2020年01月20日

慣性モーメント

Flywheel (2) このテンダは全軸コイルバネ懸架である。錘を載せていくと、3 kgでバネが完全に沈み込む。即ち、2.4 kgほどに仕上げないとバネの意味がない。そのあたりではバネがよく利いている感じがする。摩擦係数から、取り出せる最大トルクが分かり、フライホィールの慣性モーメントから、テンダ車輪がスリップしない最大の加速度が計算できる。物理が得意な人なら、自力で計算できるだろう。ギヤ比は3: 23 で、チェインでの増速は 15:20 であるから、増速率は 10.2 倍である。チェインの場合は歯数に公約数があっても、ほとんどの場合問題にならない。

 ウォームによる増速は無音である。当初はチェインが枠に当たる音がしていたが、それは完全に修整できた。ごくわずかのチェインの音がするが、気になるほどでもない。大きな円筒が高速で廻るのはなかなか壮観である。それは発電タービン音のヒューンという音に似ているが、テンダの車体を被せると殆ど聞こえない。聞こえるのは車輪の転動音である。

first generationsecond generation 当初は左の写真のような大きなフライホィールを廻していたが、やや重過ぎることが分かり、小さくしたと同時に、回転数を上げた。回転数を上げれば、その2乗で効くので、最終段の 4/3倍は 1.78倍の効果を生み出した。即ち、フライホィールの長さを56%にしても、慣性モーメントは元の値と同じである。重いフライホィールは衝撃に対して弱いから、少しでも軽くするべきである。留めネジ(ホロゥ・セットスクリュウ)の短いのが見つからず、とりあえず撮った写真である。現在は短いものを用いている。

hollow flywheel (2) 事前にある程度の計算は必要であるが、結論は摩擦係数の比より明白である。動輪は鉄タイヤで、テンダはステンレスタイヤであるから、摩擦係数は異なる。機関車動輪上重量が2.0 kg以下であると、動輪がテンダ車輪より先にスリップする。機関車の質量はその数字を満たす。


 機関車の質量は3.0 kg程度が良いことが分かった。大まかに機関車の質量を積算すると、おおよそ2.8 kg見当なので、200 gほどの補重で足りる。35年前作った時は、牽引力の限界を計算して1.2 kgほど足したが、今回はかなり軽くなる。重心位置の補正錘程度でよいことが分かった。先従輪には十分な軸重を与えて、復元を利かせている。
 前回は機関車の動輪のスリップ限界をモータの焼けない電流値から算出したが、今回はテンダのスリップ限界がすべてを決める。動輪は余力を持ってスリップしてもらうことになっている。重客車列車を牽かせるが、十分な引張力があることは確かめられている。但し、運転は習熟した者しかできないと思う。駅で所定の位置に止めるのは、難しい。

 筆者が何をしたいと考えているかは、読者諸賢には既にお分かりだろう。

2020年01月18日

続々 ”Super 800” 

 テンダ台車からの動力採取は、6軸とした。1軸は構造上、捨てる方が都合が良い。7軸中の6軸であるから、十分だ。ディーゼル電気機関車用に開発したギヤボックスが一番小さいので、それを入れたが、ぎりぎりである。当初はギヤボックスで回転軸を平行に持ち上げる予定であったが、とても入らない。また、横から見えるのは避けたい。既存のテンダの上廻り構造変更も避けるべきなので、チェイン・ドライヴとした。

swing motion link もう一つ、このテンダには特筆すべき工夫がある。先台車の心皿がドライヴ・シャフトに干渉する。即ち、心皿のキングピンを長孔の中で左右動させることは、不可能である。この写真の左の写っていない部分にもう一軸ある。それは先台車の前軸である。キングピンは存在しない。

 設計時にそこに気付いたので、リンク機構による左右の偏倚を採用した。当然、偏倚時に所定の角度の回転をさせる。心皿の代わりに、種類の異なる平板を置いて摩擦を減らし、モリブデングリスを少量塗った。滑らかに偏倚する。

swing motion linkage1 ある程度の回転があれば良く、フランジが確実に触っている必要はないので、そこは割り切った計算にした。むしろ、5軸台車の方が苦しい。本物も後進では脱線し易いが、当然だろう。これは、Low-D採用のおかげで脱線しない。軸の左右動を少し許した。

swing motion linkage2 リンクの長さはS氏に検証してもらった。最近はコンピュータの画面上でシミュレイションが可能だ。この図は、northerns484氏に描き直してもらったものである。リンクは、寸法的にはこの通りだが、実際には台枠に当たる可能性があるのと、絶縁車輪のタイヤに触れるのを確実に避けるために逃げている。下の図は2800R上の挙動である。

 この図でわかるように、5軸台車は軸方向の動きを許す構造でないと脱線する。

2020年01月16日

続 ”Super 800”

 問題はテンダである。キャブが伸びた分だけ、台枠を伸ばさないと連結できない。今まで ストーカ・エンジンが入っていた部分は、水と重油で置き換えられる。容量は 23,500 gals から、25,000 gals(94.5㎥)になる予定だったとある。体積を計算すると、既存のもので賄える大きさであったので、手を入れたのは、前部デッキだけである。機関車とテンダの長さは 12 mm(580mmほど)長くなる。薄い板では壊れるので、4 mmの板から削り出して、銀ハンダで付けた。そのすぐ後ろの床に大きな開口部があるので、太い材料で枠を作り、耐衝撃性を持たせた。オリジナルより丈夫になったはずだ。

 友人は、例の慣性増大装置を入れよ、と言った。その点はなるほどと思った。他に例がない。コンテストでそれを評価させることができれば、大きな前進だ。5軸イコライザは作ってあるが、作動の自由度が大きすぎて、素人が持つと外れてしまうことが考えられる。個別スプリング式で行くことにする。コンテストの審査会で壊れてしまっては、元も子もないからだ。冒険は避けたい。

Flywheel (1) フライホィールの材料は入手してあった。廃金属回収商で買った外径 47 mm、内径 20 mmの砲金の中空材である。水道部品製作用の連続鋳造品で、均質である。長さが300 mmほどあるので、旋盤のチャックに銜えて心を出し、内外を削った。同心であるから、フレはない。中削りは神経を使うが、正確にできた。質量は980 g  である。支持は5 mm軸で、ラジアルとスラストのボールベアリングを付けている。本当はもう少し太くしたいが、例の撹拌抵抗のことを考慮して、なるべく細くした。
 テンダ中にはボールベアリングが、46個使われている。


2020年01月14日

”Super 800”

 Union Pacific鉄道は、大型の4-8-4(four-eight-four FEFという)を採用し、類稀なる信頼性の高さを誇っていた。これは、高出力、長大な航続力、低メンテナンスの点で、世界最高の性能を持っていたことは間違いない。その他の鉄道会社は、UPほど高頻度の長距離高速運転をしていなかったので、比較しようが無いのだ。Tom Harvey は、 その実力を称して、"flying machine"と言った。

 その圧力は300 lb/insq(約21気圧)であった。新型は350 lb/insq(約24気圧)を予定していた。想定される連続最大出力は6500馬力以上であったそうだ。これの単機で、当時の特急に使われたディーゼル電気機関車の3重連の出力を凌ぐのである。 

 機種名はFEF4、”Super 800”である。20輌を発注するつもりだったらしい。このあたりの情報はDon Strack氏から聞いたことを基にしている。当然Tom Harvey からの情報とも重なる。設計者は1946年にイギリスに行き、帰りの飛行機が落ちたため死亡した。同時にこの計画は廃案になってしまった。

 外観の変化は、Franklin式ポペット弁、4本煙突、allweather cab(密閉式キャブ)Worthington式給水加熱器、小さな除煙板、重油テンダ、シールドビームである。ある程度の図面を描くと、テンダの下廻りにはかなりの変更点が生じることが分かる。キャブが伸びた分だけ、テンダの下廻りを延長しないとつながらないのだ。

 一番面倒だったのは、キャブの形である。このような大型機の場合、キャブの後ろを絞らなければならない。オウヴァハングが長いと曲線(たいていは分岐)で隣の車輛に当たってしまう。何機種かの図面を確認し、実際に作図して当たり具合を調べた。

Modified UP 9000 cab UPの9000という4-12-2のキャブは、驚くべき絞り方をしている。機炭間のバッファを更新した時に12インチ(約300 mm)の延長が必要になり、その分キャブをうしろにずらすことが可能になった。それまではキャブ内が狭くて困っていたので、これ幸いとキャブを後ろに下げた。ボイラの後端が、相対的に前にずらされたのだ。
 そうすると、ただでさえ、ボイラが太くて前が見えなかったのが、余計苦になった。思い切ってキャブ前端を最大限に膨らまして視界を確保すると同時に、後端を伸ばしたことにより当たる分を、狭くしたのがこれである。12輌ほどがこの形に変更されている。

 過去のTMSには、日本型の 4-8-4 などの空想大型機の作例がいくつか載っていたが、どれも建築限界に当たりそうである。レイアウトで実際に走らせていないと、こういうことには気付かない。さすがに祖父江氏の機関車は、正しく絞られている。

 ベースになった模型は、以前テキサスから持ち帰ったFEF3で、事故車であった。かなり修復してはあったが、ひどい壊れ方をした部分があり、ボイラは一部新製するつもりであった。煙突、煙室、キャブ、ヴァルヴ・ギヤは捨てて作り直した。
 これらはハンダを剥がして、板を延ばし、新しい板に寸法を写し取って新製した。当然設計変更をしている。パイロットは更新した。
 機関車内に、ボールベアリングは34個使っている。滑るように走る。

 クイズの正解者はLittle Yoshi氏とRailtruck氏のお二人であった。Little Yoshi 氏はかなり早い段階から正解を出された。”UP” ”4本煙突” ”Poppet” で検索すると見つかったそうである。 

2020年01月12日

続 500時間

 最初の10日間は、資料を再度読み直す調査期間とした。イギリス、フランスの文献を探した。ドイツには参考になるものは見つからなかった。
 その機関車には、高速時の高出力が求められていた。それには poppet valve の採用しか、解決策が無い。ワルシャートやベイカー弁装置では、成しえないものである。これらは弁が徐々に開き、徐々に閉じる。力が要る瞬間に、蒸気が少しずつしか入らないようでは、出力が出ない。大きな開口面積で、大量の高圧蒸気が瞬時に流れ込んで、ピストンを押せば、出力は増大する。高回転の旅客用の大型蒸機に求められる性能である。貨物用機関車には縁が無い話だ。

 その後は設計に没頭した。数十枚の図面を描いた。すべて方眼紙に手描きで描いた。今回はフルスクラッチ・ビルディングではないから、寸法の採取には大変手間取った。リンクの長さを決定するのには苦労した。寸法を決めておけば、材料の選択、加工の時間を節約できる。使う材料は選び出して机の上に順に並べ、取り出しやすくした。机が広いのは有難い。博物館には広い机が沢山ある。
 工具類、特にリーマ、タップ類を点検した。ボールベアリングは十分にあったから、注文せずに済んだ。この種の準備に時間を割くことは、後の作業時間を大幅に節減できる。工作の途中で材料や工具を探すと時間がもったいない。 

 ポペット弁は、アメリカではNYC、Pennsylvania、C&O、AT&SFなどに採用例があるが、その数は多くない。この機関車が必要とされたのは、対日戦争勝利後の旅客需要の増大に対処するためである。当時の大陸横断は鉄道によるものが大半で、ディーゼル電気機関車の出力不足、信頼性の低さには参っていたのだ。やはり、信頼性の非常に高い蒸気機関車を高出力化することが、当時としては最良の案だったのだ。

 ポペット弁に関する情報は日本では極めて少なくて困ったが、工学エキスパートのT氏からお借りしたイギリスの本に、参考になる記事が見つかった。Franklin式を採用することにし、valve chestを切断した。

removing valve chest 作り始めて気が付いたが、改造をするべきではなかった。シリンダブロック全体を新製すべきであったのだ。今回は時間がなく、そのまま突っ走ったが、いずれ3Dプリンタにより、文句なしのものを作って嵌め込むつもりだ。 この写真では既に先台車は新製され、Low-Dを装備している。
 また、ワルシャート式リンク機構は外され、スライドバァの保持枠も余分なところを切り捨ててある。この後、クロスヘッドは作り替えられる。

2020年01月10日

500時間

 昨年末、ある機関車を作った。正味2箇月しか時間が無かったのだ。500時間で作らねばならなかった。各単元分野の仕事は、大体の時間が計算できるので、工程表を作れば、製作可能かどうかが分かる。

 9月末に、親しい友人からその話が持ち込まれた。コンテストに出せ、というのである。筆者のコンテスト嫌いは知られていて、過去一度も出したことが無いし、今後も出すつもりがなかった。友人は、
「このまま逃げ切るつもりか。お前は作品を出すべきだ。世界の模型界に影響を与えた過去の作品群も、コンテストの入賞作であったら、日本国内でのインパクトがさらに大きかったはずだ。コンテストに出てないから、山崎氏が意図的に無視したので広まらなかった。」と言った。
「でもさ、それを審査する人達の資質の問題があるんだよ。外観ばかりじゃないか。自宅にレイアウトを持っていないような人が審査するんじゃ、意味は無いよ。こちらは最高の走りを実現することが目的だ。外観なんてそこそこに出来ていれば十分だと思っているのだからね。
 過去の実際の入賞作には、構造が根本的に間違っている作品が多々あったことは前にも話しただろう。審査する側に能力が欠けていることは明白だ。そんな人たちが審査するコンテストなんて、意味がない。」 
と蹴飛ばしていた。
「それじゃ、内容を審査するように、説明をちゃんと付ければよい。実際に走って見せて、驚かせればいいんだろう?」と畳みかけられた。

 その後主催者側に通じている人に聞くと、運転して審査するということだったので、それならやってみるか、ということになった。


 作ろうとしているモデルは、実際には製造されなかった機関車なので、どうあるべきかを考えねばならない。資料は集めてある。関係者からの情報を精査し、ありうる形にしなければならない。その機関車は、当時の最先端の技術を採り入れた史上最強力の機関車であった。誰も模型化していない。雑誌に紹介記事が載るのだが、例によってBenett氏の絵があって、いくつか間違いが含まれている。蒸気機関車の構造が全く分かっていない人が描いた絵などには価値はない。

 その話をすると、
「それじゃちょうど良い。むこうが『恐れ入りました。』というものを作ればいいんだよ。」
とけしかけられた。

 さて何を作ったのだろう。正解者は今のところお一人である。かなりヒント発表されているのだが。

2020年01月08日

エアブラシの保守

airbrushfixing airbrush hose Badgerのエアブラシを使っている。もう20年も使っているから、かなり擦り切れている。先日、使おうと思ったら、細いホースの根元が切れていて、空気が音を立てて漏れ出している。仕方がないから、根元で切り、金具を押し出して嵌め直した。3 cmほど短くなったが再生された。

 このエアブラシの欠点の一つは、ボタン(空気を出すボタン)の丸い部分が外れやすいことだ。そのボタンはどこかに行ってしまった。外れていると、指に痛い。

 思い付いて、コンパスの針の締めネジを付けて見たら、ぴったりである。このネジは0-80であろう。1.5 mm位だ。
 これより少し太い1-72というのは1.8 mm程度のネジで、通称1番と言う。1インチにネジ山が72個ある。それより細いのは0-80である。1-72、0-80は、昔からO、HOのパンタグラフのネジとして知られている。それがコンパスにも使われていたとは思わなかった。これより少し太いのは2-56である。2.1 mm程度である。
 このあたりのインチネジは昔はいたるところに使われていたが、我が国では、もう痕跡すらなくなった。しかし、コンピュータ部品には使われているそうだ。

 博物館は元文房具店の店舗を利用している。売れ残りのコンパスの部品などが見つかり、その用途を探していたところだ。ちょうど良かった。のちに別のネジを見付けたがそれはメートルネジで、M1.6 のようだ。要するに、合うものがあるかもしれないという程度の情報である。お役には立たないかもしれない。 

2020年01月06日

ワッシャを作る

 ワッシャを作る人はまずいないだろうが、時と場合によっては作らざるを得ない。外径9.5 mm、内径 7.0 mm、厚さ0.3 mm のワッシャは売っていないし、たとえ既製品があったとしても、プレス製で平面度が低い。
 メインロッドとコネクティング・ロッドの間に挟みたい。色はブラス色は避けたい。快削のステンレスは持っていないので、洋白の板から作った。色が良くないが、仕方ない。作り終わってから写真を撮ってないことに気が付いたので、別の部品を作るときに撮り直した。作り方を紹介する。

turning1turning2 まずΦ10のブラス丸棒に洋白の t1.2を二枚ハンダ付けし、水洗いする。こういう時には炭素棒で付けるに限る。但し洋白板は熱伝導が良くないので熱が廻らず融かしてしまう惧れがある。ブラスの方を加熱する。
 コレットに銜え、角を落として所定の寸法にする。快削ではないが簡単である。
 
turning3turning4turning5 センタ・ドリルでセンタを出し、Φ3のドリルで穴あけをする。炭素棒で挟んで加熱し、挽物を外す。ドリル穴付近で塑性変形して、二枚が喰い込んでいるので、外れにくい。熱いうちに木槌で叩いて外す。

turning6 リーマを通し、ハンダを油目ヤスリで取るとできあがりだ。この間8分。慣れれば早い。この丸棒は、コレット全長の長さが必要である。短いものを先端だけで掴むと、正確に銜えていないことがありうるからだ。あるいは、短いものを掴むときは、コレットの反対側に別の同径の短いものを銜えても良い。

turning7 何に使うのか。この部品である。手前の人形その他は無視されたい。向こうのロッドのビッグエンドの留め環である。人形はこの後、姿勢と色とを調整した。


2020年01月04日

マボーコー

磨棒 ボ−ルベアリングを装着する軸が必要であった。生憎、必要なサイズを切らしていた。
 表題の店に電話して、手に入るサイズを聞いた。漢字では「磨棒鋼」と書くのだ。昔、初めてこの発音を聞いた時、中華料理の名前かと思った。一般には「磨き棒鋼」と言っている。あるいは「シャフト屋」である。

 Φ2から、2.5、3、4、5のステンレスSUS304シャフトを注文した。長さは2m単位である。もう少し太いものだと 4 mだから乗用車には載らない。その場で半分に切ってもらって、持ち帰る。ワンカット150円くらいだと思う。細い物はボルトクリッパを持って行って自分で切る。
 写真は添え木に縛り付けたものを示している。裸で渡してくれるわけではない。ちゃんと曲がらないように配慮してくれる。

 この手のシャフトは、すべてマイナス公差である。まかり間違っても表示寸法より太いことは無い。ミニチュア・ボールベアリングは滑り嵌めが原則である。ミシン油を付けて、にゅるにゅると入るのが正しい寸法だ。するするでは駄目なのだ。
 彼らは専門家であるから、よく知っていて、何も言うことはない。

 一般人には縁遠い店だが、筆者はよく行くので、ついでがあれば購入してお分けする。上述の寸法であれば、手持ちの物を切って、即納できる。長さはレターパックに入る長さを基本とする。ボールベアリングを普通鋼のシャフトに嵌めるのは避けたい。普通の保管法では錆びて抜けなくなるからだ。

 蒸気機関車の車軸用の、SUS303材の末端を加工したシャフトを注文する必要がある。どのくらいの価格で応じてくれるか、楽しみである。
 動輪の嵌替えは、最適の材料、工具、テクニックが無いと難しい。今までは祖父江氏がやってくれていたが、筆者が引き受けざるを得ない状況になってきた。ノウハウはすべて受け継いだ。問題は動輪を掴むコレットの種類があまりないことだ。80インチ、63インチはできる。他のサイズ用は作らなければならないが、そのコレット材料がないので、ebayで探している。

2020年01月02日

伊藤 剛氏の折畳み貨車

剛氏の折畳み貨車  (1) 昨年折り畳み貨車を友人のF氏に見せた所、「僕にレストアさせてほしい。」と申し出て下さったので、早速お願いした。
 年末に届いたので、封を開けてびっくりした。素晴らしく綺麗だ。最近の画像複製技術の進歩で、本当に木で出来ているのかと思うような仕上がりである。
 ドアヒンジは各扉2箇所の時代があったのだ。小型ドアは2枚、大型ドアは3枚であった。

 2016年に、剛氏のところからお引き取りしたものを順次開被して、確認していた。そこで出て来た時には、修復は難しいと思っていた。塗装を全部剥がしてハンダ付けをやり直し、側面を新製すると、もうそれではレストアではなくなってしまう。

剛氏の折畳み貨車  (3)剛氏の折畳み貨車(2) F氏は塗装を温存しながら、綺麗に洗い、完璧なレストアをしてくれた。裏表で異なるサイドを持つ。ありがたいことである。この貨車はあと4輌ある。いずれ修復して戴けるもしれない。今後様々な点で、お世話になることが多くなるだろう。

 問題は台車である。オリジナルのダイキャスト台車枠は劣化が進み、使えないものがある。さりとて、それを現行品にして、しかもLow-Dにしてしまうのは気が引ける。台車を複製するという手もあるが、それは気が進まない。

2019年12月31日

余分のハンダを取る

 ハンダというものは、すべての接続部を満たしていなければならない。隙間があればそこから錆びる。大きな平面に小さな平板を付ける時、側面から半分しかハンダを入れない人は多い。いずれ剥がれて、泣きを見る。完全に付けるべきだ。

 しかもハンダは富士山の裾野のようになだらかに広がる必要がある。そうなっていないと完全に入ったという証拠にはならない。それでは形が良くない。部品の側面が垂直になっていないといけないという部分には、良い方法がある。 
 電線をほぐして銅の心線だけ取り出し、良く捩じっておく。それに塩化亜鉛を少しつけ、炭素棒あるいは熱い鏝で押さえつける。余分のハンダは99%吸い取られて、エッジが出る。あとは磨き砂で磨けば、綺麗になる。
ハンダの色が見える」と言う人は、どうぞお好きなようになされればよい。

 先月号のTMSに名取氏が、コンテスト応募作品の開封時に壊れているものが多いことを紹介している。それはハンダが廻っていないということである。筆者はいかなる部品も、それだけで全体をぶら下げられる程度の強度で付いていることを確認する。こうしておけばまず壊れることが無い。

2019年12月29日

リーマ

reams reamer と綴るが、アメリカ人の大半はreamと言う。なぜだろう。

 先日博物館に来てくれた友人(日本人)にリーマを見せたら、「始めて見た」と言った。これには驚いた。
 今までドリルで孔をあけて、軸を通したと言う。それではいけない。リーマを通さなければ、軸受にならない。油膜が切れてしまうからだ。

 筆者は1 mmから12.7 mmまで、かなりたくさんのリーマを持っている。シャフトを通すところには全て必要だ。傷をつけないよう、大切に保管している。
 継手など旋盤で作っても、その内側を平滑にしないとシャフトが通らない。ミシン油を塗って組む。油膜が必要である。

 ドリル寸法が公称値よりわずかに細いことは、知られている。即ち、ドリルで孔をあけてもシャフトは通らない。リーマを通す前提になっている。使っているシャフトの寸法のリーマは持つべきだ。

 ロックタイトを使うときも、リーマを通して滑り込みにし、そこに浸み込ませると世話が無い。その程度の隙間に入るように設計されているからだ。

 圧入する時は微妙に細いリーマを使う。リーマは 1/100 mmピッチで揃っているし、特注寸法も買える。ドリルであけただけではダメなのである。
 昔何かの記事で、ドリル孔をそのまま使えば、細いリーマを使ったのと同じ効果で圧入に使える、と書いてあった。これはとんでもない間違いで、拡大鏡で孔の内側を見れば、あまりにも違うので驚くだろう。細密工作が自慢の方達なのが、基本的なことをおろそかにしている。
 圧入用の少し細いリーマは、特注しても3、4千円程度で買えるものである。

2019年12月27日

四角棒を削る

 ユニヴァーサルジョイントのちょうど良い長さのものが無いので、スプラインを作り直した。既存のものを分解して角棒を作り直せばよい。 

turning square rod 旋盤のコレットに四角棒を銜えた。自宅の旋盤のコレット群はアメリカ製で、6分割になっているから、六角棒は具合よく銜えられる。博物館のは8分割であるから、四角棒を銜えられる。本当は多少傷が付くので避けるべきなのだろうが、表面を磨くので問題ない。

 快削材なので調子よく削れて、短いスプラインができた。伸縮は僅かに0.8 mm以下である。ガタガタのユニヴァーサル・ジョイントを使えばスプライン無しでも行ける範囲だったが、音がするのが許せないので、この方法を採った。

 ごく狭い範囲の軸ずれを吸収するには、例の六角ジョイントが良い。これも部品を作る。六角棒を削って作るのだ。六角ジョイントの構造は、先が丸味を持っているヘキサレンチを考えれば良い。多少の傾きを吸収する。角速度は、厳密には一致しないはずだが、角度が小さいので、無視できる範囲にある。実際に使ってみて、振動、騒音は感じられない。かなりうまく出来たものであると思う。

2019年12月25日

続 洋白材を削る

milling 3 横から見るとこんな形をしている。土台の 2.6 mm厚のブラス小片との対比で大きさがお分かりであろう。溝や穴は0.35 mm彫り込んである。


 removing soldering ハンダを外すとこんな形である。周りをヤスリで削って成型する。この種の仕事に使うヤスリはセイフ・エッジを持たねばならない。それがあれば、簡単に削れるし、失敗が無い。これの縁をさらに薄く削り、例の丸アンヴィルに載せて、ゴムハンマでぶん殴るとできあがりである。丸みが大切で、ここがうまく出来ていないと密着しない。

finished これが完成品である。ここまで来るのに2時間もかかった。これは蒸気機関車のボイラ・ジャケットに付けてあるステップである。飛び出している状態と、畳んだ状態があるのだ。出ているものは7個あった。畳んだものを用意してあると思っていたが、どうしても見つからない。板材を切って貼り、ごまかすつもりであったが、置いてみると不自然だ。結局彫り出すことにした。ロストワックス部品というものは高価であるが、自作するともっと高くつくという事例である。

steps 完成品を貼り付けるとこんな状態である。例によって、完全なハンダ付けがしてある。絶対に剥がれない。付着したハンダは吸い付けて、磨き砂で磨けば取れる。ちなみに黒いのは炭素棒の粉であるからすぐ取れる。吸い付けるというのは別項でいずれ紹介するが、毛細管現象を利用するものである。


2019年12月23日

銀ハンダ

 ほとんどのハンダ付けは 63%のスズを含むハンダで行う。流れが最高で、薄く付く。この薄さが強度確保につながる。ハンダの厚さがあると弱い。これは接着剤の働きと同様である。スズとの合金層だけでくっついている状態が望ましいのだ。こういう接着をしようと思うと、十分な加熱が必要で、炭素棒を使えば簡単であるが、鏝ではなかなか難しい。

 他のハンダは使わないのですか、という質問を受けた。盛らなければならない時は50%のものを使う。フレイムを組むなど強度が必要な部分には銀ハンダを用いる。3.2 mmの板を直角に付けて、しかも力が掛かる部分(端梁など)はこれに限る。そうでないと連結時のショックで疲労し、取れてしまう。

silver solderingsilver bearing solder 今回は台枠の作り直しがあったので、銀ハンダをかなり使った。できあがりはロウ付けに近い。実は筆者はロウ付けは得意なのだが、あまりやらない。銅合金はロウ付けで全体に熱が廻り、焼き戻されるのを避けたいのだ。Oスケールは比較的大きく、モーメントが大きいので、くたんと曲がってしまうことがある。そういう点ではHO以下では便利な手法ではある。

 煙室戸にヘッドライト支えを付ける時など、ロウ付けすると固くて良さそうだが、ハンダでも十分な結果を得ている。イモ付けより、ピンを入れておくことだ。そうすれば落としても壊れない程度の強度がある。もっとも、十分に熱が廻らないと意味がない。良く削って新しい面を出し、機械的に接続された状態で保持し、加熱する。炭素棒があれば言うことは無い。

2019年12月21日

洋白材を削る

 ロストワックスの部品が足らないので、それらしく自作する羽目になった。機械加工で作る。1.2 mm厚の洋白材をブラスの2.6 mm厚の切れ端にハンダで貼り、それを縦フライスの万力で銜えた。この洋白材は快削だと信じていたが、そうではなかった。 

milling 1 刃はΦ1.0 とΦ0.5 である。細い工具には回転数が必要であるから、ベルトを掛け替えた。結果はこんな調子である。普通のブラスよりはマシであるが、粘りがある。切粉がさらさらとは出ない。

 DROの数字は事前に何度も検算し、間違いがないことを確かめる。初めの(0,0)点を決め、刃を降ろす前に計算値の通りに一周して、ワークからはみ出さないかを確かめる。

 切削はすべてDROの読みだけで行うので、ワークはあまり見ない。というよりも切粉が山盛りで、見えない。荒神箒(こうじんぼうき)で払っても取れない。Φ0.5を使うので、回転は最高、送りは最小である。7 mmx4 mmを一周するのに10分かけた。
 荒神箒は旋盤などでの快削材の切粉払いには最適である。最近はあまり見かけない。見付けると買い占めて、仲間で分ける。

milling2 周りは太い刃で削り落とす。さて、何を作っているのだろう。

2019年12月17日

非快削材を削る

快削ブラス 複数枚の部品が必要な時は、板をハンダで貼り合わせて切り抜く。糸鋸でも良いが、フライスが使える物であれば、機械加工の方が楽であるし、正確だ。刃の太さを考慮した図面を描き、基点を決めて切削を開始する。刃が細いので、回転は最高に上げる。

 この4つの孔はハシゴになる。正確にケガいて糸鋸で切っても、不揃いになるから面白くない。昔は念入りに切って、ヤスリ掛けをした。最近はDROを使って機械で切り抜く。半径 0.5 mmのRで抜けるから、丸い形の物はそのままで良い。
 これは快削材であるから、すいすいと切れてバリもない。

快削 非快削 次の部品を切り始めたら、それ(右)が快削でなかったようだ。もう少しであるのに、くしゃっと行ってしまった。腹が立つが仕方が無い。捨てて、快削材で作り直した。ハンダ付けが全面にされてなかったことも原因の一つだが、粘る非快削材であったことが大きなファクタである。

ladder 出来上がったステップの踏み板は、薄手の滑り止めの付いたエッチング板があったので、折り曲げて貼った。間隔が揃っているので、気持ちが良い。こういうものは機械加工には敵わない。
 この種のステップは、蹴込みの深さも大切だが、向こう側に板があって、足が滑り込まないようにすることが義務付けられている。その板は連続であったり、分かれていたりする。この安全基準が設けられたのは1940年頃だ。
 Alco社の図面を参考にしたので、間違いはなかろう。

2019年12月15日

whistle support

whistle support 汽笛は斜めに付いている。配管は前の方からスーパ・ヒータを避けて、後ろに来る。場所がないから、汽笛は斜めにせざるを得ない。この手法は日本のC62で真似をしている。こんな長い汽笛を、単に斜めに付けると、モーメントが大きいので振動で疲労して根元が折れてしまう。必ず先端にサポートがある。これが付いていないと、見た時に不安感がある。しかし、サポートを付けた模型には殆ど遭遇しない。

whistle support on FEF1 模型を見て、本物を想像し、その機能、作動を考える。ありえない形をしていると、気持ちが悪い。今回の製作では、特にそこに留意した。この写真は、土屋氏と行った時に Council Bluffで撮ったものだ。支えは1/4インチ(6.35 mm)の鉄板である。意外に厚い。

 昔から汽笛の位置には興味がある。
 Tom Harvey は、「湯気で視界を妨げられるのは、許せない。」
と言っていた。
 手元にある機関車を見ると、大半の機関車では、汽笛は左側(要するに機関士席側ではない方)にある。中心線上の時は、ついたてを立てて、湯気が直接には流れて来ないようになっている。UPの大型機では煙突直後にあって、前に傾けている。この場合、湯気は煙突の方に吹き出し、排気と共に上に向けて飛んでいくのだろう。

 小型機ではキャブの真前にあるのが普通だ。安全弁もそこにある。この場合は速度が小さいので、問題は起こらないだろう。キャブの近くだからやかましい。ついたてを付けて、音を反射するようにしたものがある。 

2019年12月13日

aftercooler

aftercooler しばらく前に作った部品が出て来た。Challenger用に作った部品だ。空気圧縮機で作った高圧の空気が熱いので、これを通して冷やす。日本では単なる蛇管であるが、この機関車は大きな圧縮機が2台もあるので、このフィン付き放熱管を通して冷やす。後ろに置いてあるshield(盾)の背後に置かれる。ゴミやほこりが付くのを避けるためである。

 本物によじ登ってみるチャンスがあったので、写真を撮って寸法を測り、その通りに作った。配管は実物通りで、縦横にU字型のパイプを付けた。 これだけ見るとなかなか良い。ただし、機関車に取り付けるとほとんど見えなくなる。

 チャレンジャではヘッドライトの下になって、ますます見えなくなるが、今製作中の機関車なら多少見えるので、これに付けることにしたのだ。

cab interior (1)cab interior (2) 運転室の内装もある程度作った。凝っても仕方が無いが、窓から見える部分は作った。35年前に作った 4-8-4 にはキャブの吊りボルトまで入れた。今回は oil burnerだから、焚口戸は簡易型である。この写真はしばらく前のもので、現在はもうすこし実感的になっている。ブレーキ・スタンドが大き過ぎるので切縮めたり、スロットルとか砂撒き装置、その他を追加した。どの部品も完全にハンダを廻してある。絶対に外れることが無い。まだ洗ってない状態で写した。黒いものは炭素のかけらである。

 洗口栓を付けるがミソである。それらしい部品を7つ作ってつける。ロストワックス鋳物は、似たものを探して切り継いで作る。すなわち、あまりまじめに考えないようにしている。 それらしく出来ていれば良いのだ。ただし、正しい位置になければならない。locomotive  cyclopedia は毎日ひっくり返して見ている。

 今回はメカニズムが主体で、外観は添え物である。シリンダブロックはブラスで作ったが、いずれ3Dプリンタで作り直す。あまりにもややこしい形で、ブラスでは作り切れない。

2019年12月11日

inspection car

 インスペクション・カー(巡察車と訳すことになっているらしい)の話題が出たので、いくつかの写真を見た。F氏が送ってくれた写真を見よう。

Inspection car この写真は東欧のハンガリィで写したものらしい。元車はアメリカ製だ。車種は、今一つ正確には分からない。排障器が目立つが、接地ブラシはついていない。

 アメリカでこの種の車を見ることがたまにあるが、非常に大きな接地ブラシが付いている。たいていは前後左右に4箇所ある。それは信号装置による検知を確実にするためだ。左右のレイルを跨いで鉄車輪が載っているが、軽いし、多少錆びているから、電気の導通が良くないかもしれない。だから、銅の太い網線で作ったブラシをネジとバネで押えている。

 Inspection を巡察としたのは、初期のTMSである。日本の鉄道模型界では巡察車で通っている。どうして巡という文字が入ったのかはわからない。視察とか検査と訳すのが普通だと思う。巡察を英語にするとpatrol であろう。
 
 昔見たのは、UP色の黄色であった。屋根上に赤の大きな警告灯とサーチライトがついていた。作ってみたい。小さな車輪を挽かねばならない。径を揃えるのは大変である。1/100に拘らなければ簡単かもしれない。サーチライトと人形の首が連動して動くようにしたい。やりたいアイデアはいろいろある。   

2019年12月09日

続 HOゲージャの訪問

 夫人は転車台が見たいと仰る。案内すると、その大きさに愕然とされた。亭主は、「うちには面積がないから難しい。」と言うと、ご不満そうであった。
 その後ろの岩壁を見て「凄い!」と褒めて戴いた。よくある例には、線路の上に山を被せてトンネルを作ったようなものが多い。
 実際の鉄道は山を避けて作られる。実際にある山沿いの鉄道を見ればよく分かるのだが、そうでない模型は多い。

「この山は、本当はこの辺まであったのですけど、線路を敷く必要があって削らなければならなかったのです。半分は発破を掛けて崩し、残りは岩が軟らかかったので擁壁で抑えてあります。」とストーリィを説明すると、なるほどと感心された。色については不思議そうだ。この色のままか、それとも茶色に塗るのかと聞かれた。
 そこでディスプレイ・レイアウトという概念について説明した。色が無くても不自然でない、と仰ったので安心した。逆に実際のレイアウトでは、色が不自然なものが多いのは残念だとのこと。

 転車台のメカニズムを遠隔操作で動かしてお見せした。適当な位置まで廻して、アラインメントをあとで合わせるのを見せたところ、亭主の方が非常に感心した。
「どちらから来ても、必ず合うのだね。凄い!」
と興奮した。シャフトの太さについても正しい認識を持つ方であったので、殆ど説明することなく理解戴けた。細いシャフトはダメなのである。また、必ず回転橋の両端が線路の高さと合うことも理解戴けた。大きさがあるから、外の線路と高さが合うと、自然に橋の質量による捻りで馴染んで、もう一方も合う。剛性を少なくした設計にはなるほどと納得してくれた。

2019年12月07日

HOゲージャの訪問

 HOの友人が夫人を伴って来訪した。
 かねてから、夫人はこの博物館のレイアウトのことを聞かされていたので、「どうしても見たい」といらしたようだ。120輌が音もなく発車し、ドラフト音を響かせながら坂を登って降りて来るのをご覧になって、大変驚かれたようだ。
 御亭主に、「どうしてうちのは短いのに、ここは長くても牽けるの。」と質問された。彼の自宅のレイアウトには、電車を中心に車輛が走っている。

「すべてが違うんだよ。車輪旋削の精度、材質、軸受の精度、歯車の設計、モータの種類、すべてが全く異なるのだ。」と彼が答えると、「HOでもできないの」と聞く。
「残念ながらそういう車輪を作る人が居ない。誰か作らないかなと待っているんだけど誰も作らないから無理だ。」と彼が言うと、残念そうな顔をされた。

「『誰かが作らないかな』と思っていても、駄目さ。自分で作らなきゃ。そういう工場はいくつか伝手があるから、紹介しようか。」と切り出したけど、話はそれ以上進まなかった。

 どうして誰もやらないのだろう。研究結果は発表されているので、HO用のヴァージョンを作るだけのことだ。半分の大きさにすると、いくつか予想外のことが出てくるかもしれないが、少なくとも、めっきされた車輪よりはずっと静かになる。

 動力車用の40インチの車輪のネジの嵌め外しを、して貰った。さすがに技術者だけあって、その違いに気が付いた。
「このネジは高精度だ。こんなのは他に例がない。」
 全くガタがないネジで、締まるとき、コツンと当たるともう動かない。軽く締めただけで、そう簡単には緩まない。細目のM4ネジである。車輪の製造所が胸を張って「世界最高峰のネジです。」と自慢したネジである。左右の車輪径が1/100mmの桁まで合っているし、バックゲージ(back to back)のばらつきがない。
 それを言うと、彼は、
「ここまで来ると模型じゃないな。精密機械だね。この静かさには参るね。HOはオモチャかな。オモチャから脱却したいもんだ。」と言った。

 彼は、筆者が上廻りの出来具合にはあまり興味がないことを、良く知っている。模型屋には殆ど行かないと聞いて、夫人はどこに行くのかと聞いた。
「クズ屋です。廃金属回収の店に行くと、楽しいものがたくさん見つかりますから、洗いざらい買ってきます。工作した残りのクズは持って行って売ります。50 kg買って40 kg以上売りますよ。」
と言うと、ずいぶん驚いた。ブラス専用の屑箱をお見せすると、納得されたようだ。


2019年12月05日

japan

IMG_20191204_0002_page-0001 japanとは何を意味するか。大文字ではない "j" で始まるのが、今回の題材である。
 chinaは陶磁器なら、japanは何だろう。常識的には漆(うるし)であろう。

 Union Pacific 鉄道 の古文書を漁っていて、見つけた。1930年頃の客車の内外装に関する文献だ。BURNT SIENNA IN JAPAN とか DARK OLIVE IN JAPAN という名前でそこら中に出て来る。

 Siennaはイタリアの地名で、トスカーナ地方の都市である。地面の色は鉄の酸化物のせいで赤っぽい。それを焼いたものは赤褐色の顔料である。それを漆に分散させたものを使っていたことになる。
 vehicleという言葉が見える。これは乗り物という意味で使う場合が多いが、何かを乗せているもの、即ち溶かしているもの、分散媒という意味である。ペンキで言えば、顔料を沈まないように分散させている油である。1920年代に、漆がそんなにアメリカに輸出されていたとは知らなかった。

 漆はもともとの色があり、他の色の顔料を混ぜて色を出すのはかなり難しかったはずだ。筆者が知っているのは、昭和の初めにレーキ顔料(アルミニウム水酸化物などと共に沈殿させたもの)を混ぜる技術が見つかって、黒、赤以外のものができるようになったことだ。それが同時にアメリカの客車の塗料に使われていたとは驚いた。漆の持つ艶、耐久性が評価されたのであろう。

 この古文書は、蒸気機関車の塗装の変遷を調べるために手に入れたもので、いずれ発表するが、いくつか思わぬ発見があった。

2019年12月03日

天賞堂のキャンペーン

 どうして当選したのか、はっきり覚えていない。Youtubeにいくつか動画を載せているので、それを見て勘違いして連絡が来たのだと思う。正直にOゲージであると返答しておいたのだけど、当選したと言ってきた。何かの怪しい勧誘メイルかと思ったが、調べるとそうでもないらしい。住所を知らせると送って来た。

 箱を開けると、パンタグラフや車輪はプラスティックのようで、ソリッドモデルかと思ったが、中の小箱にパワートラックが入っていた。コアレスモータ使用らしい。これを完成させて感想を知らせよ、ということなのだ。
 3か月以内にSNSで発信してくれたら、品物は差し上げる。オークションに出したら直ちに訴えて取り下げさせる、とある。
 車体キットにウェイトが入っていたのには驚いた。モータライズ・キットに付けるべきもののような気がする。ソリッドモデルには要らないものだ。

Tenshodo 要するに、ある程度のレヴェルの客に商品を配って、感想を述べさせ、宣伝に使おうというわけだ。困ったことに、こちらはHO国鉄型の知識はあまりない。組んだこともないので、どうしようかと悩んだ。天賞堂の趣意書を読むとコアレスモータを使ったところが売りで、これだけを使ったものの動画でも良いらしい。

Inspection car しばらく前に鋳造した inspection car を、これを使って動力化してみようとも思ったが、今忙しいのでそんなこともしていられないし、動力装置を完全自作する方がよほど楽である。


completed 迷っていたが、クラブの会員が集まった時にその話をした。M氏が「僕が組んでみる」と言ってくれたので、お渡しした。彼のレイアウトでの走行の様子の動画を撮ってくれるそうなので、助かる。撮影後は彼の鉄道に移籍する。博物館には置かない。

Campaign 昨日それを持って来て、見せてくれた。パンタグラフは金属製に取り換えてあった。手際よく組んであって、走らせたときの感想も聞いた。牽引力は少ないそうである。電車であるからそれは当然だ。動画が楽しみである。


2019年12月01日

快削ブラス

 最近、模型界では快削ブラスが市民権を得たような気がする。40年前は、おそらく殆ど知られていなかった。大阪の福原金属だけが売っていたという情報はあるが、大半の模型屋で売っているものは普通のブラス板であった。本当に切りにくくて腹が立った。一方、建材の引戸レイルは、糸鋸でとても切りやすかったことが印象に残っている。大きなモータに付いている銘版の廃品を貰ったが、これは粘い材料で、油を付けても切りにくかった。

 アメリカに行くと、ブラス板は少々色が違って緑っぽい感じがした。糸鋸ですいすいと切れるし、シアでは、すとんと切れる。
 性質が違い過ぎて、同じ金属とは思い難かった。日本製のブラス模型の色は赤く、アメリカ製は黄緑色であった。

 日本の材料屋でその違いについて聞くと、「快削と指定して取り寄せてあげるよ」と言う。それならばと、t0.3から順に定尺を全サイズ買った。色は普通材と同じであった。とても使い易く、友人に譲ったりして、その後は快削しか買わない。今は 0.3 mmが市販されていないようである。昔は、この板は時計の歯車用に大量に消費されていた。

 今野氏と知り合ってそのことを伝えると、KKC内部での頒布材料は、すべて快削材になったと言ってよいだろう。いろいろな場面で感謝されることがある。

 しばらく前、クラブの会合に手持ちの半端材料を大量に持って行って、安価で処分した。半分ほどは快削でなかったので、印を付けておいた。そうしたら、買おうとした人が、「えっ、快削じゃないの?僕は快削しか使わないんだ。もう普通のブラスなんて買う人は居ないよ。」と仏頂面で、のたもうた。その言い方にはとても驚いたが、内心とても嬉しかった。皆さんが使ってくれているんだと知って、多少なりとも貢献していることを実感した。これには今野氏の努力が大きい。この記事など、読んでくれた人など殆ど居ないのだから。 

2019年11月29日

快削材のパイプ

 ブラスの材料の話である。たいていのブラス製パイプは快削でない。主動輪のクランクピンにボールベアリングを入れる時にハウジングを作らねばならなかったが、その材は快削でないと無理である。
 35年前にUPの4-8-4 2輌を作った時は、S45Cで作った。明らかに過剰品質である。リーマを通して、つるつるに仕上げて嵌めた。油がいつも注してあるので錆びることはない。
 今回は砲金で作った。たまたま切れ端があったからで、快削ブラスでも良かった。ぴったりの寸法のブラスのパイプもあったが、旋盤には掛からないので諦めた。食い込むからリーマを通せないのだ。

 今回、材料置き場を丹念に探すと、40年以上前にアメリカで買ったブラスパイプが出て来た。11/32、13/32、15/32インチの滑り込みの三兄弟である。試しに糸鋸で試し切りをするとサクサクと切れる。

turning smokestack 煙突を作らねばならなかった。きちんと寸法の出ているものを4本作るのはなかなか難しいから、これは有難かった。快削丸棒から中グリして作るつもりだったから、大幅な材料と手間の節約である。
 外径13/32インチ(10.31 mm)が希望寸法に極めて近いのでこれを使った。チャックでは潰れるので、ERコレットで掴んで廻した。切粉がカンナ屑のようにシュルシュルと出て、見事であった。

 この小型卓上旋盤はまだDRO化されていないので、ハンドルを廻し、ダイヤルの目盛を数えて廻した。久しぶりのことだ。4個は全く同じ長さに無事作成でき、台座にハンダ付けして完成に近づいた。さて何を作っているのだろうか。正解者は今のところお一人である。


2019年11月27日

遠藤機械製切断機の回転軸を削る

turning shaft 5/8インチ(15.87 mm)かと思っていたら 16 mm径であったという現物を預かった。
 筆者の自宅の旋盤は 3/4インチ(19.05 mm)まで通せる貫通穴があるので、簡単に銜えられる。今回は、心が出ていなくても全く問題にならないが、一応心出しをして削った。Set-Tru Chuck は便利である。ブラスの旋削作業をしているので、切り粉を掃除すべきなのだが、今回はごく微量の切り粉しか出ないから磁石で取り除ける。

 やはりSS(軟鋼)は削りにくい。軟鋼は、快削でないブラスのようなもので、切り粉が刃物にまつわりつく。ワークが綺麗に見えない。削ってもざらついて面白くない。これがS45Cなら、硬いがかなり削りやすい材料なのだ。
 快削鋼はとても素晴らしい削り味だが、こういう用途には向かない。ねじ切れる可能性がある。

 他の購入者は無事交換できたと信じたい。折れたら交換する、という方も居るが、それでは意味がないのではないだろうか。折れたら大けがをする可能性が高いのだ。テイブルが付いていると、余計危ないことになる。

 ところで、鋼材屋で聞いた話によれば、我が国ではインチ材が珍しくなった。あることにはあるが、直ぐには揃わないらしい。SS(軟鋼)はよいが、S45Cの材の切り売りは勘弁してくれ、とのこと。買うなら定尺物(4 m)を買ってくれということだ。1万円ほどの価格だ。440 mmにしても、8本しか取れないだろう。刃の厚みもあるからだ。希望者が8台分あれば発注する。


2019年11月25日

シリンダブロックの構造

Mr.Sofue's cylinder block 先日steam chestの話題を出したが、どなたからも応答がなかった。少々難しすぎる問題だったようだ。
 答はさておき、現物を見た人が非常に驚いていたので、その写真をお見せする。


cylinder block construction シリンダブロックの前後の板は1 mm厚で、かなり分厚い。そこにシリンダ前カヴァが付いている。これは挽き物を嵌めて取り付けてあるのだが、かしめてある。突っ込んだ部分に穴があいていて、それをポンチで潰して抜けないようにしている。後ろ側も同様である。こうすれば、ハンダ付けの時、部品が取れて来る心配はない。これはプロならではのアイデアである。

 前後の板はスペイサを入れてハンダ付けしてある。しかもスペイサは縦横2枚入っていて、それに外板を巻き付けてハンダ付けしてある。過剰品質ではないのか、という声もあった。これは祖父江製作所の仕様である。シリンダ部は踏んでも壊れないほど堅固だ。ネジで台枠とボイラを締め付けるので、弱いと狂ってしまうからだそうだ。

 今回、外に巻いてある板を外して一部のスペイサを切り取った。そして新たな部品を 6 mmと 3 mmの板を切り抜いて貼り足した。炭素棒でなければこんなハンダ付けはできない。もちろんバラバラにならないように、ブラスのピンを通してかしめてある。さて何を作っているのであろうか。

cylinderblock covering 巻き付けてある板は、0.5 mmの薄板であるが、巻き始め部分に工夫がある。溝に差し込んでハンダで仮留めし、力を入れて巻き付ける。そうしてから全周をハンダ付けしたようだ。こうすれば隙間は無くなるし、強いものができる。これも祖父江氏の手法である。


2019年11月23日

続 遠藤機械の切断機ハンドルを取り替える

recipro saw 2台目の修理は、まず回転軸を切断することから始まる。砥石で切るつもりだったが、埃が出るのと、火花で火災を引き起こす可能性がある。レシプロ・ソウで切ることにした。たまたま良く切れる刃を入手してある。写真の軸の下に敷いてある合板は、切断した瞬間に刃が下に落ちて、傷をつけるのを防ぐための保護板である。 
 相手は軟鋼だから、30秒ほどで切れる。もちろん切削油はふんだんに注す。

 2箇所切って、カムを取る。片方は簡単に取れたが、他方は動かない。しょうがないから、12トンプレスで押し抜いた。2.5トンほど掛けたら、取れた。これでは、叩いても動かないわけだ。

619_1462 取り出した軸を見てびっくりした。押しネジが少しずつずれて軸が塑性変形している。軸が軟らかいからだ。このように軟らかいものに押しネジを使う時は、縦フライスで十分な平面を作る必要がある。ところが、浅い穴をドリルで掘っただけだから、ずれていくことがある。筆者のように1mmを大量に切る人は傷みやすい。この写真で、片方は数年前に縦フライスで修理した痕が分かるだろう。
 
 今頃になって思い出したが、その時も抜くのに苦労した。ついでに両方やればよかったのに、片方しか加工しなかったバチが当った。軸が膨らんでいるので、プレスで押し抜いた時に、カムに ”めくれ” が生じたのが見える。

Finished! 新しいハンドルは、すぽっと嵌まり、キィを入れると固くなる。うまく行った。これもハンドルの、手に当たるところは削っておいた。テーブル上のものは切り落としたシャフトだ。軟らかいから叩く台にもならない。切り刻んでウェイトにするしかない。


Finished!! これで2台完成だ。この2台の仕様は、すべての点で異なる。カムの留めネジの角度まで違うから、部品の流用はできない。互換性ということを一切考えていないのだ。一台は自宅に持って帰る。

2019年11月22日

中澤 寛氏の死去

 中澤 寛氏の奥様から、訃報を受け取った。あまりにも早く、ただただ驚いた。博物館の完成時には来て戴けるとのことで、お互いに楽しみにしていた。

 中澤氏は2年ほど前から体調を崩され、時々入院したりしていたが、とても精力的に活動されていた。筆者とは頻繁にメイルをやり取りし、例のTMS問題では、今後改善されるのか、ということを心配されていた。

 先月末に、「マイルが貯まっているので、点滴の合間に、来月、Empire Builder大陸横断弾丸ツアーをする予定です。Seattle -> Chicago、金曜発で水曜夜に帰ってきます。往路はSFO乗り継ぎで、電車の乗りつぶしもしてきます。」との連絡があった。その土産話を楽しみにしていたところだ。
 類まれな、手先の器用な方で、アイデアを形にする天才であった。お互いに情報交換をして、楽しい時間を共有できたのは、筆者にとっても幸福なことであった。

 中澤氏は、「走る鉄道模型」を実践された方だ。とはいえ、ディテールの表現、ギミック、塗装は素晴らしく、バランスの良い模型を作られた方である。
 ご冥福を祈る。

2019年11月20日

遠藤機械の切断機ハンドルを取り替える

 頒布元が仮組でもたついている間に、早速組み立てた人がいらしゃる。二日遅れで、筆者も組み立てた。

 ハンドルの孔の内側を仕上げるのは簡単だったが、回転軸を外すのは大変だ。材料がナマクラで、抜こうと思って叩くと太くなる。
 もちろんブラスの塊を当ててから、sledgehammer(大ハンマー)で叩く。そうしないと軸は変形する。助っ人にブラス塊を保持してもらって、10ポンド(4.5 kg)のでゴンとやるのだ。
 
 ある程度まではズレるが、その後が動かない。逆方向に叩いたりしているうちに、軸の先端が太くなってきたことに気が付いた。軟らかい金属塊を当てているのに、である。ひどい話だ。この材料はごく普通の軟鋼である。S45Cではない。修理ができないような材料を使っているのは、だめだ。
 仕方がないから、大きなヤスリで軸端を少し削り、軟らかい材料のボルトを差して叩いて、それで押し抜きした。12トン油圧プレスがあるのでそれで抜くつもりだったが、ふところがあと 30 mm足らず、その方法は諦めた。

 S45C の 5/8 インチの丸棒を注文するつもりだ。今のままでは、押しネジの当たっているところが、徐々に変形してまた抜けなくなる可能性が高い。現在のは、ディスクグラインダで真ん中から切って分割すれば、抜き取れるだろう。ご希望の方があれば、同時に注文すると割安だ。

 ハンドルはちょうど良い大きさの孔に調整できた。軸に縦フライスで5mmの溝を切った。細いエンドミルで中心を削り、両側をゆっくり送って削り、滑らかに仕上げた。

tapping with mallet 組立ては木槌でコンコンと叩いた。ハンドルもキィも、そこそこの固さで入り、軽く納まった。
ということは、抜くことも難しくない。



finished ハンドルはある程度、ディスク・グラインダで削ってみたところ、手に優しい感じである。面積が大きいので圧力が少ないためであろう。丸棒よりずっと気分よく切れる。ちょうど裾の絞ってある電車のような断面になった。黒い箱はLED照明の電池箱である。
 
 とりあえず、ペンキを塗ってみる。その上に何を被せるかは思案中だ。被せなくても構わないような気もしてきた。
 1台完成だ。あと1台が難物なのだ。どうしても抜けないのである。軸を切り刻んでバラすしかない。


 ハンドル購入者から連絡があった。なんと、その方の回転軸はΦ16だったという。5/8インチより 0.13 mm太いのだ。ハンドルの穴を拡げねばならないが、大変だ。軸を旋盤で挽いて、細くすることができるから、それをやってみよう。
 申し訳ないことをした。まさかそんなヴァージョンがあるとは知らなかった。この会社の製品には、一体何種類のヴァリエイションがあるのだろう。



2019年11月18日

工作機械とジグ

 先日来訪した友人が一通り見て、質問した。
「一体何輌あるのか?」
「ざっと機関車が40輌、客貨車が400輌位だろうか。ここにある機関車の大半は土屋氏から来たものだけどね。家には自分の機関車が40輌位あるかな。未完のものもかなりある。」
 この数字には驚いたらしい。

「20代から、機関車は年に1輌、貨車などは月に1輌という目標でやってきたから、そんなものだよ。」
「どれも、みな押して動くようになっているのか。」
「動くよ、ほら。」と何輌かの機関車を押した。
「やらせて貰って良いか。」と聞くので、
「どうぞ。」と許可した。
 UP9000を押して、彼は仰天した。
「こんなに軽く動くの?ギヤが外れているみたいだ。」

 120輌の貨物列車を牽いている時に、登り坂で停まると滑り落ちてくるのには興奮した。
「三条ウォームは逆駆動できるとは知っているけど、こんなに軽く動くとは思わなかった。」
歯型潤滑剤が大切なのだ。歯数も考慮しないとだめだ。手で廻して軽く回るから満足するようではいけない。十分な負荷の掛かった時に、本当に等速運動できないと意味がない。」と言うと、
「そこまで考えないと、この性能は出ないのか!」 と感慨しきりであった。それと走行音がほとんど無いのにも、驚いたようだ。機関車は事実上無音で走る。車輪とレイルの転動接触音だけである。ギヤ比が小さいことも貢献している。伝達効率が良ければ、低ギヤ比に出来る。高ギヤ比は様々な点で損である。

 工作機械、ジグをたくさん用意している事について説明した。
「TMSの100号から300号あたりに沢山の記事があるけど、あの凄い記事に出て来る機関車を走らせても、真っ直ぐ走るのは少ないよ。」と言うと、
「そうかもしれないね。当時は旋盤を使っていないからね。」と納得した。

 ジグの大切さには共感してくれた。quartering jigを使わないで組まれた動輪が、うまく作動するはずがないのだ。
 プロは手間がかかっても、必ずうまく行く方法を採る。素人は、殆どうまく行くはずの無い方法で作って、泣きを見る。そういう意味では、この種のジグを持っている人が仕事を有償で請け負うことは、模型界のためになるはずだ。決して自分だけのために秘匿すべきではない。
 但し、すべてのジグが正確に90度を出せるか、ということは別問題だ。つまり、あるジグで組んだ動軸を、他の物と混ぜると、具合が悪くなることもあるだろう。それぞれのジグによって、何らかの印を付けるべきかもしれない。そうしておけば、”X氏のジグによって組まれた動輪は、Y氏のとは互換性がある”、などということも分かるようになる。


2019年11月16日

続 先台車を作る

new smoke box 先台車はガタが無いように作るのが基本だ。よくできた機関車なのに復元がないというのはよく見る。また復元が効いているのに、車軸が台車の中で左右に動くものがある。これでは何の意味もない。この写真は現在製作中の4-8-4である。steam chest 部分が切り取られているのはなぜだろう。


pilot truck 当鉄道では内側先台車は、すべて共通部品を使っている。細かい部品は、外から見えるところしか付けない。機能を最優先しているからだ。
 ボールベアリングは、台枠にロックタイトで固着する。車軸もロックタイトで留める。片方の軸(ここではたまたま前方)は左右つないだものの中心に溝を切って、台車枠の蓋部分の支点に嵌める。こうして3点支持が完成する。前軸は少し捻ることができるが、左右には全くガタがない。

centering device 中子にはボールベアリングの小さいものを用いて、V字斜面を転がらせる。ほんの少しの偏倚でも強い復元力が現れる。この写真のバネは仮のものである。もっと硬いバネを用いる。

 この台車のボールベアリングは外径 8 mm、内径 5 mmのタイプだ。軸が太いので、グリースの撹拌抵抗が大きいことが危惧された。 
 案の上、完成したものを手で押しても、軽くは走って行かない。押せば動くが、慣性でするするとは行かない。重いものを載せて軸重200 gもあれば、0.5%の坂でも下り降りる。無負荷なら1.6%くらいでかろうじて滑り降りる。このグラフの通りである。

 径の大きなボールベアリングは抵抗が大きい。普段はΦ19の車輪に内径 2 mm 外径 5 mmのボールベアリングを付けていた。2 / 19 であって、テコ比で軽く動くが、今回は 5 / 21 だから重いのは当然だ。
 HOではΦ1.5を使っても 1.5 / 9.5 だから、軽くは動かないだろう。軽負荷ならピヴォットに限るというのは、こういうことだ,
 優秀な旋盤屋で良い材料を使って作ったピヴォットは、極めて優秀な値を叩き出す。

 この先台車も、細い軸にすることはできないことではないが、機関車には思わぬ力が掛かることがある。例えば脱線時に、前につんのめったりする。その瞬間の衝撃力で、軸が曲がることは十分に考えられる。軸はステンレス材なので、塑性変形し易いのだ。細い軸の場合は堅い炭素鋼を使うべきだが、錆びやすいから考え物だ。


2019年11月14日

再度 Four's a Crowd

619_1417Mixt TMS501模型鐵道 No.16 例の映画の話だ。伊藤剛氏から来た図書の整理をしている。”模型鐵道”は大半揃っているが、その中の16号に、”Four's a Crowd” を紹介する酒井喜房氏の解説があった。この映画については、以前ここで you tubeによるダイジェスト版を採り上げた。
 戦前の検閲の厳しい折に、裕福で自由なアメリカの生活を賛美するような映画が封切られたことには、驚きを禁じ得ない。部分的にカットされた状態での公開だったのかもしれない。 当時の字幕スーパーが見てみたいものだ。

 再度検索すると、驚いたことに全編を見られるウェブサイトが見つかった。しかも再生速度を遅くできるので、あの早口が聞き取り易い。

 この映画については400号あたりのミキストだったかで山崎氏が何か書いていたように記憶する。まだ探し出せていないが、手放しの褒めようであった。当時はこれを戦前に見た人が生き残っていた時代であるし、またそのような人が限られていたから、紹介記事を書けることが自慢であったのだろう。

 Four's Crowdの意味であるが、これは英語のことわざ(成句)にこんなのがあることから来ている。これは16世紀から使われている言い廻しだという。”Four’s” は ”Four is” の短縮形である。

 Two is a company. Three is a crowd.

 (恋仲の)二人はうまく行く。しかしそこに三人目が居ると、 意見が分かれてうまく行かない、という意味だ。似たような意味で、fifth wheel というのがある。車輪は四つで良いのに五つ目を付けると、とんでもないことになるわけだ。そういう意味では、大型トレーラのトラクタ後部に付いている回転部分を fifth wheel と言うが、それはこの言葉を知っている人が、わざと付けたのだろう。 


 そこでこの題名だが、四人だったら・・・という、茶化した題名である。
 日本での公開時に付けられた題は ”結婚スクラム” だったらしい。これまたわからない題名だ。本来なら “四人でしっちゃかめっちゃか” くらいが良いだろう。


2019年11月12日

折れない切断機用ハンドル

shear handles 折れないハンドルの注文がある程度溜まったので、発注した。切断機の回転軸の5/8インチ(15.87 mm)径の切れ端、キィ材のサンプルを添えて、切り出しを依頼した。厚板でも正確に切る自信があるとは言っていたが、さすがにキィをそのまま入れる注文は初めてだそうだ。
 うまくやってくれた。レーザの入射側はぴったりだ。油目ヤスリで調整するだけで、するっと入る。反対側はバリが多い。うまく切れているようだが、融けたものが再付着している。送り出す酸素の量を、もう少し増やすべきだったかもしれない。

 反対側は甲丸ヤスリでゴリゴリと出ているところを落とすと、ぴたりと入った。調整に要する時間は、5分ほどだ。

 角が手に痛いので、それはディスク・グラインダで落としてしまうべきだ。ホースの切れ端か、自転車の握りを付けると良いだろう。

 たいていの方はフライス盤をお持ちのようで問題ないが、少数の方はキィ溝を彫って差し上げる必要がある。難しいことではないので引き受ける。

 このハンドルは 19 mm鋼板であるから重いが、レターパック・ライトに入るので安く送れる。郵便屋さんは、持つと驚くだろう。

 少々残っているのでご希望の方はコメントを使って連絡されたい。本文にメイルアドレスを書いてくださると、具合が良い。公表はしない。

2019年11月10日

cantilevered signal bridge

cantilever signal bridge 門型の信号橋は作ったが、線路配置上、cantilever型の信号橋が必要となった。日本語では”カンチレバー”と書かれるが、この発音はなかなか難しい。キャンティリーヴァに近い。片持ち梁のことである。太字を強く発音する。
 この種の信号機はよく見るし、模型もふんだんにある。しかし満足のいく形の物は少ない。その話を northerns484 氏と話をしていたら、図面を描き起こしてくれることになった。
 上の部分は資料があるが、土台部分は写真も少なく、一体どうなっているのか見当もつかなかった。試しにいろいろな絵を描いてもらったが、しっくりこない。

cantilever signal bridge そうこうしているうちに、所蔵の本の中に本物の図面が載っているのを発見し、鮮明な1ページ大の写真を雑誌で見つけた。それで急速に話が進み、図面の完成を待って、2種類発注した。もう一種類も近日中に出来る。ミソはアンカ・ボルトの位置と、その周辺の構造である。フランジを二重にして、長いボルトを土台から飛び出させている。上と下の二段で締め込むから、締結力は強い。その模型構造は非常に巧妙に組まれたパズル的な構成で、すべての部品を差し込むと自然に目的の形になる。間違えると部品が入らないので、必ず正しい形になる。northerns484氏には改めて御礼申し上げる。

cantilever sssignal bridge (1)cantilever sssignal bridge (2) これらの写真は、ステンレスの切り抜き部品を全て組立てた状態で、これからガセットを作って貼り付ける。ハシゴの横木も、まだ付けていない。



 ガセットは小さく、数がそれほど多くもない。キャットウォークは金属製にするか、木製にするかで悩んでいる。木目のエッチング板もあるが綺麗過ぎるのだ。
 この1本は、観客からの鑑賞距離が近い位置に立てるので、皆さんがじっくり見る可能性がある。リヴェットはディカルで表現するものもあるので、それを貼り足してみよう。 

2019年11月08日

laying flexible track

 古い知人のI氏が博物館に来訪した。工事を手伝ってくれるそうで、その下見に来てくれたのだ。 筆者は彼が高校生の時から知っているが、今年定年だそうだ。
 I氏は希望していた電鉄会社に勤め、 駅務から始めて車掌、運転士となり、長い間、特急電車の運転をしていた。そののち助役に昇進して退職したのだそうだ。

 根っからの電車ファンで、高校生の時から出色の作品を作っていた。特急電車の塗装が綺麗で、感心したことを覚えている。彼は今HOのレイアウトを作っている。彼のレイアウトセクションはいくつか見せて貰っているが、とても美しい。電車の運転士をしていたので、電車から見える景色を再現しているのだ。普通の人とは視点が少し異なる。

 博物館で列車をいくつか動かして見せた。120輌が音もなく動き始めるのには、驚いたようだ。ほとんどの車輛がブラス製というのは信じられない、と言った。
 車輪の現物を見せると、とても驚き、「信じられないほど綺麗ですね。」と言った。踏面の仕上げが、めっきとは違うことに気が付いたので、めっきの車輪を転がした音と比較した。既製品の車輪が一つもないことには感銘を受けたようだ。

 何に一番驚いたかと聞くと、
「線路の曲線が美しいですね。完全な緩和曲線が付いていて、しかも曲線の曲率が完全に一定になっています。」と言う。
「僕は運転士をしてましたから、そういうことには敏感です。今までいくつかのレイアウトを見てきましたが、ここの線路は別格です。ケチの付けようがありません。本物の線路のようです。」
と褒めてくれた。
「どうやったら、こんな綺麗な線路が敷けるのですか。いつも曲率を一定にするのに苦労しています。大きなコンパスも作りましたがうまく行きません。」と聞かれた。

 そこで、例のレーザで切り抜いたテンプレートを見せた。本線用の一定曲率のものと、緩和曲線のものを出してきて、実際に嵌めて見せた。彼はとても驚いた。
「これって高いのですか。」
「これは薄い鉄板だから安いよ。使い捨てでも気にならない程度だ。」と言うと、どうやら作ってみる気持ちになったらしい。

 この種のテンプレートは市販されるべきだろう。筆者のは貸し出したことがあるが、例が少ない。HO用は必要な人が多いに違いない。


2019年11月06日

先台車を作る

 先台車にはLow-Dを使うべきである。振れがなく遊びの少ない車輪が、先台車の車輪として適する。それを台車枠にガタなく付けねばならない
 
619_1393 三点支持にして、ローラ式の復元装置を付ける。台車枠はレーザで切ってある。それを底板と組み合わせてハンダ付けする。大きな穴は固定軸である。そこにフランジ付きのボールベアリングを入れる。旋盤で正確に削った車軸を差し込み、ロックタイトで車軸と固定する。

619_1395 可動する軸は、チャンネル材を切ってはめ込む。その両端には角材を押し込んで、銀ハンダで固める。ガタが出ないように注意して、嵌めあい部分を仕上げる。ボールベアリングは両端に専用工具で彫り込んで嵌め込み、車軸を通す。下から中が見えるので、ロックタイトを付けやすい。これで全くガタの無い先台車が完成する。

 中心部を一点で支える。軸距離が小さいので、上下 0.5 mmも動けば上等だ。これで脱線しない先台車ができた。小さいボールベアリングを仕込んだ中子で、上から押さえる。動輪軸の半分程度の軸重を掛けると、実物のような復元力を持つようになる。


2019年11月04日

クランクピンにボールベアリングを入れる

 4-8-4の出力は大きい。牽引力も速度も大きいからだ。主動輪のクランクピンには大きな力が掛かる。1985年頃、大きな仮設レイアウトで60輌ほどの列車を、長時間全速力で牽いていた時に、big endが熱くなった。本物と同じだ。出力が10 W程度もあり、それがロッドを介して伝わるのだから、その摩擦は無視できない。熱を持つのは当然であり、その損失は大きい。ビッグエンドとはメインロッドの太い方を指す。国鉄時代から、現場で使われていた言葉である。
 
 クランクピンは、Φ4 で、それに嵌まるボールベアリングは外径 8 mmもある。ロッドのビッグエンドの外径とそう変わらないから、無理だ。ここに収めるにはクランクピンを Φ3 にして、外径 6 mmを用いるしかない。ベアリングは複列にして転ばないようにする必要がある。即ちパイプ状のハウジングが必要だ。その外径は Φ7 である。それに各種のロッドが、三層にはまることになる。

619_1387 かなり面倒な工作であったが。なんとか押し込めた。この種の工作は3回目であるが、あまり慣れない。


2019年11月02日

display layout

 このブログでは過去に何回かディスプレイ・レイアウト話題を出している。

 景色が付いているレイアウトのことをscenery layout 、走行を見せるレイアウトをdisplay layout と呼ぶ。わが国には前者をレイアウトと呼ぶことだけが紹介されてきた。後者の好例がペンシルヴェイニア州の友人宅にある。色は薄い白に近いグレイであった。

 そのレイアウトは 30 mx15 mほどあり、高架でのベント・ドッグボーンと平坦線の同様の線路があり、渡り線で行き来できた。一周10分弱掛かった。景色がないのは物足りないようにも思えたが、長い列車の走行を見ると満足できる。渡り線の操作で、上下を自由に走らせられるのも面白かった。
 
 シーナリィがないとは言え、築堤部分はそれなりの形をしている。トンネルもあるが、ストラクチュアがない。彼のレイアウトはよく整備されていて、いろいろな人が列車を持ち込んできて楽しむ。勾配があるので、動力機構を改良したものでないとモータが焼ける。

 線路にはバラストが敷いてある。これはゴム製の粒子で、ただ撒いてあるだけである。所定の幅に敷けるように簡単なジグで撒き、刷毛で整えてある。地震がなく、完全な空調が効いているから、砂ぼこり、綿ぼこりもない。気に入らないところは、掃除機で吸って撒き直す。このバラストの視覚的効果は大きい。 

 貨車の車輪はLow-Dになったので、さらに長大な列車を牽けるようになった。土屋氏と訪ねたことがある。土屋氏はとても気に入ったようだ。そこでレイアウト高さの考察もした。
 彼らは背が高いので、テイブルの面は、52インチ(約1320 mm)もあった。高架部の最高地点は、64インチ(約1620mm)であった。15‰の長い勾配を
登って行く様子は、実に素晴らしかった。もちろんDCCでサウンド付きである。
 観客はストラクチュアのないことなど忘れている。 

 勾配、サウンド、長編成が、ここでの大切なポイントである。
 
 博物館の崖の完成した様子をお見せする。岩山に沿って線路を敷き、一部を崩してヤードを作ったという感じがするだろうか。
rock wall (2)rock wall (1)rock wall





2019年10月31日

TMSからの返事

このブログで扱ったTMSへの批判をまとめて、編集長の名取紀之氏に手紙を出した。「編集者への手紙」としてである。
 その返事が届いた。信書であるから、その内容全文を公表することはできないが、核心部分だけはお知らせしておきたい。

 中澤 寛氏の記事で意味不明の部分に関しては、原稿執筆者の意図に反する紙面展開となったことを反省し、今後は著者との間で校正をやり取りするなどの対策を講じたい、とある。
 これは大きな前進である。TMS誌が大人の雑誌になると感じている。今までは、”載せてやるぞ・文句言うなよ感”を拭えなかったが、執筆者と編集部が意思疎通できるとなると、紙面には大きな変化がもたらされるであろう。

 Big Boyの煙突に関しては他の御一方からの指摘もあったそうである。いずれ訂正が載ると思う。この件に関しては、事前に「詳しい方に素読していただいた」とあるが、その方もお詳しくなかったということだ。

 各分野に精通している人は居る。それを網羅して、どの人に聞けば正しい答が返ってくるかというリストを持つということも、能力ある出版社の要件である。そういうことは、このブログでさえも行っていることである。いかにも詳しそうでも、おかしなことを言う人は、居ないわけではないのだから。

2019年10月29日

Driver Quartering Jig

MR quartering 崖製作のお手伝いに来て戴いた F氏から、quartering のアイデアが古いModel Railroader '61 10月号 に載っていると、連絡があった。
 
 この手法では、HOの機関車加工を考えている。クランクピンをネジで締める方式でないとできないから、Oスケールでは使えない。クランク角を90度にするよりも、むしろすべての動輪のクランク角を等しくすることに重きを置くべきである。

 抄訳(筆者の注釈付)を載せると、
 ‘偉悗離丱奪ゲージの長さの丸棒を用意する。
  直径はフランジ径よりも大きくなければならない。
  輪心部分は少し凹ませておく。
◆90度にケガキ線を入れる。それを他方にまで延長する。
 反対側にも同じ位相でケガく。
ぁ―住線は、異なるクランク半径の動輪のために余分に描いておくと良い。
ァヾ殍世房崋瓦同じ太さの孔を貫通させる。 
Α‘偉惻憾把衢僂離優弦Δ鮑遒襦動輪軸より太い留めネジを使うこと。
А‘偉惻瓦鮹γ緲僂垢襪燭瓩旅造鯢佞韻襦
  糸鋸、ヤスリで削っても良いが、フライスで削り取るのが楽。
➇ 動輪のクランクピンのネジ孔位置にドリルで穴をあける。 
  ネジ山に当らない太さのドリルを使うこと。
 反対側にも穴をあける。
以降はどうでも良いことだが、孔を貫通させておくと便利(ジグのAB線上の孔を貫通させておくと、目視でクォータリングができるし、動輪にクランク孔がない場合に新たにネジ孔を作るガイドとしてのジグにもなる)とある。

 発案者は機械工らしく、簡単にできるように書いてある。しかし、これを間違いなく作るのは、かなりの腕前と設備とが必要である。ジグは丸棒を切った物を正確に加工して作る。大きなコレットがないと難しそうだ。卓上旋盤の四爪では、切れ目を入れてからは、どうやって掴んでもうまく行かないような気がする。

 腕に自信のある方は挑戦して戴きたい。ここで一番問題となるのは、ネジ穴の中の山の部分にちょうど接触するが、ガタの無い寸法のドリルがあるかということである。僅かに太いものを使って、ネジ山が削れるのは良いかもしれない。その代わりすべての動輪のクランク穴にそのドリルを通しておく必要がある。

 この技法を見ていて感じるのは、垂直に削り、垂直にドリルで孔をあけられる技量を持つまでには、かなりの修練が必要であるということだ。筆者は、二回くらいは失敗せねば、出来ないような気がする。

 このジグを持つと、組立てた動輪の踏面の切削にも使える、とある。その場合は、ジグごとコレットで掴むことになる。あるいは、心を出して掴むための他の工夫が必要である。大きな旋盤でないと難しそうだ。Δ離優犬2本以上あれば、四爪チャックでも掴めるかもしれない。ネジが1本では、片方の端を強く掴むと歪んでしまう可能性がある。

2019年10月27日

崖を塗る

trimmed rock wall 崖をグレイの油性塗料で塗る。毛の長い刷毛に塗料を含ませ、溝の中に入れる。多少の塗り残しはそのままにして、次の部分を塗る。細い刷毛に替えて、もう一度塗り直す。塗り残しを探して刷毛を奥まで入れる。時間が掛かった。這った姿勢であるから、かなり大変だ。

  ”ドリルと発破で修整した部分”は、縦にも刷毛を動かす必要がある。ドリルで掘ったように見えねばならない。
 塗料がかなり飛び散る。周りは、半径1.5 mほど古新聞で完全に覆ったので、飛散は完全に防げた。グレイに塗ると、全体が落ち着いて見える。

rock 次の区間は水平な地層で、仕事は単純である。あっという間に完成だ。この左の部分は擁壁になる。脆い岩山を崩し、擁壁で抑えて線路を通した想定になっている。そのように見えるようにしたつもりである。

retaining wall 擁壁はT氏に頼んで枠を厚紙からレーザで切り出して貰い、プラスティック板をレンガ風にエンボス(押出加工)したものを裏から貼った。曲線に馴染ませる必要がある。円錐台側面に貼る部分と直線部分、そしてその緩和部分があるから、かなり面倒である。この写真は仮置きの状態を写したものである。整列させてから写真を撮るべきであった。 
 色は、全体を今までと同じグレイにする。これは土屋氏からの指定事項だ。車輛以外には色があってはいけないということなのだ。


2019年10月25日

続 崖を作る

 ただ天井材を積んだだけでは、隙間がたくさんある。そこに天井材のかけらを自然に見えるように詰め、ワイヤブラシでこすってなめらかにつなぐ。パテも少し詰めた。助っ人が来てくれたので、お手伝い戴いた。遠くから見て、修正箇所を教えて貰ったので、ほとんどの穴が塞がった。

Rock (1) 新聞紙、マスキングテープ、マスキングフィルムを使って、周りを養生し、ペンキが飛んでも問題ないようにする。そうして、天井に塗った白い水性塗料を塗る。毛の長いブラシを左右に刷毛を動かし、たっぷりと浸み込ませる。
 要するに、この塗料はプライマとして使っている。そうでないと、油性塗料がいくらでも浸み込んで仕舞う。また、水性塗料を浸み込ませるときに、刷毛の動きで、天井材のちくちくした断面が多少丸くなるので、風化したように見えて具合が良い。

 次の日の油性塗料を塗るための準備をした。他にもある塗らねばならないものを全て並べ、段取りを良くしておく。油性塗料は、缶の蓋を開けている時間をできる限り短くするべきである。酸素が入って反応すると、少々粘くなると同時に、固まりにくくなるからである。これは、部分的に重合し、硬化するのに必要な腕の数が減るからであろう。


2019年10月23日

崖を作る

 崖を完成させることにした。天井材を割って貼り重ねた状態で、1年ほど放置してあった。残りの部分を完成させ、塗装する。岩は重なっているが、ある程度の傾斜を持っている。全体を通じて、その傾斜の辻妻が合わなければならない。

 要するに、大きな岩山があって、その岩を避けて線路が敷かれたことになっていなければならない。必要があってどうしても崩さなければならなかった部分は、それなりの形に修整する必要がある。そうすれば、全体を見た時に歴史的な変化が分かる。

 以前写真をお見せしたものは「背斜」の部分で、その続きが必要であった。傾斜は少しずつ緩やかになり、水平に近くなる。こうすれば、全体を見た時、自然な感じがするはずだ。

trimmed rock wall この部分はドリルで深く掘って、小規模な発破をかけ、崖の傾斜を垂直に近くしたものを模している。岩が堅ければ良いのだが、脆い場合は擁壁を作らねばならない。これは下塗りの状態である。 
 土木の専門家に聞くと、擁壁は垂直でも何ら問題ないのだが、少し角度を付けたほうが安定感があるとのことであった。80° 程度にした。

 擁壁のデザインはあちこち見たが、昔 New York州 Albany付近で見たものが気に入っていたので、それらしきものを作った。


2019年10月21日

quartering jig 2

quartering jig USA2 アメリカで入手したジグはこれである。作者はクラインシュミット氏ではない。彼の家で同じようなものを見たがそれはスティール製であった。これとは出来がかなり違う。
 スライドバァがあって、それに沿って滑らせる。へそはバネで支えられていて、出入りする。2枚のブラス厚板は、平行に動く万力で締める。本当は縦に動くプレスで締めるべきだ。

quartering jig USA この写真は上下を逆にして写している。クランクピンの入る溝は妙に長い。HOでも使えるかもしれない。ただし、そうするにはクランクピンにはパイプを被せて、太くせねばならない。
 また、右先行と左先行の2種類に適合する。アメリカにも左先行があったのだろうか。120度クランクには適合しない。
 以前は軸箱を支える構造のものを作ったが、ややこしい割に精度が良くなかった。やはりセンタを支える方が良いのだ。

quartering jig USA3 これも上下を逆で、反対側から見たものである。スライドバァの中心は、伸縮ピンから外れたところにあるので、万力で締めればうまくいくはずである。しかし、万力の精度によっては傾いて締められる可能性もある。口が開き気味の万力では、何の意味もない。
 大きな万力の口金を整備して、直角を出して使ったが、やはり専用機が欲しかった。
 手持ちのすべての機関車を調査して、どの大きさにすると最大径の動輪を締められるか調べた。あまり大きな装置だと、移動させるのも難しい。それで津田駒の100 mmを入手したのだ。もちろん、125 mmの方が余裕があって、設計がより楽であった。


2019年10月19日

quartering jig 

quartering jig2quartering jig3 このジグには「へそ」がある。出べそだ。




 HO以下の模型を加工されている人にとっては、まず見るチャンスがないと思い、ここに写真を載せることにした。本物の機関車の車軸にはセンタ穴がある。旋盤では、そこを支えて旋削するのだ。
 Oスケールの模型には、センタ穴があるから、これを使って心を支える。(HO以下ではセンタ穴がないものもある。)押し込むときは、その出べそが引っ込まねばならない。心を保ちながら引っ込むようにするのだ。バネで支えて伸縮させる。ここにガタがあってはいけない。そういう意味では精度を高くせねばならないから、気合を入れて作るつもりであった。

 万力を奮発した。最高級品の津田駒製である。これを入手して、口金を新調した。S45C製である。この万力の平行度には感服している。まがい物では平行に締まらないから、だめだ。

 車軸を支えれば良いではないか、という意見もあろうが、筆者の手法では車軸中央部は露出していないのが大半だから無理だ。両方の軸箱はパイプ状の canon box でつながっているからである。また、フランジで支えるという手もあるが、フランジは車軸と同心であるとは限らない
 以前、韓国製のとんでもない機関車を見たことがある。フランジが偏心していたのである。材料をいい加減に掴んだのだ。旋盤工が職人としての気構えを持っていないとこういうことになる。以来、フランジは信用できないものとしている。

2019年10月17日

Sofue Drive

 1985年、3条ウォームが実用化された。 これを世界中に広めたいと、祖父江氏と筆者はかなり努力した。雑誌に発表し、現物を持ってアメリカ中見せて廻った。その真価は理解できるようだが、なかなか浸透しない。

 カリフォルニアのある富豪が、現物を見て目を輝かした。名刺を渡したら早速連絡があり、試しに一台送るから改装してくれと言って来た。

 それは1950年頃の安達製作所製のミカドであった。もともとは酒井喜房氏の設計である。この機関車は動輪がブラス製で、台枠は、t1のブラス板をプレスでコの字断面に曲げてある。軸距離は怪しい。しかもクランクピンがネジ留めであるから、クランクピンが緩みやすいし、磨り減りやすい。正直なところ、改装の価値がない劣悪な模型であるとは思ったが、祖父江氏が丁寧に直してドライヴを入れ替えた。

 それを送ったら、大変興奮して電話を掛けて来た。日本は深夜だったので驚いたが、その興奮はよく分かった。その後の彼の注文数は凄まじかった。300輌ほどの機関車を順次送ってきて、その改造で祖父江氏の生活は成り立った。
 大半はカツミ製(祖父江製)であったが、アメリカ製、韓国製もかなりあった。それらの改装のノウハウも掴め、順調に注文をこなすことが出来た。

 その後30年経ち、その富豪は亡くなり、コレクションが売りに出された。Sofue Drive付きだから、価格はすこぶる高い。しかしすべて売れてしまった。その後、筆者のところに、改装を依頼する連絡が届き始めた。祖父江氏の代わりをせよというリクエストが大きくなってきたのだ。
 本業の仕事を辞めて、そちらにシフトしようと思っていた矢先に土屋氏から博物館設立を頼まれ、Sofue Drive受注はしばらく中止となった。動輪リビルトの道具一式を揃えたのに、日の目を見ることがなくなった。

 しかし、今回あるきっかけで、既存の機関車を改装し、新製に近い形で完成させねばならないことになった。その第1号がこの4-8-4であった。今ボイラまでばらして、新しい缶胴を作っている。50年前の製品のボイラは、一部間違いがあり、ばらさないと修正できなかった。煙室は新製である。キャブも新製である。
  
quartering jig 動輪嵌め替えジグを引っ張り出して、整備した。これはアメリカで普及しているタイプであり、日本ではあまり見ない。これを自作するつもりで、northerns484氏の親しい職人に部品を作ってもらっていたが、彼はあっという間に全体を完成させてしまった。これには驚いた。筆者はジグを自作した、と言いたかったのだが、有難いことに言えなくなってしまった。さてどんな構造であろうか。


2019年10月15日

Cockerham Drive

 Doug Cockerham氏には何度か会ったことがある。ダグは背の高い黒髪の男で、自分の伝達装置にはかなりの自信を持っていた。
 筆者は現物を2組持っていたが、間違って廃棄してしまったような気がする。あるべき場所で、ここ数年見ていない。ブラス屑の処分の時に捨てたのかもしれない。もったいないことをした。

Cockerham Drive 蒸気機関車用のギヤボックスの構成は、薄肉のロストワックス鋳物で作ったギヤケース内にベークライト製のウォームホィールを入れ、鋼製の細い2条ウォームをボールベアリングで支えていた。ギヤボックスは歯車、ベアリングの外径 + 3 mm 程度の形で、なかなか優美であった。残念ながら、その写真をGoogleで探しても、”Cockerham Driveという街路(drive)” の名前しか、見つからない。
 split line(分割面の線)上にはネジのタブが付いていて、それを3本締めるようになっていた。軟らかいグリースを使っていたのは、先回紹介したのと同じだ。 

 逆駆動が出来た。ギア比は35:2の互いに素であり、進み角は12度程度で、かなり急な部類に属する。当時はモータが直捲、あるいは有鉄心マグネットモータの時代であるから、押しても動かなかったが、効率は非常に良いと感じた。ベークライトのギヤを使った理由は分からない。悪くはないが、良いとも言えない。リン青銅との組み合わせを使うのがベストだ。

 1995年頃、彼に3条ウォーム + コアレスモータの実例を見せた時の、驚愕した顔は忘れられない。当時はそのようなものに需要がなかったし、経験のない走行性能であったから、事故が起こるという心配の方が大きかったのだろう。
「これでは勾配の途中で停車できないからダメだ。」と言った。

 コカハム氏の方が、ホワイト氏より工学の素養があったようだ。

Cockerham Drive追記 コカハムドライヴのウォームホィールが出て来た。写真をお見せする。ベークライトのギヤがスリップしないように、軸を圧入したボスにピンで留めている。    (Jan.16, 2020)


2019年10月13日

Jerry White Drive

Jerry White Drive (4) Jerry White氏は、Lobaughの職人であった。数多くのカスタム・ビルディングをこなした。腕の方は素晴らしい。絵で言えば、水彩画のような機関車を作った。特徴をよくとらえた造形で、板厚は薄目である。直接には会ったことは無いが、1990年代に手紙のやり取りはある。10年ほど前に亡くなった。

Jerry White Drive (3)Jerry White Drive (2) ギヤボックスは独特の2条ウォームで滑らかである。逆駆動はできないわけではないという程度だ。どういうわけか30:2である。感心しない。薄い板金工作で出来ている。厚みは15ミル(0.38 mm)である。ウォームの先端はボールベアリングで受けている。軸径は、3/16インチ(4.76 mm)、外径は3/8インチ(9.52 mm)である。実に滑らかな動きをするベアリングである。このべアリングが付いているから、逆駆動できる。ギヤは快削鋼だが、シャフトにはブラスを使っているのは不思議だ。ギヤボックスを支えるトルクアームはない。ドライヴシャフトが反作用を受け持つから、そういう点ではスティール軸の方が良かった。

Jerry White Drive (5)Jerry White Drive (1) ウォームホィールはブラスである。外径はボールベアリングと近い径である。もう少し細くすれば、進み角が大きくなって、効率が上昇したはずである。残念だ。
 グリースは軟らかい。ギヤボックスは、普通にはない分かれ方をする。下半分は動軸から外れない。ウォーム部分だけが外れる。そのウォーム部は長いストラップ状のもので、下半分に連結されて固定される。前後を逆にすると嵌まらない。即ち互換性は無い。
 どういうわけか、このドライヴが付いていると値が高い。今回の機関車は全体がかなり破損していたので、超格安であった。このドライヴだけでも欲しい人が居るので、外してアメリカで処分することにする。動輪を抜くと購入者が困るので、付けたままの方が売却しやすい。予備の動輪は持っているから、それに3条ウォームを付け替える。


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