2020年07月08日

古い車輪を再利用する

 3線式の時代の車輪はかなり捨てたが、まだいくつかある。厚みがあるのでこれを削ったら、OJ用のスポーク車輪になるかもしれないと思い付いた。19 mmのサンプルで試してみる。
 
19mm wheel on collet (1)19mm wheel on collet (2) ネジは旧JISのM4で、ピッチが0.75 mmだ(現在は並目ピッチは0.7 mmである)。筋の良い車軸を選んでヤトイとする。裏の根元がきちんと平面になっていないと振れが生じるので、まずそこを削り、フランジ内側を削り落とす。これでよいかと思ったが多少の振れがある。昔の製品の精度はこんなものだ。この方法では最初に根元を削った部分が垂直であるとは限らないからだ(大きなコレットでタイヤを掴むのがベストであることが分かった)。ヤトイから外して、前後嵌め替え、今度は表面を厚さ 3.5 mmになるように削った。

 タイヤ厚み(法線方向)が1 mmだから、輪心径17.0 mmのものと、それから絶縁材の厚み×2を引いたもの、の2種を削り出すのだ。

 
 ネジ込み車輪というものは根本的に「振れ」からの脱却は困難である
筆者が圧入にこだわるのはそこである。
 この工場で作ったネジ込み車輪のネジの精度には誰しも驚く。ぎゅっとは締まらない。こつんと締まる。ガタが、事実上ないネジを作ってくれるのだ。だからLow-Dにもネジ込み車輪が登場したのである。最初はすべて圧入だった。


 タイヤはステンレスだから伸びやすい。無茶に締めると、径が左右で異なることになる。定盤の上でエポキシ接着剤を塗ってそろりと嵌めることにしよう。

19mm wheel centers (1)19mm wheel centers (2) 軸はバックゲージが21.5 mmのものを作る。今どきM4-P0.75と聞いたら、工場の人は驚くはずだ。久しく作っていないだろう。少し太めのオネジを作って、ネジのガタを減らすことにする。当時の製品はネジがガタガタで、心が出にくい。
 この工場ではネジを少し太くすることは簡単にやってくれる。そういうヤトイ(旧製品を再生するための)をいくつか特注しておくという手もある。それを頒布すると、昔の部品を精度高く再利用することが簡単になろう。しかし、希望者が何人居るか、である。

 今回の発表で、細かいものを少し作ってくれと言ってくる人があるが、そういうものは請けられない。この工場は量産工場である。極めて精度の高いものを大量に作る技術を金に換えているのである。こちらで用意した仕様以外のものは、相当数の注文がないと動き出せない。


 タイヤだけを作っておけば、いろいろな使い方が見つかるだろう。昔は旋盤工作ができないと加工は無理だったが、今回はそのまま嵌めるだけというものもできるかもしれない。ある人は、車輪内にボールベアリングを仕込んではどうか、とも言っている。左右自由回転になる。出来ないことはないだろうが、ガタがあるので、複列にして多少の予圧を掛ける必要がある。かなり面倒な構造だ。ガタを見越して使うのなら簡単だが、Oスケールでは避けたい。 

 見かけだけはよくできた車輛を見せてもらうことがあるが、車輪が振れていると、思わず天を仰いでしまう。優れた走りには、どうしてもこだわりたい。


2020年07月06日

Low-D 再生産

 しばらく枯渇状態が続いていたので、希望された方にはご迷惑をお掛けしていた。本来は順調に供給できるはずであったが、製造所の都合で受注できなくなっていた。
 製造所は航空機産業の拡大で多忙になり、仕事を受け付けてもらえなかったが、最近のCOVID19で航空機不況に陥り、干上がりそうな気配になっていた。この製造所の技術力は、航空機製造に参加する試験に通っているので、間違いはない。いくつかの製造所で作ったのを比べたが、最も高品質で、是非ともここで作りたかった。いつも不況に陥ると筆者が注文するので、彼らにとってはありがたい客である。そのうち好況になると、またはじき出される可能性はないわけでもない。

 今回はアメリカの富豪たちからの注文も溜まっていたので、一気に片づける。持って行ってやることはできないが、貨物で送ってやれば良いことである。

 と同時にOJゲージ用の注文が来ていた。25年ほど前、吉岡精一氏の設計の試作を行っている。300軸しか作らなかったが、仲間内で捌けたようだ。それを再生産したいのだ。バックゲージは21.5 mmである。OJ用の車輪は厚みが少し薄い。#137 (3.5 mm)である。フランジの規格はLow-D と同じで 1 mmx1 mmである。フランジ厚みの基準点は、吉岡方式でP点を採っている。こういうところに実物知識を持ち出さないでほしい。模型は実物とは違うということを、理解できない人は多い。Low-Dは模型として最高の性能を出すことしか考えていない。 
 
Low-D OJ用長軸型 (4)Low-D OJ用長軸型 (3)Low-D OJ用長軸型 (2)Low-D OJ用長軸型 (1) 長軸のサンプルが残っていたので寸法を示す。軸端部はΦ2.0であったが、Φ1.5にする予定だ。そうすると小さな軸箱にも入りやすい。短軸タイプも作るが、寸法を決定できていない。推奨寸法があれば、お知らせ願うと有難い。
 スポーク車輪は作らない。タイヤだけ作って、手持ちの古いカツミ製に嵌め替えられる人には供給することも考えている。その時は車軸も供給する。希望者は連絡されたい。今専門家が検討しているが、3Dプリントという方法もありうる。これなら、スポークも波状の輪心も思うままだ。



 注文を受け付けるので、コメント欄を通じて申し込まれたい。O用は21、20、19、17.5 mmであるが、OJ用は19 mmだけである。価格はお問い合わせ戴きたい。普通の商品の店頭価格より、はるかに安いことは間違いない。
 金額が張るので、前払いをお願いすることになる。沢山注文して平気でキャンセルする人が居るのには、参ったからだ。納期は1か月前後だろう。

2020年07月04日

続 Kemtronの台車 

turned anchor bolt ボルスタ・アンカを快削ブラス材から削り出した。よく切れるバイトと高回転の出せる旋盤さえあれば、こんな楽しい作業はない。つるつるの丸棒である。ごく適当にゴムブッシュに相当する部分を表現して、それをハンダ付けするわけだ。

 大きなものに小さなものを付けるのは難しいことになっている。こういう時は炭素棒に限る。接合面にハンダめっきしておいて、位置決めして押さえ込む。つなぎ目に先を尖らせた炭素棒を当て、やや高めの電圧を短時間掛ける。先端がほんのり光るくらいでやめるのだ。ハンダがきらっと光って、滑らかな面が出現する。それでおしまいである。隙間なく、完全に付いている。この時のハンダはeutectic(共晶)であるべきだ。要するに液体と固体しかないのであるから、付いているか、付いていないか、のどちらかしかない。非常に簡単にできる。

 ハンダの性質について無関心な人は多い。特別に上手な方以外は、皆苦労されているはずだ。この際、炭素棒ハンダ付けとeutectic solder を導入されてはどうだろう。完璧なハンダ付けが可能になると、世の中が違って見えるようになるはずだ。  

 ともかく、部品の間違っていた台車はすべて満足に組み上がり、車体への取り付けができる状態になった。
 問題は、客車車体が一つ行くえ不明であることだ。かれこれ2年ほど行くえ不明である。困った。

 〔10年前の自宅レイアウトでの貨車行くえ不明事件〕
 それは思わぬことで解決した。自宅レイアウトの一番奥に点検用の 45 cm角の孔がある。その脇で発生した脱線事故で1輌だけが、どういうはずみか、転落したらしい。その下には毛布が畳んで置いてあって、そこに軟着陸したのだ。そこに2年ほど寝ていたようだ。破損無しで助かった。気が付いたのは、運転中にまたもや脱線事故があり、転落する場面を目撃したからだ。回収に行くと、枕を並べて寝ていた。偶然ではあるが、全くの無傷で助かった。

2020年07月02日

椙山 満氏のレイアウトの移設

レイアウト移設 かねてより告知していた椙山氏のレイアウトが移設されることになった。K氏と共に、引き受けて下さる方に会った。その方は四日市市内の方であった。
 1日昼頃に現場で落ち合い、打ち合わせをした。レイアウトには10年前の断層あとがある。それは活断層で、今回もそこから切り離す予定だ。
 事前に、電源やいくつかの車輛も付属品としてお渡しした。今後大切に使われるはずだ。


 K氏は椙山氏より8歳若く、戦後すぐからの椙山氏の片腕であった。知り合ったきっかけは、電柱に貼ってあった一枚の紙切れの広告であった。椙山氏の字で、「鉄道模型の運転を楽しみましょう」とあったそうだ。それを見て会場に行って知り合ったのが始まりであったそうだ。
 椙山氏は中学生のK氏を、付きまとうチンピラどもから、身を挺して守ってくれこともあったそうで、「椙山先生がいなければ、自分はどうなっていたかわからない」と述懐する。
 鉄道趣味、8mm映画、シトロエンを共通の趣味としていた。古いTMSを探すとK氏の近鉄2200の紹介記事が見つかるだろう。シトロエンは走行可能なDSをお持ちであり、いろいろなところから声が掛かるそうで、貸し出している。
 工作はとてもお上手である。今でもその2200は走行可能である。この動画の2分23秒あたりには、若き日の椙山 満氏も写っている。

  思えばちょうど50年前、椙山氏が駐車場の上に、看護婦の寮を建てるのがきっかけだった。ついでに3階を載せてしまえばレイアウト室になると思い付いたのだ。設計は椙山氏だが、当時国鉄に勤めていた電気技師のH氏が製作を陣頭指揮し、筆者もお手伝いした。完成時には慰労会を開いて戴いた。
 このレイアウトにはPECOのフレクシブル線路が全面的に採用されている。事前のテストで各種の線路を直列につなぎ、高速で長時間の試運転をしたのだ。一月ほど連続で走らせると、PECO以外はレイルヘッドが磨滅して脱線するようになったのだ。

 耐久性について筆者の目を開かせてくれたのは、椙山氏である。以来筆者は”Ready to Run”でなければならない、”Durabilitiy"を持たないものは模型ではない、という信念を持つに至った。
 塗装済みであること、窓ガラスが入っていること、ディカルが貼ってあることは大切な要素である。これも椙山氏の教えである。

 椙山氏のレイアウトは運転本位で平面上に作られているが、一箇所5%の急勾配があり、本線を乗り越している。これは勾配がなければ性能が分からないということと、内側から最も外の線に移行できるようにして、各種ポイントをくねくねと渡る長距離の走行試験ができるようにしたものである。外部の人が得意げに持って来た車輛を走らせると9割以上はどこかで引っ掛かる。一発で無事故で周回したのは井上豊氏の機関車くらいのものである
 若かった筆者はそれを見て、よく走る機関車製作を目標とすべしと心に誓ったのであった。

 その後Model Railroader への投稿をすることになり、筆者もお手伝いした。 

2020年06月30日

Kemtron の台車 

 Kemtronの台車は十分量用意してあった。安いものではなかったが、他に良い台車が無かったので、イコライザ可動であるから買っておいた。友人が手放すのをすべて買ったのだ。
 ロストワックス鋳物(厳密にはinvestment casting というべき) だから、湯口を切り、ヤスリ掛けをして、ボールベアリングが入るように座グリした。ここまでの処理だけでも、かなりの手間がかかる。ハンダ付けすれば組めるわけであるが、スプリングが無いので組まなかった。

 正規のキットにはブラスワイヤで作られたスプリングが入っていた。それを自作せねばならない。旋盤でブラスワイヤを巻いてバネにし、切断して座面をベルトサンダで削り落とした。かなりの手間である。1回に30本も作ると疲れてしまう。ブラスワイヤは、加工硬化してほどほどの固さになる。ヘタることはない。

 在庫の半分は組んで塗装してあった。その中に一つだけまずいものが見つかった。ボルスタ・アンカが点対称である。ということは左右が同じものであるということだ。それではと、組んでないものを点検した。その鏡像が見つかると信じていたのだが、…。

same side frames 残りを半日かけて組んだ。最後の残りの2つが同じ形なので、問題の台車枠の鏡像であって、めでたしめでたしだと思っていた。しかし、とんでもないことに4つが合同であった。ということは、点対称の台車が2つ出来てしまう。
 これには参った。今さら間違っていたと連絡しても、相手がまだ部品を持っているとは思えない。眺めているうちに、ボルスタ・アンカを外して、新しく作る部品と置き換えるのが最も簡単であろうことに気付いた。糸鋸を駆使して、切り捨てた。

mirror image 手前が、アンカを外した状態である。左後のように作らねばならない。アンカ・ボルトはやや太い。細くしたいが、そうすると車体の同じ側で太さが違うのが見えてしまい、みっともない。同じ太さの材料を旋盤で挽き出すことになった。 

2020年06月28日

続 ”ある鉄道模型人”

 この第2弾の取材は、転車台の動きを見せてくれ、と頼まれて始まった。機構部分の動きはアメリカで発表して、その動画をまだ日本では発表していなかったので、良いチャンスであった。高性能なカメラでの撮影は意味があると思ったからだ。

 全体を俯瞰する動画は、早回しで再現している。これは面白い。カメラを機関車で押す貨車に載せている場面も、説明図を付けてもらったのでわかりやすくなった。

 K氏宅のビデオ鑑賞室(田舎の映画館ほどの大きさ)で、編集するのに立ち会ったが、まだ一つ直っていなかったところがあった。5分30秒あたりの「差動」装置は、「鎖錠」装置が正しい。
 アメリカで評判の良かった場面も入れてもらったが、その部分は筆者の撮影なので画質が低い。1分45秒辺りからの押して動く機関車の場面である。この部分はアメリカの発表では観客が立ち上がって拍手してくれた。K氏も「これはすごい。誰も信じられないだろうな。」と言った。

 K氏はこの地方では有名なビデオ作家であり、撮影の角度選びはなるほどと思わせるものがある。普段自分では見ていない視点からの動画は面白い。中で登場するI氏は凄腕シリーズの1回目の人であった。彼も、無断放映で驚いたと言っていた。

 第1弾をUPした人(テレビ会社の人らしい)と同一人物がUPしたのだが、その文字が変わっていたので、全然気が付かなかった。発表されて2月以上経つのに、見に来た人は50人だ。

2020年06月26日

”ある鉄道模型人”

 またも知らないうちに動画がUPされていた。と言っても、今回はある程度は予測していた。

 前回は「凄腕」という題で発表されたもので、これは完全な無断放映であった。事実と異なる説明があったので文句を言ったが、それなりによく出来た動画で、もういいかという感じである。
 この撮影時は、旧知のK氏が見せてくれというので案内した。この地方では有名な ビデオ作家である。現在86歳であるが、極めてお元気な方である。経営している会社の仕事もされている。かれこれ50年のお付き合いのある鉄道趣味人だ。遠方まで取材に行くのに、交代運転手として乗って行ったこともある。

 ビデオ仲間での発表に使うのだと承知していたが、突然、ケーブルテレビで放映されていると高校時代の友人から電話があった。当家にはテレビが無いので確認する術がなかった。ちょっとひどい話である。
 後でそのDVDを貰った。間違いはたくさんあるが、すぐに消えてしまうものなので良いかと思っていた。ところが忘れた頃に、「Youtubeで放映されている」と、また友人から連絡があった。 さすがにこれには驚いたが、画像が良いので、それはそれでよいかと思っていた。見る人も居ないだろうと高をくくっていたが、随分見に来ていて驚いた。


 新しい動画がupされていた。と言っても、これはありうると思っていた。2回目の取材の折には、編集に立ち会うのを条件としたからだ。編集には2回参加し、間違いがないようにした。こちらから持って行った動画も挿入した。ケーブルテレビの放映があったが、これも当家では見ることができなかった。その後のYoutubeへのupもなさそうだと安心していたのだが、別の名前でupされていることに気が付いたのは、先々週である。


2020年06月24日

bolster anchor の向き

 ボルスタ・アンカの向きについてさらりと書いたら、早速詳しく解説せよ、との要望があった。

 ここで述べることはアメリカの台車についてであり、日本国内でどのような基準で作られているか、については全く知らない。また、一部の機種で見られる仮想心皿方式のリンクは、ここでは考えていない。 

 しばらく前、シカゴのコンヴェンションで撮った写真があるので、紹介したい。
UP Streamliner trucks (2) この写真の裏返したものは正しいボルスタ・アンカの向きを示している。どちらも車体の中心の方に向かってボルスタ・アンカが伸びている。一つの台車の中ではアンカーボルトは線対称である。
 向こう側の横に寝たのはダメである。連結器の方向を向いている。

UP Streamliner trucks (1) もう一つの写真を見てみよう。これもダメな例である。二つの台車のボルスタ・アンカが、どちらも連結面方向に伸びている。UPでは採用していない。どちらでも良さそうだが、何らかの理由があるはずだ。

 様々な間違いを含む模型に遭遇する。もっとも多いのはボルスタ・アンカが台車の中で点対称になっているものである。これは奇妙だ。
 先回紹介した記事には、「UPに関してはアメリカ随一の知識と腕のある模型人による塗装だ」と持ち上げてあるが、何を考えているのかよく分からない。


2020年06月22日

客車をつないでみる

 移動自粛が続いていたので、博物館に出向くのは久しぶりである。エアコンは除湿で付け放しにしてある。中は爽快であった。

wet paint (2) 運んでいった客車に台車を付け、順に線路に載せてみた。一輌載せるたびに、線路に通電して短絡がないか調べる。全部載せてから不良品を探すのは大変だからだ。一応は合格しても、走らせてみるとたまにショートするものがある。金属床で連結器が絶縁されていないからだ。連結器に塗られた塗料でかろうじて絶縁されていたのだ。木製床と互い違いに連結すると直る。金属床車輛には印をつけた。早速1輌は絶縁ボルスタを作って付け替えた。これで解決だ。あと3輌ある。簡単に解決するには、プラスティック製台車に取り換えることだ。

wet paint (1) 台車のボルスタ・アンカの向きに気を付けて取り付ける。ボルスタ・アンカは左右とも車輌中心に向けてあるのが正しい。これが、てんでんばらばらだと、みっともない。90年代に某誌でHOのUP streamlinerの記事があったが、そういうことには全く神経が届いていなかった。

 総勢20余輌をつなぐと、なかなか壮観だ。この写真に写っていないものが、あと数輌ある。屋根高さを簡易ゲージで測定し、̟̟±1 mm以内に収めるよう、修正した。連結面距離も均一になるように気を付ける。
 重い。これだけで30 kgほどもあるのだ。連結器遊間が小さいので、ガタガタという音がしない。

 船で言えば進水式で、これからディカル貼り、連結部幌の取付け、ガラス取付け、内装、電装が待っている。そういう意味では荷物車は楽である。
 
 Streamlinerはあと11輌完成させねばならない。HeavyweightのPullmanはあと10輌、Daylight客車はあと8輌だ。先は長い。


2020年06月20日

走行抵抗を与える車輌

 沢山のコメントが入り、驚いている。

 車軸にモータを仕込んで発電機とし、抵抗で消費させてブレーキを掛けるものは作ったことがあるが、面白くない。安価な有鉄心モータであるから、発電量は位相によって異なり、大げさに言えばカクカクとなった。たくさんつければ均されるが、おもちゃのようなものである。HOでは大きさの点で難しい。

 要はブレーキであるから、効率はあまり関係ない。負荷が均一であることが大切だ。簡単な歯車装置か、摩擦車でも良い。細いバネで軽く押さえれば、用は済む。
 昔アメリカの広告で見た、大きな車を台車の上に置いてフランジから摩擦駆動するものがあったが、あれでよいのだ。その商品は慣性を増大させるものだったように覚えているが、角速度が小さいので意味がなさそうだった。今回は慣性は関係なく、半径が大きければ、摩擦力は小さくて済む。
 どなたかが作られると面白い。 引張力を掛けた状態での走行状況を見るものだから、慣性は無くてもまったく構わない。単なるブレーキ車で良いのだ。

 急曲線の話があったが、左右の車輪を独立にすると摩擦が激減する。これは15インチ(381 mm)ゲージの乗用模型で立証済みである。半径 5 mでも5人乗った客車を片手で押せる。左右の車輪が連結されていると、二人で押さねばならないほど、重かったのである。HOなら、構造は極めて単純で良い。 
 軽便鉄道風の物であれば引張力がなくてもかまわないのだが、本線を走る大型機関車については調べる必要があるはずだ。

 ハンダの色については、いくつかのコメントがあった。最近はKKCに限って言えばハンダの色が見えているものが増えて来た。喜ばしいことである。完全にハンダが廻っていて、壊れにくい。これはその昔、TMSのミスリード記事が元になっていると思う。ハンダを見えなくすると良くなることなど、見かけの問題以外、どこにも見つけ出せない。アメリカのコンテストでも、未塗装の場合、ハンダが見えているものが多い。見かけよりも実質を取るのだ。


 コメントに、自己宣伝を書いてくる人が多くなった。何度も申し上げたことだが、コメントはコメントであり、それ以上のことはご自分のサイトで発表されたい。核心を突かない不要部分は削除して短くするか、掲載をお断りしている。 

2020年06月18日

今野氏の記事

 6月11日の今野氏の記事を読んで、感じるところがある。HOは運転を楽しむべきで、”細密化が目的ではない”というところである。

 現実はその逆を行っているのではないか、という問いかけであると解釈した。どこに行っても細密化を実践した模型を見せられる。たいていは未塗装で、磨き上げたブラスの面が出ている。ハンダは見えない場合が大半だ。意地悪な目で見れば、部品をピンセットでつまんで持ち上げ、本体から外れなければ良し、であるが、そんなことをしたら叱られてしまう。
 最近の今野氏の記事にはハンダが見えるのが正しいと書いてある。その通りなのだが、現実にはそういう人は少ない。

 走りについては、よくわからない。エンドレスを無負荷で周回させておしまいだ。勾配線を持つクラブレイアウトは稀だから、重負荷での挙動は誰も分かりはしない。
 勾配線のあるレイアウトで、長い列車を牽いてポイントを渡る試験をするべきだ。あるいは1輌で貨車20輌分ほどの抵抗を作り出すブレーキ車を作るべきだ。どなたか、やらないだろうか。それほど難しい話ではない。
 また、長い列車を推進運転する時の性能向上も大きな課題であろう。

 今野氏のおっしゃる走行中心の模型は、いまやNゲージになったのだろうか。筆者はNゲージについての知識が皆無なので、見当もつかない。レイアウトを作っている人は、確かにHOよりずっと多いだろう。

 KKCの工作本の続編をどうするかは未定であるが、おそらく走行性能向上の話題が取り扱われるとみている。

2020年06月16日

Monarch用 連結器座

Monarch draft gear (1) Monarch draft gear (6)All-Nationの発売していた部品を買い占めてある。モナークの連結器用のDraft Gear(連結器座)である。どれだけ売れたのかはよく分からない。


Monarch draft gear (3)Monarch draft gear (4) モナークの欠点として、連結器同士が正対していないと噛み合わない。即ちセンタリング機能がないと意味をなさない。この連結器座はブラスの板を組合せて作られている。引張りはバネが働くが、推進時に働くものは無い。引張りのバネを利用してセンタリングをしている。連結器のシャンクの後端が直角でないとまずいので、調整が必要だ。また、取り付けピン孔が垂直に中心にあいていないと、具合が悪い。このセンタリングは実に絶妙な力で働く。うまい設計である。

Monarch draft gear (5) 床にはどうやって取り付けるべきか悩む。0.6 mmの板で試作をした。高さの点で問題がなければ量産する。
 連結器の首の部分は左右に振れても高さが変わらないようにしておく必要があるので、このゲートを付ける。連結器自体がそこそこに重いので、上方向は何もしない。垂れるのを防ぐだけである。電気絶縁は木製床板で確保する。

 連結器座には板バネが入っていて、適度の摩擦があり、走行時の安定に寄与する。これがないとバネの伸び縮みが自由で、妙な共振が起こるかもしれない。本来は釘で留めるような構造だが、ブラスのベースにハンダ付けした。ハンダが廻らないように注意して少量のハンダで付けた。この種の仕事は炭素棒に限る。接着面はヤスリで平滑にし、均一にハンダが廻るようにせねばならない。座の部分には完全に廻ったが中には入らない。少量の油を注しておく。これはバネの錆防止でもある。 

  このドラフト・ギヤは1950年代の製品である。プレス抜きで、曲げもしっかりしている。非常に出来が良い。当時のアメリカの製作技術は大したものである。
 ただ、底板と共に釘で床に打ち付けることになっているのは感心しない。抜け落ちることもありそうだ。さりとて、アメリカ人の平均的テクニックでは、このハンダ付けは難しかったであろう。  

 このモナークの連結器は、日本には情報が入らなかったようだ。可動式の自連タイプでは最高の製品だが、筆者の知る限り、雑誌等で紹介されたのを見たことがない。モナークを知らない人が連結器について論じても、意味がない。
 Max Gray は日本に持って来たはずであるが、それはどこに行ってしまったのだろうか。残念な話だ。


2020年06月14日

再度 Monarch Coupler

 Monarch Coupler が市場から姿を消してから、40年近くになる。この高品質の連結器がKadeeに負けたのは、連結の簡便さと価格である。連結状態からの外れにくさ、推進運転のしやすさ、静粛性では、圧倒的に勝っていたのだが、連結がやや難しいところと、簡単に使えるカプラ・ポケットが市販されていなかったところが弱点であった。

 筆者は30年前に友人から10組ほど入手し、客車に付けた。貨車には付けなかった。もったいないからだ。その後、見つけたらあるだけ買い占めてきた。手元に数十組あったが、残りは少ない。
  客車の連結器で遊間が大きいのは、許せなかった。あちこちの運転会で見ていると、客車列車が発車する時に、カタ、カタ、カタと連結器が伸びながら発車するのを見ることが多い。これでは乗っている人はケガをするだろう。旅客列車は、しなやかに曲がる棒のようになっているべきで、伸びてはいけない。実物の貨物列車を見ていると、かなりの遊間があって音を立てている。ショックは長い緩衝器で緩和している。

 モナークの良いところは、もう一つある。シャンク(連結器の付け根)が長いことである。連結器が相手と噛合った状態ではガタが少なく、ほとんど曲がらない。つまり、2つの連結器が1本の棒のようになっているカプラの回転中心が台車のセンタピンに近いので、横方向のずれが少なく、推進時、減速時の座屈が起こりにくい。これは、長年の運転経験で脱線事故が全く起こらないことからも、証明されている。

Monarch draft gear (2) ただ一つの難点は、連結時に中心を厳密に合わせないと難しい。一度噛めば絶対に開放しないから、長い列車の運転では安心できる。センタリングができる連結器座が必要だ。
 意思を持った開放操作は実に簡単で、下から撫でるように触るだけだ。開放リンクを付ければ側面からでもできるし、開放ランプでの開放タイプを選択してあれば、下からエアホース状のものを押せば解放される。

 カプラ・ポケットは手に入れにくかったから、標準品をロストワックス鋳物で作って使っていた。その強度は極めて大きく、正面衝突でも耐える。ピンは少し弱く作ってあるから、それが剪断されるときにエネルギィを吸収し、犠牲となって車体は保護されることになっている。この部品はたくさん作ったが、使い尽くした。 

 今整備中の列車に付ける分で、モナーク・カプラの在庫も無くなる。追加購入ができるか、怪しい。友人たちに手を尽くして探してもらっている。

2020年06月12日

続 Alton Limited

Lionel Alton Ltd 手元にあるライオネルの客車側面である。この色は正しい、とアメリカ人は言う。多数の人間が見ているので、そういう意味では客観的な判定であろう。しかし、塗り分けは怪しい。前回紹介したリンクの写真とは異なる。

AHM Alton Ltd これは、Rivarossi の客車である。リヴァロッシは、アメリカの輸入元であるAHM の指定で、Pullmanの客車を多種の塗り分けで出していたが、色調はどれも感心しなかった。例えばUPは妙にオレンジ色がかっていた。AHMは東部の会社で、UPのことは良く知らなかったのだろう。

 上の二つを比較すると、ドアの塗り分けが異なることに気が付く。Alton Limitedの文献を読むと、”Red Door”という言葉をよく見る。即ち、前回のライオネル、このリヴァロッシが塗り分けの点では正しいようだ。
 屋根の色は銀と書いてあるから、その点ではライオネルは正しいことになる。この二つのどちらも、名前が Wilsonである。C&Aでは歴代の大統領の名前をプルマンに付けていた。

 文字や線は Dulux Gold という色で、いわゆる金色ではない。この色を出すのは意外に難しい。線はディカルではなく、烏口で入れることになろう。 Dulux というのは塗料会社の名前の筈である。当時イギリスにあったらしい。DuPontも当時のカタログに載せていたのを見た覚えがある。その後の経緯は知らないが、現在はオ―ストラリアにある。日本の会社が買収したという話は新聞で見た。詳しい方の情報提供をお待ちする。

 下廻りは黒で、上記のパーラーカーWilsonには、着物を着た日本娘がスチュワーデスとして乗っていたとある。写真も見た。どうして日本女性が選ばれていたのかは、全く不明である。1920年代にアメリカ中西部に日本人が居た、というのもあまり聞かない話だ。 
 最後尾の展望車は、長さが全米最長の 90 ft (27 m強)もあり、就役時には全米に名を轟ろかせた有名列車だったのだ。さすがにこの90 ftは直ぐには再現できないが、いずれ取り組んでみよう。

 ハーマンは、子供の頃、住んでいた町を通過するのを見ていたのだろう。これでいろいろな疑問が解けたような気がする。

2020年06月10日

Alton Limited

 表題の列車について詳しい日本人には、椙山 満氏以外会ったことが無いが、アメリカの鉄道趣味人にとっては、重要な列車だったようである。

 ハーマン亡くなり、作りかけの客車を2輌引き取った。何の列車を作ろうとしていたのかが、なかなかわからなかった。最近ディカル1袋を彼のところから来た箱の中で発見したので、その鉄道の記事を本で探し出した。それはシカゴ - オルトン間を結ぶ特急の車輛の一部であったことが判明した。
 オルトン・リミテッドはライオネルのベストセラーの客車セットであり、非常に有名である理由はそこにもある。ライオネルのセットは土屋氏の遺品の中にもあり、色調は正しいらしい。即ちその色を再現すれば、1編成が完成である。完成させて奥さんに写真を送る必要がある。見に来るかもしれない。

 オルトンはセント・ルイスのすぐ近くの都市である。ミシシッピ川に面した港町であった。当初はセント・ルイスに行こうと思うと、ここから渡し船に乗る必要があった。歴史のある街である。開通当時はアメリカ深南部(アラバマ、ミシシッピ、ルイジアナ州)に行くときは、ミシシッピ川を下るしかなく、そういう意味でも極めて重要な路線であったはずだ。 
 C&A シカゴ−オルトン鉄道は、後にGM&O  Gulf, Mobile and Ohio 鉄道の一部となった。Alton Limited は赤いパシフィックに牽かれた流麗な列車であった。GM&Oの機関車、列車はこのC&Aの色を受け継いでいた。

a trainAlton Limited 手持ちの車輛群の中から使えそうなものをピックアップし、軽整備をして並べてみた。この編成で行けそうである。後ろから4輌目と5輌目(カバ色の車輛の手前からの2輌)がハーマンから来た客車である。合造車の窓配置を修正してあるのが、決め手であった。
 機関車は、パシフィックを調達しなければならない。手持ちのパシの内、Erie のHeavy Pacificは、改造して塗り替えても惜しくないと考えている。もともとは事故車で、テンダは後家である。オルトンではこのヘヴィ・パシのコピィを使っていたそうだから、それでも良いだろう。
 ここでハーマンの夢の列車が走れば、供養となろう。

2020年06月08日

Solarium

Solarium  (1) もう一つはヘヴィウェイトのソラリウム(日なたぼっこ車)  である。寒いところを走る線区には必ず付いている。
 これは3輌持っているので、1輌は2色塗りとした。優等列車に入れておけば、それなりの意味を持つだろう。この混成時代のしっかりとした資料はあまりなく、どんな組合せにしてもそれなりの解釈ができるはずだ。他にもプルマンが何輌かあるので、そのうちの2輌ほどを、2色にしようと思う。 

Solarium  (2) UPの写真集を見ると、この種の車輛の写真が何枚か見つかる。窓が大きく特別な車輛である。列車の最後尾につないでいるのも見る。列車名を記したDrumhead(行燈・アンドンと読む)を付けている写真もある。要するに、密閉式展望車として使われていたのである。
 どういうわけか、ブレーキ・ハンドルがこの最後尾の妻面に付いている写真が多い。反対側の妻面に付けたほうが、設計も楽であろうと思う。

 まだ塗り立てで、ディカルが貼ってないので、寝ぼけた感じである。塗り分け線には銀色の線が入る。細かい色差しとか、エア・ホースなどを付けると俄然、実感が出て来るはずだ。

 側面に付いている黒い点は「ゴミ」のようだ。今までの写真の中にも同じ場所で見つかっている。この写真はトリミングしてあるので、大きくなって目立った。清掃せねばならない。

2020年06月06日

【臨時ニュース】 椙山 満氏のレイアウト

Blue Star Pacific RR 椙山 満氏が亡くなった後、レイアウトは6つに解体され、四日市郊外の某博物館に収蔵され、公開されていた。大きさは 6 m弱 ×4 m弱である。
 その後10年経ち、その博物館の方針変更により展示を終了することになった。壊してしまうのは、あまりにももったいなく、さりとて筆者には収容するスペースはあるが、保守する自信はない。
 筆者の博物館の建物の3階は完全に空いているとはいえども、O、OJのテスト用の線路を敷いて欲しいという要望もある。実のところHOは触ったことが無いに等しく、お任せいただいてもむずかしい。 

 管理を任されているK氏は、「大切に使って戴けるなら、ご希望の方にお譲りするのが一番良い」とおっしゃるので、ご希望の方は手を挙げて戴きたい。無償でお譲りする。
 解体、搬出には立ち会うが、我々は手を出さない。搬出には3人程度の人員が必要で、1日で終われるようにしてほしい。設置場所はその博物館建物の1Fにあり、楽に搬出できる。現場には4トントラックは入れる。
 下見希望の方には応じるので、コメント欄を通じて連絡されたい。 

 このレイアウトの紹介記事はTMSの92年9月号(のちにレイアウト・アートに再録)にあるので参照されたい。 

postal-baggage combine

postal baggage combine この郵便荷物合造車は戦前の流線形客車で、屋根が深くない。筆者の好みのタイプの車輛を作った。これは友人の父上が乗務していた時の話を基に内装を割り振った、いくつかの写真を見てアイデアを採り入れた自由な設計で、スクラッチ・ビルトである。
 かなり重い車輛であり、6輪台車を付けている。当初はこれを10輌編成に組み入れることを夢見ていたが、資料が十分に集まらなかったので自由形にした。自由形とは言っても、かなり史実に基づいた設計である。今はそれほど整った編成には興味は無くなり、1952年当時の混成編成をすることが目標になった。塗装にむらがあるのは既に解決している。

 先のコメントにもあったメイル・キャッチャは別部品で作ってあるので、塗装後取り付ける。今回は動かないようにしたので、正しい形になる。これが台車センタピンのあたりに付いているのは、回収時の誤差を無くすのが狙いだとは聞いているが、曲線上にmail craneがあるとはとても思えない。
 沢山の郵便車の写真を見ると、車体の中央にメイル・キャッチャ(pickerとも言う)が付いているのもあることがわかった。メイルのやり取りには見通しが利くことが条件なので、直線状でやるのが普通だろう。

 メイル・キャッチャで回収した郵便物が激しく当たる部分には、厚いクッション材が貼り付けてあるのを再現した。また屋根には通風装置を付けた。トイレの上にも通風装置がある。

 窓枠はアルミ製であるので、別に色を差す。これも屋根の端にはリヴェットを並べてある。  郵便車部分は窓ガラスを割らぬように内側から格子がはまっていると思っていたが、これは強盗対策でもあるようだ。


2020年06月04日

UP 2-tone gray の車輛群

 Union Pacificは1952年までは、この2-tone gray を客車の標準色としていた。黄色は、一部の特急列車だけであった。
 Tom Harveyから見せてもらった写真は、ほとんどこれであった。前回までにお見せしている黄色のStreamlinerは、1956年の製造で、2-tone の時代はない。

 緑色の客車は、十分な量あるから、もう作らなくて良さそうだ。過渡期には、これら3通りの塗りの客車が一編成に入っていたこともある。
 今作り掛けの数輌はこの2色のグレイになる。台車も用意できたから、後は組むだけである。

baggage roof (2)baggage roof (1) 荷物車は数年前にDennisから貰ったキットで、組んだは良いが、どうしようか迷っていたものだ。天井は丸く、そのまま塗るとのっぺらぼうで、面白くない。
 或る雑誌に、マスキングテープを貼って厚く塗料を塗り、塗膜の厚さでルーフィングの厚さを表現すると良い、という話が出ていた。
 先日のエナメル・スプレイは、これには最適である。二度塗りして厚さを稼いで、汚い黒を塗った。もちろん、上塗りは下のエナメル塗料が溶けにくいものを使った。

2-tone gray baggage 結果はこの通りで、うまくいった。マスキングテープの幅は15 mmを用い、屋根上の掴み棒に当らない割付けができることを確認して貼った。

 ドア下のハシゴは写真を見てそれらしく作った。折れないように銀ハンダで作り、床板に広い面積でエポキシ接着剤で取り付けた。台車の回転は半径2500mmをクリアすることを確認した。客車ヤードの最急曲線である。分岐は#8と#10だから、問題なく通るはずだ。この種のハシゴは台車の回転を阻害するから、気を付けねばならない。

 ディカルは無いので、特注で作ってもらうことになる。二色の合わせ目には黒縁の銀線が入る。なかなか凝ったものになるはずである。 


 例の問題のリヴェットの表現は、ディカルによる。Archerという会社の社長と話をしたので、それを買った。他の会社の製品もある。膜厚が無視できないので、テンダの側面のようなのっぺりした面には適さないだろう。特にHO以下では相対的に膜厚が目立つかもしれない。
72 ft baggage  今回は屋根で、艶が無い場所なので使ってみた。ほとんど見えないが、写真では、わざと段差が見えやすい光の角度を選んで、ヒントとした。実際には、Oスケールの鑑賞距離で、それが艶消し面上であれば、まず見えない。実物写真は、Kansas州Wichitaにて撮影した。  


2020年06月02日

Streamlinerの塗装

painting (1)painting (2)drying あまりにも多種多様な仕様の客車ばかりで、塗装作業も一筋縄ではいかない。最初の6輌は、床板の留め方、ネジの種類(インチネジもある)、台車の絶縁法、すべて異なる。
 一度に3輌を目標にしていたが、とても難しい。1輌ずつ順に仕上げた。
 下塗り、一回目塗り、乾燥、マスキング、二回目塗り、マスキング剥がし、乾燥
で大体3日掛かる。これを3輌で1工程ずつずらして行う。誰も来ないことは分かっているので、リビング・ルームに全車輌を拡げて、工程表を確認しながら行う。こうすると、効率が良くなる。今回はとりあえず12輌 仕上げるが、残りはまだまだ沢山ある。

trucks 塗装が終われば、艶を出し、ディカルを貼る。これが大変な仕事量である。台車は別に車輪踏面だけをマスキングして行う。あとで綿棒にラッカ・シンナを含ませ、フランジの斜面の裏表を拭き取る。裏側斜面を剥がすのは大切なことである。ここに塗料が付いていると、フログのウィングレイルに剥がれた塗料が積もる。これは決して誇張ではない。

 マスキング・テープを剥がすのは、塗り終わって塗料が軟らかい時である。固まってから剥がすという人がいるが、それでは硬い塗膜に剪断力が掛かり、綺麗に別れにくい。これは、プロの塗装屋(模型ではなく自動車)の意見である。筆者もそれにならっている。
 塗り終わったらテーブルに静置し、決めてあるテープの剥がし始めの場所から剥がす。塗膜に触らないように、事前にプログラムした通りに手を動かして剥がす。

 先回の問題の答は、正答率が急に高くなってきた 。 


2020年05月31日

続 Streamliner の組立て

 電気絶縁方式を考えておかねばならない。連結器はMonarchで金属製であるから、台車を絶縁せねばならない。また、木製床板であれば心配ないのだが、ブラスの床板であると導通してしまう。半固定編成にして解結しないという前提でないと、つなぎ方によってショートしてしまう。
 電気的には、3Dプリンタによる樹脂製台車は好都合である。金属製台車は絶縁された床板に用い、樹脂製台車は金属製床に用いることにした。さらに、編成時はよく考えて、金属製床と木製床の車輛をなるべく交互につなぐように心がける。そうすれば間違ってショートすることはない。中には金属床板に樹脂製のボディ・ボルスタを付けてあるものもあって、ややこしい。
 
 これらの客車は入手した先が異なり、また作られた時の状況が異なるので、1輌ごとに作りが全く異なる。床高さもまちまちで、車体高さと連結器高さを同時に独立して調整せねばならない。列車としてのまとまりは、揃った屋根高さ、一定の連結面隙間によって得られる。簡単なジグを作って不揃いは修正した。規格があって、同時に作ってあれば非常に楽であったろうと思う。その修正は大変な手間である。だから、現在作っている12輌には完全な互換性を持たせる。
 色調は多少異なってもさほど問題ない。本物の編成でも褪色具合の差があって、かなりの違いがあるのが普通だ。

forced vent 生地完成のものは13輌あったので、よく洗って、準備した。長年の保管中に一部破損しているものもあり、整備するだけで5日を要した。屋根上のディテールは、昔の申し訳程度のエッチングパーツではなく、3Dプリンタで作った本格的なものを使用した。小さな部品でも、これを付けると、全体が引き締まる。塗装済みの車輌に付けたものを示した。色や艶が多少異なり、剥げているところはタッチアップする。

rivets ところで問題である。このリヴェットはどうやって作ったのであろうか。屋根板は、0.7 mmのブラス板である。 


2020年05月29日

Streamliner の組立て

painting (3) 簡単なジグに締め付け、箱状にハンダ付けする。角の部分の内側には 2 mm角線をハンダ付けし、衝突時に壊れにくいようにした。また内部には0.8 mm板で作ったアングルをしっかりハンダ付けし、握っても壊れない程度の強度を確保する。短い車体のものは、角を突き合わせてハンダ付けしただけのものもある。隙間が一定で完全にハンダが廻っていれば、突き合わせだけでもかなりの強度があることが分かった。(縦に木製床に落としても、被害なし)
 写真の状態で大体1 埃紊任△襦これは近年製造のもので、3段エッチングで窓が抜けていた。しかし窓の縁の角が甘いので、ヤスリで仕上げるべきである。エッチング製品は、板が焼き鈍してあるので多少軟らかく、強度が落ちているから、補強は不可欠である。その点、自作車は丈夫である。

 最初に組見本として、アメリカ人が組んだものを3輌ほど手に入れ、構造を観察してポイントを押さえた。アメリカにも腕の良い人は居る。素晴らしいものがあったので参考にした。
 しかし、常識的にはするべきでないことをやってしまった人も居る。内部に3/8インチ角(9.5 mm角)のムクの角棒(1本430 g)を、補強材として2本、さらに1/8インチ × 3/8インチの角棒を2本、ハンダ付けした人がいた。その重さには参った。補強材だけで、計算値1.1 kgもあったのだ。台車を付けると2.1 kgもある。ボールベアリング無しではとても走らなかったので、諦めて売りに出したのだろう。ただ、そのハンダ付けの腕だけは大したもので、その太い角棒が屋根にも側板にも完璧に付いていた。工業用の炭素棒によるハンダ付けであろう。クランプ式のものだ。両面に痕がある。

 キット以外に、スクラッチから作ったものが4輌出て来た。40年近く前の埋蔵金”属”である。ほとんど忘れていたものもあって、驚いた。昔作ったものは、今とは作風が異なる。生真面目にすべて手で作ってあるのには、我ながら感心した。糸鋸を大量に消費していた時代だ。少し手を入れて完成させた。

2020年05月27日

UPの客車群を塗る

UP Streamliner 外出が制限されている。時間があるので、組んだまま放置されていた客車を塗り始めた。
 Union Pacific 鉄道の流線形客車群である。総ブラス製で、かなり重い。もともとは、Kemtronが作っていた厚さ0.63 mmのエッチング・キットであった。殆どの人は、買ったは良いが、組めずに放置していた。20年ほど前から、それが中古市場に適価で出始め、筆者は手あたり次第、買い占めた。一時期は40輌分ほどあったが、その後欲しがる人も居て、譲り渡して半分になった。右の2輌は、参考品として塗装済のものを購入したもので、色合いが異なる。

 キットは板だけなので、まず窓抜きをせねばならない。これは当初、糸鋸で抜いた時期もあったが、その後縦フライスになった。ヤスリ掛けは不可欠で、たくさんのヤスリを消費し、ヤスリ粉は牛乳パックに2杯も貯まった。屋根曲げは、ある程度は折曲げ機で曲げ、その後の修整はこの丸アンヴィルを使った。非常にうまくできる。屋根板は0.55 mmのものもある。

 屋根と側板は隙間なくつなぐ。これには、Kemtron社自体が公表していたノウハウがあって、その通りにすればかなりうまくいく。つなぎ目に連続した板を内側に貼り付けるのは、極めて難しいからだ。
 そのノウハウは、ブラス板の小片をたくさん用意し、簡単なジグ上で押さえ込んだ屋根と側板の接合部にハンダ付けする、というものだ。小片の上半分は屋根に合わせて軽く曲げておく。多少の隙間ができても押さえ付けながら、その部分を局所加熱すれば直せる。これが連続した材料であると、難しい。最終的につなぎ部分の8割がこの小片で埋まる。車体外側から見ておかしくなければ、成功だ。この小片によるつなぎ法は、いろいろなところに応用している。部分的な修正が効くのが良い。炭素棒による加熱なら、自由に付け外しできて具合が良く、楽である。

 このやり方はいかにもアメリカ人の考えた方法である。下手な人でも、そこそこにうまくできるのである。それを、筆者は少し進歩させている。
 数箇所を小片で付け、ずれや隙間が無いのを確認したのち、長目(75 mm程度)のつなぎ板を一気に貼る。ハンダの量を適量にすると、なぎ目にハンダがにじんだ状態で完成する。もちろんこの長板の上半分は、屋根の丸味に沿わせて曲げておくのだ。

2020年05月25日

operating table

手術台 手術台と呼んでいる。機関車を作ると必ずそれに合わせて作る。めんどくさいと思われる方もいるだろうが、これは不可欠のものである。ディーゼル電気機関車の場合は、外側の回廊部を支えなければならない。それには、手摺りを逃げた薄い材料で作る。

 Oスケールは重い。機関車が最低 2 kgはある。大きなものは4 kg以上ある。関節機などは6 kgもあるものがある。これをひっくり返して機構部を外したり、ロッドの調整をしようと思うと、細部が壊れてしまう。

 ラニングボードの付け根を支えるものが必要である。ラニングボードは分割され、段差があって上下しているものが大半なので、それに合わせた支えが必要である。幸い木工機械があるので、精密に切り出したブロックをたくさん用意し、高さを決め、接着剤で固定する。
 
 作った手術台は嵩が大きいので、専用の大きなコンテナに、嵩を減らすように組み合わせて入れてある。先回の慣性増大装置付きテンダには、専用の手術台をこしらえた。テンダ用としては、初めてである。もう一つ作らねばならない。

2020年05月23日

続々 Heavy Pacific

2 pacifics (3) こんなに軽そうでも、Heavy Pacific の仲間に入れることになっている。それは動輪径で分類しているからだ、という。軽いヘヴィ級なのだ。Light Pacific は動輪径が 73 インチ(1854 mm)を指すらしい。

2 pacifics (1) 日本で言えばC51だろうか。軸重は軽く、25トン弱である。ボイラは、ATSF3400クラスと比べると、情けないほど細い。罐胴の体積は半分ほどだ。

2 pacifics (2) 汽笛はキャブの前にあるが、反射板を付けている。煙突は太い。いわゆるSweeney Stackである。このスウィーニィ氏はバーリントン鉄道の技術者だったそうで、それがどうしてUPで採用されたのかがよく分からない。
 UPは機関車の出力を上げるには通風を良くすることであることを知り、ひたすらその路線を歩んだ。大口径の煙突を付け、ノズルを調整して、煙がよく吹き上がるようにした。煙室を長くするのも、火の粉止めの工夫の一つである。それにしてもこの煙突は大きい。

 テンダは細く小さい。これではすぐ水が無くなりそうだが、走らせる線区には水が豊富にあった。台車をばらして車輪を取り替え、ボ−ルベアリングを入れた。これも0.2%勾配を勢いよく転がり降りる。
 UP本線は山岳路線であったため、Pacificを本線上では殆ど使わなかった(平坦な支線では多用している)。旅客列車の牽引にはMountain 4-8-2 を使用したのだ。のちに大動輪のNorthern 4-8-4の天下となる。

 その後の韓国製の機関車を見たことが無いが、改良されていると信じたい。この機関車は、とても走るとは言えないものだった。走らせているうちに部品がぽろぽろ取れ、それがひっかかって急停止という状態であった。ボイラのハンダ付けは稚拙で、すべて補強を当てて作り直した。キャブ内のディテールだけは、必要以上にあり、位置を修正するだけで使えた。カウキャッチャの鋳物は使ったが、それ以外のフレイムはすべて新製である。


2020年05月21日

続 Heavy Pacific

UP 2888 (1) ATSFを塗っている時、ガラス棚の反対側にあるパシフィックも塗装できる状態であったので、ついでに塗ってしまった。これは韓国のAjinからサンプルで貰って、それを完全に作り直したものだ。駆動方式のみならずフレイムを切り落として、棒台枠を新製した。従台車のイコライジングも見かけだけでなく、ある程度それらしく動かしている。この改装後、見せてやったら声が出ないほど驚いていた。

UP 2888 (2) 彼らは蒸気機関車の構造を知らないのだ。横から見た写真だけで作っているので、従台車へのイコライザがどんな形をしているのかわからなかったのだ。
 内側台枠から外に出るのだから斜めに付いているのだが、怪しい板を途中でぐにゃりと曲げて売っていたのには失望した。また、それは途中で切れていた。
 走らせて見せた時の彼らの驚きようは、ビデオに撮っておくべきであった。押して動くということの重要性が分かったのだ。その時前照灯が点いたので、それにも驚いていた。

 そのあとでアメリカのインポータに見せたらしいが、彼らは全く評価しなかったそうだ。Tom Marshはそういう人らしい。ディーゼルは大好きだが、蒸気機関車には興味が無いのだ。 

 メインロッド関連部品を、ある理由で作り直している。外した状態で撮ったので、いずれ写真は取り替える予定である。炭庫の側面の汚れは写真を見て付けてみた。単なる試しであって今後どうなるか未定である。機炭間のdrawbar pinが光っているのは許せない。

2020年05月19日

Heavy Pacific

 このパシフィックのボイラは国鉄のC59よりもはるかに太い。C62を腰高にしてパシフィックにした感じだ。

ATSF 3420 (1) このATSFの3400クラスは、1919年製造の中古を1936年に完全にリビルトしたもので、殆ど原型をとどめていない。ボイラを替えて圧力を上げ、シリンダと台枠を一体鋳造し、剛性を高めている。動輪は新設計のディスク車輪だ。機関車のみで154トン、軸重は32トンほどもある。テンダは新製で、当時としては超大型であり、満載時180トンもあって機関車より重い。砂漠地帯で重急行列車を、高速で牽くことが目的であった。

ATSF 3420 (2) 煙突は延長が可能である。今回塗ってしまったのは、この煙突がネジ一本で取り外せることに気が付いたからだ。もしやる気になったら、そこだけ作り直して、延長煙突を可動にすることができる。

 アチソン、トピーカ & サンタ・フェ鉄道では煙室にもジャケットが巻いてある。即ち、罐胴に巻いてあるのと同じ色で先端まで仕上げている。煙室戸だけが耐熱の銀灰色のグラファイト塗装だ。この部分は、時期、線区、機種によってさまざまな仕上が施してある。銀色や真っ白のもある。白くすると目立ちやすく、事故を防ぐと信じられていた。煙突はジャケットを被っていないので、グラファイト色である。まだ、あちこちタッチアップをせねばならないところがある。ナンバ・ボードに数字を入れねばならない。

 車輪の裏まで塗ってあることに、注目願いたい。ここが白いと、おもちゃっぽく見える。汽笛は高いところについている。もちろん助士席側だ

 ディカルを貼って、仕上が施してない状態で撮ったので、部分的に妙な艶がある。いずれまともな写真に取り換える。


2020年05月17日

続 貨車の塗装

ACF Covered Hopper (3)ACF Covered Hopper (2) この青いホッパ車は1986年に目黒で買った。落下破損品を買ったのだ。ところが、長手方向が派手に壊れていて少し縮んでいた。切り外して叩き伸ばし、どちらかと言うと作り直した方が早いという状態であった。
 ともかく、30年以上掛かって修復し、見られる形になったが、側面には軽く凹みがあって、これは直せなかった。この凹みを伊藤 剛氏がご覧になると、”Authentic!"とおっしゃるに違いない。
 底の排出口あたりの出来が良くなく、いろいろな資料を見て作り替えたが、気に入らなかった。15年ほど前、テキサスの男が、Weaverの車輛の上廻りに、韓国で作らせた3-bayの下廻りを嵌め込むというアフターマーケットを作った。筆者も10輌分購入し、殆どはプラスティック車輛の改造に使ったが、2輌はこのブラス製品に使った。微妙に寸法が異なるので、かなり苦労して切り継ぎをしている。全部スクラッチから作るべきであった。おそらく半分以下の時間でできたであろう。

Rust-Oleum この青は80年代末にアメリカで買ったスプレイである。今でもあるRust-Oleumというブランドで、たまたま閉店セールで1本50セントで買ったものだ。黒、グレイ、銀とか黄色は大量に買って、引っ越し荷物で持ち帰った。一部は飛行機でも持ち帰った。そういう点では、非常に緩い時代であった。すべて使い尽くしたが、青だけはこの貨車に塗る以外、用途が無かったので、30年全く封を開けていなかった。ガスが抜けているのではないかと心配したが、全く問題なかった。中で顔料が沈殿していて、撹拌のガラス玉がまったく動かない。動くまでかなり激しく振動させる必要があった。さらに数分間振って見たが、最初は透明な液しか出なかった。ありがたいことに、その後調子良く霧が出るようになった。

 これはラッカ・スプレイではない。エナメル・スプレイでねっとりした塗料が噴出する。垂直面でも垂れず塗りやすいが、HO以下の模型には使いにくいだろう。塗膜がやや厚めであり、ディテールが埋まる可能性があるからだ。しかし、この種の大きな面のある貨車には、非常に適する。このエナメル塗料は不器用な平均的アメリカ人でも、まず失敗しないようにしてあるのだろう。固まるのに数時間を要する。朝塗って夕方取り込めばよい。つるつるぴかぴかに仕上がる。当鉄道の黒いタンク車数十輌は、ほとんどこのスプレイで塗った。ディカルを貼るのが容易で助かった。もちろん、あとで艶を抑えてある。

ACF Covered Hoppers この貨車のディカルも実在しないから、参考にはならない。とは言え、無いとは言えない。本物の編成を見ていると、剥がれた部分にあり合わせのディカル(本物でも同様のものがある)を貼っただけのものをよく見るからだ。否定の証明は難しい。 

 興味深い動画がある。たまに見る風景だが、ここまでのものは珍しい。 

2020年05月15日

貨車の塗装

 外出が制限されるようになり、自宅に居なければならない。天気が良いので、塗装を始めた。夜準備をし、洗剤でよく洗う。長年の間に油汚れが付いているからだ。扇風機で軽く風を送っておくと朝までには完全に乾く。

ACF Covered Hopper (1) 外の塗装台に被塗装物を並べると、日が当り、ほどほどに温まる。コンプレッサをonにし、タンクに溜まった水を捨て、圧力を見て開始する。今回の貨車はGreat Northernにする。これはアメリカ人がブラスで作ったものである。キットなのか、スクラッチから作ったのかもわからない。これも手際良く作ってある破損品を安く買った。部品を作って修復するのに10年以上かかっている。この種の破損品は、現在のアメリカではとても安く手に入る。誰も直せないからだ。
 たまたま少し残っていたNYCの Jade Green(ヒスイの色)の始末をするのが目的で、それに僅かに黄色を足して作った glacier green (氷河の色) である。似ていれば良いので、適当である。
 貨車の色というものはもともと怪しいものである。殆どが日焼けして、さらに錆びている。この色が正しいとか、これはおかしいと言われても、そうでしょうかねという程度のことだ。完成時の色はどうなのかということなのだろうが、あまり興味が無い。
 艶を出して塗って、それにディカルを貼る。番号もごく適当である。ディカルは沢山あってちっとも減らない銘柄を、貼った。実物には無いはずの組み合わせだから、参考にされないようにお願いする。
 車輪を塗って、少し汚すとできあがりだ。十分な仕上がりになった。

2020年05月13日

トルクアーム、トルクチューブ、吊掛け式

 コメントが多いので、予定を変更して稿を起した。

 吊掛け式は、トルクチューブの先端に剛の状態でモータが付いていると考えられる。そしてそのモータの一部を、僅かの自由度を与える方法で(ゆうえん氏は両面接着テープで)フレイムに取付けている。要するにモータ軸の延長線に対して垂直の動輪軸が、減速装置を介して廻るだけ、と考えることができる。その動軸が、バネその他の懸架装置で、レイルに押し付けられている。

torque tube 左の写真のトルクチューブはその先端が一点で固定されている。SKT氏の指摘通り、長孔があり、多少の伸縮(チューブが斜めになっているから)があっても逃げられるようになっている。この方法ではモータは固定できる。これはOスケールではありがたい。モータは350 gもある。そのモータが吊掛け式で動くと壊れやすい。また吊掛け式ではモータ固定ネジが、軸方向から締められるので、どうやって締めるべきか、設計に苦労する。また、吊掛け式ではバネ下質量が大きいから、軸重は均等にはならない。即ちレイル接続部を渡る音が、同じ音ではなくなる。

 トルクアーム方式は機種ごとにトルクアームの位置を考えねばならない、ところがトルクチューブはすべて共通部品で済む。モータ軸とドライブシャフトとはほぼ同一直線状にあれば良い。ルース・カプリングを介して付ければ、全く無調整でよく走る。トルクチューブには簡単な腕を付け、その先端にはピンを差すようになっているだけで、とても簡単である。モータ・ブラケットに小さな腕をつけたのは祖父江氏のアイデアである。これは優れたアイデアで、簡単に、かつ確実にできるので、量産には都合が良い。筆者のプロトタイプは、配線用のゴムのグロメットで承けたが、これでは経年変化が無視できない。10年でパリパリになったので改装した。

 この駆動方法は、祖父江氏が改造して世界中に出て行った1000輌のほとんどすべてに使われている。即ち、Sofue Drive である。

 愛読者氏のコメントで質問されているフレイムが曲がる話は、ギヤボックスや反トルク受けとは全く無関係の話である。おそらく、高ギヤ比の減速装置の付いたモータを取り付けたが、動輪が何らかの原因で廻らなかっただけのことである。単なる勘違いであるので、削除した。


2020年05月11日

続々々々々 ATSF Heavy Pacific

 本物では、インジェクタなどの補機類はどこに付いているのだろうか。たいていは運転室床下にある。機関士が手を伸ばしてレヴァを引き、あるいはコックを開き、作動させる。インジェクタは配管だけでぶら下がっているのではない。配管だけでは、振動で折れてしまう。大型機のインジェクタは重い物である。最低100 kg、大きいものは300 kgほどもありそうだ。垂直荷重の大半はフレイムから生えた支え(stay)で持つ。配管には殆ど力が掛からない。ステイは垂直方向にもある。三角形にして重さも受け持つようにしたものもある。また、Uボルトでインジェクタを押さえたり、インジェクタそのものに取付ボルトがあるものもある。

 模型では、インジェクタはキャブに配管だけでぶら下がるものが、ほとんどだ。だから塗装などで上下分解すると、上廻りをインジェクタで支えるような置き方になる。HO 以下のサイズなら、さほど問題にはならないかもしれないが、Oスケールの大きさであると、これは 大きな問題である。上廻りをどうやって置くべきか、考えねばならない。事前に台を作ったりする。そのまま置けば、インジェクタが曲がってしまったり、配管が折れたりするからだ。

injector suppoert (1)injector suppoert (2) 今回は火室底板に付いている配管を延長し、インジェクタまで一体にした。インジェクタには支えをハンダ付けし、フレイムに作ったネジ穴で固定することにしたのだ。2箇所留まっていれば安定する。

 このやり方は祖父江氏と何回か相談したことがある。どうすれば実感的で、しかも壊れにくいか、だ。今までは、キャブ床板からステイを下に延ばしたものが多かった。これは実感を損なうし、弱い。今回のやり方でいくつか作って検討してみることにする。

  既製品であるので、寸法を出すのが難しい。配管だけで浮かしたものに、フレイムにネジ留めしたステイを接触させ、その先に炭素棒でインジェクタをハンダ付けした。こうすれば位置は必ず合う。 そうしておいて外して洗う。

 塗装はばらばらの状態で行い、組んでネジを締める。あちこち触っているので塗装は傷だらけだ。後でタッチアップする。裏面だから見る人はいないが、気にする人もいるからだ。

2020年05月09日

続々々々 ATSF Heavy Pacific

torque tube 動力部分を示す。過去に何度か触れたトルクチューブである。これは筆者の発案で、祖父江氏が全面的に採用したメカニズムである。ギヤボックスから生えた剛性のある円筒の後ろをピンで支える。発生するトルクは、そのピン一本で受ける。ギヤボックスは自由に動くので、サスペンションに何ら影響を及ぼさない。トルクをリンクで受けるのも良いが、そのリンクは意外に目立つものである。トルクチューブは目立ちにくい。

 この種の反動トルク受けは実物にとっては大切な機械要素であるが、そのスケールモデルと称する模型に正しく付いているのを見ることは、まれである。TMSの記事で出現確率を調査されると面白いと思う。コンテストの入賞作品でさえも、ついているものはまれだ。

 スリップさせながら(最大のトルクを発生)、フログなどの不整部分を通過させる時、バネ、イコライザの動作があっても、全く同じように引張力を発揮することが求められる。要するに動輪の上下動があっても、引張力が変化してはならないのである。これはサウンド装置を働かせながら、重列車を牽いてポイント上で起動するとよくわかる。

 ギヤボックスは負荷の大小に関係なく、自由に動かねばならないのだ。 

2020年05月07日

続々々 ATSF Heavy Pacific

ATSF (1) テンダ床の補強工事をした。3/8インチ (9.5mm) のアングルを、全長に亘って貼り付けた。この厚みは1.3 mmであるから、かなり強い。要は前後の端梁付近が弱いので、衝突時の力を受けるようにしたわけだ。
 端梁は厚いブラス鋳物だから、それにしっかりとハンダ付けすれば、安心である。ハンダが廻るように傷をつけ、ブラスのネジで締め付ける。ガスで焙って持てなくなる温度(100 ℃くらい)まで予熱し、その上で炭素棒で短時間加熱すると、狭い部分だけを完全に融かすことができる。途中はネジで締めただけで十分だ。おそらくオリジナルの状態よりも丈夫になっている。

ATSF (3) 塗装をした。絶好の天気であった。前日に水洗いをして、風に当てた。特に錆取りはしない。ゴミとか埃が取れれば良い。下塗りをし、太陽を背にして裏側から塗り始める。最終的に金網の上に正置して、少しずつ回してどこにも塗り残しが無いように確認する。テンダは2つあり、これは慣性増大装置を付けない方の物だ。 
 背後から太陽光を受けると、塗り残しを発見しやすい。蒸気機関車のように凹凸が大きく、丸いものは難しいものだ。

ATSF (2) 今回はインジェクタの支えに工夫を施したので、それを塗るのに、少し手間取った。マスキングテープは銘版を隠している。これは”Product of Japan”の時代だ。その横の21という数字はこのロットの中の製造番号だろう。ボイラの中には祖父江氏の筆跡で番号が書いてある。
 不思議なのはその番号で、機関車は30、この灰箱下の板は21、テンダは22であった。もう一つのテンダは20だ。


2020年05月05日

続々 ATSF Heavy Pacific

ATSF Tender (3) テンダの床板は1 mm板である。 フライスで切り抜いたら、前後方向の剛性が小さくなって、衝突時にめり込む可能性が出て来た。内側に厚いアングルを2本、全長に亘って貼り付けることにする。回転体を避ける位置である。前後の端梁は分厚くて丈夫なブラス鋳物であるから、そこにネジ留めしてハンダ付けすれば良い。前より強くなるだろう。

ATSF Tender (2) これは6輪台車である。砂鋳物でできていて、幅が広い。ジャーナル部がガバガバしている。これではボールベアリングが左右に踊ってしまう(ベアリングが見えている)。こういう台車のボルスタを幅詰めするのは面倒である。ネジ孔の隣に近接して孔をあけ直すのが難しい。M2のネジを1 mmずらすのはやりたくない。削るならたくさん削って孔一つ分ずらしたい。

ATSF Tender (1) ボルスタを片方からフライスで切り込んで、2mm狭くした。片方から削り取ると心皿位置が変わるが、今回はどうせその付近を削りとってしまうのだから問題ない(普通は対称的に両方から同じ量を削る)。ネジ孔は、ブラスの丸棒を突っ込んで銀ハンダで固めた。こうすれば隣に孔をあけても、ドリルが引き込まれない。台車の幅を絞ると、見かけがかなり改善される。模型の台車枠は厚いのだ。

 テンダの集電シュウは祖父江方式で前後の2軸から採っている。DCCの時の雑音を無くすには効果がある。左右の動輪と従輪から2極採り、テンダの場合前後台車で2極を採る。テンダ本体は機関車と同極性であるが、カプラは絶縁してある。いろいろな方法で試したが、この方法が、最も集電が良く、ショートが無い。

 台車ボルスタの心皿の周りは、ギヤボックスを収容するために四角の穴を大きく抜いた。ここに 2 mmの板を貼り重ね、ドライヴ・シャフトを貫通させるスペイスをボールエンドの刃物で削る。可撓継手のスペイスも要る。その 上に、さらに2 mm板を貼り重ねる。全体を厚板から作ると設計施工が面倒なので、よくやる方法である。銀ハンダを使えば、一体構造と同等の強度を持たせることができる。切り取るものは補強板を付けてからという原則を守ると、寸法の狂いが無い。合計でボルスタの最大厚みは7.5 mmになった。過去最高である。

ATSF Tender (4) 床板に台車を置いて位置確認をする。両端の軸からチェインで駆動するのは同じだが、スプロケットはギヤボックスの内側寄りであって、2軸目まで共通のドライヴシャフトである。その次に可撓継手が来て3軸目がつながる。ガスタービン機関車と同じ方法だ。簡単にして確実である。

 心皿高さは現行より5.8 mm高くなる。床板の上面とほぼ同じ高さになるが、心皿が邪魔なので別の方法を考えている。中央軸のギヤボックスの収容は大きな体積を必要とするからだ。
 先回のリンク機構は今思えば、ベストの方法であった。駆動軸を通すと心皿は邪魔である。今回もそれが気になっていた。ギヤボックスを偏心させ(中心に置かない)、センタピンを反対に置くという手もあるが、見た人が驚いて落とすといけないので、それはやめた。

2020年05月03日

続 ATSF Heavy Pacific

 この機関車は場違いなところにあったのだ。東部の機関車は西部で、西部の機関車は東部で買うと良い、と言われていた。人気がない機種は、安く買えるということだ。サンタフェの機関車がニュー・イングランドにあっても、欲しい人などいない訳である。当時の相場としては900ドル位であった。その価格で出ていたが、誰も見向きもしない。売り主と話をすると、
「800ドルにするから買ってくれないか。」と言う。
「いや、こちらはアメリカ一周の旅行中だから、買いたくない。」と答えると、「最終日まで待って誰も買う人が居なかったら、600でも良い。」と言う。
「いやそれでも買いたくないな。」
「じゃ500でいいから。」と言う。その価格でなら魅力があった。

 そして最終日の夕方行って見ると、筆者の名前を書いた箱があり、小切手を渡してそれを受け取って来た。良い買い物であった。南部の友人を訪ねてから、自宅に帰って箱を開けた。驚いたことに、ACモータが入っていて、逆転スウィッチはキャブの中にあった。Max Gray時代の極めて初期のものだったのだ。それが安い理由であった。ニ線式であったのは助かった。帰国する時には錘とモーターは捨てた。それでも十分に重かった。
 祖父江氏に見せると、「参ったねー。こいつは古いよ。30輌位作ったかな。モータが入らないから、バックプレートを切り開いて、無理に押し込んだんだよ。テンダは重いよ。厚い板で作ったんだ。高くついたね。あとでUS Hobbies向けにも作ったけど、あれは薄い板で作ったから軽いよ。」と言った。
「煙突の裾はハンダの丸味だよ。プレス型を作るほどの数が無かったからね。あとで作った時はプレスになったな。」

pneumatic smoke deflector (2) バネを入れ、動力を改造して押して動くようにした。外装もかなり手を入れた。塗ってしまえば良かったのだが、ガラス棚に長期間鎮座していた。今回テンダを改造する予定だが、先に塗ってしまうつもりだ。本物の煙突は2フィート(61 cm)ほど折れて畳めるようになっている。それをやりたいのに、資料が見つからなかったのが、塗装が遅れた理由だ。DCCで畳めるようにしようと思っていたのだ。この図面がかなり近いと思う。

 実は、この機関車はもう一輌ある。テンダを手に入れたので、スクラッチからある程度作ってあった。並べると壮観だろうと思った。それは贅沢にもフル・イコライジングである。作りかけのまま、30年以上放置されている。スポーク動輪を他に使ってしまったのだ。今度作るときはボールドウィン・ディスク輪心にしたい。最近は3Dプリントでもできるから、試しにやってみたくなった。しかしタイヤを挽くのは大変である。快削鋼のΦ45を買ってきて削り出すのだ。ほとんど切粉になってしまう。昔は鋳鉄からも作ったことがある。鋳鉄製タイヤでは、牽引力は確かに増大するが、見た目が良くない。ステンレスのタイヤは許せない。色が悪いし、滑りやすい。快削鋼の色は素晴らしい。錆びると言う人がいるが、よく走らせていれば心配ない。
 精度の点ではタイヤだけは外注したいのだが、20枚程度では引き受け手がない。タイヤを研削する時に使うヤトイを作ってあったのだが、見当たらない。頑張って作ってみよう。 

2020年05月01日

ATSF Heavy Pacific

ATSF Pacific Santa Fe鉄道のヘヴィ・パシフィックである。背が高い。動輪径は79インチ、2006 mmだ。古いパシフィックを大改造して作られた。大きな動輪に替え、ボイラを作り替えて圧力を上げて給水装置をElescoにした。筆者の好みの形だ。この機関車は、筆者としては珍しく完成品を入手している。1960年より前の祖父江氏の作である。

 1989年、アメリカ東部のOスケールのショウを見てみたいと思った。西部から車で何日も掛けて走り、あちこちで友人を訪ねながらメイン州まで行った。帰りにコネチカット州のスタンフォードに寄った。駅前のホテルでその模型ショウがあったので、Bill Wolferに頼んで、入場券を押さえて貰った。ホテルはマリオットで高級だが、参加者は安く泊まれた。すぐ裏に、St. John's Episcopal Church があり、そこの地下には巨大なOスケールのレイアウトがある。その大きさ、精緻さは全米で屈指のものである。

 物品販売しているテーブルはたくさんあり、手紙のやり取りで知っている人も多かったので、一つずつ訪ねて歓談した。中には金を払ったけど送って来なかった奴がいて、乗り込んで行って名乗った。非常に驚いて、「もうすぐ送るつもりだった。」と言い訳をした。「黙れ!さっさと商品を渡さないと主催者に言うぞ。」と怒鳴ると、慌てて渡した。もう廃業しているから名前を出すが、Sal Marino’sというイタリア系の店であった。何回か電話したが、ごまかすつもりで、でたらめなことを言っていた。まさか西部から乗り込んで来るとは思わなかったのだろう。啖呵を切る練習をして行ったので、うまく行った。そのせりふの手ほどきをしてくれたのは、Bill Wolferである。後ろで見ていてくれた。


2020年04月29日

慣性増大装置付き機関車の増備

 今アメリカの複数のフォーラム(非公開サイト)で筆者のUP850が採り上げられている。Youtube を見て討論しているのだ。傍観しているが、いろいろな意見があって面白い。
 増速装置にウォームギヤを使っているとは思わないので、様々な想像をして、多段スパーギヤ + 食い違い傘歯車だろうと書いている。そんな歯車装置では、高価だろうし、多分すさまじい音がする。たとえウォームギヤが使ってあっても正しい歯型のものでないと無意味なのだが、そのあたりはあまり理解されていない。動けば良いというものではないのだ。高効率で静粛性を求めるには何をすべきか、ということは自分で計算をしてみないと分からないだろう。7軸の内、6軸から動力採取をしていることの意味は読み取った人がいた。これは嬉しい。
 そのうちに、誰かが3条ウォームを使っている筈だ、と言い出した。ここでも"3条"に意味があると思っている人が多いことがわかった。3という数字には意味はない。「互いに素」の組み合わせが相手が偶数でも作りやすいという利点しかない。かなり頭を絞って考えているようだが、進み角 lead angle にたどり着いた人は、まだいない。

 多条ウォームは、世の中に沢山ある。オルゴールとか、蓄音機に使われて来た。しかしそれらはゼンマイ動力であって、駆動側の慣性モーメントが無いに等しい。
 歯形がでたらめでも、被駆動側の大きな慣性モーメントで、均等化されていたのだ。今回は、大きな慣性モーメントを持つものを駆動し、また逆に、それによって駆動されるのだから、話は違ってくる。角速度の均一性は極めて重要なファクタである。そこに気が付くかどうかを見ている。
 MRに投稿する原稿をまとめる上でとても参考になるので、しばらく議論を眺めていたい。


 原氏の博物館からは、当分帰って来ないことが確定した。その間落下事故がないことを祈る。
ATSF Tender フライホィールの効果を見たい友人がいる。もう一台くらい作って見せてくれ、と言う。作るのが簡単で効果が大きいものは、テンダの体積の大きな、大動輪のパシフィックであろう。このSanta Feのパシフィックは塗る直前の状態で10年以上置いてあった。

 車輪は既にLow-Dに交換してあり、この重いテンダは0.2%の坂を下り降りる。塗装前にテンダの床に孔をあけて準備しておけば、フライホィールの増設は難しくない。このテンダは箱型で、高さがあるから、改造には適する。台車のシルエットも、動力ピックアップ装置をかなり隠せる大きさだ。 車輪径が小さいので、増速率を減らすことができる。これは音の問題を小さくするだろう。


2020年04月27日

続々 3D printing

National trucks この台車は以前作ったNationalの製品である。大きなコイルバネは別に作って、本体にぶら下げてある。こうすれば、数が必然的に合う。コイルバネは3Dで螺旋状に作られている。


clasp brake クラスプ・ブレーキ(両抱き踏面ブレーキ)を作った。なるべく密に詰めたクラスタである。こういう状態をクラスタというべきなのだ。一つで1台車分である。バネ座とか面倒なものは同時に作ってクラスタに入れておけば、数を数える必要もない。

 これでDaylight用の客車台車を作っている。本体はブラスの厚板をレーザで抜いたものだ。これはハンダ付けして組んである。
 ブレーキ装置で悩んでいた。ロストワックス鋳物では必ずショートする。ブレーキ関係をプラスティックにすれば問題は解決だ。ほとんどの製品では、ブレーキ・シュウが台車枠の位置にある。ショートしないように工夫したつもりだろうが、非常に大きな減点箇所である。そんな台車など要らない。ブレーキ・シュウの位置は大切である。  

 他の機能部品はいくつか問題があるので、発表はしばらく控えたい。積層方向によって、精度が変化する。3Dプリントは簡単そうに見えるが、高精度を期待すると、難しいものである。 次回の試し打ちでうまく行けばよいが、なかなか難しそうである。

2020年04月25日

続 3D printing

6-wheel truck 今回作った新しい台車としては、このコイルスプリングの6輪台車がある。これには、見かけだけは良いが出来の悪い韓国製台車がある。高価であるがその機能はでたらめであって、揺れ枕は動くはずだが微動だにしない。摩擦が大きくて、たくさんは牽けそうもない。作り直す気が失せてしまうほどダメなものであったが、ボールベアリングを押し込んでLow-D化すると、良くなった(右)。バネを縮めるため、錘を載せてある。

 これを3Dプリントできればと思い、S氏に相談すると、それほど難しくないと言う。イコライザは例の支えを入れる手法で作り、コイルバネで荷重を受け持つ。基本的にプルマン6輪台車と同じである。揺れ枕は作らなかった。ボルスタアンカはΦ1のステンレス線である。
 この台車は銀色に塗装すると金属製に見える筈だ。荷物車、社長専用車などに使う。

 やはり客車の台車はプラスティック製に限る。絶対ショートしないし、軸の抵抗が少ない。現在使用中の金属製台車はすべて用済みとなる予定だ。そうすると、パシフィックでプルマン10輌が牽けるはずである(現在は6輌)。

disc brake お遊びでこんなものも作った。ディスクブレーキ・ロータである。キャリパは省略した。やろうと思えば本物通り、 中空のventilated diskもできる。今回は外形だけである。旋盤で孔の中をリーマ通しして、心を出した。 

2020年04月23日

3D printing

 今回の出力は多岐にわたる。構造・機能部品もあるし、台車関連もある。

light weight car truck (2) 台車の中ではこの軽量台車が出色である。これは1930年代のUPの特急M10002辺りから始まった軽量客車用の台車で、バネ下質量が小さい。またブレーキ装置が台車に付き、応答性が良い。もちろん、ブレーキロッドがちぎれる事故とは無縁になる。高速列車用として不可欠の要素をちりばめた台車である。S氏が「出来る」と言ってくれたので、ソフトウェアの作成をお願いした。

lightweight truck 1lightweight truck 2 この二つの図は極めて初期の構想図である。やめてしまったアイデアもあるし追加したものもある。重ね板バネは内部まで作ってあるが、揺れ枕は作動させなかった。 

light weight car truck (1)light weight car truck (3) 車輪径はやや小さく、36インチ(915 mm)ではない。貨車用の33インチよりも少し大きいようだ。確認できないが、34インチのようだ。
 模型ではフランジが大きいので33インチを嵌めるとちょうど良く見える。36インチではブレーキが掛かってしまう。 

 これをブラスで作ろうと思うとかなり難しい。5段くらいのロストワックス鋳物の集積を覚悟せねばならない。各部の組立精度の確保も難しい。飛び出したブレーキロッドもそう簡単にはできない。作っても曲がってしまうのがオチだ。また、ブレーキシュウを付けてあるが、近接させることができる。ショートの心配が無いからだ。

 こういうものは3Dに限る。バネを廃し、ボルスタの捻りで逃がしている。十分なcompliance (追随性)を発揮する。弾力があるのでバネの効果もある。仮車体を載せて走らせると極めて静かである。ボルスタは垂直荷重には耐えるが、捩り剛性を小さくする設計にしてある。

 ナイロンは結晶性プラスティックで、へたらない。熱可塑性ではあるが流動する温度は高く、常温では”流れ”ない。いわゆるプラモデルの材料のポリスチレンなどは、常温でも力を掛けていると少しずつ”流れて”、撓んだり潰れたりする。

 写真は高精細の近接撮影であるのでざらついて見えるが、30 cm程度の鑑賞距離であって、車体の下に付いているのであるから、全く気にならない。HO以下で矯めつ眇めつ見るには、やや粗いかもしれない。走行を主とするなら(そういう人は少ないが)全く問題ないだろう。

2020年04月21日

切断機のカスタマイジング 追補

 むすこたかなし氏が切断機のテイブルで手を切る可能性があることを示唆された。なるほど、ハンドルに丸い握りゴムを付けている人にとっては、無視できない話だ。筆者は電車の断面のようなカマボコ型にしたので、握らずに手の平で押し切っていた。
 
metal cutting saw (5) テイブルの 4 mm鋼板を糸鋸で切るのは体力的に避けたい。思い付くのは丸鋸である。最近はチップソウというものが安くなってきて、超硬の刃(チップ)を付けた金属用丸鋸が廉価で手に入るようになった。鉄筋などを簡単に切ることができるので、工事現場ではよく見る。

metal cutting saw (4)metal cutting saw (1) 鉄骨を熔接したものをばらす必要があって、この刃を買ってあった。30 mmのアングルならあっという間に切れる。この程度の鋼板もすぐ切れる。実際3秒弱で切れてしまった。角度が悪かったのでもう一度切り、計15秒ほどである。近所の人が見ていたが、その速度にはとても驚いた。
 切粉は焼けたのが飛ぶので、下に敷いたポリエチレンシートに喰い込み、穴だらけになった。

metal cutting saw (3)metal cutting saw (2) 刃の設計は巧妙で、押し込んでも一回に切れる量は変化しない。サーメットのチップを使っている。驚くべき切れ味である。もっと薄い歯であればブラスも切るのだが。切粉は箒と磁石で集めた。フィリピンで日本企業が作っている。
 切り口の鋭った角はディスク・グラインダで落とした。


 折れないハンドルが2本出て来た。ご希望の方は連絡されたい。キィ付きで4000円である(送料別)。キィ溝付けのフライス加工もお手伝いできる。
 再生産することは無い。売り切りである。 


2020年04月19日

Alco PA,PB のグリル

ALCO PA fan grill (2) CLWのキットに入っているグリルである。非常に薄い。0.16 mm (0.006インチ)のリン青銅板である。抜き落としなので、焼きなましていない。だからそこそこの堅さがある。これを大きな枠にハンダ付けせねばならない、少しのハンダを枠に塗っておいて落とし込み、フラックスをたくさんつけて、周りから炭素棒で温めると固着する。ハンダゴテでは難しい。

 中のファンは、細い棒にくっついている。これを厚い板の本体に付けるのは、かなり難しい。これもハンダを塗っておいて加熱する。強度が要るので、銀ハンダで付ける。

 3輌のうち1輌のグリルは完全なものが付属していた。1輌分は端が少し欠けた不良品、後の1輌は付属無しであった。無いわけにはいかないので、以前作ったことがあるが、トナの密着(”ぬれ”という言葉が正しい)が足りなくて、うまく行かなかったのだ。そのまま10年経ってしまった。

ALCO PA fan grill (1) 今回、新しい方法を実用化されたむすこたかなし氏に作ってもらった。素晴らしい出来で、オリジナルより良い。抜き落としであれば、焼き鈍さなくても問題がない。単に凹ませる一般的なエッチングであると、”目”が出てしまう。圧延の時の加工硬化の痕である。抜き落としなら、根こそぎ溶けてなくなるので、問題がなくなる。 

 車体のハンダ付けについては以前解説した通りで、アメリカでは称賛され、日本ではケチを付けられるのは承知している。


 ハンダ付けの理論についてのコメントが来たので、参考になる記事を紹介した。 

2020年04月17日

タオルを敷く

 この3日程、極端に忙しかった。注文してあった部品、工具等が、どういうわけか集中して届いたのだ。箱を開けて検品したり、合わないものは削ったりして、ほぼフルタイムで3日程かかって何とかなった。
 一番大変だったのが3Dプリンタによる部品である。外形だけの物は少なく、機能部品が多いので、二次加工が必要である。 実際に組立ててみて、当たるところはないかなど、確認が必要である。コンピュータも触る時間が無かったので、久しぶりに開いてみると、予約していた記事が無いので驚いた次第。メイルもたくさん溜まっていた。
 いつもは数回分の予定稿が用意してあるのだが、1回分の書きかけしかなかったので、今回は短い記事である。



 雲黒斎氏からのコメントを受け、試していた。分解・調整・再組立の時、ネジが落ちたりして探し回るのは避けたい。その抜本的な解決策である。
 氏はラジコンにご興味があるようで、そのような方法を既に経験されたのだろう。

towel 机の上に、タオルを折って分厚い層を作り、その上で分解・組立等をする。試しにネジを落としてみると、タオルの糸がショックを吸収し、ネジは静かに着地する。机の下には、全く落ちることが無い。今まで、菓子折りの蓋などで受けていたが、それでもネジは弾んで落ちた。

 タオルにはいろいろな織り方があるが、軟らかいループのあるものの効果が大きい。ただ、部品がひっかかりやすいから注意が要る。最近はあまり見ないが、カットパイルと言って、ループを切って糸の切り口が見えるタイプは、モノが引っ掛かりにくいので良い。


2020年04月15日

続 炭素棒ハンダ付け装置の増設

 炭素棒ハンダ付けの恩恵に与る人は厚板を使う人であろう。あるいは大きな鋳物部品を扱う人だろう。HO以下の模型では頻度は少ないかもしれない。Oスケールでは、これがないと進まない。
 CLW のキットを組めばその理由が分かる。すべての部品が1 mm以上の厚さを持つ。キャブなど薄板でよいのに、1.6mm厚のロストワックス鋳物の妻板、側板に、0.76mmの厚さの屋根板である。これを完全に隙間なく付けねばならない。イモ付けではなく、階段状にかき取ってある部分をきちんと突き合わせてクランプし、ハンダを置いて加熱する。屋根板を付けるときは、ブラスの針金を直角に付き合わせたところに置いておくと、接着面が広くなり、丈夫に付く。

resistance soldering 既存のタイプの電源を床に置くとケーブルの長さが足らない。机の上では邪魔である。思い切ってテーブルの下に斜めに付けた。
 この傾斜は有効である。わずかに上に向いているだけで、表示が見易く、操作も楽である。放熱も良い。お薦めする。

2020年04月13日

炭素棒ハンダ付け装置の増設

 むすこたかなし氏の素晴らしい着想で、24 V出力のトランスを二段接続する方法を採用した。正直なところ二段接続は好きではなかったが、このトランスの価格を知れば、やるべきであると思った。まだ1000円程で手に入る。筆者はたくさん買って友人に譲った。

 ヤフー・オークションの様子を見ていると、この24 Vトランスはしばらくの間、無限に出てくるような感じである。遊戯機械がそう簡単に低電力化されるとは思えないからだ。いくつか手に入れて内部を見ると、かなり焼けているものがある。酷使したのだ。内部のプラスティック部品が焦げているものもある。温度フューズが飛んでいるものもあるので、それは取り替えればよい。巻線の絶縁は十分にあるので、このような事故品でも問題なく使える。電圧が低いから、事故は起こりにくい。一つだけ、二次線が導通していないものがあった。落とした跡があるので、衝撃で切れた可能性がある。これは巻き替えざるを得ない。時間ができたらやってみよう。3.5 mmsqのテフロン線を少し巻くだけで再生できる。 

 自分用のものは、とにかく出力の大きいものが欲しかった。分厚い砲金(青銅)の鋳物でできた前頭部に、ロストワックスの部品を隙間なくハンダ付けするのはそう簡単ではない。今まではガスバーナで100 ℃あたりまで予熱し、それを保温材で包んで炭素棒で付けた。かなり面倒で失敗も多かった。Dennisのようにアセチレンガスでやれば良く付いただろう。

AC6V 41A 今回出力 41 Aというのを手に入れたので、キャスタ―の付いた台にトランスを二段に積んで、ネジ留めした。さすがに重くて持てない。作業台の下に押し込んである。これは都合が良い。
 ただ、手持ちプローブの電線が太過ぎて固く、取り回しに苦労する。柔らかいものを探している。3.5 mmsqでは電線がかなり熱くなる。耐熱電線だから100℃くらいへっちゃらなのだが、持っている人間のほうが火傷してしまう。5.5 mmsq以上を使わねばならない。8 mmsqはかなり使いにくい固さである。

 作るのは簡単で効果が大きいので、このレポートを参考にして自作されると良い。

2020年04月11日

続 コンテストの結果

 肺炎騒ぎで、原氏の博物館は閉鎖されている。本来なら、4月4日〜4月末まで展示され、その後は返却されるはずであった。それを取りに行って、その足で友人たちに見せ、家に持って帰るはずであったが、延期になってしまった。表彰式は9月にするそうだ。

 本来は5月に渡米し、コンテストにエントリィの予定であったが、それは不可能になった。もっとも、向こうも大変な騒ぎで、そのコンテストも取りやめになっているはずだから、実害はなくなった。しかし、機関車は早く手元に戻したい。少し手を加えて、より静かにしたいからだ。
 以前にも書いたように、テンダの4軸側の動力ピックアップによって発生するトルクが、チェインの許容張力の限界に近いので、急加減速時に少し音がするからだ。2丁掛けにすればかなり静かになる。定速走行時には殆ど気にならない程度の音である。

 筆者の友人たちは、機関車が帰って来るのを待っている。目の前でスリップさせて見たいのである。動画では満足していない。運転させてくれという人も多い。
 慣性が大きいので、運転はかなり難しい。慣れるまで時間が掛かるだろう。

 もう一輌作ってみたい。テンダが大きく、四角い Santa Feの6輪台車のテンダが良さそうだ。パシフィックなので、スリップは 容易だ。ただ、ギヤボックスが横から見えにくいとは言えないので、少々問題である。そういう点では、このセンティピード・テンダはとても好都合であった。

 審査風景の写真が差し替えられている。テンダをわしづかみの写真が消えてしまった。どうして消すのだろう。壊れなかったようで、問題は生じなかったのだ。やったことは仕方がない。消したことで、余計問題が大きくなるのではないか。

 しばらく前、古い画面を再生したもの(HOゲージは和製英語の件)を見せて戴いたことがあった。もし再生可能ならお願いしたい。

 驚くほど大量のコメントを戴いた。放送禁止用語の入っているものは掲載できない。すべてが選考の基準等に関するものであった。落としたのを見たというのも複数ある。そういうところであれば、無事に返してくれるよう祈るしかない。

2020年04月09日

コンテストの結果

 4月4日に結果が発表された。筆者はそれについてコメントできる立場にはないが、様々な方からメイルを戴いた。

 このコンテストは商業的な博物館のコンテストである。筆者は結果をある程度予測していたが、このコンテストに応募するように勧めてくれた友人は、かなり落胆していた。しかし、これによって3条ウォームの露出が増えて、興味を持つ人がたくさん出て来ると言っている。

 原氏はウォームギヤが嫌いであった。スパーギヤ、ベベルギヤによる伝動しか認めないという姿勢を崩さなかったのだ。筆者が3条ウォームを実用化し、逆駆動が可能になってからも、原氏は一切その話題には乗って来なかった。地震で亡くなった魚田真一郎氏は、「あの人も困ったもんだ。どうして認めないのだろう。」と嘆いていた。魚田氏も3条ウォーム派であって、殆どの機関車を改造したのだ。

 原鉄道模型博物館には「ウォームギヤは逆駆動できない」と掲示されている。これはおかしい。否定の証明は難しいのだ。まさにその反例を突き付けている。
 筆者が応募したのは、この掲示を外してもらう良いきっかけになると思ったからである。FEF4の慣性のある動きはテンダのウォームギヤの逆駆動による動力ピックアップによる。もう誰も否定はできない。
 鉄道模型は科学的な思考を育て、それによって再生産されるはずだ。その科学的思考に誤りがあると、その産物は正しい物とは言えないだろう。

 また、先日1980年代後半のミキストを拾い読みした。その中に逆駆動されるウォームギヤに関することが2行程度だが書いてあるのを見付けた。山崎氏はどうして接触して来なかったのだろう。

 今回発表されている写真を見ると、ボイラー脇のラニングボードが派手に曲がっている。持ち方を指定する図まで添えたのだが、ここをわしづかみにされたかもしれない。完全に真っ直ぐではなかったが、曲がりが極端に増している。ラニングボードが薄かったのだが、厚いラニングボードはオモチャ的で、筆者は好きではない。本物もへなへなと曲がっているので、より「実感的」ではあるが、出品者としてはあまり嬉しくはない。
 審査風景の中にもテンダをわしづかみにしている場面がある。これも持ち方の図を無視している。一応補強を入れておいたので生き残っているが、それが無ければ、確実に壊れていただろう。模型に対する愛情、情熱が不足した人が審査しているのだ。補強を入れた判断は正しかった。 

2020年04月07日

可撓ジョイント

flexible joint PA のモータには可撓ジョイントを付けた。本来ならユニヴァーサル・ジョイントを付けるのだろうが、先回の工夫で、推進軸の振れ角が極めて小さくなった。半径2800 mmを走行時で、1度ほどである。より損失の小さいジョイントを使うことにしたのだ。
 内部損失の小さな材料であるから具合が良いが、ただ一つの欠点は伸縮ができないことである。振れ角が小さいから殆ど伸縮は無いが、ゼロではない。相手のユニヴァーサル・ジョイントは中のスパイダが滑動するので 1 mmほど伸縮する。これを使えば、全く問題が無くなる。金属製の伸縮するスプライン付きのユニヴァーサル・ジョイントも用意してあるから、いずれ取り替えたい。

 この可撓ジョイントは様々なタイプのものがある。昔のスプリングジョイントという怪しげなものを、今様に改良したものだ。様々なサイズがある。HOには少々固いかもしれない。要は使い方次第だ。長い軸を使ってモーメントが大きいところなら、軽く曲がるから問題ないだろう。今回使ったのは、両方が Φ2 であったのを、旋盤に銜えて大きな貫通孔にしたものだ。

Flexible drive 3軸を駆動する台車の場合は、3軸目の支え方に工夫が要る。多少の上下動、捻りを許しつつ、トルクを伝えねばならない。軸重は大きい。過去にいろいろな形を試作したが、大軸重の機関車には向かない物ばかりであった。
 そこで、2軸を通し軸にし、3軸目をこの可撓継手で駆動すると解決した。剪断力には十分に耐えるからだ。それが昔のスプリングジョイントとの根本的な違いである。剪断力は、即ち動軸の反動トルクである。ガスタービン機関車にはそれを使ってある。

 こういう部品はまとめて作ってあるので、順次取り替えて様子を見る。 

2020年04月05日

ALCO PA+PB+PA

PA+PB+PA もう30年以上掛かっている。1輌目は1985年に入手した。2つ目のAは1989年だ。Bが手に入らなかったので、スクラッチから作るつもりで図面を描き、作り方を工夫していた。側面上のグリルが他と合わないとおかしなものであるから、全く進まなかった。13年ほど前に Lou Cross氏から Bユニットを譲ってもらい、3輌が揃った。

 動力化もでき、手摺を付ければ、後少しで完成である。久しぶりに箱から出して、並べてみた。重厚である。韓国製のを見たことがあるが、これには敵わない。前頭部の平均厚みは 4 mm位もあって、正面衝突しても原型を留めるであろう。

 補重無しでA unitは 2.7 kgある。Bは軽く1.8 kgだ。前頭部の砲金一体鋳造が効いている。これをボディにハンダ付けするのは、かなり大変であった。ジグを作って耐火煉瓦で押さえ込み、ガスバーナで焙って付けた。Dennisはアセチレンを使えば早いと言った。それは当然であるが、国内では難しい。

 動力は各台車2軸である。アメリカで見た模型は、本物と同じくA-1-Aにして、中央軸を遊輪としていたものばかりだ。これは賢明ではない。ギヤボックスが車体中央に近づくので、台車の回転によって、短い駆動軸が大きく曲がり、角速度が一定にならない。即ち、音がする原因になる。
 1軸を遊輪にするなら、モータに近いところを遊ばせて、ユニヴァーサル・ジョイントを台車心皿に近付けるべきである。そうすると伸縮量が小さくなり、折れ角も小さくなる。 軸はイコライザ+バネで懸架されているので、軸重は同じで牽引力も変わらない。こういうところで「本物通り」に拘るのは賢明でない。

2020年04月03日

続々 アメリカ製キット

CLW SD-40-2 (2) これはebayで買ったものだ。前々回とは全く対照的な方向に行っていて、素晴らしい出来である。炭素棒を使って組んでいる。
 ハンダがすべての接合面に100%流れ込み、全く隙間がない。組んだ人は工学的素養に溢れた人だ。よく考えて組んである。塗装時に塗り分けとなる部分で切り離せるようになっている。またその部分がへなへなしないように補強部材を入れているところは実にうまい手法だ。
 床下には太い部材を貼り付け、衝突に耐えるような作りになっている。

CLW SD-40-2 (1)CLW SD40-2(3) モータはMaxonのかなり大きめのコアレス・モータで、バンドーのコグド・ベルトを廻している。よく見ると多少増速である。この部分の抵抗は、意外に小さい。中間軸は Φ4 のメトリック・サイズのボールベアリングが嵌まっている。
 ユニヴァーサル・ジョイントの位相は正しい。こういうところから考えても、この工作をした人はかなりの能力の持ち主である。

 不思議なのは、すべてのネジがISOネジであることだ。アメリカ人が組んだものでメトリックのシャフトやネジが使われているのは珍しい。モータに合わせたのだろうか。車体の上下を締める部分は厚いアングルをしっかりとハンダ付けし、それにM3のネジを切ってある。細かな部品も、すべてM1.4のタップを立て、ブラスネジで仮留めしてハンダ付けしてある。筆者の理想とする組み方である。実に上手である。
 
CLW SD40-2 不思議なことに、塩化亜鉛を使わずにロジンを使っている。要するに溶剤で溶いた松脂である。裏にはそれがぎっしりと結晶化している。錆びにくいようだが、無いに越したことは無い。リモネンで湿らせて拭き取った。リモネンとは兄弟に当たる分子構造を持つ物質であるから、実によく溶ける。

 手摺等と台車を付ければ即完成、と言えるところまで来たのを売りに出したのだ。どういう訳だろう。上廻りだけで 2 kg弱ある。ウェイト無しで、生地+モータ の質量である。台車は1つ 400 g弱だ。 
 正しい O scale の質量である。よくO scaleはウェイトをたくさん積めるから重いと思われているが、そんなことは無い。韓国製の薄い板を使ったものは軽いから補重するが、アメリカ製、日本製のまともなものは丈夫に出来ているから、生地のブラスだけで十分に重いのである。

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