2019年10月13日

Jerry White Drive

Jerry White Drive (4) Jerry White氏は、Lobaughの職人であった。数多くのカスタム・ビルディングをこなした。腕の方は素晴らしい。絵で言えば、水彩画のような機関車を作った。特徴をよくとらえた造形で、板厚は薄目である。直接には会ったことは無いが、1990年代に手紙のやり取りはある。10年ほど前に亡くなった。

Jerry White Drive (3)Jerry White Drive (2) ギヤボックスは独特の2条ウォームで滑らかである。逆駆動はできないわけではないという程度だ。どういうわけか30:2である。感心しない。薄い板金工作で出来ている。厚みは15ミル(0.38 mm)である。ウォームの先端はボールベアリングで受けている。軸径は、3/16インチ(4.76 mm)、外径は3/8インチ(9.52 mm)である。実に滑らかな動きをするベアリングである。このべアリングが付いているから、逆駆動できる。ギヤは快削鋼だが、シャフトにはブラスを使っているのは不思議だ。ギヤボックスを支えるトルクアームはない。ドライヴシャフトが反作用を受け持つから、そういう点ではスティール軸の方が良かった。

Jerry White Drive (5)Jerry White Drive (1) ウォームホィールはブラスである。外径はボールベアリングと近い径である。もう少し細くすれば、進み角が大きくなって、効率が上昇したはずである。残念だ。
 グリースは軟らかい。ギヤボックスは、普通にはない分かれ方をする。下半分は動軸から外れない。ウォーム部分だけが外れる。そのウォーム部は長いストラップ状のもので、下半分に連結されて固定される。前後を逆にすると嵌まらない。即ち互換性は無い。
 どういうわけか、このドライヴが付いていると値が高い。今回の機関車は全体がかなり破損していたので、超格安であった。このドライヴだけでも欲しい人が居るので、外してアメリカで処分することにする。動輪を抜くと購入者が困るので、付けたままの方が売却しやすい。予備の動輪は持っているから、それに3条ウォームを付け替える。


2019年10月11日

続 歯車の要件 

 他の友人たちとの会話の中で、歯数の少ない正しい平歯車が欲しいという話が出た。どれもこれもやかましいのは、角速度が一定にならないからだ。市販のものは怪しい歯型で、しかも偶数歯の物ばかりだ。奇数歯のものがあれば、かなり助かる。”互いに素”を作りやすいからだ。しかし一般的に言えば、14枚以下のものは感心しない。

 他のゲージも含めて走行音を聞いて歩いた。歯車の音がするが、正直なところ、誰も気にしていない。本物ではありえない音を立てていると、気分が悪い。車輪の音も誰も気にしないのであろうか。明らかに「めっき音」がする。
「めっき音」というのは、筆者が勝手につけた名前だが、精密な旋削だけで出来たものと、ブラス素材をめっきした物と比較すると如実にその差が分かる。めっきしたものはゴロゴロ音がするのだ。表面が粗雑なのだが、光っているので研磨されていると信じてしまうのだろう。
 以前にも述べたが、細かい紙やすり(#2000程度)で磨くとかなり改善される。

 話が飛んだが、模型用の正しい歯型の、奇数歯の歯車が欲しい。こういうものこそ皆で共同して出資し、作るべきである。模型クラブ組織があるのだから、出来ないことではない。インヴォリュート歯車の設計能力のある人も居る筈だ。歯車は意外と高くないものなのだから。

2019年10月09日

歯車の要件 

 スパイクモデルの2条ウォームをたくさん持っている、という友人Bob氏が来た。
「残念だよね。dda40xさんの記事を読めばすべてのノウハウが書いてあるのに、それを読み取れないんだね。どうせ盗まれてしまう特許より、名を残すという手に出ているんだから、教えてくれと言われたら教えたんだろ?」
「そりゃそうさ、世界で一番素晴らしいものが作れるように指導したさ。」

 現実に出来たものは感心しない出来で、このブログで検討されている。それでも動くそうだ。割り切れるギヤ比で、もったいない話である。ダイキャストの型代を掛けて、変なものを作っている。もし正しい設計の物であれば、素晴らしい走りを提供し、模型界を席巻したに違いない。模型人は人の指導を仰ぎたくない人が多いらしい。”オリジナルを凌ぐコピィなし”ということが、わからないのだろう。

 インヴォリュート歯車は角速度を等しくするために作られたのだが、それを忘れた実例もある。歯型が正しくないものはダメなのである。「動きます」とは言うけれど、正しい角速度で動いている証拠を見たいものだ。重負荷をかけて高速で駆動する時、角速度が等しくなければ音がする。
 ウォームギヤの特質は、バックラッシを理論上、ゼロに出来ることである。こういう歯車は他にない。即ち無音に出来る(現実には潤滑油が廻るように、ごく僅かの隙間を空けるが、普通の歯車より、ずっと近づけることができる)。工作機械で使う割出し盤にウォームギヤが使われているのは、そういう理由である。
 オルゴールに付いている2条ウォームもどきが、どういう動きをしているかはよく分からない。スプリングモータで軽い羽根を動かしているので、この場合、問題は見えて来ない。

 平坦線でぐるぐる廻しを楽しむ分には、それでも良かろう。最近問い合わせを戴く方々は、筆者と同じように勾配線を重負荷で登りたい、そしてエンジンブレーキを掛けて下りたいという人達だ。正しいギヤを使わないと泣きを見る。 
 先日博物館のレイアウトを見学にいらした方は、本当に無音で機関車が動くので、とても驚いた。彼は、
「想像したのと違っていた!」
と叫んだ。ある程度はガラゴロ音がするのだと思っていたらしい。
 道床のエラストマも騒音減少に貢献しているが、動力車の無音化は、それとはまた違う話だ。

 歯車の最小歯数については既に述べた。そういう歯車しか使っていない人がこれを見れば、驚くのは当然だろう。

2019年10月07日

関西合運参加

go-unn 年に一回だから、行かねばならない。自宅から山を越えて街道を行く。早朝で交通量も少なく、平均速度は 50 km/hだから、かなり速い。高速道路は山崩れとか、いろいろな障害があって、渋滞気味で避けた。燃費の良い車で、35 km/L も走る。軽快なドライヴであった。

3D printing 今年は新作の貨車3輌と切断機(テーブルと折れたハンドル、その代替品)を展示した。高精度3条ウォームの実物を見たい、というリクエストもあったので、持って行った。
 3D プリンティングの見本を置いておくと、興味のある方はじっくり見ている。質問にはお答えした。今まで紹介されている材料とは違うことに興味がある人が多い。

 切断機の諸問題については、興味のある人が多く、テーブルと新ハンドルの注文 を受けた。テーブルは、あと6台ある。もう再生産はしない予定なので、売り切りである。ハンドルは、1/2インチネジのを持っている人は不安で、注文が多かった。皆さんフライスはお持ちのようで、こちらも気楽である。キィ材と共に送る予定だ。ご希望の方はコメントを通じて連絡されたい。

 すでにテーブルを買われた方が、感想を知らせてくれた。横についている定規が便利で、役に立つということである。テーブルが薄くて、小さなクランプで材料を留められるのも有難いとのことだ。設計者としては、この種のお褒めは嬉しい。

 遠藤機械の切断機については、専門家のコメントとして、「ハンドルが折れないのが奇跡だ」という話には、皆驚いていた。

 3条ウォームの新しいギヤボックスには興味津々で、廻してみて愕然とする人が多かった。ただ廻りますというのとは、異なる世界であることがお分かり戴けたのだ。押して動かす動作をすると、感動するらしい。  

 紹介した本の英語版、日本語版を置いておいた。意外なことに、日本語版は持っている人が多いことがわかった。英語版の著者名にLinn Westcott氏の名前を確認すると、皆さんは安心するようだ。 

2019年10月05日

MKT covered Hopper

MKT CD covered  hopper このホッパ車はずいぶん前に紹介した。長らく色を塗れなかった。塗料も用意し、ディカルはY氏が作ってくださったが、上面のrunning boardが無かったのだ。

 入手した時の歩み板は気に入らなかった。加熱したプラスティック板を型に押し付け、印象を付けたものを張り合わせて構成してあったが、高さがおかしかった。足の長さが足らない、しかも本数が少ない。なおかつそれが弱い材料で、壊れた状態であった。
 この歩み板を自家製エッチングで作るつもりであったが、ある事情で断念した。それは近々、むすこたかなし氏が解説されるはずだ。大きな "breakthru" が必要だったが、それができなかったのだ。むすこたかなし氏は筆者の経緯説明を聞いて、すぐに解決策を開発された。思わず膝を打つ、簡単で素晴らしい工夫である。これはエッチングの手法に大きな進歩をもたらすであろう。化学屋として、誇りに思うことである。

 さて、金属製歩み板の製作でひっかかって10年ほど遅れたが、T氏が紙をレーザで切り抜く方法を紹介され、それを作ってもらった。足はブラスで作り始めたが、今回の3Dプリンタが使えると気付き、お願いした。足の高さは完全に揃う。

 スーパーXで貼り付ければ、完成である。色はMKTグリーンを入手してあった。BNグリーンとは異なり、広葉樹の若葉の色である。MKTとは、Missouri-Kansas-Texas鉄道のことである。


2019年10月03日

台車各種

 Walthers, Lobaugh, 3Dプリンティングの台車を比較してみる。

4-wheel Pullman 4輪台車である。これらが同じ台車とは信じがたい。
 左のダイキャスト製はバネが抜けてない。これを抜いたところで形が悪すぎるので、40年以上放置である。車輪だけLow-Dにしている。背が高い。
 中のLobaughは形が良い。バネを切り抜いて適当なコイルバネを接着してある。実感的だと評判であったが、やや小さい。
 右は今回の台車だ。図面通りだ。

 こうしてみると、ボルスタ高さ、軸距離など思いのほか、異なっている。

6-wheel Pullman 6輪台車である。左の二つはコイルバネが抜けていない。切り抜いたものもあるが、いまひとつである。
 今回の台車はブレーキシュウもついているし、しかもそれがタイヤ踏面に当たっている。ナイロンだからこそできることだ。絶縁材料は助かる。

 造形的にはLobaughのものが良い。凹凸の深さも適当で、黒く塗ると十分に気分が出る。しかし、抵抗が大きく、ショートする。

 今回の試作で、いろいろな改良点が分かったので、次期量産品は素晴らしいものとなるだろう。アメリカに送って評判を聞いてみる。

2019年10月01日

続々 3Dプリンタによる台車

GSC2 イコライザの裏側には支えがある。この支えは薄く長いので撓む。位置関係を保っているだけである。荷重はコイルバネが受け持つ。
 この写真は台車枠から外した状態である。イコライザの位置は保たれている。そのまま台枠に締め付ければできあがりだ。ナイロンだから出来る。疲労することもない。このアイデアをHOに使えないかという打診もあるが、おそらくうまく行かないだろう。縮小模型は堅いのである。うんと細くするか、別の工夫が必要である。というわけで、これは O scale には適するアイデアである。 

GSCGSC 6-wheel truck この台車はGSC General Steel Castings の鋳鋼製6輪台車である。この市販品がなかったので、新規開発品である。イコライザ部品はプルマンと設計が共通である。ある特別な客車に使うことになっている。 

woodframe プリンタ出力時は、なるべく密に詰めないと損なので、例えばこんな形に並べて出力する。出力後黒染めを施してある。ナイロンは極性が大きな高分子であるから、染色が容易である。塗装するのだが、その前に黒くしてあると気分が良い。塗料を吹き付けると浸み込んでいくのが分かる。防水性を向上させるので、高湿度時の強度低下も防げるだろう。
 ナイロンは水分によって強度が低下する。それはガラス転移温度が下がるからである。要するに常温付近でも流れるようになる。堅い筈の樹脂が曲がってしまうのだ。濡らしてはいけない。  

 ナイロンは結晶性の高いプラスティックで経年変化が少ないものである。荷重を掛けていてもクリープが少ないから、台車には適する。価格が高いところが問題であるが、性能を考えると妥当であろう。今後この種の材料はどんどん進歩するはずだ。ソフトウェアがあれば台車の再生産は容易であるから、将来への不安はない。
 その昔のダイキャスト製品は大半が膨らんで割れている。それと比べると、このナイロン製ははるかに信頼性がある。

 ステンレス製・ピヴォットとの相性はとても良い。0.25%以下でも転がる。POM(通称デルリン)では0.3%ほどであった。 

2019年09月29日

続 3Dプリンタによる台車

4-wheel Pullman truck Pullmanの4輪の客車台車である。これは36インチ車輪を付ける。
 すっきりしている。今までのはWalthersの文鎮のようなダイキャスト台車であった。それを糸鋸で切り抜いてヤスリを掛け、バネを接着すると可動のように見えた。膨大な手間を掛けて改造していたが、新しい台車を見ると古いものは投げ捨てたくなった。

 ブレーキシュウまできちんと付いている。隙間が少なかったようで、少し削る必要があった。次回生産では改良する。摩擦が極端に少なく、するすると走って行ってしまう。

Pullman 6-wheel truck Pullmanの6輪台車である。これはイコライザ可動である。この台車もすっきりと出来ている。普通に考えると、非金属でイコライザを作っても、動きにくいし、組むのも難しい。
 ところが、S氏はそれを思わぬ方法でクリアした。本当に、イコライザが軸重を均等にしているが、組立ては一瞬で終わる。そのアイデアは素晴らしい。
 
exploded view キングピン(台車の回転軸)は中央車軸の真上にある。キングピンのネジを下から締めるのは難しいが、それを克服している。台車ボルスタを下から締めている。そのネジは、揺れ枕の底板の穴から締められるようになっているのだ。
 未塗装で、光をしかも上から当てているので、ざらつきが強調されているが、実際はもう少し滑らかに見える。  
             【後半部分を差し替えました。】           

2019年09月27日

3Dプリンタによる台車

 S氏に作って戴いていた台車が何種類か届いた。

 客貨車の台車はナイロン製、POM製が良い。ショートによるトラブルから逃れられる。軸受の耐久性は全く問題ない。毎日走らせているが、減ってきた兆候はない。おそらく50年以上持つであろう。壊れたら差し替えれば良いので、気にする必要はない。

 3Dプリンタで作ると、人智を超えた構成に出来る。組立てなくても、込み入った形がそのまま出力される。作ろうと思えば、しなやかな鎖でさえも、そのまま出来る。外見だけのコイルバネは、再現できる。もっとも、荷重を掛けるバネは金属製にするべきである。
 車輪を嵌め込むときに部品を脇に寄せ、それを戻してネジ留めすればおしまいだ。ネジも切った状態で出力されている。部品には弾力があるので、曲げても復元する。

Woodframe caboose truck 今回どうしても欲しかったものは、この木製台枠のカブース台車だ。Low-Dの33インチ車輪に適合する貨車用台車である。 ブラス製のものも何種類か作ったが、決して満足できない。たまにショートする。その点、これは素晴らしい。(やろうと思えば、絶縁車輪の向きを変えて、1台車で2極の電源も採れる。)
 ざらついて見えるが、30 cmの鑑賞距離からでは実に自然な感じである。高精細のものもあるが、実用上はこれで十分だ。HO以下の場合は別の材料の方が良いかもしれない。Oスケールは強度が大切である。
 もちろん塗装するのでかなり滑らかになる。焼結ナイロンは多孔質で、瞬間接着剤、塗料は吸い込まれていく。写真の状態は染色を施したものである。生地は白い。 

UP CA3 この台車を付けるのは、この車輛をはじめとする数輌のUPカブースである。1950年頃までのUPカブースはこの色であった。Red Caboose という話は、しばらく前にした。この写真は仮の状態で、収まり具合を見ている。以前に比べて、高さが低くなり、安定感がある。まだ細かい部品は付けてない。 

2019年09月25日

疲労しにくいハンドル

shear handle この形で行こうと思う。どこにも角がない形にする。レーザで切って作るのだから、好きなようにできる。多少重くなるのと、重心位置が遠くなるので、バネの力に勝って、何もしなくても刃が降りると面白くない。場合によっては、バネを強くする(何か挟み込む)ことが必要かもしれない。
 厚さ19 mm(3/4 インチ)までは垂直に切れることが分かっているので、キィ溝もレーザで切ってもらう。追加工なしで完成の筈だ。手に当たるところだけは削って丸くする。伊藤英男氏の方法で、四角を八角にし、それを十六角に・・・するのだ。そこにはちょうど合う太さのゴムホースでも被せておく。自転車ハンドルの握りでも良い。

 回転軸は 5/8 インチの丸棒だから、外してフライスでキィ溝を彫る。こういう仕事は訳ない。抜け留めは、軸の末端にワッシャ付きのネジを締めれば良い。

 キィ材は考えている。インチ材は各種あるがミリ材がない。自分の分はインチでも良いが、友人から頼まれるときはミリ材の方が良い。N氏によると 5 mm角が適合するそうだ。 

 この構想を友人たちと話していたら、蒸気機関車のメインロッドの形にしたらと言う人がいた。残念ながら、メインロッドはトルクを掛けることを想定していない形である。EF15のブレーキレヴァのような形も良いが、その通りに作ろうと思うとコスト的に難しい。

 希望者はコメント欄を通じて連絡して欲しい。連絡先は本文に入れて送られたい。公表はしない。軸のキィ溝切りも必要があれば引き受けざるを得ない。


2019年09月23日

続 金属疲労

 クラブのN氏はこういうことに詳しい。
「ネジ溝からだね。おそらく、遠藤機械には情報が入っているはずだ。ネジを変えたっていうのも、それに関連あると思うよ。設計変更で折れにくいネジにしたのじゃないか。」
 自動車ならリコール事案だろう。

screw extractors 博物館に来てくれたので、埋まっている折れたオネジを取り出すことにした。こういう時のために、専用の工具 screw extractor がある。それを使ったところ、折れてしまった。エクストラクタには逆ネジが切ってあって、ドリルであけた穴にねじ込んで、取り出す。それがあっけなく折れたのだ。日本製だったから意外だった。これには焼きが入っていて硬いから、それを取り出すのは難しい。写真は細いものを示している。
 件のネジは、よほど強くねじ込まれていたのだ。仕方がないので、周りに小さな凹みをドリルで掘った。そこにポンチを当て、抜ける方向に根気よく叩いた。ところが、エクストラクタを使った時にネジが太くなってしまったのか、全く廻らなかった。

broken screwbroken screw2 最終手段として、カッティング・ディスクをドレメルに付け、ネジに溝を切って、大きなネジ廻しで廻すことにした。径の大きなディスクを当てると、周りに傷がつく。多少減って径の小さくなったものを使うと具合が良い。左の写真では、孔の周りに傷がついている。この程度は仕方がない。ネジ廻しの先端は砥石で研いで、角を出してから始めた。
 ところがそれでも廻らない。モンキーレンチを使って二人がかりで廻した。少しずつ廻って、取ることに成功したが、時間が掛かった。大きなネジ廻しは、ねじれて壊れてしまった。それは父の代からの60年以上使った古いものであった。

 あまり力を入れると、また右手が壊れそうで、ひやひやしながらの作業であった。一人ではとてもできなかった。N氏には感謝する。
 材料が塑性変形し易い。ネジを思い切りねじ込むと、少し変形して抜けにくくなるのだ。次回はロックタイトで抜け止めをし、トルクをあまり掛けないようにしたい。

 どうするかを相談した。もちろん、現行のハンドルは捨てて、新しいハンドルにする。現行ではネジを折る形になっているから折れやすいのだ。そういう愚かな設計は避けたい。留めネジはやめて、キィにしよう。 
 さてどうするか。思い切った形の物にしようと思う。疲労しにくい形が良い。きっと欲しがる人も居るだろうから、余分に作ろう。そうするとまた売れ残るかもしれないが。


2019年09月21日

金属疲労

broken by metal fatigue 切断機のハンドルが折れた。ケガはなかったが、かなりびっくりした。破断面を見ると、metal fatigue 金属疲労特有の模様が見える。力を入れた瞬間に破断するので、場合によっては大ケガをする。注意されたい。材質は、ヤスリで削った感触ではS45Cのようである。

metal fatiguemetal fatigue 2 この写真の上の矢印から始まっている。虫眼鏡で見ると、色が暗い部分に同心円の貝殻状の模様が見えるのが証拠だ。僅かなヒビが入り、使用と共に、それが広がったのだ。下の方の輝いている部分は、折れた瞬間にコジて擦れたところだ。
 筆者の祖父は金属屋だったので、疲労の話は聞いていた。しかしこんなに太いものだし、手で押す程度のものだから無縁のものと思っていた、

 この機械は古い。1978年ころの購入だ。これと同時代のものは今野氏のものむすこたかなし氏のものくらいしか見たことが無い。足の間隔が 330 mm のものだ。これはハンドルのネジがインチネジである。1/2インチの 12TPI、要するに径が12.7 mm、ネジ山が1インチ当たり12本である。この2本は比較のためである。赤い方がより古い。博物館のと自宅のものとを比べている。

 よく似た太さのM12に比べるとネジ溝が深い。ということは疲労がそこから始まりやすいのだ。そのせいかどうかは知らないが、90年代からはM16に変更されている。

 それほど無茶をしたわけでもない。1mmの定尺板を連続で数枚切って、最後の一枚の耳を落とそうとしただけである。公称の性能の範囲だ。長年の使用により、金属疲労が進んで、たまたま今日折れたというわけだ。ブラス板はたまたま快削板ではなかった。快削ならより楽に切れるが、それが原因とは思えない。

 どうするか考えている。完全に復旧して1/2インチのネジを切るなら、旋盤でやると早い。筆者の旋盤はインチ仕様だから、ネジはすぐ切れる。しかしまた折れるだろう。クラブ員に詳しい人が居るから、相談することにした。

 この種の切断機をお持ちの方は、注意されたい。使用頻度が高いものは危ないと思われる。

2019年09月19日

続 HOm

 国鉄のゲージ 3 ft 6 in の1/87.1の模型をHOmと呼んでも、何ら問題ないと先回書いたところ、親しい友人が、
「それを言っちゃぁ、おしめぇよ。」
と電話を掛けて来た。
「ナロゥとは認めない人が大半なんだから、あんなことを書くとますます反発が大きくなるよ。」と言う。
 しかしながら、客観的に見れば明らかにナロゥなのである。


 別の友人から、お知らせ戴いた興味深い情報を、紹介する。SAR(南アフリカ鉄道)のRed Devilという機関車のHOスケールの機関車が市販されている。
 その表示はHOmである。国鉄型よりもはるかに大きな機関車である。それをHOmとしているのだから、国鉄型をHOmとは呼べないとは言えないだろう。

 そのゲージは1067mmだと信じていたが、1065 mm(3 ft 5-5/16 in)だそうだ。この広告では残念ながら fine scale とある。カナダの模型屋だそうだが、この点はかなり遅れている。

 ニュージーランドなどではHOn3-1/2と書いてあるようだ。いずれにせよナロゥという認識だ。
 

 しばらく見ていなかったが、友人たちから、イモンのあのページの表現が大幅に変わっているというお知らせを戴いた。だんだん短くなっている。
 かなり改善されたが、まだまだである。読むとめまいを感じる。いまだに山崎神話から抜け出せない。彼のミスリードの罪は、小さくない。1/80は HO gaugeの線路を走っている


2019年09月17日

ゲージが先か…

newer scales いまだに罵詈雑言の続きが来る。HOはスケールが先だと信じているらしい。
 先日の本の核心部分は既に公表したが、さらに決定的な文があるから紹介する。これで罵詈雑言からは縁を切れそうだ。それでも送って来た場合は、IPアドレスを公開するかもしれない。

 HOの説明の後、p.85にはこう書いてある。
 The next three scales to be described are much 'purer' - that is, more exactly truthful - than the oldest established ratios, in which the gauges were first selected quite arbitrarily in neat fractions of an inch , the linear scales being afterwards chosen to agree with them in a very approximate way.
 とあって、その後に、gauge S, gauge TT, gauge N という順で書いてある。"arbitrarily"という語は時々目に掛かるが、イギリス語とアメリカ語で発音が異なる。ここではもちろんイギリス風に発音するのだろう。”任意に”と訳すと意味が通じる。 

 それに対する日本語訳は、
 次に述べる3つのスケールは、古くから決められていたスケールよりも純粋、つまりより厳密な正確さを持っている。古いスケールでは、初めにゲージは何 mmと決められ、線分比はそのあとで大まかにゲージに合うように選ばれたのである。
とある。何mmとは書いて無かったが、まずまずの訳である。 
 
 すなわち、HOはゲージが先に決まっていて、スケールをあとで決めたと書いてあるのだ。ここで言う古くから(戦前から)あったゲージとは、HO、O、1のことであり、スケールはさまざまであった。
 そして戦後確立されたゲージは、スケールとゲージを一致させるようにしたのだ。もちろん標準軌の場合である。
 
 HOの成立初期から1/87.1と決まっていたと、大上段にかぶって言う人達は、そのころのHO模型を見たことがあるのだろうか。ひいき目に見ても模型とは言い難い。正直なところ、おもちゃであって、サイズはモータの入る大きさに作られただけである。ある方は、「昭和30年頃のEB電関みたいなものだ。」と言う。非常に当たっている表現だ。
 1/87が当たり前になってきたのは、アメリカでも戦後しばらくして、である。50年代になっても、柄の大きなHOはアメリカでもいくつかあった。カワイのリオ・グランデの機関車なども、サイズが大きな良い例である。

 その3つのゲージについて、要約を書くことにする。多少、筆者が加筆している。
 Sゲージは、1番ゲージの半分であるから、HIゲージと呼ばれていたこともある。ゲージは7/8(seven eighth)インチで、サイズが 1/64(one sixty-fourth)、スケールが3/16(three sixteen)インチで、3つのSが付くことから名付けられた。
 線路幅は標準軌の縮尺通りに極めて近い。(1番ゲージの1/32と同じこと)

 TTゲージは120分の1で12 mmゲージである。これも標準軌の縮尺通りと言ってよい。しかし、後にヨーロッパでは 3mmスケール(1/101)も出現した。

 Nゲージは、イギリスで 2 mmスケール(1/152)でスタートした。これはOOO トリプルO から発展した。多少の混乱の後に、現在のNゲージはアーノルトが1/160を採用して、標準軌の縮尺通りに近くなった。


2019年09月15日

ウォームを外す

gear removing 手伝いに来て下さるクラブ員に聞かれた。
「このモータが安くて強力なので使いたいが、ウォームが外れない。どうしたら外れるものだろうか。」

 最近話題になっているモータであるが、ウォームが固着していて、そう簡単には取れないらしい。今野氏の話を思い出した。ウォームを掴んで旋盤で廻せばよいのだ。

gear removing2 早速、術式を真似してコレットでつかんだ。9 mmのコレットがぴったりだ。深く掴んで、高速で廻し、突っ切りの先を変形させたバイトで削った。コレットは心が出ているので、モータは微動もしない。

gear removing3 軸の手前まで削って、虫眼鏡で見ながら軸に触る寸前までバイトを進めると、ぽろりと取れる。



 後は万力にウォームを銜えて、糸鋸で平行に二回切る。軸に傷を付けないように気を付けて、軸の近くを平行に切るのだ。ペンチで挟んで捻れば取れる。簡単である。
 時間にして5分足らずである。見ている間に出来たので、依頼者はとても喜んだ。読者の皆さんもお試しになると良い。

2019年09月13日

エポキシ樹脂のリヴェット?

 手が不自由な間、ずいぶん大量の本を読んだ。雑誌もたくさん目を通した。日本を離れていた時期の雑誌は、始めて見るものも多かった。

Train2 ゲージ問題関連の記事があるものだけ、付箋を付けている。その記事を読む時に、ついでに周りの記事も目に入ってしまう。また、気になるところを見つけてしまった。例の連載記事である。
 エポキシ接着剤を多めにつけて部品を貼り付ける時に、中心に孔が開いていると接着剤が裏にはみ出し、ちょうどリヴェットのようになると書いてある。そうすると丈夫に付くのだそうだ。

Train1 冗談でなく、本気で書いているらしい。接着剤は、接着面以外の強度は無いも同然である。その証拠に、接着剤チューブについている固まった部分は、簡単にちぎることができる。


 圧力を掛け、接着剤自身の厚さを薄くすると、最も接着力が強い。塗装も同じである。厚いと良くない。なるべく薄く塗る方が、はがれにくい。本物の電車は、必ず元の塗料を剥がしてから塗る。塗り重ねると弱くなって、剥がれやすくなるのだ。

 この記事では、繰り返し間違ったことが書いてある。普通は叩かれたら、少しぐらいは勉強するものだ。技師と名乗るなら、専門書を開いて熟読すべきだ。眺めているだけではだめである。分からないなら書かないことだ。迷惑する人がいる。

2019年09月11日

HOm

 鉄道模型が他の模型と根本的に違うのは、決められた線路の上を走ることである。それならば、縮尺よりもゲージが、その製作に当たって最優先に考慮される、ということは明らかなことであろう。HOゲージは線路幅が先に決まって、スケールは後に付いてきた概念である。相も変わらず意図的なウソにしがみついている人もいるようだが、勝ち目はない。飛行機や船は縮尺を決めて作られる。それらとは違うのだ。

 書き忘れたが、先日の本はイギリスの本である。執筆陣はかなりの有名どころを揃えている。TMSの1970、71、72年のミキストを調べたが、この本に関する記述は見つからなかった。読者の皆さんの中で、気が付かれた方はお知らせ願いたい。当然献本があっただろうが、都合が悪いから黙殺したのかもしれない。

 山崎神話は、無意識のウソ(無知から来たもの)であったが、あとでそれを持ち上げ、これが正しいと言って来た人たちは責任を感じないのだろうか。1970年代以降、外国からの情報はいくらでも手に入るようになっている。それなのにろくな調査もせず、間違った情報をばらまいてきた雑誌には、大いに責任がある。先日の不発弾では、「古い戦前のModel Railroaderを買い集めたり」などと得意そうに書いてあるが、それを熟読分析したわけではなさそうだ。眺めているだけではだめなのである。

 先日、1970年頃祖師谷のTMSを訪ねてゲージが先に決まったのでしょう、と山崎氏に質問した人の証言を得ている。
「これ以上俺にゲージとスケールの話をするな!」と怒鳴り付けられたそうである。客観的な人であれば修正するだろうが、彼はそうすることができなかった人である。それがここまで問題を長引かせているとは情けない限りだ。彼は外国の情報を遮断していたとしか思えない。

 今、少しずつであるが、NMRAのBulletin(会報)を通読している。NMRA結成当時の資料を大量に再掲載している部分がある。これを分析すると、もっといろいろなことが分かると思う。

 スケールを統一することを理念として挙げるなら、異なるゲージの車輛すべてを模型化して市販しなければならない。京王の車輛が出て来ないのはどういう訳だろう。線路(特に分岐)車輪の規格を全て決めて公表して市販し、ストラクチュアなどを大量に市販する用意ができてから言うべきであろう。

 本物のゲージごとの模型化をするということはあまりにも多岐にわたってしまい、とてもできないから、Bemo はメータゲージ(1/87.1にすると11.5 mm)をHOm(12 mm)として売っているわけだ。そう考えると、日本の12 mmゲージをHOmと言ってはいけない理由があるとは思えない。我が国での成立の過程を見ると、根は同じなのである。 

 10年後にはどうなっているのだろう。

2019年09月09日

日本のHO

HO その本の英語版 p.80 には、
 
 All HO models are intended to run on track that has a gauge of 16.5 millimetres(0.65 inch), but the earlier manufacutures of the earliest HO models were not so sure about the best linear scale to use on track of the width - the scale ratios 72:1, 76:1, 80:1, 82:1, and 90:1 were all tried. One can still find a few commercial HO models on sale in these unusual scale, but most American, Europian and Japanese manufacturers now stick consistently to scale of 3.5 millimetres (0.14 inch) of model to 1 foot of prototype - that is, a scale ratio of 87:1 - which is the correct scale for the gauge. In America, France, Germany, Japan and several other countries HO has become by far the most popular modelling gauge.

とある。3.5 mmは0.138インチ弱であるが1/100インチの桁までしか書いてない。また、HOはゲージだと書いてある。

 日本語版の記述は、下記の通りである。

 現在、HOの模型はすべて、16.5mmの軌道を走るように設計されているが、初期のHO模型の製造業者は、この幅の軌道を使うためにどんな縮尺が最もよいか、確証が持てなかった。縮尺比72:1、76:1、80:1、82:1 それに 90:1 などが試みられた。今もって、この異常なスケールのHO模型はいくらか市販されている。しかし、現在ではアメリカ、ヨーロッパなどの製造業者は、たいてい実物30cmに対して模型3.5mm ― すなわち87:1 ― のスケールに決めてしまっている。そしてこれがHOゲージの正確なスケールということになっている(日本のHOは、80:1である)。
 アメリカ、フランス、ドイツ、日本およびその他の諸国では、HOゲージがこれまでのところ最も一般的になっている。 

 
こちらでは、1 footを30.48 cmとせずに30 cmとしている。また、縮尺比 (scale ratio) の一部の訳にスケールという言葉を使っているが、良くない。stick to 〜という言葉の訳は良い。これはしがみついているとか、離れようとしないという意味の米語である。イギリスではあまり使わないように思う。ここはWestcott氏が書いた部分であろう、と推察する。

 この訳者は、日本の製造業者というところを外して、わざわざ、日本のHOは80:1と書いている。当時の製造業者の生産額の大半はアメリカ向けであって、国内向けより一桁多かったのであるから、原本のとおりの訳の方が良かったのである。当時僅かに東海道新幹線のみは1/87であったが、それのことだとは思えない。

 HOは、ゲージとして紹介されていることに、注目したい。決して縮尺比率を表しているわけではないことが分かる。
 ともかく、これからも判るように、HOが当初から 87分の1 であったというのは、明らかなウソである。山崎氏の主張とは異なるわけだが、ウェストコット氏は山崎氏が師と仰ぐ人であったから、黙殺するわけにもいかなかっただろう。英語版を手に入れて読んでいれば、その後の彼の言動に影響を与えているはずだ。
 そのころのTMSのミキストには何が書いてあったのかは、調査中である。


2019年09月07日

Fine Scale という言葉

 ようやく右手のリハビリに入った。動かせない期間、博物館の本を順番に読んで、整理をしていた。その中に、Guy Williams編、The World of Model Train(1970年刊)という本があった。これは全く目を通してなかった。

619_1154 素人向けに、非常に広く浅く書かれた本であるが、編集者の中に Linn Westcott 氏(Model Railroaderの編集長)もいるからには、変なことは書いてないはずだ。どういうわけか、日本語版も出ている。模型機関車/この魅力の世界 秋野忠弘訳(実業之日本社1970年刊)である。この秋野氏がどういう方なのかは、見当が付かない。検索しても、この本以外の訳書は見つからない。

 この2冊を並べて読んでみると、訳がかなりまずいところが見つかる。ゲージ関係の説明はよろしくない。それは後述するが、Fine Scaleという言葉の説明があったのは驚いた。英語の説明は良い。対する日本語は、言葉の選び方が良くはないが、ウソはない。p.80から引用する。

 The idea of modelling to exact proportions in every possible respect, and most especially in respect of the track and wheel contours, originated in great Britain, where new approach is called Fine Scale. The term is misnomer, since the scale is not actually changed. In America, the words fine standard or exact standards are usually preffered and give a more accurate idea of the purist modeller's intention.

 この部分の日本語は、

 できるだけ多くの点で、特に軌道と車輪の外形で、正確な比率の模型を作ろうとする考えは、イギリスで起こった。イギリスではこの試みを ”精密スケール” と呼んでいたが、実際にはスケールは変わらないのであるから、この用語は誤称といえる。アメリカでは ”精密基準” あるいは ”正確基準” という言葉の方が好まれており、この方が潔癖な模型製作者の意図にかなっている。

とある。英語を母国語とする人もおかしいと言っているのだ。

 この言葉を日本に持ち込んだのは、とれいん誌である。1970年代に否定された言葉を80年代中頃に持ち込んだような気がする。その細かい年代は、まだ調べていない。そこには、意図的なものを感じる。あるいは完全な無知から来るものである。

 井門氏の文章から、最近はファインスケールという言葉を探し出せなくなったのは、喜ばしいことだ。間違った言葉であることは明白だからだ。
 気が付かないうちに少しずつ変化している。もう少し待てば良くなるだろうか。 

2019年09月05日

再度 慣性について

 むすこたかなし氏の記事を読まれた感想を、たくさんの方から戴いた。

 Tavata氏が、慣性力は見かけの慣性力はスケールに応じて小さくなるという証明をされている。その通りなのだ。

 模型を作られる方の中で、模型は本物とは違うと考えた上で作られる方は少ない。特に実物から入った方には、縮小したものを作るとそれが実物のように動く、と勘違いしている人が多いように思う。非常に細かいところまで作って悦に入っているのだが、走りが良いものには、あまりお目に掛からない。あちこちの運転会に行って、走りを見ているが、ギィギィゴロゴロと走る車輛が多い。

 小さい模型は惰力を再現させることが難しい。管 晴彦氏のナロゥゲージの小型機関車が走るところを、ご覧になった方もいらっしゃるだろう。素晴らしい慣性を見せてくれる。HOスケールでここまでの慣性を持たせるために、管氏はモータ軸と同軸のフライホィールを増速している。径が小さいので、高回転にする以外、慣性モーメントの効果を大きくする方法はないのだ。

 縮小模型の慣性は小さい。高校1年程度の簡単な物理計算であるから、模型を作る人は一応やっておくべきだろう。
 摩擦を減らし、質量を大きくし、回転数を上げる。この三つを同時に組合せれば、見かけ上の慣性が増大し、素晴らしい走りを再現できるであろう。筆者が考案した、慣性が本物のように有るテンダの試作機は8割がた出来ているが、博物館が開業するまでは完成できない。

 どんなに精密につくられた模型も、よく走る模型には敵わないということは、椙山 満氏のレイアウト上で体感している。HOの世界では、井上 豊氏の作られた模型の走りが群を抜いて良かった。高校生の時にそれを見せて戴き、その時に受けたインパクトが、現在にまでつながっている。

 2月からの罵詈雑言を含めて多量のコメントを受け取っているが、その中に、
「走行性能ばかりを言うのはおかしい。よく走らなくても良いではないか。」
と書いて来た方があった。
 こういう方が 12 mmゲージ陣営の中にどの程度いらっしゃるのかは知らないが、非常にまずいことだと思う。

 管氏のリンクを更新した。完成時の動画はこちらにある。 (9/6/2019)

2019年09月03日

続々 またまた3条ウォーム 

 久し振りに「互いに素」のことを書いた。割り切れない組合せにしておくだけで、滑らかな伝達が保証される。
 歯車は工業製品である。優秀な歯切装置で作られたものであれば、ばらつきは少ないが、ゼロであることは無いだろう。僅かなばらつきや、微小な傷、異物の噛み込みなどの影響で、噛み合わせに異常を来すことが無いとは言えない。

 そういう時はこの「互いに素」が効果を発揮する。様々なファクタによる不具合を薄めて、自然に支障の無い状態になる。
 このウォーム・ギヤボックスを作ってくれたY氏は、組んでみて廻したとき、微妙なひっかかりに気が付いた。ところが廻しているうちに問題がなくなったので、改めてその効果に驚いたそうだ。
 進み角は tooling cost(新規に必要となる刃物の価格)の掛からない18度以下にするべきだ。また、伝達効率もその辺りが良い。特殊な刃物を用意せずに作った進み角の大きなウォームでは、高効率は望むべくもない。
 ウォームホィールの歯当たり部分を凹ませた物は、高級に見えるらしい。残念ながら、伝達効率はそのほうが低下するという報告も出ている。ともかく、この歯車セットは、工業的に最も具合の良い条件を組み合わせたものである。単なる思い付きを形にしたものではないのだ。これを実現するために、複数の歯車の専門家に話を聞き、コストも考えて設計した。

 クラブの集会に持って行くと、皆で寄ってたかって触る。逆駆動できるウォームとは言っても、かろうじて廻る程度の物だろうと思っていた人が多かったようだ。車軸を廻すと、ウォーム軸がビューンと廻るのには皆さん驚く。ウォーム軸は小さな物なのだが、高速で回転するので、慣性で廻り続けようとするのを見て、皆さんは驚く。(動画の前半部分のみ)

 HO車輌に嵌め替えた人も何人か居る。動輪の大きな蒸気機関車には嵌まるそうだ。押して動く動画を送ってくれる人も居て、嬉しい。

 ギヤボックスを作っても開放ではいけない。ゴミを巻き込んでダメになる。動輪軸にガタがあると、それだけで損失が増大する。HOの蒸気機関車のギヤボックスには、そういうガタがあるものが多いように思う。

2019年09月01日

続 またまた3条ウォーム

 むすこたかなし氏の目は、かなり細かいところまで届いている。インナ・レースは軸と共に廻るが、それがどこかに触ると、とんでもない損失を生み出す。ギヤボックスの内側は微妙に削り、何が起こってもインナレースが触らないように出来ていることを、見抜かれた。素晴らしい注意力である。これは、今まであまり誰も指摘しなかったことなのだ。

 今まで、いろんな方が作ったギヤボックスを見て来た。せっかくボールベアリングを使っているのに、ここが触っている例が多かったのだ。ウォームギヤは大きなスラストが発生するので、触ればそこで発生する摩擦損失は大きい。

 このギヤボックスは、ディーゼル電気機関車用に開発された。以前のΦ2.5軸系列のウォームギヤは、ロストワックス鋳物のギヤボックスを用いていた。鋳物は精度が出にくいので追加工をしたが、そのばらつきは無視できず、調整に時間が掛かった。それに要する時間がもったいなかった。噛み合わせ調整に時間を掛けるというのは無駄以外の何物でもない。
 だからギヤボックスを精密機械加工で作ろうとしたのだ。歯車の残数も少なかったので、思い切って完全な新規生産にした。

 潤滑はモリブデン・グリースをほんのわずか塗ってあるだけである。沢山入れると安心する人は多いが、決して褒められない。撹拌損失を増大させているだけである。歯の当たる部分にだけ塗ってある。互いに素であると、最初は渋くても、1分も運転すると極めてよくなじんでくる。もしこれが 30:2 だったりすると、ゴロゴロ感から逃れられないことがある。

 新製品の開発は成功で、時間の節約ができた。動力化する機関車の数がかなり多いので、多少の出費で省力化ができれば有難かった。しかも動力性能が完全に同一になるので、重連の時に全く問題がない。当時は博物館の構想すらなかった時代であったが、思い切って作ったのは大成功であった。

 歯車はたくさん作ったので、今後のギヤボックスは3Dプリンタで作ってみたい。ナイロン12で作るものなら、油に漬けても変化がないことが分かった。これについてはミシン油浸けで3か月間日光に当てた試験をしてある。

2019年08月30日

またまた3条ウォーム

時々コメントを戴く、むすこたかなし氏が連載されている記事が興味深い。筆者が自分で書くより、客観的な記事を書いて下さるだろうと思い、サンプルをお送りした。

 このギヤボックスは10年ほど前に、硬いアルミ合金からCNCフライスで削り出したもので、かなり高価なものである。飛行機の部品を作っていたY氏が作ってくれたものだが、再生産は難しい。ネジはM1.4を使用している。ネジ孔はタップを立ててあるが、切削タップではない。転造タップである。これは素人が手で廻すものではなく、高性能のCNCマシニング・センタでなければできない。切削後、黒染めを施してあるので、プラスティック製と間違える人が居る。

 スラスト・ボールベアリングを用いていない。小型化を狙ったので、ラジアルベアリングだけで作った。
 むすこたかなし氏の解説にもあるように精度高く作ったベアリング・ハウジングに油を付けて滑り込ませてある。アウタ・レース(外輪)はハウジングに油膜によって支えられている。油がないと玉が押し出されて、壊れやすいはずだ。

 ミクロン単位で作られているので、無調整で最高の性能を発揮する。噛み合わせの調整は全く要らないというところがミソである。組み立てただけで所定の性能を発揮する。手製のギヤボックスでは到底考えられないところまで行っている。


2019年08月28日

片持ち式ロンビック

 中澤氏の片軸の支持方式が話題を呼んでいる。いくつか問い合わせを戴いた。

 筆者の作例は、ひたすら頑丈さを求めている。角棒を支持板にネジ留めし、それに角棒を曲げたものをハンダ付けし、ステンレス軸の細いところを押さえている。たまたまこの軸はテーパを付けているので、細い部分を保持すれば、摩擦は少ない。ほんのちょっとモリブデン・グリースを付ければ、全く摩擦を感じないほど滑らかである。ステンレス軸を高精度の旋盤で挽いたものとブラスとの組合せは、下手なボールベアリングに勝るとも劣らない。
 ほんの少し、ガタを付けてハンダ付けし、軽く押しつけてガタを減らした。

 中澤氏は洋白板を曲げて作られた。あとで、微妙な曲げによって高さ調整、ガタ調整をされているようだ。

 電車のような2台車の車輛は、ボルスタが傾いても構わない。お互いに相手の台車に載っているので転ばないからだ。中澤氏は台車ごとに完結させて、それを車体全体の等角逆捻りメカニズムと連動させるおつもりのようだ。伊藤剛氏はその方式で電車を作られている。


2019年08月26日

続 中澤 寛氏の記事

 中澤氏のお手紙によると、先回の2番目の写真の支点は、軸中心の高さになるようにされたそうだ。それができる構造ならば、わざわざ外した位置にする必要はないので、それが正解である。高さの微調整ができるのは良い方法だ。

 戴いたお手紙をそのまま掲出する。

nakazawa5nakazawa4 参考までに伝動台車の別の不掲載画像を添付させていただきます。

 ピンのある内側の底板前方とギヤボックスはM1.4ネジで留めていますが、密着させておらずフリーにしています。

 なお、外側の台車枠は吊り下げただけのいわばダミーで、車軸の先端は軸受パーツを嵌める位置のガバガバの穴に浮いています。


 軸孔を緩くして外側台枠は形だけというのは、うまい解決法である。中澤氏は数多くの電車を作られているので、その中での「現場知」としてこのような方法を会得されたのであろう。このような素晴らしい記事を、不完全な形でしか読めないというのは、読者にとって極めて不幸な状態である。

2019年08月24日

中澤 寛氏の記事

 中澤氏から、TMSに載らなかった写真が送られてきた。掲載する許可を戴いたので、ここで紹介したい。

Nakazawa1 ロンビック・イコライザの一種の方法で、片軸だけに依存するタイプである。この方法は、ガタが大きいと、動作が不確実になる可能性がある。それを強調する人も居るが、作ったことが無い人だろう。作ればすぐに理屈が分かり、解決法が得られる。
 このタイプは、ガタが無いように作ることができれば、イコライザの回転中心と軸とが同じ高さにならなくても良い。つまり、菱形タイプより、はるかに作りやすい。どちらかと言えば、初心者にはこれをお勧めしたい。アメリカの講演会で見せた時も、このタイプの方が人気があった。軸の中央に、ボールベアリングを嵌めて、そこを保持することができれば、さらに具合が良くなるだろう。

Nakazawa2 伝動台車である。電車では1軸に伝導することがあるので、そこにイコライザ支点を置く方が良いことがある。微妙にひねられるが、その角度が小さければ、コジることはないだろう。
 これは、台車枠を外した状態である。スペイスがあれば、手前に支点を置いて、ギヤボックスを完全に浮動させる方がより良いが、実際にはそのようなスぺイスを得るのは難しいだろう。


Nakazawa3 集電シュウは先を二股にしている。接触点を増やし、接触抵抗を低減させる。ブラシは極めて薄いものを使うべきである。全軸がイコライズしていて、なおかつ、全軸集電であるから、走りは極めて滑らかな筈である。


 TMSがどうしてこれらの写真を使わなかったのかは、極めて不可解である。全くイコライザというものを理解していないのではないか。写真を見て、その作動状況が目に浮かぶ人なら、必ず使うであろう。車輛の外観だけにしか興味のない人が編集に携わるのならば、この雑誌の存在価値はない。どうして、スタッフに工学を理解する人材を入れないのだろう。見つからないのなら、連絡してくれれば助言くらいはして差し上げる。出典に書いてあるのだから、連絡が付かないことはない筈だ。 

2019年08月22日

続 NMRAの古い会報

3-chime 例の切り抜いた合板はこれになった。汽笛である。記事には mellow sound とある。mellowは訳しにくい語で、「豊かな」とか、「まろやかな」という意味である。
 確かに、吹いてみると、優しい音である。エア・コンプレッサにつないでみると、かなり荒々しい音になった。圧力をかけると流量が変化し、音色も音の高さも変わる。開放部を掌で軽く抑えただけでも、音色が変化する。

 汽車の汽笛というものは、単音のもの以外は、不協和音を出すことになっているらしい。あまり良い音だと、聞き惚れて事故になるからだそうだ。この3音はド、ソ、シのようだ。シの音を強く出すと汽笛風になる。
 次はふいごを作る必要がある。それを紐で引っ張るか、足で踏むと圧力が上がるので、より鋭い音になるだろう。

 工作時間は3時間ほどである。右手が不自由だが、丸鋸盤2台を駆使して、最少の手間で作った。接着剤はエポキシである。最初の2枚の側板を直角に立てて、ジグで押さえて錘を載せると10分で固まる。内側を立てて、再度接着する。
 一番難しいのは、スリットの隙間を均一にすることだ。側板より0.4 mm狭いものを挽き出しておき、それに0.4 mmのブラス板を載せてスペーサとする。そして天板を接着する。硬化後引き抜くわけだ。説明を見ると、この空気室も plenum chamber と書いてあることに気が付いた。

whistle 音を出す部分の三角断面の板はヒノキ棒から削り出したものを貼り、隙間が無いように取り付ける。
 木工に30分、組立て、接着を5回で、実質的には2時間でできるが、途中で設計変更があって3時間となった。この種の工作にはエポキシが一番使いやすい。材料を薄くすると、直角に自立させにくいので、手間がかかる。筆者は、経験上 、5.5 mmの板が一番使いやすいと感じる。
 ふいごに取り付け、訪問者は吹鳴させることができるようにする。

 箱の長さと周波数の関係を探っている。妙な関数になる。もう少し研究して解明し、5音階の汽笛を作りたい。

2019年08月13日

Big Boyの排気管

Big Boy's exhoust nozzles 先日の記事で、排気は前後の煙突から均等に同時になされると書いたところ、そうではないと仰る方があった。その方を納得させるには、図面集を調べて、見せる必要があった。

 これは先方の単純な勘違いであって、見せる必要もなくすぐ解決したが、せっかくスキャンした図面があるので紹介しよう。この図はLocomotive Cyclopediaの1944年版からのコピィである。この年の発行数は極めて少なく、貴重な本である。日本には、まず他に持っている人はないだろう。とは言っても1941年版の図と比較しても、このページに限って言えば、さほど変化はない。お持ちの方は調べられると良い。文字の位置と図面番号が違う程度である。

 さてこの図では、中心線の左右で描き方が異なる。左は断面、右は外観も表している。前後から来た排気はここで合流する。そしてその上面にある十文字に排列された4本のノズルから噴出する。即ち、前後で8本のノズルがある。排気は煙突からぶら下がっている petticoat(スカート状のもの)の中に吹き込まれ、周りの煙を吸い出す。いわゆるエジェクタの効果を現出するものである。この中にはさらにもう一つのペティコートがあり、それは4つの裾をもつ。こうすることによって、排気はよりたくさんの煙を吸い出す。このあたりはUPの長年の工夫の成果である。

 前後のエンジンから来た排気はいったん小さな部屋に入るが、単なる接続箱であって、日本型蒸機についていた、排気膨張箱なる無用の物とは異なる。この部屋の名前が分からない。ノズルが載っているだけの、鋳鋼製の前後に長い箱である。

 先のコメントで plenum という言葉を使った。それが正しい用語かどうかは分からぬが、この種のものをプレナムという。例えばエアコンで冷気を作り、それをダクトで各部屋に分配する時、最初に断熱した箱に入れ、それからダクトを使って分配する。そうしないとダクトごとの圧力が均一にならない。その箱を、plenum chamberと言う。
 また、汽笛の5室に均等に蒸気を当てるために分配する根元部分の小さな空間も、プレナムと言っていた。

 手に針金が入ったまま、飛行機に乗ることができた。

(註)最近は配列と書くが、本来は排列が正しい。排は並べるという意味である。台湾に行くと、駅のプラットフォーム床に”排”と書いてある。そこに並ぶわけである。

2019年08月11日

O gauge

O gauge (2) この写真をお見せするのを忘れていた。
 これはNMRAの Oスケールの建築限界ゲージである。これを入手した時は、NMRAが現在のようなステンレス板打ち抜きのゲージを売っていなかったので、フロリダの知り合いが作ったのを買った。高かった。30年ほど前、20ドルもした。今の感覚だと5千円以上の感じである。完全な手作り品である。おそらく50枚くらい重ねて締め、フライス盤で削り落としたのだろう。正確にできている。

 40ミルのブラス板製である。40ミルというのは、40/1000 インチのことであり、
1.02 mm位だ。

O gauge 中心の穴に棒を取り付け、それを持って限界を調べる。隣に大きめの車輛を置くと、すれ違いの様子もわかる。
 筆者のアメリカの友人は、いわゆる”オイラン車”を作った。柔らかい針金を車体から突き出させ、それを一周させて、曲がりがないか確認する。しかし、どこで曲がったかを突き止めるのは、なかなか大変であった。今なら、無線で送信させることもできるだろう。簡単にするなら、針金付近に集音マイクを付けておいて、アンプで増幅し、積んであるスピーカから音を出させると良い。触った瞬間にガリガリとか、バリバリとかの音が聞こえるかもしれない。

 レイアウトを作るには不可欠の道具であるが、日本でこれを持っている人は少ないと感じる。線路敷設用ゲージすら持っていない人が多いのだから、当然ではある。

 このゲージによって、走行する車輛がO scaleであることが定義される。土屋 巖氏はかなりの数の1/24サイズ(1/2インチスケール)、32mmゲージの軽便車輌を遺された。すべて、スクラッチ・ビルトである。それらは平坦な、何もないヤード上を問題なく走行するが、橋やトンネル、駅のプラットフォームは、当然ながら、通過できない。車輛限界がスケールを決めているのである。同様にOn30はHOのレイアウトを走らない
 1/80日本型16.5 mmゲージの車輛はアメリカ型1/87.1のレイアウトを問題なく走る。これは50年前から椙山 満氏のレイアウトで見ている。単純なことである。

 最近、HOのポイントが入手困難になったという話を聞いた。
「自分で作ればいかがですか。」
と提案すると、
「そんな難しいことはできない。」
と言う。決して難しくはない。
 筆者は高校生のころから自作のポイントで遊んでいる。確かに尖端レイルを正確に削り落とすのは、機械を使わないと難しいが、そこまでの正確さが要求されることでもない。線路ゲージさえあれば簡単である。
 彼は今度フライス盤を使いにやって来るそうだ。訳なくできるから、きっと驚くだろう。エポキシ基盤の枕木も用意しておこう。NMRAのHOゲージを持ってくるのを忘れないように念を押した。

2019年08月09日

古いNMRAの会報

 NMRAに加入当時の冊子を、自分で合本にしたものがある。それをめくると、アナログ時代のありとあらゆる挑戦の記事が並んでいる。よくもまあ、こんなものを作るものだ、というのが目白押しだ。そういう意味ではTMSなどより、はるかに面白かった。当時これに夢中になり、いろいろなものを試作した。今でも作動する踏切警報器も載っている。それについては作者にいろいろなことを質問した。
 NMRAの本部はすぐに転送してくれて、返事が直接来た。さらに改良して、良い音が出るようにした。TMSが転送を拒絶したことは、今でも腹が立つ。吉岡氏の記事を見て、直接聞いてみたいことがあったのだ。のちに吉岡氏も、それを知ってかなり怒っていた。だから、NMRAが手紙を転送してくれたのは、本当に嬉しかった。

 Paul Shimada氏と会ったとき、その話をした。
「Mr.Yamazaki はすべての情報を自分で握っていたい人なんだね。そういう人に日本支部を預けるわけには行かない。情報は自由闊達に伝えられなければならないというのが、NMRAの精神だ。」
と言った。以前にも書いたが、Model Railroderも、Rairoad Model Craftsmanも、手紙を転送してくれた。TMSだけがおかしかったのだ。現在のTMSはどうなのだろう。

What is this? さて、この板は何だろうか。寸法を写し取って、5.5 mmのシナ合板を切り抜いたものだ。これに何か簡単なものを付け足して、天井に相当するものを載せると、完成である。
 これを作ろうと思ってから、早くも40年以上も経つ。材料はプラスティックでも、木材でも良いし、金属板でもよい。今年こそ完成させて楽しもうと思う。

 さて、何であろうか。


2019年08月07日

TMSの記事

 正直なところ、TMSを読んだのは久しぶりだ。旧体制のころからやっているドイツの”速報”とやらを、1年も続けているのは、どう考えてもおかしなものだし、小林氏の記事も連載するようなものでもない。金をとって見せるのだから、もうすこし良い記事が欲しい。

 今月号の中澤 寛氏の車輛は素晴らしい。ところが記事がおかしい。皆さんの中で、あの記事を熟読されて、意味を完全に理解できた人が居るのだろうか。
筆者は何が言いたいか」を忘れてしまった編集だ。
 何回か読んだが意味が分からないので、中澤氏にそれとなく聞いてみたら、やはり筆者の推察した通りであった。説明に対応する写真を殆ど載せていないとのことだ。走行性能を向上させる工夫について画像が全く無くなっていたのは、心外であったそうだ。

 言えることは、編集者は模型工作をしたことがあまりにも少ないのではないか。ゼロではないだろうが、糸鋸、ヤスリ、ドリル、ハンダゴテを使って、ブラスの板から、イコライジングやその他のメカニズムを作り上げた経験がほとんどないのではないか、と思う。あまりにもトンチンカンな記事で、情けなくなってしまった。

 30年前のヤマ氏のころ、実物誌が増えてきたので、実物の話題を載せるのをやめるとの決断があった。またぞろ実物の話題が載っていて、しかもそれが間違っているのでは困ったものだ。
 金を取っているということを忘れてはいけない。先のM氏が書いた不発弾の中に、「TMSを100円にして、イモンの広報紙とする」という案が書いてあった。その第一歩なのかとすれば、あまりにも悲しい。


2019年08月05日

Big Boy の復活

 アメリカではかなりの騒ぎになっている。筆者も行きたいが、手の中を針金が貫通していて、その上にギプスを巻いているので、空港での検査に通るかどうかが怪しい。過去に筆者が見ていた範囲では、別室に通されて、金属探知機と犬による検査があり、さらに医師の判断でX線で見る。要再検査の乗客が一人だけならよいが、何人か居るとそれだけで長時間かかって、飛行機に乗り遅れということになるのが目に見えている。

 さて、動画をたくさん見た。分岐をくねくねと曲がるところが面白い。模型でも同じなのだが、実物の動きを見るのはまた格別だ。蒸気は洩れまくっている。Tom Harveyが言うには、
「夏は良いのだ。冬は、蒸気管継手から漏れた湯気で真っ白になって、前なんて全く見えやしない。」
 球面の高圧蒸気管自在継手はネジとバネで締め込んであるが、効果があまりなかったそうだ。現代の工具で研削してもダメなのだろうか。 
 もう一つ気になるところがある。シリンダの前蓋がない。鋳鋼製の鋳物が丸見えだ。Tom はそれをとても嫌がっていた。ニッケルめっきの部品を付けるべきだ。

 石炭を焚かないというのが興味深い。アメリカには妙な法律が出来てしまい、石炭を燃やした排気ガスを、そのまま大気中に放出してはいけないことになっているのだそうだ。それなら重油は良いのかというと、それも怪しい。
 今回燃やしているのは、ディーゼルエンジンの廃潤滑油という説がある。潤滑油には硫黄化合物、場合によっては塩素化合物が含まれているので、却ってよくないような気がする。

 ところで、先日TMSの最新号を見た。田舎に住んでいるものだから、この種の雑誌には遭遇しない。友人に見せて貰った。

 その中にBig Boyの特集記事があり、最後の部分には首を傾げた。Big Boyが二本煙突の理由を書いているが、全く筋が通らない説明だ。

 煙突下の2組のノズルが付いている排気管には、中間に仕切りは無く、前後のノズルから、同時に全く同じ圧力で噴出する。前後のエンジンからの排気が独立に噴出するわけではないのだ。それは動画を見ていればよく分かる。片方だけが噴出することがあれば、他方の煙突では煙が吸い戻されるだろう。ドラフトで、煙室の空気を吸い出し燃焼を助ける、という理屈が分かっていれば、こんな理屈が通らないことは書けない。大きな図面があるのでチェックしたが、当然のことながら、中間の仕切りはない。
 写真の説明には、エクスパンションジョイントという言葉も書いてある。前部高圧蒸気管は屈曲して長さの変化を吸収するが、継手部分での伸縮はしない。だからエクスパンションという言葉は使わない。後部エンジンの上の継手は温度差による多少の伸縮を吸収する機能を持っているが、それのことを指しているは思えない説明だ。

 詳しい人はたくさんいるので、電話一本で解決することだ。この種の間違いがあると、だれも信用しなくなる。10,000トンを牽くという話も書いてあるが、重連でも無理だ。ちょっと高校一年の物理の計算をすれば理解できることなのだが、それをしないのはどうしたものか。
 ちなみに、勾配を緩く(10‰)した第3本線でなら、1輌で6,000トン牽けた。こういうことは文献を調べた上で、計算すると正しいかどうかわかる。この記事は2009年2月号の平岡氏の記事をなぞっただけである。それだけなら間違いはないが、上積み分が間違っているというのは編集者の能力の問題だ。
 査読者が必要であることは、論を待たない。 

2019年08月03日

OOについて

 OOの件で、ここで述べた意見に納得できない人も居る。下記の調査結果をイギリスの事情に詳しい方にお送り戴いたので、紹介する。筆者はアメリカの模型屋でOOがHOと並べて売られているのをよく見た。当然であるが、線路は共通であった。

BL000BL067BL069BL085 OO4mmスケールということについて述べます。1956年のバセットロークのカタログでは、イギリス製のOO以外に欧州製のHOも掲載されていますが、それはOO3.5 mmスケールと表示されています。商売上のことを考えると、同じ16.5 mmの線路上を走れて、それほど大きさに差もないのだから、OOと表示しておいたほうが、消費者の混乱が少ないとの配慮としたのでしょう。(4 mmと3.5 mmの違いが気になるような人は、表示を見て自己判断できるでしょうから)。
 これは、日本でHOゲージが1/80の日本型も含めていたのと同様のことで、消費者にとってはむしろ親切なことと思います。

 写真説明
1枚目 1956年10月1日発行のシールが貼られている。
2枚目 ドイツ、トリックスの製品紹介 頭のところに、OO Gauge  3.5mmscale と記載
3枚目 同じくカタログ中 イギリス型もあり、3.5 mm scaleである。
4枚目 ホーンビィの製品紹介 解説文左上に、 4 mm scale1/76の記載がある。



 また、Empirebuilder氏からは次の意見をお送り戴いている。

 OOについての言及が多々ありました。16.5 mmゲージでありますが、OO1/76なのでHOではない、だから1/80HOではない、という理屈です。OOについて改めて調べてみると、英国向けの特殊な規格であり、HOと同じ縮尺では、車体が欧州大陸の規格より小さい英国型に、同じ動力メカニズムが搭載できないため、車体を1/76とした規格でした。ゲージは16.5 mmのままです。この規格のために、DOGAという組織まで作っています。Brexitでしょうか。NMRANEM?にはOOは定義されていません。この1/76という縮尺が採用された理由からわかりますが、同じメカニズムを使っているのであれば、実質的に大陸型と同じHO規格内に収まる、ということです。ただ、4 mm scaleと主張するためだけに、独自の組織を作ったとも言えます。

 NMRAでは、このOOについては脚注でDOGAを参照するように、と書いてあります。NEMも 4 mmに言及しているようです。要するにDOGANMRA, NEMはその基準が異なっていると考えられます。NMRAの最新規格で考えると、OOは完全にHO規格内です。ただ、別組織が管理しているためか、OOは採用していません。このことからOOHOは別の組織による規格で、基準が違うため、その関係を定義、比較することは無意味であることがわかります。OOHOの線路を使います。そのため近年は箱にOO/HOと書かれています。独立してOOと名乗っているのにHOと箱に書くな、と言われていますが、実際にHOの線路を使うため容認されているようです。ストラクチャーもOO/HOと書かれているものが多く、縮尺もかなりいい加減のようです。初期の16番にはOOも含められています。そのOOが、英国型を意味するのであれば、16番は、HO規格から逸脱していない、と言えます。HO16番は、HO規格をはさんで同じ意味となります。個人的には、最新のNMRA規格は16番の概念を取り入れたかのように見えます。

 
ここで大切なのは、理念ではなく消費者と製造業者の関係である。商品としてどう扱うか、という視点が欠けた論争は意味がないし、論点がはぐらかされてしまう。少数の人が、ここに書いてあることとは異なる縮尺、ゲージを採用しているが、それは個人の自由であって、本件とは関係が薄い。



2019年08月01日

続 矜持

 M氏は、ゲージ論は感情論だと言っている。彼の読解力には、おおいに問題がありそうだ。ここで展開されているのはビジネスのあり方である。個人的に楽しむ模型であれば、どんなサイズでも、いかなるゲージでも、どんなフランジ形状でも問題はない。彼の文書に名前を使われたOJの三木氏は、まさにこの路線を行っている。全く関係ないところに引張り出されて、迷惑しているはずだ。しかし、商業目的の文書の捏造部分については公正取引委員会のお世話になる。

 また、HOと表記されたものを買ったのに16.5 mmゲージでないということになれば、訴訟にもなりかねない。しかも、会社が公表している「1/80はHOではありません」の記事の一節に12mmがHOだとあったとすれば、客をだまそうとしている立派な証拠にもなりうる。アメリカで、友人の弁護士に近々会うので、話しておこう。現実に、間違って買ったという人の報告は聞いている。これは日本の話であるが、国境を跨いだ問題が発生するのは時間の問題である。オリンピックはあと1年後だ。

「HOという文字列は 縮尺のみを指す」という証明は極めて困難である。HOは軌間を表す例が過去にも現在にも無数にある。それを大昔から1/87.1縮尺のみを表すことに決まっていたと、商売上の宣伝の文言に使って、他社製品をニセモノと誹謗するのは明らかに商業上のルールに反する。もし公正取引委員会に申し立てられたら、勝ち目はないだろう。他社はどうしてこれを訴えないのかが、不思議である。有効な証拠はたくさん用意してあるから、要望があれば提供できる。

 だれしも、楽しく鉄道模型を楽しみたいはずだ。静かに楽しむことはできないのだろうか。
 趣味の世界で、自分達以外は間違っているということは、言うべきではない。「こっちのみーずはあーまいぞ」は良いのだが、「そっちのみーずはにーがいぞ」を言ってはいけないのだ。それどころか、「そっちは毒入りだぞ。」とまで言っているような気がするが、皆さんはどう感じられるだろうか。しかもそれは、一個人の趣味者が言うのではなく、商業上の文書として流布されているのである。

 ところで、M氏は自宅のレイアウトで日本型1/80も走らせるようだが、その時、ストラクチュアは1/80に取り換えるのだろうか。 

2019年07月30日

矜持

 M氏は、どうしても筆者を黙らせたいようだ。人格攻撃まで書いている。筆者を異常性格者として葬り去りたいらしい。これはナチスが使った手口である。正当な意見を言う者を精神異常として拘留し、殺害した。
 しかし、この件については、異常な人に異常と言われると、ひょっとしてまともかも知れないから、少し安心している。このブログに書いてあることなど、無視すればよいのに掴みかかって来るというのは、ひょっとして、このブログは大きな力を持っていると勘違いしたのかもしれない。無視されるが良い。

 ”貧すれば鈍す”という言葉がある。筆者の人生の中では、どういう時に使うのかが分からない言い廻しだったが、好例を見つけた気がする。井門氏は金があるから、逆らっても無駄だと書いているのだ。まさか、そういうことを言う人だとは思わなかった。彼は矜持を捨て去ったようだ。

 残念ながら、当方はそんなことには全く利害関係がない位置に居るということが分からないようだ。HOを楽しむ友人がたくさんいて、皆迷惑しているのは最近知った。ウソの入った情報をばらまき、国鉄型は1/87、 12 mmゲージが正しく、1/80はガニ股で見るに堪えないと攻撃する。そんなことを許しておくわけには行かない。

 誰かが言ったが、それは義侠心なのだそうだ。強きをくじき・・・、何とか、ということを言うつもりはないが、間違っていることに対して、間違っていると言うのは正当な権利である。とやかく言われる筋合いはない。
 筆者は昔から、誰に対しても同じようにものを言うので、摩擦が起きることがあった。しかし結果として、すべて良い方向に行っている。負けたことはまずない。客観的なことは覆せないから、勝ってしまう。
 私たちはこのように解釈している、などと言う連中は、最初から負けを認めているのと同然だ。

 このブログは、広告の無い無料新聞である。圧力に影響されるわけがない。日本に確かな鉄道趣味雑誌がないから、始めたブログだ。読んで、なるほどと思う人が居れば、それで目的を達している。抑圧された雑誌とどちらが価値があるかは、読者の判断である。      


2019年07月28日

HOの起源

 M氏は4日も掛けて書いた文章だとは言うが、全く客観性のないお粗末な文章である。自分に都合の良い発言だけをなぞって、権威付けに利用している。
 まともな人はこういう文章を読むと、めまいを感じる筈だ。逆に、何も知らない人が読むとそうなのか、と納得する人もいるだろう。そういう意味では、そこそこに優秀なアジテータではある。
 理系の論文にも、こういうのがたまにある。いわゆる御用学者が書いたものだ。

 さて、井門氏(M氏も含まれるかもしれない)が拠り処としている山崎氏の1949年の文章には、正しくない部分がある。

 山崎氏はイギリスとアメリカにはある程度詳しかったようだが、欧州の事情に関しては全く不勉強であったことが分かる。
 先回もお伝えしたように、HO=1/87は1953年のNEM発足後の規格であるから、山崎氏の文章の時点では、決まっていなかった。山崎氏は欧州の情報を知らなかったのだ。欧州=メルクリンと思っている人が多いようだが、メルクリンは交流三線式の独自の世界であって、それをスタンダードと言うのは無理がある。山崎氏はメルクリンはよく出来た玩具と言っているから、模型の範疇には入れていなかった。

 また、HOがアメリカ発祥のスケール規格という話は、明らかな間違いである。3.5 mmというアメリカとは全く関係の無い数字を見て、何も感じないのだろうか。今も昔も、アメリカではメートル法は定着していないことを知らない人の文章である。 
 HOはゲージ規格として、Oの半分で、欧州から始まっているその後、アメリカでは早い時期に、HOスケールとして定着したのは事実であるが、欧州ではHOゲージ=16.5mmとして発展してきた。

 山崎氏が16番を広めようとしていたのはわかるが、氏の権威が強くなったのは1960年代のことである。したがって、1949年の山崎氏の発言を拠り処にして議論を展開するのは無理がある。当時は複数の模型雑誌が乱立し、その一つの若い尖った編集者が、言ってみただけのことなのだ。やはり、昔から言うように「四十にして惑わず」である。それぐらいの歳になるまで、編集者などできるわけがないのだ。
 1970年代になると、山崎氏は過去の失敗に気が付いている気配がある。それが書かれたのは、先日の記事である。「五十にして天命を知る」だろうか。その後は違う方向に行っているが、そんなことはどうでも良い。

 イモンの新しい「1/80はHOではありません。」の文章も、保存しておくべきだ。10年後に読み返してみよう。



2019年07月26日

NMRA Life membership

 M氏はNMRAの life membership 終生会員権を保持していることが自慢らしい。手元の1972年の全会員のリストを見ると載っていないから、それ以降の加入なのだろう。72年の日本の会員を見ると、山崎喜陽氏も載っていない。そこには、日吉菊雄氏や伊藤剛氏、他に製造業者約10人の名前がある。筆者が入ったのは1976年で、その当時のリストには載っている。筆者もライフメンバになろうと思ったこともあるが、その頃に「ライフメンバはお荷物」と称する記事が会報に載り、
「財政的には全く貢献していない。少ない金額で、多年の恩恵を受けられる制度はやめるべきだ。」
と主張していた。なるほどと思い、普通会員のまま、35年ほど入っていた。計算すると、ライフメンバになるための金額の二倍以上払っている。その間何度となく、様々な記事の執筆者に手紙を書き、意見を送ったりした。そのうちの何人かとは、後に会うことができた。

 これは、会員であれば当然のことである。活動を活発化するには、意見交換が大切だからだ。会員証を御札のごとく飾っていても、全く意味がない。そのうちに筆者はアメリカに引越したので、地域の催しには積極的に出て、本部との意見交換もしたし、なにがしかの寄付もした。チャタヌーガにある本部の建物のどこかに、筆者の名前の入った煉瓦がはめ込まれているはずである。
 そうこうするうちに、Paul Shimadaという人から電話があった。
「今度の年次総会に出ますか?会いたいのだが・・・。」
と言う。誰なのか判らなかったが、電話を切ってからNMRAの会長であることに気付いた。滑らかな英語を話す(2世だから当然か)、教養のある人だと感じた。すぐに電話を掛け直したら、今度は日本語で話し始めた。その日本語は分かりにくく、困った。

 年次総会に行くと待ち構えていた。筆者のことは日本に居る時から知っていたらしい。時々興味深い問い合わせがあって、記憶に残っていたと言う。日本に帰るのか、こちらに住むのかと聞かれた。「帰るのなら、NMRAの日本支部を開いて支部長になってくれ。」と言われた。
 まだこちらも若く、将来のことは決めかねていたので、とりあえずはお断りした。もしそうなっていたら、どんなことになっただろう。山崎氏が何か言ってきたかもしれない。
 その後、サクラメントに行ったときには、連絡してお宅に伺い、家族でご馳走になった。15年ほど前に亡くなったが、能力に満ち溢れた素晴らしい方であった。

 2000年代になってからはNMRAは徐々に変質し、HOの意見が強くなると同時にFスケールが台頭し、Oスケールの人たちは離れ始めた。2008年にRP25のありえない数字についての質問をしたのが、筆者の会員としての最後の活動だ。答えられる能力のある人はいなかった。出まかせのおかしな答を送って来て、それは間違っていると言っているにもかかわらず、勝手に規格表に追加した。それで筆者はNMRAとは決別した。その後時間が経ったから、規格委員は入れ替わっているだろう。当時、NMRAに意見を言ったとK氏に伝えたところ、「NMRAに意見するなんて・・・」と絶句していた。するべきなのである。しなければならない。

 ともかく、NMRAに入っていると嬉しそうに言う前に、会員としての活動をされるが良い。そうでない人は入っていても意味がない。規格その他はインターネットでも手に入るのだから。


 今回の「1/80はHO」の意見も、言うべきなのである。KATOの加藤 浩社長が言えば、採用される可能性がある。KATOはDCCの普及にも貢献し、アメリカでの評判はすこぶる高い。言えば必ず反響があるはずだ。M氏の言う、「相手にされません」というのは根本的に間違っている。
 今回の規格の改訂についても、M氏は一般人より触れる機会が格段に多いにも拘わらず、何も気が付かないというのは、鈍感以外言葉が見つからない。眺めていただけではないだろうか。


2019年07月24日

HO gaugeは和製英語 ?! が消えた

 右手の手術が終わって二週間になる。抜糸後、再固定された。ギプスが、がんじがらめに巻いてあって、全く動かせない。右手が使えないと出来ないことは無数にあり、模型工作はすべてお休みである。ネジが締められない、糸鋸が使えない、ヤスリが掛けられない、金槌が打てない、ハサミが使えない。それとマウスが使えないので、ブログは当分の休みを戴いている。バックボタンが押せないというのは、本当に困る。音声入力というものもあるが、話にならない。

 メイルを確認していたら、イモンのサイト内の表題の文章が消えていると連絡を受けた。多くの方からお知らせを戴いたが、情報を総合すると、7月14日から新しい文章になったようだ。更新後の文を読んだが、歴史にはかなり怪しいところがある。以前の文章は皆さんで保存されているはずなので、比べてお読みになると良い。
 井門氏はブレインを持っていないのだろうか。外国の文献を細かく当たれば、捏造部分があることぐらいすぐわかるはずだ。山崎喜陽氏が昭和24年に書いた文章を全ての原点としているが、これは正しいとは言えない部分を持つ。

TMS #41916.5mm=HO 当時20代の若者が知ったかぶりをして書いた文章が、どうして原点になれよう。その後の彼の文章は、右に行ったり左に行ったりして、あとで気が付いたことを言い出せずに終わっている。TMS419号のミキストをお読みになれば、HOゲージという言葉を認めている記述にも遭遇する。山崎氏を中心とする歴史には意味がないのである。

 困ったものだと、この文章を書き始めたのは先週なのだが、片手では時間が掛かってしょうがない。そうこうするうちに、数人の友人から「爆弾だよ」とM氏の文章を転送された。そのうちのお二人からは、「不発弾だけどね。」と注釈が入れてあった。


2019年07月04日

炭素ディスクによるハンダ付け

 しばらく前の実演の写真を、MS氏から戴いた。炭素棒ハンダ付けの実演をせよ、とのことで、機材一式を持って出かけた。大きなトランスが入っているので、それを2つも入れると20 kgもあった。大きなスーツケースを牽いて行ったのだ。
 いつも手伝って戴くDr.Yも、自作のトランスを持って来られたので、それもお見せした。二次側の線は熱くなるので、ビニル被覆はいずれ可塑剤が昇華し、ぽろぽろと割れて来る。テフロン線に更新するようにお勧めした。一週間後にお会いしたら、直ちに巻き替えられたそうだ。

 伊藤 剛氏製作の炭素棒ハンダ付け機も、供覧するべく持って行った。非常にコンパクトに作られ、独立した足踏みスウィッチが無いにもかかわらず、1次側の断続が自由にできる優れものであった。
 ケースの蓋は蝶番で開くが、その陰にマイクロスウィッチが隠れている。蓋に触れると On になる工夫だ。実に素晴らしい工夫で、誰しも驚く。足元にケースを置いて、蓋を軽く押さえれば、On になるのだ。

炭素ディスク 炭素棒ハンダ付けの現場を見たことがある人は日本では少なく、かなりの方が熱心にご覧になった。太い材料(例えば 4 x 5 mmの角棒で出来たテンダの端梁)にステップを取り付けるのは、普通のコテではできないが、炭素棒なら3秒で完了だ。分厚い鋳物(Φ30、5mm厚)に小さなロスト部品を付けるのも5秒でOKである。外す時は。炭素棒で出来たピンセット状のもので挟めば、すぐ取れる。持ったまま、ずらして付けることも容易だ。

 客車側板のシル、ヘッダを隙間なく付けるのは、熟練がいる。プロは大きなコテの温度を最高に上げ、ジグで押さえ付けた細い帯板を一気に付ける。これはアマチュアには、かなり難しい。もたもたしていると、熱が板の方に廻って、全体が反る。こうなると修復不可能だ。
 帯板にハンダを塗り付け、良く磨いた側板にはフラックスを塗る。そしてこの炭素ディスクを当てて毎秒 2 cmほどで移動させると、全く隙間なく、完璧なハンダ付けができる。ハンダが両側に僅かに光って見える、理想的な状態である。

carbon disk 炭素ディスクは仙台の今野氏に挽いて戴いたものだ。中心部の金属が炭素ディスクとよく篏合し、この部分の接触抵抗が小さいことが肝要である。そうでないとこの部分が発熱し、燃えてしまう。
 アメリカで見たのは炭素ローラで、直径より幅が広いものであった。工業用途のもので、電流は100 Aも流れるそうだ。極端に太い電線が付いていた。何を付けるのに使ったのだろう。


 今度は右手の手術で入院しているので、しばらく休載する。左手は、お陰様でとても調子が良い。こんな事なら、もっと早く手術を受ければ良かったと後悔している。ボタンを嵌めたり、靴下が普通に履ける生活を、久しぶりに体験した。ここ何年かは、ヤットコでボタンを嵌めていたのだ。

2019年07月02日

エア・コンプレッサの出口

 梅雨時は湿度が高い。当然のことながら、空気を圧縮すると、その中に含まれる水が凝縮する。この記事を読んで心配になって、連絡した。理屈はよくわかっていらっしゃる方なので、問題はなかったが、もう少し広く知らせておかねばならないと思い、記事を書くことにした。水滴を含む空気が噴出すると、塗装面は悲惨な状態になるだろう。

 ほとんどの方は、飽和蒸気圧という概念をよく理解していないだろうと思われる。飽和蒸気圧は温度のみの関数で、その数値以上の蒸気圧は存在しないから、それ以上では、水は凝結する。これは梅雨時だけではない。真冬でも十分に凝縮する。

 例えば、大気圧で 27℃、湿度92%の空気には 25 mmHg の水蒸気が含まれる。それを圧縮して4気圧(圧力計の読みでは、最初が0気圧だから 3気圧)にすると、仮定される水蒸気圧は 100 mmHgになる。そのような状態は許されないので、27℃ での許される値、27 mmHg になるまで凝縮する。
 こう書くと、何だ簡単じゃないか、水滴ができて水が取り除かれたんだ、と思う人は多いが、実際にはそれ程単純ではない。

 気体を圧縮すると熱くなる。物理の時間にその理屈は習うだろう。分子の運動エネルギが増大するのだ。即ち、温度はかなり高いので、凝縮する量は僅かである。
 蒸気機関車の空気溜めの前の蛇管は、その熱い空気を冷やすためである。空気溜めの温度はなるべく低いほど良い。こうして、中には水が溜まる。仕業検査の時には、空気溜めのドレン・コックを開け、水を抜くのは当然である。凝縮水は、油とともに噴出する。

 塗装をされる方は、コンプレッサは買ってもエアタンクを持たない人が多い、と聞く。それは決して良くない。エアタンクは圧力の脈動を防ぐためと思っている人が多いが、実際は、水を分離するために必要である。
 連続使用するとタンクも熱くなるので、扇風機で冷やすのも手だ。途中のパイプを水冷(できれば氷冷)すると完璧だ。

2019年06月30日

Signal Red

UP cabooseSignal Red カブースの手摺り、はしご等は赤の警戒色に塗られている。この色が、日本で売っている塗料の中には見つからない。
 20年ほど前、赤の塗料をいくつか買って、条件を整えて色見本を作った。ある程度の面積を持つもの、線に塗ったものなどの見え具合を調べた。どれも不合格であった。昔撮ったコダクロームのスライドと比べると、その色は微妙に違ったのだ。
 この色は単純な赤より、僅かに橙色に寄っている。黄色を混ぜると、明らかに彩度が落ちるのが分かるから混合色ではだめだ。単一物でこの色を持つものは、一つしかない。

 Floquilの Signal Red という色がある。この色はずばりである。30年前、本物のカブースの廃車体から、塗料を削り取って、分析に掛けたところ、カドミウムが入っていた。カドミウム・レッドだ。カドミウムの硫化物 カドミウム・イエロゥ は黄色で、道路の追い越し禁止表示に使われていた。カドミウムと、硫黄の同族元素のセレンとの化合物は、この特徴的な赤を作り出す。陽に当っても褪色せず、その顔料がある限り、鮮やかな赤を示す。このフロクイルの塗料はカドミウム・レッドを含み、貴重なものであったが、もう手に入らない。

brake handlebrake handle24017_Backhead_20040426 UPの蒸気機関車のあちこちのハンドル類にはカドミウム・レッドが塗られていた。筆者が所蔵しているBig Boyのブレーキハンドルにも、塗られている。5枚目の写真はWikipedia からお借りしている。日本でも明治・大正期の一部の機関車には赤いハンドルがあったそうだ。

 最近はドイツを中心に広がった下らない環境保護団体の活動のせいで、カドミウムを使うことが禁止されてしまった。カドミウムは摂取してはならない、と主張している。本当にカドミウムが全く入っていない物しか食べなければ、人間は発育不良になる。カドミウムは人類にとって、微量必須元素である。あちこちで使われたものは、少しずつ溶けて現在の日本がある。
 道路の黄色の線の色が、最近は少し変わってきたことに気が付かれた人も居るだろう。有機物になったのだ。そうなると、徐々にカドミウムの不足が顕著になるだろう。筆者はいずれ、「カドミウム強化米」というものが発売されるとみている、というのは悪い冗談だが、決して起こりえないことではない。カドミウムは骨の中のカルシウムの代謝には必要なのである。多すぎるといけないが、なくては困るものなのだ。

 シグナル・レッドの残りが少ない。アメリカの市場でも枯渇している。なくなれば自分で顔料から作るしかない。あるいは油絵具から抽出することになる。

2019年06月28日

narrow gauge

 これでF scaleは終了である。線路がかなりあるので、自宅の庭で試運転してみよう。耐候性がある材料なので、しばらく敷きっぱなしでも問題ないだろうが、犬が居るのでその点は心配だ。早く博物館レイアウトの完成に向けて傾注したい。


 細かい作業ができない日が続いたので、貨車で、マスキングが要らない物を塗装をした。延べ20輌は塗ったはずだ。

D&RGW2 その中に、これらのDenver and Rio Grande Westernの On3貨車群がある。ブラス製のかなり高価な車輛たちである。内2輌はパイオニアの製品だ。ハンダが廻っていないので、部品がぽろりと取れる。ひどいのは端梁が落下したことだ。全くと言ってよいほどハンダが付いていない。塗装前に念入りに調べて再ハンダ付けをした。こういう時は炭素棒は便利だ。磨き砂で磨いて、プライマを塗り、Floquilで塗った。Glazeをたくさん入れて、思い切り艶を出し、ディカルを貼りやすくする。 ディカルはあり合わせのものを切り刻んで貼った。正確かどうかは分からない。年代によって、標記位置が異なる。今まで殆ど注意して来なかった分野なので、資料探しも難しい。

 土屋氏が、On3の線路も少しは敷いて欲しいと希望されたので、簡単なヤードと三角線を本線脇に作ろうと思う。貨車は数輌が未組である。Oスケールの標準軌車輛に比べるとあまりにも小さく、なかなか難しい。この種のキットには、見えもしない床下機器を完全につけることになっているのだ。簡略化したいが、ターンバックルだけは、付けねばならない。ブレーキ装置は、ある程度は付ける。

D&RGW3 車輪の載せてある車輌は、クレーン車と組 (mate) になる。囲いは枕木を入れる場所だ。

D&RGW カブースは韓国製で、細かく出来ているが、実感が湧かない。綺麗すぎる。あたかも写真のように細かいのだが、細部が怪しいのである。床板に上廻りを取り付けるネジが不良であるし、どちら向きにもはまる。ネジの位置を1本変えておけば、いつも特定の方向に向けて床板を留められる。ブレーキ装置は向きが決まっているのだ。あまりにも重く、軸受が良くないので、油を注しても動きが悪い。また車輪の踏面の精度が悪く、ゴロゴロと音がする。これを改良するのは難しい。

 軽く砂埃を被せて終了。いずれ本格的にウェザリングをする日が来るだろう。

 筆者はナロゥゲージをそれほど深く研究しているわけではないので、標準軌車輛との対比材料として考えているだけである。

2019年06月26日

続々々 F scale

 45 mmゲージでは、一つのゲージに数多くの縮尺があることが、当たり前になった。これがNMRAの考え方を変える(縮尺からゲージへの転換)原動力になった。45 mmである限り、どの縮尺模型も同じ車輪規格を使うことになっている。即ち、2 ftのモデルを作ると、フランジは相対的に低くなる、ということだ。。
 しかし、そうであっても彼らは、finescale などとは言わない。この言葉は1980年代にイギリスでよく使われたようだ。すでに鉄道模型ではあまり見ない言葉になった。日本では、勘違いで時々使われているが、全く感心しない。 


 大きなものを作るのは初めてだったが、なかなか楽しかった。土屋氏がこれにハマったのも理解できた。
 リハビリのための工作はこの2輌で終了して、レイアウトの作業に戻った。ギプスには塗料、金属粉がこびりつき、病院で外す時に質問された。

 片付けものをしていたら、このクレーン車 Billmeyer & Smalls Four-Wheel DerrikDerrick の残骸が出て来た。上廻りがばらばらで悲惨な状態であった。幸い図面が見つかったので、修復した。1日で直ったので良しとする。人力クレーンである。なかなか渋い色である。

 興味深いのは、手廻しクランクは左右両方にあって、その位相が90度ずれていることだ。二人で廻す時には、そのほうが力が入りやすいのかもしれない。捲き上げてラチェットが掛かるようになっているが、降ろす時は危ない構造だ。あまり重いものは、持ち上げないほうが良いだろう。圧縮の掛かる部分の鉄骨が強くない。座屈しそうだ。クレーン本体が木製で、しかも曲げの力が掛かるので感心しない設計だ。むしろ、本体を鋼材で補強し、圧縮部分を木製にすべきであった。

 尖端にぶら下がった鎖は3本に見える。中学校でやった滑車の問題である。力が何倍になるか考えてみよう。あまり見かけない方式ではある。

 後ろ側には鎖があって、移動時の安定を図っているようだ。ブレーキもある。作業時にはこれを締めるのだろう。


2019年06月24日

続々 F scale

 同じ45mmの線路を走るものでも、各種のサイズがある。標準軌車輛を走らせる人(1/32 サイズを採用)、ナロゥを走らせる人、それもメータ・ゲージ、3 ft、2 ftなどがあってややこしい。(2 ftの場合は縮尺に 1/13.5 を採用することになるが、利用者は非常に少ない。)

 その中でもこの 1/20.3 が一番盛んだ。最近驚いたのは、これがかなりのファンを獲得して主流になったので、その標準軌を 70.7 mmゲージで作る人が出てきたことだ。Oゲージの2倍強である。この1/20.3の場合、2 ftナロゥは 32 mmゲージ(厳密には、31.75 mmゲージ)に載せる(うるさい人は30 mmゲージを始めたが、殆ど誰もついて行かなかった)。
 つまり、F scale 1/20.3は、この30年で、アメリカでは、かなり認知された縮尺になったということだ。だからこそ、NMRAの規格に載ったのだ。確かに、アメリカのどの模型屋にも、 1/20.3 の模型が置いてある。よく売れているのだ。
 F scaleの 3 ft ナロゥの巨大レイアウトもある。これは凄い。


 既存ゲージは強いという、一つの証拠だ。45 mmゲージのインフラはLGBに依って拓かれた。すでに十分にあるので、それを生かした模型作りに成功した例である。

 実は、筆者は初めは成功しないと見ていた。1/20.3 という縮尺は実生活にはない数字だから難しいだろうと思ったのだ。
 その昔 17/64 インチスケール(1/45.2 サイズ)のOゲージがあったが、線路幅から逆算される縮尺に拘り過ぎて、自滅した。素晴らしい商品群があったのだが、最早誰も見向きもしない。17/64というスケールがこの世に普遍的に存在しなかったのが、失敗した原因だ。住宅図面などは1/4インチスケールを使っている。MRはそれを見抜いて、1/4インチスケールの図面を提供した。これが効いたという説もある。
 その後の O scaleは少し小さい1/4 インチスケール(1/48 サイズ)になり、十分に発展した。これはゲージ幅が6%強広いことを無視している。

 F scaleの 場合はこのOゲージの失敗例を覆して、ゲージを縮尺に合わせて成功させたことになる。それはふんだんにある45mmのインフラを最大に活用することにより、奇妙なサイズだが、それを乗り越えて得られる果実が大きかったからだ。室内まで作って楽しむという、新しいジャンルを切り開いたのだ。ドールハウス遊びに似ている。
 しかし日本でのファンはあまりいない。少々大きいが、庭で遊ぶ分にはそれほど問題ではないと思う。木製が多く、価格もそれほど高くない。エポキシ接着剤で組まないと壊れやすい。即ち時間が掛るキットである。

 鉄道模型の歴史を見ると、まさにマーケティングのケース・スタディをしていることになる。根底にあるものは何か、を感じる。


2019年06月22日

続 F scale

hopper car この木造ホッパ車は、部品数200以上のかなり面倒なキットを組んだものだ。鋳物部品もあるが、それらは精度の高い硬い鋳物である。活字合金のような気がする。ヤスリが良くかかるので具合が良い。すべての木材は正確に切り出されている。削らなくても必ず合うのが良い。斜めのかすがいも、ぴたりと納まるのには驚いた。
 こんな正確なキットを作る人が居るのだ。飛び出したハンドレイルも、手が当たりやすいところだけは、ブラスの鋳物である。よく気が付く人が作ったことが分かる。ブレーキ・リギングは活字金製のようだが、あまり実感的でないので、ブラスで作り替えることにした。その部分だけを除いて完成だ。これも金属部品だけを塗装して、全体にウェザリングを施すとできあがりだ。

 ニューメキシコの Hartford という模型屋であった。2001年に土屋氏とシカゴに行ったときに、この模型屋に行きたいとのことで、地平線の見えるサンタ・フェ街道を 3日もかけて車で行った。遠かったけれども、楽しいドライヴであった。その時はRaton峠は通らなかった。そこでたくさん購入した物の一つである。この店は今は買い取られて、ユタ州に引っ越したようだ。
cabooseinterior 他にも flat car、gondola、caboose などがある。大きなものなので、耐衝撃を考えた作り方をしないと、連結時に壊れてしまう。カブースは車内まで作る部品があった。資料がないから大変である。博物館の蔵書を調べてそれらしく作るしかない。これは土屋氏の製作だ。塗装は非常に実感的である。内装は筆者が作っている。


2019年06月20日

F scale

最近話題になっていることであるが、45mmゲージを利用するいくつかの縮尺模型がある。1/32、1/29、1/24、1/22.5、1/20.3 などである。他にもあるらしい。最後の1/20.3は1990年代に登場した。Bachmanの巨大なShayで火が付いた。3 ft 軌間を45mmにしようとすると、1/20.3となるというものだ。これをF scaleという。アメリカではこれがかなりの人気だ。
 finescaleと言いたいところだろうが、彼らは大人であって、そんなことは言わない。ちゃんと「フランジが高いのでブレーキ・リギングに当たるから、思い切って曲げるとか、小さい車輪を使うべし」と書いてあるキット組立説明書もある。

side dump car 土屋 巖氏が遺されたかなりの量のキットがある。左手のリハビリ用に組んでみた。これはPSC社のキットだが、説明図と中身が合っていない。しょうがないから、様々な文献を見て、それらしく作った。Greggという会社の1918年版カタログを参考にした。standard square box dump carというらしい。
  リンク類は現物に合うように作り直したものもある。このような二軸車は車軸が左右に振れると(要するに軸箱の中の左右動がある状態)推進時に回頭しやすくなり、連結面で座屈する。その前にフランジの先が当たって(アタック角の問題)レイルの継ぎ目で脱線する。

 車軸を削ってボールベアリングを仕込み、台車の軸箱中を座繰って、ベアリングハウジングを形成した。予圧を掛けて組んだので完璧だ。錘を積んでも抵抗が極めて少ない。

side dump car2side dump car3 このサイド・ダンプは、正立時は写真に描き加えたように鎖を引っ掛ける。目的地に着くと鎖を外して押すわけだ。ガチャンと向こうに倒れて、同時にサイドの板が持ち上がる。仰々しい構造である。もう少し、うまいリンク機構ができるような気もしないわけでもない。手にギプスが半分付いた状態で作ったので、3日も掛かった。
 木材にはステインを浸み込ませてある。全体を汚く仕上げればできあがりだ。鎖はどうやってつけるか思案中だ。本物通りに作ると壊れやすい。ネオジム磁石で吸い付けておくのが、一番楽かもしれない。


2019年06月18日

罵詈雑言

 予想したことではあったが、その種のコメントがかなり来た。一番多かったのは、Big Boy と C62を並べてみたい人も居ることを書いた回である。

 趣味にケチを付けるな、とか、人をバカにしているとか書いてきた。揶揄していると思ったのだろう。そういう問題ではないのだ。これも客観的な話である。
 この話は30年以上前に松本謙一氏に直接話したのだが、彼はもう覚えていないだろう。当時は他国製のモデルは無く、日本製であった。

 そのBig Boyは天賞堂製だ。Tenshodo のBig Boyは大きいのである。 その比較は意味がない。だからこそ図面で比較するべきなのだ。ちなみに、のちに売り出されたTrixのBig Boy はかなり正確らしい。これらの長さは20 mmほども違うそうだ。

 今回、1986年製のTenshodo Big Boyの測定結果をお知らせ戴いた。縮尺は1/83程度だということである。「HOは縮尺を表し、1/87.1である」と仰るのは自由だが、実測してみれば、縮尺はかなり怪しいものがかなりあるのが現実だ。お手持ちの車輛を図面と比較されると、意外なことが分かるだろう。日本型と並べて悦に入るのは、それからにすべきだ。

 最近の製品は、モータが小さくなったこともあって、かなりスケールに近いらしい。拠り処とされている縮尺に拘るのは結構だが、測定してみるということは、大事なことだ。お題目を唱えるだけでは済まない現実が、そこにある。

2019年06月16日

見学者

 先日、親戚の土木工学の専門家から、元同僚2人を連れて見に来たいという連絡を受けた。彼らは、定年まで海外でインフラ工事の監督をしていた人たちだ。
 3人とも鉄道模型にはあまり縁がないが、路盤の設計方針を確認したいという、非常に珍しい申し出であった。筆者にとっては、まさに卒業に当っての口頭試問であって、合格点をとれないと恥ずかしい。

 彼らの興味の対象は、縦曲線、緩和曲線、カントの緩和、曲線上の複線間隔などであった。曲線上で均一な勾配を作る方法も興味があった。

 現場を見せて、質問に答えた。ある程度は説明の図を用意していたので、それを見せれば、なるほどと納得してくれた。
 緩和曲線については直ぐ合格したが、縦曲線は引っ掛かった。筆者は二つの勾配が接するところの縦曲線は3次曲線になると信じていた。作図するとそうなるのでそれで良いと思っていたが、現実には円曲線を嵌め込むだけだそうだ。
 人間は縦方向の加速度変化に鈍感なのかと考えた。現実にはバネも入っているし、加速度の変化率は大きくないだろう。コメントに拠れば、大半径の円弧を入れれば問題ないらしい。

 彼らが1970年に就職した当時は、いつも7桁対数表を持って仕事をしていたが、いつの間にかコンピュータで処理するようになって、もう手計算は出来ないと言っていた。

 カントのある曲線の勾配部分の計算の話は、楽しそうに聞いてくれた。彼らは現場で物を作っているので、工場で作ったものをはめ込む作業とは異なる。だから面白がった。直線で構成された骨に路盤を張って均一な勾配にするのは、なかなか難しいという評価であった。シムを挟む計算法には驚いたようだ。

 レーザで水平を確保し、アラインメントを出す方法は、そりゃそうだろうという感じであった。この辺は本物の仕事をしている人の感覚だ。路盤の強度は、筆者が載った時に変位量3 mm以内という基準で作ったことを話すと、剛性が高いねとのことだった。

 結論としては「高得点で合格」だそうだ。こういう異業種の人と話すと面白い。博物館を開くと、時々こういう人が来てくれるのだろう。断片的につまみ食いした知識ではなく、中身まで詰まった議論は本当に面白いと感じた。

 最後に123輌を1輌の蒸気機関車で牽き出して、勾配を登って下った。まさかそんなことが出来るとは思わなかったらしく、彼らは非常に驚いた。坂の途中で電流を遮断すると、貨物列車がズルズルと滑り落ちていくのを面白がった。
 直ちに列車を引っ張り上げるのに必要な力を測定し、速度を掛けて、機関車に要求される出力を計算した。電流値を調べると効率が分かる。こういうことをあっという間に処理するのは凄い。
 機関車本体を手で押してほとんど抵抗なく動くのには、全員が非常に驚いた。押してやると、発電して前照灯がともるところを見せると仰天した。
 歯車について説明すると、現物を見せてくれという。組み掛けのギヤボックスを見せたら、これがウォームギヤとは信じがたいとのことであった。貨車のほとんどが金属製であることも意外だったようだ。

 摩擦の少ない被牽引車、効率の良い駆動装置、高トルクモータの組合せがこのような運転を可能にする。彼らはかなり満足して帰った。 

2019年06月14日

続 筆者を取り巻く環境

 紹介した提言はお読み戴いただろうか。つないだ線路の上を、どの車輛も走ることができるということが大切だ、誰も意識していないけどそこには「規格」がある。
と述べている。それは大昔に山崎氏が紹介した16番なのかもしれないし、それが当時のNMRAの焼き直しかもしれない。ともかく「何か」がある。

 鉄道模型は買う人も居るし、作る人も居る。その「何か」に適合していれば良し、である。筆者の博物館の線路はその点かなり細かく検証しながら敷設した。曲線での複線間隔などは文献値を見ながら、実測と照らし合わせた。複線橋梁はその点、一番難しいところだ。複線の内外を同時に考えねばならない。northerns484氏の計算により、ぎりぎり+僅かの余裕を狙った。満足できる結果で、彼も筆者も胸をなでおろした。幅が広そうで、実際に通すとそうでもないというところが面白い。

 転車台の駆動装置のプログラムもH氏のおかげで完成し、メカニズムは自由に動かせる。目で見て目標を合わせて、機械でアラインメントを保証する方式だ。よくある玩具っぽい動きとは異なる。DCCが導入された時、運転台に1/48に縮小されて座っている感じということを書いたが、転車台もその運転台で動かす気分になれる。慣性のある動きをする。

 信号橋の工作も少しずつ進んでいる。設置工事の準備はある程度進んでいる。設計者のN氏が自ら配線工事を手伝って戴けるそうで、電線を路盤の下に這わせている。
 一周90 mほどあるが、それを4つのセクションにした自動信号である。

 この複線レイアウトは左側通行である。おかしいという指摘はあるが、そうでもない。UPの本線はあちこちで左側通行になっている。他の会社にもたくさんあるのだ。これは歴史的なことと、地形の問題とがある。初めに敷いた単線のどちら側に新線を追加するかは場合による。当レイアウトは地形的な制約が大きく働いて、左側通行になった。

 10日以降コメント数が非常に減った。無数に来ていた攻撃的な文章が、ぱたりと来なくなったのだ。それらは、どちらかというと本筋を掴めていない、非常に些末なことを指摘してくるものばかりだった。それに慣れていたので、妙な感じである。

 左手の修理は終わり、今試運転中だ。掌と甲を貫いていたワイヤも引き抜かれて、風呂の湯に浸せる。次は右手の修理だ。実は、右手も同時に脱臼したのだ。


2019年06月12日

筆者を取り巻く環境

 多くの友人、知人から、忠告、諫言を戴いている。
 どうしてこんな論争を始めるのか、いい加減にしないとブログの読者が減るぞとか、博物館の来訪者が減るぞ、というようなものが多い。

 このブログにはアフィリエイト広告は付けていない。読者が減っても全く構わないのだ。むしろ、こういう論争で読まなくなる方は、坊主憎けりゃ袈裟まで憎いという客観性のない方だろうから、構わない。他所にない記事なら、読み続ける。評価が下がるぞ、とも言われたが、このブログはそういう評価とは無縁のところにあるはずだ。むしろアクセス数は以前より3倍ほどに増えているのが、興味深い。

 博物館についても、様々なご心配を戴いている。ただでさえ、手の故障で遅れていて、金利がかさむだろうなどと言われているが、建物、底地は現金で購入したから、僅かな固定資産税と電気代を払えば、運営できる。最近のLED化と高性能エアコンで、維持費は極端に安い。エアコンは除湿目的で24時間稼働だが、建物の断熱性が高いので助かる。当博物館は営利目的でないので、たとえ入場者ゼロでも問題ない。
 仕事はやめても、所得税を少し払うくらいの収入はあるので、もし赤字になれば納税額が減るだけのことだ。もともと国内の見学者は、あまりあてにしていない。アメリカからの見学希望者は多い。彼らを連れて、国内ツアを企画せねばならない。

 さて、筆者の方針として、「旗幟(きし)を鮮明にする」というのがある。ほとんどの日本人が不得意とするところだろう。筆者にとってはどうでも良いHO関連のゲージ論に顔を突っ込んだのは、黙っていられないところがあったからだ。
 この趣味を健全なものにしたい。不当な公報活動によって、物を知らない若年者層が洗脳されるのを防ぎたいという気持ちの表れだ。そうしないと、ただでさえ先細りなのに、ますます衰退してしまう。
 よくぞ言ってくれた、という激励をたくさん戴いている。筆者は知らなかったが、例の文はかねてより腹に据えかねた、という人が多かったらしい。

 2月にこのブログで規格に関する記事が始まってから、アクセスが極端に増えた。皆さんの興味が高まったのだ。
 規格制定についてのチャンスかも知れない。これについて、あるブログで重要な提言があった。お読みになると良い。

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