2019年08月13日

Big Boyの排気管周り

Big Boy's exhoust nozzles 先日の記事で、排気は前後の煙突から均等に同時になされると書いたところ、そうではないと仰る方があった。その方を納得させるには、図面集を調べて、見せる必要があった。

 これは先方の単純な勘違いであって、見せる必要もなくすぐ解決したが、せっかくスキャンした図面があるので紹介しよう。この図はLocomotive Cyclopediaの1944年版からのコピィである。この年の発行数は極めて少なく、貴重な本である。日本には、まず他に持っている人はないだろう。とは言っても1941年版の図と比較しても、このページに限って言えば、さほど変化はない。お持ちの方は調べられると良い。文字の位置と図面番号が違う程度である。

 さてこの図では、中心線の左右で描き方が異なる。左は断面、右は外観も表している。前後から来た排気はここで合流する。そしてその上面にある十文字に排列された4本のノズルから噴出する。即ち、前後で8本のノズルがある。排気は煙突からぶら下がっている petticoat(スカート状のもの)の中に吹き込まれ、周りの煙を吸い出す。いわゆるエジェクタの効果を現出するものである。この中にはさらにもう一つのペティコートがあり、それは4つの裾をもつ。こうすることによって、排気はよりたくさんの煙を吸い出す。このあたりはUPの長年の工夫の成果である。

 前後のエンジンから来た排気はいったん小さな部屋に入るが、単なる接続箱であって、日本型蒸機についていた、排気膨張箱なる無用の物とは異なる。この部屋の名前が分からない。ノズルが載っているだけの、鋳鋼の前後に長い箱である。

 先のコメントで plenum という言葉を使った。それが正しい用語かどうかは分からぬが、この種のものをプレナムという。例えばエアコンで冷気を作り、それをダクトで各部屋に分配する時、最初に断熱した箱に入れ、それからダクトを使って分配する。そうしないとダクトごとの圧力が均一にならない。その箱を、plenum chamberと言う。
 また、汽笛の5室に均等に蒸気を当てるために分配する根元部分の小さな空間も、プレナムと言っていた。

 手に針金が入ったまま、飛行機に乗ることができた。しばらく休載する。

(註)最近は配列と書くが、本来は排列が正しい。排は並べるという意味である。台湾に行くと、駅のプラットフォーム床に”排”と書いてある。そこに並ぶわけである。

2019年08月11日

O gauge

O gauge (2) この写真をお見せするのを忘れていた。
 これはNMRAの Oスケールの建築限界ゲージである。これを入手した時は、NMRAが現在のようなステンレス板打ち抜きのゲージを売っていなかったので、フロリダの知り合いが作ったのを買った。高かった。30年ほど前、20ドルもした。今の感覚だと5千円以上の感じである。完全な手作り品である。おそらく50枚くらい重ねて締め、フライス盤で削り落としたのだろう。正確にできている。

 40ミルのブラス板製である。40ミルというのは、40/1000 インチのことであり、
1.02 mm位だ。

O gauge 中心の穴に棒を取り付け、それを持って限界を調べる。隣に大きめの車輛を置くと、すれ違いの様子もわかる。
 筆者のアメリカの友人は、いわゆる”オイラン車”を作った。柔らかい針金を車体から突き出させ、それを一周させて、曲がりがないか確認する。しかし、どこで曲がったかを突き止めるのは、なかなか大変であった。今なら、無線で送信させることもできるだろう。簡単にするなら、針金付近に集音マイクを付けておいて、アンプで増幅し、積んであるスピーカから音を出させると良い。触った瞬間にガリガリとか、バリバリとかの音が聞こえるかもしれない。

 レイアウトを作るには不可欠の道具であるが、日本でこれを持っている人は少ないと感じる。線路敷設用ゲージすら持っていない人が多いのだから、当然ではある。

 このゲージによって、走行する車輛がO scaleであることが定義される。土屋 巖氏はかなりの数の1/24サイズ(1/2インチスケール)、32mmゲージの軽便車輌を遺された。すべて、スクラッチ・ビルトである。それらは平坦な、何もないヤード上を問題なく走行するが、橋やトンネル、駅のプラットフォームは、当然ながら、通過できない。車輛限界がスケールを決めているのである。同様にOn30はHOのレイアウトを走らない
 1/80日本型16.5 mmゲージの車輛はアメリカ型1/87.1のレイアウトを問題なく走る。これは50年前から椙山 満氏のレイアウトで見ている。単純なことである。

 最近、HOのポイントが入手困難になったという話を聞いた。
「自分で作ればいかがですか。」
と提案すると、
「そんな難しいことはできない。」
と言う。決して難しくはない。
 筆者は高校生のころから自作のポイントで遊んでいる。確かに尖端レイルを正確に削り落とすのは、機械を使わないと難しいが、そこまでの正確さが要求されることでもない。線路ゲージさえあれば簡単である。
 彼は今度フライス盤を使いにやって来るそうだ。訳なくできるから、きっと驚くだろう。エポキシ基盤の枕木も用意しておこう。NMRAのHOゲージを持ってくるのを忘れないように念を押した。

2019年08月09日

古いNMRAの会報

 NMRAに加入当時の冊子を、自分で合本にしたものがある。それをめくると、アナログ時代のありとあらゆる挑戦の記事が並んでいる。よくもまあ、こんなものを作るものだ、というのが目白押しだ。そういう意味ではTMSなどより、はるかに面白かった。当時これに夢中になり、いろいろなものを試作した。今でも作動する踏切警報器も載っている。それについては作者にいろいろなことを質問した。
 NMRAの本部はすぐに転送してくれて、返事が直接来た。さらに改良して、良い音が出るようにした。TMSが転送を拒絶したことは、今でも腹が立つ。吉岡氏の記事を見て、直接聞いてみたいことがあったのだ。のちに吉岡氏も、それを知ってかなり怒っていた。だから、NMRAが手紙を転送してくれたのは、本当に嬉しかった。

 Paul Shimada氏と会ったとき、その話をした。
「Mr.Yamazaki はすべての情報を自分で握っていたい人なんだね。そういう人に日本支部を預けるわけには行かない。情報は自由闊達に伝えられなければならないというのが、NMRAの精神だ。」
と言った。以前にも書いたが、Model Railroderも、Rairoad Model Craftsmanも、手紙を転送してくれた。TMSだけがおかしかったのだ。現在のTMSはどうなのだろう。

What is this? さて、この板は何だろうか。寸法を写し取って、5.5 mmのシナ合板を切り抜いたものだ。これに何か簡単なものを付け足して、天井に相当するものを載せると、完成である。
 これを作ろうと思ってから、早くも40年以上も経つ。材料はプラスティックでも、木材でも良いし、金属板でもよい。今年こそ完成させて楽しもうと思う。

 さて、何であろうか。


2019年08月07日

TMSの記事

 正直なところ、TMSを読んだのは久しぶりだ。旧体制のころからやっているドイツの”速報”とやらを、1年も続けているのは、どう考えてもおかしなものだし、小林氏の記事も連載するようなものでもない。金をとって見せるのだから、もうすこし良い記事が欲しい。

 今月号の中澤 寛氏の車輛は素晴らしい。ところが記事がおかしい。皆さんの中で、あの記事を熟読されて、意味を完全に理解できた人が居るのだろうか。
筆者は何が言いたいか」を忘れてしまった編集だ。
 何回か読んだが意味が分からないので、中澤氏にそれとなく聞いてみたら、やはり筆者の推察した通りであった。説明に対応する写真を殆ど載せていないとのことだ。走行性能を向上させる工夫について画像が全く無くなっていたのは、心外であったそうだ。

 言えることは、編集者は模型工作をしたことがあまりにも少ないのではないか。ゼロではないだろうが、糸鋸、ヤスリ、ドリル、ハンダゴテを使って、ブラスの板から、イコライジングやその他のメカニズムを作り上げた経験がほとんどないのではないか、と思う。あまりにもトンチンカンな記事で、情けなくなってしまった。

 30年前のヤマ氏のころ、実物誌が増えてきたので、実物の話題を載せるのをやめるとの決断があった。またぞろ実物の話題が載っていて、しかもそれが間違っているのでは困ったものだ。
 金を取っているということを忘れてはいけない。先のM氏が書いた不発弾の中に、「TMSを100円にして、イモンの広報紙とする」という案が書いてあった。その第一歩なのかとすれば、あまりにも悲しい。


2019年08月05日

Big Boy の復活

 アメリカではかなりの騒ぎになっている。筆者も行きたいが、手の中を針金が貫通していて、その上にギプスを巻いているので、空港での検査に通るかどうかが怪しい。過去に筆者が見ていた範囲では、別室に通されて、金属探知機と犬による検査があり、さらに医師の判断でX線で見る。要再検査の乗客が一人だけならよいが、何人か居るとそれだけで長時間かかって、飛行機に乗り遅れということになるのが目に見えている。

 さて、動画をたくさん見た。分岐をくねくねと曲がるところが面白い。模型でも同じなのだが、実物の動きを見るのはまた格別だ。蒸気は洩れまくっている。Tom Harveyが言うには、
「夏は良いのだ。冬は、蒸気管継手から漏れた湯気で真っ白になって、前なんて全く見えやしない。」
 球面の高圧蒸気管自在継手はネジとバネで締め込んであるが、効果があまりなかったそうだ。現代の工具で研削してもダメなのだろうか。 
 もう一つ気になるところがある。シリンダの前蓋がない。鋳鋼製の鋳物が丸見えだ。Tom はそれをとても嫌がっていた。ニッケルめっきの部品を付けるべきだ。

 石炭を焚かないというのが興味深い。アメリカには妙な法律が出来てしまい、石炭を燃やした排気ガスを、そのまま大気中に放出してはいけないことになっているのだそうだ。それなら重油は良いのかというと、それも怪しい。
 今回燃やしているのは、ディーゼルエンジンの廃潤滑油という説がある。潤滑油には硫黄化合物、場合によっては塩素化合物が含まれているので、却ってよくないような気がする。

 ところで、先日TMSの最新号を見た。田舎に住んでいるものだから、この種の雑誌には遭遇しない。友人に見せて貰った。

 その中にBig Boyの特集記事があり、最後の部分には首を傾げた。Big Boyが二本煙突の理由を書いているが、全く筋が通らない説明だ。

 煙突下の2組のノズルが付いている排気管には、中間に仕切りは無く、前後のノズルから、同時に全く同じ圧力で噴出する。前後のエンジンからの排気が独立に噴出するわけではないのだ。それは動画を見ていればよく分かる。片方だけが噴出することがあれば、他方の煙突では煙が吸い戻されるだろう。ドラフトで、煙室の空気を吸い出し燃焼を助ける、という理屈が分かっていれば、こんな理屈が通らないことは書けない。大きな図面があるのでチェックしたが、当然のことながら、中間の仕切りはない。
 写真の説明には、エクスパンションジョイントという言葉も書いてある。前部高圧蒸気管は屈曲して長さの変化を吸収するが、継手部分での伸縮はしない。だからエクスパンションという言葉は使わない。後部エンジンの上の継手は温度差による多少の伸縮を吸収する機能を持っているが、それのことを指しているは思えない説明だ。

 詳しい人はたくさんいるので、電話一本で解決することだ。この種の間違いがあると、だれも信用しなくなる。10,000トンを牽くという話も書いてあるが、重連でも無理だ。ちょっと高校一年の物理の計算をすれば理解できることなのだが、それをしないのはどうしたものか。
 ちなみに、勾配を緩く(10‰)した第3本線でなら、1輌で6,000トン牽けた。こういうことは文献を調べた上で、計算すると正しいかどうかわかる。この記事は2009年2月号の平岡氏の記事をなぞっただけである。それだけなら間違いはないが、上積み分が間違っているというのは編集者の能力の問題だ。
 査読者が必要であることは、論を待たない。 

2019年08月03日

OOについて

 OOの件で、ここで述べた意見に納得できない人も居る。下記の調査結果をイギリスの事情に詳しい方にお送り戴いたので、紹介する。筆者はアメリカの模型屋でOOがHOと並べて売られているのをよく見た。当然であるが、線路は共通であった。

BL000BL067BL069BL085 OO4mmスケールということについて述べます。1956年のバセットロークのカタログでは、イギリス製のOO以外に欧州製のHOも掲載されていますが、それはOO3.5 mmスケールと表示されています。商売上のことを考えると、同じ16.5 mmの線路上を走れて、それほど大きさに差もないのだから、OOと表示しておいたほうが、消費者の混乱が少ないとの配慮としたのでしょう。(4 mmと3.5 mmの違いが気になるような人は、表示を見て自己判断できるでしょうから)。
 これは、日本でHOゲージが1/80の日本型も含めていたのと同様のことで、消費者にとってはむしろ親切なことと思います。

 写真説明
1枚目 1956年10月1日発行のシールが貼られている。
2枚目 ドイツ、トリックスの製品紹介 頭のところに、OO Gauge  3.5mmscale と記載
3枚目 同じくカタログ中 イギリス型もあり、3.5 mm scaleである。
4枚目 ホーンビィの製品紹介 解説文左上に、 4 mm scale1/76の記載がある。



 また、Empirebuilder氏からは次の意見をお送り戴いている。

 OOについての言及が多々ありました。16.5 mmゲージでありますが、OO1/76なのでHOではない、だから1/80HOではない、という理屈です。OOについて改めて調べてみると、英国向けの特殊な規格であり、HOと同じ縮尺では、車体が欧州大陸の規格より小さい英国型に、同じ動力メカニズムが搭載できないため、車体を1/76とした規格でした。ゲージは16.5 mmのままです。この規格のために、DOGAという組織まで作っています。Brexitでしょうか。NMRANEM?にはOOは定義されていません。この1/76という縮尺が採用された理由からわかりますが、同じメカニズムを使っているのであれば、実質的に大陸型と同じHO規格内に収まる、ということです。ただ、4 mm scaleと主張するためだけに、独自の組織を作ったとも言えます。

 NMRAでは、このOOについては脚注でDOGAを参照するように、と書いてあります。NEMも 4 mmに言及しているようです。要するにDOGANMRA, NEMはその基準が異なっていると考えられます。NMRAの最新規格で考えると、OOは完全にHO規格内です。ただ、別組織が管理しているためか、OOは採用していません。このことからOOHOは別の組織による規格で、基準が違うため、その関係を定義、比較することは無意味であることがわかります。OOHOの線路を使います。そのため近年は箱にOO/HOと書かれています。独立してOOと名乗っているのにHOと箱に書くな、と言われていますが、実際にHOの線路を使うため容認されているようです。ストラクチャーもOO/HOと書かれているものが多く、縮尺もかなりいい加減のようです。初期の16番にはOOも含められています。そのOOが、英国型を意味するのであれば、16番は、HO規格から逸脱していない、と言えます。HO16番は、HO規格をはさんで同じ意味となります。個人的には、最新のNMRA規格は16番の概念を取り入れたかのように見えます。

 
ここで大切なのは、理念ではなく消費者と製造業者の関係である。商品としてどう扱うか、という視点が欠けた論争は意味がないし、論点がはぐらかされてしまう。少数の人が、ここに書いてあることとは異なる縮尺、ゲージを採用しているが、それは個人の自由であって、本件とは関係が薄い。



2019年08月01日

続 矜持

 M氏は、ゲージ論は感情論だと言っている。彼の読解力には、おおいに問題がありそうだ。ここで展開されているのはビジネスのあり方である。個人的に楽しむ模型であれば、どんなサイズでも、いかなるゲージでも、どんなフランジ形状でも問題はない。彼の文書に名前を使われたOJの三木氏は、まさにこの路線を行っている。全く関係ないところに引張り出されて、迷惑しているはずだ。しかし、商業目的の文書の捏造部分については公正取引委員会のお世話になる。

 また、HOと表記されたものを買ったのに16.5 mmゲージでないということになれば、訴訟にもなりかねない。しかも、会社が公表している「1/80はHOではありません」の記事の一節に12mmがHOだとあったとすれば、客をだまそうとしている立派な証拠にもなりうる。アメリカで、友人の弁護士に近々会うので、話しておこう。現実に、間違って買ったという人の報告は聞いている。これは日本の話であるが、国境を跨いだ問題が発生するのは時間の問題である。オリンピックはあと1年後だ。

「HOという文字列は 縮尺のみを指す」という証明は極めて困難である。HOは軌間を表す例が過去にも現在にも無数にある。それを大昔から1/87.1縮尺のみを表すことに決まっていたと、商売上の宣伝の文言に使って、他社製品をニセモノと誹謗するのは明らかに商業上のルールに反する。もし公正取引委員会に申し立てられたら、勝ち目はないだろう。他社はどうしてこれを訴えないのかが、不思議である。有効な証拠はたくさん用意してあるから、要望があれば提供できる。

 だれしも、楽しく鉄道模型を楽しみたいはずだ。静かに楽しむことはできないのだろうか。
 趣味の世界で、自分達以外は間違っているということは、言うべきではない。「こっちのみーずはあーまいぞ」は良いのだが、「そっちのみーずはにーがいぞ」を言ってはいけないのだ。それどころか、「そっちは毒入りだぞ。」とまで言っているような気がするが、皆さんはどう感じられるだろうか。しかもそれは、一個人の趣味者が言うのではなく、商業上の文書として流布されているのである。

 ところで、M氏は自宅のレイアウトで日本型1/80も走らせるようだが、その時、ストラクチュアは1/80に取り換えるのだろうか。 

2019年07月30日

矜持

 M氏は、どうしても筆者を黙らせたいようだ。人格攻撃まで書いている。筆者を異常性格者として葬り去りたいらしい。これはナチスが使った手口である。正当な意見を言う者を精神異常として拘留し、殺害した。
 しかし、この件については、異常な人に異常と言われると、ひょっとしてまともかも知れないから、少し安心している。このブログに書いてあることなど、無視すればよいのに掴みかかって来るというのは、ひょっとして、このブログは大きな力を持っていると勘違いしたのかもしれない。無視されるが良い。

 ”貧すれば鈍す”という言葉がある。筆者の人生の中では、どういう時に使うのかが分からない言い廻しだったが、好例を見つけた気がする。井門氏は金があるから、逆らっても無駄だと書いているのだ。まさか、そういうことを言う人だとは思わなかった。彼は矜持を捨て去ったようだ。

 残念ながら、当方はそんなことには全く利害関係がない位置に居るということが分からないようだ。HOを楽しむ友人がたくさんいて、皆迷惑しているのは最近知った。ウソの入った情報をばらまき、国鉄型は1/87、 12 mmゲージが正しく、1/80はガニ股で見るに堪えないと攻撃する。そんなことを許しておくわけには行かない。

 誰かが言ったが、それは義侠心なのだそうだ。強きをくじき・・・、何とか、ということを言うつもりはないが、間違っていることに対して、間違っていると言うのは正当な権利である。とやかく言われる筋合いはない。
 筆者は昔から、誰に対しても同じようにものを言うので、摩擦が起きることがあった。しかし結果として、すべて良い方向に行っている。負けたことはまずない。客観的なことは覆せないから、勝ってしまう。
 私たちはこのように解釈している、などと言う連中は、最初から負けを認めているのと同然だ。

 このブログは、広告の無い無料新聞である。圧力に影響されるわけがない。日本に確かな鉄道趣味雑誌がないから、始めたブログだ。読んで、なるほどと思う人が居れば、それで目的を達している。抑圧された雑誌とどちらが価値があるかは、読者の判断である。      


2019年07月28日

HOの起源

 M氏は4日も掛けて書いた文章だとは言うが、全く客観性のないお粗末な文章である。自分に都合の良い発言だけをなぞって、権威付けに利用している。
 まともな人はこういう文章を読むと、めまいを感じる筈だ。逆に、何も知らない人が読むとそうなのか、と納得する人もいるだろう。そういう意味では、そこそこに優秀なアジテータではある。
 理系の論文にも、こういうのがたまにある。いわゆる御用学者が書いたものだ。

 さて、井門氏(M氏も含まれるかもしれない)が拠り処としている山崎氏の1949年の文章には、正しくない部分がある。

 山崎氏はイギリスとアメリカにはある程度詳しかったようだが、欧州の事情に関しては全く不勉強であったことが分かる。
 先回もお伝えしたように、HO=1/87は1953年のNEM発足後の規格であるから、山崎氏の文章の時点では、決まっていなかった。山崎氏は欧州の情報を知らなかったのだ。欧州=メルクリンと思っている人が多いようだが、メルクリンは交流三線式の独自の世界であって、それをスタンダードと言うのは無理がある。山崎氏はメルクリンはよく出来た玩具と言っているから、模型の範疇には入れていなかった。

 また、HOがアメリカ発祥のスケール規格という話は、明らかな間違いである。3.5 mmというアメリカとは全く関係の無い数字を見て、何も感じないのだろうか。今も昔も、アメリカではメートル法は定着していないことを知らない人の文章である。 
 HOはゲージ規格として、Oの半分で、欧州から始まっているその後、アメリカでは早い時期に、HOスケールとして定着したのは事実であるが、欧州ではHOゲージ=16.5mmとして発展してきた。

 山崎氏が16番を広めようとしていたのはわかるが、氏の権威が強くなったのは1960年代のことである。したがって、1949年の山崎氏の発言を拠り処にして議論を展開するのは無理がある。当時は複数の模型雑誌が乱立し、その一つの若い尖った編集者が、言ってみただけのことなのだ。やはり、昔から言うように「四十にして惑わず」である。それぐらいの歳になるまで、編集者などできるわけがないのだ。
 1970年代になると、山崎氏は過去の失敗に気が付いている気配がある。それが書かれたのは、先日の記事である。「五十にして天命を知る」だろうか。その後は違う方向に行っているが、そんなことはどうでも良い。

 イモンの新しい「1/80はHOではありません。」の文章も、保存しておくべきだ。10年後に読み返してみよう。



2019年07月26日

NMRA Life membership

 M氏はNMRAの life membership 終生会員権を保持していることが自慢らしい。手元の1972年の全会員のリストを見ると載っていないから、それ以降の加入なのだろう。72年の日本の会員を見ると、山崎喜陽氏も載っていない。そこには、日吉菊雄氏や伊藤剛氏、他に製造業者約10人の名前がある。筆者が入ったのは1976年で、その当時のリストには載っている。筆者もライフメンバになろうと思ったこともあるが、その頃に「ライフメンバはお荷物」と称する記事が会報に載り、
「財政的には全く貢献していない。少ない金額で、多年の恩恵を受けられる制度はやめるべきだ。」
と主張していた。なるほどと思い、普通会員のまま、35年ほど入っていた。計算すると、ライフメンバになるための金額の二倍以上払っている。その間何度となく、様々な記事の執筆者に手紙を書き、意見を送ったりした。そのうちの何人かとは、後に会うことができた。

 これは、会員であれば当然のことである。活動を活発化するには、意見交換が大切だからだ。会員証を御札のごとく飾っていても、全く意味がない。そのうちに筆者はアメリカに引越したので、地域の催しには積極的に出て、本部との意見交換もしたし、なにがしかの寄付もした。チャタヌーガにある本部の建物のどこかに、筆者の名前の入った煉瓦がはめ込まれているはずである。
 そうこうするうちに、Paul Shimadaという人から電話があった。
「今度の年次総会に出ますか?会いたいのだが・・・。」
と言う。誰なのか判らなかったが、電話を切ってからNMRAの会長であることに気付いた。滑らかな英語を話す(2世だから当然か)、教養のある人だと感じた。すぐに電話を掛け直したら、今度は日本語で話し始めた。その日本語は分かりにくく、困った。

 年次総会に行くと待ち構えていた。筆者のことは日本に居る時から知っていたらしい。時々興味深い問い合わせがあって、記憶に残っていたと言う。日本に帰るのか、こちらに住むのかと聞かれた。「帰るのなら、NMRAの日本支部を開いて支部長になってくれ。」と言われた。
 まだこちらも若く、将来のことは決めかねていたので、とりあえずはお断りした。もしそうなっていたら、どんなことになっただろう。山崎氏が何か言ってきたかもしれない。
 その後、サクラメントに行ったときには、連絡してお宅に伺い、家族でご馳走になった。15年ほど前に亡くなったが、能力に満ち溢れた素晴らしい方であった。

 2000年代になってからはNMRAは徐々に変質し、HOの意見が強くなると同時にFスケールが台頭し、Oスケールの人たちは離れ始めた。2008年にRP25のありえない数字についての質問をしたのが、筆者の会員としての最後の活動だ。答えられる能力のある人はいなかった。出まかせのおかしな答を送って来て、それは間違っていると言っているにもかかわらず、勝手に規格表に追加した。それで筆者はNMRAとは決別した。その後時間が経ったから、規格委員は入れ替わっているだろう。当時、NMRAに意見を言ったとK氏に伝えたところ、「NMRAに意見するなんて・・・」と絶句していた。するべきなのである。しなければならない。

 ともかく、NMRAに入っていると嬉しそうに言う前に、会員としての活動をされるが良い。そうでない人は入っていても意味がない。規格その他はインターネットでも手に入るのだから。


 今回の「1/80はHO」の意見も、言うべきなのである。KATOの加藤 浩社長が言えば、採用される可能性がある。KATOはDCCの普及にも貢献し、アメリカでの評判はすこぶる高い。言えば必ず反響があるはずだ。M氏の言う、「相手にされません」というのは根本的に間違っている。
 今回の規格の改訂についても、M氏は一般人より触れる機会が格段に多いにも拘わらず、何も気が付かないというのは、鈍感以外言葉が見つからない。眺めていただけではないだろうか。


2019年07月24日

HO gaugeは和製英語 ?! が消えた

 右手の手術が終わって二週間になる。抜糸後、再固定された。ギプスが、がんじがらめに巻いてあって、全く動かせない。右手が使えないと出来ないことは無数にあり、模型工作はすべてお休みである。ネジが締められない、糸鋸が使えない、ヤスリが掛けられない、金槌が打てない、ハサミが使えない。それとマウスが使えないので、ブログは当分の休みを戴いている。バックボタンが押せないというのは、本当に困る。音声入力というものもあるが、話にならない。

 メイルを確認していたら、イモンのサイト内の表題の文章が消えていると連絡を受けた。多くの方からお知らせを戴いたが、情報を総合すると、7月14日から新しい文章になったようだ。更新後の文を読んだが、歴史にはかなり怪しいところがある。以前の文章は皆さんで保存されているはずなので、比べてお読みになると良い。
 井門氏はブレインを持っていないのだろうか。外国の文献を細かく当たれば、捏造部分があることぐらいすぐわかるはずだ。山崎喜陽氏が昭和24年に書いた文章を全ての原点としているが、これは正しいとは言えない部分を持つ。

TMS #41916.5mm=HO 当時20代の若者が知ったかぶりをして書いた文章が、どうして原点になれよう。その後の彼の文章は、右に行ったり左に行ったりして、あとで気が付いたことを言い出せずに終わっている。TMS419号のミキストをお読みになれば、HOゲージという言葉を認めている記述にも遭遇する。山崎氏を中心とする歴史には意味がないのである。

 困ったものだと、この文章を書き始めたのは先週なのだが、片手では時間が掛かってしょうがない。そうこうするうちに、数人の友人から「爆弾だよ」とM氏の文章を転送された。そのうちのお二人からは、「不発弾だけどね。」と注釈が入れてあった。


2019年07月04日

炭素ディスクによるハンダ付け

 しばらく前の実演の写真を、MS氏から戴いた。炭素棒ハンダ付けの実演をせよ、とのことで、機材一式を持って出かけた。大きなトランスが入っているので、それを2つも入れると20 kgもあった。大きなスーツケースを牽いて行ったのだ。
 いつも手伝って戴くDr.Yも、自作のトランスを持って来られたので、それもお見せした。二次側の線は熱くなるので、ビニル被覆はいずれ可塑剤が昇華し、ぽろぽろと割れて来る。テフロン線に更新するようにお勧めした。一週間後にお会いしたら、直ちに巻き替えられたそうだ。

 伊藤 剛氏製作の炭素棒ハンダ付け機も、供覧するべく持って行った。非常にコンパクトに作られ、独立した足踏みスウィッチが無いにもかかわらず、1次側の断続が自由にできる優れものであった。
 ケースの蓋は蝶番で開くが、その陰にマイクロスウィッチが隠れている。蓋に触れると On になる工夫だ。実に素晴らしい工夫で、誰しも驚く。足元にケースを置いて、蓋を軽く押さえれば、On になるのだ。

炭素ディスク 炭素棒ハンダ付けの現場を見たことがある人は日本では少なく、かなりの方が熱心にご覧になった。太い材料(例えば 4 x 5 mmの角棒で出来たテンダの端梁)にステップを取り付けるのは、普通のコテではできないが、炭素棒なら3秒で完了だ。分厚い鋳物(Φ30、5mm厚)に小さなロスト部品を付けるのも5秒でOKである。外す時は。炭素棒で出来たピンセット状のもので挟めば、すぐ取れる。持ったまま、ずらして付けることも容易だ。

 客車側板のシル、ヘッダを隙間なく付けるのは、熟練がいる。プロは大きなコテの温度を最高に上げ、ジグで押さえ付けた細い帯板を一気に付ける。これはアマチュアには、かなり難しい。もたもたしていると、熱が板の方に廻って、全体が反る。こうなると修復不可能だ。
 帯板にハンダを塗り付け、良く磨いた側板にはフラックスを塗る。そしてこの炭素ディスクを当てて毎秒 2 cmほどで移動させると、全く隙間なく、完璧なハンダ付けができる。ハンダが両側に僅かに光って見える、理想的な状態である。

carbon disk 炭素ディスクは仙台の今野氏に挽いて戴いたものだ。中心部の金属が炭素ディスクとよく篏合し、この部分の接触抵抗が小さいことが肝要である。そうでないとこの部分が発熱し、燃えてしまう。
 アメリカで見たのは炭素ローラで、直径より幅が広いものであった。工業用途のもので、電流は100 Aも流れるそうだ。極端に太い電線が付いていた。何を付けるのに使ったのだろう。


 今度は右手の手術で入院しているので、しばらく休載する。左手は、お陰様でとても調子が良い。こんな事なら、もっと早く手術を受ければ良かったと後悔している。ボタンを嵌めたり、靴下が普通に履ける生活を、久しぶりに体験した。ここ何年かは、ヤットコでボタンを嵌めていたのだ。

2019年07月02日

エア・コンプレッサの出口

 梅雨時は湿度が高い。当然のことながら、空気を圧縮すると、その中に含まれる水が凝縮する。この記事を読んで心配になって、連絡した。理屈はよくわかっていらっしゃる方なので、問題はなかったが、もう少し広く知らせておかねばならないと思い、記事を書くことにした。水滴を含む空気が噴出すると、塗装面は悲惨な状態になるだろう。

 ほとんどの方は、飽和蒸気圧という概念をよく理解していないだろうと思われる。飽和蒸気圧は温度のみの関数で、その数値以上の蒸気圧は存在しないから、それ以上では、水は凝結する。これは梅雨時だけではない。真冬でも十分に凝縮する。

 例えば、大気圧で 27℃、湿度92%の空気には 25 mmHg の水蒸気が含まれる。それを圧縮して4気圧(圧力計の読みでは、最初が0気圧だから 3気圧)にすると、仮定される水蒸気圧は 100 mmHgになる。そのような状態は許されないので、27℃ での許される値、27 mmHg になるまで凝縮する。
 こう書くと、何だ簡単じゃないか、水滴ができて水が取り除かれたんだ、と思う人は多いが、実際にはそれ程単純ではない。

 気体を圧縮すると熱くなる。物理の時間にその理屈は習うだろう。分子の運動エネルギが増大するのだ。即ち、温度はかなり高いので、凝縮する量は僅かである。
 蒸気機関車の空気溜めの前の蛇管は、その熱い空気を冷やすためである。空気溜めの温度はなるべく低いほど良い。こうして、中には水が溜まる。仕業検査の時には、空気溜めのドレン・コックを開け、水を抜くのは当然である。凝縮水は、油とともに噴出する。

 塗装をされる方は、コンプレッサは買ってもエアタンクを持たない人が多い、と聞く。それは決して良くない。エアタンクは圧力の脈動を防ぐためと思っている人が多いが、実際は、水を分離するために必要である。
 連続使用するとタンクも熱くなるので、扇風機で冷やすのも手だ。途中のパイプを水冷(できれば氷冷)すると完璧だ。

2019年06月30日

Signal Red

UP cabooseSignal Red カブースの手摺り、はしご等は赤の警戒色に塗られている。この色が、日本で売っている塗料の中には見つからない。
 20年ほど前、赤の塗料をいくつか買って、条件を整えて色見本を作った。ある程度の面積を持つもの、線に塗ったものなどの見え具合を調べた。どれも不合格であった。昔撮ったコダクロームのスライドと比べると、その色は微妙に違ったのだ。
 この色は単純な赤より、僅かに橙色に寄っている。黄色を混ぜると、明らかに彩度が落ちるのが分かるから混合色ではだめだ。単一物でこの色を持つものは、一つしかない。

 Floquilの Signal Red という色がある。この色はずばりである。30年前、本物のカブースの廃車体から、塗料を削り取って、分析に掛けたところ、カドミウムが入っていた。カドミウム・レッドだ。カドミウムの硫化物 カドミウム・イエロゥ は黄色で、道路の追い越し禁止表示に使われていた。カドミウムと、硫黄の同族元素のセレンとの化合物は、この特徴的な赤を作り出す。陽に当っても褪色せず、その顔料がある限り、鮮やかな赤を示す。このフロクイルの塗料はカドミウム・レッドを含み、貴重なものであったが、もう手に入らない。

brake handlebrake handle24017_Backhead_20040426 UPの蒸気機関車のあちこちのハンドル類にはカドミウム・レッドが塗られていた。筆者が所蔵しているBig Boyのブレーキハンドルにも、塗られている。5枚目の写真はWikipedia からお借りしている。日本でも明治・大正期の一部の機関車には赤いハンドルがあったそうだ。

 最近はドイツを中心に広がった下らない環境保護団体の活動のせいで、カドミウムを使うことが禁止されてしまった。カドミウムは摂取してはならない、と主張している。本当にカドミウムが全く入っていない物しか食べなければ、人間は発育不良になる。カドミウムは人類にとって、微量必須元素である。あちこちで使われたものは、少しずつ溶けて現在の日本がある。
 道路の黄色の線の色が、最近は少し変わってきたことに気が付かれた人も居るだろう。有機物になったのだ。そうなると、徐々にカドミウムの不足が顕著になるだろう。筆者はいずれ、「カドミウム強化米」というものが発売されるとみている、というのは悪い冗談だが、決して起こりえないことではない。カドミウムは骨の中のカルシウムの代謝には必要なのである。多すぎるといけないが、なくては困るものなのだ。

 シグナル・レッドの残りが少ない。アメリカの市場でも枯渇している。なくなれば自分で顔料から作るしかない。あるいは油絵具から抽出することになる。

2019年06月28日

narrow gauge

 これでF scaleは終了である。線路がかなりあるので、自宅の庭で試運転してみよう。耐候性がある材料なので、しばらく敷きっぱなしでも問題ないだろうが、犬が居るのでその点は心配だ。早く博物館レイアウトの完成に向けて傾注したい。


 細かい作業ができない日が続いたので、貨車で、マスキングが要らない物を塗装をした。延べ20輌は塗ったはずだ。

D&RGW2 その中に、これらのDenver and Rio Grande Westernの On3貨車群がある。ブラス製のかなり高価な車輛たちである。内2輌はパイオニアの製品だ。ハンダが廻っていないので、部品がぽろりと取れる。ひどいのは端梁が落下したことだ。全くと言ってよいほどハンダが付いていない。塗装前に念入りに調べて再ハンダ付けをした。こういう時は炭素棒は便利だ。磨き砂で磨いて、プライマを塗り、Floquilで塗った。Glazeをたくさん入れて、思い切り艶を出し、ディカルを貼りやすくする。 ディカルはあり合わせのものを切り刻んで貼った。正確かどうかは分からない。年代によって、標記位置が異なる。今まで殆ど注意して来なかった分野なので、資料探しも難しい。

 土屋氏が、On3の線路も少しは敷いて欲しいと希望されたので、簡単なヤードと三角線を本線脇に作ろうと思う。貨車は数輌が未組である。Oスケールの標準軌車輛に比べるとあまりにも小さく、なかなか難しい。この種のキットには、見えもしない床下機器を完全につけることになっているのだ。簡略化したいが、ターンバックルだけは、付けねばならない。ブレーキ装置は、ある程度は付ける。

D&RGW3 車輪の載せてある車輌は、クレーン車と組 (mate) になる。囲いは枕木を入れる場所だ。

D&RGW カブースは韓国製で、細かく出来ているが、実感が湧かない。綺麗すぎる。あたかも写真のように細かいのだが、細部が怪しいのである。床板に上廻りを取り付けるネジが不良であるし、どちら向きにもはまる。ネジの位置を1本変えておけば、いつも特定の方向に向けて床板を留められる。ブレーキ装置は向きが決まっているのだ。あまりにも重く、軸受が良くないので、油を注しても動きが悪い。また車輪の踏面の精度が悪く、ゴロゴロと音がする。これを改良するのは難しい。

 軽く砂埃を被せて終了。いずれ本格的にウェザリングをする日が来るだろう。

 筆者はナロゥゲージをそれほど深く研究しているわけではないので、標準軌車輛との対比材料として考えているだけである。

2019年06月26日

続々々 F scale

 45 mmゲージでは、一つのゲージに数多くの縮尺があることが、当たり前になった。これがNMRAの考え方を変える(縮尺からゲージへの転換)原動力になった。45 mmである限り、どの縮尺模型も同じ車輪規格を使うことになっている。即ち、2 ftのモデルを作ると、フランジは相対的に低くなる、ということだ。。
 しかし、そうであっても彼らは、finescale などとは言わない。この言葉は1980年代にイギリスでよく使われたようだ。すでに鉄道模型ではあまり見ない言葉になった。日本では、勘違いで時々使われているが、全く感心しない。 


 大きなものを作るのは初めてだったが、なかなか楽しかった。土屋氏がこれにハマったのも理解できた。
 リハビリのための工作はこの2輌で終了して、レイアウトの作業に戻った。ギプスには塗料、金属粉がこびりつき、病院で外す時に質問された。

 片付けものをしていたら、このクレーン車 Billmeyer & Smalls Four-Wheel DerrikDerrick の残骸が出て来た。上廻りがばらばらで悲惨な状態であった。幸い図面が見つかったので、修復した。1日で直ったので良しとする。人力クレーンである。なかなか渋い色である。

 興味深いのは、手廻しクランクは左右両方にあって、その位相が90度ずれていることだ。二人で廻す時には、そのほうが力が入りやすいのかもしれない。捲き上げてラチェットが掛かるようになっているが、降ろす時は危ない構造だ。あまり重いものは、持ち上げないほうが良いだろう。圧縮の掛かる部分の鉄骨が強くない。座屈しそうだ。クレーン本体が木製で、しかも曲げの力が掛かるので感心しない設計だ。むしろ、本体を鋼材で補強し、圧縮部分を木製にすべきであった。

 尖端にぶら下がった鎖は3本に見える。中学校でやった滑車の問題である。力が何倍になるか考えてみよう。あまり見かけない方式ではある。

 後ろ側には鎖があって、移動時の安定を図っているようだ。ブレーキもある。作業時にはこれを締めるのだろう。


2019年06月24日

続々 F scale

 同じ45mmの線路を走るものでも、各種のサイズがある。標準軌車輛を走らせる人(1/32 サイズを採用)、ナロゥを走らせる人、それもメータ・ゲージ、3 ft、2 ftなどがあってややこしい。(2 ftの場合は縮尺に 1/13.5 を採用することになるが、利用者は非常に少ない。)

 その中でもこの 1/20.3 が一番盛んだ。最近驚いたのは、これがかなりのファンを獲得して主流になったので、その標準軌を 70.7 mmゲージで作る人が出てきたことだ。Oゲージの2倍強である。この1/20.3の場合、2 ftナロゥは 32 mmゲージ(厳密には、31.75 mmゲージ)に載せる(うるさい人は30 mmゲージを始めたが、殆ど誰もついて行かなかった)。
 つまり、F scale 1/20.3は、この30年で、アメリカでは、かなり認知された縮尺になったということだ。だからこそ、NMRAの規格に載ったのだ。確かに、アメリカのどの模型屋にも、 1/20.3 の模型が置いてある。よく売れているのだ。
 F scaleの 3 ft ナロゥの巨大レイアウトもある。これは凄い。


 既存ゲージは強いという、一つの証拠だ。45 mmゲージのインフラはLGBに依って拓かれた。すでに十分にあるので、それを生かした模型作りに成功した例である。

 実は、筆者は初めは成功しないと見ていた。1/20.3 という縮尺は実生活にはない数字だから難しいだろうと思ったのだ。
 その昔 17/64 インチスケール(1/45.2 サイズ)のOゲージがあったが、線路幅から逆算される縮尺に拘り過ぎて、自滅した。素晴らしい商品群があったのだが、最早誰も見向きもしない。17/64というスケールがこの世に普遍的に存在しなかったのが、失敗した原因だ。住宅図面などは1/4インチスケールを使っている。MRはそれを見抜いて、1/4インチスケールの図面を提供した。これが効いたという説もある。
 その後の O scaleは少し小さい1/4 インチスケール(1/48 サイズ)になり、十分に発展した。これはゲージ幅が6%強広いことを無視している。

 F scaleの 場合はこのOゲージの失敗例を覆して、ゲージを縮尺に合わせて成功させたことになる。それはふんだんにある45mmのインフラを最大に活用することにより、奇妙なサイズだが、それを乗り越えて得られる果実が大きかったからだ。室内まで作って楽しむという、新しいジャンルを切り開いたのだ。ドールハウス遊びに似ている。
 しかし日本でのファンはあまりいない。少々大きいが、庭で遊ぶ分にはそれほど問題ではないと思う。木製が多く、価格もそれほど高くない。エポキシ接着剤で組まないと壊れやすい。即ち時間が掛るキットである。

 鉄道模型の歴史を見ると、まさにマーケティングのケース・スタディをしていることになる。根底にあるものは何か、を感じる。


2019年06月22日

続 F scale

hopper car この木造ホッパ車は、部品数200以上のかなり面倒なキットを組んだものだ。鋳物部品もあるが、それらは精度の高い硬い鋳物である。活字合金のような気がする。ヤスリが良くかかるので具合が良い。すべての木材は正確に切り出されている。削らなくても必ず合うのが良い。斜めのかすがいも、ぴたりと納まるのには驚いた。
 こんな正確なキットを作る人が居るのだ。飛び出したハンドレイルも、手が当たりやすいところだけは、ブラスの鋳物である。よく気が付く人が作ったことが分かる。ブレーキ・リギングは活字金製のようだが、あまり実感的でないので、ブラスで作り替えることにした。その部分だけを除いて完成だ。これも金属部品だけを塗装して、全体にウェザリングを施すとできあがりだ。

 ニューメキシコの Hartford という模型屋であった。2001年に土屋氏とシカゴに行ったときに、この模型屋に行きたいとのことで、地平線の見えるサンタ・フェ街道を 3日もかけて車で行った。遠かったけれども、楽しいドライヴであった。その時はRaton峠は通らなかった。そこでたくさん購入した物の一つである。この店は今は買い取られて、ユタ州に引っ越したようだ。
cabooseinterior 他にも flat car、gondola、caboose などがある。大きなものなので、耐衝撃を考えた作り方をしないと、連結時に壊れてしまう。カブースは車内まで作る部品があった。資料がないから大変である。博物館の蔵書を調べてそれらしく作るしかない。これは土屋氏の製作だ。塗装は非常に実感的である。内装は筆者が作っている。


2019年06月20日

F scale

最近話題になっていることであるが、45mmゲージを利用するいくつかの縮尺模型がある。1/32、1/29、1/24、1/22.5、1/20.3 などである。他にもあるらしい。最後の1/20.3は1990年代に登場した。Bachmanの巨大なShayで火が付いた。3 ft 軌間を45mmにしようとすると、1/20.3となるというものだ。これをF scaleという。アメリカではこれがかなりの人気だ。
 finescaleと言いたいところだろうが、彼らは大人であって、そんなことは言わない。ちゃんと「フランジが高いのでブレーキ・リギングに当たるから、思い切って曲げるとか、小さい車輪を使うべし」と書いてあるキット組立説明書もある。

side dump car 土屋 巖氏が遺されたかなりの量のキットがある。左手のリハビリ用に組んでみた。これはPSC社のキットだが、説明図と中身が合っていない。しょうがないから、様々な文献を見て、それらしく作った。Greggという会社の1918年版カタログを参考にした。standard square box dump carというらしい。
  リンク類は現物に合うように作り直したものもある。このような二軸車は車軸が左右に振れると(要するに軸箱の中の左右動がある状態)推進時に回頭しやすくなり、連結面で座屈する。その前にフランジの先が当たって(アタック角の問題)レイルの継ぎ目で脱線する。

 車軸を削ってボールベアリングを仕込み、台車の軸箱中を座繰って、ベアリングハウジングを形成した。予圧を掛けて組んだので完璧だ。錘を積んでも抵抗が極めて少ない。

side dump car2side dump car3 このサイド・ダンプは、正立時は写真に描き加えたように鎖を引っ掛ける。目的地に着くと鎖を外して押すわけだ。ガチャンと向こうに倒れて、同時にサイドの板が持ち上がる。仰々しい構造である。もう少し、うまいリンク機構ができるような気もしないわけでもない。手にギプスが半分付いた状態で作ったので、3日も掛かった。
 木材にはステインを浸み込ませてある。全体を汚く仕上げればできあがりだ。鎖はどうやってつけるか思案中だ。本物通りに作ると壊れやすい。ネオジム磁石で吸い付けておくのが、一番楽かもしれない。


2019年06月18日

罵詈雑言

 予想したことではあったが、その種のコメントがかなり来た。一番多かったのは、Big Boy と C62を並べてみたい人も居ることを書いた回である。

 趣味にケチを付けるな、とか、人をバカにしているとか書いてきた。揶揄していると思ったのだろう。そういう問題ではないのだ。これも客観的な話である。
 この話は30年以上前に松本謙一氏に直接話したのだが、彼はもう覚えていないだろう。当時は他国製のモデルは無く、日本製であった。

 そのBig Boyは天賞堂製だ。Tenshodo のBig Boyは大きいのである。 その比較は意味がない。だからこそ図面で比較するべきなのだ。ちなみに、のちに売り出されたTrixのBig Boy はかなり正確らしい。これらの長さは20 mmほども違うそうだ。

 今回、1986年製のTenshodo Big Boyの測定結果をお知らせ戴いた。縮尺は1/83程度だということである。「HOは縮尺を表し、1/87.1である」と仰るのは自由だが、実測してみれば、縮尺はかなり怪しいものがかなりあるのが現実だ。お手持ちの車輛を図面と比較されると、意外なことが分かるだろう。日本型と並べて悦に入るのは、それからにすべきだ。

 最近の製品は、モータが小さくなったこともあって、かなりスケールに近いらしい。拠り処とされている縮尺に拘るのは結構だが、測定してみるということは、大事なことだ。お題目を唱えるだけでは済まない現実が、そこにある。

2019年06月16日

見学者

 先日、親戚の土木工学の専門家から、元同僚2人を連れて見に来たいという連絡を受けた。彼らは、定年まで海外でインフラ工事の監督をしていた人たちだ。
 3人とも鉄道模型にはあまり縁がないが、路盤の設計方針を確認したいという、非常に珍しい申し出であった。筆者にとっては、まさに卒業に当っての口頭試問であって、合格点をとれないと恥ずかしい。

 彼らの興味の対象は、縦曲線、緩和曲線、カントの緩和、曲線上の複線間隔などであった。曲線上で均一な勾配を作る方法も興味があった。

 現場を見せて、質問に答えた。ある程度は説明の図を用意していたので、それを見せれば、なるほどと納得してくれた。
 緩和曲線については直ぐ合格したが、縦曲線は引っ掛かった。筆者は二つの勾配が接するところの縦曲線は3次曲線になると信じていた。作図するとそうなるのでそれで良いと思っていたが、現実には円曲線を嵌め込むだけだそうだ。
 人間は縦方向の加速度変化に鈍感なのかと考えた。現実にはバネも入っているし、加速度の変化率は大きくないだろう。コメントに拠れば、大半径の円弧を入れれば問題ないらしい。

 彼らが1970年に就職した当時は、いつも7桁対数表を持って仕事をしていたが、いつの間にかコンピュータで処理するようになって、もう手計算は出来ないと言っていた。

 カントのある曲線の勾配部分の計算の話は、楽しそうに聞いてくれた。彼らは現場で物を作っているので、工場で作ったものをはめ込む作業とは異なる。だから面白がった。直線で構成された骨に路盤を張って均一な勾配にするのは、なかなか難しいという評価であった。シムを挟む計算法には驚いたようだ。

 レーザで水平を確保し、アラインメントを出す方法は、そりゃそうだろうという感じであった。この辺は本物の仕事をしている人の感覚だ。路盤の強度は、筆者が載った時に変位量3 mm以内という基準で作ったことを話すと、剛性が高いねとのことだった。

 結論としては「高得点で合格」だそうだ。こういう異業種の人と話すと面白い。博物館を開くと、時々こういう人が来てくれるのだろう。断片的につまみ食いした知識ではなく、中身まで詰まった議論は本当に面白いと感じた。

 最後に123輌を1輌の蒸気機関車で牽き出して、勾配を登って下った。まさかそんなことが出来るとは思わなかったらしく、彼らは非常に驚いた。坂の途中で電流を遮断すると、貨物列車がズルズルと滑り落ちていくのを面白がった。
 直ちに列車を引っ張り上げるのに必要な力を測定し、速度を掛けて、機関車に要求される出力を計算した。電流値を調べると効率が分かる。こういうことをあっという間に処理するのは凄い。
 機関車本体を手で押してほとんど抵抗なく動くのには、全員が非常に驚いた。押してやると、発電して前照灯がともるところを見せると仰天した。
 歯車について説明すると、現物を見せてくれという。組み掛けのギヤボックスを見せたら、これがウォームギヤとは信じがたいとのことであった。貨車のほとんどが金属製であることも意外だったようだ。

 摩擦の少ない被牽引車、効率の良い駆動装置、高トルクモータの組合せがこのような運転を可能にする。彼らはかなり満足して帰った。 

2019年06月14日

続 筆者を取り巻く環境

 紹介した提言はお読み戴いただろうか。つないだ線路の上を、どの車輛も走ることができるということが大切だ、誰も意識していないけどそこには「規格」がある。
と述べている。それは大昔に山崎氏が紹介した16番なのかもしれないし、それが当時のNMRAの焼き直しかもしれない。ともかく「何か」がある。

 鉄道模型は買う人も居るし、作る人も居る。その「何か」に適合していれば良し、である。筆者の博物館の線路はその点かなり細かく検証しながら敷設した。曲線での複線間隔などは文献値を見ながら、実測と照らし合わせた。複線橋梁はその点、一番難しいところだ。複線の内外を同時に考えねばならない。northerns484氏の計算により、ぎりぎり+僅かの余裕を狙った。満足できる結果で、彼も筆者も胸をなでおろした。幅が広そうで、実際に通すとそうでもないというところが面白い。

 転車台の駆動装置のプログラムもH氏のおかげで完成し、メカニズムは自由に動かせる。目で見て目標を合わせて、機械でアラインメントを保証する方式だ。よくある玩具っぽい動きとは異なる。DCCが導入された時、運転台に1/48に縮小されて座っている感じということを書いたが、転車台もその運転台で動かす気分になれる。慣性のある動きをする。

 信号橋の工作も少しずつ進んでいる。設置工事の準備はある程度進んでいる。設計者のN氏が自ら配線工事を手伝って戴けるそうで、電線を路盤の下に這わせている。
 一周90 mほどあるが、それを4つのセクションにした自動信号である。

 この複線レイアウトは左側通行である。おかしいという指摘はあるが、そうでもない。UPの本線はあちこちで左側通行になっている。他の会社にもたくさんあるのだ。これは歴史的なことと、地形の問題とがある。初めに敷いた単線のどちら側に新線を追加するかは場合による。当レイアウトは地形的な制約が大きく働いて、左側通行になった。

 10日以降コメント数が非常に減った。無数に来ていた攻撃的な文章が、ぱたりと来なくなったのだ。それらは、どちらかというと本筋を掴めていない、非常に些末なことを指摘してくるものばかりだった。それに慣れていたので、妙な感じである。

 左手の修理は終わり、今試運転中だ。掌と甲を貫いていたワイヤも引き抜かれて、風呂の湯に浸せる。次は右手の修理だ。実は、右手も同時に脱臼したのだ。


2019年06月12日

筆者を取り巻く環境

 多くの友人、知人から、忠告、諫言を戴いている。
 どうしてこんな論争を始めるのか、いい加減にしないとブログの読者が減るぞとか、博物館の来訪者が減るぞ、というようなものが多い。

 このブログにはアフィリエイト広告は付けていない。読者が減っても全く構わないのだ。むしろ、こういう論争で読まなくなる方は、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いという客観性のない方だろうから、構わない。他所にない記事なら、読み続ける。評価が下がるぞ、とも言われたが、このブログはそういう評価とは無縁のところにあるはずだ。むしろアクセス数は以前より3倍ほどに増えているのが、興味深い。

 博物館についても、様々なご心配を戴いている。ただでさえ、手の故障で遅れていて、金利がかさむだろうなどと言われているが、建物、底地は現金で購入したから、僅かな固定資産税と電気代を払えば、運営できる。最近のLED化と高性能エアコンで、維持費は極端に安い。エアコンは除湿目的で24時間稼働だが、建物の断熱性が高いので助かる。当博物館は営利目的でないので、たとえ入場者ゼロでも問題ない。
 仕事はやめても、所得税を少し払うくらいの収入はあるので、もし赤字になれば納税額が減るだけのことだ。もともと国内の見学者は、あまりあてにしていない。アメリカからの見学希望者は多い。彼らを連れて、国内ツアを企画せねばならない。

 さて、筆者の方針として、「旗幟(きし)を鮮明にする」というのがある。ほとんどの日本人が不得意とするところだろう。筆者にとってはどうでも良いHO関連のゲージ論に顔を突っ込んだのは、黙っていられないところがあったからだ。
 この趣味を健全なものにしたい。不当な公報活動によって、物を知らない若年者層が洗脳されるのを防ぎたいという気持ちの表れだ。そうしないと、ただでさえ先細りなのに、ますます衰退してしまう。
 よくぞ言ってくれた、という激励をたくさん戴いている。筆者は知らなかったが、例の文はかねてより腹に据えかねた、という人が多かったらしい。

 2月にこのブログで規格に関する記事が始まってから、アクセスが極端に増えた。皆さんの興味が高まったのだ。
 規格制定についてのチャンスかも知れない。これについて、あるブログで重要な提言があった。お読みになると良い。

2019年06月10日

HO gaugeは和製英語 ?!


 この騒動が始まってから、井門氏の文章がUPされているのを知った。読んでみて、びっくりである。このページは保存しておく価値がある。10年後に読み返してみよう。

 HO gauge は和製英語であるそうだ。不可思議な文章である。Model Railroaderやその他の古い雑誌をひっくり返してみれば、いくらでも転がっている単語列だ。ヨーロッパでは今でも使われている。現代ドイツ語のspur H0(これはオウではなくゼロ)は英語に置き換えれば、HO gaugeである。日本から輸出したのはいつ頃なのだろう。それが知りたい。

 Empirebuilder氏の解説にもあった7mmスケールの半分説は、バセットロークの話で、ヨーロッパ全体でHOが1/87と規格化されたのは1953年のNEM規格からである。それ以前は、各メーカが独自の縮尺で、線路幅16.5 mmのものをHOと呼んでいたのだ。フランスのJOUEFは1/86、ドイツのトリックスは1/90、スイスのHAGは1/80を採用し不統一であった(先日の3.8 mmスケールは、これを指すと思われる)。それで統一化が図られ、1/87が規格化されたのである。
 しかし、旧規格のものも併存し、フランスの模型雑誌 Loco-Revue が HO=1/87と表記したのは1965年からだが、HAGは1980年代まで1/80で製造していた。

 スイスでは標準軌とメータ・ゲージが併存していたので、HOmが登場するまで、どちらも1/80の16.5 mmゲージで作ることは一般的で、その製品はHOとして売られていたのだ。こういうことを無視して、HOは最初から1/87の標準縮尺だと言い張るのは、事実の歪曲である。
 この辺りの調査結果は、ヨーロッパの模型の歴史に極めて詳しい方から、資料を提供戴いたもので、写真も拝見した。彼は単一形式で各サイズの模型の現物も、証拠としてお持ちである。


 これが個人のブログ等であれば筆者は何も言わない。世の中には間違ったことを垂れ流しているウェブサイトは、無数にある。しかし、商売のネタとして、自分に都合の良い話を捏造しているとなると、これは公正取引委員会の仕事を増やすことにも、なりかねない。
 我田引水はやめるべきだ。



【追記】
 表題の文書は2019年7月13日には削除され、7月14日から新しい文書に差し替えられた。新文書からは、"HO gaugeは和製英語” が消えているが、歴史認識には間違いが放置されている。この件については7月24日の記事を参照されたい。
                   (2019年7月24日)



2019年06月08日

3種のゲージ論

 この論争が始まる前、ゲージ論を採り上げるべきか否かを、友人に相談した。すると彼は、ゲージ論には3種ある、と即座に答えた。その分類とは、

1.  ゲージの優劣を論じるもの

    戦前の0番と35 mmの論争や、戦後間もないころのSゲージの論争がこれに相当。模型メーカーが少ない時代は、自己のゲージの存亡を懸けた議論がされていた。

2. あるゲージについての規格の是非の論争

 1/8013 mmが登場した1960年代からは、これが増えてきた。ファインスケールもこの類だ。

3. 呼称に関する論争

 1/8016.5 mmに対するもので、1/8712 mmが登場したことによって、HOという言葉の定義での論争である。

 

 2.以外のゲージ論は不毛だから、昨今の3.の議論に参加する気はない、と通告された。筆者もおおむねそれに賛成したが、外国からの視点も含めて調査の結果、3.についても大いに論議する必要があると悟ったのである。

 何度も言うが、アクティヴな模型人(レイアウトを作る人)はサイズの違いなどほとんど気にしない。ストラクチュアのサイズは混在しているのが普通である。ゲージについても走れば良しで、同様である。
 ただ、その走行性能の向上には、拘る人が多い。そうでない人はその逆の方向に極端に拘る。だから話はかみ合わない。

 しかし、経済活動の一つであると考えると、「表記」というものは正確であるべきだ。昨日の例で指摘したが、外国から見ても問題が生じないようにしておくべきだろう。

 1. については論外だと思っていた。しかし最近の様子を見ると、これが大きなファクタだと思っている人が多いのではないかと、気が付いた。攻撃まがいの投稿をしてくる方は、存亡を懸けた闘いだ、と勘違いしているような気がする。
 そういう問題ではなく、我々はビジネスのありかたについて、問題意識を持っているのである。これは、無広告で、中立なブログだからできることなのである。これはスポンサがある雑誌では採り上げられることは無い。また、筆者がHO関係者であれば、偏っていると思われる可能性もある。



2019年06月06日

孫の買い物

 偶然とは面白いもので、筆者が孫への買い物の記事を書いて、親しい友人に感想を求めたら、同時に彼も買い物の創作記事を書いて送ってくれていた。お互いに全く独立で、影響は受けていない。受信箱を開けて、双方とも非常に驚いた。
 ただし、方向だけが違っていた。紹介する。筆者が気にしている外国からの視点である。

孫「トウキョウ・オリンピックを見に日本へ行くんだ。おじいちゃん、御土産に日本の鉄道模型を買ってきてあげよう」

(筆者注:この段階で話のオチは見えてしまうのだが…)


祖父「それは楽しみだ! ワシのはHOだぞ(両手の指をコの字にして)これ位のだ。日本ではまだまだ高級なブラス製がある。それと日本はNが多いから間違えないでくれ」

――そして来日した孫はオリンピック観戦を終え、御土産を買いに鉄道模型店に立ち寄りました。TenshodoやKATOに行けば、何ら問題は無かったのですが…。

孫「Brass製の日本のsteam locomotiveが欲しい、HOだ」

店員「ここに並んでいるのが、日本型のSLでどれも真鍮製です。線路の幅は判りますか?」

孫「さぁ、知らないな。でも(両手の指をコの字にして)大体これ位の大きさだった。Nじゃない、HOだって言ってた」

店員(?外国の方がHOと言うのは、16.5 mmのことか?それとも縮尺がHOなのか?)

孫「あ、ここにHOって書いてある。うん、大体同じ大きさだ。…隣の“J”って何だ?どれも真っ黒で大きさも似てるけど…。でもHOなら間違いないな」

――孫はブラス製の機関車を手に、おじいちゃんの喜ぶ顔を思い浮かべながら帰国しました。

孫「おじいちゃん帰ったよ。見てよほら、日本の蒸気機関車だよ、ちゃんとHOを買ってきたよ。驚いたよ、2千ドルもしたんだ」

祖父「それは嬉しい。これこれ、このブラスのズッシリとした・・・何だか小さくないか?」

孫「Nじゃないよ、ほら箱にもHOって書いてあるよ」

祖父「車輪が狭くてレールから落ちるぞ、わしのHOレイアウトを走らないじゃないか!!」

――その後はご想像どおり、訴訟へと発展していきましたとさ。

――車体の裏に“Made in China”と彫られていなかっただけ、東アジア情勢を悪化させずに済んだのが幸いでした。




2019年06月04日

規格

3.8mm scale 規格は何のためにあるのだろう。
 
 いろいろな人が、ありとあらゆることを書いてくる。最近は少し減ったが、コメントに様々な書き込みがある。最初から「私見」などと書いてくる人が増えた。どれも「信仰」に近い。教義に忠実に生きようというのは結構だが、他を攻撃し、自己の優位性をとうとうと語るのには、辟易している。自分たちが攻撃されていると勘違いしている人も多い。そういう人は脅しにもとれる文言を書いてくる。
 言うことを聞かない者は、教祖の指示で、ポアされるかもしれない。

 
 今回のゲージ論は今までのゲージ論とは異なる。感情を排除して客観的に眺めようというのが趣旨である。筆者はHOにはまったく縁のない人間であるから、利害関係がなく、そういう意味では適当かもしれない。

 首記の件であるが、目的は互換性である。製品に関して必要な概念である。手作り品はそれに合わせて作ってあればよい。

 さて、こういうことを考えてみよう。
 模型店に行く。「HO」と書いてある機関車と客貨車を買う。次に「HO」と書いてある線路を買う。「HO用の電源」があるかどうかは知らないが、DCCでなければDC12 V の電源を買ってつなげば走るというのが、HO規格製品である。これについては、どなたも異論はないだろう。
 もし線路幅の違うものを「HO」として売り付けられたら困るはずだ。そんな間違いをするはずがない、と言う人は多いだろうが、起こりうる話である。おじいちゃんが孫のために買ってやったものなのに、走らなければおじいちゃんの権威は失墜し、大迷惑だ。

 今回の議論では、この部分が欠落している。我々は消費者であることを忘れてはいけない。この点ではKATOはぬかりが無いように見える。

<追記>
 探していた本がようやく見つかった。当該ページをUPする。大したことは書いてないが、何かの参考にはなりそうだ。 スキャナのご機嫌が悪く、解像度がないことはお詫びする。
 Color Treasury of MODEL TRAINS, Crescent Books刊 70年代にアメリカで買ったものだ。



2019年06月02日

HOとは

 アメリカで(これを書くと拒否反応を示す人がいるが、客観的な話である)、”HO”の軌間を数字で言える人はとても少ない。インチでも、mmでも良いから言ってみてくれと頼んでも、言えない人が大半である。half O だから、1-1/4 inch の半分で5/8 inch かな?と言う人も多いが、間違いだ。
 ほとんどの人は、”HO is HO.” でおしまいである。即ち、「HOはあの線路を走る模型」と頭の中で固定されているように見える。即ち線路軌間を指している。しかし、その上を走ればすべてHOと言うかと思えば、そうではない。

 On30は巨大である。小さなトンネルをくぐれるわけがない。この大きさという概念が、その線路の上を走る模型の”集合”を小さくする。その線路を走り、なおかつ大きさの制約(場合によっては建築限界)を満たすものはHOと呼ばれるはずだ。1/80の16番、1/76のOO、1/87のいわゆるHOスケールの標準軌車輛、山崎氏の言う1/90の満鉄、鮮鉄車輛は、すべてHOであると言っても何ら問題ないはずだ。
  現在の日本では"HO"という言葉が縮尺、軌間両方の意味を包含して使われており、"HO"という表記のある模型車輌(特にプラ製品)は"HO"と呼ばれる線路の上をHOの外国車輌と一緒に走ることができる。これは16.5mmゲージ向けの"HO規格"に準じて作られていることに他ならない。それゆえ、規格について論じてきた"HO"という言葉を、縮尺1/87、3.5mmスケールのみを示す言葉として狭義化し、HO規格を無視する主張には同意できない。

 「HOという語は1/87以外を指さない」という証明は、極めて困難だ。
 ここまでのことをまとめると、初めは線路ありきである。線路を走るようにした模型の一群を考える。それがいわゆるHOというカテゴリである。縮尺はいろいろあるが、走る大きさなら、良しである。


 後に世の中が豊かになり、同じ縮尺で並べたいという人たちが現れた。それは結構だが、そういう人は、数は多くない。C62とBig Boyを並べることに、どういう意味があるのかはわからないが、やりたい人がいる。図面を見ればおしまいであるのに。

 縮尺を優先すると、ゲージは多数出現する。それに拘る人は拘る。その結果が、現在である。しかし将来も、この状態が続くとは、なかなか思えない。そのゲージを引張る"prime mover" がいなくなれば難しくなるだろう。 殆どの人にとって、線路、輪軸の調達は難しいことなのだ。いつでもどこでも手に入るということは極めて大切なことである。少数の尖った人が、大多数に対して挑戦的に、「1/80はHOではありません」ということが正しいかどうかは、ある程度の年月が経てば自然に証明されることではある。


2019年05月31日

雑誌の存在価値

 Empirebuilder氏が一体誰なのかを知らせよ、ということも、複数の人から問い合わせがある。そんなことを聞くのは、非常識極まりない。
「素性のわからない人の意見は信用できないから」と書いてくるのである。信用できなければ応答する必要もなかろう。全く以って、理解不能だ。新聞社に電話したら、ニュースソースを教えてくれると思っているのだろうか。

 日本には確かな鉄道模型雑誌がない。何かの解決法になればと思って、このブログを始めた。初めは外国と提携して翻訳記事を載せようと思っていたが、独自記事だけでやってきた。
 なぜ既存の雑誌が面白くないかというと、スポンサがあるからだ。結局は提灯記事を書くことになる。”暮らしの手帖”誌は、その点よく頑張ってきたから、応援している。雑誌社には、やせ我慢の反骨精神が必要な筈だ。
 出版社がものを売るというのは禁じ手である。その雑誌そのものが、広告になる。読者が有料で広告を買うというのは、客観的に見れば滑稽だ。

 また、編集部の能力も透けて見えている。ある部分がすっぽり抜けた状態で、何十年もやっている。雑誌を手に取って開いて、脱力するような記事は多い。「工学」が全く抜けているのである。ありえない設計を見せつけられると、投げ捨てたくなる。このブログでは、雑誌の記事では見かけない部分に力を入れて来た。年少者のために、正しいことを多少の摩擦を覚悟で書いてきたのだ。

 雑誌では、走るかどうか怪しい、外見だけは極めて美しい車輛記事が多い。せめて、カーヴで建築限界に当らないとか、スケールスピードが確保されているかとか、スリップする時の引張力、その時の電圧・電流くらいは載せても罰は当たるまい。スリップしない機関車はそのままボツにすべきである。


 今回井門氏は、TMSの存続に、「金は出すけど口は出さない」とおっしゃっている。素晴らしい見識だ。この言葉を覚えておきたい。しかし、社長がそのつもりでも、社員は社長に対して忖度するだろう。「忖度を禁止しています」という言葉も欲しい。

 井門氏からコメントが入ったが、説明が全くないので困っている。当初、なりすましを疑ったが、先日の会話内容が含まれているので、間違いないと判断して掲載した。
 そのまま載せるので、是非とも詳しい理由をお聞かせ願いたいものだ。2千字以内でまとめて戴けると嬉しい。他人の言葉を引用する時は、そのご本人からの確認を再度お願いしたい。


2019年05月29日

読解力

 先日来の記事は、かなり多方面に反響を巻き起こしているという話だ。
 筆者は当事者ではないから、立ち入るべきではなかったのかもしれないが、
「1/80はHOではありません」
という文言には、許せない部分があると感じた。ものを知らない年少者に対して先入観を与え、正しい方向に進めなくする可能性があるのだ。

 コメントはいくつか戴いているが、どれも事の本筋を見誤っている。相も変わらず、「山崎氏は・・・」、などと書いてくる人は多い。また自分がやってきたことを宣伝する文章であったり、随筆風に書いてあって、内容は散漫で何が言いたいのかよくわからないものもあった。共通しているのは、「アメリカの話を日本に持ち込むな」である。これはおかしい。それではHOの存在も否定してしまう。

 連絡先が分かっていたので、このままでは載せられないと伝えると、書き直して来た方が複数あったが、その内容に自己矛盾がある旨伝えると、ご立腹で、
「他の掲示板か、自分のブログに載せる」とのことであった。
 その後のことは知らないが、某掲示板に載せるということは自殺行為も同然であろうから、感心したことではない。御自分のウェブサイトで展開すべきことであろう。

 コメントは、自己宣伝の場ではないということを、過去に何度も書いているのだが、お分かりにならない方は居るのだ。

 このブログで展開されていることは、”いわゆるゲージ論”ではない、と気付かれた方もいる。読解力のある方だ。
”いわゆるゲージ論”は宗教論争と同様で、結論は出ない。今回のこの問題提起に関しては、結論は出る筈だ。

 何度も繰り返すが、Empirebuilder氏の言いたいことは、

・「1/80はHOではありません」は間違っている。
・ カタカナの「ファインスケール」はおかしい。

である。それに対する意見でなければ、コメントは掲載できない。

 先日某所で、偶然に井門氏に会ったので、「ブログを読んでくださいね。」と伝えたが、その後どうなったかは、分からない。いずれ回答があるだろう。 

2019年05月27日

続 模型を走らせるためには

 船の中で友人に、日本の模型界の話をした。時間があるから、二日掛けて説明をした。メモ用紙を数十枚使って、細かく説明をしたのだ。彼はよく理解したと思う。並の日本の模型人の数倍、よく分かった筈だ。彼はイギリスやドイツに居たこともあるから、現地での模型事情も非常によく分かっている。日本には2回しか来たことが無い。

 彼の答は本質を突いていた。
「あまり走らせていないのだね。走らせている人は走りを確保しなければならないから、そのような些末なことは無視するね。(It has to be subtle.)」
 この些末なこと、無視しても良いこと、という言葉が出て来たことが、彼らの姿勢を表している。"subtle" という言葉には、”微妙” とか、いろいろな意味があるが、ここでは些末という言葉が当てはまる。これは本人に確認したから間違いない。

「走らせずに、机の上の短い線路に置いて、眺め廻すのだろうね。妄想が膨らんで、『こうするべきだ、これではけしからん』
ということになるのだろう。実は、自分もそうだった。君に会う前はね。
 君が3条ウォームのドライヴを開発した。後にLow-Dを実現した瞬間に、そんなものはどうでも良くなったんだ。」

 彼はProto48というグループに出入りしていた。すべてを1/48にするという狂信的グループである。よく走らなかったので、彼は疑問を抱いたのだ。車輪踏面に塗料が付いていることを指摘したら、愕然とした。無駄なことをやっていることに気付いたのだ。
「そうだよ、48倍したらとんでもない状態だ。タイヤに旋盤の挽き目が見える時点で、もう何をやっても同じだ。大体ね、車輪の直径が左右で3/1000インチも違うんだ。だからね、片方に寄って走るんだよ。これではだめだ。」
と言う。筆者のLow-Dを見たら、もうこれしかない、と脇目も振らず採用に踏み切った。Low-Dは、航空機部品を作る工場で作られているから、精度は一桁上である。
 彼は模型の「走り」を第一に考える人である。そういう意味では、筆者の良き理解者の一人だ。レイアウトの仕様はすべて筆者の様式を踏襲した。静かで、脱線せず長編成が可能だから、とても喜んでいるし、友人たちに自慢している。

 彼のように走りを中心に考える人にとっては、ゲージが広いとか、タイヤが厚いなどは些末なことなのだ。自宅にある程度の大きさのレイアウトを持たず、車輛のみを玩ぶ人たちは、線路幅、タイヤ幅に興味が集中するのだ。レイアウトを持ち、脱線しないように走らせようと思えば、そんなことを言ってられなくなる。そういう経験が少ないのではないか。ファンタジィの世界に閉じこもって、現実を直視することから逃避しているのかもしれない。

 ある方が耳打ちしてくれた。
「そういう世界の人たちは、撮り鉄から入った人が多いのです。」
 これには驚いた。そうかもしれない。模型工作から入った人は、ゲージのみに捉われるのはまずい、と直感的に気付くものだ。現在ではお金で買うことができるから、いくつか買い揃えて並べることができる。すると欠点には気付かず、並べた時の満足感が大きくなるのだろう。ものを作る経験が少ないと、そういうことになるかもしれない。 

2019年05月25日

模型を走らせるためには

 以前も書いたが、模型は本物とは異なる。

 曲線を通る列車がなぜ曲がるのか、という単純なことさえ、本物と模型は大いに異なる。本物は遠心力が大きいのでフランジが当る。フランジの摩耗は保守上、大切な点検箇所だ。しかし曲線半径が相対的に小さい模型でも、設計手法によっては、それを避けることは可能である。稚拙な設計では当たる。RP25は確実に当たっている
 本物と模型とでは材質が異なるし、速度が異なるので、摩擦係数が異なる。人も乗っていないのだから、乗り心地は考える必要はない。本物業界の人の中には、本気でそれを主張する人がいるが、全く考慮に値しない。

 模型では遠心力は無視できるほど小さい。カントの効果は無いに等しく振り子電車(自然振り子)の実現は無理である。

 模型の曲率は大きく(急カーヴである)、線路は実物に比べてずっと不整である。路盤は実物に比べてはるかに堅く、サスペンションは実物の目的とは全く異なる目的のみの為に存在することになる(脱線防止、集電向上のためである)。人は乗っていないから、バネによる乗り心地向上など考慮しない。

 鉄道模型はそのような条件下で作られてきた。ゲージはいくつかに集約され、フランジ厚み、高さは必然的にある大きさを使わざるを得なかった。したがって、タイヤはある程度の厚さを持たせないと、フログで落ち込んでしまう。
 そういう中で多少はファイン化が進み、現今の規格ができたわけだ。要するに、完全縮尺ではうまく行かないことが多いから、現実路線を採っているわけだ。

 模型人の中で少数の人たちは、それでは飽き足らず、より実物に近いものを欲しがり、既存のものの一部だけを改変した物を作り出した。最初はゲージのみだったが、徐々にフランジ形状、タイヤ厚みを変えていった。総合的な力がある人が指導者になり、線路ゲージを頒布し、車輪も提供できれば問題はなかったはずである。しかし、それらの一部が欠如している場合が多く、出来たものの中には、直線の往復しかできそうもないものもあるようだ。

 模型は実物の完全縮尺では機能しない。これは、工学を修めた人ならだれでも知っていることである。飛行機はその点顕著であり、レイノルズ数という概念が導入されている。その他の場合でも、縮小されたものは実物の挙動とは全く異なる動きをする。それなのに、線路幅だけは実物に似せたいという欲求に負けてしまう人が、ある程度の数、居る。そういう人は、フランジ厚さ、車輪の厚さは考えないらしい。要するに、理想的に、「静止した模型」を考えているだけではないか。

 走る模型では、いろいろな点で「インチキ」を認めざるを得ないのである。それが大人の考え方である。部分的に「インチキ」を排除しても、破綻することが多いし、その労力たるや、他所事ながら心配するほどである。「実物通り」という言葉に拘るのは考え物であるということだ。過去に、実物通りと自慢する模型をいくつか見たが、素晴らしいと感じたものは無い。見かけは良いが、挙動がおかしいのである。車体は堅く、しなやかには走らない。
 
 先月、2週間ほど船に乗っていたので暇があり、アメリカ人の模型観と、日本人の模型観との差を、友人と討論しながら考えた。

2019年05月23日

続々 Empirebuilder氏からの最終意見

 日本のゲージ論は、以上のように、思い込み、恣意的な歴史の歪曲をベースにすることが多く、意味を成しません。山崎氏が主役のゲージ論は、もう必要ないのです。私が歴史は関係ないと言ったのは、そういう意味です。 

 今回のきっかけとなったファインスケールについてですが、finescale としてまず書きます。初期の鉄道模型はおもちゃ、TOYであると書かれています。それが一歩進んで、スケール志向が出てきます。ゲージが主であった時代に縮尺が規定され、車体の大きさとゲージの関係が重要視されてきました。NEM規格やNMRA規格はこの集大成として作られたわけです。ただ、これでも縮尺通りになっていないとして、さらに追及することにより finescale が生まれてきました。 

 NEMNMRA規格にも finescale 規格がありますが、現実問題としてきちんと製品化された製品はないと思います。したがって、一部の技術のある人たちが、すべて自作する覚悟で作るための規格だと思います。線路ではポイントが特に問題となります。また曲線もHOで半径数メートルといったサイズで、とても一般的とは言えません。現状では夢物語に違い規格ですが、日本では、ゆがんだ形で車輪のみ、エセfinescaleのような真鍮製品が作られています。線路の自作を強いるような製品を、なぜ作るのか疑問です。原因は日本には規格がない、ホームレイアウトは夢で年数回体育館サイズのレイアウトで走らせることがせいぜい、ということが原因と思います。つまり、鉄道模型として楽しむことを、かなりの部分諦めている状態です。そのため、走行用にはHO規格に沿ったプラ製か、Nゲージの選択となっているようです。本来の鉄道模型からすると、ゆがんだ状態と思いますが、日本という特殊な国ならでは、といったところでしょうか。いずれ高価すぎる真鍮製品はいずれ消えると思います。と言うより生産量を考えると完全な絶滅危惧種と言えます。プラ製品が主流になれば、ホームレイアウトも増えるかもしれません。プラ製品には、ぜひNMRA規格に沿ってもらいたいものです。 

ゲージが縮尺通りならば、ファインスケールである。」との解釈は、dda40x氏のおっしゃる通り、誤解のもとです。雑誌が使っているのを知って、その見識を疑います。雑誌の編集者には、もうプライドもないのでしょうか。カタカナ化すると、英語本来の意味を失う好例でしょう。 

 HO gaugeが和製英語と信じている方の説得はできません。ただ1/80HOであると考える根拠がある、と知って戴けたと思います。自分には、もう関係がないと思えることも書いてきましたが、これは一種の将来への警告です。このままでは、将来大きな問題が生じます。



2019年05月21日

続 Empirebuilder氏からの最終意見

 互換性のない、勝手な規格の製品が、日本でかなり出てきました。規格に対する理解のないモデラーを相手にしているためなのか、メーカー自体が規格を知らないのかはわかりませんが、それを市場が受け入れているのが不思議です。車輪にはエンドウと日光規格、伸縮カプラーも互換性のないものが多く出ています。製品の選択肢が増えて喜んでいるのでしょうか。車輪も薄くなっていますが、それに適合する線路はありません。トラブルを指摘するコメントも多く、問題になっているようです。私は使いません。シノハラが廃業した後、どの線路を使うのでしょうか。ちなみにこの薄い車輪は、もちろんNMRA規格のHOではありません。規格に関しては日本の模型界は原始時代に逆戻りしたようです。 

 「1/80HOではありません」について考えましょう。ONについては複数の縮尺を認めています。ところがこの主張によれば、HOは縮尺、1/87を意味するので複数の縮尺は存在しないというものです。HOのオリジナルはメルクリンですが、16.5mmゲージが決まってから、いろいろあって、1/87 に落ち着いたという文献が複数ありました。またHはハーフで、1/43.5 のきっちり半分と書かれていますが、1/43.5 は英国向けの特殊スケールです。日本型HOが 1/87 ではなく、1/80 を採用したのと似たような理由で採用された縮尺です。わざわざ特殊なスケールを引き合いに出していますが、オリジナルの 1/45 はどこに行ったのでしょうね。またHO gaugeは和製英語と書かれています。自説を主張するために、とんでもないことを書いているのです。HOゲージの使われ方を知っていたため、HO gaugeと言う英語が存在することを否定せざるを得なかったのでしょう。また多くの文献でHOはおよそOの半分という記述がありますが、これも否定しています。
 ところで、イモンの通販用のリストでは、
KadeeカプラーをHOではなく 1/80 に分類しています。イモンは、KATOの箱に「HOと書くな」と言っていますが、それならKadeeにもクレームを付けなければいけませんね。エンドウの線路は 1/80 で、KATOの線路は 1/87 です。「1/80 HOではありません」と信じる方は、納得されているのでしょうか?

 よく読めば、自社製品のPRのためでしたが、多くの人がこのようなプロパガンダを信じてしまうことは恐ろしいものです。                        

 16番ゲージでは、山崎氏についてよく引用されていますが、氏が故人となったため、好き勝手に引用されている印象です。氏は、とうとう規格は作りませんでした。16番ゲージという言葉は規格のように使われていますが、公式な規格でも何でもありません。16番に恣意的に意味を持たせることはやめるべきです。メーカーが規格を作るなど許せませんが、立場上適任者であった氏が、どうして規格を作らなかったのか、聞いてみたい気がします。

 個人的には、OOの規格が実質的にHOと同じで、日本型1/80HOも、HONMRA規格と同じ規格を作ることになり、その必要性を感じなかったのではないか、と推測します。ただ1/80HO規格を使用する、と明言しなかったことは大失態であったと思います。エンドウ規格、日光規格など、メーカーが勝手に自社規格を作り出す原因になっています。誰がこの2種の規格で利益を得るのでしょうか。メーカーには絶対に規格作りをさせてはいけない好例です。メーカー頼みの出版社の限界なのでしょうか。
                        (続く)

2019年05月19日

Empirebuilder氏からの最終意見

 今回のやりとりで、いろいろなことを知ることができました。最新のNMRA規格をベースに説明してきましたが、そもそも規格すら知らない方が多いことに驚きました。規格がないと思っている方もいるようです。それだけ規格が浸透している、と思えば良いかもしれませんが、現状は、声の大きい人の言葉が規格のようになっているようです。

 私は規格通りにやってきました。現今の規格外れの製品を買うこともなく、部品も中古で入手できるなど、問題には直面していません。ただ、1/80HOではありません」との主張が、根拠もなく流布され、信じる人が出てきたことに違和感があります。何を言いたいのか、最初はわかりませんでした。私には直接の利害関係はありませんが、他者を否定する必要はないはずです。その怒りが今回のコメントの始まりとなりました。

 さて、規格についてまとめてみます。NMRANEMは乱立する規格をできるだけまとめて、互換性を担保するために作られました。それゆえ、各社の製品でも、規格通りならばいっしょに楽しめます。規格がないと思っている方は、ただ規格を知らないだけ、と言えます。通常米国の雑誌の製品の紹介では、規格に合っているか書かれています。一番重要なことは、規格品は価格が安いことです。これだけでも規格を重要視する価値があります。
 何度か説明しましたが、規格は車輪、線路、車輌限界が最も重要と考えています。縮尺については、車輌限界内であれば十分と考えます。最新のNMRA規格を参考にしたのはこの理由です。日本型の古典機などの縮尺は、その作者のセンスで決めればよいと考えます。規格で縛るのは野暮です。もともと鉄道模型は、スケール通りにはできないことを考えれば、スケールにあまりこだわる必要はなく、設計者のセンスのほうが重要と思います。規格は最小限がベストです。1/80Jスケールとよぶ方は、1/75で設計した古典機を何スケールと呼ぶのでしょうか。スケール通りに鉄道模型ができればノーベル賞ものです。最近はスケール重視が言われていますが、フログ上を車輪が落ち込むことなく、スムーズに走れることは、より大切です。NMRA規格の最初のページに書かれています。もう一つ言えば、国土の広い米国でもHO入門用はR450ですが、狭い日本でR750とはおかしくありませんか?

 一部で車輌限界と建築限界についての言及がありますが、今回の件では、建築限界は直接には無関係です。車輌限界は車輌の断面の寸法が示されます。線路が直線で平らであれば、

車輌限界=建築限界

ですが、曲線や勾配がある場合は建築限界が必要になります。ストラクチャーなしのレイアウトであれば複線間隔だけで済みますが、レイアウトにホーム、架線柱、トンネルなどがあれば建築限界が必要です。建築限界を設定するためには実物、スケールは無関係で、使用する曲線、車輌の種類とその構造について決めなくてはなりません。現実的には米国のオート・ラック、関節型機関車が建築限界測定車の役目を果たします。

                         <続く>



2019年05月17日

過去のゲージ論

 寄せられたコメント(公開されていない)には、山崎喜陽氏の言葉の引用が多い。最近、手を動かせないので、博物館の蔵書を少しずつ点検しがてら、目を通している。山崎氏の言葉は、時が経つにつれ、徐々に変遷している。一貫性がなく、その場しのぎとしか言えないような表現もある。このような現実を踏まえると、山崎氏の言葉を基に考えるのは、適当ではない。Empirebuilder氏が「歴史は意味がない」と言ったのはこのことである。

 Empirebuilder氏のコメントには、やや皮肉な表現や、比喩表現があり、真意を理解できない人も多かったようだ。今回、氏と打ち合わせて、表現を大幅に変え、分かりやすく発表することにした。
 昔国語の時間に、「筆者は何が言いたいか。」という設問が多くあった。これは意外に難しいらしく、枝葉末節に拘る例(当然✖が付く)をたくさん見て来た。今回もそうかもしれない。
 最終的な意見であるので、筆者の意見を入れて、なるべくすんなり頭に入るように書き直して戴いた。

 先回の記事に対するコメントの中には、山崎喜陽氏と松本謙一氏が会見した時の様子を、その現場に居たような書き方をした方もいらしたが、その様なコメントは、とても採用するわけにはいかない。「歴史は作られる。」という言葉があるが、まさにそれを地で行くような話である。どうして、共産主義国家で書記長が最高位にあるか、という意味がよく分かる。

 コメントの採否は筆者の一存である。明らかにおかしなことは載せない。それに腹を立てる人も居るが、お門違いである。そういうことは、ご自分のウェブ・サイトを立ち上げて展開されるのが、筋であろう。

 ここからは客観的な話である。鉄道模型は、他のホビィとは根本的に違う要素を持つ。それは線路の上を走るということである。
 線路を100%自分で作れる人は稀有であろう。市販品の線路を購入するのが、現実的である。車輪についても同様で、参入者はまず既製品を購入するであろう。ということは、多くのメーカが、様々な製品を出しているゲージは強いということだ。
 今回シノハラが廃業して、困ったのはどのゲージか、ということを考えてみよう。Z,N,HO,O は困らない。手に入れようと思えば世界中のどこかから、良質な線路が手に入れられる。その他のゲージは困るだろう。特に困るのは日本型に特化したゲージだ。12 mm、13 mm、24 mmは他から手に入れるのが難しい。たとえゲージが合っていたとしても、枕木が異なると気分が良くないのだろう。

 On30という模型がある。16.5 mmの上を、1/48 のナロゥが走る。初め、それが発売された時、一過性のものだろうと思っていたが、アメリカでは一大勢力になった。既に、On3は吹き飛んでしまいそうな勢いである。まさに「既存ゲージは強い」である。

 最近は3Dプリンタがあるから、できないことは無いだろうが、枕木を自作するのは、コストの面では難しい。 


 Empirebuilder氏から、最終的な意見が届いているので、3回に分けて掲載する。
コメントはその後でお願いしたい。

2019年05月15日

線路、輪軸ゲージ

 ゲージ論が喧しい。筆者は傍観者に過ぎないのだが、当事者だと思っている人が多いらしい。ゲージ論はHO関連で発生していることが多い。 Oスケールは、ゲージ論がほとんど無い環境であって、過ごしやすいのだ。

 筆者はHOを所有したことは無いし、是非を論じる気はないが、一部の業者が使う言葉にだけは警戒している。人を動揺させて、自社の商品を正当化しようとしている、と感じる。「縮尺通りのゲージを採用している模型をファインスケールと呼ぶ。」というのは二つの誤りを含む。これを言うのは12mmゲージ、3.5 mmスケール(1/87.08 サイズ)の業界関係者である。(13 mmの人たちは、そんなことは言っていないようだ。)
 ゲージは正しいとは言えないし、finescaleの意味も正しくない。よく考えれば見破れるのだが、騙されてしまう人は多いと心配していた。(一説によると、シノハラの売っていたフレキ線路は12.3 mmゲージだったそうだが、この話の筋からは外れる。)

 そういうところにEmpirebuilder氏から直球を投げ込まれたので、紹介しているわけである。今回の問題に関しては、Empirebuilder氏がこの記事に対してのコメントを寄せられたのが最初だ。筆者のHOに対する知識は、皆無に近いのでお答えできなかったが、徐々に情報収集して看過できない状態にあることを知った。 

 日本は42インチゲージ(3フィート半ゲージ)を主たるゲージとして本線で使用しているから、車体の小さいナロゥゲージHOn3-1/2 などではないことになっている。
 しかし、外国から来た客を案内して駅に行くと、彼らは、
 ”Oh, narrow gauge!"
と、興奮するのだ。しかし車輛が来ると不思議そうである。小さくないからだ。明らかにフルサイズと言える車輛である。イギリスの車輛よりはるかに大きい。相模鉄道では、幅が 3 mもある大きな車輛が、42インチの線路を走っている。裾が絞られていない車輌もあるようで、JR車輛より広く感じる。これが日本独特の要素だ。

 さて表題のゲージ(寸法ゲージ)であるが、筆者は、そのゲージの線路が簡単に手に入らない環境にあると、そのゲージ(軌間)は発展しないと思う。
 このブログでそれを書いたら、一部の方から反発を受けた。13 mm用のゲージは頒布されたとのことだ。しかし、13 mmゲージャーの方に聞いてみると、そんなことは知らない、と言う人が複数いた。
 ということは、誰でもどこでも手に入る環境ではなかったということだ。有力な模型店には置いてもらうべきだろう。今ならウェブ上でアクセスできる環境になければならない。

「そんなもの、自分で作ればいいんだよ。」
と言った人がいたが、それは、そのゲージ(軌間)を自滅させる引き金を引いているのと同然だ。初心者が参入し易くするべきだ。誰でもできると思ったら、大間違いなのだ。
「上手な人しか、ここには来てもらう必要はない。」
ということを公言した人がいたそうだが、これは大変愚かな発言であった。筆者の知人はそれを聞いて、腹を立てて参入をやめた。

NMRA gauge 写真は、筆者が持っている NMRA の”O gauge” である。1970年代に買った。当時送料込みで2ドル弱だったと覚えている。これはステンレスの打ち抜きであるが、今なら、どんなゲージでもワイヤ・カット、レーザ・カットで簡単にできる。まず、これが誰でも手に入れられるというのが、第一歩だ。 


NMRA O scale Mark IV 現在はMark IVになったようだ。これは外周が建築限界になっている。1枚7.5ドルだそうだ。この価格は送料別である。

 

2019年05月13日

Nationalの台車

National trucks Nationalの丸い穴のあいた台車は、現物を見たことがある。もう40年以上前だ。不思議な形をしていた。UPのタンク車だった。写真を撮らなかったので、もう見ることもない、とあきらめていたが、たまたま開いた本に写真があった。

UP tank car 早速台車を取り付けて、写真を撮った。筆者の鉄道にしては、珍しく番号は近い。これはChampの見本帳を参考にして貼ったので、そこそこに正しい範囲にあったということだ。
 このタンク車は 50 ft でやや長い。ドームの周辺はテクスチャが異なるのが、お分かりになるだろうか。滑落防止のために砂が撒いてあるのだ。

 この貨車はアメリカに持って行ったことがある。皆興味があって、やり方を聞かれた。実は、艶出し塗装して、部分的に最大限の艶消し塗装をしただけである。
 十分 anti-skid の感じがするそうだ。

 この模型の台車にはバネを挿す穴が下から開いているので、不要な細いコイル・バネを差し込んでエポキシ樹脂を塗り、固めた。横からバネが見えるので、一瞬可動するのかと思ってしまう。バネは動かなくても本物を使うと効果があるという見本だ。
 人間は決して目だけで物を見ているのではないという実例である。脳が働いて見ているので、錯視が起こるのである。

(お詫び) 
 一部の方から、台車部の詳細が、写真が黒くつぶれてわからないとご指摘を受けている。見え方はブラウザによるらしい。Google Chromeでは良く見えるそうであるが、暗いことは確かなので、撮り直して写真を入れ替えた。  

dda40x at 05:13コメント(1)貨車 この記事をクリップ!

2019年05月11日

glaze のこと

 先回 glaze という言葉を出した。現在では glazed と言えば、ガラスが嵌まっているという意味である。アメリカでは、glazedと言えば、甘いお菓子である。ドーナツに融かした砂糖をかけて、つるっとした感じにしたものが、それだ。ナッツにも glaze が掛けてあるものがあって、それは大好物だった。
 glazeの語源は、glass と同じである。透明で、つるりとしていることを表す。艶を出すことだ。

 さて、Floquilという塗料があった。ラッカとは異なり、エナメル系で空気と触れて固まるタイプである。顔料が重金属を含み、環境によろしくないと廃業してしまった。筆者はその前に大量に買い込んだので、当分は足りる。この塗料は重金属硫化物の結晶などを顔料にしているので、粒子が大きく、粗粒面になる。完全艶消しである。艶を出そうと思うと、粒子の隙間を埋めるバインダと呼ばれる成分を増やさねばならない。その成分を含む液体を”glaze”という。たいていは 1 oz 入りの小瓶だが、筆者は 8 oz 入りの缶を入手した。沢山持っていたが、これが最後の一つである。この缶を見たことがある人は、アメリカ人でも殆ど居ないそうだ。普通は1ozの瓶入りである。
 この glaze を入れると顔料の隙間を樹脂が埋めるので、艶が出るから、ディカルが貼りやすくなる。

Glaze 空き瓶の中を綺麗に洗って、小分けしておく。こうしないと使いにくい。今回は8つの瓶に分けた。フロクイルの説明書には5%以上加えるとあるが、30%くらい入れないと艶は出ない。

2019年05月09日

UP cabooses 

UP CaboosesUP caboose 完成しているカブースを塗った。すぐできると思ったが、意外に手間がかかるもので、6日かかった。左端が今回完成の車輛で、あとは以前から塗ってあった。

 例の red car (オキサイド・レッドの車輛)は台車が仮台車であって、高さが合っていない。しばらく待てば、wood beam trucks(木製台枠の台車)が3Dプリンタで出来て来るから、楽しみにしている。台車は金属製であると、ショートの心配がある。機関車でない限り、台車はデルリン製かナイロン製に限ると思う。これらの材料は非常に安定で、100年以上は持つだろう。ステンレス、モリブデン・グリースとの相性も良い。

 その次は先回お見せしたもので、塗装の修整をしてある。狭い範囲の修整なら、マスクして細い刷毛塗りで十分である。 台車は3Dプリンタで作ったものだ。 

 一番右の台車は、Lobaugh の砲金砂鋳物を糸鋸で抜いて、バネを押し込んだものである。艶の無い黒に塗ってあるので気にならない。
 彩度が高すぎる。車体に極めて薄いグレイを全体に吹けば、彩度を抑えられる。この手はよくやる。

 右の二輌は同一の安達製のものなのだが、窓配置が異なる。実は左が正解なのだが、工場で間違えたものが、検査に通ってしまったのだ。当時はこのようなミスは多々ある。車体の反対側の窓配置は、さらに大きな間違いがある。深く追及してはいけない。資料がない時代だったのだ。
 
 Glazing(窓ガラス)が入れてないものがある。アクリルの薄板があるので早急に貼ってしまおう。
 
 UPのカブースは未組も含めてあと4輌ある。2輌はスクラッチから作った物で、1輌は不可思議な完成品を組み直したものである。もう1輌は上記の窓が異なるものと同じ時期の製品だが、一部バラしてかなり加工してある。
 UPのカブースだけでも早く形にしておきたい。右端のNYCはパイオニア製だと思う。出来が良くないのだ。ハンダが廻っていない。

2019年05月07日

Peabody Coal

PEABODY 10年以上前から半完成だったホッパ貨車を、5輌完成させた。1月ほど外に放り出して酸化被膜を付け、さらにプライマを塗った。黄色の塗料を塗り、床上部とホッパ下を黒く塗った。細かい部分の塗分けは大変なので、境目の面倒なところは細い筆で塗ってしまう。そうしておいて、マスキングを大きく簡単に施し、黒を吹き付けた。いつもやる手である。この方法を採用すると、マスキングの手間を1/10にすることができる。一輌ずつ手にとって眺め廻すものではないので、十分である。
 
 Peabodyの意味は、さやの中に一つだけ入っている大きな豆である、と昔聞いたが、最近の辞書には載っていないようだ。そういう種類の豆があるらしい。ここでは人名である。発音は、ピーバディ で石炭を掘る会社だ。石炭は燃やして電力にして売っていることもある。アリゾナ州の砂漠の中に突然出現する電化された貨物鉄道もPeabodyで、昔Amtrakで使われていた電気機関車がホッパ車をたくさんつないで走っているのに出くわす。30年以上前、それを見て狐につままれたような気がした。炭鉱で掘って数十マイル離れた町の発電所に運んでいるのだ。その鉄道は作られた電気で動いているという訳である。この発電所は有名な観光地の Antelope Canyon のすぐ脇にある。
 そこは期待して行くと、拍子抜けするほど狭い範囲である。これらの写真で見るのがすべてである。全体を眺める場所は無い。雨水で削れた砂岩の景勝である。徐々に削れてなくなっていくのだろう。雨の降りそうなときは進入が禁止される。過去に沢山の人が鉄砲水で死んでいるのだ。

 Champのディカルは一つしか手に入らなかったので、Dr.Yに複製して戴いた。番号はでたらめである。石炭はいつも通り、スポンジである。
 目立つ貨車群である。高校生の時から好きな塗り分けであった。

2019年05月05日

LA-SLのBig Boy

tenders2 博物館に持って行ってあるLocomotive Cyclopediaを見た。1944年版1950−1952年版にそれは載っていた。1941年版には載っていない。これらの年度のロコサイクロは珍しく、日本にはほとんど無いようだ。前者は蒸気機関車が先に収録されているが、後者では蒸気機関車は後になっている。ディーゼル電気機関車の時代になったのだ。
 American Locomotive Company(Alco社)はテンダの設計例を3種用意していた。真ん中のは、ビッグボーイその他に用いられた。上は採用例がない。
 下の図が、今回話題の図である。Los Angeles-Salt Lake線のことは、LA-SLと呼ばれた。現在のI-15号沿いである。 

16-wheel tender もう少し大きな図で見よう。従台車の形は、常識的な形とは異なるはずだ。5軸のイコライザの終端は、外側台枠だから、それと結ばれるように、従台車のイコライザが台枠に平行に伸びて来なければならない。床板は内側に強度部材が付くはずだ。最後端は復元装置の扇型のコロが付く。
 テンダ後端は、曲線上で建築限界に接触しないように、少し絞り込まれる。このあたりのことが、ベネット氏の絵からは全く読み取れないのが、残念だ。
 また、大型の4-8-4のキャブ(運転室)の形は上から見て長方形ではなく、台形であるということはあまり知られていない。オゥヴァハングが大きいので、少し絞らねばならないのだ。彼の絵を見ると、そういうところには配慮がないことがわかる。30年前に見せて貰った絵は、蒸気機関車が主であったので、筆者はそこが気になって仕方がなかった。

 給水温め器がWorthinton SAであれば、煙突前のスペイスは それに充てられ、ベルのサポートは煙室戸に付けざるを得ない。給水ポンプは太いので、今までの排気インジェクタの場所には付かない。その配管はどうすべきかなど、考えるべきところはかなりあるのだが、彼はそんなことには無頓着だ。

 ロッドのSKFベアリングは、どうやら、サイド、メイン両方に採用したナイアガラと同等のものらしい。これは、他の機種の仕様書を確認した上での推論だ。それだけでも外観上はかなりの変化がある。ロッドは、3Dプリンタで作ったロストワックス鋳物を採用すればすぐできてしまう。CNCで彫刻するという手もある。

 Big Boyの試運転が始まったようだ。井上豊氏の話にもあったが、試運転はフルギヤで行う。そうしないと圧力変動が大きく、焼き付きが起こるそうだ。 

2019年05月03日

Takeno氏のこと

 いつも有用な情報を教えて下さる01175氏から、驚くべき情報を戴いた。

 竹野三郎氏のことである。ご子息が詳しく書かれている。かなりの個人情報が含まれているが、ご子息がウェブ上で公開されていることなので、ここで紹介しても問題なかろう。

 竹野氏は橋梁設計に携わっていた技術者だったのだ。以前模型の現物を見た時、普通の職人の作ったものとは違う何かを感じたのはそこだった。力学的に無理のない構造であって、軽衝突にも耐える。祖父江氏の作品と相通ずるところである。
 当時の職人の作品の中で、巧拙以外の部分の本質的な良さを感じたのには、わけがあったのだ。

 ウォルト・ディズニーが直接訪ねて来た、というのも興味深い。名前が出ていたからだろう。KTMは個人名を出さなかったから、14,000輌も作ってもアメリカ人は祖父江氏のことを知らなかった。

 最近、当時の模型を手に取って見るチャンスが多くなった。概して、HOの模型の中では、出来が良いのにはなかなか巡り合わない。これではだめだ、という設計のものが多い中で、このTakenoの模型は光を放つ。

2019年05月01日

KKCの作品展

KKC 仙台の今野氏が主宰する組織である。金属工作によって模型を作ろう、というのが主題だ。
 来る5月19日に展示会がある。HOが主体である。お時間のある方はお越し戴けると嬉しい。
 
 40年以上前から、TMSなどで金属以外の素材を模型に使おう、という記事を見るようになった。プラスティック化の波が押し寄せ、ダイキャスト製の機関車も増えている。ペーパ製の工作の素晴らしい例もたくさん紹介されている。
 
 しかし、筆者はブラス製に拘る。KKC会員の皆さんの作品も、ほとんどがブラス製のスクラッチ・ビルトである。ブラスは類稀なる快削性を持つ材料である。切る、孔あけをする、旋削する、フライス加工する、ヤスる、どの作業も、実にた易い。またハンダ付けが実に容易である。この材料は、ヨーロッパの時計細工から始まる数百年の実績がある。これほど使い易い材料もない。また、我々の寿命を超えて受け継がれていく。
 これ以外の材料を使ってものを作ろうとするのは、無謀であるとさえ感じる。今でこそ、3Dプリンタ、レーザ・カットなどの方法が身近に存在するが、手作業ならブラス工作しかありえない、と個人的には思う。

 KCC会員は、この工作法を次の世代に受け継いで貰いたいと考えている。技法、工具は会員内で拡散、譲渡されている。今野氏は小規模での会の運営から全国規模にこの組織を拡大された。インタ・ネットあればこその組織である。筆者も工具の頒布には多少協力している。様々な工具をアメリカ等から取り寄せて、原価頒布してきた。評判の良い工具は多い。
 またヒントもいくつか提供した。それらは今野氏が宣伝して下さって、今では常識になったものもある。快削材の使用は、TMS等で全く知らされていなかったようだ。アメリカのブラスは、まず100%快削材である。これを使えば作業の速度は3倍になる。これは菅原氏の本にも出ていない。彼は模型業界の人からしか取材していないように思った。工業規模の製造所の技師、職人に聞かなければ分からないことはいくらでもある。KKCの会員には様々な業界の方がいらっしゃるので、その点でも、非常に参考になることが多い。

 今回の展示会では炭素棒ハンダ付けの実演をせよ、との要請だが、左手が動かないので、どなたかに助手をお願いすることになる。満足でない状態だが、努力する。


2019年04月29日

Classic Trains

classic trains 時々買う季刊雑誌である。面白い記事が載っていることがある。古いTrains誌の記事を再構成したものもあるが、新しい切り口で見せてくれることが多い。

 今年は大陸横断鉄道開通150周年と、Big Boyが復活する予定なので、それに関する特集であった。その中で、注目すべきは、戦争中、Big BoyがLos Angeles方面に走っていた話である。ソルトレーク市から南方に走った話は小耳にはさんだ程度しか知らなかったが、この記事にはもう少し詳しく解説してある。転車台がないので大きな三角線を作ったらしい。石炭は途中で調達できた。その後、この線区に新しいBig Boyを導入する計画もあったそうだ。その簡単な図面も添えてある。

big boy 3SA heaterextended tender 最初の25輌と異なるところは、オイル焚きと水の容量増加である。テンダには従台車が付いている。あと、feed water heater をWorthington SA型にして煙室前方に置いたことだ。多少の煙室延長があるかもしれない。 

 この記事を書いているのはGil Bennet氏だ。筆者は彼をよく知っている。以前近所に住んでいた。大阪弁をしゃべるアメリカ人である。若い時、大阪に来ていたらしい。
 描いた絵をいくつか見せて貰ったが、結局買わなかった。当時は安かったが、今は名前が売れて、一流の作家になった。写真を見て描いているので、そこそこの出来だが、彼は蒸気機関車の構造には強いとは言えない人である。このような想像上の機関車を描くと、いくつかの破綻が出る。いずれお見せするが、今作っている機関車(この絵とは異なる)も、その絵には奇妙なところがある。配管、機構などありえない構成になっていた。残念だ。
 ディーゼル電気機関車、タービン機関車の絵は、まあ問題ない。画集が出ている。

 この増備型Big Boyの仕様を見ると、RodにもSKFのローラ・ベアリングが使われると書いてあるが、サイドロッド、メインロッドを指すかどうかは分からない。エキセントリック・ロッドの後端には以前からSKFのスフェリカル・ベアリングが使ってあった。これを指しているかもしれないのだ。

 実は、筆者はテンダが破損したBig Boyを持っている。どうせテンダを作るのなら、思い切ってこれにしてしまおうかとも思う。ロコサイクロで見つけた従台車の簡単な図面はある。

2019年04月27日

左手拇指MP関節不安定

metacarpal phalangeal joint ここ数年、不安定だった左手の親指が、ついに故障した。車を運転している時に突然外れたのだ。自分の車のステアリング・ホィールには、太巻きにするために、被せものが巻いてある。決して格好つけではない。指が自然な状態は直径が45 mm程度のものを握ったときだ、とK野先生から教えて戴いたからだ。
 
 その後、気を付けて運転していた。ところがレンタカーを運転している時に、やや危ない瞬間があって、急ブレーキを掛け、ステアリングを強く握ったのだ。そうしたら、バキッと音がして外れてしまった。その車のステリングが細いことを忘れていたのだ。路肩に車を寄せ、引張って復帰させたが、観念した。そのまま病院に行って、手の外科医を紹介してもらい、受診した。
 結論は、
「使い過ぎ」
だそうだ。
「人間の耐用年数は55年です。貴方ねぇ、60を過ぎたら、力仕事はいけませんよ。一体何をやっているのです?」
「鉄道模型のやや大き目の博物館を作っています。」
と言ったら、興味があるそうで見に来たい、ということであった。故椙山 満氏のことも知っていた。
 その次の受診時に、iPadを持って行って動画を見せたら、夢中になって見ていた。沢山の患者が待っているのに。この先生はご自分ではやっていないが、昔やりたかったとのことである。

 手術は2時間を要し、先生はかなりお疲れのようだった。はずれないように、外に骨を少し盛り上げ、内側に引張るようにしたとのことだ。縛っている針金を外すのは1月後だそうで、KKCの展示会には間に合いそうもない気配だ。困った。

 MP関節とはmetacarpal phalangeal 関節のことである。後ろの phalanx は昔ギリシャ語の勉強をした時に出て来た。密集隊形のハリネズミのような歩兵集団である。向かうところ敵なしの最強軍団であった。指骨の一群をphalanxということから来ている。

 その後、1980年頃、突然新聞でファランクスが出てきて驚いた。対ミサイルの高速機銃である。指の骨から転じて、縛った木の棒、束ねた銃身を意味する。


2019年04月25日

Original Whistle Stop

OSW アメリカからの帰りにロス・アンジェルス近郊で一泊した。パサディナの近くなので、オリジナル・ウィッスル・ストップという模型屋に行った。店主のFred Hill氏とは長い付き合いだ。1985年に祖父江氏を案内してアメリカに行ったとき、ミルウォーキィのコンヴェンション会場で会ったのが最初だ。筆者の三条ウォームの機関車を見て驚嘆し、
「これを買いたい。輸出してほしい。」
と頼まれたのが最初だ。
その後、KTM-USAという怪しい会社が輸入元になったが、直ぐ倒産した。最初からこの男に決めれば良かった、とその後祖父江氏とはよく話をした。

 その後、様々な場所でよく会い、仲良くしていた。パサディナに行けば必ず寄ったし、友人を連れて行ったりした。
 15年ほど前、祖父江氏が最後のUP FEFを作ろうとしたが、ロストワックス鋳物の注文先を決定するのに難航した。良い部品が欲しかったので、国内の発注を避けて、アメリカで作ることにした。
 もちろん売り先も決めなければならないので、アメリカでの買い手を確保した。フレッドは3輌欲しいと言ってきた。そこで、祖父江氏はフレッドにロストワックスを発注しようと言った。要するに部品を作って送ってくれれば、機関車を渡そう、という取引だ。フレッドはロストワックス工房に知り合いがいたのだ。

 少々強引なところもあって気が引けたが、祖父江氏は彼なら引き受けてくれると言った。それで筆者が交渉を始めたのであるが、意外にも彼は直ぐその話に乗ってくれた。
「私は祖父江氏の機関車には心酔している。その助けとなるなら、いくらでも金を出す。」と言ってくれた。祖父江氏は感激した。

 その1年後、完成した機関車を持って渡米し、渡したとき、フレッドは感激していた。素晴らしい出来の機関車であった。彼は1輌は手放したが、残りはまだ持っているはずだ。

 フレッドは日本にも時々来る。祖父江氏の工房を訪ねた数少ないアメリカ人の一人である。その時には通訳として呼ばれたのだが、都合がつかなかった。

 今回店に行ったときに、最近の日本の様子を聞かれた。天賞堂の模型ビシネスが縮小される見込みだということは知っていた。
「ブラスモデルが壊滅的な様子なのはどこも同じだ。HOもひどいが、Oはおしまいだね。ウチの店もOスケールの扱いはやめた。」と言う。筆者の博物館の動画は見ていた。「見に行く。楽しみにしている。」と言ってくれた。

「1951年にこの店が始まった時、LAには19軒の模型屋があった。今は2軒だ。」と言う。フレッドたちがこの店を買い取ってから、もう40年ほどだ。筆者は1988年に店に行ったときに場所が移動したように思った。改装したばかりで、ペンキの臭いがした。以前はもう少し東にあったように思った。それからもう30年も経つ。 

 今回の買い物は、UPの黄色の塗料と、"Solvaset"だけである。このデカル固着剤は強力である。日本製のものとはずいぶん違う。ただ、塗料を侵すので、塗ったら触らないほうが良い。


 手術を受けることになり、入院している。模型作りには不可欠の部位を修理(治療)して貰っている。 

2019年04月23日

ハンダ付けの補助具

soldering aid モハメイド氏の記事を見て、「オッ」と思わず声が出てしまった。この補助具は筆者も同様のものを持っている。30年以上前に作ったものだ。何度かの修整を経験しているが、捨てがたいものだ。いつも重宝している。


passemgercar errection 客車や貨車を組むときに使う。手前の一部は少し持ち上がっている。それはこの写真のように、裾がすぼまっている車輌があるからである。この部分は焦げたりして傷むから、時々ノミで剥がしとって、新しい板に交換する。この部分の無いものも作った。

 最近は炭素棒の出番が多いので、焦げる回数は減った。

 ハンダゴテを仕舞ってある棚を探すと、いろいろなものがあるので、ついでに紹介する。
square 直角ジグである。左は伊藤 剛氏のところから来たもので、井上大令氏の作られたものである。今では使ってはいけない石綿板が張ってある。ガス火で加熱する時に使う。これはよくある形だが、右は筆者の自作した貫通型である。45年ほど前に作った。
 アメリカの古い雑誌からアイデアを頂戴した。1950年代のModel Railroad Craftsman誌だったと思う。下の板はジグの下の隙間を貫通している。縦の板はクランプで軽く留めて倒れないようにしている。大きなコテで、さっと一息で付けると、傾かない。ハンダが片方だけにあると、それが縮んで傾くのだ。ハンダが浸み込んで、向こう側にも等量なければならない。これは祖父江氏から教わった。向こう側に出したくない事情があるときは、少し向こうに倒しておくと、固まった時に垂直になる。
 その角度はと聞くと、
「そんなもなぁ、メケンだよぉ。」
とのことだった。メケンとは目で見て、見当をつけることである。

 5月19日にあるKKCの展示会で、ハンダ付けの講習会の講師をせよ、と言われている。何かリクエストがあれば応じたい。炭素棒を主題としてやってくれ、とのことだ。


2019年04月21日

新しい台車を履く

UP caboose UPのカブースである。このカブースは塗装がおかしくて、すごく安かった。剥がして塗り替えるつもりなのだが、とりあえず埃を被せてごまかしてある。高速台車を付けてみると、こんな感じである。この時代に適合しないような気もするが、末期にはいろいろな組み合わせがあったので、これで良しとする。
 床下の道具箱やステップがこんな色をしているわけがないので、とりあえずそこだけ塗ってみようと思っている。

Rath Reefer イリノイ州の田舎から来た冷蔵車である。せっかくの台車が見えにくいが、Nationalである。この貨車は、ハーマンのところから貰ったものだ。組み掛けだったので、意図を汲んで製作した。ドアヒンジがなかったので、これも3Dプリンタで作った。本物の図面から作ったので、そのものずばりの形である。現物はヘンリィ・フォード博物館で見てきた。
 扉の鎖錠装置はあり合わせのものだが、非常に良くない。これも作り直す。屋根の色はいわゆる roof brown である。昔はこんな色の貨車があったのだという例として古い塗装で作った。

B&O Crummy B&Oのカブースだ。今までアンドルーズの台車を履いていた。コイル・スプリングであったので気分が悪かった。自作改造の怪しいリーフ・スプリングの台車に付け替えてあったが、気に入らなかったのだ。これでようやく安心して走らせられる。
 手摺は好みで白にしてある。本物は黄色が多かった。

 台車を履き替えると、気分が変わる。今までの鬱屈した状態から解放されたような気がする。車輪はすべて当鉄道の様式に塗ってある。平軸受けの場合は外は油汚れの色、内側はさび色である。


2019年04月19日

続 3Dプリンタによる台車製作

national Nationalという会社の台車である。丸穴が面白い。二つの穴の中にもバネが仕込まれている。組立時に、どうやってバネを仕込むのかは興味深い。
 ボルスタ中にも大きなバネがあり、バネの中心は位置は十文字配置である。下側のバネ座は台車枠だけであって、spring plank(バネ床)がない。当時のカタログを見ると、部品の少なさ、すなわち軽量化を謳っている。軽くなった分、積荷を増やして収入を増すことができる、と述べている。軸箱を分解すると、簡単に車軸を外せるという図も添えてある。要するに、車軸が無いと、左右の枠は水平面で自由にひねれるらしい。台車枠と枕梁との摺動する部分いわゆる摺り板がないからだ。ということはバネの横剛性だけで載っていることなのだろうか。バネ座が深いのは、そう考えれば理解できる。self-centering という名称もそれを示しているのだろう。
 この台車はよく写真集で見るのだが、模型の製品としてはまずお目に掛からない。1940年代の貨車によく使われている。いくつか該当する車輛があるので、台車を交換するつもりである。

bet_cb カブース用の重ね板バネつきのベッテンドルフ台車である。揺れ枕内蔵のSwing Motion Truck である。人が乗る車輛は重ね板バネのダンピングが効いていないと、乗っている人がどうかなってしまう、ということだ。
 昔コンテナ列車にコキフが付いていた。車掌室側の台車だけをダンピングのよく効いた台車に履き替えていたという話を聞いた。当初の台車では車掌が参ってしまったらしい。この件について、詳しい情報をお持ちの方はお知らせ願いたい。 

 今回の試作品だけで10輌のカブースが正しい台車になる。

追記 
 うっかりして、古い原稿をそのまま出してしまったので、完全に新しいものと差し替えた。申し訳ない。


 コキフについてはお二方から情報を寄せて戴いている。
brass_solder氏から、 
 コキフ50000型は50000-50063まで前後ともコキ50000型と同じTR223を履きましたが、乗り心地の問題があり50064以降は車掌室側をバネの柔かいTR223Aに変更したそうです。その後やはり乗り心地が悪かったので、前後とも空気バネのTR203Sに交換したそうです。鉄道ピクトリアルNo.540 1991-3 に解説がありました。


kuma氏からは、
今回話題の件と関係があるかはわかりませんが、乗り心地の悪い車種があった様です。ここに記事があります。

 これらの記事を見る限り、ダンピングに言及しているわけではない。お二方には感謝する。 



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