2006年12月02日

2006年12月02日

関節式機関車の駆動

early Challenger mechamism 古いチャレンジャを廉価で3輌入手した。e-bayのおかげである。動力機構は、例によって2つのギヤボックスをゴム・チューブで繋いだ野蛮な構造で2条ウォームを用いてボールベアリングで支えてあった。しかし、駆動軸を支える軸受もあり、トルクチューブのチューブのない構造であった。
 なぜ3輌かというと、どうせ作るなら1輌も3輌もさほど手間は変わらないからである。考えている時間の方がよほど長いからだ。部品を外注するのにも数が多いほど安くつくことになる。昨日のトルクチューブの写真はそれである。

 実は完成させたものを、もう2輌持っている。これはアメリカにいたとき買ったもので、友人が手放したものである。これらの伝導方式はベベルギヤでボイラの中央に巨大な穴をあけてモータを収めてある。もちろん、モータの下側にはその切り欠きをふさぐボイラーの一部が用意されているので、穴は全く見えなくなる。以上の話は前部エンジンの駆動の話で、後部エンジンは通常どおり、火室にモータを入れている。
写真はそのうちの1輌で前期型である。今、一部手直し中でデコーダも外してある。

 2個モータにすると重負荷時の起動で、本物のように、片方だけスリップするようになる。現役時の映画を見ていると前部エンジンだけが、するするとスリップする。機関士がスロットルを少し閉めると再粘着して走り出す場面がある。これを何度も見た。どうしてもやりたかった。

 故井上豊氏が、生前「俺がやり残したこと」として、単式関節機(simple expansion articulated steam engine)の前後エンジンを自動車用の差動装置で結ぶ方式について、いろいろな案を示された。「君がやれ。」と言われたのでR/C用の差動装置を買ってきて試してみたが、その差動装置が優秀でなく、ガラガラと音を立てたので、諦めた。

 2個モータにすると簡単であったが、なかなか思うようにスリップしてくれない。そんな時、永末さんとお知り合いになれた。筆者のレイアウトでチャレンジャの走行を見て、「これはいけますよ。」と専用DCCデコーダを作ってくださった。簡単そうに思えたが、何度も試作を重ねて、実証試験を数十時間行った。途中で煙を吹いたりする事故もあったが、すばらしいデコーダが完成した。

 要するに、2台のデコーダが同時にコントロールされるが、起動時、前部エンジンへの供給電力をあらかじめわずかに増やしておくのである。スリップしたら、スロットルをわずかに戻すと前後が同一出力になる。極めて自然な起動状況で、説明しなければ誰もその仕組みについて疑問を持たないほどの出来である。大型のHOテンダの中になら、入る大きさである。

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