り返し、現在の形で落ち着かれたようである。大きなリヴァース・ループが二つあり、どの方向からも逆行出来るようになっている。

 本線は4本あり、他にトロリィ線もある。本線のうち、一部は三線式にも対応する。ターンテイブルはBig Boyが載るようになっている。

2008年01月26日

段付きネジを作る

段付きねじ
旋盤で快削ブラスを削るのは気持ちがよい。

 写真の段付きネジである。台車の側枠を台車ボルスタに付けるネジである。鉄道模型にはいろいろな場面で段付きネジが利用される。回転を許し、外れないようにすることが多いからだ。台車のキングピンも段付きネジにすれば簡単である。頭の溝は鋸でつけるので、あまりきれいではない。本当はスリ割りのカッタでの工作が必要であるが、面倒なのでやらない。

 オークションやスワップ・ミートで手に入る部品は、このような段付きネジが無くなっているものが多い。当然、価値が下がり、安く手に入る。それを活用するためにはネジを作る必要がある。アメリカの友人にも頼まれてよく作る。彼らにはメートルネジが手に入り難いからだろう。

 このような工作にはDROが役に立つ。数字だけ見ていればいくつでも簡単に削れる。

 ネジを切るには、写真のダイス・ホルダを使う。これは自作で、1インチ径のダイスが保持できる。旋盤のスイッチを切り、主軸が止まりかけた時、心押し台を使って押し付ける。3,4回転して止まるが、それまでにネジは切れている。場合によっては足らないときがあるが、手で回して出来上がる。主軸の慣性を使うと、下手をするとねじ切りそうに感じるが、それまでにネジが進むのでモース・テーパが抜き取られて停止する。実に簡単である。

 この台車は昭和30年代に作られたもので、砂鋳物に機械加工して、コイニングで作った部品をハンダ付けしたものである。ボルスタでイコライズして、軸バネ可動という凝ったつくりで、実によく走る。ネジはISOではなく、JISであり、ピッチが大きい。この時代のものを修理するには、各種のタップやダイスが必要である。

2008年01月24日

庭への延長線

 庭に線路を敷くために、地下室の線路基準面を何度も検討した。高架の本線を作ったのは、その結果である。

 困ったことに建物から出ると、歩道から1メートル位のところを通過する。何か長いものを持っていると、手が届いてしまう距離である。通りがかりの人が一人でも立ち止まれば、野次馬が集まってしまう。

 何らかの方法で、目隠しを付けることも必要となる。また、地下から、監視するためのTVカメラも必要となる。はじめは、凝った線路配置を考えて、テハチャピ・ループばりの立体交差を作るつもりであったが、単純な周回線路にした。何らかの事故で脱線転覆する可能性を減らすためである。
 池を掘る案もあったが、橋を架けるための池であることが見え見えであったので、これもやめた。

 トンネルを開くと風が入る。当たり前ではあるが、塩のことや二酸化硫黄のことが心配である。
 風向きを考え、天気の良いときだけしか運転できない。あまり運転したことはないが、芝生の上で寝そべっての列車鑑賞は良いものである。
 しかし、紫外線に当たると、赤系統のディカールが、褪色する。曇りの日にしか運転できないことにしている。

 猫は音を聞くと逃げるが、犬は興味を持つ。停車時にがぶりとやられては、大変である。あるいは走行時に一緒について走って、なぎ倒すということも考えられる。

2008年01月22日

続 レイアウト・ルームの環境

 換気についての質問を戴いている。

 我が家は全館空調をしているが、家全体を換気する装置はない。風呂、キッチンには熱交換型の除湿換気扇がある。トイレには時限式局所排気扇がある。それだけである。

 このあたりは建築士とやりあったところである。彼は「換気量をこれだけ確保しなければいけない」と言うが、換気すると外の湿った空気、乾いた空気が入ってしまう。そうすると、それを空気調和するのに余分のエネルギが必要だ。人間の必要とする酸素は量が知れている。玄関ドアの開閉、トイレの排気ぐらいで十分だ。内部の空気は、居間の隅にあるリターン・ダクトで集められ、フィルタを通って戻される。フィルタは年に2回取り替えるだけでよい。エアコンのエヴァポレータは時々洗剤を使って清掃する。

 こちらの要求は冬に、人間の生活で生じる水蒸気だけで、湿度45%を保つことである。大体の計算で、それは可能ということになり、建築士の案を退けることに成功した。日本の基準は、タバコを吸ったり、ガスで調理したり、石油ストーブを使うことが前提の数字である。禁煙で、電気加熱であれば、全く問題ない。

 地下には排気扇はまだ付けていない。いずれ、塗装ブースができたら付けようと思っている。そのための穴は確保してある。現在は外で塗装している。外の塗装は避けたい。埃の問題があり、穏やかな秋の午前中くらいしか良い日がない。しかも外から見えるので、作業中に近所の人から声を掛けられると失敗する。

 穴と言えば、地下から地上に出るためのトンネルが用意してある。現在はパッキングを付けて締めてあるので外気の侵入はない。高架の本線の高さで、外の庭に出られるようになっている。犬は鎖で縛っておけば、噛み付く心配はない。

 以前紹介した組立式線路で庭を一周する。

2008年01月20日

レイアウト・ルームの環境

 レイアウトを作り得る環境になると、線路を敷くことに夢中になる。敷いた後のことは考えていない人が多い。
 レイアウトの敵は、まず、次にである。それと温度変化光による退色も大きい。

 このあたりのことについて、過去の鉄道模型の専門誌に解説が書いてあっただろうか。筆者はそのことに昔から興味があり、研究してきた。

 屋根裏部屋は温度変化が大きいのと、構造上、埃からは逃れられない。国内のいくつかのレイアウトを見学したが、「埃を払うのが大変です。」と皆さんおっしゃる。
 掃除機で吸い込むとストラクチュアが壊れ、バラストの一部が無くなる。砂埃は、レイアウトのウェザリングの一部と考えられるが、綿埃はそうは行かない。 ギヤボックスがないと埃が噛みこまれる。これは機関車の効率を下げ、寿命を縮める。どうしても避けねばならない。

 レイルの伸び縮みについての話はそれほど聞かない。多分、ギャップを広めにしているか、レイルを細かく切っているのであろう。
 地下室は温度変化が少ないのと空気の流通が無いので埃が少ない。ただし地下室を掘る場所を考えないと、水が湧いてくる。事前に地下水位の調査が必要である。
 除湿用のエアコンを深夜電力で廻しておくだけで、完璧な湿度に保てる。湿度を45%以下にすると、鉄は錆びないというデータがあり、我が家での実験結果はそれを裏付けている。
 
 太陽光はディカールの褪色、変色の原因である。蛍光灯も感心しない。蛍光灯からはかなりの紫外線が出る。
 工作室以外は蛍光灯はない。すべてハロゲン電球である。ハロゲン電球は蛍光灯と効率がそれほど違うわけでもないから望ましい光源である。

2008年01月18日

地下室の空調

 地下室は全く外気とは隔絶されている。大物を出し入れするオウヴァへッド・スライディング・ドアがあるがそれの周りはパッキンを貼って空気の漏れを防いでいる。ドアの下側にはゴムのパッキンがある。というわけで、外気の流入は事実上、無い。

 深夜電力で動く750 W(出力2 kW)のエアコンと1 kWのベースボード・ヒータがある。これらはタイマーで動いている。半分地面に埋まっているので、温度変化は少ない。夏はエアコンが除湿機の役割を果たす。もっとも、この場所は丘の頂上で地下水位が低く、全く湿り気は無い。

 レイルが鉄(鋼)レイルなので、錆びない様にするには、外気に含まれる塩の影響を断たねばならない。それと石油、ガスの燃焼も避ける必要がある。石油、ガスには硫黄分が僅かではあるが含まれている。その燃焼により発生する二酸化硫黄は、鉄の表面に吸着されて酸素と結合し、さらに水を呼び寄せて硫酸になる。その結果、鉄は錆びる。

 ハンダ付けのときの塩化亜鉛も、飛び散って錆の元になる。だからハンダ付けは外でする。どうしてもしなければならないレイルのハンダ付けなどは、外でハンダめっきしておいて、コテで加熱する。電気配線は、携帯用の空気清浄機を持って行って吸い込ませながら行う。

 いずれ天井には空気清浄機を取り付ける予定である。床のコンクリートは意外に大きな埃の発生源である。完全にエポキシ塗料で固めてしまうか、タイルを貼る必要がある。アメリカ製の30 cm角のセラミック・タイルが安かったのでそれを貼った。日本製はその数倍もする。これは運賃を多少かけても安い。大きなものを輸入するときに、混載で運んだ。

2008年01月16日

続 結露 と エアコン

 皆さんのお宅では、布団を干されるであろう。当家は布団を干したことがない。近所では不思議がられている。もちろん、シーツは頻繁に取り替える。

 なぜ、布団を干さねばならないか。それは体表から発生する水蒸気が、寒い部屋で寝ているときに布団の中で結露するからである。もし体を大きなポリエチレンで包んで布団に入れば、べとべとになり、気持ち悪くて寝られないだろう。
 しかしそのとき、布団は湿らないはずだ。これが、先回の防湿バリア効果である。

 布団を湿らせないもうひとつの方法がある。それは部屋の温度を20℃程に上げて寝ることである。体表部は37℃であって、布団の表面は20℃である。その区間の温度勾配中には、結露点がない。すなわち、完全に空調してあれば、布団が湿ることはありえないことである。したがって干す必要は全く無い。干すと紫外線で繊維が傷むから、干さない方が長持ちする。

 したがって、防湿バリアが機能している家では、水の逃げ道が無く、必然的に湿度が一定に保たれる。加湿器など全く意味がない。
 
 我が家は湿度を低く保っている。年中45%で一定である。夏に湿度が低いのは実に快適で、気温が27℃でもとても涼しい。冬もこの湿度ではいかなる場所も結露しない。風呂場でさえ、湯を落として30分ほどドアを開いているだけで、カリカリに乾く。内装をサウナのように木で張ったので、かびるのではないかと心配していたが、濡れてもすぐ乾かせば、長持ちするはずである。

 窓に結露は皆無である。二重ガラスと木製サッシュのおかげで断熱は完全であるからだ。日本では、どういうわけかアルミサッシュが人気があるが、アメリカの北部の大半の州ではアルミ製サッシュは住宅には使用禁止になっている。理由は結露するからである。結露が全く起こらないアルミサッシュは、作るのが極端に難しいからだ。

2008年01月14日

結露 と エアコン

 なぜ結露が起こるかというのは、単純に言えば、水蒸気圧の小さいところに水の凝縮が起こるというだけのことである。要するに、冷たいところがあるとそこに結露が起こるのである。
 しかしこれを100%理解している人に出会ったことが無い。

 冬季に室内の湿気が壁を通して漏れるとする。
 壁の中は断熱材があるから外に向かって温度勾配が生じている。ある程度、外に近いところで結露し始めるだろう。その水は蒸発できない。内側からは蒸気の供給があるからどんどん水滴になり、最終的には水が滴り落ちる。

 冬の朝、犬の散歩をしながら、近所の住宅の壁と土台の境目を見て歩く。半分以上の家では濡れているのが分かる。このような住宅は欠陥住宅であると言わざるを得ない。室内からの蒸気の漏れを防ぐ手立てが講じてないのだ。アメリカでは改築命令が出されるだろう。
 
 このような状態であるから、室内の空気はどんどん乾く。それで加湿器を買って水をばら撒くから、ますます結露が加速する。内壁をはがして、軟質ポリエチレンの膜を張るだけで完全に解決するのだが、そのノウハウはどこにも無いようだ。

 おかしな工務店が、「壁は呼吸しなければ住宅の寿命が縮みます」と宣伝している。一体どういう人たちなのであろうか。住んでみて壁をはがせばすぐ分かることである。内壁は、完全に気密にしなければならない。断熱材は内壁に完全に密着して、外部に向かってなだらかな温度勾配を持たねばならない。外壁は防風バリアではあるが、完全な通気性を持たねばならない。これだけを実現すれば、結露は無い。

2008年01月12日

続 ダクト式エアコン

 ダクト式で最も注意を払うべき場所は、断熱である。熱が漏れると効率は悪くなるし、結露で家が傷む。

 実は、どうしても外部を通さねばならないところがあった。車庫の部分の天井を薄い角ダクトで通して、天井クリアランスを大きく取らねばならなかった。とりあえず、送ってきた断熱材を注意して巻き、漏れの無いようにした。運転して、その断熱材の表面温度を測定すると、暖房時、外気より20度も高い。ということは損失は甚大である。早速断熱材をさらに巻いて、測定すると5度になった。さらにグラスウールを巻いて、ポリエチレンで断湿し、木の板で完全な箱を作ったところ、外気温0℃プラス1度になり、一応、良しとした。
 
 天井有効高さはそのぶん5cmほど減少したが、仕方が無い。ここで大切なのは断湿である。外気の多湿な日本の夏では、少しでも冷たいところがあるとそこが結露を始める。これは止まらない。冷房時、エアコンを動かしている限り、世界中から水蒸気を集め続けることになる。断熱層の外側の、冷たくないところで、断湿バリアを張って、水蒸気が中にしみこまないようにすべきなのであるが、日本の建築関係者の認識は薄いと言わざるを得ない。

 アメリカの建築士の試験科目には断熱防結露の項目がある。一応理屈は説明できる程度には皆が理解している。日本人の建築士で、そこのところを理解している人には会ったことが無い。断片的には知っているようだが、話を連続して聞くと、あちこちに矛盾がある。しかしそれを矛盾とも感じていないひとばかりだった。

 この家を建てたときの日本側の建築士は大変優秀な人で、「わからないから教えてくれ」と言うのである。説明すると、すぐに要点を飲み込んで、非常に的確な指示を出した。


2008年01月10日

ダクト式エアコン

 日本の一般家庭ではほとんど縁の無いダクト式エアコンにこだわった理由は、大量の空気が常に流れて、濾過されていること。電気の契約容量が小さくて済むことである。

 例えば5LDK位の家であれば、エアコンは6台でそれだけで80 Aの契約容量の上積みになる。この家の場合は5 KVAの動力契約になっている。基本料は月5000円だが、単価は11円前後である。

 この家の図面をアメリカのエアコン業者に示して規模の見積もりをさせたら3 KWの機械でよいと言う。いくらなんでもそれは小さすぎると思い、次のサイズを聞くと5 KWを示された。価格は10%UPであった。保険のつもりでそれを買ったのだが、実際は3 KWで十分であった。機械が動く時間が少ない。本当は小さいモータで長時間動いたほうが、効率は高いはずである。Maytagの冷蔵庫はそういう思想であると謳っている。エアコン屋に「図面を見せろ。」と言われたときに平面図のことかと思ったら、すべての図面であった。窓の面積、そのガラスの断熱性能、壁の厚さ。断熱ガラスウールの番号、屋根の構造を入れると数秒で計算結果が出た。
 
事前にある程度の負荷計算はしてあったのではあるが、そこまで小さくは無かった。寒冷地という前提では、冷房のみで暖房はガスヒータを使う。−20℃ではヒートポンプは効かないからだ。「冬季の最低気温は?」と聞くので−4℃と言うと、「いいところだねー。それは冬ではない。春じゃないか。」と言われた。
 暖房もヒートポンプで行ける事になり、補助ヒータもなしという事になった。

 この家のダクトはノックダウンで、板を曲げたのを日本で組み立てた。組み立ては簡単で、ハゼの部分を木槌で叩いてはめ込み、シリコーン・シーラントを塗るものである。接続部も簡単に板を曲げたものでくわえ込んで木槌で叩いておしまいである。実に簡単にできる。しかしこの仕事をしてくれる業者が無かった。

 仕方なく自分でやるかと思っていたら、友人が米軍基地での仕事経験のある業者を連れてきてくれた。とても簡単に組めて助かった。ちなみに、そのダクトの材料は日本製の亜鉛引き鋼板であった。


2008年01月08日

続々 エアコンの室外機

 大型のエアコン一台で全館空調することに、大きな意義を感じていた。玄関を入ったときに暑かったり寒かったりするのが嫌である。どんな天気でも玄関を入れば、そこは別天地という生活がしたい。

 それには、極端に断熱のよい家を建てねばならない。安い電力を深夜のうちに買い込んで、次の日に備えねばならないから、家の中を重い材料で作らねばならない。

 キッチンで油煙が出るような調理は屋外でやるという方法を採用すれば小型の局所排気扇でよい。もちろんガス加熱はだめで電気加熱を採用する。フィルターを通した空気を全館回せば埃がたまるような生活からは逃れられる。その代わり廊下には埃が多少溜まるだろう。

 布団をやめ、ベッドで生活すると埃が減る。埃さえなければレイアウトはほとんど掃除しなくてもOKである。綿埃の発生源は洗濯物である。洗濯機で乾燥してしまえば、すべての埃はフィルターに引っ掛かり、排気は外に放り出される。深夜電力なら経済的である。

といった具合に計画を煮詰めていった。すると何のことはない、アメリカの生活をせよということになった。洗濯乾燥機はアメリカでお気に入りのがあったのでそれを買った。Maytagというメーカで、有名なコマーシャルを長年続けていた。修理人が電話の前で工具箱をそろえて修理依頼を待っている。時計がぐるぐると回って、「あーあ、今日もひとつも修理の電話が無かったよ。」と言って帰るのである。 この会社の物は本当に長持ちする。25年以上無修理でOKである。ベアリング、ギヤがよそのメーカの倍以上の直径がある。長持ちするはずである。他に冷蔵庫、食器洗い機もここのを買った。そこだけは3KVAのオート・トランスで120Vに昇圧してある。乾燥機は208V用の電熱線に取り換えただけで大丈夫だ。5.4kWもあるから、30分で終了する。だから、衣類の傷みも少ない。

2008年01月06日

続 エアコンの室外機

 エアコンの音の問題は、アメリカ製を購入したから生じたものである。もともとアメリカ製の電気器具というものは、音の問題をほとんど考慮していない。

 アメリカの家はどれも隣家まで最低10mはあるし、どの家もうるさいエアコンが付いているので、みなそんなものだと思っているのだ。

 借りていた家の冷蔵庫もすさまじい運転音で、家の外に居てもOn,Offがわかった。
車もかなりやかましい。トヨタのLEXUS LS400が発売になり、友人が購入した。彼の最初の一言を覚えている。
エンジンが掛かっていても分からない
であった。この車は、彼らに大きな意識革命を引き起こしたようだ。自動車というものはエンジンの音がして、その音を聞いて走る。音が聞こえなければ、調子が悪くなっても分からない。というのが彼らの基本的な考えであった。故障もしないというので、ますます評判は高まった。

 さて、アメリカ人の作る模型もやかましい。あまりできの良くないスパーギヤが、高速部でギヤトレインを構成しているのにはよくお目にかかる。最近はチェインになったのでかなり改善された。

 筆者の機関車が静かなので、「あいつの機関車はLEXUSである」という評判であった。それはモータ、ジョイント、ギヤトレイン、サスペンションすべてを吟味してあるからで、当然と言えば当然であった。

 これは後にサウンド装置をつけたときに、大きな差を実感させた。

2008年01月04日

エアコンの室外機

 すべてうまくいったように思えたが、ひとつ落とし穴があった。室外機の作動音がジェット機の音のようで、近所に大変な迷惑を掛けることになる。当初は周りが空き地で問題が無かったが、いずれ建て込んでくると、トラブルは避けられない。

 大掛かりな防音壁を作り、中に吸音材を貼ったが、まだ足らなかった。落ち葉が中に入っているのを取ろうとした時、4枚羽根の大きなアルミ製ファンを外した。出来の悪い形をしていた。日本製の流体力学に基づいた強化プラスチックの一体成型ではない。風切り音がうるさいのではないかとひらめいた。

 ちょうどその頃、ふくろうがねずみに襲い掛かるときに無音で滑空するという話を聞いたばかりであった。それは初列風切羽に筋肉の緊張によって作る鋸歯状突起や、風切羽内弁の非常に柔らかい縁毛によって気流を「整流」して音を消しているというものであった。
 それならばと、羽根の風切り部に、ヤスリで無数の切込みを入れてみた。羽を取り付けて、室内に戻り、エアコンのスイッチを入れた。音がしない。壊れてしまったと思い、外に出ると、ちゃんと動いている。大成功であった。

 加工した本人の予想をはるかに超える結果をもたらしたのだ。これは特許になると思い、調べてみたところ、三菱重工がすでに採用していることが分かり、がっかりした。

 このデコボコを付ける方法は、500系新幹線のパンタグラフにも採用された。このごろはあちこちで見ることができる。セルシオの屋根上のアンテナもこれが付いている。

 それまでの2年間、音で悩んでいたが、急転直下解決したので、それからは深夜にも平気で運転することができるようになった。住宅の内部の熱容量が極端に大きい構造をとっているので、夜間は十分に余熱(あるいは余冷)で、翌朝まで快適ではあるが。

追記 01175様からご指摘がありましたので、修正致しました。音源は後方にできるカルマン渦だそうです。ありがとうございました。


2008年01月02日

続々 筆者のレイアウト

              あけましておめでとうございます

 レイアウトを建設するに当たって、それまでに見たいくつかのレイアウトを参考に、方針を立てた。
 ほとんどの場合、リヴァース・カーヴを入れた案で線路をくねくねと引き回していた。筆者はそういうのがあまり好きではない。単純な方が良いと考えた。小判型の片方は、機関区、ヤードを置き、反対側は山岳路線にして、本線が2段になっているEcho Canyon の東側を再現することに決めた。

 路盤は以前にも紹介した厚さ57ミリの板(19ミリ板の三枚重ね)を用い、剛性は大きい。それを支える梁は100ミリ×300ミリもある積層ビームである。どう考えても過剰品質だが、家を建てたときの残材である。

 住宅はボストンの会社の設計で材料キットを仕立てて、大工も紹介してもらった。ボストンまで面接に出かけて選び、来てもらった。そのあたりのことはいくつかの雑誌に載り、TVも取材に来た。太い木をふんだんに使った面白いつくりの家である。当時は輸入住宅が話題になり始めたときで、設計施工を100%輸入した人はまれであったため、話題になった。

 空調もアメリカのものを用いた。屋外に大きな室外機をひとつ置き、地下の一部に機械室を作ってそこに室内機を設置した。そこで冷気、暖気を作り、ダクトで家中に配送する。こうすると経済的な電気の契約が可能になる。

 アメリカの三相交流は240V60Hzだが、電力事情が良くないと200Vくらいに下がる。したがって208Vのタップも付いている。これはありがたかった。電源の電圧は実測値で208Vであったのでドンピシャリであった。

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