2019年02月23日

ゲージ論は終焉を迎えるか

  ゲージ論のコメントは、静寂の状態が続いている。どなたからも反論がない。非常に主観的で、国粋主義的とも取れる情緒的なご意見は戴いたが、それらは掲載を控えている。

 Empirebuilder氏から、最終的と思われる意見が届いたので、3回に分けて紹介する。先のコメントに大幅加筆されたものである。

 いろいろなコメントを読ませていただきました。もう一度整理をしてみましょう。

 私の考えは最新の線路、車輪のNMRA規格を元にしています。米国の規格ですが、これはグローバルスタンダードであると言えます。

まず用語ですが、NMRAHO scale standardを、「HO規格」と書きます。HO guageHO規格に含まれますので使いません。注意していただきたいのは、scaleは縮尺ではありません。正しい訳は難しいですが規格かもしれません。縮尺はproportionです。繰り返しますが、HOゲージとHOスケールの違いなど議論する必要はありません。 

 NMRA規格は2010年ごろ改定されましたが、かなりドラスティックな改定でした。ある意味、現状追認型とも言えます。個人的にはLSスケール(NMRAGスケールをLSスケールと呼んでいますが定着していませんね)、On30の登場が影響したと思っています。この改定はそれ以前の縮尺、ゲージの考え方とは一線を画する内容です。今までのコメントでは、どなたもこの理解をされていないように感じました。 

 LSスケールでは現状追認の形で、一つのゲージに複数の縮尺を認めています。線路と車輪、車両限界をを共有することで、ナローから本線機関車まで同じ線路上を走っています。On30Oナローの19 mmゲージを、HOスケールの線路を使用することで生まれたスケールです。On3の線路の代わりに、全く縮尺の違う線路を使うこのアイデアは、市場に受け入れられ、本家のOn3を凌駕する勢いです。 

 このようにNMRA規格はゲージ、縮尺にこだわらない、模型的な発想の規格を容認する形に変貌しました。これを見れば、線路を共有することがいかに有効な戦略であるか、お分かりと思います。市販線路のないFine規格が伸び悩んでいるのとは、対照的です。 

 NMRA規格では縮尺に関する規格はなく、寸法で表されています。目標値、±公差が書かれています。公差はありますが、なるべく目標値に合わせて、と書いてあります。Scale Ratioの表記は車両限界と思います。 

 最初に線路と車輪の関係について書かれています。主にポイント通過時のレールと車輪の位置関係が図示されています。この図を数値化したものがHO規格です。フログの欠線部に落ちる前に、ウィングレイルに車輪が乗り移ることが基本です。すなわち、フログ部分で車輪が落ち込まないような寸法で作ることで、車輪の厚みが重要になります。以前のこのブログの記事に、NWSL ATLASと、Low-D を並べた写真がありましたが、明らかにLow-Dの車輪が一番厚いのがわかると思います。スケール感より、走行性能を重視しているからです。

 他にも規格がありますが、この線路と車輪の規格が今回の主題です。私はこの規格をもとに日本型、米国型が並んで走るレイアウトを製作中です。ともに問題なく同じ線路上を走っています。同じ規格でできた線路上を、米国型とともに走る日本型もHO規格です。NMRA規格上は、これらは同じHO規格です。縮尺はもともとNMRA規格にはありません。線路、車輪自体も縮尺通りではありません。

 それがHO規格なのです。これが準拠の理由です。もともとゲージを変え、縮尺を変えてHO規格に合わせたのですから当たり前なのですが。 

 もし私の考えに反論される場合は、NMRA規格のどの部分か指摘していただけると助かります。歴史的経緯は意味がありません。NMRA規格自体を否定される場合は、しかたがありませんね。(続く)



2019年02月21日

3Dプリンタ

 3Dプリンタでいろいろなものを作っている。S氏の協力は有難い。
sofas まず最初は室内の椅子であった。正直なところ、どんなものか見当もつかないので、強度に関係がない椅子を作ってみた。極めて素晴らしいものができた。塗装も全く問題なくでき、剥がれない。接着もスーパーXでよく付く。日光に当てる試験、油に漬ける試験もやっている。ソファの脚はT氏にレーザで切ってもらった。 
 問題が無ければ、三条ウォーム用ギヤボックスを作れる。モータ型に作れば、造形上もとても良い。

truck 次に作るのは台車である。この台車は、韓国製のロストワックス製台車があるが、話にならない作りで、見たくもない。ボルスタアンカの意味が分からない人が原型を作ったので、この金属棒が台車枠とは平行にはできていない。いや、あらぬ方向を向いている。真横からの写真を見て、原型を作ったのだ。ひどい商品を売るものだ。そんなものを付けたら、見た人に馬鹿にされそうだと思う。

 どうしても、良い台車が欲しかった。そこに3Dプリンタの話が来て、すぐ乗った。様々な工夫をして、Low-Dをはめ込む。イコライザは可動になる予定だ。これはインジェクションでは絶対に作れない構造をしている。重ね板バネも同時に作り込む。この図は初期の構想である。それからかなり進歩した。

 他にカブース用の重ね板バネ付きベッテンドルフも作る。


2019年02月19日

LVM の Big John

Big John's この貨車はエポックメイキングなものである。100トン積みのアルミ製ホッパ車はこれが最初である。Southern鉄道の発注により1963年に作られた。

 これらの模型はLVMのキットから作られた。二つ入手したので、何の問題もなく組まれるはずであった。ところが、部材の精度が極端に悪く、ブロックが直方体ではなかったし、側面の板がひどく湾曲して、矯正の方法が無かった。

 20年ほど、キットの箱の蓋を開け閉めしただけで、終わっていた。一念発起して新規に作ることにしたが、使った材料はハッチの蓋だけである。あとはフル・スクラッチだ。
 1輌目は20年ほど前に完成した。車体全体を無垢の木製にした。よく乾燥した材木(デッキの材料のカナダ産イェローシーダ)を正確に削って作った。側面は航空べニアであり、連結部近辺はブラス製である。塗装してすぐ完成した(写真左)。その後多少のウェザリングを施したが、この写真では判らない。

 よくできたと思ったが、無垢は重過ぎた。2輌目も削ってあったが捨てて、中空の箱にした。と言っても10 mm厚の板を組んだ箱である。これはさらに20年掛かって完成した。今回は台車まで塗った。優れたプライマであるミッチャクロンがあるからできることである。いずれ1輌目の台車も塗ることになる。

 このような製作の場合、キット組みになるのか、スクラッチ・ビルトになるのかよく分からない。使ったのは図面とハッチの鋳物である。

 ディカルはもう一組持っているので、いずれブラスで作ってみよう。それほど難しいものではない。最近は3Dプリンタがあるので、細かい部品は作れるからだ。構造体さえできれば、わけなく完成まで持って行ける。 

2019年02月17日

続々 神戸の行事

 ピギィバックは3種持って行った。本当は 89 ftを7輌持って行きたかったところだが、持って行く入れ物に余裕がなかった。

24ft trailer これは1960年ころ、UPが小口配送をしていた時のものだろう。 トレーラは 24 ft(7.2 m強)である。この模型は硬質ウレタンの鋳物だ。塗装は大変苦労したが、つるつるに仕上がった。あたかもブリキのおもちゃのようである。しかし、この種の材質の模型は、50年も経つと形が無くなっている可能性もある。それだけが残念である。
 この flatcar も、53ftである。

 89 ftの車には40 ftのトレーラを2台積んだ。J.B.Huntのロゴが鮮やかだった。

automobile carrier Autorack 自動車を3段積む貨車を塗った。こんなに透け透けでも塗料はたくさん要る。意外と表面積が大きな車体なのである。1,2段目に車を積むのは非常に難しい。載せてある車は植松宏嘉氏の愛車のジャガー2台と、1939年Hispano Suizaである。こんな高価な車を裸で運ぶわけはないが、縮尺が正しい車は手に入りにくいのだ。
 このUP塗装のものは珍しい。写真が載っている本を探し当てたので、それを参考にした。


2019年02月15日

続 神戸の行事

watermelon car ventilated car 通風車も完成したので持って行った。ガラリのところの仕上げは、皆さんご興味があり、手に取って見て戴いた。3Dプリンタの威力をしみじみと感じたようだ。手作業では、まずできない仕事だからだ。

 フライスを使って等間隔、等しい深さに溝を掘って丸線を浅く入れるというアイデアは、納得できるそうである。深さが綺麗に揃っているので評判が良かった。ウェザリングはこの程度で良いそうで、やり過ぎではないそうだ。積荷がないので、ベアリング玉をスイカ塗装にして入れると良い、とのアイデアを戴いた。

 3Dプリンタの話題は尽きない。N氏からは、仕事上の様々な事例を教えて戴いた。ナイロンは湿気に弱いそうである。濡れると強度がかなり落ちるということで、強度試験は濡らして行うと良いそうだ。

depressed center flat car depressed center flatcar は少し積荷を工夫していった。放熱器をスキッドに載せ、木の板を挟んで積み上げた。あとはワイヤで張力を与えるようにするだけである。ワイヤは turn buckle で締め上げるようだ。

48ft trailer これは 48 ft (14.4 m)のトレーラを運ぶ貨車だ。日本にはない長さである。この時期は、様々な大きさのトレーラが出て来た時期で、53 ftの貨車を使っている。様々なタイプの貨車が設計され、一つの貨車に積むことをやめ、二つの貨車にまたがった積み方をするもの(貨車2輌にトレーラ3輌を積む)すら現れた。そうすると分岐などで車体が折れ曲がると、タイヤは多少スリップする必要があった。ブレーキは掛かっているが、無事に通過していたようだ。


2019年02月13日

神戸の行事

 9日に神戸で行われた行事に参加した。都合20輌強を持って行った。どれも塗料が完全に固まっていず、臭いがプンプンする状態だった。筆者はエナメル系塗料を使う。触っても良いが、完全には固まっていない状態は1週間ほど続くのだ。酸素と結合して固まるので、時間が掛るのである。

wooden  gondola 古い貨車も用意した。この gondola 無蓋車は木製キットを組んだものだ。古いキットで、寸法が合わず大変苦労した。ソフトメタルの鋳物パーツも出来が良くなく、自作したものと取り替えているところがある。古い carcyclopedia を見て、ごく適当に作ったが、長い時間が掛った。足掛け20年以上かかっているが、ここで完成しておかないと出来そうもなかったので、思い切って完成させた。

 できたものがあまりにも綺麗で、そのままでは、人に見せるのが恥ずかしかった。適当に汚さねばならない。フロクイルのDust(埃)というのがあって、これは実に良い。もう売っていない。ストックは少なく、先行きが不安だ。

UP hoppers 多少ぶれていたので、まともな写真と取り替えた。ホッパを塗ることになっていたが、シカゴ近辺のものはたくさんある。当鉄道にはUP塗装が少ないことが分かったので、この色に塗った。ディカルはありあわせである。これも適当に汚した。車輪の外は車体色あるいは指定色(たいていは油でべとべと)、内側はさび色である。これは当鉄道のすべての車輛について、実行していることである。


dda40x at 02:13コメント(0)貨車 この記事をクリップ!

2019年02月11日

家畜車を塗る

13 UP cattle cars cattle car 家畜車を塗った。UP色はこれで13輌になった。もう十分である。プラスティック製が2輌、ブラス製が4輌、木製が7輌である。13というのは昔見たこの種の貨物列車が13輌だったからだ。それは1970年代前半のことである。UPの支線でGP9が牽いていた。カブースは側面にドアがあった。Droverが乗っていたのだ。ドローヴァとは、家畜の世話をする人である。この程度の輌数しか世話できないだろう。

 コンソリがある。これが走っているのを見たわけではないが、これに牽かせると似合う貨物列車だと思う。側線に留置しておける長さである。カブースをスクラッチから作り、コンソリを塗って完成させるのが今年の目標だ。

 木製の貨車は素晴らしい。組むのにかなりの手間がかかる。エポキシ接着剤もたくさん要る。塗装は下塗りが大変である。塗料が浸み込むので、サーフェサを浸み込ませて固めて置く。ある程度研いで、中塗りをし、上塗りという手順だ。ブラス製は塗装が楽であるが、金属製の家畜車は良くない。木板の部分を薄い材料で作るので、実感がないのだ。さりとて厚くすると重くて持てないだろうし、シアで切ると切り口がダレる。

 妻と屋根は渋い銀に塗り、赤い文字のディカルを貼る。このディカルもDr.Yに作って戴いたものだ。Champ のディカルはもう手に入らないのだ。

 筆者としては、もう家畜車を作ることは無いだろうと思う。木製キットを組むのは大変で、もうやりたくないというのが本音だ。

2019年02月09日

貨車の積荷

wheel car flatcarには何か積まないと、妙だ。ジャンク箱に車輪を積む cradle があった。ソフトメタルの怪しい鋳物である。クレイドルは「ゆりかご」であるが、ここでは車輪を載せる。積み下ろしをしていると塗装が剥げるので、下塗りを念入りに施した。ミッチャクロンは効果絶大である。2Lの缶入りを買ってきたので、惜しまず使える。

 O scaleの車輪を積むことにした。あっという間に完成だ。積荷はジャンクの怪しい韓国製の車輪を載せたのだが、フランジの形が気になって、結局のところ、Low-Dを載せている。この写真では、手前から、NWSL、 Low-D、韓国製の順である。積載量から考えると、車輪は2段、3段に積むべきだろう。

depressed center flatcar derpressed center flatcarという貨車がある。1950年代のModel RailroaderにHOのこの貨車を作る方法として、アクリルガラスを切り、木型に挟んでオヴンで加熱して塑性変形させる、という方法が紹介されていた。O scaleでもやってみたが、あまり芳しい出来ではなかった。
 All-Nationという模型屋は、アルミ鋳物を売っていた。価格は$9.99であった。出来が悪く、当時としては高いと感じ、買わなかった。昨年、O scaleのショウでジャンクで$9で買った。50年経つと1割引だ。出来が悪い鋳物で鬆(す)があった。
 パテで埋めて研いだが、感心しない。積荷で隠せばよいと気付き、HOの変圧器キットを組んだ。碍子その他は捨て、運送時の姿に作り替えた。時々、この変圧器キットを組んで、碍子付きで運んでいる模型を見るが、ありえないことである。振動で碍子が折れるだろう。この写真を見て、番号を貼り忘れたことに気が付いた。

 skidを組んで載せた。スキッドはパレットとは異なる。使い捨ての木の台のことのようである。家を建てる時に古い煉瓦を数トン輸入したが、スキッドに載せて来た。スキッドは壊して薪にした。
 冷却装置は外して積む必要がある。その木枠はまだ作っていない。仮にパレットに載せた。この冷却装置を付けたまま、積載した模型を見ることが多いが、ありえない。壊れてしまう。
 筆者が中学生のころ、郊外にかなり大きな変電所ができ、大型の変圧器が多数運ばれていくのを、毎日観察していた。たくさんの車輪を持つシキが使われ、それを運ぶ巨大なトレーラもよく見た。狭い道をうまく通り抜けて、運んでいった。

2019年02月07日

貨車を塗る 

 博物館の工事は少しずつ進捗している。今信号機を作っているところだ。今月中に配線までこぎつけたい。

 2月9日から神戸で行事があるので、何か新作を持って来いという話があった。未塗装の完成品が40輌ほどあるので、出来れば全部塗ってやろうと準備をした。
frozen 工程表では完成できるはずであったが、天候不順や突発的な事件があって6割程度の完成になった。急に雪が降って、軒先で乾かしていたものが凍結してしまったこともある。

 いずれも貨車で、今回は積荷を考えることが多かった。たかが積荷とは言え、調べると奥が深く、ある程度は見切り発車した。

 トレーラのキットをある程度の数、安く仕入れてあった。組んで形になってから10年以上経つ。手を入れて塗装すれば、立派なものになる。問題は後ろのドアのあたりの工作だ。木製キットだから、細かい造作は接着剤のイモ付けではいずれ壊れる。現に、30年前に組んだものは全て外れてしまっている。
 一念発起して、ドアの部分は薄いブラス製とし、細いワイヤをハンダ付けした。面倒な工作であった。数が多く、相手が木製で寸法が微妙に異なる。修正してきちんとはめるようにして合印を付けた。エポキシ接着剤で貼り付け、下塗りした。

piggyback トレーラは概してアルミ地肌の外装が多く、残りは大半が白だ。白の中ではこのJ.B.Huntが好きで、これを多数作った。ディカルは多少用意してあったが足らないので、Dr.Nに複製をお願いした。側面が滑面のもあるので、それは自作するつもりだ。トレーラはタイヤさえ手に入れば、いくらでもできる。そのタイヤはしばらく前に、ある程度の数安く入手してある。

 Piggybackという言葉は、日本語で言う「おんぶ」だ。決して小豚の背中ではない。ピギーックという発音、綴りを見ることが多いが、間違いである。


2019年02月05日

続々 ゲージ論始まる

車輪厚の薄いHO車輪については、思っていた通り、問題が多いようです。Fine規格ではなくStandard規格の線路用車輪となっています。しかし、規格通りの市販線路がありません。売る方も売る方ですが、買う方も買う方です。このような特殊な製品を使いこなすには経験と技術が必要と注意書きを添えるべきです。使う方も「線路を自作するなど当たり前と思って使うべきです。12 mm13 mmも同様です。非常に特殊な製品と理解し、誤解を招かないようにしたいものです。ほとんどの場合、既成線路を利用しているようですね。ゼロから作る意思がない方が多いようで、既製品を流用しているように思われます。実際にポイントを作って走行させると、すぐにわかると思います。メーカーの個々の都合に左右される状態のようです。これらは、メルクリンのように互換性のなく、自己完結の、ごく一部の人がマニアックに楽しむ特殊カテゴリーと認識すべき製品です。鉄道模型の規格外で、規格とは無縁の製品です。 

線路規格ゲージの名は、NMRA Standard gaugeが正しいようですが、普通NMRAゲージと呼んでいます。ハンドスパイクをしながらレイアウトを作っている私には、最も重要なツールです。店で見かけるとうれしくなってすぐ購入し、すでに数枚持っています。あると便利ではなく、無ければ何もできないレベルです。レイアウト、車両制作に必要な秘密?が詰まっています。これなしに規格を論ずるな、と言いたいぐらいです。日本の模型店にほとんど見かけないのは恥ずべきことです。ご自分の車両をこれでチェックしてみてください。これで調べて問題がなければHOスケールです。縮尺についてはこのゲージには何も書いてありません。

dda40x氏のおっしゃる通りです。12mm13mmの方は、線路規格ゲージを作って頒布してから、発言してほしいと思います。
                                                                                             (おわり)



2019年02月03日

続 ゲージ論始まる

KATOはさすがに輸出メーカーで、日本型にもHOと書かれています。「HOスケールで作られたレイアウト上を問題なく走行します」というしるしです。一方で「1/80 16.5 mmゲージと書け」という意見もあるようですが、これだけではどんな規格の線路、車両限界内を走行できるのか不明です。それは、国内でしか売ることを考えないガラパゴスです。商品ならば、HOと書くべきですから、これは正しいのです。もう一言付け加えるのであるならば、線路の規格に縮尺は不要です。縮尺ではなく、16.5 mmゲージの鉄道用線路を作るのです。その上を走る車両はそれぞれのスケールに合わせた車両限界が設定されます。線路に実物の寸法は関係ありません。実物と同じ理論が必要です。Fine規格はここに縮尺を持ち込み泥沼化しているようです。 

規格を理解していただければ、「1/80HOではありません。」などという勘違いは起こりません。確かその文章ではNMRA規格にも言及されていましたが、その後書き換えられ禅問答のような内容になっています。趣味の世界で重要なのは、メーカーの宣伝文句に騙されないことです。NMRAはメーカーも参加しますが、あくまでもオブザーバーです。決定権はありません。メーカー名が付いた○○規格などはあってはなりません。メーカーが言うことは自社PRとして受け取るべきであり、メーカーは自社PRのために規格を悪用してはいけません。面白い事例としてはカプラーがあります。NMRAとしてはいろいろカプラーの研究をしていたようですが、規格としてはできませんでした。ご存知の通りKadeeが絶対的な標準になっていますが、NMRAには規格としてありません。Kadeeが断ったと聞いています。
                                        (続く)



2019年02月01日

ゲージ論始まる

 筆者はゲージ論には興味があるが、深く立ち入ることは避けて来た。自分自身がOゲージャであり、HOについてはほとんど知識がないからだ。

 先日来話題を提供して下さっている Empirebuilder氏が、長文のゲージ論に関する手紙を寄せられた。興味深い内容なので、紹介したい。長いので3回に分けて掲載する。コメント等はすべてが終了してからお願いしたい。
 Empirebuilder氏は長いアメリカ在住経験のある方で、かの地の模型事情にも詳しい。(本物にはもっと詳しい。)

私はHOHOn3だけを楽しんで来ました。12 mm13 mmについては門外漢で、細かいことはわかりませんでしたが、いくつかのコメントを読ませていただき、勉強になりました。他ゲージのことにはほとんど興味がありませんが、HOゲージャーとしては最近勝手に新しいゲージ名が作られ、鉄道模型の規格についての知識不足と相まって、無用な議論がされてきたように思えます。HOそのものについても基本的な理解不足が目立ちます。 

日本型HOについては規格がないという人もいますが、NMRAの規格に準拠することが前提です。日本型のために必要な規格はありません。dda40x氏の記事中の1/481/45と同じです。簡単に言えば、日本型をNMRA規格のHOスケールに乗り入れするために16.5mmゲージを採用し、車体も1/87では小さすぎ、それこそ蟹股になることもあり1/80とされています。ナローではなくなりますが、標準ゲージとしてはバランスが取れています。私には蟹股に見えません。正面から見た時の軌間と車体のバランスは良いと思います。蟹股という方のデザインセンスがわかりません。標準ゲージの採用を前提として製作されてきた国鉄型ですので、当たり前ですが。

実際にはそれでもアメリカ型より小さめですが、同じ線路上を走行させても違和感がなく、その証拠に今でも多数の方が採用しています。NMRA規格では1/8716.5 mmゲージが採用されましたが、鉄道模型はすべて縮尺通りには製作できません。そのために規格が必要となり、設定されています。簡単に言うとNMRA規格のほとんどは当然ながら、1/87の縮尺通りではありません。線路があって、その上を走行する車輪があり、さらに車両限界が設定されています。この規格内で走行する車両すべてがHOスケールなどと呼ばれます。実物の乗り入れと同じです。(ただし実物の乗り入れ時のような共通化のためのドアの数、位置などの決めごとはありません。)できるだけ広く、多くの車両が乗り入れできるようになっています。HOスケールは線路、車輪、車両限界が規格内であることが、必要十分条件です。最近は行き過ぎたスケール重視から、日本型の1/80をJスケールとするなどとの暴言が聞こえてきますが、上記の通りHOスケール規格自体ほとんどが縮尺通りではありません。さらに古典機などは1/75などの縮尺で作られています。JスケールではなくKスケールでしょうか?自由形は何スケールですか?同じレイアウトを走行する車両にいろいろなゲージ名をつけてどうするつもりでしょうか。規格はすべてを規定するものではなく、できるだけ決める範囲を狭くして、自由度を増すものと思います。縮尺をどうするかは、車両限界内であれば設計者に任せるべきです。そのセンスが模型に表されます。古典機の設計は個性が出て楽しいものです。このセンスに縛りをかけるような、野暮なことはやめたいと思います。

                                         (続く)



2019年01月30日

線路規格ゲージ

 昔は線路用のゲージを売っていた。HO用なら、NMRAのも見た覚えがある。最近はあまり見ない。ほとんどの人が出来合いのポイントを買うからであろうか。それが正しく規格に基づいているかどうかなど分かりはしない。

 O scaleのNMRAの規格に則ったゲージは今でもある。昔買ったステンレス板打ち抜きのものである。建築限界全体も示す大型のゲージは、フロリダのメーカーがブラスの 1 mm強の板で作っていた。これはたくさんの板を重ねてボルトで締め、外形をフライス加工したものであった。ブラス製だから多少軟らかく、ポイント作成時に使うと磨り減る惧れがあった。

 13 mm や 24 mmゲージ、12 mmゲージの人たちは、身内でゲージの頒布を行っているだろうか。今ならステンレスの板をレーザで切り抜いたものを作るのは容易である。試作して実測寸法を調べて発注すれば良い。その程度の努力はするべきだ。

 ゲージ無しで正しいポイント作成は難しい。出来ないことは無いがやる気が失せる人も居るだろう。標準ゲージがあれば、市販品のポイントがいかにおかしいかも分かる。線路ゲージが狂っていることにも気が付く。

 枕木を切ってずらすくらい、訳はない。線路を中心で切って縦割りにし、打ち直せば良いのだ。直すのがポイント部だけなら、大した作業ではない。車輌工作に投入する手間の1/10で解決する。フログのウィングレールを太くする方法は簡単で効果が大きい。


2019年01月28日

よく走るためには

 たびたびこのブログで書いたことだが、走らなければ意味がない。みかけが多少良くできていても、脱線するようでは零点だ。 
 ポイントを滑らかに渡り、直線はまっすぐ走るだろうか。曲線を出て直線になっても首を振ったまま、斜めに走る機関車がたまにある。

 正しい規格に基づいて作られた線路であるなら、脱線は起こらない。もちろん、車輪も正しく作られているべきだ。
 
 こんな事は当たり前なのだが、実際に車輛を見るとそうでもないことが多い。先輪の厚みを見ればよく分かる。薄くする人の気が知れない。車輪のフランジが薄ければ、それは脱線機であって、脱線しないほうがおかしい。

 高性能な車輪を作ろうと思って、線路規格を読み込み、ある程度の試作品ができたので、吉岡精一氏のところに見せに行った。彼はこわい顔をして、
「新しい車輪を作るときは覚悟がいるぞ。万単位の車輪を作る自信があるか?そういう製造所はあるか?」
と問うた。
「あります。懇意の量産旋盤屋がやってくれます。」
と答えると、
「金が掛かるぞ。高級車が買えるほどの金を投資しなければならない。しかもそれをみんなが買ってくれなければ、何の意味もない。一挙にマジョリティになるしか方法はないのだ。」
「そのつもりです。私自身1千軸必要です。とりあえず3千軸の買い手はあります。アメリカにも2千軸ほど売れますし。」
と言うと、
「それなら良し。俺も500軸買おう。」
ということになった。

 それから、10年ほど経ち、
「2万軸を超えました。」と報告したところ、吉岡氏は満面の笑顔で、
「よくやった」
と褒めてくれた。既に日本ではde facto standard になったのだ。デファクトスタンダード(事実上の規格)になれたのはJORCのクラブ員が大量に買ってくれたからである。価格は安く、利益など無いも同然だ。その価格では模型店が手を出したくないからである。その後市場はほぼ飽和し、売れ行きは落ちたが、時々注文がある。アメリカからは「2000軸欲しい」などと言ってくる。
 祖父江氏の機関車にはこれが採用されている。

 その後売れ続けて3万軸を超えた。このLow-Dは新規格ではない既存の規格の中で、必要な条件を完全に満たす車輪だ。最高の性能を出すことができる。

 相も変わらず能天気な人たちは、筆者にProto48の車輪を作ってくれとか、タイヤの薄い車輪が欲しいと言ってくる。救いがたい人たちだ。

 新しい規格を話題にする方は、上記のことを思い出して戴きたい。覚悟が要るのである。たくさんの人が買わねばならない。


2019年01月26日

続 日本の”ファインスケール”という言葉

 たくさんの方からメイル、コメントを戴く。掲載不可とあるので、一部しか紹介できないのは残念だ。
 
 「それなら、軌間が縮尺通りというのを英語で何と言うか?」という質問が多い。それは、名詞なら ”correct gauge" 、文章なら "The gauge is true to protptype." であって、”fine” という言葉とは全く無縁である。

 各ゲージに規格は一つというのは賛否両論だ。先回の話は少々説明不足であったことは認めるが、全く筋違いの反論もあった。正直なところ、筆者はHOについての知識は少ない。しかし、O の1/48と1/45の違いがない話から、推測は出来る筈である。よく走る模型を作ろうと思えば、既存の規格を尊重すべきである。規格はmajority(大部分の利用者)が尊重しているものである。よりfineな規格を作ろうとしている人たちは、それがマジョリティではないし、多分マジョリティにはなりえないことを知っているにも拘わらず、こうあるべきだと説く。それはマジョリティの人から見れば、面倒なことをやっているとしか思われない。しかも車輪には熱心だが、線路を改良する人が少ない。線路をいじると、手持ちの車輛が走らなくなるからと言う。
 Low-Dは、既存の規格線路に完全に適合する最適値を導き出している。


 Empirebuilder氏が、「コメントの方は、何とかして日本向け規格を作りたいという意志が透けて見えます。非現実的な模型の話を持ち出しても仕方がありません。NEM規格も持ち出す必要はありません。無用な知識開示でしょう。」と書いてきた。

 
 さらに続く。

 日本のHOの車輪のことは、NMRA規格に準拠する規約がないことが問題ではなく、そういうつまらない車輪を流通させて、黙って見ている雑誌に大きな責任があると思います。製品を提供してもらって提灯紹介記事でやっている出版社に期待はできません。メーカーは客が欲しがる製品を作っているだけと思います。
 「
NMRA Standardに準拠したHOの線路とは規格が合わないので」とありますが、NMRA Standardに準拠したHOの線路がないことを知らないことにはびっくりします。TTのポイントが規格外とは気づいているようですが。 

 日本型12mmの経緯は知りませんが、TTの線路を使おうとしたことが、そもそもの間違いのもとのようです。羊頭狗肉のゲージですね。12mmゲージャーは、まんまと騙されているように思います。

 結論として筆者は、新しい規格を出される方は、車輪、線路を同時に、しかも大量に供給できるという前提で話を持ち出すべきであると思っている。そうでないと、線香花火のように消えて行ってしまう。
 
 様々な意見が飛び交っているが、稲葉氏が沈黙を保っているのは不思議である。



2019年01月24日

日本語の ”ファインスケール” という言葉

この題材を扱うようになってから、アクセス数が非常に増えて来た。コメント、メイルをたくさん戴いて、驚いている。

 先に結論を言おう。もう、「ファインスケール」という言葉を使うのをやめよう。理屈を理解している人にとっては迷惑千万である。「軌間が縮尺に近いとファインスケール」と言うべきかは、疑問が残る。「ファインである」という言い方は問題ない。コースに対するファインであることは疑いのない事実だ。

 ファインは細かいだ。美しいという意味もある。それにスケールを付ければ、なんとなく気分が良くなる人がいるのだろう。しかし、米語にはない使い方である。


 コメントを投稿して戴いたEmpirebuilder氏と意気投合したところは多々あるが、その中でも、「線路規格は縮尺を問わず一つである。」というところが大切である。

 HOでも16番でも、On30でも同じ規格であるべきなのだ。1/80の規格はNMRAの規格と異なるわけがないのだが、これらは違うと思っている人がたくさん居る。

 30年ほど前、JORC(Oゲージの団体)が発足するときに、1/45、32mmゲージの規格を決めようと言い出した人たちがいて、驚いた。筆者にも声が掛かって、規格委員になってしまった。
「冗談じゃないですよ。NMRAの規格と異なるものを作ったら、皆さんの持っているものは走らない可能性があります。」
と叫んだのだが、全く理解しない人が半分くらい居て、紛糾した。2年くらい訳の分からない事をやっていたようだが、結局何も決まらず(当たり前である)流れた。この時、正しいことを言ったのは、筆者の他に吉岡精一氏だけである。議事録を見ると、とんでもないことがたくさん書いてあった。筆者は、ばかばかしいので、最初の一回しか出ていない。

 その後、筆者の提供した車輪を大半の方が使って、何の問題も起こらなかった。線路はNMRA準拠のものを輸入したり作ったりしている。1/45 と 1/48 の線路が違う訳がないのだ。今でもおかしなことを言う人は、たまにいる。
 輪軸、線路の規格は足し算、引き算で理解できる、小学生の算数なのだ。これが分からない大人がいるというのは一体何なのだろう。

2019年01月22日

続 長文のコメント到来

 ファイン化について、HOの世界でも同じようなことが起こっています。車輪の厚さがだんだん薄くなり、ファイン規格よりファイン化してきました。あるメーカーの人に、HO規格から外れた車輪をどうして作るのか聞いたことがありますが、
「問題があるのは承知しているが、客の要望なので仕方がない。」
と言っていました。
 私はNMRA規格の車輪をできるだけ選んで使用しています。規格外れの車輪で問題がないのか気になっていましたが、やはり問題になっているようです。問題は車輪がファイン化しているにもかかわらず、線路は旧態依然していることです。フレキシブルレールが16.5 mmではなく17 mmであることは何とかなっても、ポイントはNMRA規格外(ファインと逆方向)です。あるブログのコメントに、車輌と線路の相性があり脱線する場合がある、と書いてありましたが、線路と車輪の物理的関係に相性があるとは笑止千万です。現在発売されているファイン形状に似た車輪は、バックゲージが変わっていないことを付け加えておきます。

 フログの欠線部については、NMRAの線路の規格でも”キモ”と言える部分で、結果としてハンドスパイク以外に対策はないと感じたところです。HOにおいても問題は同じで、既製品のポイント通過時は落ち込み、音がします。脱線の原因となることも多々あります。自作してフログを規格通りにすると、落ち込みもほどんどなく滑らかに走行します。OもHOも同じですね。ただ広いフランジウェイが当たり前になっているためか、バックゲージが狭い車輪が見かけられ、ガードレールにぶつかることがあります。入線前の車輪チェックは必須です。薄い車輪を何とか通過させるために、既製品はフランジウェイを埋めています。何十万円もする超精密機関車がフランジの先端で走行するわけです。プラレールと同じです。私にはまったく妥協できないところです。脱線にもつながります。私のレイアウトでは、ハンドスパイクのポイントでの脱線はほぼゼロになりました。既製品のポイントも使っていますが、いいろいろ調整しても安心できません。余談ですが、自作のポイントをヨーロッパのハイフランジが問題なく通過したのには、驚きました。フランジウェイを埋めていない成果?です。 

 貴ブログは、私の知っている限りでは、唯一、線路と車輪の関係を正しく理解して書かれていると思います。実際にやってみて得た私なりの結論が、こちらで理論的に証明されています。車輌偏重の日本の鉄道模型の弊害が、線路についての無理解となっているようです。
 ”フランジウェイを狭くすると、走行性能に犠牲云々”とウィキペディアにありますが、私の場合狭くしたので問題がなくなりました。

               <おわり>  



2019年01月20日

長文のコメント到来

 時々コメントを戴くEmpirebuilder氏から、長文のコメントを4つに分けて戴いた。それを、二回に分けて掲載する。ハイライト部は筆者(dda40x)による。 


 正縮尺だ、ファインスケールだ、と唱えられる方の多くは、縮尺や軌間といった判りやすい数字だけをうんぬんされていて、車輪の厚さやバックゲージといった走らせるための基本に無頓着なのは残念です。一度でも自分でポイントをスパイクしてみれば判る事なのですが…。
 HOn3のレイアウトを全線ハンドスパイクで作ったことがありますが、線路と車輪をNMRAゲージに合わせて作れば脱線皆無で、なるほど模型を走らせている国の規格だな、と感心しました。それに比べるとHOn2-1/2は、Nゲージの車輪寸法がメーカー毎にバラバラなので苦労します。車体寸法の1/80と1/87の差以前に車輪寸法の差が大問題なのですがね。
 
 私はHOゲージャーですが、ファインスケールをNMRA規格で知りました。よりスケールに近く、スタンダードと比べると実物に近く見えました。ただあまりに繊細で、見かけはいいのですが、採用を躊躇しました。その後、proto がさらにスケールを意識して出てきましたが、ファインを採用した模型を見かけることがない状態で、proto は鉄道模型としては居直りのように感じました。もはや鉄道模型ではなく博物館模型ですね。モーターを搭載してますけど。
 そのためか、写真で見ると実物と間違えます。またいずれの作例も、ディテール付きの線路上に車輌が置いてありました。したがって、私の理解ではファインは「縮尺に近い」という意味です。 

 12 mmが出てきたときファインスケールを名乗っていましたが、ファインスケールと名乗っていながら、レールはメーターゲージ、TT用を流用すると書かれており、NMRA規格のファインスケールの定義からすると、”新幹線車輌を作ってとりあえず京急の線路上を走らせること”と同じレベルと思いました。ただ1/87 だからファインと名乗ったようですね。NMRAの規格を知らなかったのでしょうか。同じ用語を違う意味で使われると混乱します。レールメーカーの社長が、
「『12 mmの線路を作れ』と言われるが規格が、出てこない」
と言って困惑していました。さすがにこの社長は規格を理解しているな、と感心しました。12 mmが12.5 mmにしなかった理由が線路の流用にあるとしたら、ファインをどういう意味で使ったのでしょうか。 


2019年01月18日

Finescale Railroader

Finescale Railroader 日本では、ほとんど知られていない雑誌である。 雑誌名が
Finescale であるから、正確に縮尺された軌間の模型ばかりかと思えば、そうでもない。
 手元に40冊ほどあるので、正月にパラパラと読んでみた。”縮尺と軌間が一致しているものをfinescaleと呼ぶ”、という記述には遭遇しなかった
「お前の英語力はあてにならないから、信じられない」
とおっしゃる方には御貸しするので、丹念に解読されたい。往復の送料はご負担願う。汚したり折ったりしないよう、お願いする。

 先日RM Modelsの10年ほど前の記事を見ていたら、13 mmゲージの秀作を紹介していた。
 確かによくできているのだが、フランジ、タイヤがまだ厚い。完全な縮尺模型ではない。その記事にはファインスケールと書いてある。これは単なる無知であろう。

 あるウェブサイトでは、自分の商品を売らんがために、そういうことを書いている。これは公正取引員会の仕事を増やすことにもなりかねない。優良誤認と言われても仕方がない。さすがにそれは一回きりで、続きがない。おそらく誰かに何か言われたに違いない。
 これは教養の問題である。その言葉がどういう場所に使ってあったかをよく検証してから、日本語に入れるべきだ。

 このアメリカの雑誌は、ひたすら細かく作り、なおかつ時代考証を正確にして、躍動感のある模型を作ろうという姿勢を保っている。一番多く出てくるのは、1/20.3サイズ、45 mmゲージである。これは縮尺と軌間が完全一致だ。とにかく大きい。博物館には15輌ほどある。 

2019年01月16日

続々 finescale とは

 ゲージは縮尺値に正確でなくても、筆者はあまり拘らない。ただ、広い場合には、蒸気機関車の設計で困ることが多い。タイヤ厚も本物より大きいので、ロッドの収まりが良くない。クロスヘッドを外に動かして、ピストンロッドの中心からわずか外に出す例が多い。そうしないと走らない。Oスケールは、実物より6%強広い。

 車輪の厚さについてこだわる人が多い。薄くなければファインではないと信じているのだろう。ポイントさえなければそれでも良いのだ。実際にはポイントがあるから、フログの欠線部のことを考えねばならない。

 Low-Dの設計では、欠線部で落ちないことが優先順序のかなり高いところにあった。だから、車輪厚さはやや厚い。既製品の中には意外と薄いものもある。それらは、ことごとくフログの欠線部にはまる。フログは削れて凹み、ますます落ち込む。それは、Oスケールでは決して無視できない。通過頻度の高い本線では深刻な問題だ。筆者のダブルスリップを滑らかに通過する動画を見て、
「ありえない静かさだ。」
と言った人は多いが、
「なぜか?」
と問うた人は少ない。

Wheelsets この写真をご覧戴きたい。NWSL や ATLASと、Low-Dとの違いである。アメリカ人は薄い車輪が好きな人が多い。それがどういう結果をもたらすか、は考えない人が多いようだ。説明してやっても、半分は上の空だ。しかし、現実にLow-Dだけの車輛群を走らせてやると、仰天する。あまりにも静かで、ポイントで動揺しないからだ。この写真を撮るとき、手前から向こうに並べたものを望遠レンズで斜めに撮っているので、上の方はより狭く見える。手前の三つは同じゲージである。

Proto48 vs HO wheel Proto48の車輪が少し見つかった。こんな感じである。右はHOの13.5 mm径車輪だ。フランジはHOより薄い。
 これが間違いなく走る線路を用意するのはなかなか大変なようだ。先日ポイントのフログは8番と書いたが、それは標準軌の場合である。狭軌ではもっと大きな番手が必要になる。作図して確かめられると良い。作図をしない人が多いらしく、この質問は多い。作図は必要最小限のことである。

 ファインスケールという言葉を持ち出す人は、自分の提唱している車輪規格を売り込みたいのだろう。それは他より優れている、と信じているのだろう。決してそうではないのだが気が付いていない。売り込みたいがゆえに、禁じ手に手を出している。ファインを考えるなら、線路規格と同時に考えねばならないのだが、そこまで頭は廻っていないとみえる。

 車輪の形状は長年の積み重ねで、このような状態に決まってきたわけだ。「よく走る」ということを考えると、ファインな車輪というのは、様々な点で問題が大きくなる。その点、大阪合運でお会いするHOJCのグループの方達は、よくやっていらっしゃると思う。筆者は、そこまではとてもできない。
 すべてをゼロから始めたからこそできるのだ。Oスケールには100年以上の歴史があり、ある程度形が決まってからの数十年の遺産があるので、それらとの共存を考えると Low-D しか方法がなかった。当博物館の線路はRP25が来ても通るようになっている。そこに Low-D を通している。非常に静かである。大きな軸重の機関車が来ると、ドスドスという音がするが、落ち込んでいるのではない。
 Proto48の連中はあまり深く考えずに、実物の完全縮尺をしたので、問題が噴出している。 

2019年01月14日

続 finescale とは

 早速いくつかコメントとメイルを戴いている。そのすべてが筆者が予想していた方達からであった。HOスケールとは何かという計算方法を教えてくださった方もあるが、その程度のことはわきまえている。
 3.5 / 304.8=1 / 87.08 である。有効数字という概念を理解していれば、同じことであるのは自明だ。

 森井氏は非常にいいところを突いて来られた。今回書こうと思ったところだ。先回は、筆者は意図的にフランジ高について書いた。そうすれば、それについてきっとたくさん書き込みがあるだろうと思っていたのだ。
 実は、ファインか否かはフランジ高にはあまり関係がない。フランジ厚さを論じなければならないのだ。厚さを決めると高さは必然的に決まる。この事は殆どの方が気が付いていない。NMRAのおかしなフランジ形状でなければすぐ決まってしまう。

 フランジ厚さが薄くなって、フランジウェイが狭くなるとファイン化するのである。back to back バックゲージは広くなる。Low-Dの形状を決める時は、そこで吉岡氏と意見が一致した。
「そこに気付いている模型人に会ったのは、君が初めてだ。」
と言われた。
 既存の車輪との整合性を保ちつつ、よりフログを狭めることができる。非対称フランジウェイを採用すれば、もっと良くなる。タイヤの厚さは、この際あまり関係がない。

 先回の写真をご覧になった方から、
「ATLASはファインなのですか?」
と聞かれた。ファインではないのだが、横のとんでもない車輪を見ると、ファインに見えてしまう。実はその比較が大切なのだ。
 鉄道模型が進歩してきた過程の中で、コースから脱却してより実感的な車輛、線路へと舵を切ったのだ。現在ほとんどの皆さんが楽しんでいる鉄道模型は、かなりファイン化しているのである。もちろん、Low-Dはファイン化しているが、いわゆるファインではない。走行性能向上を第一目的としているので、譲れないところもあるからだ。
 十分にファインであると感じるのは、コースとの対比をしているからである。
 
 ”fine” と ”ファイン”の違いについては意外な質問を戴いた。これについて、他意はない。お気づきの方もいらっしゃるだろうが、当ブログでは、話題になる概念について最初はローマ字綴りを書き、あとはカタカナで近い発音を示している。

2019年01月12日

finescale とは

 最近、表題の表現が気になる。何かおかしい。

 筆者はゲージ論には興味があるが、議論はしたくない。ルールを決めずに議論しても無駄だからだ。あちこちで罵り合いに近い論争を見聞きするが、不毛である。

 あるサイトで、こういう表記を見た。
「縮尺通りの軌間を持つ模型をファインスケールと呼ぶ。」
 一瞬、何を言っているかわからず、数秒経ってから、
「ああ、そういうことなのか。」
ということになった。そういうこと、というのは肯定ではない。自分の言いたいことを他に押し付けるための、洗脳の手段だということに気付いたのである。
 HOスケールの12 mmゲージについて言えば、
 1067 ÷ 87.08 = 12.25
であるからもう破綻している。この0.25 mm は実物なら、21 mm以上である。そしてフランジ高は実物の2倍弱だ。

 そういうことを言うなら、アメリカの1番ゲージの方が良い。1/32 で 44.85 mmゲージだ。
 1435 ÷ 32 = 44.84 mmとなる。しかし、これをファインスケールモデルだという人には、会ったことがない。フランジは高く、2.5 mm以上あるものが多い。実物なら0.8 mm程度だ。

coarse wheel sets "fine" という言葉は "coarse" の対語である。コースは荒っぽい、図太いなどと言う意味である。ライオネルなどの車輪を見ればわかる。イギリスのコース車輪の現物があるから写真をお見せする。これはOゲージなのだが、Nゲージの車輪を4倍に拡大するよりも、タイヤが厚いような車輪である。念のために申し上げるが、これらはすべて32 mmゲージを走る。しかし、コースの車輪は博物館の線路は走れない。フランジが高過ぎて枕木の上を走る。もちろん、ポイントも通れない。ライオネルの線路ならば、かろうじて通るが、フランジが当たっている。
 
 対する "fine" は実物を模したもので、フランジが薄く、低い。タイヤ厚もはるかに薄い。NMRA推奨値の車輪は、当然のことながら、"fine"ではない。コースとファインの中間よりも少しファイン側に寄っていると感じている。

 ファインの模型でなければならない、という人はたまに居る。これは非常によく整備されたレイアウトを持っていないと走行させられない。サスペンション(懸架装置)もよく工夫されていなければならないだろう。曲線半径は実物の縮尺通りでないと難しい。筆者の友人でProto48に凝っている人もいるが、小型機しか走らせられないとぼやく。アメリカでさえ、大型機の走るレイアウトが難しいということだ。半径3 m以上、フログは8番以上が必要だからだ。

 日本で一般人が楽しんでいる模型は、ほとんどの場合、ファインではないのだ。最近のウィキぺディアには、”広すぎる軌間を縮尺に近づける作業を含む場合もある。”と書いてある。誰が書いたのかはわからないが、早々に修正されることを望む。


2019年01月10日

鉛合金の鋳物

 コメントを戴いている。

 既存の模型雑誌に出ていた「ホワイトメタル」は、やはりソフトメタルのようですね。 
なんであんなに形が甘いのかと思ったら、収縮が第一要因なのですね。 
この一連の流れだとメーカーと言えど、押し湯を理解せずに作っていたのか、と思いました。 
遠心力や重力を使っていたら、ソフトメタルでもだいぶ出来栄えは違っていたのかもしれません。

 内容が、いま一つ掴み切れないが、おっしゃりたいことは分かる。鋳物の中に形が良くないものがあり、それが収縮によって角が出ていないということなのだろう。筆者は現代の日本製の部品を知らないので何とも言えないが、そういうものもあるのだろう。昔のことを言えば、床下器具のぼてっとした部品は押し湯が足りなかったのは明白だ。材料は活字金ではない安価な鉛合金を用いている。柔らかく、ニッパーで切ると、ねちっとする。活字金はぱちんと音が出て切れる。
 
 最近の部品は非常に細かくできているものが多い。それは遠心鋳造による。ホワイトメタルの部品はほとんどこの方法による。ゴム型を作る。円盤に放射状に作った原型をゴムに埋没し、ゴムを二つに分ける。原型を取り去り、その放射状の空洞部に遠心力で熔湯を流し込むと数秒で固まる。それをゴム型から取り出して、枝を切れば良い。枝の部分は融かして再利用している。
 この方法では圧力が大きくなるので、ゴム型の隅々まで湯が廻り、部品の角が完璧に出る。この遠心鋳造による方法は、ロストワックスによるブラス鋳物に比べ、はるかに安価である。


2019年01月08日

続 角倉彬夫氏の鋳造法 

 ほとんどの金属による鋳造では、湯口の円錐形の中に、大きな凹みができている。それが見えると、多分成功である。
 活字金ではそれが全くない。場合によっては少し膨れ上がる。ということは、湯口を無理やり急冷すると、圧力が鋳型の中に生じるわけだ。膨れると言っても大したことは無い。縮まないと表現したほうが間違いがないだろう。型の中に隅々まで注入されれば、何の心配もなく、素晴らしいものができる。

 角倉氏のは石膏型だが、シリコーンゴムを使えば、アンダーカット(Fig.1のB)があっても良いのだ。二回に分けてシリコーンを注型しなくても、一回でシリコーンゴムの中に埋没し、横からナイフでギザギザに切って、型を二つに分ければ良い。ギザギザが型のずれを防ぐだろう。空気抜きは、よく切れるナイフでV溝を付けても良いが、シリコーンゴム型を圧迫して隙間を無くすときに、何かのパウダを合わせ目に軽く塗るだけでも用は足りるだろう。

 実は今、上廻りがそれほど細かくできているわけではないイギリス型客車の台車を作ることを頼まれている。現状の台車はかなりひどいので、多少は良いものを作りたい。簡単に作れて線路追随性の良いものにする。暇を見て実行したい。

 台車枠にはネジを切って、枕梁を付ける。タップを立てるわけだが、うまく行くだろう。コメントの中に棒台枠を作りたいという話もあった。理論的には出来るだろうが、たくさん作るわけではないので、レーザカット、ワイヤカットを使うべきだろう。 

2019年01月06日

角倉彬夫氏の鋳造法

 先日のコメントでrailtruck氏からご指摘戴いた角倉氏の記事を開いて見た。昔読んだ覚えがあるが、忘れていた。
 角倉氏は活字金を使った鋳造の話をしているのだが、副題はどういう訳か、
石膏型とソフトメタルで” 
とある。編集部は活字金とソフトメタルが同じものだと思っていたのだ。これは記事の価値を損なっている。ひどい話だ。きっと角倉氏は怒っていたに違いない。

 ソフトメタルは鉛を主体とする低融合金で、スズ、アンチモン、ビスマスなどを添加している。その後、スズを主体とするものもたくさん出てきたが、それは装飾に使うものが大半で、模型用は鉛主体のものが多い。名前通り、それほど硬くないことはご存じだろう。凝固に際して体積変化は大きい。ほとんどが縮む。

casting1 角倉氏の記事は石膏型で、draft angle(抜き勾配)がないと不可能である。二つの石膏型の合わせ目に、剥がれるようにススを付けるところなど、時代を感じさせる。この記事では活字金で鋳込む他に、
”ルツボなどの便がある方は真鍮等でも構いません。”
とまで書いてある。すごい話である。できるだろうが、型の温度の設定などが難しい。簡単な型でなければ、遠心鋳造をしないと入らないかもしれない。

casting2 押し湯の件は間違いなく書いてある。空気抜き穴も紹介してあり、素人ではない。しかし活字金は縮まないということをもう少し大きく書くべきである。
一般論で言うと、押し湯ではその湯口の部分が最後に固まるようにするのである。そうすると凝固時の収縮が、その湯口の内部で融けている金属が湯口を通って鋳型内に注入されて補償されることが、期待される。


2019年01月04日

蒸気機関車の音の再生

618_0131 正月に音楽家の友人に招かれて、演奏を聞いた。彼は仕事をやめた後、専用の建物でジャズの教室、演奏会を開いている。設備は相当なものである。各種のオーディオ装置を完備し、レコードは1万枚弱を持っている。彼はもともと電気工学出身で、オーディオは専門家であった。
 レコード再生には非接触のレーザ光によるプレイヤを用い、 特殊な真空管アンプを通して聴く。スピーカはイギリス製の何とかという珍しいブランドだ。巨大な超低音再生スピーカもある。それを入れたり切ったりして、効果を確かめながら聞いた。

 筆者は、アンプはFETがベストという結論を持っているので、真空管アンプ至上主義者からは睨まれている。それは物理学的な考察の結果であり、情緒的なものではない。少なくともFETは安い。安くていい音がすれば良いではないかということだ。
 それはともかく、今回は彼のオーディオ装置を通して聞かせて貰うことになった。真空管アンプ特有の音がし、それはそれで楽しめた。

618_0129 筆者を招待したので、友人は蒸気機関車の音を収録したレコードを特別に用意して、待っていた。全員の前でそれを再生した。素晴らしい臨場感で、感動した。
 Santa Feの最終蒸気運転のレコードで、4-8-4がロスアンジェルスからパサディナを抜け、カホン峠を行く様子が収められている。B面にはデイライトとキャブ・フォワードの音も入っている。後者はスリップして、音がずれていく様子が分かる。
 我が家でいつも聞いているCD再生音とは、根本的に違うと感じた。ここからは彼の講釈である。

 CDは20,000 Hz以上の周波数をカットしている。しかしレコードはそうではない。極端な低周波も高周波も一応、物理的に可能な範囲を収録している。その部分はHi-Fiではないかもしれないが、ゼロではない。
 音響効果が考えてある部屋でそれを再生すると、様々なものに当り、共振させ、耳に入る。共振は倍音、半音その他いろいろな成分を持っている。それが総合されて耳に入るので、臨場感が生まれる。この音をヘッドフォンで聴くと、面白くない。反響、共鳴がほとんど期待できないからだ。


 臨場感は本物と同じという意味ではない。本物ではないが、聞いた人に「そうかもしれないという感じ」を与えるような響きを生じることらしい。彼の意見に完全に同意はできないが、かなり説得力のある説明であった。ちなみに筆者は聴力試験の結果、12,000Hz以上はほとんど聞こえていないらしいが、違いは感じた。

 帰宅後、手持ちの蒸気機関車の録音を全部聞いた。頭の中は排気音と汽笛で満たされた。DCCの再生音とは違う。もちろんPFM方式とも根本的に違う。
 
 余韻に浸っているうちに、様々なことが頭の中を巡り、しばらく前のMRに載っていたオーディオ方式を試してみたくなってきた。それは、車載DCC以外に、固定されたDCCからの音声のうち、重低音部分を重低音専用スピーカを経て、レイアウト全体にばらまくというアイデアだ。低音は指向性がないので、一箇所あれば有効だ。
 ディーゼル・エンジンの腹の皮がぶるぶると共振するような重低音を味わうことができる筈だが、隣の家のガラス戸が震えるかもしれない。面白そうだ。

2019年01月02日

謹賀新年

 また正月になってしまった。今年こそは開業するぞと張り切っても、何年もかかっている。先日来た友人は、
「ゼロから始めたにしては早いね。普通、レイアウト建設はもっと時間が掛るものだ。」
と言う。確かに最初のうちはとても進行速度が大きかった。だんだんと速度が低下している。やらねばならないことを一部先送りしてきたが、もうそういうわけにはいかない。

 あと、せねばならないことは、
 /号機
◆‥昭崑罎離灰鵐肇蹇璽
 レイアウト周囲に取り付ける有機ガラスのシールド
である。これらが完成すれば開業できる。

  については、現在鋭意工事中である。光検知システムのセンサの保護をする必要がある。ブラスのパイプを斜めに切って、赤外ビームの送受装置ホルダを作った。軽微な脱線で衝突しても何とか持つ程度の強度にしている。あまり頑丈にすると、二次被害が大きくなるからだ。
  はディジタルのコントロールの完成待ちである。もうすぐできるだろう。
  はかなり大変な作業である。アクリル板を取り付ける土台はようやく完成した。取り付け作業は3人がかりである。水平部分から勾配に差し掛かるところは微妙な調整が要り、その下準備だけでも大変だ。計算はしてあるが、大きなもので、さらに柔らかいものだから、どうやって保持して切り落とすかを考えねばならない。


2018年12月31日

続 活字金鋳造

 活字金は硬く、加工性が良い。フライスで削れるし、タップでネジも立つ。今野氏のブログにギヤボックスの蓋を鋳造で作られた件が紹介されている。うまい方法である。油が飛ぶから、ギヤボックスの底の部分には蓋が要るのだ。それを作るのは結構面倒だが、一つ作って型を取り、それを活字金で鋳物にすれば非常に良いものが簡単に大量にできる。採用したい。

 場合によっては、ギヤボックス全体を活字金で作っても問題ないだろう。そういう時には金型を作る方が良さそうだ。予熱しておかないと、最初のいくつかは失敗する可能性がある。冷えすぎるからだ。空気抜きの細孔もあると良いだろう。下手をすると押し湯で噴き出す可能性もあるから、理屈をよく考えて安全な構造の型を作るべきだ。

 人形とか、ストラクチュア関係の小物も活字金で作れば簡単だし、しかも丈夫である。シリコーン・ゴム型でも平気である。鉛では融解温度が高いので、壊れてしまう。3Dプリンタで原型を作ってゴム型を作り、それを活字金で複製するわけだ。かなり簡単にできそうである。
 今まで、活字金は比較的高価であった。しかし最近は値崩れしているから、いくらでも使える。この活字金の利用法をもっと考えるべきだ。

2018年12月29日

活字金鋳造

 友人から、活字金鋳造をやりたいと申し出があった。詳しく教えてくれとのことだったが、
「簡単なことだから一つだけ守れば良い」
と伝えた。

casting1 彼は ”とれいん” 464号の記事を見て心配になったという。
「うまく行かないような気がする」
と言うのだ。その記事では型は片面だけで反対側は板で押していると言う。薄い型では出来るわけがない。
「こちらの言うとおりにすればできる、くだらない記事は無視されたい。」と強く念を押した。
 その一つだけ守るべきことは、「押し湯を十分にする」である。

casting2 その号は博物館にあるので開いて見た。案の上、記事では融解した活字金をゴム型に板で押し付けている。粘土細工ではないのだから融けたのを押し込んでもダメだ。融けた金属の表面張力は極端に大きい。金属結合が強いからだ。水銀の粒がまん丸であるのを見ればわかる。シリコーン・ゴムの型は金属をぬらさないから、押し込んでも無駄な努力だ。10何回かの試作で台車枠2枚ができたそうだが、それでも奇跡に近い。写真2枚は、同号から転載した。

 二つの型の間に挟まれた空間に、融けた金属に圧力を掛けて押し込むしか方法はない。そのために遠心力を使ったり、水蒸気の圧力を使ったり、あるいは型を多孔質にして裏側を真空にしたりしている。大昔はそんな方法がなかったので、重力を使った。融けた金属の注ぎ口を高くするのだ。その分の圧力が、金属の表面張力に打ち克って、型の隅々まで押し込むのだ。高さは 10 cmほどでもかなり効く。金属は密度が大きいので、少し高くするだけで十分なのだ。活字金は固まるときに体積が縮まないので、高くしても問題が起きない。筆者は最高 30 cmほども、上げた。活字金を使う時は、まかり間違って湯口が先に固まっても、問題ないのだ。

 素晴らしいものができたと喜びの電話があった。指南した甲斐があった。同時に、この記事への不満を聞かされた。この筆者は一体何なのか。自称技師と言ってみたり、今回は「指導」と書いてあるではないか、と彼は怒る。確かに通読すると、そこには"サイエンス"が抜け落ちていると感じる。合金の性質、表面張力、ぬれなどの知見が全くない。これでは成功するのは困難だ。

 その号には、越後要介氏、佐野匡司郎氏、田野倉要介の素晴らしい工作法が紹介されているのに、あまりの落差に驚いてしまった。

2018年12月27日

続々 press

「16.5 mm軌間の車輪を 13 mmにするときのことをおっしゃっているのですか?」という質問を戴いた。その通りである。

 コンコン改軌という言葉があるそうで、叩いて目的の位置までずらすのだそうだ。叩いてずらすというのだから、それほど固く嵌まっているわけでもないようだが、出来れば避けたい。
 
 ゲージを決める断面がU字型のブロックを挟んで、プレスでぐーっと押し込むのが良い。衝撃を与えるということは、意外と大きな力で特定の部分を押すことだ。ジャーナル部(車軸の先端)が目に見えない程度潰れるだろうし、それが垂直であればまだしも、多少傾いているかもしれない。そうなると、走らせるとゴロゴロするだろう。叩く工具も問題だ。金槌を使う人が居るが、これは論外だ。銅のハンマを使うならまだ良い方だが、そんな人はまずいない。木槌で叩く人はいるだろうが、大きいから扱いが難しい。

 また、ピボット軸では深刻な問題だ。筆者はピボット軸を押す専用の先端工具を持っている。旋盤さえあれば作るのは簡単だ。尖端部を避けてテーパで受ける。テーパは完全に合っている必要はないから気楽だ。ギヤの押し込みにも便利である。軸にローレットを切って押し込めば、留めネジも要らず心が出て、楽である。ギヤをハンダ付けすると心は出にくい。

 この種のプレス機は高いものではない。昔アメリカで買ったものだが、最近は日本からでも簡単に買える。模型用として使うプレス機は、さすがにネコプレスでは大き過ぎるだろう。このギヤ式のプレスはとても使いやすい。


2018年12月25日

続 press

 プレス本来の使い道として、雌型に雄型を押し付けて、形を転写するということがある。この時雌型を作るのは面倒である。プロは雄型を作って焼き入れし、雌型の素材を焼きなまして押し付ける。凹んだものは硬くなっているので更に焼きなます。これを繰り返して雌型を作る。もちろん深いものは、ある程度まで機械で彫っておく。 

 雌型をこのような方法で作るのが面倒な場合は、ZAS(亜鉛を主体とした硬い合金)を流し込む方法がある。雄型を上向けにしてZASを融かして流し込むと雄型の通りに出来た雌型ができる。ブラス相手なら十分に成型できる。これをフライスで平らに切ると、抜き型さえできるほど硬い材料である。

rubber female die その昔、ある天才が雌型をゴムで作ってはどうか、と思い付いた。硬いゴムを敷いて、その上にワーク(材料)を置く。そこに雄型を押し付けるとかなりの成型ができる。ワークを焼きなましておくと綺麗に出来る。ゴムは天然ゴムで始まったが、現在は硬いウレタンゴムである。折り曲げもできるが、十分に角を出すのは、やはり溝を切った鋼製雌型が必要である。

 ブレーキ・ホィールはサラダ・ボウルのような形である。エッチングやレーザ・カットでできたものは平面であるから、これを整形して丸くしたい。こういう時にはとても便利な方法である。

2018年12月23日

press

PanaVice (3) 圧入、取り外しには不可欠の工具であるが、日本の模型人はあまり持っていないような気がする。
 叩いて嵌め込む、あるいは抜く、と書いてある記事をよく見るが、やめるべきである。曲がる可能性があるし、叩いたところが斜めに凹むことがある。

 筆者はこれと1トンのネコプレスを持っている。PanaPressは軽合金製で、250 kg重(2.5 kN)程度の軽作業用だ。車軸を抜いたりするのには十分な力がある。
PanaVice (2) 厚い木の板に取り付けてある。手前に出ているのがミソである。これがないと、てこを引いた時に力が入らない。補助具は熔接して作った。これも専用のを作っておかないと、水平が出ないから、軸が曲がる可能性がある。押すものはブラスの挽きものである。ある程度軟らかくないとワークに傷が付く。
 その取付けネジは、1/4インチのネジ(カメラの底にある三脚ネジ穴)である。旋盤上でダイスで切る。ブラスだから作るのは極めて楽である。たまに鋼製のピンを植え込むことがある。

Panavice (1) 専用の補助具(台)には裏に穴があいている。こうしておかないと抜けたものの行き場所がない。補助具を高くする手もあったが、低くしたかったので穴をあけた。

 車輪、動力機構を作るときにはプレスの出番が多い。

2018年12月21日

ロストワックス部品 出来

DSC_0216 正確にはインヴェストメント鋳造というべきである。ワックスは使っていないからだ。

 3Dプリンタで作った原型を埋没材 (investment) 中に埋めて焼成し、生じた空間に融解したブラスを流し込んで鋳造したものだ。拡大してあるので、3Dプリンタの積層面が見える。よく出来ている。六角ナットの角度はすべて違えてある。

 積層面は少し削れば見えなくなる。裏を少し削らねばならない。形成時に必要があって、厚みを少し増しているからだ。 丸棒に紙やすりを巻き付けて磨れば良い。この写真は積層面を目立たせる角度から光を当てている。

 さてこの機関車は何であろうか?実現しなかった機関車であるが、ある程度の設計は進んでいた。機関車の模型が完成したら、その写真をModel Railroader に送ってやると、たちまち載るだろう。注目を集めた機関車だったのだ。この機種には4という数字が付くはずであった。 

2018年12月19日

ブレーキ

 brake とは制動機のことではない。金属板を曲げる機械である。もちろん手動で曲げるものである。筆者は大きなものから小さなものまで4台持っている。

 一番良く使うのは、先回紹介したこの小さなベンダである。 何をするかというと、細いアングルを作るのである。市販品のアングルはろくでもないものが多いからだ。曲げ易いようにエッチングで筋を彫ってあったりする。
 エッチングはなました材料を使っているので、製品がくたくたである。腰がないので使えない。こんなものを貨車に使うと、連結した瞬間にめり込むだろう。

 ベンダで曲げると加工硬化して腰が強くなる。曲げてから切り落とす。先日ジャンク箱から見つけたアングルは曲がり方が甘い。虫眼鏡で曲がり角を見てみると、型が良くないことに気が付いた。メス型は単に直角ではいけないということを知らない人が作ったのだ。
h3244-f4ca2749af14ee6e7682644b12431d2e メス型はこんな形であるべきだ。溝の底に深い溝がなければならないのだが、それを知らない人が多い。この型を使えば、製品には独特の痕がつく。

 このブレーキは万力に吸い付かせて使う。便利なものだ。2 mmの板でも曲げられるから、モータ・ブラケットを作るときには便利だ。これはカタログ上の写真であって、筆者のはアゴの側面にネジで締める。両面テープで仮留めすると、ずれない。

2018年12月17日

Kleinschmidt氏の死去

 クラインシュミット氏が亡くなったとお知らせ戴いた。この二年ほど会っていなかったので、驚いた。
 かれこれ30年ほど、いろいろな形で接触のあった方だ。当初の10年は、筆者は睨まれていた。3条ウォームの真価についての理解をして貰えなかったのだ。
 筆者が現物を見せると驚嘆し、その後は非常に良い関係になった。部品のやり取りをし、訪問すれば歓待してくれた。鋭い批評も戴き、互いに助け合う関係になったのだ。

 彼は真の意味で技術者であり、たぐいまれな技能者でもあった。日本では技術と技能を分けることが少ないが、彼は山の向こうを見通す技術力があった。工学のエキスパートであり、熟練工でもあったのだ。彼に匹敵する人はPFMの Longnecker 氏くらいのものだ。 

2018年12月15日

将来のscratch building

 今、蒸気機関車の部品を、3Dプリンタで作成してもらっている。 ロストワックスの原型を3Dプリンタで作ったので、わけなく新しい模型ができる。小さな部品にも文字が入った製品ができる。凄い時代になったものだ。

 レーザ加工、3Dプリンタの組み合わせで上廻りは非常に楽にできる。下廻りは、やはり旋盤とフライス盤がないと出来ないだろう。

 TMSで200号くらいまでのスクラッチビルトの機関車で、素晴らしくよく走るのには、あまり遭遇しない。車輪の心が出ていない(偏心している)のだ。旋盤の無い時代のものは、それで仕方がなかった。ドリルレースという怪しい技法が今でも残っているが、動力部分に応用するのは良いとは言えまい。

 3軸のフライスを使えば、ややこしいフレームもプログラムするだけで出来てしまう。4軸の機械(x,y,z軸に沿った移動 + x軸の回転)が使えれば、超絶設計のものができるが、これはまだアマチュアには手が届かないだろう。

 こういう仕事を引き受ける人が増えてくるだろう。しかし残る問題はハンダ付けである。これには熟練が要る。正しい指導者から学べば、すぐできるようになるのだが、実際には難しいようだ。炭素棒ハンダ付けは簡単だが、その機械がまだまだ少ない。筆者が頒布したが、一体何%が稼働しているのだろう。中には買ったまま組まずに置いてあるという人までいる。この人は筆者の頒布目的を妨害している。
”組まずに取っておくと価値が出る”そうである。お気の毒な人である。

 もうあと一つは、ヤスリ掛けである。ヤスリ掛けを軽視する人が多い。プロのヤスリ掛けを見るチャンスがないからだ。姿勢も動かし方も、でたらめな人が多い。ヤスリの選び方から間違っている場合も多い。また、その準備もしていない。
 しかし、この種の仕事さえできればスクラッチビルディングができる時代になるだろう。楽に自作を楽しめる時代になるのだ。

2018年12月13日

covered hopper cars

 最初に住んでいたところがUP沿線であったことも大きな要因だが、このカヴァード・ホッパが好きである。一体何輌あるのか数えたことは無いが、おそらく80輌以上あるだろう。ブラス製、木製、プラスティック製の混合である。博物館が開業したら、すべての roster(在籍表)を作らねばならない。

 先回の大捜索で、ブラス製とエポキシ鋳物製がいくつか発掘された。その話をすると、友人が、
「dda40xさんのところには埋蔵金がありそうだね。」
と冷やかす。確かに、もうないと思っていても、再調査で数輌ずつ発掘される。
 ブラスの定尺板の使い掛けもかなり出てきた。何枚か買ってきて一部を使い、それをどこかにしまって、忘れるのだ。戸棚の後ろの隙間から3枚も出て来たのには、さすがに驚いた。埋蔵金属は、確かにある。
 
 さて、発掘されたホッパは時代がやや古い。1960年代の車輛だ。それらは、Locomotive Workshopの半製品、破損品である。アメリカで安く買ったものばかりである。
 Car Cyclopediaを見ても見つからないタイプもある。そうなると、ごく適当にごまかして作るしかない。塗装して編成に紛れ込ませれば、誰も気が付かないものだ。手持ちのディカルの使える形にまとめてしまおう。

 塗装するだけの生地完成の状態になったものが40輌ほどある。1日に10輌は塗れないので、かなりの日時を要する。これから天気が良い日を選んで、順に塗っていきたい。

2018年12月11日

華奢に作る

 先回の通風扉を友人たちに見せたところ、針金が細くて実感的だと言われた。久し振りに褒められて、嬉しかった。細い線を等間隔に張るところが見せ場だったからだ。
 華奢(きゃしゃ)に作るのは難しいものだ。太いものはオモチャ的で気持ちが良くない。なるべく細く仕上げたい。

 プラスティックの貨車はハシゴ等が太くて実感がない。これを薄く、細くしたい。切り外してブラス製にするとかなり良くなる。さらに細くすると、強度がないので触ると、曲がって壊れてしまう。針金類は、リン青銅かステンレスのバネ線にする。

freight car detail 10年前にアメリカで買ったプラスティックの真空成型の貨車は、そのような部品が薄鋼板で出来ている。鋼板は堅いから細くできるし、壊れない。
 写真の左から、
木製キットにブラス製ディテイルを付けたもの、
真空成型に鋼板部品を付けたもの、
エポキシ鋳物の貨車、
プラスティックのインジェクション・モールドの太い部分を切り離したもの
の順である。

,呂海谿幣綺戮できない。
△禄淑細く、塗装しても実感的である。
は未加工である。細い鋼板製アングルを作ってみよう。
い蓮▲魯轡瓦硫桟を切り取った。細いステンレス・バネ線を貼るつもりだ。

 実物は実に細い。普段模型しか見ていないので、たまに実物を見るとドキッとする。ハシゴなど透けて見えないくらいだ。 


2018年12月09日

反応速度

 寒くなってきた。暖房を入れるのだが、経費節減で、一人で作業している時はエアコンを作動させない。木工作業など、体を動かす時は、多少寒いくらいの方が効率が良いこともある。

 接着剤の硬化速度が明らかに小さくなる。エポキシはもちろんのこと、木工用の接着剤も固まるのが遅くなる。木工用は夏なら、3時間で接着完了であるが、5時間は見なければならない。スーパーXも固まりにくい。

 二液エポキシ接着剤は多用しているが、5分間型でも10分ほどは固まらない。working time (ずらしたりすることができる時間)が長いので、一度に作業する量を二倍程度にすることができる。 ある意味では都合が良い。
 ワーキング・タイムが長いものは木材には適する。繊維の間に浸み込んで硬化するので、非常に強く付く。

 反応速度は常温付近では、10度違うと2倍程度になるというのが化学の常識である。今日は 13 ℃であった。いつもは 24 ℃ほどであるから、ちょうど2倍程度の時間が掛るということだ。

 エポキシ接着剤を塗り、ワークを置いてテープで仮留めをする。ゆがんでいないことを確認して、重しを載せたり、クランプ締める。戸締りと電源Offを確認して帰宅する。翌朝になれば固まっている。


2018年12月07日

続 watermelon car 

 通風扉(ventilation door) を作らねばならない。それらしく作るだけだが、部品数が多く大変である。なるべく簡単に作る工夫をした。
 まずt0.6快削ブラス板を固定して、Φ0.5のエンドミルで溝を掘った。間隔はインチサイズだから、DRO表示をインチに切替えて削った。こういうことは楽になったと思う。それを短冊に切り、型紙の上に並べる。 

ventilation door1 Φ0.5のリン青銅線を入れるのだから、深さを0.25 mmにするのが普通なのだが、経験上浅くする。0.15 mmである。こうすると二枚合わせた時、底衝きしているのである。板は多少は反っているので、厚さ方向に一定の深さに削れる訳ではないのだ。線が中で踊るよりも、底衝きしていた方が揃って見える、というのが筆者の意見である。
ventilation door2 手前側の一枚にリン青銅線をコテでハンダ付けする。ハンダは多めにする。この写真はそれを表から見たところである。そしてフラックスを薄く塗った二枚目を重ね、炭素棒の太いピンセットでつまんで通電すると、1秒で完了である。冷えるまでそのまま3秒ほど待つ。

 最初のハンダ付けで、線の配置が多少ばらついても、重ねて挟むと有無を言わさず、揃った位置に落ち着く。隙間にはハンダが埋まる。

ventilation door 針金が留まったら、横桟の端を仕上げて縦桟を付ける。ハンダ付けはアッという間に終わる。あとはラッチとか小さな金具を付ければ、塗装への準備が整う。
 塗装後に、ドアをはめて下のレールに外れ留めを接着すれば完成だ。  

2018年12月05日

続々 ユニヴァーサル・ジョイントの問題

 もう一つ気になるのは「軸の曲がりの角度」で2軸が一直線なら不等速伝達は起こらない。(当たり前だが、それなら自在継手は要らない)。速度の変動率は軸の曲がり角度でも変化する。もしかするとオーバー修正などしないか?(図3)モーター軸より台車側の角度が大きいですね。そこで”ゴー式”珍案。モータも床板に載せず、反対側の台車に載せたらどうでしょうね。これなら両方の継手がほぼ同一角度に曲がりますよ(図4)。何、「床下器具がなぎ払われる?」私なら当たるほうの床下ユニットを、曲線外側にスライドさせて押し出してしまうんですけどねぇ。
universal joint 2
 

 そういえば、トラック(台車ではなく貨物自動車)の推進軸はスプラインで伸縮しているので、事故で外れたのを、よく知らぬ人が位相を考えずにはめ戻したところ、猛烈な振動で、2次事故を起こしてしまったなんて、戦時中よく聞きましたよ。
 ともかく、「中間軸のフォークエンドは、『同じ位相』でなければならない」というのを覚えていただいただけでも、性能が上がると思います。お試し下さい。

                              (2009.1.23)
 コメントを戴いている。二つのジョイントは完全に等角にならなくても、不等速は十分に打ち消されて、調子が良くなる。曲線の入り口に緩和曲線が使われている時は効果が顕著である。
 伊藤 剛氏のアイデアは筆者も使おうと思ったが、軸箱の上にモータが直接載ってしまうと、バネ下質量が大きくなる。さりとてモータを浮かせると、その部分が等速でなくなるので、諦めたことがある。
 天賞堂の模型には使われていたというのは、指摘されて思い出した。確かにそうである。1960年ころ”子供の科学”、”模型とラジオ”で見た覚えがある。当時としては、高級な伝導装置として紹介されていた。バネはない。お知らせ戴いたように、位相は見事に間違っている。大人になってから見て、こりゃ駄目だと思ったのは、そこだ。平ギヤが無潤滑でむき出しというのもアウトである。平ギヤはウォームの後に使うべきものであろうが、この場合は応用不可だ。


2018年12月03日

続 ユニヴァーサル・ジョイントの問題

 この模型大学の記事は発表前に筆者のところにも送られてきた。
「dda40x君も登場するからね。」
ということであった。一部を紹介する。

UV joint by GO Ito
 Aのモーター軸からBの中間軸を廻し、さらにこの軸で動力を伝えるとしましょう(図1)。A軸は当然等速で廻ります。ところがB軸はこれを受け取って「不等速」で廻る。いわゆるビリビリ振動のようなことになります。それがさらに次の自在継手で同じ事をされて、C軸はビリビリがさらに増幅された形で廻りますから、大変に大きな音まですることになります。困りますね。どうしましょう。 
 簡単なことです。自在継手の付いた中間軸では、中間軸の両側にあるヨーク(二股)は、必ず同じ位相に揃えること(図2)。そうすれば、2つ目の継手は「不等速」運動を受け取って、不等速が発生した時の逆順で回転を伝達するから、C軸はモーターと同じ等速運動に戻るのです。中間軸は不等速のままですが、質量が小さいので振動してもほとんど気にならないでしょう。
 
 NMRC(名古屋模型鉄道クラブ)例会でD君
(dda40x) が、友人が「私の電車はカーブに入ると凄い音がするのだが・・・」というのを聞いて、「中間軸の位相を変えてごらん」とアドバイスしたところ、「まったく静かになった」と喜ばれたそうです。それ以来、私も大いに気にしています。
(引用続く) 

2018年12月01日

ユニヴァーサル・ジョイントの問題

 阿里山のシェイの問題が明らかになって、多くの方から連絡を受けた。1960年代から様々の媒体でシェイの存在、運行状況が紹介されてきた。どの写真も位相が間違っているとのことである。それに気付かなかった日本の鉄道趣味界の底の浅さを残念に思う、という内容のものが多い。全くその通りなのである。自称技術者の人たちがどうしてそれに気付けなかったのかは、全くもって不思議である。

 それを受けて、northerns484氏が、数学的な証明を紹介されている。数学に自信のある方はじっくり取り組まれると良い。結論は単純である。機構学の教科書にも証明方法が載っている。この種の証明は図が勝負である。うまい絵が描いてあると一発でわかる。

 最近の記事は、「ユニヴァーサル・ジョイントの角度を同じにすれば等速になるので、ジョイントの位置を考える」ところまで来ている。ここまでは筆者も考えた。
 しばらく前の伊藤剛氏のアイデアが面白いので、紹介する。この記事は「模型大学」の2009年2月号に載っている。そこには筆者も登場しているのだ。

universal joint 2 二つのジョイントのなす角が等しくなるようにするのは難しいので、モータを動かすのだ。”えへへ冗談ですよ”と書いてあるが、無視できないアイデアである。
 モータはもう一つの台車の上に載せるとある。


2018年11月29日

watermelon car

watermelon car ACL ウォータメロンとはスイカのことである。スイカを出荷する時に用いた専用貨車がある。友人の Bill が、
「これはOスケールで最も珍しい貨車だぞ。この模型は他に持っている人を見たことが無いんだ。」
と自慢したので、いつもそれを探していた。5年目くらいに e-bay でキットを見つけた。接戦で勝ったが、少々高かった。

 箱の蓋を開けて驚いたことに、それは All-Nation による再生産品であった。オリジナルの良さがなく、ディカルはプリンタで印刷したものが入っていた。図面は不正確で(それはオリジナルと同じ)あったが、材料は直角に切れていた。この程度のものなら、スクラッチから作っても大した手間ではなかった。多分ブラスで作ったろう。
 
 ある程度の形までは出来たが、妻面の通風窓をどうやって作るかが問題だった。様々な方法を考えた。伊藤剛氏の手法で斜めの部分を揃えて作ることも考えたが、あまりにも大変で、そのまま10年以上、棚の上で昼寝をしていた。添付された図面の寸法はいい加減で、その通り作るとおかしなものになっただろう。通風窓の大きさが小さかったのだ。

ventilators 先日 3D プリンタの話が出たので、ついでにこれもお願いした。できて来たものは、実物通りのフランジが付き、完璧なものであった。これは高精細のアクリル製である。斜めのシャッタ板はS字断面を持っているので、それを滑り込ませ、エポキシで固めた。妻板の孔を拡大し、取り付けた。サイズは1辺が15 mm弱だ。黒いのは側面をダイヤモンドヤスリで磨った時の粉である。

watermelon car3watermelon car2 これらの角度から見ると、なかなか素晴らしい。小さなものなので、寸法を揃えて手で作るのは難しい。こういうものこそ3Dプリンタの効果が出る。
 ここまで来ればできたも同然で、後は通風扉である。風通しの良い格子になっているので、細い線を正確にそろえて張る必要がある。機械加工で作れば自然に揃うだろう。0.5 mmのエンドミルで溝を彫り込めばよいのだ。
  
 扉は密閉扉と通風扉とが選べるようになっている。即ちレイルは開口部の左右に伸びていて、2枚の扉が動く。この貨車は、輌数が少ないのに、ヴァリエィションが多いようだ。どの写真を見ても形が違う。

2018年11月27日

続 3D printing

 正直なところ、廉価な3D printingにはあまり期待していなかった。
 2年ほど前、3Dの勉強をした。近くの公民館で生徒を募集していた3D教室に入って3箇月ほど練習したのだ。ある程度はできるようになったが、実際に印刷して見ると粗い。しかも材質がよくないので経年変化が大きい。ミシン油に漬けておいたら少し膨潤した。進歩を待たねば、役には立たないと思った。

 今回のナイロン(ナイロン12だと言っている)は丈夫で踏んでも潰れないだろう。熱にも強い。今ミシン油に漬け込んであるので、そのうち結果を報告する。耐油性が証明されたら、ギヤボックスを作ってみる。

 実はあと何台かの機関車のギヤボックスが必要なのだ。縦フライスで作るための図面と刃物を用意した。少々厄介な形であるが、やればできることは分かっている。しかし、おそらく1日ではできない。5個作ると、多分フルに3日程掛かるだろう。そこまで割く時間がない。

 こういう時は助かる。金属製に拘ることがないものであれば、ナイロン製でよいのだ。ネジを立てることも可能だろうし、タッピングビスでも良い。

 ロストワックスの原型を作る手間も省ける。鋳縮みを見越した大きさにするのは簡単だ。ただし、まだHO以下の小型模型には向かないだろう。解像度がそこまでよくないのだ。先回のHOの木製キットと同じで、同じ材質で相似形の小さなものを作ると、粗さが目立つようになるだろう。今のところはOスケールくらいが最小限度である。高精細なものが安くできるようになるのは、いつごろだろう。

 今のところ、小さなものは一度金属に置き換えたものを研磨するしかないだろう。

2018年11月25日

3D printing

Quiz1Quiz2 当鉄道に初お目見えである。友人が3Dプリンタでいろいろなものを作るから、相乗りしないかと勧めてくれた。

 考えてみれば、足らない部品とか、手で作るのはとても大変な部品がある。いずれ手に入れたら作ろうと思っていて、10年経った物も多い。これを機会に在庫一掃を図った。
 
 客車の内装はある程度の部品は揃っているが、この二人掛けのソファは無かった。ラウンジの付いている車輛には不可欠の部品で、どうやって作ろうか悩んでいた。実は先日の活字合金による鋳造を検討していたこともある。この話があったので、Car Cyclopedia 1940年版を見て、形を決めた。寸法もすぐに決まったので送ったら、3Dのスケッチを送ってくれた。それを修正して発注してもらった。コの字の形の脚を付けるとできあがりだ。座面はローズ色にする。
 ナイロンの焼結で、非常に丈夫だ。多少曲げても復元する。これほど丈夫なら、台車の製造に使える。懸案のカブースの台車はこれで作れば解決だ。

 さてもう一つの部品は何だろう。これが分かる人はまずいないはずだ。ヒントとしては計画だけで終わった機関車の部品である。4という数字が付く。
 この部品を、investment casting でブラスに置き換える。後はちょいちょいとハンダ付けして出来上がりだ。


2018年11月23日

線路を敷き替える

new track 線路の一部に古いものが使ってあった。それらは40年前に買ったもので、ブラスにニッケルめっきが掛けてある。滑面ではないので、走行音がひどい。ゴロゴロという感じであった。

 故ハーマンのところからもらった洋白のフレクシブル線路が潤沢にあったので、思い切って敷き替えることにした。外した線路はガラスケースの中の陳列用となる。

 フィーダ線を外し、枕木の下にナイフを挿して外す。長年の間には固着しているものもあったが、軽く振動を与えると取れた。新しい線路は曲線ゲージを嵌めて固定し、ゲージを抜き取る。完全に一定の曲率で敷けた。今までは先輪が左右に動くのが見えたが、全く動かなくなった。

 とても静かで気分が良い。レイルは ”weathered" と表記したものである。表面が化学処理をしてあって、黒褐色の被膜で覆われている。敷いたのちに軽く油目ヤスリを滑らせると上面が白く光る。掃除機をかけてから、列車を走らせると滑らかになる。あとでぼろ切れで磨いた。

 このレイルはハンダ付けをしようと思うと、そこだけヤスリで金属面を出す必要がある。面倒なようだが、大して変わりはない。普通のレイルであっても、磨いてからハンダ付けをするわけだから一緒である。

2018年11月21日

路盤に縁を付ける

clamping edge 博物館の工事は少しずつ進行している。木工をしているが、接着剤が固まるのに丸一日掛かるので、進み方が遅くてやりきれない。

 線路が一応完成したので、観客が手を出せないように、透明で丈夫な囲いを付ける。プラスティックの業者と大体の話はつけてあるので、注文すれば所定の幅に切って届けてくれる。長さが 2 mもあるので、乗用車で運ぶのはやや難しい。

clamping edge2 そのプラスティック板を取り付けるには、甲板の合板の断面に穴をあけて付けるわけにはいかない。甲板の下に 30 mm角ほどの木材を付け、それにネジ留めするのが筋だ。角材を曲げるのは難しい。それならばと、15 mm合板を曲げてみたが、かなり大変だ。合板の構造を調べると 7-ply すなわち 7層でできている。上の1枚を切っただけでは難しいが2層まで切れ目を入れるとかなり楽に曲がる。半径 3,000 mmだから、何とかなることが分かった。

clamping 真下から見た様子である。手持ちのクランプ数十個を総動員して接着している。15 mm板を裏表貼り重ねて、30mmにする。外の板は榀(シナ)合板である。切れ目を互いに内側にして、接着した。クランプしておいて、接着剤が固まる前に、ある程度の数の木ネジを締めた。ズレ留めには必要である。おそらく接着剤の方がはるかによく効いて、ネジの意味はあまりないだろう。

 この作業を一人でやると、なかなか大変である。最適な手順を得るまでに、かなりの本数の作業を経験した。もう後 10 mくらいでできあがりだ。慣れた頃には終わりである。

2018年11月19日

続 Lykens Valley のキット

LVM これは1973年版のWalthersのカタログである。ダウンタウンの模型屋を探し当て、このカタログを買った。Douglas Modelsといって、その町では断トツに大きな模型屋であった。間口は20 mほど、奥行は30 m以上もあった。田舎なので、飛行機の模型がたくさんあった。1/4サイズくらいの複葉機を作っている人が居ることもわかった。

 HOのAthearnの青箱が1000以上並んでいた。Oゲージは店主のブラス・コレクションが置いてあるだけで、スケール物はほとんど無く、ライオネルばかりだった。ここで最初に買ったのはDremel のMoto-Toolである。
 Oスケールが欲しかったが、「欲しいものはメイルオーダで買えるさ。」と気のない返事であった。当初はOゲージの友達がみつからず、寂しかったが、徐々に知り合いが増えた。 

 一つずつ買い始めた。当時の貨幣価値では10ドルは、学生には大金であった。一日2ドルくらいで生活していたのだ。
 LVMは人気商品で、品切れが多かった。最初に手に入れたのは 63 ft のMechanical Reeferであった。これは、UPの本線に本物が何十輌も連なって走っていた。蓋を開けて驚いたのは、直角には切れていない木のブロックが入っていたことであった。幸い、友人のお父さんが木工機械を持っていたので、新たに作って仕上げた。下塗りの回数を多くしてピカピカにした。デカルを貼ると、うっとりするほど素晴らしかった。その機械式冷蔵車はこのカタログには載っていない。模型は今でもあるが、事故で破損し、その修復に10年以上も掛かっている。これには作動するショックアブソーバが付いている。


 Auto Rackは3番目くらいに手に入れた。これは完成させると持ち運びできないので、下塗りして半組み状態で保存した。このキットは先回お見せしたQuality Craftのキットとは異なり、全木製であった。今は玄関に飾ってある。怖くて走らせられない。  

 二回目にアメリカに行っていた時は、あちこちの模型ショウに出かけて、見つけ次第買った。10年ほど前、たまたまオークションで一つ落としたところ、その人がたくさん持っていることが分かり、すべて買い取った。結構たくさん作ったが、人に譲ったり、交換したりして半分ほどしか残っていない。

 Lykens Valley というのはペンシルヴェイニア州ハリスバーグの北にあるリゾートである。ここは行ったことが無い。ゴルフをする人には良いところなのであろう。   


2018年11月17日

Lykens Valley のキット

cushion coil car ライケンス・ヴァリィのキットについては過去に少し書いた。この会社は70年代に新しく出た車種を次々に出して、人気を得た。どのキットも肝心の躯体を構成する木材の直角が出ていないので、そのまま組むと破綻する。  

cushion coil car2 すべての部材をチェックし、ダメなのは捨てて、新しく切り出す。直角の出る鋸盤があるので、それは簡単に出来る。以前の100トンホッパなどは、事実上スクラッチ・ビルトである。

 このクッション・コイルカーは B&O のプロトタイプである。下廻りは図面通りに作ったから良い。問題は上の天蓋である。木板で作るように指示と材料が支給されているが、そのまま作ると強度がない。
 ブラスで作れば簡単だし、強度がある。と思ってから、20年近く経つ。さすがに放置はできないので、今回は作ることにした。天蓋は0.4 mm板を曲げて作る。簡単な作業である。

 床下には油圧式のショック・アブソーバがある。以前は作動するようにしたが、今回は採用しない。運転速度が以前ほど大きくない。長大編成をゆっくりと走らせることに価値がある。そうなるとショック・アブソ−バはあまり機能しない。むしろ機関車の「押して動く」動力装置の方が、脱線防止にははるかに効く。

 cushion coil car のクッションには二つの意味があって、薄鉄板コイルを置く場所が軟らかい材料でできているのと、連結器が緩衝性に富むのとである。この双方が同時に実現したので、どちらが正しいかを断定するのは困難である。

 キットの材料は板だけで、それを組み合せてH鋼やチャンネルを作り、さらにそれを組み合わせる。実物通りの構成で、この貨車が出来上がる。いかにも重いものを積む貨車である。
canopy opened 完全な木製で、驚くほど軽い。積み荷はいくつか用意した。ロール紙(レジなどの出力用のもの)がたくさんあるので、それを使うつもりだ。床下には最大限に補重する。写真では、見本にマスキング・テープを置いた。おおよそこの太さで、少し幅が広いものが多い。
 後ろの貨車はプラスティック製である。以前紹介した真空成型品だ。ジャンクで買ったものを再生したが、今回作成のものと較べると大味だ。構造がトイ・ライクである。

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