2007年11月

2007年11月29日

ハイトゲージと定盤

定盤  この定盤は印刷機の解体部品である。部厚い鋳物を磨いてある。それを貰ったので、レイルの内側に相当する部分を大きなフライス盤で削ってもらった。この種の大きな仕事はShark Nose氏にお願いして、彼の工場で加工して戴いている。

 ハイトゲージは、ディジタル表示である。最近はそれ程高価でもない。

トースカン トースカンもあるがあまり使わなくなった。このトースカンのベースは押せば裏にピンが出るようになっていて、それを引っ掛けてスライドさせることもできるようになっている。いろいろな機能がついていて面白いが、もう既に過去のものである。

 定盤の上に鎮座しているのはUPの7000である。これはLobaughの製品の改造である。元はSPのMT−3のボイラを利用している。フレームはオリジナルのブロンズ鋳物を捨て、新たにふいた砲金鋳物である。それをフライスで切り込んで作った。この程度の仕事は小さなフライス盤でも簡単にできる。

 この鋳物は初めての経験で、発泡ポリスチレンを切って作った型を砂に埋め、熔湯を流し込んだ。いわゆるロストフォーム型である。型作りは意外と簡単で、思うようにできた。鋳込みは鋳物屋さんにお願いした。地金は水道のコックの材料である。

 UPの7000は2台あって、もう一つは稲見製作所の先代の作品である。それはかなりの大改造をほどこしてある。テンダーは新製である、同時に完成させるつもりだ。 

 

2007年11月27日

続 Milling Machine

Cradle Vise Palmgrenの万力は安くて確実で、重宝している。筆者は揺り篭型旋盤に取り付けて横フライスにするタイプを持っている。前者はどういうわけか「コーナン」というホームセンターで、安く売っている。後者は、アメリカでもとても高価である。

 PalmgrenはBillに勧められた品であり、満足のいく性能を持っている。



 旋盤の上にコラムをつけ、刃物台をX-Yテーブルとして使う、簡易フライス機能を持つ製品がある。

 見かけは一緒のように思うが、力の掛かり方の点では大きな差がある。刃物台は左右に動き力の掛かるところが変化する。フライスの場合はベッドが左右に動き、それを支えるベースは動かない。すなわち力の掛かる点が変化しないので、長いものを扱うことが出来る。もっとも、小さいものしか作らないときは何の問題もない。

 筆者のミリング・マシンは中国製である。アメリカの商社数社が、いろいろな仕様で輸入している。大きな違いは、スピンドルがR-8かMT3かである。他に送りネジが16TPIであるか20TPIであるとか、モータが120V用か240V用であるという違いがある。

 アメリカで各コンポーネントごとに分けて売っているので、それを買い、スーツケースに入れて持ち帰った。25kgずつに分けて4本であった。同行者に頼んで持ち帰った。

 現地で要らない物を捨てたがまだ重かった。税関検査で引っ掛かったが、蓋を開ければ「なーんだ」という顔をしていた。他にも車の部品をたくさん持っていたので、それで引っ掛かったということもある。帰国後、全てのネジを日本製のネジに取り替えた。首が折れるものがあるからである。



2007年11月25日

Milling Machine

Milling Machine フライスというのはドイツ語で、英語ではミリングマシンという。コラムに剛性がないと何の意味もない。筆者の機械は、コラムが傾けられると言うふれ込みで売られているようだが、コラムを傾けるより、ワーク(被工作物)を傾けるのが筋である。ベッドに乗っているのは傾斜万力である。PALMGRENブランドで、どういうわけか、これはアメリカで買うより日本での価格の方が安い。

 どうしても剛性不足なので20mmの鋼板を12mmのボルト4本で組み合わせて、コラムの後ろを支えてある。期待以上の結果で、筆者のようにブラスしか削らない者には十二分である。大きなものは外注する。

 三軸にDROをつけている。贅沢なようだが、失敗を防ぐ上で必ず役に立つ。刃物はなるべく短く取り付け、剛性が低くならないようにする。この写真ではたまたま長く持つ必要があって延ばしているが、正規の使い方ではない。実際はもっと低くする。

 原型が分かリにくくなるくらい改造してしまった。Z軸の上下はガスシリンダで支えて、勝手に落下しないようにしてある。ギヤは外して捨て、静粛なベルトドライヴにした。X軸は自動送りにしてある。これがあると仕事がきれいである。

 主軸はR8テーパで、付け外しが容易である。 この機械は総重量が約100kgである。本体は安いものであったが、改造費が本体価格よりはるかに高くなった。

Column Reinforcement アメリカにはこの機械の愛用者がたくさんいて、情報交換が盛んである。改造パーツの直販もしてくれる人がいる。

 本当はもう少し大きな機械が欲しかったのだが、重量が300kg を超えるのであきらめた。


2007年11月23日

End Mill

End Mill ラフカットとはこの写真の一番右の刃である。英語ではRoughing End Millという。粗取り専用である。実によく切れる。

 刃は、左から2枚刃、3枚刃、4枚刃で6枚刃もある。2枚刃は下穴なしで真下に切り込める。すなわち、ドリルの代わりになる。そういう点では便利であるが、刃が欠けやすい。刃の数が多くなれば一回に削る量が少ないので。事故は減る。

 この種の刃物は非常に高価だ。超硬合金の一体型など極めて高価なものである。筆者の場合は幸運なことにほとんどタダで貰ったものばかりだ。

 大きな自動車部品工場の廃棄物である。この種の工場では、刃物は定期的に交換する。刃物ごとの耐久時間が決まっているそうで、研ぎ直しをしないでそのまま捨てるのだそうだ。そのゴミ箱から拾ってきたものを貰う。

 ドリルの刃も、みな廃品を貰ってきたものばかりである。チャックの締めが悪くて、シャンクにちょっとでも傷が付いたら直ちに廃棄である。製品に不良品を出さないためには、そのような管理が必要なのだそうだ。

 筆者は長らく旋盤上のフライス作業をしていたが、それでは大きなものは出来ない。車輌のフレームを削りだすのは専用機が必要であった。やはり小さいながらも独立したものを持つべきだという事になった。
 

2007年11月21日

City of Los Angeles

COLA Observation City of Los AngelesはUPの看板列車であった。 COLAと略された。そのオブザヴェイションを作らねばならない。

 アメリカの友人がどのように作っているのか聞いてみた所、全員がブロックから削り出したという。それが楽だろうと適当なブロックからフライスで削り出した。粗取りをしたところである。あとは手作業で丸くする。

日本の友人に聞くと、「たたき出しだね」と言う人ばかりだ。あるいは短冊に切ってつき合わせてハンダ盛り、そのあと削り出しと言う人もいる。このあたりは、人それぞれでやり方があるのだろう。筆者はハンダの削り出しは避けたい。ヤスリ目が詰まるのがいやなのだ。ヤスリを何本か用意して順に使うのだが、後始末が大変だ。

 このブロックは160gある。フライス加工の専門家に聞いたら、「内側も削れば厚さ1ミリになるよ。」とのことである。最近のCNCフライスで削ればそうなるだろう。そこまですることもないので、重いままで行くことにした。

 実は屋根のてっぺんが少し低すぎた。仕方がないので、板を重ねてロウ付けして削り直しである。一番高いところがざらざらしているのは、そのためにラフカットしたからだ。ロウがよく付くように、少し隙間を確保するための方法である。

 このような大面積の張り合わせの時には、少々隙間を空けておかないとロウがいきわたらない。カザリ職人の仕事を見ていると、このようなときには細いタガネで細かくキズをつけている。タガネを寝かせて打ち、ほんの少しのカエリを作るのだ。

 貼り付ける板は、そのカエリの上に載っている。その状態で軽く締め付けてロウ付けをする。子供のときに見たテクニックだが、役に立っている。 

2007年11月19日

続々 King of all Scales

 重い列車がレイルとどのような摩擦を生じるかには興味があった。転がり摩擦はレイルと車輪の硬さに大いに関係がある。プラスティック車輪は明らかに抵抗が大きい。同じ軸受けでプラ車輪を金属製に取り替えると抵抗が半分程度になる。これは軽い貨車では分からない。あくまでも重いときの話である。

 先日の関西合運でお会いした方が、人の乗れる車両を作ってそれを模型の機関車で牽かせた、と写真を見せてくださった。レイルが雨戸用の塩ビ・コーティングのものであった。「これでは牽かないでしょう。」と言うとずいぶん驚かれた。

 その方も、軟らかいレイルを敷いてから「しまった!」と気が付かれたそうだ。しかし、その写真をたくさんの方に見せても、どなたも指摘がなかったそうである。「さすがですね。よく気が付かれましたね。」と言われたが、過去30年、摩擦を減らすことしか考えていないので、それは当然かも知れない。

 車輪とレイルは硬くなければならない。さらに言えば、道床も堅く、その下の台枠も堅くなければならない。スポンジ道床ではたくさん牽けない。台枠のたわみがあると明らかに牽引力が減る。仕事量が増えるのだから当たり前ではある。筆者のレイアウトの台枠は厚さが57ミリもある。過剰品質だといわれたこともあるが、そうではない。理由があるのだ。道床はゴムと固いコルクを使っている。

 重く長い列車を牽き出す瞬間の機関車の挙動は、実感的である。これは大きさが物を言う世界である。動き出したら止まりにくいのも面白い。脱線すると周りのものを壊しながら止まるのも、腹が立つと同時に面白い。ポイントのフログが徐々に壊れていくのも実感的である。連結器がちぎれることもたまにある。

 少々病的な世界であるが、明らかに大きさから出てくる楽しさである。見学者はどなたも大いに感動される。

2007年11月17日

続 King of all Scales

 小さい模型であっても摩擦を減らせばよいと考えて、HOの貨車にボールベアリングを入れられた方があったが、「さほど惰力が効かないのはどうしてだろう」と聞きにいらした。

 答えは簡単で、ボールベアリングの中の潤滑油の抵抗があって、小さな模型では全体の摩擦損失がそれ程変化しないからだ。それでは潤滑油を洗い落とせばよいと考えるかもしれないが、やってみるとベアリングがきしみ音を立てる。潤滑油は必要である。

 落胆なさっていたので、「うんと重くすればよいのですよ。」とアドヴァイスした。すると、「素晴らしい転がりだ!」と連絡があった。

 要するに、全体が重くなると摩擦軸受けでは抵抗が大きくなるが、ボールベアリングではほとんど抵抗が増えない。一方、潤滑油の攪拌抵抗はほとんど差がないから、重い貨車は、相対的に極端に抵抗が減ることになる。重いから慣性は増える。すなわち、よく転がる。

 Oゲージの大きさになると、摩擦を減らすことは切実な問題になる。電車しか走らせないと気が付きにくいが、長い列車を機関車に牽かせると、軸受けの性能向上は極めて大切であることを実感する。

 軸重が100gを越えるとボールベアリングの効果が出てくる。重いテンダは、当然ボールベアリングを取付けるべきである。そうしないと貨車がたくさん牽けない。

 軸重100g以下の貨車はピヴォット軸受けである。二硫化モリブデンのグリスを少量つけてある。筆者のレイアウト上では標準的4軸貨車の質量は300gから400gの範囲に入るようにしている。80両で約30kgであるから、かなり大きな慣性を持つ。トンネル内で先頭に近い貨車が脱線した時は3両が押しつぶされた。木製の貨車2輌は完全にばらばらになった。ブラスの貨車は長さが多少縮んだ。

2007年11月15日

King of all Scales

King of all Scales Oゲージの製品を買うと、説明書の角にKing of All Scalesという丸い印を見ることがある。最近は見なくなったが70年代にはよくあった。Kemtronが作ったマークだという。


 どういう意味か、にはいくつかの解釈があろう。先日栗生氏とお会いしたときには、慣性ということが話題の中心であった。

 鉄道は他の交通手段と何が違うのだろう。それは重いということ、摩擦が少ないということだ。長大な編成が一定の速度で走るということは慣性と低摩擦の二つが実現されないと不可能である。

 慣性は質量に比例し、そのエネルギは速度の2乗に比例する。大きさが半分になると、惰力が効かないというのは、そこに原因がある。

 小さくなるとどんなに軸受けを改善しても無駄なのである。HO以下の模型では慣性というのは無視しうるくらい小さくなる。Oゲージであれば、機関車が3kg、客車が1〜2kg、貨車でも0.5Kgほどもある。軸受けがボールベアリングならば、重くすればするほど慣性が増す。一編成が30kg以上はあるのだ。

 もちろん重くしようと思えば、1番ゲージという手もあるが、もう片手では持てない大きさになる。鷲づかみが出来る最大限がOゲージなのだ。

 バネもよく効く。ポイントを通過するときの、車体の揺れも実に気持ちよく再現される。このような点でも最適の大きさであると感じる。  

2007年11月13日

再度 All-NationのF3

 栗生弘太郎氏のOスケール・ミュージアムに新車登場である。

 先日来、筆者が「All-Nationは良い」と言い続けたので、ようやく腰を上げられたのだ。たまたま、塗装済があったので紹介して差し上げた。オークションの写真では暗くてよく分からなかったが、素晴らしい塗装だ。多少のはげはあるが一級の仕上げである。

 確かに、ブラスのF3,F7は少ない。後に韓国製はあるが、日本で作られたものはない。これを見れば「無駄な抵抗は止せ!」という感じがする。さすがのMax Grayもこれのブラス製は作る気がしなかったのだろう。All-Nationのセールス・コピィによれば、「本物の図面から型を起こしているので、正確無比」だそうだ。
 
 栗生氏は動力機構に興味を持たれたようだ。ドライヴ軸をモータ軸から平行に下ろすために、ヘリカルギヤが使ってある。

 実に静かで効率が良い。筆者も1台だけオリジナルのドライヴを持っているが静粛で力強い。全体が重いので、実に堂々とした走りである。全軸イコライズしてあるので、レイルの継ぎ目の音もよく響く。

 このような製品を1952年に売り出す国と戦争をしたのは間違いであった、と言うコメントを戴いている。この模型を手にすると、"King of All Scales"という言葉が思い出される。

 明日からそれについて書きたい。


2007年11月11日

エラストマ

 elastomerとは「伸びるもの」である。輪ゴムはelastic bandであるし、ズボン吊りはelastic(s)という。

 プラスティック・モデルのゴムタイヤはゴムではない。よく伸びる材質で、誰が見てもゴムのように見えるが、熱可塑性プラスティックである。スチレンとブタジエンなどの共重合体であり、熱で融ける。すなわちポリスチレンと同様、融かした樹脂を型に押し込んで、冷やして作る。

 プラスティック・モデルの黎明期においては無頓着な材料選びが行われていて、ありとあらゆる事故が起こった。

 栗生氏のBBS にも紹介されているようなことはよくあった。

 さて、本題のエラストマであるが、とにかくゴム弾性があるものはエラストマである。
 ゴム弾性は、分子間力の小さい構造の高分子が、何らかの方法である程度の束縛を受けていると生じる。天然ゴムは少量の硫黄を入れて高分子鎖を結合する。これを加硫という。プラスティック・モデルのゴムタイヤは、高分子鎖のところどころにあるスチレンが凝集して束縛力を生じる。これは、温度が上がると束縛が解けて流動する。すなわち、加硫なしで常温では加硫したかのように振舞うところが面白い。

 ためしに燃やしてみると、ポリスチレンと同様の臭いである。天然ゴム製品を燃やすと、鼻をつく硫黄酸化物の臭いがするはずである。

2007年11月09日

可塑剤

 可塑剤はPlasticizerの訳語である。ドイツでポリ塩化ビニルが実用化されたときに、混和されて、柔らかな膜を作ったのが最初らしい。

 硬いプラスティックは、「結晶性が良い」という。規則性が良かったり、直線に近い形の分子で、分子間力が強い。可塑剤はその分子間に入り込み、分子間力を減少させる。可塑剤が抜けると、硬くなって割れやすくなる。すなわち可塑剤は蒸発しにくいものを用いなければならない。溶剤をつけると可塑剤が洗い出されて割れ易くなるのは、よく体験するところだ。

 ポリ塩化ビニルに多量の可塑剤を混和したものがプラスチック消しゴムである。鉛筆の芯の黒鉛と、可塑剤のフタル酸のベンゼン環は形が似ているので、よくぬれ合う。化学的に吸着され、剥がし取られるのであって、物理的にこすり落とされるのではない。

 もちろん適度な硬さであって、表面が剥がれ落ちて新しい面が露出することにより、次々と吸着が起きる。

 問題はその可塑剤が他のプラスティックに拡散することだ。事務机の保護マットや床タイルに、消しゴムかすが落ちたままにしておくと、必ず溶けたようになる。しかし隙間に紙一枚があるだけでそれは阻止できる。消しゴムには必ず紙が巻いてあるのはそれが目的だ。

 塗装した床に落ちても塗装が傷む。全て剥がして塗り直さねばならない。ポリスチレンに接触していると、それを溶かしてしまう様に見える。

2007年11月07日

ポリスチレンの接着

 以前はポリスチレン用の接着剤は市販の溶剤系のものを使っていた。主たる成分はMEKメチルエチルケトンとかトルエンなどにポリスチレンを溶かしたものである。場合によっては多少の可塑剤も入っている気配であった。

 これらは溶解速度が大きい。ポリスチレン本体を溶かし、多少含まれる可塑剤も溶かす。リベットなどを押し出して表現できるのは可塑剤が入っているからである。可塑剤が入っていないと、型から取り出すときに割れたりするはずだから、大抵は入っている。問題はこの可塑剤が溶け出す速度が大きいことである。部分的に洗い出される形になると、将来その境目で問題が起こるだろう。

 リモネンによる接着の様子を観察していると、今までの接着とは違うことに気が付く。溶解速度が一桁遅い。全体が溶けている。可塑剤が均一に混じるような気がする。断面積が小さい物を接着して、切断して虫眼鏡で覗くと、熱で熔着したようになっている。

 現在、板を貼り合せてそのあとどうなるか、を観察中である。これがうまくいくなら、組み立ててみたいキットがある。100%プラ板製のDaylight客車一編成である。購入して10年以上放置している。これを組むのに、リモネンがかなりの量必要であろう。

 ポリスチレンという樹脂は透明度が高い。側鎖が大きく、並び方に規則性がないので結晶化しにくい。ボールペンなどの透明な軸、卵のケースなど、引っかくと独特のカリカリパリパリした音で識別できる。最近は白濁したものも作れるようになった。これは結晶性ポリスチレンで、割れにくい。

2007年11月05日

リモネンの挙動

 リモネンを使って手を洗うことが多くなった。筆者は車の修理を手がけるので、油汚れ落としはリモネン系洗剤Goo Goneを使えば、たちまち完了である。もちろんそのあとでセッケンで手を洗う。最初からセッケンを使うことを思えば所用時間は1/10である。

 面白いのは灯油が手に付いたとき、石鹸で洗っても臭いは取れないが、Goo Goneを使うと一瞬で溶け出してしまい、臭いがなくなるなくなることである。

 これは灯油の分子量がせいぜい150くらいであるのに、セッケン分子の分子量が約300もあって、セッケン分子が灯油(炭化水素)の分子を囲んで、水に溶けやすくすることができないからである。要するに、大きなものでは小さいものを囲めないということだ。

 リモネンは分子量が小さく、また灯油と溶け合うので、皮膚の隙間にいる灯油の分子を引っ張り出すことができるのである。一方、油脂は分子量が900弱でかなり大きい。これをセッケン分子でくるむのは容易である。

 このGoo Goneはレイル拭きとして、この趣味界ではかなり有名になってきた。アメリカの模型人の大半がこれをレイル・クリーニングに用いている。日本にも売っているようだが、模型店でしか売らないので、価格が高すぎる。

 アメリカに行くたびに買っていたが、例のテロ事件以降、液体を持ち帰ることが困難になったので、手持ちのものを節約しながら使っている。あと2年分くらいしかない。

 これをポリスチレンの接着に使えないかと調べたが、感心しない。リモネンの含有量がそれ程多くないらしく、溶解性がよくない。可塑剤は多少溶け出すようで、それが別の問題を引き起こす。
 

2007年11月03日

続々 リモネン ピネン シネオール

シネオール シネオールは月桂樹の葉の香気成分である。この匂いを嗅げば、カレーライスや、ロールキャベツを思い出す。これもポリスチレンを非常によく溶かす。

 これらの植物からの抽出成分は、自然界にふんだんにあるものばかりであり、取り出す方法さえ間違わなければ、誰でも抽出可能である。

 石炭を基にした化学から、戦後は石油を基にした化学が進歩したが、天然物有機化学はこれからもっと進歩するであろう。

 植物中では、炭素原子5個からなる基本構造をつなぐ方法により、無数の化合物が可能である。人工的に作るのはまだまだ難しい。

 太平洋戦争末期、ガソリンが不足したとき、松の根を掘り起こして水蒸気蒸留し、代用ガソリンを作ったそうだが、根本原理だけは正しい。それはピネンなどを取り出したわけである。

 ピネンはリモネンより溶解力が強い。ヴァイオリンの弦に塗る松脂も多少のピネンを含んでいるので、ポリスチレンに接触すると多少の変化を与える。そのため、松脂は紙とか布のケースに入れられていることが多い。

 リモネンはプラスティック・モデル用の接着剤としての地位が確立されてきた。それは非常に良い選択であると思う。急速に溶かす石油系溶剤では、接着面に歪みが生じるが、リモネンではゆっくり溶けるのでひずみは分散され、より強く接着される。

 発泡ポリスチレンの包装容器等をリモネンで溶かして縮容する様子をTVで見たが、なかなか賢い方法である。しかしプラスティックを包装材に使わないようにするのが、もっとも賢明であることは間違いない。

2007年11月01日

続 リモネン ピネン シネオール

ピネン と リモネン リモネンは、ポリスチレンという高分子の単量体であるスチレンにかなり似ている。だから、ポリスチレン(スチロール樹脂)をよく溶かす。スチロールはドイツ語であって、スチレンが英語であり、国際名である。発音は"スタイリン"に近い。前にアクセントがある。

 リモネン以外で、分子構造がスチレンに似ているものに、ピネンがある。これは松材から、抽出できる。Pineneという名はPineから来ているのはすぐ分かる。これもよくポリスチレンを溶かす。匂いは、まさに製材所である。価格はかなり高い。松ヤニを処理しても得られるが、松のおがくずが原料としては良いだろう。これを風呂の湯に一滴落とすと、ヒノキ風呂を思わせる匂いになる。

 これらは、シンナ系の溶剤とは違って、溶解速度が小さい。また沸点が170℃あたりで、蒸発速度も小さい。利点としては薄板を張り合わせるとき、母材が歪んだりすることがほとんどない。隙間にしみこませて軽く押さえておくと、全体が溶けてきて溶着し、そのまま放置すれば一晩で完全固着する。接着したものを日光に当てておいたが、3月たっても黄変する事もない。

 臭いはあまり気にならない。発癌性があるという情報もあるが心配には及ばない。この種の発癌試験は、癌が出来るまでやるので、事実上、全て発癌性ありと出ることになっている。

 25年位前、「過酸化水素に発癌性あり」という報道で、それまで何の疑いもなく漂白されていたうどんを捨てるという事件があったが、これも無茶苦茶な条件での実験であった。癌になるまでマウスに過酸化水素水を飲ませたのだ。その量たるや、人間に換算すると、一日3リットルもの3%過酸化水素水である。水でもそれだけ飲めといわれたら、ショック死する人も出そうだ。

 過酸化水素は代謝の過程で必ず発生し、我々の体の中には、それに対処するための分解酵素カタラーゼが準備されている。すなわち、常識的には無害であるはずだ。

 ところで、この常軌を逸した実験でも癌にならなかったマウスが居たそうだから、たいしたものである。むしろこちらを研究して、癌になりにくい体質を調べるべきであった。

 これらは、いわゆる御用学者の実験である。また、過酸化水素の件は広島大学で行われた。

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