2019年01月18日

Finescale Railroader

Finescale Railroader 日本では、ほとんど知られていない雑誌である。 雑誌名が
Finescale であるから、正確に縮尺された軌間の模型ばかりかと思えば、そうでもない。
 手元に20冊ほどあるので、正月にパラパラと読んでみた。”縮尺と軌間が一致しているものをfinescaleと呼ぶ”、という記述には遭遇しなかった
「お前の英語力はあてにならないから、信じられない」
とおっしゃる方には御貸しするので、丹念に解読されたい。往復の送料はご負担願う。汚したり折ったりしないよう、お願いする。

 先日RM Modelsの10年ほど前の記事を見ていたら、13 mmゲージの秀作を紹介していた。
確かによくできているのだが、フランジ、タイヤがまだ厚い。完全な縮尺模型ではない。その記事にはファインスケールと書いてある。これは単なる無知であろう。

 あるウェブサイトでは、自分の商品を売らんがために、そういうことを書いている。これは公正取引員会の仕事を増やすことにもなりかねない。優良誤認と言われても仕方がない。
 さすがにそれは一回きりで、続きがない。おそらく誰かに何か言われたに違いない。
 これは教養の問題である。その言葉がどういう場所に使ってあったかをよく検証してから、日本語に入れるべきだ。

 このアメリカの雑誌は、ひたすら細かく作り、なおかつ時代考証を正確にして、躍動感のある模型を作ろうという姿勢を保っている。一番多く出てくるのは、1/20.3サイズ、45 mmゲージである。これは縮尺と軌間が完全一致だ。とにかく大きい。博物館には15輌ほどある。 

2019年01月16日

続々 fine scale とは

 ゲージは縮尺値に正確でなくても、筆者はあまり拘らない。ただ、広い場合には、蒸気機関車の設計で困ることが多い。タイヤ厚も本物より大きいので、ロッドの収まりが良くない。クロスヘッドを外に動かして、ピストンロッドの中心からわずか外に出す例が多い。そうしないと走らない。Oスケールは、実物より7%ほど広い。

 車輪の厚さについてこだわる人が多い。薄くなければファインではないと信じているのだろう。ポイントさえなければそれでも良いのだ。実際にはポイントがあるから、フログの欠線部のことを考えねばならない。

 Low-Dの設計では、欠線部で落ちないことが優先順序のかなり高いところにあった。だから、車輪厚さはやや厚い。既製品の中には意外と薄いものもある。それらは、ことごとくフログの欠線部にはまる。フログは削れて凹み、ますます落ち込む。それは、Oスケールでは決して無視できない。通過頻度の高い本線では深刻な問題だ。筆者のダブルスリップを滑らかに通過する動画を見て、
「ありえない静かさだ。」
と言った人は多いが、
「なぜか?」
と問うた人は少ない。

Wheelsets この写真をご覧戴きたい。NWSL や ATLASと、Low-Dとの違いである。アメリカ人は薄い車輪が好きな人が多い。それがどういう結果をもたらすか、は考えない人が多いようだ。説明してやっても、半分は上の空だ。しかし、現実にLow-Dだけの車輛群を走らせてやると、仰天する。あまりにも静かで、ポイントで動揺しないからだ。この写真を撮るとき、手前から向こうに並べたものを望遠レンズで斜めに撮っているので、上の方はより狭く見える。手前の三つは同じゲージである。

Proto48 vs HO wheel Proto48の車輪が少し見つかった。こんな感じである。右はHOの13.5 mm径車輪だ。フランジはHOより薄い。
 これが間違いなく走る線路を用意するのはなかなか大変なようだ。先日ポイントのフログは8番と書いたが、それは標準軌の場合である。狭軌ではもっと大きな番手が必要になる。作図して確かめられると良い。作図をしない人が多いらしく、この質問は多い。作図は必要最小限のことである。

 ファインスケールという言葉を持ち出す人は、自分の提唱している車輪規格を売り込みたいのだろう。それは他より優れている、と信じているのだろう。決してそうではないのだが気が付いていない。売り込みたいがゆえに、禁じ手に手を出している。ファインを考えるなら、線路規格と同時に考えねばならないのだが、そこまで頭は廻っていないとみえる。

 車輪の形状は長年の積み重ねで、このような状態に決まってきたわけだ。「よく走る」ということを考えると、ファインな車輪というのは、様々な点で問題が大きくなる。その点、大阪合運でお会いするHOJCのグループの方達は、よくやっていらっしゃると思う。筆者は、そこまではとてもできない。
 すべてをゼロから始めたからこそできるのだ。Oスケールには100年以上の歴史があり、ある程度形が決まってからの数十年の遺産があるので、それらとの共存を考えると Low-D しか方法がなかった。当博物館の線路はRP25が来ても通るようになっている。そこに Low-D を通している。非常に静かである。大きな軸重の機関車が来ると、ドスドスという音がするが、落ち込んでいるのではない。
 Proto48の連中はあまり深く考えずに、実物の完全縮尺をしたので、問題が噴出している。 

2019年01月14日

続 fine scale とは

 早速いくつかコメントとメイルを戴いている。そのすべてが筆者が予想していた方達からであった。HOスケールとは何かという計算方法を教えてくださった方もあるが、その程度のことはわきまえている。
 3.5 / 304.8=1 / 87.08 である。有効数字という概念を理解していれば、同じことであるのは自明だ。

 森井氏は非常にいいところを突いて来られた。今回書こうと思ったところだ。先回は、筆者は意図的にフランジ高について書いた。そうすれば、それについてきっとたくさん書き込みがあるだろうと思っていたのだ。
 実は、ファインか否かはフランジ高にはあまり関係がない。フランジ厚さを論じなければならないのだ。厚さを決めると高さは必然的に決まる。この事は殆どの方が気が付いていない。NMRAのおかしなフランジ形状でなければすぐ決まってしまう。

 フランジ厚さが薄くなって、フランジウェイが狭くなるとファイン化するのである。back to back バックゲージは広くなる。Low-Dの形状を決める時は、そこで吉岡氏と意見が一致した。
「そこに気付いている模型人に会ったのは、君が初めてだ。」
と言われた。
 既存の車輪との整合性を保ちつつ、よりフログを狭めることができる。非対称フランジウェイを採用すれば、もっと良くなる。タイヤの厚さは、この際あまり関係がない。

 先回の写真をご覧になった方から、
「ATLASはファインなのですか?」
と聞かれた。ファインではないのだが、横のとんでもない車輪を見ると、ファインに見えてしまう。実はその比較が大切なのだ。
 鉄道模型が進歩してきた過程の中で、コースから脱却してより実感的な車輛、線路へと舵を切ったのだ。現在ほとんどの皆さんが楽しんでいる鉄道模型は、かなりファイン化しているのである。もちろん、Low-Dはファイン化しているが、いわゆるファインではない。走行性能向上を第一目的としているので、譲れないところもあるからだ。
 十分にファインであると感じるのは、コースとの対比をしているからである。
 
 ”fine” と ”ファイン”の違いについては意外な質問を戴いた。これについて、他意はない。お気づきの方もいらっしゃるだろうが、当ブログでは、話題になる概念について最初はローマ字綴りを書き、あとはカタカナで近い発音を示している。

2019年01月12日

fine scale とは

 最近、表題の表現が気になる。何かおかしい。

 筆者はゲージ論には興味があるが、議論はしたくない。ルールを決めずに議論しても無駄だからだ。あちこちで罵り合いに近い論争を見聞きするが、不毛である。

 あるサイトで、こういう表記を見た。
「縮尺通りの軌間を持つ模型をファインスケールと呼ぶ。」
 一瞬、何を言っているかわからず、数秒経ってから、
「ああ、そういうことなのか。」
ということになった。そういうこと、というのは肯定ではない。自分の言いたいことを他に押し付けるための、洗脳の手段だということに気付いたのである。
 HOスケールの12 mmゲージについて言えば、
 1067 ÷ 87.08 = 12.25
であるからもう破綻している。この0.25 mm は実物なら、21 mm以上である。そしてフランジ高は実物の2倍弱だ。

 そういうことを言うなら、アメリカの1番ゲージの方が良い。1/32 で 44.85 mmゲージだ。
 1435 ÷ 32 = 44.84 mmとなる。しかし、これをファインスケールモデルだという人には、会ったことがない。フランジは高く、2.5 mm以上あるものが多い。実物なら0.8 mm程度だ。

coarse wheel sets "fine" という言葉は "coarse" の対語である。コースは荒っぽい、図太いなどと言う意味である。ライオネルなどの車輪を見ればわかる。イギリスのコース車輪の現物があるから写真をお見せする。これはOゲージなのだが、Nゲージの車輪を4倍に拡大するよりも、タイヤが厚いような車輪である。念のために申し上げるが、これらはすべて32 mmゲージを走る。しかし、コースの車輪は博物館の線路は走れない。フランジが高過ぎて枕木の上を走る。もちろん、ポイントも通れない。ライオネルの線路ならば、かろうじて通るが、フランジが当たっている。
 
 対する "fine" は実物を模したもので、フランジが薄く、低い。タイヤ厚もはるかに薄い。NMRA推奨値の車輪は、当然のことながら、"fine"ではない。コースとファインの中間よりも少しファイン側に寄っていると感じている。

 ファインの模型でなければならない、という人はたまに居る。これは非常によく整備されたレイアウトを持っていないと走行させられない。サスペンション(懸架装置)もよく工夫されていなければならないだろう。曲線半径は実物の縮尺通りでないと難しい。筆者の友人でProto48に凝っている人もいるが、小型機しか走らせられないとぼやく。アメリカでさえ、大型機の走るレイアウトが難しいということだ。半径3 m以上、フログは8番以上が必要だからだ。

 日本で一般人が楽しんでいる模型は、ほとんどの場合、ファインではないのだ。最近のウィキぺディアには、”広すぎる軌間を縮尺に近づける作業を含む場合もある。”と書いてあるが、それは意図的なウソである。誰が書いたのかはわからないが、早々に修正されることを望む。


2019年01月10日

鉛合金の鋳物

 コメントを戴いている。

 既存の模型雑誌に出ていた「ホワイトメタル」は、やはりソフトメタルのようですね。 
なんであんなに形が甘いのかと思ったら、収縮が第一要因なのですね。 
この一連の流れだとメーカーと言えど、押し湯を理解せずに作っていたのか、と思いました。 
遠心力や重力を使っていたら、ソフトメタルでもだいぶ出来栄えは違っていたのかもしれません。

 内容が、いま一つ掴み切れないが、おっしゃりたいことは分かる。鋳物の中に形が良くないものがあり、それが収縮によって角が出ていないということなのだろう。筆者は現代の日本製の部品を知らないので何とも言えないが、そういうものもあるのだろう。昔のことを言えば、床下器具のぼてっとした部品は押し湯が足りなかったのは明白だ。材料は活字金ではない安価な鉛合金を用いている。柔らかく、ニッパーで切ると、ねちっとする。活字金はぱちんと音が出て切れる。
 
 最近の部品は非常に細かくできているものが多い。それは遠心鋳造による。ホワイトメタルの部品はほとんどこの方法による。ゴム型を作る。円盤に放射状に作った原型をゴムに埋没し、ゴムを二つに分ける。原型を取り去り、その放射状の空洞部に遠心力で熔湯を流し込むと数秒で固まる。それをゴム型から取り出して、枝を切れば良い。枝の部分は融かして再利用している。
 この方法では圧力が大きくなるので、ゴム型の隅々まで湯が廻り、部品の角が完璧に出る。この遠心鋳造による方法は、ロストワックスによるブラス鋳物に比べ、はるかに安価である。


2019年01月08日

続 角倉彬夫氏の鋳造法 

 ほとんどの金属による鋳造では、湯口の円錐形の中に、大きな凹みができている。それが見えると、多分成功である。
 活字金ではそれが全くない。場合によっては少し膨れ上がる。ということは、湯口を無理やり急冷すると、圧力が鋳型の中に生じるわけだ。膨れると言っても大したことは無い。縮まないと表現したほうが間違いがないだろう。型の中に隅々まで注入されれば、何の心配もなく、素晴らしいものができる。

 角倉氏のは石膏型だが、シリコーンゴムを使えば、アンダーカット(Fig.1のB)があっても良いのだ。二回に分けてシリコーンを注型しなくても、一回でシリコーンゴムの中に埋没し、横からナイフでギザギザに切って、型を二つに分ければ良い。ギザギザが型のずれを防ぐだろう。空気抜きは、よく切れるナイフでV溝を付けても良いが、シリコーンゴム型を圧迫して隙間を無くすときに、何かのパウダを合わせ目に軽く塗るだけでも用は足りるだろう。

 実は今、上廻りがそれほど細かくできているわけではないイギリス型客車の台車を作ることを頼まれている。現状の台車はかなりひどいので、多少は良いものを作りたい。簡単に作れて線路追随性の良いものにする。暇を見て実行したい。

 台車枠にはネジを切って、枕梁を付ける。タップを立てるわけだが、うまく行くだろう。コメントの中に棒台枠を作りたいという話もあった。理論的には出来るだろうが、たくさん作るわけではないので、レーザカット、ワイヤカットを使うべきだろう。 

2019年01月06日

角倉彬夫氏の鋳造法

 先日のコメントでrailtruck氏からご指摘戴いた角倉氏の記事を開いて見た。昔読んだ覚えがあるが、忘れていた。
 角倉氏は活字金を使った鋳造の話をしているのだが、副題はどういう訳か、
石膏型とソフトメタルで” 
とある。編集部は活字金とソフトメタルが同じものだと思っていたのだ。これは記事の価値を損なっている。ひどい話だ。きっと角倉氏は怒っていたに違いない。

 ソフトメタルは鉛を主体とする低融合金で、スズ、アンチモン、ビスマスなどを添加している。その後、スズを主体とするものもたくさん出てきたが、それは装飾に使うものが大半で、模型用は鉛主体のものが多い。名前通り、それほど硬くないことはご存じだろう。凝固に際して体積変化は大きい。ほとんどが縮む。

casting1 角倉氏の記事は石膏型で、draft angle(抜き勾配)がないと不可能である。二つの石膏型の合わせ目に、剥がれるようにススを付けるところなど、時代を感じさせる。この記事では活字金で鋳込む他に、
”ルツボなどの便がある方は真鍮等でも構いません。”
とまで書いてある。すごい話である。できるだろうが、型の温度の設定などが難しい。簡単な型でなければ、遠心鋳造をしないと入らないかもしれない。

casting2 押し湯の件は間違いなく書いてある。空気抜き穴も紹介してあり、素人ではない。しかし活字金は縮まないということをもう少し大きく書くべきである。
一般論で言うと、押し湯ではその湯口の部分が最後に固まるようにするのである。そうすると凝固時の収縮が、その湯口の内部で融けている金属が湯口を通って鋳型内に注入されて補償されることが、期待される。


2019年01月04日

蒸気機関車の音の再生

618_0131 正月に音楽家の友人に招かれて、演奏を聞いた。彼は仕事をやめた後、専用の建物でジャズの教室、演奏会を開いている。設備は相当なものである。各種のオーディオ装置を完備し、レコードは1万枚弱を持っている。彼はもともと電気工学出身で、オーディオは専門家であった。
 レコード再生には非接触のレーザ光によるプレイヤを用い、 特殊な真空管アンプを通して聴く。スピーカはイギリス製の何とかという珍しいブランドだ。巨大な超低音再生スピーカもある。それを入れたり切ったりして、効果を確かめながら聞いた。

 筆者は、アンプはFETがベストという結論を持っているので、真空管アンプ至上主義者からは睨まれている。それは物理学的な考察の結果であり、情緒的なものではない。少なくともFETは安い。安くていい音がすれば良いではないかということだ。
 それはともかく、今回は彼のオーディオ装置を通して聞かせて貰うことになった。真空管アンプ特有の音がし、それはそれで楽しめた。

618_0129 筆者を招待したので、友人は蒸気機関車の音を収録したレコードを特別に用意して、待っていた。全員の前でそれを再生した。素晴らしい臨場感で、感動した。
 Santa Feの最終蒸気運転のレコードで、4-8-4がロスアンジェルスからパサディナを抜け、カホン峠を行く様子が収められている。B面にはデイライトとキャブ・フォワードの音も入っている。後者はスリップして、音がずれていく様子が分かる。
 我が家でいつも聞いているCD再生音とは、根本的に違うと感じた。ここからは彼の講釈である。

 CDは20,000 Hz以上の周波数をカットしている。しかしレコードはそうではない。極端な低周波も高周波も一応、物理的に可能な範囲を収録している。その部分はHi-Fiではないかもしれないが、ゼロではない。
 音響効果が考えてある部屋でそれを再生すると、様々なものに当り、共振させ、耳に入る。共振は倍音、半音その他いろいろな成分を持っている。それが総合されて耳に入るので、臨場感が生まれる。この音をヘッドフォンで聴くと、面白くない。反響、共鳴がほとんど期待できないからだ。


 臨場感は本物と同じという意味ではない。本物ではないが、聞いた人に「そうかもしれないという感じ」を与えるような響きを生じることらしい。彼の意見に完全に同意はできないが、かなり説得力のある説明であった。ちなみに筆者は聴力試験の結果、12,000Hz以上はほとんど聞こえていないらしいが、違いは感じた。

 帰宅後、手持ちの蒸気機関車の録音を全部聞いた。頭の中は排気音と汽笛で満たされた。DCCの再生音とは違う。もちろんPFM方式とも根本的に違う。
 
 余韻に浸っているうちに、様々なことが頭の中を巡り、しばらく前のMRに載っていたオーディオ方式を試してみたくなってきた。それは、車載DCC以外に、固定されたDCCからの音声のうち、重低音部分を重低音専用スピーカを経て、レイアウト全体にばらまくというアイデアだ。低音は指向性がないので、一箇所あれば有効だ。
 ディーゼル・エンジンの腹の皮がぶるぶると共振するような重低音を味わうことができる筈だが、隣の家のガラス戸が震えるかもしれない。面白そうだ。

2019年01月02日

謹賀新年

 また正月になってしまった。今年こそは開業するぞと張り切っても、何年もかかっている。先日来た友人は、
「ゼロから始めたにしては早いね。普通、レイアウト建設はもっと時間が掛るものだ。」
と言う。確かに最初のうちはとても進行速度が大きかった。だんだんと速度が低下している。やらねばならないことを一部先送りしてきたが、もうそういうわけにはいかない。

 あと、せねばならないことは、
 /号機
◆‥昭崑罎離灰鵐肇蹇璽
 レイアウト周囲に取り付ける有機ガラスのシールド
である。これらが完成すれば開業できる。

  については、現在鋭意工事中である。光検知システムのセンサの保護をする必要がある。ブラスのパイプを斜めに切って、赤外ビームの送受装置ホルダを作った。軽微な脱線で衝突しても何とか持つ程度の強度にしている。あまり頑丈にすると、二次被害が大きくなるからだ。
  はディジタルのコントロールの完成待ちである。もうすぐできるだろう。
  はかなり大変な作業である。アクリル板を取り付ける土台はようやく完成した。取り付け作業は3人がかりである。水平部分から勾配に差し掛かるところは微妙な調整が要り、その下準備だけでも大変だ。計算はしてあるが、大きなもので、さらに柔らかいものだから、どうやって保持して切り落とすかを考えねばならない。


2018年12月31日

続 活字金鋳造

 活字金は硬く、加工性が良い。フライスで削れるし、タップでネジも立つ。今野氏のブログにギヤボックスの蓋を鋳造で作られた件が紹介されている。うまい方法である。油が飛ぶから、ギヤボックスの底の部分には蓋が要るのだ。それを作るのは結構面倒だが、一つ作って型を取り、それを活字金で鋳物にすれば非常に良いものが簡単に大量にできる。採用したい。

 場合によっては、ギヤボックス全体を活字金で作っても問題ないだろう。そういう時には金型を作る方が良さそうだ。予熱しておかないと、最初のいくつかは失敗する可能性がある。冷えすぎるからだ。空気抜きの細孔もあると良いだろう。下手をすると押し湯で噴き出す可能性もあるから、理屈をよく考えて安全な構造の型を作るべきだ。

 人形とか、ストラクチュア関係の小物も活字金で作れば簡単だし、しかも丈夫である。シリコーン・ゴム型でも平気である。鉛では融解温度が高いので、壊れてしまう。3Dプリンタで原型を作ってゴム型を作り、それを活字金で複製するわけだ。かなり簡単にできそうである。
 今まで、活字金は比較的高価であった。しかし最近は値崩れしているから、いくらでも使える。この活字金の利用法をもっと考えるべきだ。

2018年12月29日

活字金鋳造

 友人から、活字金鋳造をやりたいと申し出があった。詳しく教えてくれとのことだったが、
「簡単なことだから一つだけ守れば良い」
と伝えた。

casting1 彼は ”とれいん” 464号の記事を見て心配になったという。
「うまく行かないような気がする」
と言うのだ。その記事では型は片面だけで反対側は板で押していると言う。薄い型では出来るわけがない。
「こちらの言うとおりにすればできる、くだらない記事は無視されたい。」と強く念を押した。
 その一つだけ守るべきことは、「押し湯を十分にする」である。

casting2 その号は博物館にあるので開いて見た。案の上、記事では融解した活字金をゴム型に板で押し付けている。粘土細工ではないのだから融けたのを押し込んでもダメだ。融けた金属の表面張力は極端に大きい。金属結合が強いからだ。水銀の粒がまん丸であるのを見ればわかる。シリコーン・ゴムの型は金属をぬらさないから、押し込んでも無駄な努力だ。10何回かの試作で台車枠2枚ができたそうだが、それでも奇跡に近い。写真2枚は、同号から転載した。

 二つの型の間に挟まれた空間に、融けた金属に圧力を掛けて押し込むしか方法はない。そのために遠心力を使ったり、水蒸気の圧力を使ったり、あるいは型を多孔質にして裏側を真空にしたりしている。大昔はそんな方法がなかったので、重力を使った。融けた金属の注ぎ口を高くするのだ。その分の圧力が、金属の表面張力に打ち克って、型の隅々まで押し込むのだ。高さは 10 cmほどでもかなり効く。金属は密度が大きいので、少し高くするだけで十分なのだ。活字金は固まるときに体積が縮まないので、高くしても問題が起きない。筆者は最高 30 cmほども、上げた。活字金を使う時は、まかり間違って湯口が先に固まっても、問題ないのだ。

 素晴らしいものができたと喜びの電話があった。指南した甲斐があった。同時に、この記事への不満を聞かされた。この筆者は一体何なのか。自称技師と言ってみたり、今回は「指導」と書いてあるではないか、と彼は怒る。確かに通読すると、そこには"サイエンス"が抜け落ちていると感じる。合金の性質、表面張力、ぬれなどの知見が全くない。これでは成功するのは困難だ。

 その号には、越後要介氏、佐野匡司郎氏、田野倉要介の素晴らしい工作法が紹介されているのに、あまりの落差に驚いてしまった。

2018年12月27日

続々 press

「16.5 mm軌間の車輪を 13 mmにするときのことをおっしゃっているのですか?」という質問を戴いた。その通りである。

 コンコン改軌という言葉があるそうで、叩いて目的の位置までずらすのだそうだ。叩いてずらすというのだから、それほど固く嵌まっているわけでもないようだが、出来れば避けたい。
 
 ゲージを決める断面がU字型のブロックを挟んで、プレスでぐーっと押し込むのが良い。衝撃を与えるということは、意外と大きな力で特定の部分を押すことだ。ジャーナル部(車軸の先端)が目に見えない程度潰れるだろうし、それが垂直であればまだしも、多少傾いているかもしれない。そうなると、走らせるとゴロゴロするだろう。叩く工具も問題だ。金槌を使う人が居るが、これは論外だ。銅のハンマを使うならまだ良い方だが、そんな人はまずいない。木槌で叩く人はいるだろうが、大きいから扱いが難しい。

 また、ピボット軸では深刻な問題だ。筆者はピボット軸を押す専用の先端工具を持っている。旋盤さえあれば作るのは簡単だ。尖端部を避けてテーパで受ける。テーパは完全に合っている必要はないから気楽だ。ギヤの押し込みにも便利である。軸にローレットを切って押し込めば、留めネジも要らず心が出て、楽である。ギヤをハンダ付けすると心は出にくい。

 この種のプレス機は高いものではない。昔アメリカで買ったものだが、最近は日本からでも簡単に買える。模型用として使うプレス機は、さすがにネコプレスでは大き過ぎるだろう。このギヤ式のプレスはとても使いやすい。


2018年12月25日

続 press

 プレス本来の使い道として、雌型に雄型を押し付けて、形を転写するということがある。この時雌型を作るのは面倒である。プロは雄型を作って焼き入れし、雌型の素材を焼きなまして押し付ける。凹んだものは硬くなっているので更に焼きなます。これを繰り返して雌型を作る。もちろん深いものは、ある程度まで機械で彫っておく。 

 雌型をこのような方法で作るのが面倒な場合は、ZAS(亜鉛を主体とした硬い合金)を流し込む方法がある。雄型を上向けにしてZASを融かして流し込むと雄型の通りに出来た雌型ができる。ブラス相手なら十分に成型できる。これをフライスで平らに切ると、抜き型さえできるほど硬い材料である。

rubber female die その昔、ある天才が雌型をゴムで作ってはどうか、と思い付いた。硬いゴムを敷いて、その上にワーク(材料)を置く。そこに雄型を押し付けるとかなりの成型ができる。ワークを焼きなましておくと綺麗に出来る。ゴムは天然ゴムで始まったが、現在は硬いウレタンゴムである。折り曲げもできるが、十分に角を出すのは、やはり溝を切った鋼製雌型が必要である。

 ブレーキ・ホィールはサラダ・ボウルのような形である。エッチングやレーザ・カットでできたものは平面であるから、これを整形して丸くしたい。こういう時にはとても便利な方法である。

2018年12月23日

press

PanaVice (3) 圧入、取り外しには不可欠の工具であるが、日本の模型人はあまり持っていないような気がする。
 叩いて嵌め込む、あるいは抜く、と書いてある記事をよく見るが、やめるべきである。曲がる可能性があるし、叩いたところが斜めに凹むことがある。

 筆者はこれと1トンのネコプレスを持っている。PanaPressは軽合金製で、250 kg重(2.5 kN)程度の軽作業用だ。車軸を抜いたりするのには十分な力がある。
PanaVice (2) 厚い木の板に取り付けてある。手前に出ているのがミソである。これがないと、てこを引いた時に力が入らない。補助具は熔接して作った。これも専用のを作っておかないと、水平が出ないから、軸が曲がる可能性がある。押すものはブラスの挽きものである。ある程度軟らかくないとワークに傷が付く。
 その取付けネジは、1/4インチのネジ(カメラの底にある三脚ネジ穴)である。旋盤上でダイスで切る。ブラスだから作るのは極めて楽である。たまに鋼製のピンを植え込むことがある。

Panavice (1) 専用の補助具(台)には裏に穴があいている。こうしておかないと抜けたものの行き場所がない。補助具を高くする手もあったが、低くしたかったので穴をあけた。

 車輪、動力機構を作るときにはプレスの出番が多い。

2018年12月21日

ロストワックス部品 出来

DSC_0216 正確にはインヴェストメント鋳造というべきである。ワックスは使っていないからだ。

 3Dプリンタで作った原型を埋没材 (investment) 中に埋めて焼成し、生じた空間に融解したブラスを流し込んで鋳造したものだ。拡大してあるので、3Dプリンタの積層面が見える。よく出来ている。六角ナットの角度はすべて違えてある。

 積層面は少し削れば見えなくなる。裏を少し削らねばならない。形成時に必要があって、厚みを少し増しているからだ。 丸棒に紙やすりを巻き付けて磨れば良い。この写真は積層面を目立たせる角度から光を当てている。

 さてこの機関車は何であろうか?実現しなかった機関車であるが、ある程度の設計は進んでいた。機関車の模型が完成したら、その写真をModel Railroader に送ってやると、たちまち載るだろう。注目を集めた機関車だったのだ。この機種には4という数字が付くはずであった。 

2018年12月19日

ブレーキ

 brake とは制動機のことではない。金属板を曲げる機械である。もちろん手動で曲げるものである。筆者は大きなものから小さなものまで4台持っている。

 一番良く使うのは、先回紹介したこの小さなベンダである。 何をするかというと、細いアングルを作るのである。市販品のアングルはろくでもないものが多いからだ。曲げ易いようにエッチングで筋を彫ってあったりする。
 エッチングはなました材料を使っているので、製品がくたくたである。腰がないので使えない。こんなものを貨車に使うと、連結した瞬間にめり込むだろう。

 ベンダで曲げると加工硬化して腰が強くなる。曲げてから切り落とす。先日ジャンク箱から見つけたアングルは曲がり方が甘い。虫眼鏡で曲がり角を見てみると、型が良くないことに気が付いた。メス型は単に直角ではいけないということを知らない人が作ったのだ。
h3244-f4ca2749af14ee6e7682644b12431d2e メス型はこんな形であるべきだ。溝の底に深い溝がなければならないのだが、それを知らない人が多い。この型を使えば、製品には独特の痕がつく。

 このブレーキは万力に吸い付かせて使う。便利なものだ。2 mmの板でも曲げられるから、モータ・ブラケットを作るときには便利だ。これはカタログ上の写真であって、筆者のはアゴの側面にネジで締める。両面テープで仮留めすると、ずれない。

2018年12月17日

Kleinschmidt氏の死去

 クラインシュミット氏が亡くなったとお知らせ戴いた。この二年ほど会っていなかったので、驚いた。
 かれこれ30年ほど、いろいろな形で接触のあった方だ。当初の10年は、筆者は睨まれていた。3条ウォームの真価についての理解をして貰えなかったのだ。
 筆者が現物を見せると驚嘆し、その後は非常に良い関係になった。部品のやり取りをし、訪問すれば歓待してくれた。鋭い批評も戴き、互いに助け合う関係になったのだ。

 彼は真の意味で技術者であり、たぐいまれな技能者でもあった。日本では技術と技能を分けることが少ないが、彼は山の向こうを見通す技術力があった。工学のエキスパートであり、熟練工でもあったのだ。彼に匹敵する人はPFMの Longnecker 氏くらいのものだ。 

2018年12月15日

将来のscratch building

 今、蒸気機関車の部品を、3Dプリンタで作成してもらっている。 ロストワックスの原型を3Dプリンタで作ったので、わけなく新しい模型ができる。小さな部品にも文字が入った製品ができる。凄い時代になったものだ。

 レーザ加工、3Dプリンタの組み合わせで上廻りは非常に楽にできる。下廻りは、やはり旋盤とフライス盤がないと出来ないだろう。

 TMSで200号くらいまでのスクラッチビルトの機関車で、素晴らしくよく走るのには、あまり遭遇しない。車輪の心が出ていない(偏心している)のだ。旋盤の無い時代のものは、それで仕方がなかった。ドリルレースという怪しい技法が今でも残っているが、動力部分に応用するのは良いとは言えまい。

 3軸のフライスを使えば、ややこしいフレームもプログラムするだけで出来てしまう。4軸の機械(x,y,z軸に沿った移動 + x軸の回転)が使えれば、超絶設計のものができるが、これはまだアマチュアには手が届かないだろう。

 こういう仕事を引き受ける人が増えてくるだろう。しかし残る問題はハンダ付けである。これには熟練が要る。正しい指導者から学べば、すぐできるようになるのだが、実際には難しいようだ。炭素棒ハンダ付けは簡単だが、その機械がまだまだ少ない。筆者が頒布したが、一体何%が稼働しているのだろう。中には買ったまま組まずに置いてあるという人までいる。この人は筆者の頒布目的を妨害している。
”組まずに取っておくと価値が出る”そうである。お気の毒な人である。

 もうあと一つは、ヤスリ掛けである。ヤスリ掛けを軽視する人が多い。プロのヤスリ掛けを見るチャンスがないからだ。姿勢も動かし方も、でたらめな人が多い。ヤスリの選び方から間違っている場合も多い。また、その準備もしていない。
 しかし、この種の仕事さえできればスクラッチビルディングができる時代になるだろう。楽に自作を楽しめる時代になるのだ。

2018年12月13日

covered hopper cars

 最初に住んでいたところがUP沿線であったことも大きな要因だが、このカヴァード・ホッパが好きである。一体何輌あるのか数えたことは無いが、おそらく80輌以上あるだろう。ブラス製、木製、プラスティック製の混合である。博物館が開業したら、すべての roster(在籍表)を作らねばならない。

 先回の大捜索で、ブラス製とエポキシ鋳物製がいくつか発掘された。その話をすると、友人が、
「dda40xさんのところには埋蔵金がありそうだね。」
と冷やかす。確かに、もうないと思っていても、再調査で数輌ずつ発掘される。
 ブラスの定尺板の使い掛けもかなり出てきた。何枚か買ってきて一部を使い、それをどこかにしまって、忘れるのだ。戸棚の後ろの隙間から3枚も出て来たのには、さすがに驚いた。埋蔵金属は、確かにある。
 
 さて、発掘されたホッパは時代がやや古い。1960年代の車輛だ。それらは、Locomotive Workshopの半製品、破損品である。アメリカで安く買ったものばかりである。
 Car Cyclopediaを見ても見つからないタイプもある。そうなると、ごく適当にごまかして作るしかない。塗装して編成に紛れ込ませれば、誰も気が付かないものだ。手持ちのディカルの使える形にまとめてしまおう。

 塗装するだけの生地完成の状態になったものが40輌ほどある。1日に10輌は塗れないので、かなりの日時を要する。これから天気が良い日を選んで、順に塗っていきたい。

2018年12月11日

華奢に作る

 先回の通風扉を友人たちに見せたところ、針金が細くて実感的だと言われた。久し振りに褒められて、嬉しかった。細い線を等間隔に張るところが見せ場だったからだ。
 華奢(きゃしゃ)に作るのは難しいものだ。太いものはオモチャ的で気持ちが良くない。なるべく細く仕上げたい。

 プラスティックの貨車はハシゴ等が太くて実感がない。これを薄く、細くしたい。切り外してブラス製にするとかなり良くなる。さらに細くすると、強度がないので触ると、曲がって壊れてしまう。針金類は、リン青銅かステンレスのバネ線にする。

freight car detail 10年前にアメリカで買ったプラスティックの真空成型の貨車は、そのような部品が薄鋼板で出来ている。鋼板は堅いから細くできるし、壊れない。
 写真の左から、
木製キットにブラス製ディテイルを付けたもの、
真空成型に鋼板部品を付けたもの、
エポキシ鋳物の貨車、
プラスティックのインジェクション・モールドの太い部分を切り離したもの
の順である。

,呂海谿幣綺戮できない。
△禄淑細く、塗装しても実感的である。
は未加工である。細い鋼板製アングルを作ってみよう。
い蓮▲魯轡瓦硫桟を切り取った。細いステンレス・バネ線を貼るつもりだ。

 実物は実に細い。普段模型しか見ていないので、たまに実物を見るとドキッとする。ハシゴなど透けて見えないくらいだ。 


2018年12月09日

反応速度

 寒くなってきた。暖房を入れるのだが、経費節減で、一人で作業している時はエアコンを作動させない。木工作業など、体を動かす時は、多少寒いくらいの方が効率が良いこともある。

 接着剤の硬化速度が明らかに小さくなる。エポキシはもちろんのこと、木工用の接着剤も固まるのが遅くなる。木工用は夏なら、3時間で接着完了であるが、5時間は見なければならない。スーパーXも固まりにくい。

 二液エポキシ接着剤は多用しているが、5分間型でも10分ほどは固まらない。working time (ずらしたりすることができる時間)が長いので、一度に作業する量を二倍程度にすることができる。 ある意味では都合が良い。
 ワーキング・タイムが長いものは木材には適する。繊維の間に浸み込んで硬化するので、非常に強く付く。

 反応速度は常温付近では、10度違うと2倍程度になるというのが化学の常識である。今日は 13 ℃であった。いつもは 24 ℃ほどであるから、ちょうど2倍程度の時間が掛るということだ。

 エポキシ接着剤を塗り、ワークを置いてテープで仮留めをする。ゆがんでいないことを確認して、重しを載せたり、クランプ締める。戸締りと電源Offを確認して帰宅する。翌朝になれば固まっている。


2018年12月07日

続 watermelon car 

 通風扉(ventilation door) を作らねばならない。それらしく作るだけだが、部品数が多く大変である。なるべく簡単に作る工夫をした。
 まずt0.6快削ブラス板を固定して、Φ0.5のエンドミルで溝を掘った。間隔はインチサイズだから、DRO表示をインチに切替えて削った。こういうことは楽になったと思う。それを短冊に切り、型紙の上に並べる。 

ventilation door1 Φ0.5のリン青銅線を入れるのだから、深さを0.25 mmにするのが普通なのだが、経験上浅くする。0.15 mmである。こうすると二枚合わせた時、底衝きしているのである。板は多少は反っているので、厚さ方向に一定の深さに削れる訳ではないのだ。線が中で踊るよりも、底衝きしていた方が揃って見える、というのが筆者の意見である。
ventilation door2 手前側の一枚にリン青銅線をコテでハンダ付けする。ハンダは多めにする。この写真はそれを表から見たところである。そしてフラックスを薄く塗った二枚目を重ね、炭素棒の太いピンセットでつまんで通電すると、1秒で完了である。冷えるまでそのまま3秒ほど待つ。

 最初のハンダ付けで、線の配置が多少ばらついても、重ねて挟むと有無を言わさず、揃った位置に落ち着く。隙間にはハンダが埋まる。

ventilation door 針金が留まったら、横桟の端を仕上げて縦桟を付ける。ハンダ付けはアッという間に終わる。あとはラッチとか小さな金具を付ければ、塗装への準備が整う。
 塗装後に、ドアをはめて下のレールに外れ留めを接着すれば完成だ。  

2018年12月05日

続々 ユニヴァーサル・ジョイントの問題

 もう一つ気になるのは「軸の曲がりの角度」で2軸が一直線なら不等速伝達は起こらない。(当たり前だが、それなら自在継手は要らない)。速度の変動率は軸の曲がり角度でも変化する。もしかするとオーバー修正などしないか?(図3)モーター軸より台車側の角度が大きいですね。そこで”ゴー式”珍案。モータも床板に載せず、反対側の台車に載せたらどうでしょうね。これなら両方の継手がほぼ同一角度に曲がりますよ(図4)。何、「床下器具がなぎ払われる?」私なら当たるほうの床下ユニットを、曲線外側にスライドさせて押し出してしまうんですけどねぇ。
universal joint 2
 

 そういえば、トラック(台車ではなく貨物自動車)の推進軸はスプラインで伸縮しているので、事故で外れたのを、よく知らぬ人が位相を考えずにはめ戻したところ、猛烈な振動で、2次事故を起こしてしまったなんて、戦時中よく聞きましたよ。
 ともかく、「中間軸のフォークエンドは、『同じ位相』でなければならない」というのを覚えていただいただけでも、性能が上がると思います。お試し下さい。

                              (2009.1.23)
 コメントを戴いている。二つのジョイントは完全に等角にならなくても、不等速は十分に打ち消されて、調子が良くなる。曲線の入り口に緩和曲線が使われている時は効果が顕著である。
 伊藤 剛氏のアイデアは筆者も使おうと思ったが、軸箱の上にモータが直接載ってしまうと、バネ下質量が大きくなる。さりとてモータを浮かせると、その部分が等速でなくなるので、諦めたことがある。
 天賞堂の模型には使われていたというのは、指摘されて思い出した。確かにそうである。1960年ころ”子供の科学”、”模型とラジオ”で見た覚えがある。当時としては、高級な伝導装置として紹介されていた。バネはない。お知らせ戴いたように、位相は見事に間違っている。大人になってから見て、こりゃ駄目だと思ったのは、そこだ。平ギヤが無潤滑でむき出しというのもアウトである。平ギヤはウォームの後に使うべきものであろうが、この場合は応用不可だ。


2018年12月03日

続 ユニヴァーサル・ジョイントの問題

 この模型大学の記事は発表前に筆者のところにも送られてきた。
「dda40x君も登場するからね。」
ということであった。一部を紹介する。

UV joint by GO Ito
 Aのモーター軸からBの中間軸を廻し、さらにこの軸で動力を伝えるとしましょう(図1)。A軸は当然等速で廻ります。ところがB軸はこれを受け取って「不等速」で廻る。いわゆるビリビリ振動のようなことになります。それがさらに次の自在継手で同じ事をされて、C軸はビリビリがさらに増幅された形で廻りますから、大変に大きな音まですることになります。困りますね。どうしましょう。 
 簡単なことです。自在継手の付いた中間軸では、中間軸の両側にあるヨーク(二股)は、必ず同じ位相に揃えること(図2)。そうすれば、2つ目の継手は「不等速」運動を受け取って、不等速が発生した時の逆順で回転を伝達するから、C軸はモーターと同じ等速運動に戻るのです。中間軸は不等速のままですが、質量が小さいので振動してもほとんど気にならないでしょう。
 
 NMRC(名古屋模型鉄道クラブ)例会でD君
(dda40x) が、友人が「私の電車はカーブに入ると凄い音がするのだが・・・」というのを聞いて、「中間軸の位相を変えてごらん」とアドバイスしたところ、「まったく静かになった」と喜ばれたそうです。それ以来、私も大いに気にしています。
(引用続く) 

2018年12月01日

ユニヴァーサル・ジョイントの問題

 阿里山のシェイの問題が明らかになって、多くの方から連絡を受けた。1960年代から様々の媒体でシェイの存在、運行状況が紹介されてきた。どの写真も位相が間違っているとのことである。それに気付かなかった日本の鉄道趣味界の底の浅さを残念に思う、という内容のものが多い。全くその通りなのである。自称技術者の人たちがどうしてそれに気付けなかったのかは、全くもって不思議である。

 それを受けて、northerns484氏が、数学的な証明を紹介されている。数学に自信のある方はじっくり取り組まれると良い。結論は単純である。機構学の教科書にも証明方法が載っている。この種の証明は図が勝負である。うまい絵が描いてあると一発でわかる。

 最近の記事は、「ユニヴァーサル・ジョイントの角度を同じにすれば等速になるので、ジョイントの位置を考える」ところまで来ている。ここまでは筆者も考えた。
 しばらく前の伊藤剛氏のアイデアが面白いので、紹介する。この記事は「模型大学」の2009年2月号に載っている。そこには筆者も登場しているのだ。

universal joint 2 二つのジョイントのなす角が等しくなるようにするのは難しいので、モータを動かすのだ。”えへへ冗談ですよ”と書いてあるが、無視できないアイデアである。
 モータはもう一つの台車の上に載せるとある。


2018年11月29日

watermelon car

watermelon car ACL ウォータメロンとはスイカのことである。スイカを出荷する時に用いた専用貨車がある。友人の Bill が、
「これはOスケールで最も珍しい貨車だぞ。この模型は他に持っている人を見たことが無いんだ。」
と自慢したので、いつもそれを探していた。5年目くらいに e-bay でキットを見つけた。接戦で勝ったが、少々高かった。

 箱の蓋を開けて驚いたことに、それは All-Nation による再生産品であった。オリジナルの良さがなく、ディカルはプリンタで印刷したものが入っていた。図面は不正確で(それはオリジナルと同じ)あったが、材料は直角に切れていた。この程度のものなら、スクラッチから作っても大した手間ではなかった。多分ブラスで作ったろう。
 
 ある程度の形までは出来たが、妻面の通風窓をどうやって作るかが問題だった。様々な方法を考えた。伊藤剛氏の手法で斜めの部分を揃えて作ることも考えたが、あまりにも大変で、そのまま10年以上、棚の上で昼寝をしていた。添付された図面の寸法はいい加減で、その通り作るとおかしなものになっただろう。通風窓の大きさが小さかったのだ。

ventilators 先日 3D プリンタの話が出たので、ついでにこれもお願いした。できて来たものは、実物通りのフランジが付き、完璧なものであった。これは高精細のアクリル製である。斜めのシャッタ板はS字断面を持っているので、それを滑り込ませ、エポキシで固めた。妻板の孔を拡大し、取り付けた。サイズは1辺が15 mm弱だ。黒いのは側面をダイヤモンドヤスリで磨った時の粉である。

watermelon car3watermelon car2 これらの角度から見ると、なかなか素晴らしい。小さなものなので、寸法を揃えて手で作るのは難しい。こういうものこそ3Dプリンタの効果が出る。
 ここまで来ればできたも同然で、後は通風扉である。風通しの良い格子になっているので、細い線を正確にそろえて張る必要がある。機械加工で作れば自然に揃うだろう。0.5 mmのエンドミルで溝を彫り込めばよいのだ。
  
 扉は密閉扉と通風扉とが選べるようになっている。即ちレイルは開口部の左右に伸びていて、2枚の扉が動く。この貨車は、輌数が少ないのに、ヴァリエィションが多いようだ。どの写真を見ても形が違う。

2018年11月27日

続 3D printing

 正直なところ、廉価な3D printingにはあまり期待していなかった。
 2年ほど前、3Dの勉強をした。近くの公民館で生徒を募集していた3D教室に入って3箇月ほど練習したのだ。ある程度はできるようになったが、実際に印刷して見ると粗い。しかも材質がよくないので経年変化が大きい。ミシン油に漬けておいたら少し膨潤した。進歩を待たねば、役には立たないと思った。

 今回のナイロン(ナイロン12だと言っている)は丈夫で踏んでも潰れないだろう。熱にも強い。今ミシン油に漬け込んであるので、そのうち結果を報告する。耐油性が証明されたら、ギヤボックスを作ってみる。

 実はあと何台かの機関車のギヤボックスが必要なのだ。縦フライスで作るための図面と刃物を用意した。少々厄介な形であるが、やればできることは分かっている。しかし、おそらく1日ではできない。5個作ると、多分フルに3日程掛かるだろう。そこまで割く時間がない。

 こういう時は助かる。金属製に拘ることがないものであれば、ナイロン製でよいのだ。ネジを立てることも可能だろうし、タッピングビスでも良い。

 ロストワックスの原型を作る手間も省ける。鋳縮みを見越した大きさにするのは簡単だ。ただし、まだHO以下の小型模型には向かないだろう。解像度がそこまでよくないのだ。先回のHOの木製キットと同じで、同じ材質で相似形の小さなものを作ると、粗さが目立つようになるだろう。今のところはOスケールくらいが最小限度である。高精細なものが安くできるようになるのは、いつごろだろう。

 今のところ、小さなものは一度金属に置き換えたものを研磨するしかないだろう。

2018年11月25日

3D printing

Quiz1Quiz2 当鉄道に初お目見えである。友人が3Dプリンタでいろいろなものを作るから、相乗りしないかと勧めてくれた。

 考えてみれば、足らない部品とか、とても手で作るのは大変な部品がある。いずれ手に入れたら作ろうと思っていて、10年経った物も多い。これを機会に在庫一掃を図った。
 
 客車の内装はある程度の部品は揃っているが、この二人掛けのソファは無かった。ラウンジの付いている車輛には不可欠の部品で、どうやって作ろうか悩んでいた。実は先日の活字合金による鋳造を検討していたこともある。この話があったので、Car Cyclopedia 1940年版を見て、形を決めた。寸法もすぐに決まったので送ったら、3Dのスケッチを送ってくれた。それを修正して発注してもらった。コの字の形の脚を付けるとできあがりだ。座面はローズ色にする。
 ナイロンの焼結で、非常に丈夫だ。多少曲げても復元する。これほど丈夫なら、台車の製造に使える。懸案のカブースの台車はこれで作れば解決だ。

 さてもう一つの部品は何だろう。これが分かる人はまずいないはずだ。ヒントとしては計画だけで終わった機関車の部品である。4という数字が付く。
 この部品を、investment casting でブラスに置き換える。後はちょいちょいとハンダ付けして出来上がりだ。


2018年11月23日

線路を敷き替える

new track 線路の一部に古いものが使ってあった。それらは40年前に買ったもので、ブラスにニッケルめっきが掛けてある。滑面ではないので、走行音がひどい。ゴロゴロという感じであった。

 故ハーマンのところからもらった洋白のフレクシブル線路が潤沢にあったので、思い切って敷き替えることにした。外した線路はガラスケースの中の陳列用となる。

 フィーダ線を外し、枕木の下にナイフを挿して外す。長年の間には固着しているものもあったが、軽く振動を与えると取れた。新しい線路は曲線ゲージを嵌めて固定し、ゲージを抜き取る。完全に一定の曲率で敷けた。今までは先輪が左右に動くのが見えたが、全く動かなくなった。

 とても静かで気分が良い。レイルは ”weathered" と表記したものである。表面が化学処理をしてあって、黒褐色の被膜で覆われている。敷いたのちに軽く油目ヤスリを滑らせると上面が白く光る。掃除機をかけてから、列車を走らせると滑らかになる。あとでぼろ切れで磨いた。

 このレイルはハンダ付けをしようと思うと、そこだけヤスリで金属面を出す必要がある。面倒なようだが、大して変わりはない。普通のレイルであっても、磨いてからハンダ付けをするわけだから一緒である。

2018年11月21日

路盤に縁を付ける

clamping edge 博物館の工事は少しずつ進行している。木工をしているが、接着剤が固まるのに丸一日掛かるので、進み方が遅くてやりきれない。

 線路が一応完成したので、観客が手を出せないように、透明で丈夫な囲いを付ける。プラスティックの業者と大体の話はつけてあるので、注文すれば所定の幅に切って届けてくれる。長さが 2 mもあるので、乗用車で運ぶのはやや難しい。

clamping edge2 そのプラスティック板を取り付けるには、甲板の合板の断面に穴をあけて付けるわけにはいかない。甲板の下に 30 mm角ほどの木材を付け、それにネジ留めするのが筋だ。角材を曲げるのは難しい。それならばと、15 mm合板を曲げてみたが、かなり大変だ。合板の構造を調べると 7-ply すなわち 7層でできている。上の1枚を切っただけでは難しいが2層まで切れ目を入れるとかなり楽に曲がる。半径 3,000 mmだから、何とかなることが分かった。

clamping 真下から見た様子である。手持ちのクランプ数十個を総動員して接着している。15 mm板を裏表貼り重ねて、30mmにする。外の板は榀(シナ)合板である。切れ目を互いに内側にして、接着した。クランプしておいて、接着剤が固まる前に、ある程度の数の木ネジを締めた。ズレ留めには必要である。おそらく接着剤の方がはるかによく効いて、ネジの意味はあまりないだろう。

 この作業を一人でやると、なかなか大変である。最適な手順を得るまでに、かなりの本数の作業を経験した。もう後 10 mくらいでできあがりだ。慣れた頃には終わりである。

2018年11月19日

続 Lykens Valley のキット

LVM これは1973年版のWalthersのカタログである。ダウンタウンの模型屋を探し当て、このカタログを買った。Douglas Modelsといって、その町では断トツに大きな模型屋であった。間口は20 mほど、奥行は30 m以上もあった。田舎なので、飛行機の模型がたくさんあった。1/4サイズくらいの複葉機を作っている人が居ることもわかった。

 HOのAthearnの青箱が1000以上並んでいた。Oゲージは店主のブラス・コレクションが置いてあるだけで、スケール物はほとんど無く、ライオネルばかりだった。ここで最初に買ったのはDremel のMoto-Toolである。
 Oスケールが欲しかったが、「欲しいものはメイルオーダで買えるさ。」と気のない返事であった。当初はOゲージの友達がみつからず、寂しかったが、徐々に知り合いが増えた。 

 一つずつ買い始めた。当時の貨幣価値では10ドルは、学生には大金であった。一日2ドルくらいで生活していたのだ。
 LVMは人気商品で、品切れが多かった。最初に手に入れたのは 63 ft のMechanical Reeferであった。これは、UPの本線に本物が何十輌も連なって走っていた。蓋を開けて驚いたのは、直角には切れていない木のブロックが入っていたことであった。幸い、友人のお父さんが木工機械を持っていたので、新たに作って仕上げた。下塗りの回数を多くしてピカピカにした。デカルを貼ると、うっとりするほど素晴らしかった。その機械式冷蔵車はこのカタログには載っていない。模型は今でもあるが、事故で破損し、その修復に10年以上も掛かっている。これには作動するショックアブソーバが付いている。


 Auto Rackは3番目くらいに手に入れた。これは完成させると持ち運びできないので、下塗りして半組み状態で保存した。このキットは先回お見せしたQuality Craftのキットとは異なり、全木製であった。今は玄関に飾ってある。怖くて走らせられない。  

 二回目にアメリカに行っていた時は、あちこちの模型ショウに出かけて、見つけ次第買った。10年ほど前、たまたまオークションで一つ落としたところ、その人がたくさん持っていることが分かり、すべて買い取った。結構たくさん作ったが、人に譲ったり、交換したりして半分ほどしか残っていない。

 Lykens Valley というのはペンシルヴェイニア州ハリスバーグの北にあるリゾートである。ここは行ったことが無い。ゴルフをする人には良いところなのであろう。   


2018年11月17日

Lykens Valley のキット

cushion coil car ライケンス・ヴァリィのキットについては過去に少し書いた。この会社は70年代に新しく出た車種を次々に出して、人気を得た。どのキットも肝心の躯体を構成する木材の直角が出ていないので、そのまま組むと破綻する。  

cushion coil car2 すべての部材をチェックし、ダメなのは捨てて、新しく切り出す。直角の出る鋸盤があるので、それは簡単に出来る。以前の100トンホッパなどは、事実上スクラッチ・ビルトである。

 このクッション・コイルカーは B&O のプロトタイプである。下廻りは図面通りに作ったから良い。問題は上の天蓋である。木板で作るように指示と材料が支給されているが、そのまま作ると強度がない。
 ブラスで作れば簡単だし、強度がある。と思ってから、20年近く経つ。さすがに放置はできないので、今回は作ることにした。天蓋は0.4 mm板を曲げて作る。簡単な作業である。

 床下には油圧式のショック・アブソーバがある。以前は作動するようにしたが、今回は採用しない。運転速度が以前ほど大きくない。長大編成をゆっくりと走らせることに価値がある。そうなるとショック・アブソ−バはあまり機能しない。むしろ機関車の「押して動く」動力装置の方が、脱線防止にははるかに効く。

 cushion coil car のクッションには二つの意味があって、薄鉄板コイルを置く場所が軟らかい材料でできているのと、連結器が緩衝性に富むのとである。この双方が同時に実現したので、どちらが正しいかを断定するのは困難である。

 キットの材料は板だけで、それを組み合せてH鋼やチャンネルを作り、さらにそれを組み合わせる。実物通りの構成で、この貨車が出来上がる。いかにも重いものを積む貨車である。
canopy opened 完全な木製で、驚くほど軽い。積み荷はいくつか用意した。ロール紙(レジなどの出力用のもの)がたくさんあるので、それを使うつもりだ。床下には最大限に補重する。写真では、見本にマスキング・テープを置いた。おおよそこの太さで、少し幅が広いものが多い。
 後ろの貨車はプラスティック製である。以前紹介した真空成型品だ。ジャンクで買ったものを再生したが、今回作成のものと較べると大味だ。構造がトイ・ライクである。

2018年11月15日

HO scale キット

HO and O scale UP cabooses HOのキットが発掘された。おそらく35年ぶりに日の目を見たのである。筆者が組んだ唯一のHOキットで、ある方に進呈しようと思って購入したものだ。ある程度出来たところでアメリカに行ってしまい、そのまま忘れていた。その方は既に他界され、行き先がないので、博物館で大きさの対比の指標にするつもりだ。

 後ろにあるのはOスケールのカブースである。相似形だ。やはり、HOでは鋳物のざらつき、側面の板張りの様子などが、これ以上細かくできないので拡大すると良くないだろう。

 ここまで出来ていたので、少し手を入れれば完成する。問題は、色をどうするかだ。ディカルは二色入っていた。一つは黄色ボディ用、もう一つは red car 用である。この "red" が問題なのだ。上の写真で、模型の下敷きになっている説明書の写真に注目されたい。車体色が暗いので赤だと思う人も多い。

 説明書を見ると、Scalecoat の caboose red を塗れ、とある。これはおかしい。UPの red caboose は赤くないのだ。1948年以前は boxcar red いわゆる鉄錆をもとに作った茶褐色の顔料である。その辺の普通の boxcar の茶褐色である。この間違いがアメリカ中に広がり、一時期製造元のBob Weaver氏は釈明に追われた。塗り直す時にはディカルを無償提供したと聞いた。
UP red caboose この写真はAjin製のブラスである。プロトタイプは鋼製カブースである。この色は正しい。台車は未交換である。

 アメリカの鉄道界で "red car" という言葉には二通りの意味がある。いわゆる赤とこの茶褐色である。 あちこちでこの種の間違いはある。日本でも赤を塗ったUPカブースを持っている人は居る。Champ のディカルの説明書にも、"red car" とあるからだろう。罪作りな話だ。 


2018年11月13日

続 Ambroidの木製キット

sections Ambroidのキットは、このような繊細なセクションをもつ部材からなる。細いアングル、チャンネル、Iビーム、Zセクションなどが入っている。右から5番目はTセクションであるが、倒れている。申し訳ない。

 このような細い部材を作るノウハウがあったのだろう。bass wood(シナノキの一種)をよく切れる回転刃物で削り出すのだ。細いものは厚みが 0.5 mmに満たないものもある。型材以外に平角材があるが、その厚さたるや 0.4 mm以下のものもある。

 木材であるから繊維の向きには割れやすい。開封したらすぐにラッカ・サーフェサを塗って固めてしまう。こうすることによって、安全に作業できる。切るのは薄刃のカッタ・ナイフである。新しい刃を使うのがコツだ。チャンネルなどを切る時は、凹みに合わせた木材を噛ませて切ると、割れない。

 スティール・ウルを使って、下塗り材のザラつきを落とす。部品を接着してから、再度サーフェサを塗り、研ぎ上げる。最低2回、出来れば5回塗ると金属と見間違えるようになる。チャンネルの溝の中は細いヤスリで磨く。

 先回の写真で側面パネルについているリブは、厚みが 0.5 mm以下である。非常に繊細であって、完成時に細密感を際立たせる部分である。

covered hopper floor 床の構造は車種によって異なるが、この写真のタイプはよくある。薄板を嵌め込む溝を床板に切ってあり、それが連結器取付け板となる。非常によくできている。この写真は裏から見ている。

 ボルスタは、線路方向に”目”がある。長いものをルータで削り出して、それを10 mmほどに切ってある。これも非常に良い形をしている。
 どこで読んだのか忘れたが、「割れやすいからこの構造は良くない。」と断定する記述があった。決して悪くない。その人は割った経験があるのだろうか。筆者は100輌以上作ってきたが、1輌たりとも割れたことは無い。床板に貼る前に孔をあけてネジ込めば、割れるかもしれない。それはあまりにもマヌケなやり方である。床板に完全に接着してから、ネジを締めるのが常識というものだ。経験の足らない人が、思い込みで良いものをけなすのは、悲しいことである。

 HOとOのキットは互いに相似形である。Oは1000、HOは5000の生産が通例である。このようなキットは、生産されていないようだ。機械、ノウハウが消えてしまうのはもったいない。

2018年11月11日

Ambroid の木製キット

 アムブロイドは1960年代からこの種のキットを出している。HO も出ているが、Oゲージの模型の方が出来が良い。その違いはサイズから来るもので、HOの設計が拙いわけではない。木材にはある程度の粗さがあるので、HOではその粗さが相対的に大きく、消しにくいからである。 

Ambroid kit boxAmbroid Cement 1980年代はこんな箱であった。1ロット1000箱ぐらいの製造である。精密に加工された木材が入っている。細かい部品はソフトメタルである。接着は当然 Ambroid Cement を使うのだが、かなり良く付く。水性ボンドを使うと木材が反る。エポキシはその点、問題がない。

Ambroid kit airslide hopper の蓋を開けたところである。原寸大の図面とディカルが入っている。
 最初は骨組みからである。この部分は木の板を正確に切ってあるから、直角ジグで正確に貼り付ける。その後は徐々に材料を切りながら、組んでいく。木製部品は、予めラッカ・サーフェサを塗って研いでおく。金属部品はバリを取り、そのまま付けられるか、確認する。全体の質量がいくつになるかを調べ、計算して補重する量を決める。この車種なら80 g位だ。
 鉛を秤量して錘を作る。内部に取り付ける時には、ショックで外れないように押さえを作って、エポキシ接着剤で留める。場合によっては、鉄骨の切れ端を入れることもある。

Ambroid kit2 これは骨組みを示したものである。床板は幅の広い、浅い溝が切ってあって、薄い板をそこに嵌めると連結器が付く部分ができる。薄いと弱いので、部分的にブラス板に取り換えても良い。

 エポキシ接着剤を使って作り始めると、大体2週間かかる。固まるのに一晩掛かるからである。この種のキットはブラス製とは違って、ずっと連続して作ることができないことを承知していなければならない。だから、複数を同時に作ると効率が良いわけだ。


2018年11月09日

red cabooses

 ”Red Caboose” と書くと、どこかの模型屋の商号である。あるいはカブースを改造してホテルにしているところもある。

 これらはQuality Craftのキットから組んだものである。何とも言えない雰囲気があり、筆者の好きな車輛群だ。カブースは木製のものが良い。スティール製は味気ない。問題は台車である。ぴったりのものが見つからない。既存のコイルバネのものでごまかしているが、いずれ取り替えたい。

Erie Railroad caboose Erieのカブースは筆者の最初の作品である。多分1977年製だろう。ちょうど事故車のErie の Heavy Pacific K5aを手に入れた直後だ。機関車は、徹底的に作り替えてよく走るようにしたが、まだその時は客車がなかった。仕方がないので短い貨物列車を牽かせて遊んだが、カブースを必要とした。このキットが入手できた時は嬉しかった。Ambroid Cementで組み立ててある。塗装はフロクイルだ。

B&O caboose B&O I-5タイプは、その10年後くらいにEM-1を入手した時に作った。台車には困った。合うものがないのだ。ごく適当にAndrewsを付けているが、誰からも指摘を受けていない。
 写真を見て手摺に白を入れた。黄色のものが多い。 ウェザリングしていないので、赤が鮮やかだ。


2018年11月07日

続 all-door boxcar by Thrall

all-door boxcar ceiling 先回の写真の内、三つ目の車輛は、ドアを片方に寄せて荷役作業をしている時を表している。ドアが重なる様子を作った。

 この種の車輛は全スパンに亘って屋根の支えがない。即ち、屋根の剛性を確保するためにかなり努力している。H型断面の鋼材を入れて見たり、Iビームを付けたりしている。筆者がたまたま見たものには、トラスが入っていた。きっと他の構造もあるだろう。

 開いているドアは空中に浮いているので、ブラス板で作った。かなり重い。ドアを開けたまま走ることは禁止されているので、これは走らないディスプレイ・モデルである。連結器もケィディではない。

 積み荷は、レーザで切った物を売っていたので、貼り合わせて作った。ランダムに積んだ様子を表している。実際にこのようなバラ積みも見た。

 あれから40年以上経つ。この種の貨車は急速にその地位を失い、現在では博物館でしか見られない。積込みの方式が変化したのだ。今はセンタービーム・フラットカーを使う。これはドアがないので荷役作業が楽である。たった一人で積み込みができる。積み荷には簡単な雨よけが付いていて、車内に入れる必要がなくなったのである。 

2018年11月05日

all-door boxcar by Thrall

 1970年代には、この貨車をあちこちで見た。荷役作業をしているところを見ると非常に面白い。どのドアも開くので、直接フォーク・リフトを使って積み込む。中にはほとんどバラ材に近いものを積むのも見た。それが印象に残っていて、いつか模型を作ろうと思った。1976年にこのキットを手に入れた。ラッカ・サーフェサを何度も塗って研いであるので、つるつるである。誰も木製であるとは信じないくらいの仕上がりだ。しかし、形はすぐできても、色が難しい。

colors of boxcars 何枚かの写真と記憶にある色を組合せて塗ってみたものが一番下である。被写体の車輛の経年変化の程度もあり、参考にした写真の色再現性の問題も絡めて、塗った時は正しいと思ったのだが、ディカルを貼る瞬間に間違ったことに気付いた。ヘラルドの色と近いのである。地の色はもっと薄い。それからこの模型を見るたびに、様々なことが思い出され、気分が滅入った。

 10年ほど前、模型ショウのスワップ・ミートで一番上のを見つけた。この人も色では失敗している。筆者のより、濃く塗っている。上から二つ目はフロクイルのWeyerhauser greenを塗っているようだ。調色塗料なので一応色相は合っているが、本体の構成が派手に間違っているのと、塗装が薄くて下地が透けているのが問題だ。どちらも10ドルほどで買った。

 これらの造作を全て外して下地を整え、細かい部品を作り替える。塗装は完全にやり直し、ディカルも貼り直す。何のことは無い、一から作るのとそう変わらないのだ。白く塗ったもの緑のものと合わせて、完成すると7輌揃う。

 この模型は、HO、Nでよく見る。人気があるのだろう。しかし実物を見たことがある人は、少ないはずだ。

2018年11月03日

木製キットを組む

wooden kits completed 自宅の倉庫その他の大捜索で発見されたキットを博物館に持ち込んだのは半年前である。博物館の作業台はとても広く、開いた状態で並べて置ける。
 毎日の作業の前に点検し、組立て手順を考える。同じ種類の作業は昼休みにやり、帰り際にはそれを接着する。一晩経てば完全固着しているから、次の工程に入れる。これを毎日やるとかなりの進捗である。

wood cabooses ざっと40輌が9割以上の進捗度である。船で言えば、進水式を終えた状態である。台車、連結器が付き、走れる状態になっている。
 あと手摺を付ければ生地完成のものがたくさん並んでいる。木製カブースがなかなか良い。かなり細かく出来ている。側板は羽目板を表す細い筋がたくさん入っていて、それに角孔をあけて、ホワイトメタルの窓枠を入れる。
 キュポラもホワイトメタルで重い。その屋根は薄い木板である。このあたりが弱いので、ブラスで作り替える。キュポラは外れないと窓ガラスが入らないから、ピンを植えて本体に挿すようにする。物によってはブラスの屋根板を磁石で留めている。

 これらはAmbroid のキットとQuality Craftのキット、それと後者の後継者のGroor Craftのキットである。1960年代はこのようなキットがたくさん出ていた。筆者が集め始めたのは70年代である。その後、売れ残りを見つけたら買い求めた。50輌以上あるだろう。殆ど定価で買っている。安くはなかった。投げ売りが始まったのはこの10年である。Gloor Craftは 人気のあった機種を再生産して儲けた。 

 Ambroid は接着剤のメーカである。この種のキットを売り出したのは、その販売促進用だという説すらある。その接着剤は、樹脂を溶剤に溶かしたものをチューブに入れている。すこし粘り気の多いセメダインCのような感じであり、”Amber(琥珀)に似た物”という意味の言葉である。そんな色をしている。昔はそれを使っていたが、最近はエポキシ以外使わない。経年変化が怖いからだ。

the brace クイズを一つ。この写真は自動車輸送車の一部である。このブラスの筋交いは何のためにあるのだろうか。実はこの貨車は未完成である。あるものがまだ付けてない状態だ。それと関係がある。筋交いは車輌中ここだけに付く。
 点対称の位置、線対称の位置には無い。 


2018年11月01日

簡易バッフル付き空気清浄機

air purifiers ハンダ付けの時のフラックスの fume(煙・霧)の処理には困る。最近は中型の空気清浄機が3台揃ったので、殆ど問題なく吸えている。塩化亜鉛のフュームは金属を錆びさせるので問題だ。長い貨車をハンダ付けする時は、少し配列を変えるとよく吸ってくれる。
 右からバッタ屋で安価で入手したもの、粗大ごみの中から拾ったもの、新品をご寄付戴いたもの。さすがにこれだけ並べるとすごい効果である。背後から風が吸い込まれていくのを実感する。光が反射して、LED1灯でも手元がとても明るい。

fume collector 所属する模型クラブ員が来て、作業場として使っている。たまたまこの形の吸煙装置を持って来た方があったが、直前 5 cmで吸わせないと全く吸わないことが分かった。そこで廃段ボール箱を加工して無理やり押し込んだ。捨てる時困らないよう、内部は粘着テープでしか留めていない。上にヒサシを付け全体を前に傾けた。

fume suckerexhoust 加工の手順はこんな調子である。中に台として合板を接着し、その上に吸煙機を置く。排気部は箱の上の方に密着させる。隙間はすべてマスキングテープで塞ぐ。

buffle バッフルには縁を付け、それを向こう側(吸煙機側)に向けた。こうすると、空気の流れがより自然になる。上下左右の隙間は 25 mm程度あけて取付けた。段ボールと合板は、水性ボンドで良く接着できる。
 風量が少ないので、このままではハンダ付けの煙は上に行ってしまう。少し手前に傾けると同時に、ヒサシを付けて前に出してある。これはよく効く。

fume sucker 結果は上々で、風量の少ない機種ではあるが、十分に吸ってくれる。配線作業などにはとても好都合だ。材料費はゼロに近い。
 中の汚い木の板は、バッフルとの隙間を少し狭くするように貼ったものだ。

2018年10月30日

続々 長い貨車

tri-level autorack 長い貨車の幅はやや狭い。紙の上で曲線上の車体を描いてみると、内側が当たることに気付く筈だ。車端はオウヴァハングが少ないので大したことは無い。
 普通の貨車よりやや狭い。客車と比べるとさほど長いわけもないが、急曲線を通すことを考えているのだろう。本線上は全く問題ないが、積み下ろしする引込み線はかなり急曲線だからだ。

test シュナーベル型の大物車はその点かなり考慮している。積荷部分が左右に油圧で動かせる。当たりそうなときはずらすのだ。
 シュナーベルの運行を見たことがある。弱い橋を通るときは最徐行である。高速だと衝撃で橋が落ちるからだ。


tri-level autorack of brass 自動車運搬貨車の積載許容荷重は意外と小さい。自動車は平均密度が小さいからだ。1台2トンとしても、15台で30トンだ。この動画は素晴らしい。
 この車種を好きな人が多いが、自作する人はまれだ。ほとんどの人は完成品を不満を持ちながら買っている。この記事にはレーザ加工で作る話がある。暇になったらやってみたい。自動車の模型は高価であるから、完全閉鎖型を作ると安くできる。自動車の形に切り抜いたシルエットを入れると、それらしく見えるかもしれない。
 写真の車輛はあとハシゴとブレーキ装置を作れば完成だ。渡り板は1枚ずつ作った。本当はフライスで溝を切る予定であったが、裏が網目板なので角材を貼った。ブラス板製だから丈夫である。かなり荒っぽいキットだったので、自作と言ってもおかしくない。キット中のアングル、チャンネルは使ったが、その他は自前である。ハンダが汚く見えているが、塗装すれば問題ない。 

2018年10月28日

続 長い貨車

auto carrier3 1段目を接着している状態を示す。これは、ゴムの代わりにテープを使っている。錘はまだ載せていない。接着部は点接触のように思うが、意外にたくさんの面積で接触しているから、かなりの強度で接着されている。おそらく、走行時に軽度の脱線事故があっても生き残るだろう。支柱は1本 6 g ほどで、24本あるからそれだけで 150 gである。未組の時、箱が重くて驚いたことを覚えている。

 この貨車は突出している部分が多いので、その部分は念を入れて接着する必要がある。たとえば隣の貨車との接続部には、渡り板がある。これを接着する時には、接着面をよく削って平面を出し、硬化時間中は適当な保持具で押さえねばならない。
auto carrier5 筆者はヤスリを用いる。目の立っている部分を使うと簡単に押さえることができる。接着面は小さな面積ではあるが、垂直に隙間なく圧着されていると、よく付く。この方法はハンダ付けに時にも役立つ。

auto carrier4 Xブレイスなども、すべてエポキシで付ける。二番目の写真の右上にある二液性エポキシ接着剤は、2つのシリンジが平行している。押せば自動的に等量出るので具合が良い。大きく "5 minutes"と書いてあった。多少古いものを、アメリカのバッタ屋で大量に買った。それ以来5年も経つが、問題なく使える。持ち帰るとき嵩(かさ)を減らすためにブリスタ・パックを捨てたので、何というブランドか分からない。多分これだろう。もう残り少ない。
 5分というのはいわゆる"working time"(付け外しが可能な時間)で、"setting time"(硬化時間)は15分である。未混合では硬めだが、混ぜると粘り気が減るから、隙間の上に盛り上げておくと、毛細管現象で吸い込まれてしまう。ぬれが良いのだ。

2018年10月26日

長い貨車

 1970年代のアメリカの鉄道では、85 ft(約26m)クラスの貨車が急速に増えていた。そのころは貨物列車を見て、新車を探すのが楽しみであった。この Autorack  車載専用車は3段でたくさん積めた。乗用車は15台載せていた。当時は現在のような屋根や側板はなく、開放型であった。長さは徐々に伸びて 89 ft(27 m強)まで行った。

 この貨車が好きで、都合4輌作った。1輌目は別会社の木製キットで1970年代に完成させた。実に難しいキットで、苦労した。接着部が少ないので、ショックに弱いだろうから、走らせられない。展示用だ。その後90年代に金属製キットを入手したが、単なるチャンネルと板の詰め合わせであった。これがキットと言えるのか、という程度のものであった。図面も怪しく、実感に欠けるところがあったので修正した。ハンダ付けなのでジグも要らず、作るは容易であった。組み立てたものは10年も行くえ不明であったが、最近発見された。重く600 g以上ある。補強材を足したためである。少しディテールを付ける必要があるので資料を当たっている。

 今回のキットの2輌は支柱がホワイトメタルでその他が木製である。支柱は24本あって、それに3段のラックが載る。接着している間にどうやって保持するかで悩んだ。友人は考えた末、「不可能だ。」と言った。しかし、何とかして組み立てたかった。

auto carrier2 丸一週間悩んで、ついにある方法を思いついた。側面の枠だけを型紙上で接着してしまう。つまり、格子状にするのだ。それを床板の隅に引っ掛けて二段目のラックを支点に上端を輪ゴムで軽く締める。仮留めはマスキング・テープでも良い。そうすると支柱の弾力の範囲であるから、支柱は床の隅に密着して留まる。もちろんある程度の錘をラックに載せると密着が良くなる。5分間エポキシを使った。

assembling autocarrier 支柱はかなり硬い合金で、曲がったりはしない。普通のホワイトメタルとは違う。ヤスリを掛けると快削であることがわかる。たまには捩じれているのもあるので、事前に修正するが、とても硬い。

2018年10月24日

床下

 筆者は床下は徹底して省略することにしている。シルエットにはこだわるが、線路際で横から見て、見えないものは一切付けない。
 貨車のキットでも、低床の場合は床下が全く見えないので、何も付けない。その場所に活字金などで作ったウェイトをどっさり付けることにしている。

Trailer Train (2)Trailer Train そう言う筆者も、さすがに省略できない貨車がある。このトレーラ積載貨車は床が比較的高いのと、側板がほとんど無い車だから、丸見えである。床下には太いspine(背骨)があり、それにrib(肋骨)が生えている。スパインには活字金が満載だ。リブには補強もある。この三角のリブにはさらに前後3枚ずつ6枚の補強板が付く。

 ブレーキ管も丸見えである。こういう場合は付けざるを得ない。最近、発掘された5輌を含め10輌を完成させている。もう無いと思っていた貨車キットが先日どっさり見つかった。安いものは記憶に入っていない場合があるのだ。この10年ほど、木製のキットは組める人が居なくなったらしく、捨値で出ることがある。1輌7ドル、5輌で30ドルほどで買っているのだ。
 尤も、必要な物(台車、車輪、連結器、ディカル)は1輌当たり、30ドル見当掛かっているので、それほど安いわけではない。一番安上がりな調達方法は、台車と連結器が付いたボロボロの貨車を買って、車体を捨てることだ。それでも車輪とディカールは必要だ。
 そういう安いものを買うと、帰国してそのまま棚の上に上げて、そのままになる。

 レイアウトの作業が終わった後、帰り際の2時間程度の時間を振り向けている。夜間に接着剤が硬化するので具合が良い。2液性エポキシ接着剤を多用している。木材に浸み込んで固まるので、強力接着ができる。圧着にはブラス隗、鉄隗を用意してあるので、それらを載せて待つ。こういう作業には数時間で固まるものが適する。

2018年10月22日

続 signal bridge

signal bridge (3) トラスの問題は、この写真をご覧戴ければ解決していることが、お分かりになるだろう。しばらく前の関西合運での撮影である。
 直角三角形の板を作って張ってある。もちろんリヴェットを打ち出したものをハンダ付けした。接着でも良いのだが、ハンダ付けが容易なのでそちらを選択した。

 まだ信号機とか、歩み板を付けなければならない。これを見て欲しがる人が多い。レーザ加工は訳ないが、その後のリヴェット打ち、その他のことは意外と大変である。アメリカからも引き合いがあるが、どうなるだろう。

 問題は信号機の機能である。本線上にあるものは単純な閉塞信号で、それは試運転で解決している。本線上の渡り線、側線への出口などの表示は難しい。様々な会社の資料を見ているが、どれも異なる表示である。

 サーチライト型信号機を本線上に付けたいが、3色の表示を一つのLEDで行うのは難しい。緑とオレンジの色が変である。サーチライト型はレンズが一つで、中に光源と可動の色フィルタが入っているものだ。多色を発光するよいLEDが見つかれば良いが、難しい。大きいものは見つかるが、直径3 mmのものは無さそうだ。
 3色独立のものになるだろう。渡り線が作動している時には本線が赤にならねばならない。これはあるアイデアで簡単に解決した。閉塞信号とは無関係に赤に出来る。 


2018年10月20日

signal bridge

signal bridge (2) 現在工事中のレイアウトには自動信号機が設置される。信号橋はBachmanの怪しいプラスティック製がいくつかあるが、どれも気に食わない。二つをつないで長くしたものもあるが剛性がなく、電気工事をしているうちに空中分解しそうである。そうでなくても、いずれ振動で折れて大事故につながる。金属製のものに置き換えたかった。

 northerns484に相談して、新しく図面を描き起こして戴いた。あの怪しいトラスからは縁を切れる。極めて剛性の高いものができた。

signal bridge (1) レーザ加工の会社にお願いして、送ってきたままの状態がこれである。角が完全に出ているので、手を切りそうである。油目ヤスリで面取りを施して、嵌め合いになっているところをぐっと力を入れてプライヤで締めると、そのままくっついてしまう。こうして仮組みしてから、塩化亜鉛液を塗ってハンダ付けする。

 ステンレスの熱伝導率は極めて小さいので、素手で握ったままでハンダ付けが完了する。

signal bridge (4) ハシゴは溝に短く切ったΦ0.8の洋白線を嵌め込んで、締め付けると半固定される。これも塩化亜鉛液を塗ってハンダ付けする。洋白は軟らかく、ステンレスは硬いので、ヤスリを掛けると、つるつるのステンレス面が残る。こうして綺麗なハシゴが出現する。


2018年10月18日

pole lines

 6日のクイズのお答が2つだけであったのは、寂しい。例によってrailtruck様が正解である。

 友人から、一袋のホワイトメタル鋳物を貰ったのは、もう20年も前のことだ。それが何かわかるまで、しばらく時間が掛かった。ガラス製碍子である。透明感のある塗料を塗ればガラス風に見えるかもしれないという製品だ。

pole linespole lines2 最近博物館で図書の整理をしていると、様々な資料に行き当たる。1970年代のNMRAのData Bookというものがある。模型の工作法、模型の電気回路、実物の情報など、ありとあらゆることが載っている。最初の二つは既に殆ど価値がないが、実物の寸法などは役に立つ。電話ボックス、電柱、その他鉄道関連施設の寸法は、有難い。

poles その中で電柱(信号線)のいくつかの例があった。材料は丸棒と角材である。それとNBW  (nut, bolt, washer) もあると良い。NBWのロストワックス鋳物は最近どっさり発見された。丸棒は白木の箸を電気ドリルに銜え、サンドペーパで細くした。角材は薄板から挽き出した。図面通りにしたら、かなり細い。そのままオイルステインに短時間浸け、乾かした。こうすると表面に膜ができて、上塗り塗料を節約できる。
 あっという間に数本のサンプルができた。塗装してから碍子を付ける。

 今までNBWを使ったことが無かったが、これは便利である。釘の代わりになる。下穴を細いドリルであけて、強く差し込めばよい。もちろん接着剤を付けてだ。こういうものはばらつきがあると良くないので、型紙の上で作った。

reverse sidefinished poles 碍子はガラス製だ。無色のと緑色とがある。塗装後に水性接着剤で付けた。触らなければ落ちることはない。この接着剤はアメリカで買ったもので、硬化後は水に溶けなくなる。拡大すると粗が目立つが、普通の鑑賞距離ではそれらしく見える。

 電信柱はプラスティック製を大量に持っているが、あまり良くない。遠くの方は良いが、観客席に近いところはこの木製を使いたい。問題はこの碍子である。手に入らないので、作らねばならない。ソフトメタルか、ブラスの挽物にするかだ。どちらが安いだろう。   


2018年10月16日

続 鉛活字

 鉛は錘としてよく使われる。しかし融点が高い。328 ℃である。木材で鋳型を作ると、300 ℃を超えるので焦げて臭い。
 もう一つ具合が悪いのは、固まると体積が1割ほど減少するので、鋳型を工夫しないと思う形の物ができない。

cast lead and type metal この写真の手前のブロックを見て戴きたい。直方体の鋳型に、何も考えずに注ぐとこうなる。下から固まるので、上面は凹み、側面は内側に倒れ込む。これを防ごうと思うと、上からピストン状のもので押さえながら固まるのを待たねばならない。文字にすると簡単だが、やってみると極めて難しい。
 あるいは上に長く作って、下だけを切り取って使うかである。この方法を「押し湯」と言う。

 後ろにあるやや面倒な形のブロックは活字金で作ったものである。何も考えなくても思った通りのものができる。活字金は鉛80%、アンチモン17%、スズ3%からなる。この配合は絶妙な組み合わせで、固まるときに僅かに膨らむようになっている。即ち活字を鋳造する時、型の中の隅ずみまで金属が行き渡り、正確な活字を鋳造できるようになっているわけだ。

 今野氏は活字のブロック(正確にはインテルという)を接着して切削しているが、正確な鋳型を作って流し込むと、作った本人がびっくりするほど素晴らしいものができる。融点も低く 240 ℃であるから気楽にできる。臭いもせず、簡単だ。
 筆者の経験では、バルサ材の10 mm厚ほどのものを、釘で固定し、針金で縛ったものが良い。長いウェイトを作るときは縦に深くすると良いのだ。真四角のものができる。先回の写真の左手前のがそれだ。必要な分だけ切り取って使う。
 融かすのは、ステンレスのおたまが良い。叩いて、注ぎ口を作っておく。

 鋳造はコンクリートの土間の上ですると良い。室内でやると、こぼれた時に甚大な被害が生じる。
 鉛の害が喧伝されているが、ウソが多いことが分かっている。鉛活字を長年触っていた植字工が鉛中毒になったわけではない。珍しくWikipedia にはまずまずのことが書いてある


2018年10月14日

鉛活字

printing type 今野氏のブログで、鉛活字を加工する話が出ていた。

 鉛活字がその価値を失ってからもう10年以上経つ。初期のTMSには、活字を錘用に少し買いに行くテクニックが紹介されていた。
 印刷屋の小僧を装い、「8ポの”イ”を20本」とか、もっともらしい事を言って、活字屋で買う話だ。当時は活字屋という商売もあったわけだ。もっとも、東京のように出版が盛んな地域の話だろう。田舎にはない。

 さて、先日廃金属商にブラス屑、銅屑その他をどっさり持って行った時に、ドラム缶一杯の活字があった。
「どうだい、これ一杯で4万でいいよ。」
と言う。2トンあるらしい。とても乗用車には載らないし、そんなに使うあてもない。
「10 kgほど貰うよ。」と言って、適当な価格で買って来た。もちろん量りもしない。そこにあった小箱に山盛りである。

putting weight インクのついているのは融かすと煙が出るので分ける。軽く灯油で洗ってから使う。綺麗なものはそのまま接着するが、細いところに押し込みたいときは鋳型を作って鋳込む。
 タンク車は完成後の補重は難しい。設計時に材料をたくさん使って重くしておくべきだ。既製品の場合は主台枠の骨の中に押し込むしかない。
 左は鋳造品、右は活字そのものである。隙間なく詰め込むと当鉄道の規定質量に到達した。実は先日の車検で20輌ほどが質量不足であった。
 1.6%の坂を押上げると、連結部が座屈することがある。そういう車輌は決まっているのだ。測定すると、355 g必要なところ300 gほどしかないのだ。この55 gほどが、決して無視できない結果をもたらす。いつも同じタンク車が座屈するので、きっちり詰め込んで、すべてを同じ質量にした。
 
 結果は上々で、全く脱線せず80輌の押上げが可能であった。


2018年10月12日

ブレーキ

 鉄道のブレーキは自動車に比べれば効きにくい。摩擦係数を考えれば自明だが、それが分からない人が居た。

 川端氏の体験談だ。関西線八田駅近くで、単機回送のC57を運転していたところ、踏切にトラックが入り込んでエンストしたらしい。すぐに急ブレーキを掛けたが間に合わず、トラックをはねた。そのトラックはばらばらになり、運転手は即死した。

 処理は終わったと思ったが、検察庁から二度も呼び出しが来た。そのトラックを見つけてからブレーキを掛けるまでの時間を問われたそうだ。すぐに掛けたと言っても信用しない。
「列車を牽いているならまだしも、単機回送なのだから直ちにブレーキを掛ければ、急停止できるはずだ。ぶつかっても仕方がないと、漫然とした運転をしていたに違いない。」
とその検事は嫌疑をかけ、主張を曲げない。
「どんなに急ブレーキを掛けても、止まれないものは止まれない。」
と言っても聞かない。話は平行線をたどり、実際に運転して現場検証をすることになった。

「はいそうですか、どうぞ。」
とやってみたところ、絶対に停止出来ないことが分かり、そのまま”嫌疑なし”で不問となったそうである。

 その検事は当時の県知事の甥であることをひけらかしたそうで、「腹の立つ奴だったなぁ」という感想であった。
 機関車が急ブレーキでつんのめるように止まることを想像すると、漫画のような珍妙な光景が思い浮かぶ。どうしてこんなことが分からないのか、筆者には理解できない。 

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