2017年12月17日

フライス盤の制御回路

 このフライス盤は直流モータで駆動されている。マグネットモータである。困ったことに、磁束が漏れている。モータ側面に鉄片が吸着されるのだ。磁束漏れは出力低下の原因である。いずれ厚肉鉄パイプを被せてみよう。

micromill power unitto fit into the box 制御装置はこんな形である。寸法を測って金属製の箱を買ったが、入らない。箱の前後の妻板が10mmほどオフセットしていて、奥行がないのだ。

ventilation こういう時はいつもの手を使う。妻板に孔をあけて、飛び出させて、それを別部品で覆う。発熱する部品なので、換気用という大義名分も使える。 

 アルミ箱の片方の妻板を、何度か曲げ、疲労させて折り取り、それを後ろに持って行く。ネジ留めしても良いが、接着でも良い。操作盤は手前に持ってきて、底面に接着する。5 mmのベークライト板で嵩上げすると、操作パネルの下端の高さがちょうどよくなる。

nibblerswarf ゴミ箱の上で、電動ニブラ(nibbler)で孔を開ける。切り粉は燃えるゴミでよい。アルミニウム屑はよく燃えるからだ。この程度の切りくずなら、回収する価値はない。


 この道具を使えば、切るのは簡単である。意外とこれを持っている人は少ないようだ。筆者は、エアコンのダクトを構成する薄鉄板をくりぬく作業をすることがある。それには便利な道具であって、安いものだ。これは日本製である。切粉はこのような三ケ月状である。

 電気ドリルに付けるアタッチメントとしても売っているが、これは専用機である。
 0.8 mmの鉄板でも簡単に切れ、切断速度が大きいので楽である。アルミなら、紙を切るような感じで切れる。直線を切るときはガイドを取り付けてそれを添わせて使う。円を切るときは半径を決める定規を付ける。
 機関車の床板に使う1.5 mmのブラス板も、大きな板から切り出せる。切り口は多少凸凹しているのでヤスリを掛ける必要があるが、大した作業ではない。



2017年12月15日

フライス盤を分解する 

 来週あたりにベルト・ドライヴが発送されるようなので、下準備を始めた。

motor gearBlogPaint モータを外してみたら、とんでもないことになっていた。樹脂製歯車が少し下がって(抜けて行く方向)、絶縁用のプラスティック板に当たっている。摩擦熱が発生して、ギヤが変形を始めていた。キー溝がすでに30度ほど回転している。温度が上がって、クリープが起こったのだ。その原因は、ギヤを留めるスナップ・リングの欠落である。もともとなかったのかもしれない。中国製だからとは言いたくないが、ひどいものである。この状態でしばらく使うと、ギヤの中でキーが回転していくのだろう。一周するとどうなるのだろう。 

disassembling gear traindisassembling gear train 2 スナップ・リングを専用工具で外す。めったに使うものではないが、これが無いと作業が困難だ。ギヤを1枚外してみると、その先は鋼製のスリーヴ(ギヤ間のスペイスを稼ぐもの)と、もう一枚のギヤがある。これが固くて取れない。嵌めあいが、きつ過ぎるのだ。


gear pullermill spindle 仕方がないので、ギヤ・プーラを持ってきてセットした。プラスティックの歯車に爪を掛けるのはためらわれたが、壊れても良いのでそうした。この種の道具は、ドイツ車と米車とを持っていた時の整備工具である。よく壊れたが、すぐ修理できるので、部品とパーツを沢山保有していた時代があった。懐かしい思い出だ。
 上端のネジをレンチで廻すと、すぐ抜き取れた。 外すとこんな様子だ。フランジにバカ孔が2個ある。ここにベルトドライヴを付けるのだ。

gear case 箱は外してみるとこんな形である。これだけで、2 kg弱もあった。熔接はへたくそで、ひどいものである。鉄くず置き場に直行だ。

2017年12月13日

続々 turntable indexing

index roller 転車台のインデックス(割出し装置)は、当初の計画をかなり変更した。楔を差し込む形を考えていたが、ローラ・ベアリングが一つ見つかったので、それを押し付けることにした。そうすればスリットに入らずに滑っているときの抵抗は少ないし、潤滑も要らない。 

DSC_0023 ローラ・ベアリングを収める部分は3 mmの板で作り、軸を真っ直ぐ通すために、縦フライスで孔をあけた。刃が長いものは4枚刃しかなかったので、ドリルで適当に穴をあけ、その後でフライス刃を差し込んだ。2枚刃なら下穴なしで切り込めるが、4枚刃ではそうはいかない。一瞬で正確な穴があき、その部分は完成だ。

DSC_0020DSC_0025 前後に動くプランジャ部分は、当初側面に溝を掘ってボールベアリングを偏心スリーブで受けていた。溝の角にボールベアリングのアウタレースが当たると、いつかは減るだろう。重さを別に受ける必要がある。部品を新製し、ボールベアリングを仕込んだ。簡単な工作だが、機械がないとできない仕事だ。

 真ん中にラック・ギヤをはさんで角棒をハンダ付けする。全く隙間の無い、完璧なハンダ付けをした。ラックの背が低いので、別の角棒で下から支えている。
 このような長いものを付ける時には太い針金を曲げて作ったバネクランプで、全体を締める。ネジ式クランプではハンダが中まで入らない可能性がある。もちろん、接着面はキサゲで刻んで、めくれを付けてある。僅かの隙間をあけておくためである。塩化亜鉛飽和溶液を塗って、ハンダを置いてガスバーナで焙れば、できあがりである。切り口を見ると完全に一体になっている。


2017年12月11日

スコヤを捨てる

squares これらのスコヤ(英語でmachinist square、直角定規)を捨てることにした。どれも狂っている。軟らかい材質と組んでいるので、落としたりすると、組んだところが塑性変形したのだろう。
 狂ったのだから直せるが、直してもまた狂う。より狂いやすくなる。
駄目なのは印をつけて箱に投げ込んであったが、先週全部解体して捨てた。ブラスの部分は切り取ったから、いつか何かに使うことになる。ステンレス部分は磁石に付くクロムステンレスであったので、鉄くず箱に入れた。

solid steel square 右にあるのは一体型のスコヤである。これに限る。元はイギリスで作られた形のようだが、今は中国製である。機械の精度で作られているので、どこで作っても同じである。価格は比較的安い。輸入してクラブ員に頒布して喜ばれた。総数100本ほど輸入した。ほとんどが持ち帰ったものだ。

 一度手持ちのスコヤをチェックされたい。愕然とする人が多かろうと推測する。
このスコヤを希望する人が多いので、いずれ再輸入してみよう。
 
composite squares 捨てる時にタガネで根元を割った。驚いたことにスリ割りを入れただけで、刃型の丸味が見える。ということは両端でしか接触していない。当然狂いやすい。ハンダ付けしたこともあったが、またすぐ狂ったのはこのせいだ。

 X-1のベルトドライヴは、間もなく入って来る。写真が送られてきた。まじめな男で好感が持てる。


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2017年12月09日

困った3条ウォームギヤ

 最近3条ウォームギヤに出会うことが多い。模型人の友人が見せてくれるのだ。しかし、少々頭が痛い。

 動かないと言って、筆者に文句を言う人が居る。そう言われても、その設計には関与していないのだから、文句を言う相手が間違っている。
 模型用3条ウォームは筆者設計のもの3種、某模型店製の2系統しか国内にはないと思っていたが、もう一つあった。それは後述するが、出来が良くて、ちゃんと逆駆動できる。

 HO 用のものは2条で以前話題に上ったが、2:30という割り切れる歯数で感心しない。
 今回見たのはO用のものである。動かないというのでそれを見ると、進み角が小さい。ウォームギヤの径が大きいからだ。3条であるのに進み角が普通の1条と大差ないのである。これではだめである。

 筆者が発表した記事には全ての情報が詰まっている。
 進み角を大きくすること、材質を違えること(快削鋼とリン青銅)、潤滑油は二硫化モリブデンを含むものを使うこと、ギヤ比は互いに素にすること、スラスト・ベアリングを使うことである。
 それらをすべて守れば、必ず正しく動く。しかしながら、そんなことは何一つ考えていない。真似をするならすべて真似をすれば良い。こちらは特許申請していないのだから、直接問い合わせて来てもよいはずだ。喜んで教えただろう。間違ったものが世に出て、それが本家の評判を下げているとは思わなかった。いい迷惑だ。

2017年12月07日

続 modifying tailstock

 いろいろなところに手を入れた。本来旋盤という機械はそういうものである。買っただけで性能を発揮できるということは無い。使う人が手を入れ、部品を手作りして、はじめて、性能を発揮するのである。この記事の機械はやや凝り過ぎだが、素晴らしいものである。

 大切な点は、スピンドルの精度である。ベアリングのガタがなく、心押台のセンタとぴたりと合えば、まず問題ない。その他の部品は気が済むまで改良していけばよい。改良用の部品は無数にある。昔はそれが何処に売っているのか見当もつかなかった。工具屋に行って聞いてもよくわからない。

 町工場の社長が一番よく知っている。友人の父君には色々なことを教えてもらった。様々な部品も貰って、それを加工して使った。アッと驚くテクニックもあって、勉強になった。
 最近「ミニ旋盤を使いこなす本」久島諦造著 を再度熟読した。ほとんどのことは頭に入っていたつもりだったが、チャックに入らない太いドリルでワークに孔をあける方法には再度驚いた。ゆうえん様が「パズルゲームのようなもので」とおっしゃったが、本当にその通りである。

 模型工作の蘊蓄を語る人は多いが、旋盤を持っている人は少ない。旋盤を持てば、人生観が変わるはずだ。少ない金額で、これほど楽しめるものはない。模型屋に行く回数は激減するだろう。

moving support  写真は自宅の旋盤で、転車台のシャフトを挽いている様子だ。自分で改造した移動振れ止めで支えながら、Φ40の砲金の棒を中グリしている。刃物も自作である。刃先の位置が振れ止めの位置と一致するところがミソである。写真では拭き取った後でよく分からないが、ワークの外側にはグリースを塗って作業する。昔鉄砲鍛冶に手ほどきを受けたので、中グリは得意である。  
 シャフトは最大限に太くして、剛性を大きくしないと、回転橋の動きが珍妙になる。

2017年12月05日

modifying tailstock

tailstock2 テイルストック(心押台)は、既製品のままでは具合が悪い。繰り出し量が少ないから、何とかしようと思っていた。畏友U氏が同じことを考え、改造されたことを知った。左ネジを切った長い押し棒を作られたのだ。筆者も自分で作ることにし、材料のS45Cの丸棒を調達した。長いから、削るときに中間を移動振れ止めで押さえねばならない。その準備もして、左ネジを切る算段をしていたのだが、久し振りのことでネジ切りの歯車セットをどこにやったのか、思い出せない。
 もたもたしているうちに、U氏が作って送って下さったので、ありがたく頂戴し、嵌め替えた。ネジが長くなったので、MT-1のテーパ・シャンクが長過ぎる。U氏に教えてもらった通りにテーパ部を22mmとした。何で切ろうか迷ったが、結局のところ、Brass_solder氏のアイデアで糸鋸で切った。1本12分かかって、糸鋸刃は1本折れる。計算通りだ。

 この旋盤のテイルストックには他にも問題があった。繰り出しのリミッタを兼ねるネジが、こちらから向こうに、水平に押している。これではセンタの心が出ない。
 やはりU氏も同じことを考えられ、スリ割りを入れてネジで締める形にされている。早速、1 mm のスリ割りを入れた。鋳鉄だからと甘く見たのはとんでもない間違いで、切削油を大量に使っても、切るのは苦労した。後で油の処理が大変であった。

 肉が薄いのでやや心配したが、M5のネジを立てて、セレーションのついたネジで締めた。この方法では全体を絞るので、センタが出る。当然、締める座はフライスで削って平らにした。
 廻り止めを兼ねた繰り出しリミッタは、20 mmずらして先端に近いところにM4タップを立てた。短いネジを締めたら、それだけで一発で解決した。

modifying lathe 刃物台も、セレーションの付いたクランプネジで締めた。道具を使わなくても操作できるので楽である。よく使うところはこれに限る。目立つ色にしたのは正解だ。
 刃物台が鈍く光っている。軽く面取りを施し、ゴム砥石で研いだのだ。来たばかりの時はフライス目が出てザラザラであった。ザラザラだと錆びやすいのだ。 

2017年12月03日

共通点

 Tortoiseなどは常時通電式である。微弱な電流で動くモータを使っている。所定の範囲を動いて停まると、その先は、直列につながれた抵抗にほとんどの電圧が分配され、モータは単なる電線であるから、熱が出ず焼けない。50年前、父がアメリカ製のエアコンの電動弁をばらして、驚いていたことを思い出す。それは、Honeywellの製品であった。それは、いわば「電気的辷り」とでも言うべき方法である。

 要するに通電しても仕事にならない「辷り」を生じさせて、無視できるほど僅かな発熱を承知で使っているのである。その動作をメカニズムで実現したかった。共通点は「辷り」である。

 モータが動き、ラックとピニオンで所定の位置まで行って当たると、発生する推力によって軽く押し付けられている。
 電力供給が止まれば、逆に押されて戻るようにしたい。機械的辷りを作り出さねばならない。単純な摩擦式ではいずれ壊れる。電気的な処理方法はあるだろうが、筆者の方針には合わない。

 このメカニズムは様々な図を描いて検討した。ノッチの向きもそうだが、直線で曲線を近似するのをやめて、外側にもう一つの回転するドーナツ状の板を作り、それから内側へトングが出る方法も考えた。しかし、それはあまりにも複雑で、摩擦が大き過ぎる。

 簡単にして、何十年も全く故障なく使える、というものでなければならない。今回採用のアイデアは15年ほど前に思い付いたのだが、なかなか使う機会が無かった。

 さて、どんなメカニズムであろうか。


2017年12月01日

推力を一定にする

versine 転車台のindex(割り出し装置)はnotch(切込み)にtongue(楔状のもの)を差し込んで行う。相手は回転するから、位相差はトングの長さに影響する。
 要するに正規の位置にあれば短いが、多少ずれたのを戻すので、その時にversineが無視できない。僅かな距離だが、それをバネで補うとエネルギィが溜まるから、中心に行きにくくなる。正規の位置から外れた位置の方が、安定だからだ。それではセンタリングが効きにくくなる。

 慣性で回り続けようとする重い円盤のノッチにトングが差し込まれた時、ダンピングが働き、軽くブレーキが掛かることも要求される。別部品としてエアダンパをいくつか作ってみたが、大げさであるし、動きも要求を満たさなかった。
 トングを差し込むにはネジ式、ラック式などの方法があるが、バネを介してモータで押し込むと、エネルギィが蓄えられてしまうのだ。外れた位置から元に戻るときは、復元モータが働くのだが、その時抵抗少なく(多少のダンピングを伴い)所定位置に行って欲しい。軽く、いつも一定の力で、押し込まれていてほしいのだ。この解決法はなかなか難しい。

 これらの諸問題を同時に解決する方法を模索していた。一つにはTortoiseに代表される常時通電式のポイントマシンを使うことだが、これは逆駆動が難しい。トータスのギヤトレインの効率が良くないし、そのモータは普通の有鉄心マグネットモータだからだ。より高効率のメカニズムはできるが、その後の保守などを考えると得策ではない。要するに、壊れようがないメカニズムが必要なのだ。

2017年11月29日

rack & pinion

broken plastic rack 春先に自宅のWashlet(TOTO製)が壊れた。比較的高級な機種(TCF815)で、購入して4年ほどであった。故障ではなく、壊したのである。最低だ。


 使用中に、バリバリメリメリと音がして、ノズルが引っ掛かって止まった。押しても引いても動かない。突き出したままだから、トイレは使えない。仕方なく安物を買ってきて、仮に取り付けた。外したものを営業所に送って修理してもらおうと思ったが、現場での修理しか受け付けないと言う。こちらの都合など全くお構いなしで、取り付けた状態しか駄目だと言うのだ。取り付けられている状況を見ないといけないと言う。
 何が知りたいのかと聞くと水圧、水質、電源、日照の有無、気温、湿度だと言う。すべての正確なデータを測定して送ったが、屁理屈を付けて、「現場で」と言い張る。
 再度取り付けたら、トイレは使えない。滅茶苦茶な方針を押し付けようとする会社だ。出張費が欲しいのだろう。見掛け上の修理費を安くする方便に違いない。押し問答の末、正確な訪問時間を決め、元に戻した。

 当日、修理を見ていたら、内部のノズル繰り出し装置がフレクシブルなラックであって、それが折れていた。疲労したのだ。それはプラスティック(多分ナイロン)のラックの中に編みワイヤを封入したもので、いかにも細い。座屈して折れるのは、当たり前だ。
「なんだ、設計が間違っているじゃないか。」と言うと、修理員は申し訳なさそうな顔をして、「この機種の修理はすべて無料でさせて戴いています」と言う。最初からそう言えば良いのに。リコールの対象であるはずだ。購入者に不便を強いている。
 代替部品はかなり太く、これなら折れないだろうという形であった。座屈発生というのは、設計者にとって最低の失敗だ

 こんな設計はダメである。今回の転車台のメカニズムの設計は、それを見たときの印象が、大きく影響している。


2017年11月27日

続 turntable indexing

ring gear リング状の歯車を作った。もちろん既存の歯車の内側を削ったのだ。ボス付きの歯車のボスを銜えて廻し、所定の半径に中グリをする。
 DROの無い旋盤で、中グリをするのは怖い。うっかり削り過ぎると失敗だ。もう余分の材料は無い。何回も寸法をチェックし、2/100mmずつ削って、滑り込みにする。ボスから切り離した瞬間に、このような状態になる。 これをパイプに嵌めてハンダ付けする。モータでパイプを廻すと、ラックが出入りするのだ。

 ラックによる伸縮はネジ式に比べると利点が多い。ネジは逆駆動ができないのだ。もちろん三条ウォームのように進み角を大きくすればよいのだが、そんなネジを作っている暇はない。ラックとピニオンなら単純なメカニズムだ。ラックは十分に丈夫な太さにして、転がり摩擦で受けている。ガタはなくした。

 今回作っている装置は、すべて逆方向に力が掛かると滑らかに戻る。インデックス(割り出し)の動作で所定の位相で停止するが、制御者の意思が働いていない時は自由に回転できる。制御にはリミット・スウィッチは使わない。スイッチがあると、いかにも機械仕掛けで動いています、という感じを与えるからだ。つまり、玩具っぽい動きになる。本物はとても重いので、カチンカチンと動くことは無いのだ。あたかも人間がそこに居て、動かしているような感じを与えるような設計だ。

 要するに人間が意思を持って押しているような動きである。力を入れて所定の位置に持って行く。そこで力を緩めると、別の力が掛かっている時は、逆に動き始めるのだ。言葉では説明しにくいが、試運転を見た人は非常に驚き、「機械の動きのようには見えない。」という言葉が出た。

 すべての機構は、2度作り直した。

2017年11月25日

セレーション

tailstock 旋盤、フライス盤の整備を続行している。様々な留めネジをレヴァ式に改造している。六角レンチで毎回、締めたり緩めたりするのがとても面倒だからである。
 フライス盤の場合は、その位置にDROを付けたのでレンチが入りにくい。ネジの当たり面が浅いところにあるときは、座面を相対的に近づける必要があり、座面を削った。鉄鋳物だから、簡単に削れる。

locking lever この種のレヴァは作動位置を選んで、一番都合の良いところにネジの位相を決められる。締めるのは角度で30度くらいの範囲だから、その範囲が手の届きやすい向きにあれば、邪魔にもならず好都合だ。

 中のネジ頭の外周には刻みがある。これをセレーションという。綴りは serration である。大昔にその言葉は父から聞いたが、綴りを知ったのは30年ほど前である。語源は、ラテン語の鋸だ。シエラ・ネバダ山脈の Sierra とも関係がある。スペイン語でシエラは鋸、ネバダは雪である。雪の積もった鋸山という意味だ。
serrationserration2 要するにギザギザがあって、レヴァの内側にもそれと噛合う内歯がある。バネで押し付けられているから、それに逆らって持ち上げて位相を変える。ギザギザの歯型は、当然インボリュートではない。

 似たもので、スプラインがある。 splineは、軸上で動力伝達を行いながら移動する場合である。様々な歯型があり、最近は多数のボールを用いて滑らかに動くものもある。インボリュートもあるようだが、星型とか、六角とかいろいろなものがある。 
 
locking lever2ZAMAC 最近自宅のフライス盤の留めネジが壊れ始めた。シーズン・クラックである。使おうと思うと、割れて下に落ちている。4個のうち2個が壊れた。力を入れたときに壊れたわけではない。

 中国製だからということもあるだろうが、ダイキャストは信用できないことが分かる。最近の中国製の鉄道模型はどうなるのか。ダイキャスト製はいずれこのように割れてしまうのだろうか。


2017年11月23日

等角逆捻り機構のあり方

 先回で、T氏による解説が終わった。
 客観的であって、自説を売り込もうとか、俺は専門家だぞ、というところが全くない素晴らしい考察であったので、掲載させて戴いた。これで、この範疇のことは一応の決着が付いたように思う。小難しい学術用語は極力排除して戴いてあるので、誰にでも読めると思った。
 本来、こういう原稿はTMSに載せるべきであったが、もうすでにそういうこともできなくなりそうだ。

 過去に何回も論じたことだが、イコライザとバネは切り離して考えるべきである。議論の前に、ルールを決めなければいけない。自分の都合の良い方向に話を持って行くために、異なる次元のものを持ち込もうとする人がいるからだ。

 弾性梁というものを持ち出したい人もいるが、それは「バネ」と「イコライザ」を同時に用いている。
 世の中のどんなものも、完全な剛体ではない。しかし剛体と考えて理屈を考えようと言っている。その部材は多少撓むのなら、そのファクタを、別に「バネ」として考えるべきだ。しかし、模型のように小さなものは、事実上剛体として考えて良いのである。ヤング率が一定だから、モーメントが小さい時は曲がらないと考えて、何ら問題ではない。
 「バネ」は曲がるような形に作られている。コイルバネをよく見て戴きたい。細かく見ればよく分かるように、原理はトーション・バーなのだが、それを極端に長くしてあって、微小区間での捩じりは目に見えない。しかし全体では、その総和としての伸びが観察できるほどになっている。

 さて、天秤棒…は作ってみるまでもなかったが、簡単な実証モデルを作ってみた。作動状況は極めて良くなかった。「使い分け提案」にもあったように、車体の慣性モーメントの小さな、軽いモデルには使えるのかもしれないが、Oスケールでは全く駄目である。車体がプルプルと小刻みに振動し、おもちゃ以下の状態である。
 バネで台車を留めた車輌は、この天秤棒…と力学的に等価であるが、調整すれば良い走りを示すし、揺れ加減も具合が良い。ダンピング(振動を減衰させること)のおかげである。
 普段ダンピングを考えない人は多いが、それは摩擦の多い模型が大半だということの裏返しなのである。摩擦を減らすと、ダンピングが必要であることが分かる。
 理屈をこねるばかりでなく、実証モデルを作ってみられたい。しかし、それをしない人が多過ぎるのである。実験は大切だ。 

 コメントを寄せて戴きたい。

2017年11月21日

第6章 各種等角逆捻り機構の使い分け提案

(8回連載の8回目)
 最後に、ここまでの考察を通して各機構の使い分けについて考察します。なお、ここでは「ロンビック」を強制的に等角逆捻りさせるリンク機構の代表としています。魔法使いの弟子ヨー軸シーソーの方式もロンビックと同等でしょう。

 それでは、
ロンビックイコライザ(以下
Rh式と略)」
フカヒレイコライザ(同
F式)」
ロール・トーション・バー等角逆捻り(同
RT式)」
ピッチ・トーション・バー等角逆捻り(同
PT式)」
4
つについて考えます。

 Rhは基本的な原理が確立していますし、ガタや弾性変形を伴う動きが無いので、等角捻りを必要とする任意の車輌に搭載できると思います。

 次にFは図3のように斜め軸を回転軸としているので、厳密にはロール以外の運動が含まれてしまいます。そのため、ボギー車の場合、台車の回転に伴って、回転軸と台車ピッチング軸の成す角が近付くと、レイルのピッチングの影響を受けやすくなります。この条件になるのは、全長が短く、車幅の大きい(つまり回転軸がロール軸に対して大きな成す角になる)車輌で、しかも台車の回転角度が大きい、つまり急カーヴを曲がる車輌の場合と考えられます。これはちょうどナローのカブースなどではないでしょうか。このような車輌ではFはピッチングの影響を受けやすいと推察します。

 RTは、既に説明したとおり、軽量の小スケール車輌に簡単に組み込むのに向いていると思います。ボギー車の場合は、台車回転軸がロール以外の動きをしないように、何らかの形で拘束しないといけないでしょう。捩じりバネだけで輪軸を支持するには帯板の使用が有用と思われます。根本的には短編成に用いる二軸車に使用する簡易な方式だと思います。

 PTも前述のとおり、ピッチ剛性が弱いので全長が短い車輌が向いていると思います。あえてピッチングを弱くするのも、動きに面白味を与える上では良いかもしれません。

 最後に、これらの使い分け案を表1にまとめて掲載します。

表1 各等角逆捻り機構の使い分け案まとめ


 

名称

 

提案名

 

原理

 

動作

確実性


工作性(上)

調整性(下)

 

考察結果

ロンビックイコライザ
リンク式強制等角逆捻り全般)

リンクによる
強制ロール等角逆捻り



○〜△

工作が可能ならば全般的に良好

フカヒレイコライザ

上記を簡易化し、
バーサインを、
リンクの小さなガタで
巧妙に吸収



台車が大角度で回転する小型ボギー車には懸念有り

天秤棒イコライザ

ロール・トーション・バー等角捻り

バネ釣合による
ロール軸等角逆捻り


○〜△


小型二軸車などに容易に設置可

90度捻り天秤棒

ピッチ・トーション・バー等角捻り

上記のピッチ軸版



短尺小スケールの
二軸車等に有用



2017年11月19日

第5章 輪軸の弾性支持に関する考察

(8回連載の7回目)
 輪軸の弾性支持(要するにバネを利かせること)は、小型模型では【質量 バネ定数】の比率が本質的に実物と同値にできない上に、輪軸の変位が実物よりもはるかに大きいため、非常に難しい課題です。

 見掛けの動きだけを実物的に見せるのであれば、変位を最小限に抑える非弾性支持の等角逆捻りで良いと思いますが、ジョイント音や弾性的な動きに魅力を感じる様でしたら評価が全く異なると思います。ちょうど中間的ないわゆる「天秤棒イコライザ」、ロール・トーション・バー等角逆捻りは、ロールだけを弾性支持にしたものですので、ワークス
K氏の言うように「軸座バネ式の自由度を減じたもの」でしょう。こちらはイコライザ同様に変位を最小化可能であり、バネ長が長いため比較的大きなロール角度の変位に対応できるというメリットがあると思います。

 また、
HO程度の小型模型で輪軸を弾性支持にする場合、実物のバネを模した物をあきらめて、実物よりも細くて長いものでなければ、輪軸可動の効果を得ることは困難でしょう。その意味でも「天秤棒」のような長いバネは小型模型用には使いやすい構成です。例えば長いバネ2本をちょうどレイルと平行に床板下に這わせて、それで前後の輪軸を支持し、その2本のバネの中点で車体と結合するなどの応用もあると思います。



2017年11月17日

第4章 ロール軸の高さに関する考察

(8回連載の6回目)
 ロール軸高さの議論は、第1章で考察した通り、実車は車輌全体の図心軸を中心に捩じれますので、実車の近似的再現という意図であれば、回転中心は床上よりさらに上でも構わないと思います。ただし、模型としての機能性を考えますと、ワークスK氏の提唱される線路面と同一高さにロール軸を置きますと、車体の「レイル面に対する移動量」(地上座標系での車体変位)を最小化できます。(純粋な輪軸のロールのみなら重心高は変化なし=仕事しない)
 
 したがって、模型の線路に存在する大きな誤差に対しても、不自然に大きな車体の揺れを低減できると思います。また、コン氏が提唱されるロール軸を車軸高さ(輪軸のロール方向の図心)とした場合、車体と「輪軸との位置変化」(輪軸上に置いた座標系での車体変位)を最小にできます。なお別の視点から見ますと、ロール中心高さが連結器高さと大きく離れていると、連結運転で重牽引している際に曲線(特に登り勾配)で連結器からロール方向モーメント成分が大きく生じるので、ボディーが倒れやすくなる懸念があります。特に弾性支持の場合が気になるのですが、ロール・トーション・バー等角逆捻りでは床板近傍にロール軸(トーション・バーそのもの)があるので、連結器からのロール・モーメントが小さくなり問題は少ないでしょう。

 また逆説的に、ロール軸を高くするほど線路の誤差に対して車体が大きく変位するので、自由形などでは、あえてロール軸を高くして、フラフラ、ユラユラとユーモラスな走らせ方をさせることもできると思います。つまりロール軸高さは車輌に与えたい特性や工作性を考えて個々に判断する要素ではないでしょうか。



2017年11月15日

第3章「90度捻り天秤棒イコライザ」(ワークスK氏考案)についての考察

(8回連載の5回目)

図4
4 天秤棒90度逆捻りの概念図
 まず、「90度捻り天秤棒」の機構をワークスK氏がどのように意図されたかを考えます。記事を読みますと、ロール軸ではなくピッチ軸でトーション・バーを用いるという意図のようです。したがって、機構は図4のように考えられます。この図から、機構の名称についても、「ピッチ・トーション・バー等角逆捻り」で整合性が取れるかと思います。この機構は下段のようなイコライザ台車と等価です。さて、この機構は原理的には等角逆捻り効果があるのですが、長手方向に長い車体のピッチングをトーション・バーで支える構造であり、トーション・バー長も最大で車幅までと短いため、調整が難しいことが懸念されます。逆説的にいえば、ピッチング剛性を弱く作れるので、19世紀の馬車の車体を用いた客車のような模型の再現には良いかもしれません。小型の二軸車ならば比較的調整も容易ですし、柔かい動きを再現できると思います。なお、調整性能向上の案としては、ワークスK氏のブログでも示されていますように、イコライザ台車同様、支持バネを別途用意するのが良いのではないかと思います。


2017年11月13日

続 第2章「天秤棒イコライザ」に関する考察

図3(8回連載の4回目)
 図
3に「天秤棒イコライザ」「フカヒレイコライザ」「ロンビックイコライザ」の3つの機構を概念図で示します。ここではトーション・バー(捩じり棒バネ)は模式的に弦巻バネで示しています。図上では▲が輪軸との支点、▽が車体と機構の接合点(ともに自由支持)として記述しています。「天秤棒イコライザ」にはリンク機構はなく、輪軸同士がトーション・バーでつながっていると考えられます。このトーション・バーが小林氏の言う「天秤棒」です。そして、この機構はトーション・バーの長さの二等分点にトーション・バーとロール方向に剛な支持点(トーション・バーの左右にある2つの)を設けて、この支持点でボディーのロールを拘束するものと考えられます。このトーション・バーが支持点前後で同じ捩じりバネ定数を持っていると仮定すれば、輪軸間のロール角度を二等分する点でボディーを支持しているので、等角逆捻り効果自体は持っていると考えられます。この効果は、ボルスタ下にコイルバネが入ったボギー車と同じ原理とみなせるでしょう。しかしながら、この構造は輪軸のロール角度とボディーのロール角の差分が「イコールになる」のは確かですが、軸重平準化の機構とは言い難いと思います。さらに、輪軸の捻じれが生じた状態では、トーション・バーの反作用のトルクを線路が受け持つため、左右の車輪の支持荷重(輪重)が異なってしまい、かえってイコールではなくなってしまいます。その様な意味で、イコライザと言うのは少々無理があるというのが率直な意見です。

しかしながら、見方を変えれば、前章の図2で示したように、実物も車輌のロールの捻じれで力学的な仕事が発生しているのです。その意味では実物の車体の弾性捻じれの近似と言う意味では、却ってこちらの方式の方が近いものかもしれません。

 さて、それでは、この力学的な特性を元にこんな名前を考えてみました。「ロール・トーション・バー等角逆捻り」です。この方式のメリットは何よりも単純な構造です。トーション・バーが捩じりだけを支持するように注意さえすれば、バネ長が長いので剛性の調整がルースでも作動します。また、トーション・バーにヨー方向の機能を持たせないために帯板を用いるのは簡単で良い方法だと思います。他にも、工夫次第でバネ特性を色々いじれるので、軸バネ独立懸架よりも簡単にバネ効果のある動きや走行音を工夫できると思います。ただし、ボディー全体のロール回転拘束をトーション・バーだけに頼っているので、ボディー重量が重いOスケールなどのラージスケールではボディーのふらつきを抑えるため、輪軸の捩じれを止めてしまうほど堅いトーション・バーにせざるを得ず、等角逆捻りの効果が得られないでしょう。


 なお、ダンピング性能については、軽い小スケール小型車輌模型の場合、ダンピングが強すぎるとバネが中性点まで戻ってこない懸念(工学的には内部応力が残留した状態)が考えられます。結局はボルスタと床板の摩擦程度でのダンピングが現実的かと思います。

 まとめますと、名称としての「天秤棒イコライザ」は力学的な整合性としては少々無理があると思われますので、ロール・トーション・バー等角逆捻り」という名称を提案します。また、用途としては、その簡単な工作性とバネ特性の調整のし易さが生かせるので、小スケール(HO 以下)の2軸車等で有用な方式だと思います。



2017年11月11日

第2章「天秤棒イコライザ」に関する考察

(8回連載の3回目)

 ロールに関する概念を整理したところで、
TMS 876号で小林氏が発表された「天秤棒イコライザ」について考察します。既にdda40xコン氏ゆうえん氏ワークスKらが十分考察されているので、今回は、名称と力学的性質を比較するという側面からのみ考察します。つまり、「天秤棒」と「イコライザ」の2つの言葉からアプローチします。


「天秤棒」は一般的に両端に作用する同一方向の
2つの荷重を受け、中央支持点でバランスをとるものと考えられます。TMS 876号の最初の写真1で指先に機構を載せている写真はまさに天秤棒です。しかしながら、車輌に組み込まれた時、この機構は天秤棒として作用しているとは言い難いと思います。理由としては、ボディーの支持点が輪軸直上のボルスタの2箇所とロール留めのネジ留め箇所の1点であるためです。少し譲歩して、ボディーを中央のネジ留め箇所の1点でボディーの荷重を支持していると仮定しますと、確かに天秤棒を上下逆転させた形です。ところが今度はボルスタと床板が接触してはいけないことになり、TMS記事での解説に矛盾します。したがって、力学的な意味では「天秤棒」という名称は少々無理があると思います。

次に、「イコライザ」という名称についてです。そのためにイコライザの一般的な定義を確認しておきましょう。イコライザとは「イコールにするもの」、すなわち平衡装置のことです。さて、このイコールとは何をイコールにするのでしょうか?一般的には軸重を平準化するものと推測されます。もちろん、常に軸重を平準化できるわけではないですが、基本的には目標とする軸重に近づけるリンク機構を示すものだと思います。その観点から、天秤棒イコライザを考えましょう。そのために「天秤棒イコライザ」の機構原理を整理して、イコライザとしての条件を満たしているかを確認していきます。
                      (この章続く)



2017年11月09日

続 第1章 等角逆捻り機構の考察 

(8回連載の2回目)
 三点支持イコライザや等角逆捻り機構は、この誤差だらけの線路に足廻りだけを追従させる機構です。特に等角逆捻り機構は、通常の三点支持よりも車輌の振る舞いが比較的「実感的」であるという所に特徴があると言えるでしょう。その振る舞いを図2の下段右側に示します。つまり、実車の車体の捩じれの様子を、足廻りの捩じれ角度の半分のロール方向回転で近似しているのです。例えるなら、切れ目のないフランスパン一本が、それ自体は捩じれることなく、線路の捩じれ角の半分だけロール軸周りで回転しているというイメージです。

ここでもう一つ余談です。ヨーロッパHO車輌等に見られるハイフランジ固定軸は「脱線防止」以外の機能を妥協したものと理解しています。その代りに全軸集電やスケールスピードに徹した駆動機構など別の側面から実感的な走行をカバーしているのだと思います。


 さて、ここからは少々踏み込み、ロール捩じれに関する力学的な仕事について、実車と模型を比較してみましょう。まず、模型の等角逆捻り機構について考えます。こちらは単なるロール方向の回転なので、バネを捩じる様な(弾性変形を伴う力学的な)仕事をしている訳ではないことが分かります。厳密には重心高さとロール中心が若干ずれているため重心変動による微小な仕事は発生していますが、本質ではないので無視します。等角逆捻り機構が本質的には仕事をしないことについては、
dda40x氏のブログにも記事があります。

 ところが、実車はボディー全体が弾性変形しているので、捩じりによる仕事が入っているのです。つまり、実車はボディー全体が非常に弱いトーション・バー(捩じり棒バネ)として機能しています。ただし、映画の話にも書きましたように、実物は大きく捩じれると壊れてしまうので、あくまで微小な捩じれ角度範囲での話です。



2017年11月07日

等角逆捻り機構の考察 

 等角逆捻り機構に対する考察を、T氏に寄稿して戴いた。8回に亘って連載する。

           目次
第1章 等角逆捻り機構の考察 (2回に分けて連載)
第2章「天秤棒イコライザ」に関する考察 (2回に分けて連載)
第3章「90度捻り天秤棒イコライザ」(ワークスK氏考案)についての考察
第4章 ロール軸の高さに関する考察 
第5章 輪軸の弾性支持に関する考察
第6章 各種等角逆捻り機構の使い分け提案 



 dda40x氏へのコメントを機に、等角逆捻り機構に関する私見の発表の機会を与えて戴きました。僭越ながら、6テーマで記述します。なお、dda40x氏、コン氏、ワークスK氏、ゆうえんこうじ氏らの記事を拝見した上での考察ですので、重複等はお許しください。

第1章 等角逆捻り機構の考察 (基礎事項)

最初に等角逆捻り機構の考察に向けての基礎事項をまとめます。ほとんどの方には釈迦に説法でしょうから、図を見て「当たり前だ」と思われる方は、ここを読む必要はありません。

図1最初に、車体の回転および捩じれの座標軸を確認しておきます。図1の様に車体の前後方向(レールと平行)の回転軸をロール軸、左右方向(枕木と平行)をピッチ軸、鉛直方向(床板に垂直)をヨー軸と言います。等角逆捻り機構はロール軸に関する捩じりの議論であることは言うまでもないでしょう。

図2次に、実車と模型のロール運動に関する概念の違いを示します。図2は車輌が捩じれた線路上にある際に、実車と模型(等角逆捻り機構搭載)がどのような振る舞いをするかを模式的に描いています。下段左側の実車ではボディーのロール剛性が低い(柔かい)のでボディー全体が捩じれています。例えるなら、学校の物理実験室にあるウェーブマシンのすだれの個々の棒の上に、スライスしたフランスパンのような輪切りのボディー要素が載っているというイメージです。もちろん、実車は厳密には足回りにバネ装置他、線路の誤差をある程度緩和する装置を搭載してはいるのですが、それでも最終的にはボディーが捩じれを吸収するような設計になっているように思います。
 
 なお、余談ながら私のお気に入りのディズニーの実写映画
"The Great Locomotive Chase"(南北戦争で南軍列車を北軍がハイジャックした史実を元にした映画)の脱線シーンでは、築堤上で脱線した木造ボックスカーが捩じれながら崖下へ駆け下りていくのですが、最後は地面の捩じれに耐えられなくなって、屋根がカパッと外れて車体全体が崩れます。実車はそれほどロール方向の剛性が弱く、柔かいのです。

一方で、小型模型ではボディーのロール剛性が高い(堅い)ので、ボディーに捻じれを吸収させる機能は全く期待できません。それにも関わらず、小型模型には、実物よりも非常に大きな誤差(実物換算で数以上)がある線路の上を「脱線なく」、しかも「集電を伴って」、「実感的に」(カタカタせずスムースに)走らせることが求められます。この要求を満たすには、車体とは独立して足廻りを線路の誤差に追従させ、その足廻りと車体の変位差を吸収する積極的な機構(イコライザなど)が必要となるのです。
                       (この章続く)



2017年11月05日

turntable indexing

turntable indexing 転車台のメカニズムの製作は少しずつ進行している。スケッチだけで作っているのだ。長年に亘って故障しない構造にした。電気接点を一切なくし、摺動部を完全に排除して転がり摩擦のみにした。
 また、部品が疲労して折れることもないようにした。また、何かの異常があっても、すべての部品が安全サイドに傾くようにしてある。メンテナンスはほとんど要らないが、後日誰でも修理できるようにした。歯車には埃除けを付ける予定だ。
 歯車比は100:17とした。互いに素であり、ピニオンの歯数は14より大きい。こういう歯数を選ばないと音が大きくなる。やかましい車輛の大半は、ピニオンの歯数が少ない
 
 図面を描こうとも思ったが、1台しか作らないし、測定値を書き込みながら作図しなければならないので、個別のスケッチで用は足りることが分かった。
 今まではそのスケッチを元に自宅のフライスで削って、翌日合わせてみるという作業をしていたが、進捗があまりにも遅い。間違えて作ってしまって、作り直したことも多い。

 先月、小さいながらも稼働するフライスが来たので、仕事はかなりスピードアップされた。現場での修正が効くのは良い。移動の途中で部品を紛失することもなくなった。大きな物は自宅で作業する。

 インデックスのV字溝も切れた。これは 3/8インチ(9.5 mm)のボールベアリングが嵌まって動作する。それが直線状に動く溝を作っている。摺動部が全く無いように設計した。そうしないと長い間には磨り減って壊れてしまう。意外と力が掛かる部分なのだ。分厚い材料をふんだんに使う。

 廃品回収の店で手に入れたブラスのブロックを有効活用する。たいていは帯鋸で切った切れ端なので、メタル・ソウで大まかに切り、フライス盤で六面を仕上げて使う。切り粉が大量に出る。こういうものは快削材であるから気楽だ。あっという間にできる。材料が潤沢にあるので、設計は楽だ。いつもは、手持ちの材料で作るという制約があって、工夫が必要であったが、今回は好きなように設計できる。

 ブラスのはずなのに、とても切りにくい t4.0 の板がある。凄まじく粘く、歯が喰い込む。難削材用の刃物に取り換え、切削油を塗りながら作業する。ドリルで孔をあけると硬い螺旋状の切り粉が出る。折り曲げても折れない。ネジを切るのは大変な作業だ。これで機関車の台枠を作れると思っていたが、やめることにした。行き先がなくなったので、こういう大きな構造材に、惜しみなく使っている。  
cutting with coping saw この材料は黄色みが少なく、少し緑っぽい。大体の見当はつく。多分高価な材料(対海水の抵抗力がある合金)だろうが、タダ同然で手に入れた。1200×160(mm)もあって、切るのが大変だ。試しに糸鋸に油を付けて切ってみたが、30分かかった。もちろん糸鋸は3本消費した。確かに12分で折れるというのは正しい。切り口はフライスで落として真っ直ぐにする。

 いつも行く廃品回収の店に、切り粉や切りクズを持って行き、多少の追い銭を払って、ブロックや大きめの板と取り替える。スクラップがバケツ二杯(40 kg弱)溜まったので、そろそろ行く時期である。強力な磁石で鉄のクズを全て取ってから行く。そうしないと買い取り価格が下がってしまうのだ。
 鉄クズはまた100 kgほど溜まったので処分する。隠しヤード建設や、あちこちの補強に使った鋼材のクズである。こちらの買取価格は 、タダの次の価格であって、ガソリン代も出ないほどだ。と言っても、元は廃鋼材を拾ってきたものばかりだから、文句は言えない。

2017年11月03日

続々 micromill X-1 改造

122f43d2 このX-1は、Z軸の移動が重いのが腹立たしい。ヘッド部分の質量は
12 kgほどあるのだろう。降ろす時は自重で下がっていくから良いのだが、上げる時は大変だ。ハンドルが折れはしないかと思うほど、重い。その重さを何とかして釣り合わせねばならない。滑車を付けてカウンタ・バランスを付けるのが良いが、埃もつくし、スペイスの問題がある。また、釣合い重りが12 kgもあれば、さらに重くなる。

 筆者の自宅の機械には、オイル入りのエア・スプリングを付け、突っ張らせている。たまたま入手したエア・スプリングがとても具合がよく、全く重さを感じさせない。留めネジを緩めると、指先でヘッドが上下できる。目的のところで留めて、Z軸をゼロ設定すればよい。あまりにも軽快で、それに慣れていたので、今回のX-1の重さには根を上げた。

 モノタロウで一番小さいのを探して、150 N(約15 kg重)というのを購入した。細くて都合が良い。取り付ける場所は垂直に動くところが良いのだが、多少斜めになっていても全く問題ない。ネジを立てて、皿ネジで取り付けた。鋳鉄の加工は楽しい。
 ストロークが70mm程度しかないのだが、ヘッド自身が30 mmほど上下するので、都合100 mm程度動く。これは万力の高さ62 mmを含めても十分なストロークである。
 X-1の購入者で、Z軸が300 mmも動くことを必要とする人は、まずいないと思う。本当はZ軸上下用の送りネジを外して捨てたかった。同時にカラム(角柱)も上の方を100 mmほど切り捨てたかった。送りネジを切り縮め、ハンドル位置を下げれば良いのだが、今回は諦めた。
 
 どちらかというと、下げるのに力が要るようだ。120 N を買えばよかったかもしれない。贅沢を言えば、オイルが入ったダンピングの効くものが欲しかったが、これで十分である。
 この種のオイルレス・ガス・スプリングは消耗品であり、いくらでも手に入るものであるから、安物で十分である。
 
 先回の解答はコメントで発表した。今回の工事にも使用している。また、国内でも類似品が入手できることが分かった。この種の工作をしない人には、理解が難しいかもしれない。皿ネジの心が合っていない状態でネジを締めると、首が疲労してたちまち折れることを経験された方なら、この工具の意味はすぐ分かるだろう。
 このドリル径は3.2 mmすなわち1/8インチである。日本製のものはやや小ぶりである。

2017年11月01日

続 micromill X-1 改造

 Y軸DROは、ボール盤の穴深さ測定用に買ったのだが、その必要性もなく、放置されていたものだ。リモート表示になっているので都合が良い。
 アルミ・アングルに孔をあけ、切り落として取り付け具を作った。アルミ合金は粘いので、ネジが切りにくい。良い切削油を付けて、作業する。
 
Installing DRO 上から見た図で、下が左側である。本体に孔をあけ、同様の方法でネジを切る。Y軸方向に取り付け、読み取り装置の裏に金具を付けて、Y軸に平行に動くことを確認する。それに厚目のリン銅板を付け、Y軸テイブルに接着する。これも微妙な反りを吸収させるためだが、事実上、動きは見えない。もし反りが変わるのが見えるようなら、取り付け位置が間違っているのだ。

 接着にはスーパー召鰺僂い襦M郎泪好廛譽い任茲油気を取り、1日放置する。

 フライスのテイブルの座標は左手前を(0,0)とする。要するにテイブルが左に動くとX軸の数字が増えるようにする。また手前に動くとY軸の数字が増えるようにする。これを逆にしているものを見たことがある。本人しか使わないのでそれでも良いだろうが、一応常識というものは踏まえておきたい。
 当然Z軸もテイブル面がゼロ点だから、スピンドルが下に動けばマイナス方向である。Z軸DRO化はベルトドライヴ化が終わってからになる。リモートの表示器が手に入れば良いのだが、最近はどれを見ても高い。数字を首を傾げて見なければならない。昔は安かったのだが。  

 ベルト化改造部品は12月中旬到着のようである。注文された方は、電気部品を収納する箱を手に入れておいて戴きたい。本体の蓋を開けて、中の電装品ユニットの大きさを測定し、それが収納できるプラスティック製箱を用意されると良い。アルミ製でもブラス製でも良い。とにかく、さっと入替できるようにしておくべきである。現行の金属製の箱部分は、ごっそり外して捨てることになるからだ。
 現在の状態を写真に撮っておくと結線状態を確認しやすい。一度線を切り離すと作業が早くなるので、準備されることをお勧めする。


drill bit  ところでこれは何だろうか。電気ドリルに付けるものである。アメリカのホームセンタで30年前に買った。日本では見たことが無い。下の方に見えるらせんは、ドリルの刃の一部が見えているのだ。角のみではないから、触っても痛くない。先端が円錐台になっているのがヒントである。ここまで書くと、答を書いたようなものだが。 


2017年10月30日

micromill X-1 改造

micrimill DRO equipped 無期限貸与、実質的には寄贈されたX-1は完全に分解し、ネジを日本製に取り換えた。以前自分の旋盤やフライスを整備した時に買ったネジがまだ残っていたので、簡単な作業であった。中国製のネジは首がちぎれることがあったので、事前にその要因を排除したわけだ。カミソリ部分を念入りに調整し、全く引っ掛からず、滑らかに動くようにした。これには時間を掛けた。

 いくつかの部品を削ってみたが、普段からダイヤルを見て仕事をしていないので、うまくいかない。何度も間違えてしまい、あきらめた。自宅で部品棚を漁ると、DROが2本出て来た。落として先が曲がり、使えなくなったデジタルノギスも1本ある。それらを使って3次元DRO化してみようということになった。

 ブラスの角棒を斜めに削って沈め穴をあけ、テイブルに取り付けた。鉄鋳物だから、ドリルで穴を開けるのは簡単だ。出てくる切り粉は微粉状で、触ると手が真っ黒になる。グラファイトのせいだ。作業している穴の下に強力な磁石を置くと100%集められる。

 タップでネジを切るが、相手が鋳物であるから、低速の効くインパクトレンチで何度も往復させて切った。電動工具を正確に保持していれば、折ることはない。要はトルクだけが掛かるようにすることだ。少しでも重くなれば直ちに逆回転して、抜き取る。もちろんインパクトが効く前に止めなければならない。切削油は要らない。含まれているグラファイトが有効に働く。

 X軸DROを取り付ける。これは自宅用に買ったのだが、少し長さが足らず、取り替えたものだ。本体の裏にはリン銅板を曲げて取り付け、一端は本体に接着剤で貼り付ける。この取り付け方は簡便で、なおかつ多少の反りなどを吸収させることができる。斜めに付けると見易くて良い。
 もう一つのY軸の表示は並べて付けるが、それは水平にするから勘違いもなくなる。 

2017年10月28日

続 物理的考察

 先日博物館に、元国鉄で当時の新型特急の保守に当たっておられた高齢の方の来訪を受けた。現場をお見せすると、列車の規模にかなり驚かれたようだ。アメリカの鉄道には接することが無かったそうなので、それは当然だろう。

 最初の質問は、「フランジの摩耗にはどのように対処しているか。」であった。実物はフランジで曲がっているのだ。それは当然だが、この博物館の模型は違う。

「模型の線路の曲率は大きいので、フランジが当たると抵抗が大きくて走れませんし、仰るように磨り減ります。ここではフランジの手前のフィレット部分を大きくして当たらないようにしています。」と答えた。非常に不思議そうであった。
 実物関係者はだいたい同じ質問をする。実物と模型は違うのである。遠心力は無視できる。計算をするとすぐ分かるが、フランジに押し付けられることはない。同じだと思う人もいるようだが、実験しなくてもわかることだ。フランジが触るのは、ポイントで尖端レイルによって曲がる瞬間だけである。それも10番以上では、ほとんど触らない。

 カント (superelevation) も然りである。これについては以前にも書いた。カントは単に見栄えを良くするだけである。
 このように実物と模型は違うのであるが、自説を曲げない人はいる。走るところを見れば一目瞭然なのであるが、見たくないのだ。模型は実物と同じというファンタジーから抜けられないらしい。

 ところでRM Models の最新号に、筆者の作品が載っているそうだ。関西合運の記事の右上の方にあるとのことだが、田舎に住んでいるので本屋がなく、まだ見ていない。


2017年10月26日

物理的考察

 自動車競走に勝つ工夫を集めた動画がある、という連絡を受けた。なかなか面白い。グラファイト粉末、要するに鉛筆の芯の粉(Greasemという名でKadeeが売っている)を軸受に塗ると良いそうだ。液体による潤滑とどちらがよいかは、実験しなければ分からない。軸を曲げるという話も実験しないと分からないだろう。軸を磨くのは当然だ。
 筆者は、軸重の大きい後輪がガイドレールに触れると損だと思い、少し拡げて触らないようにしたことを思い出した。せいぜい1.5 mm程度(片側で0.75 mm)だ。
 重心を後ろに持って行くのは、効き目が格段に大きいらしい。これは実感できる。

 ついでにいくつかの動画を見たが、最近はかなり進化しているようだ。どれもこれも素晴らしい走りだ。30年前とは全く違う。アルミ合金引抜きのコース、ディジタルでの時間測定、着順判定は常識になってきた。


 人の乗れるsoapbox car derbyのレースは、ますます盛んになっている。これについては有名なインチキ事件があった。噂として広まっていたが、最近はそれがウェブ上ですぐに検索できるところが凄い。

 模型は木製の押えを、ゴムの張力などで瞬時に外すことによって発車する。乗用のものは大きいので、鋼パイプ等で作った押えを急に前方に倒すことによって発車する。 
 ある切れ者は、車の再前端に電磁石を付け、発車時に搭乗者のヘルメットを後ろに押し付けることによってスウィッチを入れるようにした。押え金具はバネによってバチンと倒れるので、それに吸い付けられた車は一瞬前に出る。こうしてレースでは軒並み優勝したのだが、誰も気が付かなかった。
 役員の中に疑いを持つものが出てきて、X線写真を撮ることになった。インチキはバレて、過去の栄誉はすべてはく奪され、なお且つ裁判で相当額の罰金を払うことになったそうだ。その理由は子供の非行を助けたというものだ。数回の優勝で止めておけば、永久にバレなかっただろう。

 このレースには物理学者がかなり貢献しているそうだ。これ以上できないというところまで来ているという。


2017年10月24日

続々 pine wood soap-box car

 どうしてこのような話を書くのかというと、鉄道模型は走らねばならないからである。見かけがよく出来ていても、牽けない列車では良くない。
 よく走り、壊れず、脱線しない。この三つがないと面白くないだろう。物理的な考察は必要だ。

 pine wood car derby でも全く一緒だ。
「形は素晴らしく、色も凝った仕上がりにしてある。素晴らしい流線形にしてある。でも走らない。」では駄目だろう。
 個別の理論はあちこちで聞く。「車輪とレイルとの接触点ではヘルツ応力が・・・」とか、様々な蘊蓄を聞くが、模型には関係のない話だ。
 様々な工学的知見は、その応用される領域では考慮せざるを得ないが、模型のような小さな力しか掛からないところで、そんな話をしても仕方がない。このような蘊蓄を語る人の模型が素晴らしいかというと、それとは関係なさそうだ。筆者も本物の様にレイルを内側に傾けると良い事があるかと思ったが、実験してみると、まったく変化はなかった。

 車を流線形にすると速くなるか、というのと同じだ。この程度の速度では真四角の車でも結果は同じである。何の効き目が大きいかということを見つけ出せないと、問題は解決しない。 


 先日例の数学者と久しぶりに会って話をした。よもやま話の中で、突然微分方程式の話をし始めた。彼曰く、
「話の中で、相手が『微分方程式で解かないとダメなんだ。』とか言い始めたら、その人の話は疑ってかかったほうが良い。」と言う。

 あまりにも唐突な話で付いていけなかった。
「そうなのかい?」
「世の中のほとんどの現象は、頭を使えばそんなものを使わなくても解けるし、微分方程式の大半は解けない。近似値しか求まらないんだ。話をごまかすためにその言葉が出てくるんだよ。気を付けるべきだ。」
 彼がそんな話を突然振ってきた背景も話してくれた。

 そうかもしれない。思い当たる話は筆者にもある。その件は、自分自身で微分方程式なしで単純な解析問題として解けたのだった。

 関西合運と自動車レースは関係なさそうだが、大いに関係があった。

2017年10月22日

続 pine wood soap-box car

pine wood car dervy そこにあったどの車も低重心にしていた。それが正しいと信じているのだろう。筆者はコースの出発部分に目を付けた。かなりの角度で持ち上がっている。ある程度進むと平坦になってゴールだ。

 重心が車体中央にあると出発時に稼げる位置エネルギィが少ない。車体後部に重心を持って行けば、持ち上げられる量が大きくなるから、蓄積されるエネルギィが大きくなるはずだ。あまり後ろに持って行くと前輪が浮いてしまって脱輪するから、錘を移動して、重心をホィール・ベースの 4/5 に持って行った。もちろん4つの車輪のうち、最もよく廻るもの2つを後ろに付けることにする。

 次に支給された車輪とクギを使わねばならないから、クギをよく研磨した。そのクギが通りそうなちょうど良い太さのパイプがあったので、タイヤの中心に差し込んだ。友人宅で旋盤を借りて作業したから、心は出ている。釘を挿して、歯磨き粉を入れて空回しした。少し黒い汁が出たところで研磨完了で、よく洗っておいた。
 車輪に自由度があればいろいろな工夫ができそうだが、それは許されていない。重い車輪にすると軸の摩擦が減るが、慣性モーメントが大きくなる。いろいろなことを考えねばならないだろう。

 次の土曜日の朝、子供たちにこれまでのことを話し、組んでミシン油を注した。
廊下で滑らせると素晴らしい走りであった。摩擦を減らすことは大切である。

 午後にボーイスカウトの集会に行って、エントリィした。車体は子供の描いたとおりのややクラシックなフォーミュラ・カァの形で、銀色に塗った。”No.1”と書いたものを貼っておいた。

 新人は順位の低いところから始まる。当初の試合では順当に勝ち進んだ。そのあたりではまともに走らない車ばかりだったので、こちらの性能には誰も気が付かなかったようだ。順当に勝ち進んでベスト8になると、皆よくできた車ばかりだ。

 最終の決勝では、1馬身以上の差をつけて優勝した。2位になった子供が悔しがって、再レースをすることになったが、やはり同じように差をつけて勝った。地区別の大会だったので、ご近所の人たちは大喜びで勝利を祝ってくれた。
 しかし、なぜ速いのかを質問する人はいなかったのが、不思議だった。翌日、大学で親しい物理の教授にその話をすると、非常に面白がって、筆者の戦術を褒めてくれた。
 翌週彼は、「コースの形をどのような形にすると、いちばん短時間でゴールに到着するようになるか」という問題を作って、学生にやらせていたようだ。


2017年10月20日

pine wood soap-box car

 Pinewood Derby Trackコースを見せてもらった。こんな形である。出発地点はかなりの角度で持ち上がっていて、押えを外すと数台が同時に発車する。写真はグーグルからお借りしている。
 動力はない。位置エネルギィを運動エネルギィに変えて、後は摩擦で速度が減衰していく。ただそれだけである。単純極まりないが、走りを見ていて閃いた。

 速い車は摩擦が少ないのは当然だが、コースの形を考慮している人はいない。車体の質量は最大値が決まっている。車輪・車軸は支給されたものを使う。車体幅、長さ、高さには制限があるが、色、装飾には何ら制限はない。

 息子たちにレースへの出場の話をすると、盛り上がった。速いのを作ってくれと言うのだ。それでは絵を描けと言うと、大きな羽根を付けたロケットエンジン推進のものを描いた。制限にひっかかるので、それは却下した。それでは、と描いたのはよくあるタイプのものであった。でも後ろに小さい羽根を付けてくれと頼まれた。形を良くすると速くなると信じているのだろう。先をとがらせるという注文も受けた。

 筆者の頭の中にはあるアイデアが固まっていた。物理的に勝つ方法だ。 

2017年10月18日

走りについて

 会場を一巡りして気が付くのは、油切れの車輛があることだ。キーキー言うのだが、それを見とがめる人が居ないというのは、不思議である。
 筆者はあの音は生理的に受け付けない。すぐに退散したが、そのまま運転したのだろうか。
 フル編成の客車列車があるのだが、重くて牽けない。「機関車に力がない」という表現を聞いたが、そうではないはずだ。すべて牽かれるものの責任だ。客車の台車をよく整備して注油すれば、直ちに解決するはずだ。 
 中学校の理科の問題なのだが、解決は難しそうだ。凄じく細密な車輛もいくつかあったが、走りは見ていない。

 帰宅した晩に、先述の木片を見つけた。その木片と会場で見た車輛との関係が結びついた。 
 あれは近所の子供の同級生の親から渡されたものだ。近々ある行事があるので、準備してくれというのだ。
 はじめは何か分からなかった。土曜日の午後、集会所に行くと子供も親も何人か居て、あることをやっている。見せてもらったのは自動車の模型である。走行用のコースも作ってある。毎年使っているのだろう。組立式であった。木製でかなり大規模なものだ。

2017年10月16日

関西合運

OBJ 今年も出掛けた。何か新作を持って来いということなので、半年前に作った Old Black Joe と貨車2輌だけを持って行った。本当は塗るばかりまで完成したPullmanの8輌編成を持って行くはずだったのだが、ついに天候不順で塗れなかった。


 Oゲージのレイアウトは舞台床面に平で置いてある。高さが無いので残念である。せめて30cmでも持ち上げることができればかなり良いのだが、会場の都合でできないらしい。持って行ったものは陳列台に飾ってあったのだが、鎮目氏が、「走らせて見せてくれ」と言うので、彼のスクラッチビルトのタンク車14輌を牽くことになった。見物人は牽かないだろうと思ったらしいが、するすると牽き出し、順調に加速した。
 高効率のモータと効率の良いドライヴのなせる業である。全くと言ってよいほど無音で走った。貨車は1輌が 600g 弱ある。軸受はピヴォットではなく、プレーンである。Φ2のステンレス軸をブラスの軸受で受けている。よく注油されているから、かなり摩擦は少ない。

 ステンレスは摩擦が小さい金属なので、よく研磨してあれば、かなり抵抗は少ない。平坦線なので、軸受の摩擦抵抗と曲線抵抗である。Low-Dであるから、曲線抵抗はかなり小さい筈だ。暗算で必要な牽引力を計算した。1.0から1.4 N程度だろうと推測したが、もっと小さかった。
 機関車はΦ25のステンレスLow-Dを流用しているので、牽引力は少なく1.3 N 弱だ。モータの出力から計算して、補重してあるので、ぎりぎりのところでスリップしてモータが焼けないようになっている。直線では牽き出せるが、曲線では引っ掛かるかもしれないと思った。しかし、かなり余裕を持って走った。鎮目氏はLow-Dの効果を見て、感慨深げであった。  

 板バネが効いていて、フログを渡る音が重々しい。ここに等角逆捻り機構だけを使うと、軸重が大きい時は、ゴトゴト、コツコツという音がする。もちろんバネを介せば、問題ない。
 機関車が全く左右に振れない事にもご注目戴きたい。車輪の精度が高いから、二軸車でも安定している。また、重ね板バネの緩衝のおかげでもある。コイルバネではこうはいかず、ふらふらする。電流は、起動時で130 mA、巡航時で60 mA 程度である。


2017年10月14日

home-made Set-Tru

How it works 筆者はこのSet-Truが欲しかったが、何年も買えない時期が続いた。仕方がないから作ってみようと、寸法を当たってみた。

 細いネジは、M4くらいの鋼製ネジを使えるだろう。やや太い貫通孔はかなり大変だが、あけられると思った。その場所もないわけではない。

 問題は左のフランジの突出部が小さく、移動ネジが当たる場所がほとんど無いことであった。ネジ移動を諦めれば、コンコン叩いて移動できるから、それで我慢することもできる。

 大真面目でその作業工程を考えていたことがあるが、結局改良工作はせずに、Set-Tru に移行した。たまたまe-Bay で新古品が安く出ていて、競争無しで2万円ほどで手に入ったのだ。しかもアメリカ製であった。運が良かったとしか言いようがない。

 現在新品は、安い店でも10万円ほど出さないと買えないようだ。しかもポーランド製だ。品質は悪くないと思うが、高過ぎる。

 コレット、万力(vise)、正直板等は良いものが欲しい。昔のアメリカ製の新古品をいつも探している。

pine wood 2pine wood 3pine wood ところで、ブラスの材料置き場の敷き板として、こんな物を使っていたのを見つけた。
 30年ぶりに発掘されたのだ。さてこれは何であろうか。鉄道とは関係がないが、アメリカで少年期を送った方ならだれでも知っているだろう。ボーイスカウトに子供たちが誘われたときに、これを渡されて、親も手伝って参加せよと言われたのだ。 汚れはご容赦願いたい。
 いくつかお答を戴いているが、正答の発表は、しばらくお待ち願う。

2017年10月12日

truing 3-jaw chuck

 以前にも書いたが、何人かの方から詳しく説明してほしい、という要望があった。この方法は町工場では広く行われている方法であり、難しいことではないが、旋盤の教科書ではまず見ない。

 条件としては、スピンドルがフランジを持つことである。要するに三爪チャックがそのフランジを覆うように嵌まり、ネジを主軸台側から締めるタイプであることだ。まず三爪チャックで各サイズの丸棒をつかみ、廻して振れを測定する。たとえば 0.5 mm振れていれば、チャックをある方向に 0.5 mm動かせばよい。

 三爪チャックがバックプレートを介して付けられているときは、手間はかかるが、細工は簡単だ。バックプレートのネジ穴を大きくする。
 振れを無くする方向にヤスリで削ってしまえばよい。沈め穴があるときはフライスで削る。なければドレメルでも削れるだろう。一回で成功することは難しいので、二、三回やってみて、具合を見る。バックプレートに段があるときは、下記の方法をおすすめする。小型旋盤にはこのバックプレートは無い場合が多い。

adjusting center バックプレート無しの場合は、スピンドル・フランジの外周を 0.5 mm削る。もちろん面取りを施す。チャックが、ごそごそと 1mm ほど動くだろう。その遊びの中で振れを吸収する。フランジの、ネジが通る穴をヤスリで少し大きくする。チャックをネジで軽く仮締めし、丸棒をくわえて廻す。振れが少なくなる方向に、チャックをプラスティック・ハンマで叩いてずらす。何度も測定して、誤差をゼロに持って行く。そこでネジを本締めしてできあがりだ。
 慣れると、この工程は2分でできるようになり、四爪に勝るとも劣らない精度を出せる。コレットを持たない人には具合が良い方法だと思う。

 この工程を心押し台方向からできるようにしたのが、Set-Tru chuckである。最小の5インチを手に入れたので、出来の悪い四爪は廃棄した。使うたびに腹の立つ思いをしていたので、ストレスが無くなった。現在新品を買おうと思うと、とんでもない価格である。程度の良い中古を探すべきだ。そうするとアメリカ製が買えるかもしれない。

 心を出すことを英語で truing という。 

2017年10月10日

転車台のドライヴ

Drive Wheel 少しずつ進んでいる。駆動用にスイス製のエスキャップのギヤード・モータを使う。いつ手に入れたのか正確には思い出せないが、アメリカのセールスマンに押し付けられたものだ。しばらく使いみちがなかったが、最適な用途が見つかった。

 出力軸でゴムタイヤ駆動する 。そこに使うタイヤは、良いものが見つからなかった。ラジコン屋で買って、油に浸けておくと、ことごとく劣化する。半分諦めていたところだったが、車のエンジンオイルを替えているときに、Oリングを見て閃いた。

 オイルフィルタの固定に、耐油ゴムの太いものを使っていた。これを嵌めれば、耐久性は抜群だ。ブラスの丸棒を旋盤で挽いて、ちょうど嵌まるものを作った。留めネジを二つ付けてできあがりだ。低回転だからバランスもとらなくてよい。回転速度もほどほどである。

 駆動時のみ押し付けられ、普段は浮いているから、歪まない。いつも押付けられていると、ゴムは変形してしまうから、変な振動が出る。
 この押付けのメカニズムは、現在製作中である。長年の使用でもへたらない構造である。接点は一つもないというところがミソである。おそらく世界で初めての方法だろう。
 このメカニズムの基盤は自宅のフライス盤でできる最大のサイズで、無理をしないように工夫して作っている。

2017年10月08日

pizzacutter

 4日のクイズの答は、表題のような形をした、炭素棒ハンダ付けの回転電極である。長いシルとかヘッダを連続して付けることができる。実に調子が良い。コン氏に材料を作って戴いた。あとは自作である。 コメントは本日公開した。コメント以外にもたくさんの方からメイルを戴いた。

 不思議なのは、皆さんは現物をご覧になったことがない筈なのに、正解を出されたことだ。黒いものはグラファイト(炭素)で、電線が付いているから、推理によって答を出されたのだろう。お見事である。

 グラファイト円盤は今野氏に作って戴いたのだ。大きさは直径80 mm程である。軸穴は Φ10でお願いした。Tavata氏のコメントにあったように、中心部に電流が集中するので、電流が分散するように径を大きくしている。
 軸は旋盤で挽いたΦ9.2のブラスで、0.8 mmの隙間に0.4 mm厚のブラス板を丸く曲げたものを圧入して、接触を確保している。ただ廻っているだけでは、ここが熱くなってしまう。軸にはフランジが付いていて、ネジで締めてあるから、接触面積は十分だ。

 先々回の写真の緑の線は仮のものである。現在はもっと太いテフロン線で接続してあるから、耐熱性は十分だ。製作中の客車のシルとヘッダをハンダ付けする時に用いる。
 ハンダメッキしておいて一端を曲げて引っ掛け、引張りながらゴロゴロと押すと、秒速 10 cm弱でハンダ付けが完了する。隙間が全くない完璧なハンダ付けである。動画を撮る必要がありそうだ。


 連絡:yardbird様、連絡したいことがあります。コメントを通じて連絡ください。

2017年10月06日

ミニ旋盤

Lathe この旋盤も無期限貸与ということになった。この写真は置いてみて、位置関係を調べたときのもので、ゴミだらけである。



 高級機ではないが、整備すれば十分使えるので、有難く受け取った。付属部品にコレットがあったので、コレット専用機として使うことにした。小物をある程度の量、細工するには便利なはずだ。
 三爪は使わないことにする。この国で作られたチャックは材質が軟らかく、締めたときにカツンと締まらないのが嫌だ。

 心が出ていないが、それは価格相応で、文句を言ってはいけない。この価格で心の出ている三爪チャックがあるわけがない。チャックだけに数万円ほど出して、日本製を手に入れれば話は別だ。通販サイトで、この機種に対する不満コメントにそれがたくさん見つかるが、常識がない人たちである。ヤトイを作るか、コレットか生爪を使うべきだ。あるいは、スピンドルのフランジをやや小さくして、チャック全体が少し動くようにし、ずらして締めるという高級テクニックもある。
 筆者が最初に買った旋盤は、ネジ込みのチャックだったので、その方法が採れなかった。1mm弱偏心していた三爪は、爪を砥石で擦って調整し、ある程度心を出した。

 旋盤というものは、使う人が工夫して使うべきもので、買ったらすぐ所定の性能が得られると思うのは間違いだ。しかし、精度を出す準備作業について書いてある手引書は、まず見ない。

collet chuck 筆者はこのような小型機は使ったことが無いので、練習が必要だ。いずれDROを付ける。
 この機種は、感心なことに、ベルトドライヴになっている。


 中国製の機械はどれも手触りが良くない。何を触ってもざらざらしていて、角が手に痛い。油目のヤスリで、すべての角を一舐めしてから、ゴム砥石で磨く。レイル磨き用のもので十分だ。

 丁寧に擦ると、つるつるしてくる。手になじむ感じがしてきたら、よく掃除する。砥石の粉があるといけないので、掃除機で丹念に掃除し、溶剤スプレイで洗い落とす。
 摺動部に注油して動かしてみた。ベアリングのガタを調べるために、快削材をコレットに銜えて表面を一舐めしてみる。十分な性能である。

 後ろのガードの背が足らないような気がする。Swarf (キリコ)がどのように飛ぶのか研究してから、追加を付けることになるだろう。

2017年10月04日

workbench

work bench X-1は意外と重く、36 kgほどもある。それを載せる台が必要だ。厚いムクの台を考えた。イチイの木で分厚いのがあるが、ちょいともったいない。
 15 mmのシナ合板の切れ端が大量にあるので、それを貼り合わせて、45mmの天板を作った。接着剤が固まるまで、四隅をクランプで締めた上、100 kgほど重しを載せて一昼夜放置した。下部は15mmの板を組合せて作った。棚を補強材として、ネジと接着剤を十分に使って作ったので、ひねりに対する剛性は大きい。

with guard ウレタンニスを十分に浸み込ませて固め、ヤスリを掛けてケバを取った。例のグレイのペンキをたっぷり塗ってできあがりだ。Swarf (キリコ)が飛ぶので左右と後方にはガードを付けた。それにはプラスティックが貼ってある化粧合板を使った。汚れが取りやすいはずだ。


milling machine on the work bench このX-1は、長いテーブルを付けているので、40 kg以上ある。一人で載せるのは大変で、片方ずつ持ち上げては、下に木材を井桁に組んだ。椅子の高さまで持ち上げたのち、抱えて載せた。低い位置で重いものを持つと、腰を傷める可能性があるからだ。


Quiz ここでクイズを一つ。これは何だろう。正解は10月8日号で発表予定。

2017年10月02日

micro mill X-1 

 小型縦フライス盤にいわゆるX-1という機種がある。SIEG という中国の会社が作って、日米欧に輸出していた。最近は新型に代わったようだが、筆者の友人は、かなりの方が、この機種を持っている。モータ出力をスピンドルに伝えるギヤトレインの設計があまりにも拙い。ガラガラゴロゴロとやかましい。たまに歯が折れることもあるらしい。

gear train そもそもこんな所に歯車を使うのがおかしい。旋盤でもフライスでも、こういうところには、ベルトを使うのが常識の筈だ。刃物がワークに喰い込んでしまった時には、急停止するだろう。その時、ベルトが滑るか、切れるかすれば安全である。歯車では止まらないから危険であるし、多分この材質では歯が折れてしまう。それを狙っているのかもしれないが、賢明な方法ではない。
 
 最近、知人からX-1を無期限貸与された。博物館で使え、ということなのだ。やかましいので蓋を開けて驚いた。中学生の設計かと思ったほど、稚拙な設計である。
 筆者のフライスはもう一段大形のもので、それもギヤを捨ててベルト式に改造してある。友人の U氏の希望で、X-1用のベルトドライブ改造キットをアメリカから取り寄せたことがあるので、それを再度取り寄せようとしたのだが、数年前に廃盤になっていた。再生産はないそうだ。アメリカではすでにX-1が市販されていないからだ。交換用歯車だけは売っている。しかも金属製の歯車も高価だが売っている。歯が折れないから、かえって危険だ。使いたくない。

 図面を描いて、あちこちに打診しているうちに12台以上なら作る、という店が見つかった。仲間内で既に半分以上は捌けたが、それを見て欲しがる人もいるので、見切り発車しようと思う。デザインは少しシンプルになるが、3段変速で、最高回転数が今の2倍以上になる。細いエンドミルを折ることが減るだろう。上記リンクの写真よりも機能的な設計にする。読者の皆さんの中で、これを欲しいと思われる方があれば、お知らせ願いたい。

お知らせ
募集は締め切りました。(10/28)

2017年09月30日

Platform を作る

 Dennis は、「お前のところは、まだ駅が作ってないな。」と言う。彼は筆者のブログを克明に見ているようだ。
「この支柱を持って帰れ。」と言う。13本貰って、12スパンの上屋を作ることにした。ロストワックス鋳物のかなり頑丈なものである。一つ 130 gもある。

umbrella この種の支柱を英語でUmbrella と言う。傘である。台風でひっくり返った傘の形だが、そう言う。また「辞書に載ってない。」と、文句を付けられそうだが、しょうがない。3/16インチ(約4.7 mm)径の基礎に挿す棒も付いている。”umbra”は影という意味のラテン語である。ヘンデルの有名な歌に「オンブラ・マイ・フ」というのがある。「(気持ちの良い)木陰で」という意味だ。
 
 Raton の駅でプラットフォームを見てきた。レイル面から 10 cm 程度高いだけだ。列車が来ると、高さ 20 cmほどの台を置いて、客車のステップに上るのだ。
 プラットフォーム自体は箱型にするつもりだったが、作るのが面倒だったので、15 mm のシナ合板を幅を揃えて切って、貼り重ねた。色はコンクリート色を調色して手塗りした。わざと刷毛目を付けてそれらしくしたが、目立たない。地下道らしきものを作る予定だ。出入り口の階段を数段付ければ、それらしく見えるだろう。
 この厚さの合板は、長い端材をたくさんもらってある。ご希望の方には差上げている。

 アンブレラの色はずいぶん考えた。ロス・アンジェルス駅のアンブレラはオレンジ色であった。かなり目立つから使えない。昔オグデン駅で見たのは濃い緑(クロム・グリーン)であった。その色を調色して、塗った。かなりの艶消しだ。屋根は1 mmのアルミ板に溝を切って、押し曲げた。アルミ材は軟らかいので薄い板では平面が出ない。当初0.5 mmの板で作ったが、すべて作り直す羽目になった。


2017年09月28日

poling

 アメリカの蒸気機関車のパイロットとテンダ後部の連結器梁には、必ず付いている凹みが poling pocket である。Big Boyにさえも付いている。この凹みの中心線は外向きであるのだが、魚梁瀬森林鉄道のシェイのポケットはどういうわけか上を向いている。 輸入したものの、部品を組み付けるときに意味を計りかねて、上向きに付けたのだろうと推測する。当時の日本では、ポーリングを誰もやっていなかったのだろうし、その後もやっていたという話は聞かない。

 その凹みに木製の棒を当て、相手の貨車の端梁のポケットに合わせる。そうしてそおっと押せば貨車は動き出す。棒は、力が掛からなくなれば落下する。田舎の側線ならそれで全く問題ないが、大規模なヤードでは、落下した丸棒が事故の元になるだろう。

S5_Poling_Car_No_data 落ちなければ問題ないわけだから、専用貨車の側面に関節を作って一端を付け、重心を小さなクレーン等で支えたものが現れた。それがpoling carである。この専用車を用いて、poling はより安全にはなった。この写真は L&N 鉄道のものであるそうだ。紐で棒を吊っている。この写真はMRの掲示板から借用している。

 しかし、1970年頃に何かの法律ができたらしく、大手の鉄道会社ではポーリングは廃止されたようだ。筆者の持っていた Indiana Harbor Belt の 0-8-0 のテンダにはこのpoling poleが専用のホルダに掛けてあった。

 Pennsylvania州のEast Broad Topというナロゥの保存鉄道では、このポーリングをやっていた。実際に筆者の目の前でやったのを見た。棒を手で抱えたまま推進したから、棒は落ちない。2002年頃の話である。商業鉄道では禁止されているのだろうが、観光鉄道にはその法律は及ばないのだろう。

 筆者は、この poling car を用いて、さらにもう一つ向こう側の線の貨車を動かす話を聞いたし、何かの文献でその図も見た。そのことを紹介する記事を、さるサイトに書いておいたのだが、文献が見つからないから誤りであると、削除されてしまった。否定の証明ほど難しいものは無いのだが、ご理解戴けなかった。今回、デニスに話を聞いてみた。
「その写真を見たことはないが、当然やっているだろう。出来ることはやらないわけがない。しかし危険な作業だから、やったとは言えないだろうな。」ということであった。読者の中でそのような文章、写真、図などをご覧になった方はお知らせ願いたい。

2017年09月26日

続 switching

switching 3switching 4 側線の長さと分岐の位置は決まっているので、機関車を動かせる範囲には限りがある。入替用機関車をうまく動かして、連結部をアンカプラの位置に持って行き、DU(delayed uncoupling)させ、所定の位置まで押していく。車輛には一切手を触れない。 
 
switching 2switching 1 日本でDUを実行している人が一体何人いるのか、興味がある。週に1回でも良いから実行している方はコメント欄を通じてお知らせ願いたい。公表を望まない方は、その旨お知らせ願えれば、そうさせて戴く。

 DUを実行するにはヤードが平面でなければならない。Low-D で摩擦が少ないと僅かの斜面でも動いてしまうから、難しい。デニスは面白い方法を採っている。軸受にグリスを少し多めに入れている。その撹拌抵抗が、DUを助けている。長い編成ではないのでこれは賢明な選択である。
 その昔、KadeeのNゲージのカブースは軸受に弱いコイルバネを入れて抵抗を大きくしていた。それもDUの作動を助けるためだ。今でもやっているか、分からない。 

 機関車の前頭部の連結器も完全に作動しなければならない。Dennisはそこを熱心に直していた。三日も掛かったが、完全な作動を可能にした。
 前頭部にも貨車を付けて、貨車に挟まれる形にして、入替をする。日本ではまず見なかったが、非常に合理的な方法である。ポーリングをするともっと具合が良いが、模型では、なかなか難しそうだ。この動画では隣の側線の車輛を動かしている。


2017年09月24日

switching

 テキサスに飛んだ。Dennisが遊びに来いと誘ってくれていたのだ。DFWの空港でnortherns484氏と待ち合わせて、Abileneまで行った。デニスの言うように隣の町ではあるが、その間300 kmほど何もない。2時間半のドライヴである。小さな車(日本でいうヴィッツ)を借りたので、高速では燃費が悪い。13 km/L だった。

switching 2 Dennisはレイアウトの整備を精力的に行っている。この2年のうちに驚くほどの進歩を見せた。すべての分岐を確実に作動するようにし、解放ランプを整備した。これは大切なことである。またすべての車輛の連結器を軽く動くように整備した。当たり前のことであるが、これを100%完璧にすることは非常に難しい。しかし彼はやり遂げた。

 アメリカのレイアウトの楽しみ方で、日本でほとんど行われていないことは入替作業である。目的をもって車輛の組換えを行い、列車を仕立てる。それを目的地まで持って行って切り離し、置いてくる。そこに置いてある空の車輛をつないで元のヤードに置く。

roulette 文字で書くと簡単なことだが、実際にやるのはなかなか大変である。どの種類の貨車を選ぶかは、電動式ルーレットで決める。そしてカードで貨車を選んで、仕立てる。スウィッチを押すとブィーンと廻るので、手を放して止まった種類の貨車を選ぶわけだ。
 7,8輌の貨車を選んで仕立てるだけで、ゆうに30分は掛かる。機関車の整備も大切で、ゆっくりと確実に動かねばならない。DCCの利点が生きている。

 詳しい遊び方はnortherns484氏のレポートに期待したい。

2017年09月22日

またまた Abo Canyon

Southern Transcon Abo Canyon についてもう少し書きたい。Trains という雑誌に何か書いてあったことを思い出し、探した。表紙に出ていたのですぐ見つかった。2007年の4月号だ。

 Santa Fe鉄道の大陸横断線は1888年に開通して(UP、CPの1869年に続く、二本目)いるが、それはRaton峠を越えるものであった。あまりにも急勾配で大量輸送には向かなかった。それで、1907年3月にClovis方面に抜ける新線を開通させたのである。緩勾配で鉄道の特性を生かせるものであった。現在は事実上複線化され(Vaughnの西の数マイルが工事中)、交通量は莫大である。北廻り線は40%ほどしか複線化されていない。

 Raton峠の線は、既に役目を終えているような気もする。歴史的に大切な峠であったが、もう昔の話だ。新しいトンネルは旧線の脇に掘ったので、動画をよく見ると塗り込めた旧トンネルがちらりと見える。旧線は1.5 mほど高いところを通っている。コロラド側からの画像では左側に見える。本当はそれを見に行きたかったのだ。

 Abo の発音であるが、エイボゥが現地音である。前にアクセントがある。但し、それはSF関係者の発音で、上記のTrains誌にもその発音が示してある。メキシカンの人たちはアーボと発音するが、圧倒的に少数である。
 先回扱ったRatonは、感心なことに日本語版Google Mapではラトゥーンになっている。

2017年09月20日

Midway

 Midway 1Midway 2サン・ディエゴに行ったら見たいものが、もう一つあった。長年横目で眺めながら行けなかったところだ。
 Aircraft Carrier Midwayである。係留されて、博物館になっている。

Midway 7Midway 10Midway 3 この空母は横須賀に居た。内部の造作は、かなり日本の影響を受けている。第二次世界大戦末期の空母で、航空甲板をアングルド・デッキに作り替えて、かなり長い間就役していたが、90年代に退役した。サイゴン陥落時に、家族を乗せて逃げて来た軽飛行機を着陸させたのは記憶にある。その飛行機は展示してある。

Midway 9 4000人も乗っているので、一つの街のようなものである。食堂は24時間営業、病院も歯科医院もある。補綴(ほてつ 歯にかぶせたり、入れ歯を作ること)もしてくれる。隣の部屋には入れ歯を作る遠心鋳造装置もある。憲兵に取り押さえられたならず者を入れる牢屋もいくつかある。

Midway 6Midway 5Midway 8 水兵たちの寝るところはこのような蚕棚である。機械工作をする必要があるので、このような旋盤とかフライス盤が設置されているし、隣の部屋では板金工作をする。熔接機も各種あった。飛行機の修理をするのだから、相応の工作機械が必要なのだ。部品棚を見た。凄まじい数の部品が在庫してあって、それらが瞬時に検索できるようになっている。コンピュータの無い時代からそういうシステムがあったのだそうだ。

Midway 4 見学者の半分は中国人で、大きな声でわめきながら歩き回る。日本人は少なかった。格納庫は体育館のような高さで、とても広い。最近の原子力空母はさらに大きいそうだから、想像しにくい。
 ニューヨークのマンハッタン島にはもう一つの空母が係留されている。やや小さい。そちらは宇宙開発の歴史も展示しているようだ。

2017年09月18日

続 San Diego Model Railroad Club

118_6387118_6386 引き続いてO scaleの方を見てみよう。30年前と変化はなかった。既に、かなり陳腐化された概念のレイアウトである。ありえない階段状の本線を主題とした古臭いコンセプトに基づいている。取り壊して新しいレイアウトを作るべきである。筆者も、昔はこれを見てすごいと思ったのだが、今は妙なものであると感じた。

 HOの古いレイアウトも、陳腐化して取り壊されたのであろうと思われる。レイアウトの概念は急速に進歩しているのだ。より写実的になるか、抽象化するかのどちらかしかないだろう。
 筆者の博物館は抽象化の道を選んだ。故土屋氏のコンセプトである。すべてを無彩色にし、特別の部分だけに彩色を許した。日本にはあまりない Display Layout である。
 このサン・ディエゴの博物館は、写実的なO scale レイアウトとしては面積が小さすぎる。あたかもNゲージの1畳レイアウトのような感じである。何もかもつっこんである。現場で担当者とその件について語り合ったので、いずれ反映される日が来ると信じたい。
 O scaleでは、実感味は別のところにあるはずである。実物のような慣性のある走り、ポイントのフログでのドスドスという響き、カーヴでの揺れ具合などを十分に堪能させるようなレイアウトが望ましいと考えている。

2017年09月16日

San Diego Model Railroad Club

 予定より早く西海岸に戻れたので、車で二時間余のサン・ディエゴに行った。Balboa Park にある模型鉄道博物館に行くことにした。30年ほど前にも行ったことがあるが、その後どうなったかが知りたかった。

San Diego Model RR Club 4San Diego Model RR Club 5 ここには、N、HO、Oのレイアウトがある。地元のクラブが運営に参加している。今回はHOを重点的に見た。主題はテハチャピ・ループである。実物を正確に縮小した線路配置を実現している。余談だが、筆者の博物館のレイアウトでは、Oスケールのテハチャピ半径を実現している。HOだと半径1600 mm程度だ。

San Diego Model RR Club 7San Diego Model RR Club 2San Diego Model RR Club ループの隣にいくつかある180度カーヴも作ってある。これは
Caliente だろう。
 現代のレイアウトにしては高さが低い。そうしないとテハチャピ・ループを見下ろせないからだろう。要するにaerial view (上空から見た様子)を見せたいのだ。

 色調はとても良い。初夏のテハチャピである。彩度を抑えたほどほどの緑で気持ちが良い。日本のレイアウトを見ると、彩度の高い緑があってがっかりすることがある。

San Diego Model RR Club 6 構成はこのようになっている。写真を見ながらの作業のようだ。航空写真だから、位置関係はよく把握できる。現場に行って取材もしてあるようだ。


San Diego Model RR Club 3 多額の寄付をするとこのようなプレートを床に埋め込んでくれる。これは良いアイデアだ。当博物館でも考えてみたい。

2017年09月14日

Cajon Pass の変化

 テキサスのAmarilloから西進し、カリフォルニアに戻った。ロス・アンジェルスの手前で力尽き、Hesperiaに泊まった。BNSFの本線近くの安宿である。夜中もたくさんの貨物列車が通る。

 翌朝、カホン峠を通るのだが、例によってルート66の旧道を通ってみた。道が良くなっている。昔の駅のところは完全に削り取られている。新しい道を作っているのだ。以前の180度カーヴの道は完全になくなる。

Cajon Pass 4 この写真の矢印のところが今度作られる道だ。白い線は昔の山の形である。かなり削ったのだ。線路わきの段になっているところが昔のルート66である。


Cajon Pass 3 峠を越えて西を見ると、こんな調子である。今までの起伏に富んだ道は無くなり、勾配は均一になる。左の方にくねくねしているのが、現行のルート66である。以前よく行ったお立ち台には乗用車で行く道がなくなってしまい、今回は諦めた。

Cajon PassCajon Pass 2 そうこうするうちにBNSFの貨物列車がやって来た。22‰の勾配をあえぎながら登って来る。駅の跡地は信号所になっているが、最近はほとんど通過する。左の方の高いところを走っているのはUP線である。後発の路線は不利な高所を通っているのだ。現在の技術なら、掘り下げることは不可能ではないし、トンネルを掘ることもできるだろうが、その気配はない。
 この区間だけ電化すれば、電力回生ができそうだが、万一の事故を考えるとできないらしい。石油・電気の安い国であるから、というのも大きな要因だ。

2017年09月12日

続 Raton Pass

 シカゴから直接ロス・アンジェルスに向かう鉄道はSanta Feしかなかった時代がある。カンザスを経て、コロラドからニュー・メキシコに入る経路は、この峠を通るしかない。いわゆるサンタ・フェ・トレイル沿いである。 
 その間、トンネルはこの峠だけであるから、機関車の煙突は長くし放題であった。煙突を伸ばすと、通風が良くなり、効率が上がるらしい。トンネルに入るときだけ縮める方法が採られ、普段は1 m弱も伸ばしていた。サンタ・フェの近代型蒸気機関車は、概して背が高く、5 m以上ある。煙突を伸ばすと6 m近いわけだ。

Raton Pass トンネル全体はニュー・メキシコ州にある。北の出口から10 mほど行ったところが州境である。写真を撮るためにあちこち探したが、すべての道路は閉鎖されていた。


Raton Pass 仕方がないので、車で走りながら撮った写真がこれである。全く参考にならない。この区間の最急勾配は35‰で、本線としては、とんでもない勾配である。この線路上から高速道路をに向けて撮った動画が、下にある。
 昔の写真を見ると、補機をたくさんつけて押し上げている。50輌ほどの貨物列車に、ディーゼル電気機関車を中補機、後補機を入れて、総計10輌も付けているものがある。
 事実上、この Raton Pass は貨物の通過路線としての価値は、すでに失われたのであろう。YoutubeにAmtrak車内から撮った動画いくつかある。

2017年09月10日

Raton Pass

 この峠を車で越えたいと、この40年考えていた。Amtrakでは通ったことがあるが、夜中で分からなかった。発音は、″ゥラトゥーン″ である。歌の文句でもそう言っている。教養ある鉄道趣味人は、すべてそう発音する。
 ところが、現地で確認すると、かなりの割合で ″ゥラトウン″というので驚いた。若い人は、ほとんどそう発音する。tone の音と同じなのだ。年寄りはちゃんと、″ゥラトゥーン″ と発音してくれる。綴りからは想像できない音なので、より単純な音に移行しているのであろう。これは仕方がない。
raton 2raton Ratonはスペイン語のネズミの意味である。試しに近くの店でネズミ捕りを買い、メキシコ系の人に発音を聞いてみた。例によって巻き舌であったが、ラトーンに近い音であった。”トウン”ではない。意外なことに、コンピュータのマウスもratonであった(当然か)。  

119_6577119_6579119_6578119_6575




 駅に行くと閑散としている。貨車の一輌も止まっていない。既にこの線は旅客列車だけが通るのだろう。線路近くの安ホテルに投宿したが、夜中にも貨物は通過しなかった。
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 町全体が静かで、昔の宿場町としての賑わいは全く感じられない。廃業したモーテルがたくさんあった。


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