2006年09月02日

2006年09月02日

ヤスリをカスタマイズする

53c1f6af.jpg 鉄砲鍛冶という仕事は、簡単に言えば鋼を削ることである。機械加工した後、ヤスリで削る。そのあと砥粒を油で練って磨き上げる。
 Billの工房にはありとあらゆるヤスリが、おそらく数百本は揃えてあった。買い置きの1ダースの封を開け、一本ずつ検査する。そりがないか、ねじれていないかを調べて、駄目なのはその場で折って捨てる。柄の方はキサゲ用として取っておくが、目の立てられた方は使い道がないという。2本は捨てられた。使える10本にグラインダを当てて、目が立てられてない面を削り落とす。この面を"safe edge"という。
 
これで終わりかと思ったら、「そこのアーカンソーを取ってくれ」という。何のことかわからず戸惑った。それはアーカンソー・ストーン(目の細かい砥石)のことであった。油をつけて丁寧に研ぐ。10本研ぐのに30分近くも掛けた。研ぎあがったヤスリは虹のように光った。

 両面のヤスリ目を片方だけにしたり、隣り合う2面を削り落としたりしていろいろなパターンを作った。Bill曰く、「買ったばかりのヤスリはcrude file(粗なるヤスリ)だ。石油だってcrude oil(原油)から、ガソリンその他を作り出す。原油はそのままでは使えないだろ?」

 工房にはBillが手を掛けた特製ヤスリばかりが並んでいた。先の曲がったヤスリも何本かあった。これらはRiffler Fileというそうで、鉄砲鍛冶の現場で握りを波状にへこませるときに使われ始めたものらしい。
 2本だけ記念に貰ってきた。現在手持ちのヤスリはBillの教えに従って加工してある。写真の下にある2本はグラインダーで削り落としただけのもの。上の2本は研ぎ上げたものである。Billのヤスリのように虹色には光っていないが、#1000の砥石で研いだものである。

 傷をつけたくない面にsafe edgeを当て、そこにほんの少しの油をつけてヤスリを動かす。実に滑らかに滑って、目的の面だけが削れていくのを見るのは快感である。 

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