2023年03月24日

ナンセンス集

 内野氏のファイルの中に「ナンセンス集」があった。それは模型の集会に参加した時に出た会話の中から、とんでもないものを抜書きしたものである。鉛筆の色が微妙に異なるものがあるので、何回も分けて書き込まれたものに違いない。やってはいけないこと、常識がないことを知らない人が得意そうに語ったことを、書き留めてあるのだ。模型人は工学を修めた人ばかりではないので、仕方ないが、中学校の理科の範囲で解決することばかりである。モノを言う前に考えて欲しかったと考えるのは、筆者だけだろうか。

・凸電の床板は厚くないと垂れ下がってしまう
  最初何を言っているのが全くわからなかった。多分上廻りを薄板で作り、側板が不連続だから剛性がない。だから厚い床板で曲がらないようにする必要があると言いたかったのであろう。
 実物の構造を見れば、上廻りの剛性など無いに等しい。下廻りの剛性を上げる工夫など、訳はない。 

・台車のスプリングは3つを硬く、1つを柔らかくすると良い
  何をか言わんや、である。静止状態なら凸凹の線路上で落ち着くであろうが、走らせたらとんでもないことになる。このメモが作られたのは30年ほど前であろうと推測する。ところが10年ほど前にもこれを得意そうに言う人を見た。同一人物かどうかは知らないが、付ける薬がない。その人は3箇所をバネなしにしても良いのだとまで言っていた。 

2023年03月22日

続 Climax

Climax F2 どちらも押して動くようにするために、駆動装置を徹底的に改良している。そうなると歯車の噛み合わせは重要だ。
 
 平岡氏の歯車設計の式を眺め、難しそうだがやってみるかとも思った。しかし、動けば良いだけなら、3Dプリントという手もある。
 円筒にインボリュート歯を付け、それを絞って円錐にして傘歯車を作る。その断面を解析して円錐に貼り付ければ、それと噛み合うような食い違い傘歯車を作れるかもしれない、と3Dの専門家と協議していた。そこに、Lobaughのギヤでも動くようになったとの報せがあり、ひとまずオリジナルのギヤでの走行となった。
 F氏はこれらを Free to Roll にして、同一線路上で片方を押せば他方が動くようにするつもりだ。歯車が多くて効率が稼げないから、かなり難しそうではある。 

 このキットを完成させて走らせることが出来た、という話は過去数十年間、聞いたことがないので、現在の販売元は大喜びらしい。走行動画を公開すれば売れるかもしれないからだ。 

2023年03月20日

Climax

 当博物館には、Climax式の機関車のキットがあった。1960年頃、Lobaughが売り出したもので、ギヤは食い違い傘歯車であった。本物を縮小しただけのようで、かなり歯が細かく、わずかの心ブレでも不調になるものであった。雑誌の記事にその完成品の写真があったが、走ったとは書いてなかった。調子が悪いことは有名で、筆者の友人も「駄目だ。」と言っていた。200輌ほど製造され、売れたのが150輌程で残りはLobaughに死蔵されていたようだ。筆者の親しい友人 Bob がそれを買い取り、少し改良部品を付けて売りに出したのだが、ほとんど売れなかった。それを土屋氏の希望で1輌手に入れたが、そのまま、博物館に寄贈されたのだ。

Climax F F氏が組んでみたいと希望されたので、お渡しした。部品が間違っていたりして大変だったようだ。そうこうしているうちに、F氏はその販売元から、ご自分の分も買った。2輌まとめて組立ての途中である。 


2023年03月18日

平岡氏の記事

平岡幸三氏平岡幸三氏2平岡幸三氏3平岡幸三氏4 内野氏のところから来た膨大な資料の中に、日本機械学会誌の切り抜きがあった。それは平岡氏がClimaxの1/16模型を作られた時のことを書かれた記事であった。

 誰も実現していないことを初めて達成した時のことが書いてある。興奮して夜中にも拘わらず、小さかったお子さんも叩き起こして見せたとのくだりは、筆者も似たようなことがあったことを思い出させた。

 この記事は学会でもかなり評判が良かったそうだ。この記事をスキャンして発表しようと思った。しかしネット上でも発表されているとお知らせ戴いたので、紹介する。

 クライマックスは歯車が命である。昔どこかで見た本で、適当に鋳物を作って、その歯面にヤスリを掛けて仕上げている場面があった。かなりいい加減だ。回転速度は大したことがないので、ゴロゴロガラガラと走っていたのだろう。そのうち擦り減って落ち着くというわけだ。


続々々 伊藤 剛氏のGandy Dancers

 動画を見て、多くの方から素晴らしいとの感想を戴いている。外国からも賛辞が来ている。 

 TC氏からの抄訳を披露する。 
 メカニズムがほとんど復元され、動くようになっていますね。あとは列車接近の検知ですね。親方が笛を吹き、工夫たちは退避する訳です。これは踏切と同じです。
 剛さんは、この種のメカニズムの製作に長けた方なのですね!


 全くその通りで、メカニズムでほとんどの動きを解決し、タイマーで作動させていた。カムの形状が素晴らしいとのメイルが来ている。剛氏は、この種のカムについては非常に深い経験があるようであった。

 A氏によれば、まだまだメカニズムの調整をせねばならないとのことだが、潤滑法を工夫すると非常にうまくいくようになると思う。

2023年03月16日

続々 伊藤 剛氏のGandy Dancers

En-Ya-Cola A氏の工作はさらに進み、8人の線路工夫が働くようになった。




 人形内部に引っ掛かりがあると、その抵抗がイコライザによって他の人形の動きに影響してしまう。どの人形も、滑らかに動かねばならない。これはかなりむずかしい。新しい潤滑の方法を考えている。

 工夫たちは退避する。カムによって、するすると移動する。その移動用のレイルは文房具の綴じ金具を使っている。いわゆるハット・セクションの断面を持つ材料だ。
 剛氏が作っている時にお邪魔したことがある。ややこしいものをたくさん組み合わせてあるのだが、整然と動いたのには驚いた。しかし、そのときにも感じたことだが、アナログのタイマによるシークェンス制御では不確定要素が多い。コンピュータのクロックで制御するべきだと思ったのだが、あれから30年以上経つ

2023年03月14日

続々 模型製作技法

棒材の端部ツブシ治具 手摺などの取付部のディテールの作り方である。板を挟んで仕上がりの厚みをコントロールしている。これは便利である。

 筆者は万力を使っている。印をつけた線材を所定の深さまで万力の口金に挟み、所定の角度までハンドルを廻して潰す。この方法では、動かす範囲を調整しなければならないことがニ回あるので、ばらつきが大きく、失敗する可能性が高い。 
 
 当てて挟む鋼片の角を丸く落としてあるのも、良いアイデアである。こういうところまで注意が行き届いているのは素晴らしい。この方法でやれば、大量生産ができるだろう。  

2023年03月12日

続 模型製作技法

シャーリング切断後の処理 シァで切ったものは、くるくるとねじれている。それを補正するには逆にねじれば良いと思う人は多い。確かにそうなのだが、そのねじる量を見極めるのが難しい。

 ねじり過ぎたり、足らなかったりする。この引張る方法は簡単である。筆者もよくやる。伸びる量は僅かだが、一発でできるし、出来たものは硬い。加工硬化が起きるからだ。
 プライヤに銜えて、ゴンと引けば終了である。その衝撃が効く。

手摺、ステップ等の曲げ治具 手摺などの長さを揃えて作る方法である。このジグを持っていれば、何も考えなくても同じ寸法のものができる。筆者は、ラジオペンチにヤスリで彫り込んで印をつけてある。しかし、こちらの方法のほうが便利である。ただし、HO以下の細いものに限る。Φ0.8程度だと、孔がすぐに大きくなってくる。鋼製のジグが必要だろう。 

2023年03月10日

模型製作技法

 内野日出男氏の資料を丹念に読んでいる。時々、原稿の下書きのようなものが出て来る。何かの雑誌等で発表されているものかも知れないが、オリジナルの原稿には味があり、少しずつ発表して行きたい。これは夫人の希望でもある。

曲げボイラー ボイラの材料を切り出し、丸棒に巻き付けて所定の径にする。その時の切り出し寸法についての注意である。板の中心部の長さを切り出すようにとある。板厚くらいは誤差範囲だろうと思うと、意外にその差は大きく、きっちり嵌まるはずの煙室戸が落ちて来たりする。

余分ハンダの吸い取り法 ハンダの吸い取り法である。内野氏はこのような丸線を使っていらした。筆者は、最初は甲丸線(半分削った丸線)を使って少しでも吸い取り量が多くなるようにしていた。そのうち、平編線を使うようになって、この方法は忘れていた。

2023年03月08日

続 伊藤 剛氏の Gandy Dancers

 A氏の工作は速い。すでにここまで来た。 

 ボロボロの基盤を捨て、フェノール樹脂の厚板の上に引っ越している。
 親方はいつも首を左右に向けて注意している。列車が近づくと、笛を口に当てて吹く。
 そうすると工夫たちは作業を止め、左右に退避する。

 列車は通過し、また8人の工夫たちの作業が始まる。
 こう書けば単純な話なのだが、この工夫たちの動く様子は、まさに実際の工夫達が働くさまをよく表している。初めた見たとき、ため息が出たほどであった。

2023年03月06日

伊藤 剛氏の Gandy Dancers

 伊藤 剛氏の線路工夫を修理中のA氏から、動画が送られてきた。これは皆さんにも見て戴こうとYoutubeに upしてもらった。

 これである。工夫の動きが少々速いが、このような具合である。細い鎖が体の中を通っていて、それを引くとツルハシが持ち上がる。上体も同時に動き、きわめて実感的である。

 さて、列車が来ると退避するが、そのときにはノートの綴じ具をレールとしてスライドさせている。本体の基盤は、耐久性のある材料で作り直す。 

 機能が復元されれば良いので、思い切った修理になるはずだ。 

2023年03月04日

louver を作る

 内野日出男氏の工具を整理している。こまごました手作りの工具の中にそれが見つかった。

louver cutter1 これはプレスによるルーヴァである。本物は総型で一発だろうが、模型の場合は1つづつ送りながら抜く。左は下から見ている状態で、右は上からである。


 模型を見ているので、やり方はそれしかないことは分かる。しかし、その工具を作り、実際にやるにはかなりの困難がある。筆者は自分で作らざるを得なくなったときにできるかどうか、かなり怪しい。オス型が回転してはいけないのだ。しかも剪断するわけだから、刃の位置は極めて正確に決まらなければならない。

louver cutter2 このメス型は作るルーヴァの大きさに合わせて作ってある。その細い孔の一辺が刃物になっているのだ。最初に抜いたワークを当てて位置決めするわけだ。細い孔の一面だけが、刃になっている。

 
 少し錆びているので、刃を傷めないようにサビを取る必要がある。うまく出来ている型なので、しばし見とれていた。

2023年03月02日

続 Benderの破損

Bender プレスで押すというのはこのような状態である。上のネジ部分を外し、押す刃の部分が自由になるようにした。
 プレスのラム(上下する棒)で押し付けるだけのことである。とても使いやすい。以前のネジを廻す方法は、決して楽な方法ではない。この写真でも分かるが、ネジの当たる部分には派手に傷がついている。筆者も拇指の問題があり、手術はしたがあまり無理はしたくないので、ネジを廻すことは避けたい。

 外してみて分かったが、この上の刃の部分の出来は非常に良くない。砥石で擦ってなめらかにした。製品では縦フライスでさっと削っただけで丸い切削痕が付いていた。材質はおそらくS45Cあたりだろう。一度熱処理して、再度研ぎ直すつもりだ。 

2023年02月28日

Benderの破損

 この Bender を長年使ってきた。これは30年以上前にアメリカで買った。NorthWest Short Lineという会社が作っていたが、今は中国製になったようだ。
 数年前にネジを取り替えた。以前のネジは、廻す部分が小さく、しかも長期間使っているうちに、つまみが欠けてきたのだ。要するに厚いものや、幅の広いものを曲げるのは、過大な負荷だったということなのだろう。日本製のインチねじの頭にプラスティックの大きな握りを付け、調子良く使っていた。 

bendeer 今回はホッパの排出口のゲートを作るために t 0.5の板を曲げた。間口は 36 mmである。この程度の厚みなら行けると思ったが、これも過大な負荷であったようだ。
 この種の工具はブレーキと呼ばれている。工場では油圧で動く型で曲げている。

Bender 2本の押しネジがねじ曲がった。ネジが熱処理されていなかったからだろう。以前のネジは表面が黒かったのだ。
 ネジを糸鋸で切り落とし、外した。さてどうするか、である。また同様のネジを使っても同じことになる。また、インチサイズのネジは日本では買いにくい。

 こうなったら別の方式を考えるべきだろう。幸いにも、プレス機がある。上の刃をプレスのラム(垂直に動く押棒)で押せばよいのだ。 

2023年02月26日

0-4-2 のイコライジング

 今野氏のブログで木曽森林のBaldwinの機関車の話題が続いている。発売は50年以上も昔の話だ。その割には現物が走っているのを見たのは少ない。ろくに走らないのだ。
 その理由は当時のモータの大きさにある。キャブと炭庫を完全に埋め尽くすモータであって、重心が第ニ動輪より後ろにあるかもしれない。軸は固定だから、第一動輪はほとんど意味がない。脱線しやすく、牽引力は少ない。

0−4−2 40年ほど前、井上豊氏にお会いしたときに、
「木曽森林は調子が良くないようですね。」と言うと、井上氏はさらさらと絵を描き、
「機関車自身の重心はこの辺にある。遠くに従輪を持って行ったのは、なるべく動輪に機関車本体の重さが掛かるようにしているんだ。」
と説明してくれた。4-4-0を前後ひっくり返したような構成だ。
「でも後ろのほうが大きくて重そうですね。」と言うと、
「ボイラ・火室は厚い鋼板だ。後ろの水槽とか炭庫はペラペラの板だ。満載しても鉄の比重にはかなわないさ。この構成にすると、炭庫、水槽の中身が牽引力に影響を及ぼさない。これは、タンク機関車には重要なポイントなのだ。」と教えて下さった。
 確かに、国鉄のC11などは炭水庫に満載でも空でも、動輪上重量がほとんど変化しないように設計されている。

 しばらく前のコメントで、Tavata氏が全く同じことを書かれたので、その解説を書こうと思っていたが、1年以上経ってしまった。
 現在では、モータは小さく軽いので、後ろを薄い板で軽く作って、なるべく前に補重すべきだ。そうすると実物のようなイコライザでも良いはずだろう。しかし、補重が足りそうもないので、ボイラを中の詰まった挽物にした上で台枠の中も高密度の金属(鉛では足らないかも)で埋めるべきかも知れない。

2023年02月24日

続 FEF4 のデモ運転

 動輪があまりにも軽やかに空転するので、この機関車はとても軽いに違いないと思った人も居た。機関車を持たせると仰天した。3.2 kgもあり、牽引力は 7 N もある。そう簡単には滑らないはずなのだ。

 テンダも 3 kg強あるが、軸重はやや小さいが伝導軸が多いので、多少滑りにくい。その結果、動輪のほうが先に滑ることになる。 

 短い線路では運転は難しいので、付き添って運転指導した。勝手に触ると事故を起こすので、それは釘を差しておいた。

 会場の奥の方で運転したのだが、観客席から見ていて、声を掛けて戴いた方も居た。
「この機関車の運転が見られるとは思わなかった。」と感謝された。「まさに実物のような動きですね。」とおっしゃる。特に、ブレーキを掛けて動輪が止まったまま滑っていくのには驚かれた。止まる前に逆電圧を少し高めると逆回転するのは、
「実に面白い。」とのことだった。
 この動画は1月に名古屋模型鉄道クラブで撮影したものだ。オリジナル画像はなめらかで良いのだが、Youtubeの動画は動きがぎこちない。どうしたものかと悩んでいる。

2023年02月22日

FEF4 のデモ運転

FEF4 先日の神戸の行事に慣性増大装置付きのFEF4を持っていった。6 mの線路と電源も携行した。テンダが重いので、機関車全体では 7 kg弱である。

 線路を敷いてすぐ、運転を開始した。単機でも出発時に動輪がスリップするのを見るのはクラブ員も初めてで、集まって見て戴いた。

 運転は難しいので、最初は許可しなかった。思うところで止められないので、大事故が起こる可能性があるからだ。実際のところ、筆者の運転でも2回停め損なった。しかしそれは超低速運転だったので、大したことにはならなかった。動いているのが見えなかったのだ。
 停止から極めてゆっくり起動することができ、その速度を保てる。それを見て驚く人も多い。怪しい低速コンテストとは全く異なる動きだ。

 先輩からはこのような言葉を戴いた。
「実物で見られる動輪の空転や、停止直前の滑走は、質量の大きさから来るものです。Oゲージ程度の大きさでは、到底実現不可能と思っていたものなので、大変興味深く見せて戴きました。何十年もの間研究された結果とお聞きし、趣味の神髄を味わわせて戴きました。」

 こういう感想を戴くのは嬉しい。


2023年02月20日

続々々々々 Gandy Dancers

 この模型に関して、数多くのコメント、メイルを戴いている。機関車の改造記事よりも興味深いようだ。
 いくつかメイルを紹介しよう。投稿者が特定されないように部分的に改変してある。

・私の祖父は戦前、某駅の助役をしていたのですが、接触事故で片足を切断してしまい退職しました。駅前の大きな商店を任されて裕福な生活ができたのですが、空襲で焼けてしまい、生活に困ったそうです。国鉄の補償が手厚かったことを思い、祖母は「国は酷い。国鉄は良かった。」とこぼしていました。

 名古屋模型鉄道クラブの会員が知らせてくれた。
・会誌の1982年4月号に記述を見つけた。その時はまだ工夫が一人だった。それを増やして4人にせよと、そそのかした人がいて、結果としてイコライザを組込んだメカニズムになったようだ。最終的には8人になった。

 この模型の作動を見たことがある方からは、
・ツルハシを使う人形が、単純に腕を上下させるのではなく振り上げ、振り下ろしで、腰も動くのです。これには驚きました。さらに、振り上げは多少の遅れがあってばらばらですが、振り下ろしは一斉に動きます。今回の記事でその理屈がわかったので嬉しいです。


2023年02月18日

続々々々 Gandy Dancers

gandy dancers (1) これは制御基板の裏側である。さすがにこれでは作った本人以外分からない。基本的な回路図はあったが、それにいろいろなものを付け足しているし、定数を変化させているので、解析は無理だ。


 先日来、この一連の記事を読まれて、手伝いたいという方が何人か名乗り出てくれている。国内はもちろん、外国からも志願者が来ている。興味深いのは、どなたもコンピュータによるアナログ制御でやりたいとおっしゃるのだ。ということは、与えられた条件によって、動作のタイミングが変わることがあるということである。面白いように見えるが、それまでの必要はないように思う。

 根本的には、列車の検知回路で「退避・復帰」ができれば良く、それに附随して、「親方の動き・工夫たちの動き」があるだけである。退避するのはツルハシが降りたときだ。ということはクロックによる制御のほうが単純であろう。


 振り返ってみれば、アナログのシークェンス制御しかない時代が有ったが、確実に作動させることができていた。タービン機関車の起動停止は、まさにその実例である。
 原発も最近までこの方式の炉があったそうで、そういう意味でもアナログ式はあなどれないことは理解している。

2023年02月16日

続々々 Gandy Dancers

gandy dancers (3) 親方は、作業する場所の近くに居て線路を監視し、列車が近づくと笛を吹く。すると、4人一組の工夫は退去する。



gandy dancers (4) 文字で書くと簡単なのだが、この一連の動作はなかなかややこしい。親方はいつも首を左右に廻して見張っている。笛を吹くときは手が上がって、笛が口に咥えられる。ピーッという音は実際の笛ではなく電子音だった。首を廻す動きはこのメカニズムによる。親方の帽子が下のほうに見える。

 工夫は横にスライドするが、そのレールが面白い。文房具の綴じ具の断面が hat section 帽子型の断面になっているのを利用している。滑りはすこぶる良い。   

2023年02月14日

続々 Gandy Dancers

gandy dancers (2) 通称エンヤコーラである。剛氏の遺品群を預かった時、この作動を再現したいという気持ちが強かったのだが、開けてみるとバラバラになっていて、かなり難しい状態であった。この写真は、箱の上に描いてあった剛氏による判じ物である。

 クラブ員の力でなんとか再現したいが、難しい点があった。それはmechanical sequential control 機械式シークェンス制御である。アナログ回路でタイマを作動させ、順次リレィが切り替わって、カムにより人形が動くと同時に、接点が切り離されたりつながったりする。
 すぐに調子が変わってしまう。剛氏が調整すると、15分ほどはなんとか動くが、その後は難しかった。

 コンピュータを使ったシークェンス制御でないと、とても無理ということは分かるのだが、専門家が居なかった。筆者が最初から勉強し直すのでは5年は掛かるだろう。オーストラリアの吉岡氏が、
「俺がやってみる。」
と手を挙げてくれたのだが、残念なことにその直後に急死されたので、そのままになっていた。 
 吉岡氏は剛氏と密に連絡を取り、方針を固めたところであった。急死の報を受け、剛氏は落胆して電話で、
「もう(再生は)だめかな。」
と漏らされたのは、亡くなる少し前だった。 

2023年02月12日

続 Gandy Dancers

equalized motion 筆者が初めてそれを見た瞬間、
「イコライザが使ってある!」
と叫んでしまった。剛氏は、にこっと笑って、
「そこに気付いたのは貴方が最初です。」
と言われた。

エンヤコーラ (3)エンヤコーラ (2) 上死点に到達すると一斉に振り下ろされるが、それまでは多少ばらつく。しかもそのばらつきが、毎回微妙に異なるところが面白いのである。工夫は腰と肩が動く。力を入れて振り下ろす、まさにその動作が再現される。工夫の体の中には細い鎖が入っていて、それを引っ張ることにより、腕と腰が動く。

 アメリカではGandy Dancersと呼ばれている。この語源は今ひとつはっきりしないが、この動画にもあるように、その工具がGandy社製のものであったというのが大きいだろう。
 録音がないのが残念だが、筆者が聞いた範囲では、アメリカでのその種の歌の文句は女性に関することが多かった。問いかけとその呼応により構成された歌だ。
 日本でもその手の歌は、かなり卑猥なものが多かった。そういう作業歌について調査している人は居る。歌に合わせて多人数で作業していたのだ。

2023年02月10日

Gandy Dancers

 伊藤 剛氏の傑作の一つに線路工夫がある。最近はこの「工夫」という文字が読めない人が多いようだ。メモ書きを置いておいたら、”せんろ・くふう” と言った人が居て、驚いた。

 鉄道は危険な職場である。現在のような安全基準が確立されていない時代には、大怪我、殉職はよくあった。その家族、遺族が路頭に迷うことがないように鉄道弘済会が発足したということは、井上 豊氏からお聞きした。大きな駅の売店を任されたりすると、鉄道員の収入より良かったらしい。

エンヤコーラ (4) さて、保線の工夫は、親方の指示で動く。親方は見通しの良い場所で線路を見張っている。列車が近づくと、笛を吹き、退避させる。そうすると列車が通過し、また工夫たちは作業を開始する。
 その一連の作業を再現する模型を作ったのである。工夫は4人で1組である。歌を歌いながらツルハシを振り上げる。その時、振り上げは多少のばらつきがある。上で一瞬止めて、歌に合わせて同時に振り下ろす。
 剛氏の絶妙なアイデアがそこにある。4本のツルハシはイコライザで結ばれていて、持ち上がる瞬間に微妙なズレが発生しても、それらが全て上死点に来ると、同じタイミングで振り下ろすのである。


2023年02月08日

牽引力コンテスト

a contest 古いTMSを整理している。たまたま開いた号に、表題の記事があって、とても驚いた。40年ほど前の記事だから仕方ないが、あまりにも滑稽なところがあって、少々呆れたというところが正直な感想である。

 例によって、「重くする + 駆動軸を増やす」のオンパレードである。そこには物理的な思考というものがあるようには見えない。小学生の発想から抜け出していないのだ。駆動軸を全て連動させるべきだという話もない。

 被牽引車の摩擦を小さくするのが、最も建設的な方向性であるが、この当時から誰もそちらを向かないようだ。この記事の最後には、台車にバネでセンタピンを軸にして捻りを掛け、フランジの摩擦で牽引力を稼ぐという、トンデモ・アイデアの作品が紹介してある。それで「ポイントを脱線せずに渡った」とは一言も書いていない。それは編集部の責務であるはずだと思うが、いかがであろうか。

 
 実物の鉄道は「摩擦が少ない」ということを最大限に利用している。札幌の地下鉄は華々しくゴムタイヤ付きでデヴュウしたが、その電力消費の大きさには、開通当初から驚きの声が上がっている。しかし、マスコミがどういうわけか褒めそやしたので、効率が悪くてもあちこちで採用され始めた。ゴムタイヤの消費もかなりのものであると同時に粉塵がたくさん撒き散らされていると聞く。環境には決して良いとは言い難い。 

2023年02月06日

続々 太いボイラ

 筆者がアメリカに居た頃に、このK4のボイラが太いということは聞かされていた。シカゴのMike Hill氏は6輌のカツミ製K4sをカスタムビルダに作り直させ、かなりの価格で頒布したそうだ。

 それを聞いていたにもかかわらず、筆者は西部の機関車に興味が向いていたので、現物を見ることがあまりなかった。一方10年ほど前から、三線式のスケール車輌が出廻るようになった。ライオネルの線路を走らせるので、急カーヴを曲がれるように一部のフランジがなかったりするが、上廻りはよくできている。本物の図面を渡して中国で作らせているので、ボイラの外形はとても良い。三線式は販売数がとても多いので、大抵はダイキャストである。時間が経つと壊れる可能性もあるかもしれない。

 カツミの旧製品のK4s パシフィックは、一言で言うと立派過ぎる。火室の大きさだけでこんなに印象が変わるものなのだ。それはチャレンジャについても言える。ビッグボーイの長さを切り縮めただけで、火室が大き過ぎるのだ。後に作られた韓国製、中国製のボイラの形はすこぶる良い。ボイラの形は例外なくシロナガスクジラのように真ん中が太いのだ。キャブの前は絞られている。
 ビッグボーイも近くで見ると、ボイラ中央部が膨れて飛行船のような感じである。

 今回、K4s をじっくり眺めた。横から見ている限りはなかなか良いものである。汽笛の位置、向きは興味深い。Tom Harveyの気持ちもよく分かる。


2023年02月04日

続 太いボイラ

PRR K4 SofuePRR K4 old これらを修正するのはかなり難しいが、アメリカのカスタムビルダの中にはそれをやった人がいるらしい。今は高性能の細いモータが手に入るのだから、できないことはないだろうが大変だ。
 さて、左は祖父江氏が作った最後のカツミのOゲージ製品である。火室側面は、右の旧製品とは格段の差があり、細くなっている。

from topcomparison2 上から見るとこんな調子だ。火室後部のすぼまりがよく分かる。この製品がカツミから出たときは筆者は留守をしていてよく分からなかったが、今見るとその差には愕然とする。

comparison 斜めから見るとこんな具合だ。ベルペア火室の上の部分が大き過ぎるが、違和感を感じさせるのは、むしろその下のラニングボードと接するあたりの幅である。
 当時のモータではどうしても幅が小さくできなかったのだろう。祖父江氏の工夫でなんとか収めようとしたのだが、力及ばず広くなっている。
 
HO and O HOの模型を並べてみた。これはユナイテッドのK4sである。不思議なことにカツミの旧製品と似ている。棒型モータで、多少の隙間があるのだが、太いボイラである。これについては太いとかいう評判は聞いたことが無いのは不思議だ。HOの人はそれほどこだわらないのだろうか。それともOゲージの大きさが、その差を訴えるのだろうか。
 その昔、「とれいん」が発刊された頃、Y氏が輸出されていた機関車を褒めまくって、寸法が正しいとか言っていたが、その記事の写真もこれと全く同じである。 

 これらのジャンクで手に入れた機関車に手を入れてみようかとも思うが、火室、キャブは完全に作り直しとなる。しかし、それだけの手間を掛ける価値があるかどうかは疑問である。 

2023年02月02日

太いボイラ

 カツミが Max Gray やその後継者に輸出した蒸気機関車の一部には、火室が太いものがあることは、アメリカの模型ファンには常識である。カツミは1960年頃から2000年頃まで約2万輌のOゲージの機関車を輸出している。その内の7割以上は祖父江氏による。

PRR K4 当初、モータが大きいので、そのモータにかぶせることができる最小のボイラを作って載せた。すなわち、火室は少し太い。真横から見るとわかりにくいが、前から見るとすぐに分かる。これはK4パシフィックである。キャブ前の妻は、ラニングボードの方から見てほぼ長方形でなければならないが、台形である。

PRR M1PRR E6s ペンシルヴェイニア鉄道のアトランティック(4-4-2)、パシフィック(4-6-2)、マウンテン(4-8-2)などの機関車の火室は、どれも太い。太いと言っても火室の幅のことであり、真横から見たときはそれほど感じない。左はマウンテンM1,右はアトランティックE6sである。模型のE6sの火室は明らかに広がっている。とは言うものの、祖父江氏の工夫でモータの鉄心をキャブに押込んだので、多少は助かっている。

I remember Pennsy (2)I remember Pennsy (1) 本物の機関車を毎日見ていた人は、これらの角度でも見ていたのだから、違和感を持つ人はあっただろう。これらは、K4s パシフックである。模型のラニングボードが狭いのがよく分かる。ベルペア火室の幅が広過ぎるのだ。キャブの前に向けて、すぼまっていなければならない。2枚の写真は、写真集 ”I remember Pennsy" からお借りしている。


2023年01月31日

続 モータ軸からピニオンを外す

removing projection welding A氏が持ち帰って、すぐ連絡があった。
「モータを回転させながら、回転砥石で擦ったら、すぐ取れたよ。」


 さすがである。歯車の軸方向の先端にはわずかに突出した部分があり、その部分を抵抗熔接(projection welding)してあるのだ。接着より確実で早い方法であろう。溶接された部分さえ無くなれば、何の抵抗もなく抜けるわけだ。
done! 今までの苦労は何だったのだろうと思えるほど、エレガントな解法であった。

 軸先端は微妙に細くなる可能性はあるが、問題ない。筆者はこの種のギヤ付きモータを多数持っているのだが、外すのが面倒であまり使っていなかった。そのモータの大きさも出力も適当であるので、大いに利用したい。  

2023年01月29日

モータ軸からピニオンを外す

 A氏が来訪したときに、いくつかコアレスモータを進呈した。それらはテキサスのジャンク屋で買ったもので、軍用の取り外し品である。10年以上前に買ったものだ。おそらく、ミサイル等の操舵部品として装着されていたものが、定時交換されてジャンクとなり、放出されたと思われる。ほとんど新品同様なのだが、たまには動かないものもある。 
 ウクライナで多量のミサイルが発射されたので、しばらくは供給がなくなるだろう。 

projection welding さて、いくつかの軸にはピニオンがついている。これを外すのはなかなか大変であった。今までは万力に銜えて糸鋸で軸と平行に切り、それをニ回やると外れた。切る方向は直角にすると切る量が減るが、やはり大変な仕事で面倒である。

 A氏は、
「これはプロジェクション熔接の可能性が高い。」
と言う。もの作りの現場に居た方だから、広汎な知識をお持ちだ。

2023年01月27日

続 track in track

 HOの線路のフィーダ(饋電線)は、1 mごとに確実に付けるつもりだ。横には巻尺を貼り付ける。サンプリング速度が大きければ、レーザ測距計でも良い。

 ここまで書けば、何をしようとしているかはわかる人は多いだろう。

 測定というものは定常状態で行うものである。さて、何の測定をするのであろうか。
 その測定に必要なものは、
巻尺
時計 (あるいは動画を撮って、毎秒のコマ数 fps を調べる)
の2つである。
 別にOゲージでなくても構わないが、より大きなものの方が、相対的に摩擦は小さく、誤差は小さくなるから、二重に敷いたわけだ。
 何が定常状態になるのだろう。 

2023年01月25日

続 新年会

DE50 (3)DE50 (1) DE50を見たことがある人は少ないはずだ。筆者は中央線、関西線での試運転を見るチャンスがあった。エンジンの音がDD51とは全く異なったのを覚えている。ほとんど使われないまま、お蔵入りになったのは残念だ。

DE50 (2) この模型では、エンジンルームのドアが全て開く。ドアハンドルは内側に錘が付いていて、閉じた状態で安定化する。いつぞやのHOモデルとはさすがに違う。


DD54 (2)DE50(4)DE50(5) 3軸台車は実物のように3軸は独立していて操舵する。リンクは全て実物どおり作動し、バネの横剛性で復元する。急曲線を通るときの挙動が本物と同じで、見ているだけで楽しい。中に巨大なフライホィールが見える。慣性増大装置付きなのである。 

2023年01月23日

新年会

NMRC 所属クラブの新年会があり、新入会員のA氏のデモ運転があった。おそらく誰も見たことのない種類の運転を披露して戴いた。


 45mmゲージでスクラッチ・ビルドされた国鉄のディーゼル機関車2輌が、自律して複線をランダムに往復している。たまたま線路が空いた状態であると、ポイントが切り替わり、渡り線を通る。素晴らしい音響効果があると同時に霧化装置からの煙も出る。動きも重々しい。機械にも電気にも強い方なので、今後が楽しみだ。

DD54 (1) DD54である。実物は整備に関する問題が解決せず、短命に終わったが、造形はとても良かったと思う。この模型は素晴らしい牽引力を持ち、本物のように惰行する。メカニズムは極めてよく出来ている。 

 今までにこの会では、素晴らしい仕上がりの作品をいくつか拝見してきたが、外見だけではなく、中身に注力した模型はあまり見ることがなかった。そういう点でも、会員の気持ちがそちらに向くことになれば、このように中身がある模型が発表されるきっかけとなろう。 

2023年01月21日

track in track

track in track Oゲージの線路の中にHOゲージの線路を置いてみた。意外なことにぴったり嵌まる。浮かないように小釘で打っておくことにする。直線部で分岐に掛からないところだけだから、 長さは 7 mに限られたが、十分に仕事ができるだろう。


 さて何をしているのだろうか。HOゲージの線路は、Oゲージ車輌の走行の邪魔にはならないことが判明したので、しばらくはこのまま仮固定しておくつもりだ。 

 準備はできたが、肝心のHO機関車がない。唯一の機関車は、デモンストレータとして貸し出しているので、しばらく戻って来ないだろう。

2023年01月19日

続々 突切りバイトを作る

むすこたかなし氏のブログで連続的に掲載されている記事が面白い。先入観に捉われることなく、客観的な事実だけからやり方を導き出している。実にサイエンティフィックである。

 60年ほど前までは、この種のテクニックは職場ごとに存在し、互いによそが何をやっているかということは、うかがい知ることがなかった。職工はテクニックを「盗んで覚える」以外なく、それは工学的な知識が元になっているわけではないから、見当外れのものもあった。
 ただ言えることは、うまくいかないものは使わなくなるから、使える方法だけが生き残っていたわけだ。筆者はその最後の時代にそれを見るチャンスが有った。

 しかしながら、自分でやってもいないのに、頭ごなしに「そんな方法は間違いだ。」と言って、鼻で笑う人も居た。こういう人は今でもたくさん居る。
 筆者は各種のバイトをその方法で作ったが、ハンダが剥がれるようなことは一回たりともなかった。すなわち、むすこたかなし氏も言われるように、正しくハンダ付けができれば大丈夫なのだ。 
 今回 Φ12 の快削黄銅棒を切断しているが、なんの問題もない。筆者はもっと太いものも切る。これは刃先が細く抵抗が小さいから、可能なのだ。

 SKS材は日本刀の材料である。実際には日本刀は天然の合金鋼で、マンガン、バナジウムなどを含む。カミソリも同じである。硬く焼入れが出来て、切先を鋭くできる。これはハイスには出来ない芸当である。ただ、焼きが鈍るとダメになるから、鋼を削るときは、低速で油漬けでの仕事をせねばならない。(ハイスはHi-Speedの略である)

2023年01月17日

続 内野日出男氏のD62

Mr.Uchino's D62 (5)Mr.Uchino's D62 (3) Tavata氏、春岡電鉄氏が正解である。寸法を測ってみると全長は200 mm強で、1/100である。線路が見当たらず、探し回って載せた線路が大きなヒントになってしまった。枕木部分を消すと、もう少し難しくなったかも知れない。


Mr.Uchino's D62 (1) この機関車の話は内野氏から聞いていたが、現物が出てくるとは思わなかった。小さな箱に入っていたので、気が付くまでに時間が掛かった。 

 1/100というサイズは他に例がないので、列車を走らせて楽しむことは出来ず、ただ作ってみただけで終わった。鉄道模型は仲間が必要であると悟ったそうだ。

Mr.Uchino's D62 (6) Mr.Uchino's D62 (7)共通のゲージ、共通の(似通った)縮尺が必要である。独善的な模型は孤立するのだ。


2023年01月15日

内野氏の工夫

 I氏より、とれいん誌の1996年11・12月号に内野氏の工作技法メモが載っていると連絡があった。
pull to expand 今回の edgewise に絡んで、リヴェットのピッチを合わせる方法も開陳されている。これは割合知られたアイデアのようだ。祖父江氏も「引っ張って合わせりゃいいんだよ。」と言っていたし、筆者もそうしていた。

 旧型国電などのドア上のリヴェットである。エッジワイズで作った部品にリヴェットを打ち、ヘッダを張るときに問題になるのだが、調整はわけない。金属は伸び易いものなのだ。

 人間の眼は、平行とは垂直はよく認識するからごまかせないが、長さは絶対値を認識していない。相対的な値としてしか認識しないから、このような方法が成立する。 

2023年01月13日

続 edgewise

 早速 F氏から連絡があり、写真をいくつか送って戴いた。大学の工房に鉄の帯やアングルをRに曲げる工具があり、それを参考に帯をどうすれば曲げられるかと考えました、とある。

Mr..F's method (2) この写真では木の板に孔をあけ、そこに段を付けたブラス棒を差し込み、クランプで軽く締めながら、帯板を挟んで曲げる。板にはどこまで曲げるかを描いてある。戻りがあるので、90度なら100度曲げる必要がある。


Mr..F's method (1) 孔をあけるためのジグである。棒(rung という)を差し込む位置が正確に決まる。




Mr..F's method (3) 図面をコピィして貼っておけば、その通りのものが作りやすい。 




 
 エッジワイズは難しい技法ではない。曲げる瞬間に加工硬化するので、多少の力が掛かっても、曲がりにくい。もしこれがエッチングによる切り抜きであると、あまりにもクタクタで、まっすぐに取り付けることさえ難しいだろう。 

2023年01月11日

edgewise

edgewize  (3) 内野氏はポケットからこの曲がったハシゴの材料を出して筆者に見せた。
「どうやって作ったか分かる?」

 筆者はピンと来た。糸鋸で切り抜いたのなら、わざわざ見せまい。そんな事例はいくらでも紹介されているのだから。

edgewize  (1) そこで筆者は答えた。
「ジグで挟んでおいて、引きながら曲げたのではありませんか?」
 内野氏は口を大きく開いて驚いた。
「知ってるのか!」

 そのようなやり取りがあってから、筆者は内野氏とは非常に親しくさせて戴いたように思う 。この方法は小学生の頃から父から聞いていた。大きな変圧器、モータ等の巻線はこの方法で作る。
 「エッジワイズというのだ。」と父は教えてくれた。「丸い線を巻くと隙間が大きくて損なのだ。角線を巻けば隙間はかなり少なくなるからな。」

edgewize  (2) "edgewise"という言葉は英語ではたまに出てくるが、角線を曲げるということに使うのは特殊な場合で、日常には遭遇しない使い方である。この言葉が戦前から日本に伝わっていたということは、イギリスか、アメリカからその概念が輸入されていたわけである。模型の世界では使われていなかったようだ。

 祖父江氏は抜き型で作ったものを使っていた。数の問題があるからそのほうが安上がりだったのかもしれない。プレスは、時間が節約できるからだ。穴まで同時に抜いていた。 

2023年01月09日

内野日出男氏のD62

Mr.Uchino's D62 (4)Mr.Uchino's D62 (2) 内野氏宅からお預かりしている物の点検は、ようやく最終段階に来た。

 これは一体何であろうか。寸法は伏せて写真をお見せする。ゲージ、縮尺を当てて戴きたい。

 内野氏はこれを1968年に作った、と箱に記してある。そのころのTMSを調べているが、記事には載っていないようだ。それから55年も経とうとしている。この掲載記事が雑誌にあれば、お知らせ願いたい。 

 連結器はKadeeを用いている。石炭は半分ほど剥がれているので、これは修復したい。ホコリがついているので清掃して陳列する。場合によっては塗装のタッチアップをすべきかもしれない。

 とにかく、フル・スクラッチ・ビルトである。もちろん動輪も手作りであり、これは内野氏がユニマットを入手してまもなくの作品である。 

2023年01月07日

続 突切りバイトを作る

 刃先は、200 ℃を超えると焼きが戻り始める。ということは、ハンダが剥がれない温度範囲で使えば、全く問題ないわけだ。このような理屈を理解していれば、安心して使える。

 筆者を攻撃した人たちは、刃先が剥がれるから危ないと言っていたが、剥がれることはないし、たとえ落ちてもそれは下に落ちる。その瞬間はロクロ屋で見たことがある。油が切れたからだ。すなわちその批判は、客観性のない無意味な攻撃である。実際にやったことがない人なのだ。

 キィ材を使うのは昔ロクロ屋で教わった。安くて実用的である。S45Cという鋼材は、剛性が大きいので都合が良い(快削黄銅の2倍のヤング率がある)。太さは 8 mm角程度が良い。すくい角は 0 度から始めて、各種作ってみるべきだ。どの程度が良いかは、すぐ分かる。快削黄銅なら、切り粉が細かく切れて出て来るのが理想的である。これは人によって好みがあり、筆者が見た親方の中には、すくい角を付けた上で、刃先から1 mm以内のところにコブ状の膨らみを残して切り粉の連続性を断ち切る(要するに折るわけだ)人も居た。これは、後には ”chip breaker”と呼ばれるようになった。

 上記のリンクの中にカンナの刃を二重にする話がある。これは日本の二枚刃のカンナも同じである。アニメイションが実にわかりやすくて良い。
 金属であっても似た現象はあるだろう。切り粉は粉々になったほうが、仕上がり面に傷がつかず、綺麗になるように思う。そういう点ではすくい角は少ない方が良いだろう。実際にやってみて好みの角度を探すべきだ。

2023年01月05日

突切りバイトを作る

 旋盤上での「突切り」という切断は、なかなか難しいのだそうだ。市販の突切り刃物では思うようにできないと言う人は多い。それぞれが様々な工夫をされているが、決定版と思われるものは無さそうだ。糸鋸を押し付ける方法をよく見るが、寸法が出ないから、感心しない。
 むすこたかなし氏のブログで紹介されている方法は、日本のロクロ屋で長らく使われた手法である。当時は金鋸の刃を折って作った小片をハンダ付けしていた。フラックスは当然のように塩酸を用いていた。小学生の頃、その作業をよく見るチャンスがあった。

 バイトになる鋼の小片は、使い捨ての折るカッタナイフの刃先から作ると簡単である。筆者は45年くらい前からこれをやっている。ハンダで付けると、取れやすいと思っている人が多いらしい。筆者の方法をあからさまにバカにする人もいたが、やってみればわかることで、剥がれることはない。剥がれるのならロクロ屋さんは仕事ができなかったはずだ。
 先入感でハンダは弱いと思っているのだろう。それはご自身のハンダ付けがおヘタである以外に、理由は思い付かない。十分な加熱により、ハンダが鋼片をよくぬらしていれば、そう簡単には取れない。ハンダの層が十分に薄いことが不可欠である。融かした状態で、鋼片を金属棒で軽く押し付ける。

 快削黄銅を削るのであれば、何もしなくても刃が外れることはない。相手が快削鋼であるときは切削油が必要である。しかも油を途切れなく、たらたらと流す必要がある。油が切れた瞬間に煙が上がって刃先は鈍り、摩擦熱でハンダが融ける。昔は油を垂らすのは新入りの小僧の仕事であった。小学生の筆者は、小僧が親方に怒鳴られながら油を垂らすのを見ていた。

2023年01月03日

ダイキャストの変質

 ダイキャストで作られた蒸気機関車の台枠が変形して、走らなくなったという記事があった。Mogul氏は経験ある模型人であり、ブラス板による修復は可能であろうと思うが、面倒なことである。

 戦後数年間に日本で作られたダイキャスト部品は、すでにほとんどが割れて壊滅したと思われる。有名なのはOゲージの軸箱である。EF58などに使われたものは原型を留めていない。ヤフオクなどによく出ているが、例外なく滅茶苦茶な状態である。これを修復するためのロストワックス製のブラス部品も出ていたが、末端までは届いていない。

 昭和30年代に輸出用に作られた部品も、かなり怪しい。少しずつ膨らんでいるのである。当鉄道にもかなりの数が在籍していたが、全てブラスのロストワックス部品に交換した。

 亜鉛ダイキャスト鋳物は少しずつ膨らむ。合金に不純物として鉛などが入っていると、結晶の界面が酸化されて金属結合が断ち切られ、割れてしまう。アメリカ製のはかなり持つと言われていたが、戦前のライオネルの高級な模型(Oスケールのハドソン)もどんどん割れてしまい、現存するものは極めて少なくなったという。

 最近は中国製の模型が市場に溢れている。それらはダイキャストとプラスティックの組み合わせでできているらしい。今後20年のうちに何が起こるか、観察したい。

 ブラス製で正しくハンダ付けされた模型は、1000年超の寿命を持つだろうことは疑いがない。おそらくそういう意味では、ブラス製模型の復権はありうると思っている。但し、今までのような板金を組み合わせて立体を構成する手法は一部となり、大半は3Dプリントを駆使した銅合金ロストワックスとレーザで切り抜きされた板との組み合わせという構成になるだろうと予測する。そうなると、必然的にハンダ付け手法も進化する必要がある。

2023年01月01日

作った塩化亜鉛をフラックスとして使う

 ジャンクのカヴァド・ホッパを順次組んでいるが、車体がねじれていることがわかった。下部のホッパがまともに付かないのだ。よく考えてみれば、ジャンクであるということは、それなりの理由があるわけだ。なにかの失敗で、かなり歪んだのを廃棄したのだろう 。全てバラして合板で簡単なジグを作り、その中に押し込んでハンダ付けし直したところ、下部のホッパは正しく付けられた。これで完成まで持ち込める。

 細かい部品を作り、少しずつ付けている。コテで仮留めして木のブロックで押さえ込み、ガスバーナで炙った。ハンダが沁み込み固着する。そう簡単には取れない。作り立てのフラックスを使った。塩酸がわずかに過剰で、よく付く。問題は、揮発した塩化水素が金属を錆びさせることだ。

 活性炭フィルタを持つ空気清浄機に、煙を全て吸い込ませている。祖父江氏のとは異なり、塩化亜鉛を主体としてわずかに塩酸を含んでいるだけなので、さほど問題はないだろう。しかし、机の上に飛び散ったものからは塩化水素が出るだろうから、それは濡れ雑巾で拭い取る必要がある。塩化水素は、鉄合金に対しては極めて錆を発生させやすい。鉄の表面の酸化皮膜を簡単に破ることができるからである(鉄そのものは、湿度55%以下の清浄空気中では全く錆びない。瀬戸大橋の主ケーブルはこの理屈を利用している。脱湿した空気を循環させているのだ)。
 だから、鉄をハンダ付けするときは塩酸が適する。昔自動車工場では鋼板のつなぎ目にはハンダを流して大きなヤスリで擦っていた。フェラーリのテスタロッサの側面の羽根状の付け根も、全てヤスリ仕上げであったと聞いた。 

2022年12月30日

続々 塩化亜鉛を作る

 容器を冷やしながら塩酸を少しずつ入れる。かなりの発熱があり、塩化水素ガスが飛び出すので、外でやるべきである。冬は熱が逃げやすく都合が良い。飛び出した塩化水素は空気中の水蒸気を凝縮させて霧にするので、白い湯気が出るように見える。

 量の比率であるが、亜鉛 30 gに対する濃塩酸の計算上の体積は 76 ml 程だが、揮発して逃げる分を見越すと 80 ml が良いだろう。筆者の場合は、塩酸の残量から反応させる亜鉛の量を計算した。

 反応容器を一晩放置し、完全に溶けたのを確認する。銅線を引き上げると、還元的雰囲気にあったので綺麗なピンク色をしている。この銅線を入れないと、1週間放置しても、全くと言ってよいほど、溶けない。トタン板の場合は亜鉛がなくなって鉄板になる。空気が入るので、酸化が進み、鉄は錆びるだろう。ここで亜鉛の量は意外と少ないので、ほとんど塩酸のフラックスができる。それは効果がとても良いので驚くはずである。祖父江氏は最後まで塩化亜鉛を使わず、希塩酸しか使わなかった。

 これで手持ちの塩酸は無くなってしまった。今後どうやって入手するかだが、かなり難しそうだ。 

2022年12月28日

続 塩化亜鉛を作る

 全ての金属固体が反応を助けるわけではない。積極的に阻害するもの(昔は逆触媒と言った)も、いくつかある。鉛、亜鉛、カドミウム、水銀などである。よく考えてみると、これらは全て電池の負極構成物質である。電池を休ませている時に、負極物質が電解液と勝手に反応(要するに電池を作動させていないときに亜鉛極が溶けてしまう)しては困るので、これらを用いていれば電極が反応せず、保存ができる。すなわち実用電池にはこれらを使わざるを得ないのだ。

 話は元に戻る。亜鉛はこれらの阻害剤の一つである。すなわち、亜鉛表面では水素ガスが発生しにくいので、結果として亜鉛は酸には溶けないのだ。そうでなければボルタ電池は成立しない。このあたりのことが、日本の高等学校の教科書ではかなりいい加減に扱われているので、混乱を引き起こしている。
 亜鉛を酸に溶かすには、触媒として何かが必要である。プラチナの指輪があれば、放り込めば良い。溶けることはない。(昔、それをネタにして笑いを誘う、傑作な入試問題があった。)

高純度亜鉛 と 銅線銅線を入れる あるいは製品でも良い。少し能力が落ちるが線でも構わない。筆者は、左の写真のように銅の撚り線の一端を捻り、他方を開いて放り込む。表面積が大きいので効果は大きい。右の写真は、塩酸はまだ入れていない状態で容器を覗き込んだ様子。亜鉛は微粉末で溶解速度が大きい。


2022年12月26日

塩化亜鉛を作る

 塩化亜鉛の在庫が枯渇してきた。友人が来ると所望されるので少しずつ渡しているうちに、無くなってしまったのだ。
 金属亜鉛の粉末はたくさんある。塩酸に溶かすことができれば出来上がりなのだが、その塩酸が手に入らない。10%を超える塩酸は劇物である。毒物劇物を扱っている老舗の薬局も減ってきた。さらに地下鉄サリン事件があってからは取り締まりが厳しくなり、買えない。こちらは専門家であると言っても、駄目なものは駄目で、売ってくれない。
 半分諦めていたのだが、40年前に買った濃塩酸の瓶が見つかった。少し残っていたので、これを使うことにした。

 中学、高校では「亜鉛は塩酸に溶ける」と教えている。実際にやってみると、それは正しくない事がわかる。反応しないのだ。
 読者諸氏の中には、「昔中学の時に実験をやった。ちゃんと溶けたぞ。」と言う人もいるだろう。それは、その亜鉛が99.5%程度で、あまり純粋でなかったからだ。あるいは塩酸に不純物が入っていたからである。いい加減な実験ではうまくいくが、純粋な亜鉛(電気亜鉛という)に不純物の無い塩酸を注ぐと反応しない
 この理屈は、やや高度な説明が必要である。化学の先生に聞いても、きちんと答えられる人は少数だろう。

水素の発生 結論を言うと、「亜鉛表面上の水素過電圧が大きいから」だ。亜鉛はイオン化傾向が大きいから水和イオンになりやすく、電子を残して飛び出そうとする。・・・(1)式

 残る電子は水素イオンとくっついて水素原子になる     ・・・(2)式

が、生じた水素原子が2個くっついて分子になる      ・・・(3)式 
には、触媒が要る

 簡単に言えば、電荷によって結合する反応は瞬時に起きるが、電荷の無い原子同士はそう簡単には結び付かない。何かの触媒表面が必要である。いくつかの説明のモデルがあるが、全て固体が必要である。
 ニッケルとか鉄、炭素、パラジウム、白金などがあると具合が良い。不純な亜鉛には鉄や炭素が含まれているので、偶然にもうまくいったのだ。トタン板を塩酸に浸すという古典的方法がうまくいくのも、母材の鉄の存在が大きく寄与しているわけだが、それには誰も気付かない。 

 電気分解で水素を発生させるときも、極板を選ばないと高電圧をかける必要があり、損失が大きい。食塩水の電解では陰極に鉄板を用いる理由はこれである。その時、鉄がその食塩水の中で全く錆びない理由もついでに考えて戴きたい。最近はもっと優秀な素材を、陰極板に用いるようになった。      

2022年12月24日

EMDの機関車用 traction motor を付ける

traction motor (1) 何台かの機関車を作るうちに、あることに気がついた。実物の台車の中にモータを収める場合は問題ないのだが、台車の外側にモータを吊る場合は、そのモータが丸見えなのだ。すなわち、ついていないと透けて見えて変なものだ。要するに、何かがそこにあるべきだ。

EMD traction motor (3) KS台車を作る時にダミィ・モータを作るので、ついでにこれを作った。電車用と異なるのは、冷却用のブロワ・ダクトである。それらしく上に伸ばした。あまり見えないので、細かく作る必要はない。 


EMD traction motor (1) 横から見るとこのような調子だ。十分である。 3軸台車、4軸台車にはこのようにモータが外に出ているものが多い。なぜかというと、モータが車軸の後ろ側に全て取付けられるので、一番後ろのモータは外にぶら下がるわけだ。2軸台車の場合は、台車の中の車軸の隙間に2台のモータが取付られているから、外からは見えない。

 3Dプリントでこのようなものを容易に作れるようになったので、いろいろな意味で助かっている。もしこれが金属製なら、あちこちに触ってショートするだろう。また重くなって大変である。 

2022年12月22日

続々々 covered hopperを作る

3-bay covered hopper (1)3-bay covered hopper (2) この3-bayは今までにないタイプである。市場にもあまり出ていない。ホッパのゲートの構造を変更した。その辺りはすべて壊れていたので、削り落としてそれらしく作り直す。

 car cyclopediaをよく見て、構造を頭に入れてから取り掛からないとむずかしい。
Jack Frost この種類のホッパ車の塗装は目立つものが多かった。このディカールはすでに入手が極めて難しい。"Jack Frost"は、日本語に置き換えにくい言葉で、批判を恐れずに言うと、”北風小僧”だ。寒さを持ってくる妖精である。最近公開された「アナと雪の女王」にも出てくるらしい。アメリカでは有名な砂糖のブランドであった。最近は見ない。
 

 とにかくこの5輌の貨車を完成させれば、安達氏から買い受けた貨車のジャンクはすべて完成で、残りの部品を捨てられる。思えば長い道のりであった。ざっと140輌ほど組んだことになる。

2022年12月20日

続々 covered hopperを作る

2-bay covered hopper (1)2-bay covered hopper (2) この2‐bay hopper は前回お見せしたものに近いが、屋根が別のタイプだ。要するに別の屋根を切り貼りして作った。縦割りにして、幅を詰めたのだ。丸型のハッチが必要で、その数が足りそうもないから、3Dプリントによる生産は必須であろう。

unnamed 下部のホッパは壊れているので、部品を作って直している。それほど難しいものではないが、既存のものと寸法を揃えねばならないから、注意せねばならない。板を大きめに切ってたっぷりとハンダを付け、ヤスリで調整する。このときのハンダは60%スズである。

 このジャンクは、細かい部品がほとんど付いていなかった。数十個の部品を手作りして付けることになる。楽しいが、時間が掛かる。同時に実物の構造調査に時間を掛けねばならない。

 この種のホッパ車は意外と重い。表面積が大きいのと、鋳物をたくさん使うからだろう。ハッチは鉛合金の鋳物であった。その鋳物が肉抜きが少なくて重いのは、ハンダ付けの時に融かしてしまわないためだろう。


2022年12月18日

続 covered hopperを作る

 アメリカ人が作ったブラス製車輌は、例外なくべとつく。フラックスに塩化亜鉛水溶液を使わず、ペーストを用いているからだ。この2輌もその例外ではない。溶剤である程度内外を洗ってから、強力な洗剤と磨き砂で擦ると、多少ブラスの輝きが出る。緑青が出ているところもあるから、念入りに擦る。内側は洗いにくいので、リモネンを用いて大型の綿棒で拭いた。非常によく落ちる。ペーストの基材はリモネンの構成分子とよく似ているからだ。

 筆者が最初にブラス工作の手ほどきを受けた先生はBill Melisである。彼もペーストを使った。最後に熱湯で洗うと言っていた。しかしこの長さの模型が入る鍋に入れて煮るのは大変である。
 上のリンクにあるペーストは、温湯のシャワーで比較的簡単に落ちる。ところが、油性の松脂系のものはそう簡単には落ちないから、溶剤が必要である。

4-bay covered hopper (2) 問題はハッチである。長いハッチは薄い銅板をプレスして作ってあるが、丸いのは無い。12個を旋盤で挽いても、形が揃うとは思えない。これも3Dプリントで作ることになるのだろう。とりあえず手持ちの部品を並べてみた。これらを全部付けるわけではない。

 排出口の造作も作らねばならない。合計16個もある。目立つところだから、何らかの工夫が必要である。

 台車は36インチの車輪を付けたBarber台車である。これはLow-D付きで用意してある。 

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