2018年04月22日

続々 operator's cab

operator's cab 壁はどういう構造なのだろう。波板であったり、相杓り(あいじゃくり)の羽目板だったりする。冬は寒いだろうし、夏はとても暑いはずだ。せいぜい1分間のことだから我慢するのだろうか。窓は横に動くタイプだ。出入り口とその反対の妻の窓は、はめ殺しである。
 吊り戸は、上2点と下2点で押さえているのだろう。上はレイルにはまっている。下は浮いてこないように引っ掛かっているのだろう。

operator's cab 屋根をどうするか、迷っている。磁石などで半固定できるようにするべきか、固着してしまうべきかだ。キャブの中は電車のマスコンのようなものが一つあるだけで、極めて殺風景である。
 写真のソフトメタル鋳物が見つかった。ちょうど良い大きさなので室内に取り付ける。室内にあるものは、あとは電灯のスウィッチだけだ。椅子は小さいものがあることもある。 
 
 回転橋位置決めのロック・レヴァをそれらしく付ける。動くと良いが、そのメカニズムを付けると、人形まで動かさねばならないのでやめる。その付近のプラットフォームには人形を配置する。

 回転速度は、円周レイル上の速度で毎分 200 ft 即ち約 60 mであることが判明した。時速約 3.6 km である。ということは、2分強で1回転である。重い機関車を載せて、静々と廻るのだ。当博物館の見せ場である。決して躓かず、グワーンと廻るはずである。

 この転車台はプロトタイプがあるわけではないので、あまり難しいことは考えないことにする。

2018年04月20日

続 operator's cab

 キャブをブラスの板から作った。長年の使用に耐えるように金属製としたのだ。t0.6 の板にけがいて、糸鋸で切り出した。うっかり快削でないものも半分混じっていたので、切るのに苦労した。最近は快削の材料しか使っていないので、そのつもりで切って糸鋸を折ってしまった。快削なら、1ストロークで 2.5 mm 切れる。
 
 昔は眼が良く見えたので、罫書き線の半分まで切るということもできた。ヤスリ仕上無しという工作をしたこともある。
 最近はすっかり諦めて、罫書き線の内側 0.5 mm あたりでやめている。それをヤスリで削り落とすのだが、万力は使わない。万力で締めると傷が付くから避けたい。

step helps filing 仙台の今野氏ご創案段付きアンビルを使う。例のフロイス盤の上に置いて、ワークを立てる。段に引っ掛けて、ヤスリを掛ける。
 本来の使い方ではないのだろうが、いつもこの方式で仕上げる。快削材は堅いので、曲がることは無い。ヤスリは勝手の分かっている専用のを使う。1ストロークで 0.15 mm ずつ削れるので、3回半でできあがりだ。こういうところは、慣れた道具を使うと見なくてもできる。と言うより、見るのが面倒なのだ。
step helps filing2 TMSに発表された今野氏の記事では、帯材の端面を仕上げる様子が示され、側面でヤスリ掛けしている写真があった。筆者はその使い方より、今回の使い方の方がはるかに多い。

 出来たら、油目ヤスリでバリを取って、ちょいちょいとハンダ付けしてできあがりだ。簡単な直角ジグで支えて付ける。ブラス工作は楽しい。なんといっても速くできるのが良い。接着剤を使う工作は、好きではない。

 今回の工作は気楽である。鑑賞距離が 1.5 m以上 と決まっているので、それらしく見えれば良いのである。細かく作っても意味がない。

2018年04月18日

operator's cab

 転車台の運転室 (cab) には規格があるようだ。手元にある図面のようなもの(多分、仕様書?)には、UP204 という番号が書いてある。おそらく、UPの common standard の番号であろう。それを探し出すことができれば、かなり詳しい図面があるはずだ。この図には各種の鋼材の寸法が示してある。発注時に使用するものだろうと推測する。

operator's cab foot print キャブは I 字鋼で支えられている。よく似た寸法のチャンネルを貼り合わせて作った。それに床板をハンダ付けした。キャブの扉は吊戸である。壁は金属製のようにも見える。窓枠は木のようだ。
 入り口から出たところにデッキがあるが、その支えの鉄骨は無い。ということは枕木の延長である。枕木を延ばしてそこにデッキ材を張ることになる。手摺は別個に付けられている。

 デッキの上には長いテコが出ていて、それで回転橋をロックする。大戦中は男手が足らないので、女性がその仕事をしていた。戦時のキャンペーンのカラー写真がある。写真写りが良いように、赤いブラウスの白人女性である。投入されたばかりの Big Boy の転換をしている写真はよく見たが、その原版がカラースライドであるとは思わなかった。
  照明の向きに注意されたい。レイルを合致させるときに必要な光だから、外に向けてあるのだ。キャブは黒である。1950年代の写真では赤く塗ってあるものもある。   
 不思議なのは、シャイアン、グリーンリヴァ、オグデンの3箇所にビッグボーイ用のターンテイブルが設置されたと書いてある本が多数だが、この写真はララミーで撮られたものだそうだ。珍しく、このキャブは浅い切妻である。   

2018年04月16日

続 軌框

tie lining-up jigremoving from jig すべてのキャットウォークの板を貼ってから、ジグを裏返し、枕木の安定のために貼ってあったマスキング・テープを剥がした。枕木を長い定規で押し込んだ瞬間に全ての枕木が外れた。肉を盗んだ効果は絶大である。

trimmed 直径は 900 mm(43.2 m) であるから、コンパスでけがいて角を切り落とす。cab (運転室)の位置を写真、図面等から確認し、追加のキャットウォークの材料を確保する。キャブ前のプラットフォームはかなり広い。 

 キャブの設計をした。UPの写真等から判断して、相当の大きさにした。木造かと思ったが、金属製のようにも見える。戦争中は真っ黒だったが、戦後は貨車のような茶色または赤になっているものが多い。どういう訳か、屋根はアーチになっている。

 操作盤は単純で、電車のマスコンのような形をしている。三相交流電動機のスター結線とデルタ結線を切り替えているようだ。それぐらいしか操作する物はない。ブレーキもなく、非常時は逆ノッチを入れたりしたのだろう。

 車輪は8個にして、2個ずつイコライズする。中心と合わせて5点支持だ。橋の構造体を薄い材料で作って捩じれるように製作する。そうすると回転時に、動きに落ち着きが出るはずだ。

2018年04月14日

軌框

turntable track もう一つの軌框(ききょう)を作っている。これは回転橋の線路である。枕木を整列させるのは、レーザで切り抜いた鉄板のジグである。前回の失敗をもとに肉を盗んであるので、外すのは楽なはずだ。隙間を一定にするのは、挟み込んだφ0.5ブラス線である。固着後、引抜く。
 
bottom view 左右に枕木を伸ばしてある。今野氏に作って戴いたものに、自分で製材したものを足した。イチイの木を丸鋸でスライスして、それを精密丸鋸盤で縦割りにし、さらに高さを揃えた。かなりの手間を掛けた枕木である。長さはジグにきっちり嵌まるように仕上げた。前回の傾斜枕木は、今野氏にお願いしたが、直方体なら自分でもできる範囲にある。
 オイルステインに漬けて浸み込ませ、金網の上に広げて乾燥した。中まで浸み込んでいるので、多少削っても色が変わらないのが良い。

top view この飛び出した部分に1/32 × 1/8 インチ(0.8 × 3.2 mm)の板を貼る。歩み板である。これは手摺が付くから、キャットウォークらしい。 良く固着してから、適当な長さに切れ目を入れる。多分実物長さで18フィート(5.48 m)以下だ。

 手摺は、たまたまデニスに貰ったものがあり、数を数えると何とかなりそうである。運転室はキャットウォークの外にある。かなり迫り出すので、それなりの鋼材で支えてある。

2018年04月12日

続々 guard rails 

 guard rail の先端をブラス製の別部品にして銀ハンダで付けた。全体を下向きに曲げて底をベルトサンダで磨った。調子よく削れて行ったのだが、突然ばらばらになった。洋白レイルは熱伝導が悪いので、摩擦熱が溜まって、ハンダが融けたのだ。仕方がないので拾い集めて、丁寧に手でヤスリ掛けした。
guard rails 耐熱板の上に並べて押え、再度ガスバーナで焙って付けた。昔この形の先端を見て、いつか作ってやろうと思っていたのだ。
 仮に置いてみた。枕木、レイルの位置関係はでたらめであるのはご容赦願いたい。レイル高と同じ厚さの板を貼りつけ、20度くらいの角度で下に曲げて、レイルごと削ってある。

 Oスケールの模型では、護輪軌条があると、脱線しない。片車輪を持ち上げて外に滑らせても、内側が引掛かっていて、落ち込まない。外の車輪はフランジで走っている。そのうち元に戻る。ガードレイルはいわゆるフランジウェイよりかなり広いが、模型のタイヤは厚いので、その隙間にタイヤが落ち込まない。完全なスケールの車輪ならば、はまる可能性がある。即ち脱線した状態になるだろう。それが本物の状態である。要するに、本物は脱線することを前提に、逸脱量を建築限界の中に収めるのが目的であると結論できる。

 博物館のレイアウトの周回線ができてから、かれこれ2年近く経つが、脱線はほとんどない。この一年以上無事故だ。一部の車輛のフランジにはフェルトペンで薄く印を付けてあるが、それが触った形跡もない。フランジで曲がっているのではないのだ
 そう信じている人もいるが、模型の遠心力の効果を計算するべきだ。フランジが当たるわけがない。ステンレスの摩擦係数が小さいことが大切なファクタだ。

2018年04月10日

続 guard rails

guard rails 護輪軌条の図がある。これはPaul Mallery氏の
Trackwork Handbook の中にある図だ。

 上の図はごく一般的な単線の場合だ。2本のレイルが熔接されて尖っている。橋の入り口からかなり出ていることが分かる。

 中の図は複線で護輪軌条が各1本ずつの場合だ。これは脱線時に橋の構造体にぶつからないためのものである。中心方向に寄ることに対しては全く考慮していない。through girder橋は進行方向に衝撃があると落橋する可能性が高い。この図はバラストが敷いてあるときの場合だ、と注釈にある。 

 下の図はバラスト無しの場合で複線の時である。複線の中心線に、ガーダー橋の構造物があるので、それに衝突しないようにしてある。いわゆる三主桁である。進行方向が決まっているので、尖っている方向はそれぞれ一方向である。

 ガードレイルは使い廻した古レイルを使う場合が多く、そうでなくても細いものを使うことが多い。日本の護輪軌条は橋から外の方向にそれほど長くは伸びていない。

 走行レイルとガードレイルはある程度離れているから、車輪が限界まで偏倚しても、ガードレイルに接触することはないようになっている。


2018年04月08日

guard rails

 護輪軌条の先端の形をどうするかは難しい問題だ。左右を接続するとショートする可能性が高い。走行レイルはスパイクで留められている。ガードレイルはそれに触っているからだ。尖端部分を別部品にして、接着するしかない。高さも低くなっているものを見たことがあるので、そういう形にしたい。

 護輪軌条は何のためにあるのだろう。要するに脱線時に車輛が橋の構造物に当らないようにするものだ、と手元の本には書いてある。橋の専門家の友人がいたが、彼の見解は違っていた。橋の構造物は、中で脱線が起こっても耐えられるように設計してあるというのだ。むしろ、入り口が危ない。そこに衝突すると落橋もありうるし、電車などは縦裂きになって死傷者が出るだろう。だから、護輪軌条は橋の手前を長くすべきだと言っていた。


 ガードレイルは、走行レイルに裏から接続部品を作ってハンダ付けした。現実にはまず脱線は起こらないから、形だけで良いのだが、取り付け時に外れにくいようにした。走行レイルと同電位だ。洋白は熱伝導率が小さいので、細い 58 W の鏝で楽にハンダ付けできた。しかも、手で持っていても熱くないのが良い。
 そう言いながら、手の甲を火傷した。水ぶくれができたが大したことは無い。不思議なことに、インフルエンザ以降、体調がいまひとつだったが、その日は妙に体が軽かった。少しばかりの火傷をすると、体調が良くなるようだ。要するにお灸だ。以前もそういう経験があった。因果関係はよく分からないが、面白いものだ。

 ガードレイルの取り付けられた曲線の線路は、非常に剛性が強くなり、曲率が保たれる。2800Rと2900Rの差は僅かだが、並べると正しく曲線間隔 100 mm を保っていることが分かった。

dda40x at 04:08コメント(0)線路 この記事をクリップ!

2018年04月06日

abutment

 abutment 橋台は巨大な塊になった。曲線であるから、2本のガーダ橋が長さ方向に少しずれる。それを表現するためには合板を重ねたものをずらして貼り付け、最上部には支承を載せる部分を作る。どんどん貼り付けていくと、質量が 7 kg ほどにもなり、片手では持てなくなった。角の部分を45度に切り落とし、例によってベルトサンダで削った。
 この段の部分は評判が良い。実感味が増すという。確かにこれが平面なら、おかしなもので、おもちゃっぽく見えるだろう。実物の構造をよく見ている、と褒めて戴いた。

 樹脂塗料を十分に浸み込ませて固めた。磨いてさらに塗り重ねて、つるつるにした。こうしておかないと、切り口の師管が開いているので、穴だらけになる。

 側面は、レイアウトの他の部分と同じグレイに塗るが、コンクリートが見える部分は、コンクリート色を塗る。不思議なことに、アメリカで売っているコンクリート色の塗料は、どれも多少黄色い。どちらかと言うとベージュである。
 日本ではコンクリートは緑灰白色である。これは骨材の違いによるものかもしれない。

 合板の貼り合わせであるが、むしろ彫刻のような感じである。大きめに作って、丸鋸盤で切り落として、高さを合わせている。かなり無理をして工作している。
 高さ調整は、薄板を貼り合わせてするべきであったと反省している。
 

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2018年04月04日

続々 架橋

bridges2 中間の pier(橋脚)を煉瓦で、という話もあったが、煉瓦ではとても持たない。reinforced concrete 鉄筋コンクリートでないと圧潰してしまう。煉瓦ではこの3倍の断面積が必要であろう。 線路の隙間に立てる薄い橋脚なので、RCにせざるを得ない。

 トラス橋とガーダ橋が接続するので、支承の高さが異なる。また、角度があるので、その掛かり具合を計算するのが面倒である。
 遠くの方に板を立て、その中心の的に測距のレーザ光を当てる。そうして三角測量をしたのだ。面倒ではあるが、正確に測定出来た。計算値が現実の値と一致したのには、感動した。

 当時の配筋の図面を見たが、現在の日本の物に比べるとかなり鉄筋量が少ない。地震の少ない国であるから、垂直荷重しか考えていない。上から押されて潰れないように、樽で言えばタガの部分の配筋は考えてある。異型鉄筋がなかった時代であるから、鉄筋の先はすべて曲げてあった。鉄筋は3/4インチ径(19 mm)であって、かなり細いと感じた。

 この種の橋脚には、様々な装飾が施されている。アール・デコの時代であるから、当時のデザイナが工夫をして作ったのだろう。
 田舎の鉄道橋の橋脚など誰も興味を示さないとも思うのだが、この種の装飾が施されていたのは興味深い。この写真ではまだ、装飾が付いていない。 

2018年04月02日

続 架橋

bridges 不陸とは何か、という質問を受けている。読み方は”ふろく”である。”ふりく”という人もいるが、本来の言い方ではない。平らな屋根を陸屋根というが、これも”ろくやね”が正しい読み方である。床材などの接合部が、厚さの不揃いで凸凹していることを指す。
 日本では鉋で仕上げるのが普通だが、アメリカ人は巨大なベルトサンダを持って来て、全体を削り落とす。日本では、体育館などの床を仕上げる時に使う機械だ。
 細かいところは今回紹介した機械や、入り込んだ角を削る機械で削る。筆者の家の床は自分で張ったので、この種の道具を複数持っている。アメリカの床材はこのように削ることを前提にしているので、日本製のように厚みが完全に一定でない。出力が大きな機械を廻したままにすると、床にめり込んでいく。これは冗談ではなく、本当に起こることである。それほど削る力が大きい。

 今回のように角度を付けた仕上がりにするときは、角度の基準になる部材を所定の位置に取り付けて、その端面が出るまで当てていればよい。もちろんワークをどうやって固定するかは、かなりの問題である。作業台に専用の留め具を付け、作業台を足で踏んで作業する。相当な力が掛かる。

 合板の端面には無数に穴があいているので、油性ニスをたっぷり浸み込ませて2日放置し、固める。そうすれば、塗料が吸い込まれないから、下塗りをすることができる。

 護輪軌条はやや細いレイルを取り付ける。先端の形に悩んでいる。日本では内側に曲げただけのものが大半だが、アメリカでは左右二本を熔接したものをよく見る。また、下に曲げて、砂利に潜らせているものも見る。脱線したものをすくい上げることを考えているのだろうか。それだけ脱線が多いということなのだろう。

2018年03月31日

架橋

 pier(橋脚)を作っているところだ。いろいろな作り方があるだろうが、中身が詰まっていないと音が悪い。15 mm 合板を重ね、接着剤をたっぷり塗って、クランプで締め付ける。1日待てば完全に付く。それを角度切りできる電動鋸で切り落とし、強力なベルト・サンダで削る。出力は1.2 kW で、床板の不陸を削り落とす時に使うものだ。硬いオーク材を削るものなので、合板などあっという間に削り落とせる。削り粉がチリ取り一杯分できる。 

 上部の造作を追加する。この追加作業は一つづつ付けるので、手間が掛かる。ベルトサンダで余分を削り落としつつ、部品を付ける。凹んでいるところは、いずれパテを込めるので、気にしなくて良い。これだけで一つ 2 kg ほどある。

 接着剤で組んでいるので、硬化時間が掛かる。1日に2工程できないから、中々進まない。レーザによるレベル出しが出来ないので、かなり面倒な方法で高さを測定し、仮の橋脚を作って合わせている。なかなか進まない。
 上から見た投影図を実際の場所で原寸で作り、それに合わせて作っている。曲線上であるから、トラス橋につながるガーダ橋がずれていて、いささか面倒な作業だ。

pierpier1 トラス橋とガーダ橋をつなぐので、橋脚は二段になっている。実物を観察すると、かなり複雑な構造になっている。また、装飾を兼ねた補強が入っていることもある。UPの本線を跨ぐ橋の橋脚の造形が気に入ったので、それを採用した。

abutment2abutment 橋台(abutment)は単純な形である。これも中身が詰まっている。合板の切れ端を大量に貰ったので、惜しみなく使っている。左は 6 kg 以上ある。その写真はまだ削ってない時に撮ったもので、隙間がある。
 護輪軌条はまだ取り付けてない。

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2018年03月29日

端数処理

 Fortyniner は1939年頃、毎週日曜日の朝10時にシカゴを出て、火曜日朝の10時過ぎにサン・フランシスコに到着する特急だった。もちろん蒸気機関車牽引だ。一時期、流線形の機関車が充てられていた。

 たまたま、この2輌の詳細な図面集を持っている。それによると窓幅は 2 ft 8-1/2 inという数字が良く出て来る。(2 + 8.5/12)x 304.8 ÷ 48 =17.1979 mm となる。これをそのまま使うわけにはいかない。
 祖父江氏はすべて 0.5 mm 刻みで図面を描いた。
「なーに、人間の眼は0.5 mm以下は分からねえんだよ。0.2とかの数字を入れると大変だし、無駄なんだよね。」

 この話をすると、ムキになって、
「僕は0.5と0.6のドリルを眼で識別できる。」
と言う人もいたが、それはできて当然だ。1割以上も違うのだからわかるだろう。
 ここでの問題は、20 mm位の大きさのものに0.2 mmという数字を、足しても足さなくても、見た目にはまったくわからない、ということである。0.4だったら0.5にし、0.8だったら1とすればよいのだ。工作上もそのほうがずっと楽である。

 全部の数字を0.5刻みで出して足し算し、全体の寸法があっているかを確認する。たいてい 1.5 mm 程度狂っているから、どこでごまかすべきかを決める。対称性のある場合は対称を保つようにごまかす。
 窓の角は丸いから、その丸味のエンドミルを持っているかどうかを確認する。側板は所定の幅で大量に切ってあるから、それをジグに挟んで窓を切り抜く。DROあればこそである。あっというまに多数の窓を切り抜いてできあがりだ。

 同じものが多数あれば、レーザのお世話になるが、1枚きりならDROが早い。  

2018年03月27日

続 床板

Pullman sleeper 1936年、UPはフル・ストリームラインの旅客列車を試作した。それは連接車で、台車間の距離が長いことを利用した二段の寝台車を持っていた。プルマン社の特許で、日本にはなかなか現れなかった。

49er 上下のスペイスを互い違いにして、単位長さあたりの収容人員を増やしている。上の部屋に行くには階段を3段ほど登る必要がある。側面の窓配置は、通路側と部屋側では当然異なる。これらの写真はPullmanの図面集からの複写だ。

 のちにその試作車は切り放されて、いくつかの列車に嵌め込まれて運用された。筆者が興味を持っているのは、"49er" である。Fortyninerは ”1849年にカリフォルニアに行った人”という意味である。
 1849年にカリフォルニアのサクラメントゥで金隗が発見され、そのニュースを聞いたあぶれ者たちが殺到したのだ。カリフォルニアの人口は、あっという間に10倍になったという。今では複数形にして、サン・フランシスコに本拠地を置くフットボール・チームの名前だ。 

 その名前を付けた列車で、ヘヴィ・ウェイトのプルマンと流線形客車を混成した列車だった。即ち、2輌だけ造れば一編成できる。そういう不埒な考えなのだ。屋根板もあるし、側面はフライス盤で切り抜いて窓を作ればよい。寸法さえ割り出せれば、出来たも同然だ。実はこの寸法割り出しが難しい。

 この車輌は連接車である。クラブの競作は”連接車”であった。たまには出してみよう。


Y これは何だろう。

2018年03月25日

床板

Central LinesCentral Lines 2 先日の写真はこの床板である。流線形客車の床板はスカートを一体にして作っていた。HOスケールのものはよく見たが、Oスケールのものはめったに見ることが無い。大昔に製造が終わってしまったからだ。製造時に材料の半分が粉になるから、すごい量のゴミが出ただろう。

Central Lines 3 これはサン・フランシスコのCentral Lines というところが作っていたらしい。スタンプが押してある。Google Mapで見ると、4階建ての煉瓦造りの建物である。材料はwestern red cederだ。これは鉛筆の木材であって、削ると特有の香りがする。


 しばらく前にスワップ・ミートで見つけて買った。2本しかなかったし、その片方が不良品で、鋸目が出ていた。要するに、少し細く挽いたものをルータに掛けたのだ。幅が足らないのでルータの刃に当たらなかった。帯鋸の痕がそのまま出ている。それが検査を通ってしまって、世の中に出たのだろう。修整が必要だった。

Central Lines 4 鋸目のある部分を削り落として、別の部材を強力な接着剤で貼り付け、寸法を見ながら削り落とした。なんとか見られるようになったので使える。何に使うべきか思い付かなかったが、最近、所属クラブの競作の題を聞いて、閃いた。


2018年03月23日

thrust bearing

 転車台の中心部にスラスト・ベアリングを入れることにした。今まではそれがなかったのだ。直径 900 mmの 15 mm厚ランバーコア合板製ディスクの外周には6個のラジアル・ボールベアリングがあり、それですべての荷重を支えていたわけだ。堅いディスクなのだが、微妙に撓む。撓むと、外周部の軌道が少しずれる。そうすると、普段走らないところを走ることになるのだろうか。少し音が変わる。 撓み量は実測で 0.2 mm 程度だが、機関車が載ると、無視できない量であろう。

thrust bearing ベアリング屋に行って注文した。NTNの円錐コロのスラスト・ベアリングである。高いものかと思っていたら、安くて驚いた。昼の定食弁当代以下であった。


 取り寄せに3日掛かったが、問題ない。Φ17のシャフトなので、内径 17 mm と 18 mmのスラスト・ワッシャを組にして、注文した。要するに軸が触る部分と触ってはいけない部分があるのだ。スラスト・ワッシャの平面度、剛性は恐るべきものである。油をよく拭き取って、重ねて押し付けると、そう簡単には外れない。日本製だそうだ。最近手に入るベアリングは外国製のものが多い。中国製には、回らないものまである。揮発油で洗うと切粉が出てくるのだ。許せない話である。駄目なものを安く卸しているのかもしれないが、迷惑千万だ。

 軸に入れてから、ディスクの上に立つ Φ40 の軸を支えるべき distance piece の寸法を再度測定した。かなり面倒な計算をして、寸法を決めた。作るのは自宅の旋盤で10分の作業である。

distance piece Φ30 の材料の外周、端面を削り、5/8インチ (約15.8 mm) のドリルで穴をあけてから、中グリの刃物で仕上げる。突切りで切り離して、できあがりである。硬い砲金の切れ端を有効利用した。照明の加減で、黄色く見える。
 現場に持って行って嵌め込み、ディスクを落とし込んだ。採寸は正確であったらしい。ディスクの外周部で 0.1 mm 程度の浮きがあるが、いずれ撓みが戻って落ち着くだろう。中心を支えるので、抵抗が格段に減少した。廻すのに要する動力は極端に少なくなる。一押しで2周する。ディスクを速く廻すと、集電装置が飛び跳ねてひっかかる可能性がある。そうするとまた作り直さねばならないから、ゆっくり廻した。
 スラスト・ベアリングは開放型なので、埃除けを付けたい。薄板を巻き付ければ良かろう。潤滑油も封入する。


2018年03月21日

続々 signal bridge

 signal bridge は荷重を載せることを考慮していない。もちろん信号装置、保守の人間は載っているが、それ以上のものではない。むしろ風によって倒れないようにすることが、主目的であろう。桁の部分に当たる風は、かなりの力で押し倒そうとする。即ち垂直荷重より、倒壊に対する抵抗力を大きくすることを主眼にしているのであろう。  

 太いH鋼で作ればよいだろうが、それほどのものでもないので、チャンネル材で作って、倒れないように補強を入れたのだろう。トラスにすると接合部に大きな力が掛かるので、全体に力が分散する方法を採ったのではないだろうか、というのが知人の橋梁屋の見解である。安く作れたはずだと言う。

 northerns484氏が探し出してくれた google map である。根元の部分の立体構造がよく分かる。Bachmann のものと似ているが全く異なるものであることが分かる。

 現在は加工に手間がかかる方法は採らないので、太い材料をドカンと使うそうだ。塗装も面倒なので、耐蝕アルミ合金を使ってあるものが多くなった。熔接した部材を現場で簡単に組んでいる。

 たくさんの画像がある。楽しまれたい。


 ところで、3月13日の写真に対してのお答は一つしか戴いていない。それは正解であったが、他の読者の皆さんは何だと思われただろう。若い方は見当が付かないだろう。

2018年03月19日

続 signal bridge

signal_b この図面をご覧戴きたい。Bachmannと同じだが、中ほど下の図をよく見ると線が入っている。ということは何かがつながっていることになる。Bachmannはそれを読み取れなかったので、こんな変なものを作ったのだ。誰も指摘しなかったのだろうか。


signal bridge アングルを組んだものではなく、その部分は板である。大きな面積の板を付けることによって強度を確保している。buckling(座屈)が起こらないように補強はせねばならない。この写真の赤線で囲んだ部分である。一体にして、土台と接合してある。
   このBachmannの右側の縦の細い材料は、浮いている。これが違和感の元だ。


DSC07907 PSCが韓国か中国で作らせている信号橋は正しく出来ている事もお知らせ戴いた。これを見ると安心する。これなら倒壊しにくい。しかし、ハンダ付けが怪しそうだ。
  


 博物館の信号橋はすべてプラスティック製であるから、いずれ壊れてしまう。ステンレス薄板をレーザで切ったものにするつもりだ。northerns484氏に作図をお願いしている。 

2018年03月17日

signal bridge

signal bridge 2 この signal bridge は、Bachmann という会社がかれこれ50年以上売っているものだ。元々はライオネルのレイアウトへの添え物的な商品であった。安くて簡単なプラスティックの組立てキットである。つないで 4線用に改造した。黒い材料なので、銀塗装している。信号機は未配線なので雑に置いてあるのはご容赦願いたい。
 昔の価格は2ドルしなかった。時々1ドル以下で売ることがあり、いくつか買った。自宅のレイアウトに置いてあったが、博物館のレイアウトに引っ越してきた。

signal bridge 3 この信号橋を初めて見た時、大きな違和感があった。これでは強風で倒壊する、と感じたのである。根元付近を見て欲しい。トラスになっていない。四角で構成されている。おそらく Bachmann は何かの図面を見ているはずだ。実物を参考に作っている、という感じはするからだ。しかしこれはダメだ。
 
IMG_2467 あちこちのウェブサイトで、Bachmannの製品を使ったものを見るが、非常に奇妙である。よくできたレイアウトなのにこれがあると、ものすごく違和感を感じる。折れそうな信号橋なのである。効き目の無いトラスほど怖いものはない。 

 40年近くその違和感を持ち続けていたが、しばらく前に northerns484 氏にこのことを話したら、図面を見つけ出して下さったのだ。それを見て、疑問が氷解した。見かけ上は図面と合っているのだが、構成が違った。 


2018年03月15日

翻訳

 日本ほど、世界各国の本が翻訳されている国もないそうだ。特に英語の本は、すぐ訳本が出る。素晴らしい訳ばかりではないのが残念だ。

 先日の「走れ‼機関車」は、なかなか良い。英語版が届いたので並べて再読した。なるほどと思わせる訳もあり、感心したところも多い。しかし、一箇所訳を外したところがある。その言葉自体を無くしてしまっている。訳せなかったのだろうか。

tricock valves水面計? それは、"tricock" である。おそらく辞書には載っていない言葉だ。これは蒸気機関車のバックプレートにある三つ並んだコックである。その中心付近に水面が来るように設計してある。水面計はあっても、ガラス管が割れることはよくある。また、水質の悪いところでは、水が泡立って、水面計では用をなさないこともある。そういう時は、この最も原始的な方法を採るしかない。西部ではガラスは貴重品で、ガラス水面計の無い機関車もたくさんあった。

 高いところのコックを開いてブシュッと蒸気が出れば、水面はその下にある。真ん中のコックを開いてジュワッと熱水が飛び出れば、水面はその上にある。もちろん圧力が掛かっているから、気化して泡立つが、水が出ることには変わりがない。Big Boyにもついている
 飛び出した熱水は漏斗で受け、床下に捨てる。こういう単純な装置なのだが、訳者は意味が分からなかったのだろうか。水面計ではまずい。アメリカに聞けばわかる人もいる筈だが、どういう訳か、この言葉は日本語版から削除されている。よく見ると、図には修正の痕らしきものも、見えないこともない。これはまずい。作者に失礼だし、読者にも同様だ。
 gauge cock として、このブログでも近いところまで紹介した。

 翻訳というものはとても難しい。作者と同レベル以上の知識の持ち主でないと訳せない。筆者も時々翻訳を引き受けるが、分からない時もある。そうなると知っていそうな友人を順番に当たり、さらに外国に問い合わせて、やっとの思いで正しい解釈にたどり着いたことがある。そういうときの焦燥感は終わってみると懐かしいが、その当時は大変だった。

 この本は素晴らしい本なので、直ると嬉しい。

2018年03月13日

続々 旋盤のカスタマイズを終了

 実は筆者はロウ付けはあまり好きではない。鉄合金に対してはロウ付けは良いのだが、銅合金に対しては材料が軟化するので使いたくない。HOの人はモノが小さいのでモーメントが小さく、あまり感じないようだが、Oスケールでは長くなるので、曲がりやすい。銀ハンダは、より低温で付くので具合がよく、強度も十分だ。融けても、あまりさらさらしていない。やや粘りがあるが、より高温にするとさらさらになる。固まると普通の鉛ハンダより、表面がざらざらしている。ロストワックス鋳物の鬆(す)を埋めるのに具合が良い。この銀ハンダは acid core である。塩化亜鉛ペーストが入っているから、ハンダ付け後、洗わないと錆びる。


 この旋盤が来てから半年になる。いろいろな作業に使ってみると、この位置に工具があるとベストというのが分かって来る。照明の位置も必然的に決まる。
 六角レンチはいくつか常備しているが、サイズごとに種類を変えている。サイズと形が結びつけば、迷うことが無いからだ。

 今でも落ち着かないのはスピンドルから飛び出している透明なチャック・ガードの棒である。安全スイッチになっていて、ガードを閉じないとモータが廻らない。ガードは邪魔で捨ててしまった。スイッチが切れると腹立たしいので、短絡した。突き出した棒はいずれ切り落とす。このチャック・ガードを使っている人は居るのだろうか。
 むしろ、横の歯車箱の蓋を開けると止まるようにするのが筋だ。マイクロスイッチを付ければ解決だろう。

 最近、旋盤の初心者からの相談をよく受ける。どなたも原型を保ったままで、使いにくいとおっしゃる。それはそうだろう。
 自分の使い勝手が良いように、切り捨てて増設するべきだ。機械に使われているようではいけない。「機械」を「工具」として使いこなすべきなのだ。これもプラグマティズムだろう。

Central Valley's ところで、こんなものが出て来た。何だろう。寸法が分かっているから、簡単だろうか。

2018年03月11日

続 旋盤のカスタマイズを終了

lathe customized 後ろの切粉ガードは高さが足らないので、合板を継ぎ足した。その時横に延長して、回転するコレットホルダを付けたのだ。コレット群は、手の届くところにあれば探す手間が減る。結局、この旋盤はER25コレット専用機となった。貫通穴が要らない時は鋼製引きボルトで引いている。手前に置いてあるのはコレットの締め外しに使う工具である。28.5 mm(1-1/8インチ)のスパナがなかったので、このモンキィ・レンチが常備品になった。長いので楽である。

 切粉ガードの中ほどに棚を付けて、QCTPなどの部品を置く。アルミのアングルで手前に落ちないようにしている。左右は解放で、飛び込んだ切粉を掃除しやすいようにした。

 10mmの厚肉パイプを 4つ、旋盤で挽いて切断し、ブラス板にハンダ付けした。各種の工具を挿すようにしたのだ。剥がれては困るので、銀ハンダで付けた。融点が高いが、ガスバーナで焙ればすぐである。

 すべてのハンドルを取り替えた。オリジナルはガタガタの細い回転ツマミであったが、正確に廻そうと思うとある程度の大きさが必要で、丸味があったほうが良い。M4のネジを M5に広げ、新しい回転するものと取り替えた。ハンドルの丸味は大切である。

silver bearing solder 銀ハンダについて質問を戴いている。これは銀を 4 %含む無鉛ハンダであって、融点は約 240 ℃ でやや高いが、硬い。また、引き剥がしにくい。アメリカ製であるが、同等品は日本でも売っている。筆者は無鉛ハンダは好きではない。流れにくいからだ。強度を要求される場所に使う。
 
 日本ではオーディオ用として暴利で売っているようだが、効果はあろうはずはない。鉛ハンダで十分である。
 
 通販で買うのが楽だ。銀ハンダは高価であるが、本当はそんなに高いはずがない。銀 1 g は数十円なのだ。模型屋で売っているロストワックス部品の方がはるかに高価だ。           

2018年03月09日

旋盤のカスタマイズを終了

through-hole pull bar 旋盤をコレット専用機としている。先日の写真はこれである。長い材料を順次送って細かいものを作るときに、貫通穴があると便利である。 
 筆者は貫通穴が必須だと思っているが、友人たちはあまり興味がなさそうだ。長い材料を使わないのだろうか。あまり長いと材料が撓んで面倒なことが起こるので、材料承(うけ)も作らねばならない。

 本来はスティールで作るべきである。薄肉鋼管が手に入っていたなら、全体をスティールで作っただろう。ロウ付けして剛性の高いものになるはずだった。
 しかし、せいぜい Φ6 程度の材料を掴んだコレットホルダの抜止めなので、手で締めるだけで十分である。したがってブラス製でも壊れないだろう。

 材料は、金属回収業者で手に入れた丸棒の切れ端である。最初にネジを切って、貫通穴を開けた。このように太くてピッチの粗いネジは、ダイスで切り込むと失敗して斜めに切れてしまうことがある。最初の2山は旋盤でネジ切りをして、ダイスを嵌めて最低速で廻す。卓上旋盤では無理な芸当である。もちろん脂を付けて、時々逆転して行う。ネジ切りは楽しい 。

index 握りは、フライス盤上で割出し機で廻して削った。単純な形である。径を大きくすると締めすぎて壊すので、小さくした。薄肉のブラスパイプを切って嵌め込んだ。フラックスを塗り、バーナで焙って銀ハンダで付けた。まずまずの使い心地である。


index2 この割出し盤は横にして心押台を使えば4軸フライスになるが、やらない。背が高いので、剛性が足らなくなるのである。もう少し大きな機械でないと、難しい。


2018年03月07日

フライス盤のカスタマイズを終了

 フライス盤の補強をした。

 この機械はコラム(縦の柱)が左右に倒れて斜めの切削をすることができるという、あまり聞かない不思議な構造を持っている。本来はワークを傾けるのが筋だ。批判を浴びて、直角固定のコラムを持つように変更になったようだ。

reinforcement この機械は傾ける機構のせいで、コラムが弱い。根元の剛性が足らないのだ。一番楽な補強は根元の部分に鋼製のアングルをネジ留めすることだ。大げさなものを考えていたが、スティールの肉厚アングル小片を見つけたのでネジ留めしてみた。ネジを締めた状態でやや大負荷の切削をして、途中で緩めた。切削痕を見ると、締めてあるときは、無い時に比べるとずっと良くなっている。測定器がないので手触りだけだが、凹凸が2/3以下になるような気がした。

 エポキシ樹脂を塗って、日本製のネジで固く締めた。これ以上のことは望まないことにする。ブラスの切削が主で、Φ6 以上の刃物は使わないから、これで良しだ。

customized milling machine 切粉が前に向かって飛んでくるのは避けたいので、1 mm アクリル板を使った防塵窓を作った。自在のホルダで位置調整できる。
 フライス盤のカスタマイズは、これにて一応、終了である。



  先回のお答えが少ないが、今のところ、すべて正解である。


2018年03月05日

タッピング

 最近は細いメネジを立てることから遠ざかっているが、タップを入れてある箱から、こういうものが出てきた。

tap holders 左が商品のオリジナルの状態である。右は直角に出た部分を打ち抜いたものである。細いタップを把持して回転するのであるが、左の状態のものはタップをよく折る。数本連続して折って、気が付いた。



 この横棒は無いほうが良い。人間の手は点対称にできていない。親指が2本ある人は良いが、普通の人はそうではない。この横棒にほかの指が引っ掛かる。筆者の経験では中指が犯人である。引っ掛けると、貴重な細いタップがぽきりと折れる。

 細いタップは高いので参ってしまう。先の方が折れただけなら、旋盤のチャックに銜えて、手で廻しながら砥石で磨って再生する。もちろん砥粒は受ける。
 折れた先は喰い込んでいるから、ステンレス塩水漬けで2日掛かって溶かす。多大な損失だ。

 横棒を抜くと、殆ど折らなくなる。細いタップ立てには力は要らない。下穴を多少大きめにすると楽に切れる。油を付けるとさらに楽になる。この2つを守れば、タップを折ることはない。筆者は小型電動ドリルの先に小さなチャックを付けて切ることもある。1.4 mmなら一瞬である。電動ドリルはしっかり保持して、即座に逆転する。意外に簡単である。ガラも使うが、電動も良いものだ。小型の自動逆転のタッピングマシンを作れないか検討している。細い電池式のもので十分だから、過電流を検知して逆転すれば良い。H5氏は、自動ではないが、細いタッピング専用機を作られた。非常にうまく作動するのを拝見した。

 もちろん、数が少なく、板が薄ければ、回転ヘッド付きのピンバイスも楽で良い。


XX2 ところで、これは何だろうか。丸い部分は直径 35 mmほどである。長さは 140 mm ほどである。スティールで作りたかったが、良い材料がなかったので、とりあえずブラスで作った。ネジは、M10-P1.5 である。久しぶりに太いネジを切った。

2018年03月03日

脱線

 脱線と言っても線路の上ではない。ターンテイブルの駆動部分にある集電用レイルから、集電車輪が脱線したのだ。うっかりそのまま廻したので、レイルは外れ、車輪が横に押されてばらばらになった。大事故である。完成してからでなくて良かった。

 原因は円盤を載せて組み立てる時、車輪が外れたまま、はめたのだろう。脱輪したまま回転させたので、レイルが外れ、車輪およびテコが壊れた。
 車輪幅が4 mmしかなかったのは間違いであった。精密に作ってあるから脱線しないはずだったが、組立て時のことを忘れていた。脱線はありうる。

electrical pickupsturntable disc すべての集電装置を外し、作り替えた。車輪幅は11 mmとした。レイルは細かく補強を入れ、ハンダ付けの数を3倍にした。もうこれで壊れることが無いはずだ。
 集電車輪ではなくローラになった。レイルとの接触痕は中心部につくから、問題は起きないだろう。回転させると6個のローラが廻る。抵抗はかなり少ない。

 ターンテイブルは、大きな精密機械であって、作るのは大変である。据え付けをするには3人がかりで支えなければならない。
 基盤は24 mmの合板、ディスクは15 mmの合板で作ってあるが、これだけ大きいと多少撓む。撓まないように補強を入れることにした。チャンネルを熔接して付けることになるかもしれない。回転部の中心は、スラストベアリングを追加することにした。


2018年03月01日

O Scale West

 カリフォルニアで開かれる O Scale West(以下OSWと記す)の、役員のM氏から1月ほど前、突然メイルが来た。個人的な話を除いて紹介する。

 貴君はここしばらくOSWに来ないじゃないか。もちろん貴君が何をやっているかは雑誌で見ている。面白そうなプロジェクトだね。それをやっていれば、こちらに来てくれない理由は分かるよ。
 貴君の他に、日本から何人か来ていたけど、昨年は誰も来なくなった。とても淋しい。日本人はもうOSWに何も期待できないのだろうか。それとも、もうコレクションが終わったのだろうか。沢山買っていたようだから、それもありうると考えている。
 OSWの開催時期を5月に変更したのも何かの原因だろうか。以前のように2月のほうが良かったのだろうか。思うところを聞かせてくれ。
 この5月には貴君に是非とも来て戴いて、講演をお願いしたい。内容は博物館についてだ。皆、興味津々だからね。転車台の新しいメカニズムも紹介してくれ。
とあった。

 正直なところあまり行きたくない。例の時差を乗り越えるのが大変だからだ。しかし、わざわざ一本釣りをしてくれるのなら、有難いことである。ホテルに泊まらずに、みんなの家を順番に泊まれば良い、歓迎するよ。とあった。それは確かに有難い。節約できるものは節約すべきだ。H氏からは講演の詳しい予定を知らせよと言ってきた。まだ行くとは言ってないのに気が早い。

 果たして行くことになるのか、全く白紙であるが、様々な点で優待すると言ってはくれている。心は動くが、行かないだろう。

2018年02月27日

職人との会話

 どうしてそんなに職人と親しくなれるのか、という質問があった。

 一つにはそういう時代に生きていた、という運の良さがあった。住んでいるところが町工場がたくさんある地域であったこともある。友人の家がそのような仕事をしているところもあった。
 中学で技術家庭という時間があったが、授業はつまらなかった。教師が分かっていないことが、はっきり分かったからだ。旋盤のある工場で窓の外から見ていると、中に入れてくれて触らせてくれたし、職人芸を見せてもらった。

 そういう時に、「この仕事をやりたい」と思っていたから、それを口に出すと一生懸命教えてくれた。フライス番は切粉が飛び散るので、飛ばない方向からしか見られなかったが、すごいものだと思った。仕事が速いのだ。父に聞くと、「セーパー(型削り盤)は刃物が一つしかないが、フライスはたくさん付いているからな。」と言う。それはそうだが、あの速度で焼けた切粉が煙を上げて飛んでいくのは凄い眺めだった。超硬の刃というのも初めて見た。

 旋盤とフライスで家が建つほどの金額だと聞いたので、自分で趣味で持つことはできそうもないと思ったが、のちにアマチュア用のものがアメリカ、イギリスを中心に出ていることが分かった。

 様々な分野の職人と話をするのは楽しかった。図面を描いて注文すると、面倒そうな顔はするけど、受け取りに行くと得意満面で、腕自慢する。その自慢を良く聞いて、さらに面倒な注文をする。だんだんとエスカレートするのが面白かった。職人は学校には行っていないが、知識がある人が多かった。父は、
「分からないことは、工場に行って職人の頭に聞くんだ。賢い人が居るからな。」
とよく言っていた。
 現場でなければ分からないこともあるのだ。本を読んだだけではできない仕事だ。まさにプラグマティズムの世界である。 

 祖父江氏と知り合ったのはその頃で、模型職人なのに機械工学の基礎を完璧に知っているのには、驚いた。そういう人は見たことが無かった。
「14枚以下の歯車は、歯車じゃねえよ。」
 この言葉が模型職人の口から出るとは思わなかった。すっかり参ってしまって、通うようになった。

2018年02月25日

続々 プラグマティズムについて

要するに、「主体性の有無」が、「プラグマティズムの有無」を決めていると感じています。プラグマティズムというと高尚な感じがしますが、要は、自分がやろうとする目的に対し、どうしたらいいか考え、それを実践するという単純なことです。

主体性がある人は、その考えや行動が是か非かは人にもよりますが、少なからず行動しています。考えを実践しなくても平気であるということは、そもそもの目的がはっきりしていない、即ち主体性がないということです。どうせ考えてもやらないのであれば、考えるだけ時間の無駄です。

主体性がある人は、「やらないなら考えない」、きっとこういう行動でしょう。実証して初めてその考えが認められることを知っているからです。


 考えても実践しないのであれば、考えていないのと同じ、「考えている風」なのです。ただ、この「考えている風」の人が一番厄介です。彼らは、理屈上できることは、何とかすればできると信じています。

 彼らの話自体の理屈が通っていると、その分野に精通していない人は「よく物事を考えている人」だ、と感じてしまいます。しかし
その分野に精通していて、勘所がある人からすると、それは理屈だけで、経験から来る技術を踏まえた考えではないことに気づいてしまいます。そのため「考えるのはいいけれど、やってから言ってくれ」と思い、辟易してしまうのです。日本に居た時にはそういう人が多く、気にしていませんでしたが、アメリカに居ると、それを言った瞬間に評価が下がることが分かるのです。

 本や文献からの知識、理屈は、ベースとはなり得ても、それが全てではありません。以前、辞書に載っていないから間違っていると評価された話が記載されていましたが、良い例です。知識に加えて、足で稼ぐ、手を動かすといった、身をもって経験したからこそ持っている技術に対するセンスがなければ、実力があるとは認めてもらえないのだと、アメリカに来てから実感しました。

 このブログも、ただ知識や理屈を述べるものなら、全く興味を持たなかったと思います。実際やっているからこそ直面する困り事や、悩み事、経験に基づく情報が満載であるところが、模型人から見て魅力的なブログです。


 壮大な計画が、具現化されるのをブログを読みながら楽しみにしています。



2018年02月23日

続 プラグマティズムについて

鉄道模型の話をしましょう。アメリカでは、「走行第一主義の鉄道模型を作りたい」という人は、走らせるための線路を持ち、自分で改造、あるいは製造できる設備を整え、試行錯誤しながら、自分の考えを具現できる人がほとんどです。

もちろん、「写実第一主義の鉄道模型を作りたい」という人もいます。そのようなモデラーは凝ったレイアウトを作り、模型を楽しむわけです。走行第一主義者と写実第一主義者とで話をすると、互いに目的が違い、フォーカスするところが異なるため、お互いにやはり考えが違うなと感じるでしょう。ただ、意見を言いあって、考えが違っていても、否定をされたとは捉えません。主体性があるから、人は人、自分は自分という考えがはっきりしていて、ブレがないからでしょう。

他人が何を言おうが、自分の評価は自分が決める。故にアメリカ人は自己主張が強いと言われるのでしょうが、自分の幸せを自分で追求するのがこの国の特徴でしょう。

 

一方日本では、他者評価を気にする人が多いのではないでしょうか。目的が違えば、考えも違って当たり前なのです。たとえば写実第一主義者の方からの意見に、「それは『走り』を追求する上では採用できない。」と言えば、”否定された” と感じる人が多いのではないかと思います。その逆のパターンの場合も同じです。

 人と同じであれば良い、人より幸せであれば良い、という比較の判断基準は他人の眼ですから、「違う意見=否定」と捉えられても仕方がないのかもしれません。

                                                                     <続く>



2018年02月21日

プラグマティズムについて

 1月10日号のコメントを読んで、アメリカから長文のコメントを戴いた。日本とアメリカで自然科学を研究されている方からである。日米の鉄道模型文化の比較論である。興味深いので、紹介したい。コメントは800字を限度としているので、数回にわたって送られてきたものを編集した。

 
 私は、こうすれば良くなる、こうすればできると考えたらやってみたい、と思うタイプの人間です。ところが、日本の殆どの人は、考えただけでできた気になり、やらない人が多いと感じます。いざとなったらやるし、やればできるはずと思うのでしょうが、実践していない人には経験から得られる勘所がないので、それまで手を動かしてきた人間にはかないません。それだけではなく、考えたことをやってみてどうなるか見たいと思わない人は、最後まで実践することもできません。

「考えたことをやってみたい!」と行動する人間と、「考えた。理屈上うまくいく。」と満足する人間とは、生き方の根幹が違うからです。

 

アメリカには、考えて終わりという人はあまりいませんね。学生達は、私などそっちのけで考えを言い合い、白熱した討論の後、必ず「その実験をやってみよう」となります。残念ながら、日本ではあまり見ない光景です。

日本では考えは言い合っていますが、自ら行動することは非常に少なく、大学院にもなって「指導してもらう」という感覚の学生がいることには驚きます。教育の違いかと考えたこともありますが、結局、主体性があるかないかの違いなのだと思うようになりました。主体性があるということは、「自分がこうしたい」という目的意識がはっきりしているということです。そのため、その目標達成のためにはどうすべきか考えて、実践するということになります。
                      <続く>  




2018年02月19日

集電装置

electrical pickup このところ、集電装置を作るのに忙殺されていた。転車台が回転すると、DC回路は途中で極性が反転するが、DCCはそのままである。照明は、電源とは無関係に点滅させたい。場合によっては人形に旗を振らせることもできるようにしたい。


Lionel collector 集電レイルは5本ある。回転の抵抗はなるべく小さくしたいが、確実な集電を期したい。いくつかの方法で実験をして、力学的抵抗の小さい物を採用した。それはライオネルなどで使われている、回転ドラムである。
 ライオネルは焼結合金を使っているようだが、バネが強く、摩擦抵抗が大き過ぎる。
 バネは縮んだ時と伸びたときで、接触圧が随分と異なる。いつも同じように接触させようと思うと、よほど長いバネを用意しなければならない。

 しばらく前、軽井沢の駅前で草軽の電気機関車を見た。集電装置は錘による上昇である。それを見て閃いた。コンプライアンス(追随しやすさ)は小さくても良いので、この錘方式を採用した。錘は 10 g であるから、接触圧は 0.1 N で一定とみなせる。
 廃材を使っているので、部品が不揃いだ。誰にも見えないところだから気にしないことにしている。ただし、軸受等は機械加工して寸法は同一である。

 錘と言えば、TMSのHOの記事で、先輪や中間台車に錘を付ける記事があった。あれはまずい。HOといえども、走行すれば線路の不整で車輪が飛び上がる。軸重という言葉があるので、重さを掛ければ良いと思っているのだろう。慣性質量があるものを、動く部分に載せるのは間違いだ。いわゆるバネ下質量の問題である。脱線機を押しているようなものだ。止まっている時と走っている時では、全く異なる様子を示す。

 軽くバネ圧着するのが一番良い方法なのだが、その種の間違った記事はよく見た。走らせていないから、気がつかないのだ。バネにすれば、走行音もずっと良くなるのに。
 Oスケールで錘を載せると、速度が大きいので、たちまち脱線だ。しかし、この転車台は極めてゆっくり廻るので、錘方式でも十分に不整に追随する。

electrical pickups 集電レイル間隔は 30 mmであるから、集電子は千鳥配列にした。同一直線状にはないから、微妙に傾けて接線方向に向けてある。すべての可動部は、撚り線で結んで接触抵抗を低減している。

 これらの写真は2週間以上前のもので、その後線を1本増やす必要が出てきて、5本になった。

2018年02月17日

constant velocity

 角速度が変化しないという意味である。
 
 CV joint  等速継手というものは、30年ほど前から生産量が格段に増えた。いわゆるFF自動車がたくさん売れたからだ。FFは、50年ほど前は、国産ではスバル1000という車ぐらいのものだった。友人の父君が乗っていて、乗せてもらうと水平対向の独特な音だった。BMW のオートバイの音である。バックでステアリングを切って坂を登ると、切れ過ぎる方向に行くとのことであった。一方、四日市の椙山氏はシトロエンに乗っていて、これまた陸上の乗り物とは思えない乗り心地であった。

 これらの車には等速継手が使ってあった。ステアリングを切っても駆動軸の回転と車輪の回転が完全に一致した。即ちステアリングに何ら振動が伝わって来なかった。その後、筆者はスバル・レオーネに乗っていたことがあるが、12万キロも乗ると等速継手が摩耗して、ステアリングを切るとカラカラと音がし始めた。

 80年代になるとトヨタ、日産も大量にFFを売り出し、FRをはるかに凌ぐようになった。等速継手の材料、工作技術、潤滑が進歩し、耐久性が飛躍的に向上したのだ。今乗っている車は15万キロをはるかに超えているが、ステアリングは新車同様の切れ味で、全くガタがない。進歩したのだ。

 この頃はステアリング・ホィールいわゆるハンドルの軸の曲がっているところにも使われている。昔は、エンドウの継手で言えば、ABAまたはCBCのタイプを使っていたが、これなら軽くできるからだ。もしこれが不等速継手であると、カーヴを曲がるときに非常に奇妙な感じがする筈だ。ガードレイルを擦る人が増え、人身事故も大幅に増大するだろう。そういう点でも、等速であるということは大切なことだ。


 ユニヴァーサル・ジョイントを単独で使うと、何が起こるのだろう。角速度が変化するのだ。二つ組合わせてその変化量を打ち消させると、出力軸は入力軸と等速になる。もちろん中間軸は速くなったり遅くなったりする。伊藤 剛氏の解説によると、
「中間軸は細くて軽いものですからね、速度が増減しても、殆ど問題は起こらないんですよ。でもね、出力軸の角速度が増減すると、人間が乗っていますからね、激しい振動が生じれば乗り心地が悪くて困ってしまいます。もちろん出力軸が入力軸と平行でなければ多少の不具合は起こりますが、工夫をする前と比べたら大幅に緩和されていますよ。
 中間軸が高速で廻れば、問題が起きるでしょうから、そういう用途には向きませんね。別の等速ジョイントを使うでしょうね。その辺は経験に依りますな。それを使わなくてもね、最近はそういう角速度変化を吸収する継手があるのですよ。強化したゴムでできています。それが付いていると、高速回転での振動が大いに軽減されるんだそうです。」

という事であった。


CV or not  今回の電車の模型の台車がカーヴで振った時は、まさにその状態ではあるが、間違った位相の時に比べてはるかに振動は低減されるはずだ。この図は極端に誇張して描いてある。角αは角βより大きいから、等速にはならない。しかしかなり良くなっている。
 この角度が小さいときは、α≒β だから、等速と近似できるだろう。振れる量を小さくしようと思ったら、センタピンの位置をジョイント側に近付けるべきだ。もちろん荷重を負担するものを、台車中心に付けねばならない


 このyoutubeをご覧戴きたい。中間軸の不等速を、カードを押し当てて発生する音で分かり易くしている。非常にうまい表し方だ。模型とはいえども、こういうことを知っていないと、よく走る模型はできない。


2018年02月15日

続 困ったユニヴァーサル・ジョイント 

 先回の記事に対し牛越氏から送られてきたコメントには、恐れ入った。このブログ始まって以来、最大の衝撃を受けた。旧製品は3種3個の部品からなるようで、「それらの中の同一のものを組合せると、対称的なものができる」というアイデアだ。非常に賢い解決方法である。牛越氏には感謝する。これを広めるべきだ。

 しかし、メーカーはどうして3種作ってしまったのだろう。何かむなしいものを感じる。

 先回の写真を使って解説しよう。

ABC これは最初の状態である。仮に左からA,B,Cと呼ぶことにする。もう一組あるから、これらをばらばらにしよう。中間軸の B はひねることができない。

ABA 次に、 A に B を挿し、そしてもう一つの B を挿す。これで第1組の完成である。


CBC その次は、C に B を挿し、次いで C を挿す。これが第2組である。こうして正しいものが二組完成した。

 
 実に賢明な方法で、作り直す必要はない。生産する時はとりあえず C を作るのをやめるだけで済むという訳だ。 売るのはA-B-A だけにすれば良いということだ。


nakazawanakazawa2 最初のコメントを戴いた中澤氏から、写真が送られてきた。形が変わっている。既に型を変更して、スプライン軸が片方の部品と一体になっているように見える。
 誰かから指摘を受けて直したのだろうが、それが公表されていないというのはおかしな話だ。

 写真を探すとイモンのウェブサイトにもあった。これは位相が間違っている。市場には、かなりの間違った製品が在庫されているものと思われる。エンドウは、とりあえず市場にあるものすべてに、この方法を知らせる紙を添えるべきだ。それによって企業のイメージを向上させることができれば、却って大きなプラスとなろう。今のままではいけない。


 railtruck氏からお知らせ戴いたウェブサイトの最下行には、正しいことが書いてある。"constant velocity" という言葉が使ってあるのが、すばらしい。 どうして日本の模型界にはこのような”常識”がないのだろう。おそらく、走らせている人の数が少ないということに起因している。走らせていなければ気が付かないことだからだ。外見しか興味がない人の比率が多いのだろう。
 ある程度の編成を牽いて曲線のある勾配線を走らせれば、如実に差が出ることである。

2018年02月13日

困ったユニヴァーサル・ジョイント

MPギヤ2 10年以上前に、このブログで扱ったことのある話題だ。先日所属クラブの会合があり、HOの人たちと話をしていた。ある会員が持って来た動力車が、大半径の曲線上では快調であるのに、小半径の時はゴロゴロという音がする。
 どうしてだろうと皆が裏返して見ている。結論が出なかったようで、指名があった。見てみるとユニヴァ―サル・ジョイントの位相が間違っている。回転ムラを助長する方向の接続である。

revised この写真を加工して、正しい配置にしてみた。こうでなければならない。要するに左右対称でなければならない。こうすると不等速はかなり打ち消される。以下の写真は、加工していない他の車輛のものである。 



MPギヤ3「こりゃダメですよ。中間軸を90° ひねらないと・・・。」
バラしてひねろうとすると、それはプラスティックの成型品で、スプラインがモールドされている。打つ手はない。ということはたくさんのダメな製品が日本中にばらまかれているということだ。

MPギヤ その場にあった何台かの動力車を見たが、すべて間違っている。困ったことだ。その会社はエンドウである。MPギヤという製品の一群の中にある。たくさんの製品を売ってしまった後なのだろうが、良心があれば、無償交換すべきであろう。中間軸のスプラインが90° ひねられたものと現物を交換すべきだ。安いものだから、現物との交換ではなく、申し出があれば渡すという選択肢もある。

 このブログで大きな話題になったから、この種の間違いはもう存在しないと思っていたが、とんでもない思い違いであった。
 このブログで、もっと頻繁に繰り返し扱うべきことなのだろう。TMSの記事で、この種の間違いは、昔はたくさんあったが、誰も指摘しなかった。しても無駄、と感じていた人も多いのだろうと思う。

 まさか現行のMPギヤに間違いがあるとは思わなかった。エンドウともあろうものが、こんな間違いを放置するとは信じられない。

2018年02月11日

working path

 先日、ER25というコレット・チャックを取り付けた様子を紹介した。これはどう考えても、ワーキング・パスが長いからダメである。職人の言葉では、「道中が長い」と言う。
 要するに工具が飛び出しているから、スピンドルの位置が高い。即ちコラム(柱)の高い位置にスピンドルが留まっているわけで、コラムが撓み易い。刃物はスピンドルから飛び出しているので、これまた撓み易い。極めて不利である。工作の力が伝達される経路(path)はなるべく短くしなければならない。

micro mill with ER11 自宅の工具箱を隅から隅まで探した所、ER11が出て来た。しかもMT2が付いている。これなら20 mmほど短くなる。左の写真は取り替えてみた様子を示す。MT2の引きコレットに直接つけると、さらに20mm弱短くできるが、取り外しが大変だ。


 とにかく刃物は短くくわえて、スピンドルは最大限低く保つのがコツだ。ワーク(被工作物)は万力の上の面ぎりぎりで把持する。そういう意味では各種の高さの平行台(正直板、ヨーカンともいう)を所有し、最良の高さに保持しなければならないのだ。以前雑誌の記事で、「万力の底の部分にワークを置く」とあったが、あまりにもお粗末であった。絶対にやってはいけないことである。
 ER11は小さなコレット群で、掴める範囲は 0.5〜6 mm であるが、実際に使うのは4 mm と6 mmだけだろう。それらを専用に残して、あとは自宅に持って帰った。

ER11 collets 堅木の小片があったので、7/16 インチ(11.1 mm)径の刃物でコレットの置台を作った。鉛筆で罫書きを入れたけれども、DROの数字だけを見て作ったので、罫書きの意味は全くなかった。

 ER25は旋盤の方に移設してみよう。8 mm径までなら材料を貫通させられることが分かった。ただし、引きボルトがない場合である。普通の作業なら引きボルトは要らないだろう。もっぱら、6 mm径までの部品作成専用である。
 引きボルトは、M10 で首下110 mmのネジがあれば良い。中空のネジであれば好都合だが、作りにくい。MT3の引きボルトは中空のものを見たことがあるが、最近はない。


2018年02月09日

既製品のダブルスリップ

 もう一つのアイデアを紹介する。これは所属クラブの大先輩の杉山洋二氏からお聞きしたことである。

 シノハラがダブルスリップを出している。杉山氏は買ってみて走らせたのだが、全く駄目でことごとく脱線する。ゆっくり走らせても、脱線するので、じっくり観察したそうだ。

 細かいレイルが、微妙な量、上下していたのだそうだ。要するにすべてのレイルが同一平面上にはないのだ。そこで氏は、飛び出しているものをヤスることにした。定規を当てて、出ているところを削り始めたのだが、とても難しい。そこで、大きな油目のヤスリを全体に当てて、数十回軽くヤスったのだそうだ。
 すると、出ている部分が完全に削れて、低い部分と同じ高さになった。車輌を高速で走らせても、全く脱線しなくなったという。先日、M氏のレイアウトでそれをお伝えしたら、早速試されて、快調になったそうである。 

 杉山氏は、
「メーカーで、出荷前に大きな定盤上にサンドペーパーを貼って、その上にダブルスリップをうつ伏せに置いて、ざっとヤスればすぐできるのにね。」
とおっしゃった。その後数十年経ったが、目立った進歩はないようだ。

 筆者が作るダブルスリップは、それをお聞きして、レイル表面の整列には気を遣っている。

 杉山洋二氏はTMSの100号時代あたりから載っている電車模型の大家であった。近鉄を1/80、18 mmゲージで作られた方である。

2018年02月07日

sound cam

 先日クラブの会合で披露したところ、評判の良かったアイデアを紹介する。

 蒸気機関車のサウンド装置には、ドラフト音を動輪の回転と同調させるために、動軸にカムが入れてある。このカムを入れるためには、正攻法としては動輪の嵌め替えをせねばならない。慣れている人には簡単だが、一般的には難しいようだ。

 アイデア商品として、僅かに弾力を持つカムを、開いて軸に無理やり横から押し込むものがある。他に、二つに割って組むものもある。どちらも、そういう部品がないとできない。

 筆者が採用しているのは極めて楽な方法である。クロスヘッドは前後しているので、その前後の死点付近に針金を出しておく。もちろん、絶縁パイプを介して固定する。当たっても抵抗がないように曲がりやすいバネにしておくことが大切である。左右で4点の接触がある。4点も要らないという方は、片方で2点にすれば良い。

 あまりにも簡単で拍子抜けするほどだ。針金は洋白が錆びにくくて良い。線が見えるかもしれないからいやだ、という方は、シリンダブロックの中に入れることもできる。

 この方法は25年ほど前、祖父江氏と話していて思い付いた。氏は早速やってみて、「うまくいくよ。簡単だからいいよね。」ということだったが、注文主から見ると手抜きをしているように見えたらしい。仕方なく回転するドラムを付けていたが、筆者のは、針金接触方式である。誰も気が付いていない。

 このようなヒントは無数にある。Model Railroaderの特集号で”764 Helpful hints”というのがある。楽しい本で、いつも寝る前に読んでいた。類するものは、TMS誌上にもたくさん載っていた。これこそがプラグマティズムである。まともにやろうと思ったら、大変な手間が掛かるが、これでも可能というアイデアを出すわけだ。
 鉄道模型はプラグマティズムの実践の場である。まともに唯一絶対の解を求めていたら、お金や時間がいくらあっても足らない。

2018年02月05日

ER25コレット

ER25 collets and holder 自宅の工作室の抽斗を整理したら、ERコレットのMT2シャンクが出て来た。ER25も1 mm〜16 mmまで完全に揃っている。しかも引きネジはどういう訳か、M10であった。つまり、そのまま使えるわけだ。これを付ければ、引きネジを緩める必要がなくなる。即ち、上に飛び出しているZ軸DROが、邪魔にはならないということだ。

 博物館に持って行って取り付けてみた。40 mm以上突出するので、ワーキングパス(working path)が長くなって多少不利であるが、小径の刃物しか使わないので問題がないかもしれない。ブレが大きければ、元に戻しても良い。エアスプリングの取り付け位置も下げて、動く範囲の邪魔をしないようにした。少々大き過ぎるような気もする。もう少し小さいERコレットがあると短く掴めて良いのだが。
 モータの出力から考えても、12mm径の刃物は使うはずもない。

 新しく来た旋盤の主軸もMT2なので、それに付けても使える。旋盤付属品のコレットチャックは、少々出来が悪い。調整幅は各 2 mmということにはなっているが、可動域の端の方の寸法の材料は掴めない。即ち、掴める範囲が連続でないのだ。仕方がないから、薄い銅板で作った円筒を挟んで掴んでいる。これも、ERなら連続した寸法を掴める。ただ、貫通穴がないところは不便だ。

 ER25コレットはどこに仕舞うべきか考えたが、下手に仕舞うと目的の大きさのコレットを取り出しにくい。一覧できなければならない。そういうホルダをブラスの板を切って作ろうと思って居たところ、具合の良いものを見つけた。
 もう少し大きめのR8コレット用のロータリィ・ホルダである。実はR8を入れるつもりであったのだが、オーク材でやや贅沢な専用ホルダを作ってしまったので、行き先がなくなってしまったのだ。

collet holder フライス台の背面壁に取り付けた。3つは余るが、それは大径の16, 15, 14mmのものだから、抽斗に仕舞った。もちろん一覧できるような仕切りを付けた。

 

 道具や部品が一覧できるというのは、時間の節約になる。昔、近所の自動車修理工場に行くと、すべての道具が、壁に絵を描いて、その通りに掛かっていた。あんなことしなくても、と当時は思ったが、非常に理にかなった方法である。

 実は模型の部品もすべて一覧できるように、床と壁に並べてある。床は正月には片づけなければならないが、壁はそのままである。これは便利である。


2018年02月03日

Z軸 DROの取り付け

Z axis DRO フライス盤の改良工事を終わらせておかないと、転車台のちょっとした部品の製作にも支障が出る。切込み深さ方向のディジタル表示器が必要であるが、クイル部分が本体とは別に微妙に回転するのが困ったものである。
 クイル quill とは鳥の羽の軸部分を指す言葉で、要するに中空軸のことだ。電気機関車にもクイル駆動がある。中空軸があって、中で別の軸が回転するようなものを指している。このフライス盤は設計が拙くて、少しだが、上下するクイル全体が廻ってしまう。中央の太いスティールの丸棒が廻るのだ。考えられない間抜けな設計で、廻らないようにするのはとても難しい。

Z-axis DRO3 クイルが回転すると、取り付けたDROが捻じれてしまう。クイル表面の円周上で0.3 mm程度の動きである。当て金を作って、そこに当てて変位を検知しても良いが、仕上面の精度で0.02 mm程度はばらついてしまう。

 支点を遠くに持っていって、微妙な角度の動きの影響を無視できるようにしてみた。長い棒を立てたとして、先端を少し振らせた時、高さが測定できるほど変化するか、を考えればよい。
 取付け位置はクイルの外周上より少し遠いところにある。200 mmの棒の先が、0.2 mm左右に振れると、概算で背の高さは0.0002 mm弱低くなる。DROは0.01 mmの差を拾うので、全く影響はないと言える。十分に近似は成立しているのだ。
 
Z-axis DRO2 この棒は2x4 mm のブラス平角棒で、左右の剛性はほとんどない。前後にはやや曲がりにくいが、多少は撓むので2x2の支えを入れた。これはよく効くブレイスで、後ろには全く撓まなくなった。しかし左右には自由に撓む。
 落として使えなくなったノギスのクチバシを切り落とし、ネジで留めた。デプスゲージ部分を上にして、ハンダ付けした。あらかじめハンダメッキしておいて、炭素棒で 一瞬でくっつける。ネジの本数を減らして、接着剤で補助している。

Z-axis DRO4 ノギスの切り落とした少しの出っ張りを、フライスで削り出した部品で押えている。下の台形の断面のブラス隗は、その辺にあった切れ端を使っただけで、形には全く意味はない。
 クイルを最大限捻じっても、読みには全く影響しない。それは成功なのだが、上に突出しているので、コレットの引きネジを廻すのが少々やりにくくなった。左手でやれば済むことではある。引きネジを廻さない方法を考えるべきかもしれない。
 一方、短くすると、かえってうっかり引っ掛けやすくなるようにも思う。しばらく考えて、結論を出そう。

2018年02月01日

走れ!!機関車

走れ!!機関車 アメリカの子供向け絵本の翻訳書である。往々にしてこの種の本は鉄道マニアから見て、面白くなく、間違いが散見されるものである。しかし、この本は違う。鉄道マニアが読んでも面白い。翻訳の間違いらしきものもない。northerns484氏から紹介され、長らく書店で探していたが、ついに見つけることができなかったので、通信販売で購入した。

 ネブラスカ州オマハから、サンフランシスコまでの鉄道の旅ができるようになったのは1869年である。開通直後のユニオン・パシフィック鉄道、セントラル・パシフィック鉄道(のちのサザン・パシフィック鉄道)に乗って大平原を越え、山地を抜けて太平洋岸に到達する様子が、淡々と、しかし躍動感ある記述と絵で表されている。

走れ!!機関車2 筆者はこの沿線を何度か車で往復しているから、様子はよく分かっている。その風景は150年前も今も変わりがない。この絵はネブラスカ州のノース・プラットの東の方だ。本当に何もない。今も同じだ。ただ、線路が複線になっているだけである。

 途中の食事の様子、トイレの様子、連結手が危険な仕事をしていることなどを紹介している。チキンのはずなのに、プレーリードッグの味がしても質問してはいけない、とあるのには吹き出した。
 気になったのは、挿絵の中の看板などが日本語に書き換えられていることだ。子供向きだから日本語の方が良いという判断だろうが、元のままにして、下に訳を付ければ良かったのに、と思った。

 アメリカの歴史の中で、鉄道の敷設というのは非常に大きな部分を占めている。鉄道がなければ、あの巨大な国は機能しなかったのだ。

 英語版を発注した。1週間で届くというから驚いた。


2018年01月30日

御殿場線ものがたり

御殿場線ものがたり たまたま寄った古本屋で見つけた。福音館の子供向けの「たくさんのふしぎ」シリーズの一つだ。30年ほど前の号である。このシリーズは我が家の子供たちも読んでいたが、これだけは買っていない。アメリカに居た頃なのだろう。その後の調べでは、再版されて単行本になっているようだ。


御殿場線ものがたり2 著者は宮脇俊三氏、絵は黒岩保美氏である。間違いは無さそうだと手に取って、中のページをめくって驚いた。どの絵も素晴らしい。特に筆者はこの見開きの絵を見て、衝撃を受けた。このようなスイッチバックを作りたいと思っていたことがあるからだ。すぐに買って、帰りの電車でじっくり読み直した。

 御殿場線は田舎を走っているのに、隣に線路があったような跡があるのはなぜ?駅の構内が広いのはなぜ?という疑問から始まる謎解きがある。

3御殿場線ものがたり 東京駅から電気機関車でなくC51の牽く特急が国府津に到着すると、30秒で後補機のC53が連結され、峠まで押していく。そこで走行中解放する様子が躍動感溢れる絵で表されている。東京から電気機関車だと、付け替えの時間が掛かるからだ。


 当時はC53が出たばかりなのだが、特急「燕」の本務機はC51なのだ。信頼性があったのだろう。一方、普通列車は小さな機関車で牽いている。

 筆者も関西本線でC51が本務機の、重連鳥羽行き快速に乗ったことがある。C55と組んで、ぶっ飛ばした。当時名古屋ー桑名間(23.8 km)は18分であった。平均速度は 79.3 km/h である。当時近鉄は木曽三川を渡る鉄橋が古く、そこでの最高速が40 km/h に制限されていて、とても国鉄の快速には敵わなかった。
 その後この記録は40年間破られることなく、ディーゼル快速「みえ」で再度18分になった。今は最速17分半だと思う。

 C51はブラスの帯を沢山巻いた、お召し列車に使われるような機関車で、古いけど魅力的であった。その列車と相前後して発車する湊町行き快速も良かった。それはたいていC55とC57の重連であった。昭和33年頃の話だ。毎日駅まで行って観察していた。素晴らしい時代であった。写真があれば・・・、としみじみ思う。


2018年01月28日

続 砥粒

 早速メイルを戴いたので紹介したい。

 砥粒の話、そのように教えられたり聞いてはいても、気にしないモデラーが多いでしょうね。実際に擦り減って支障を起こすほど使わない(使用時間が長くない)からでしょう。問題が発生しない、もしくは擦り減るという経験をしていないので、理解できないのだと思いますね。 

 模型車両の軸受の構造も、よくこれで持つよなあと思うものが大半です。海外メーカーの米国型HO蒸機がギクシャクして肩を振るようになったので分解してみたら、単に長方形に切り欠いただけの軸受に真鍮の車軸が嵌まっていて、擦り減っていたということを経験しています。ちゃんと注油し、綿埃などは取り除いていたにもかかわらずです。油が砂埃?を巻き込んだのが却っていけなかったのかもしれません。
 こういう場合はグリーセムのような固体潤滑の方が良いかもしれませんね。ギヤの露出も問題です。埃だらけの居間の壁際に敷いた線路で、ずっと走らせていればそういうことにもなるのだろうと思います。長時間連続して走らせることなどは、想定外なのでしょうね。博物館や商店の展示レイアウトの車輌の消耗やメンテナンスはどうなっているんでしょうね。

 
おっしゃる通りで、アマチュアの旋盤で、磨り減るほど使ったものにはお目にかからないから、良いのかもしれない。
 筆者も現役のころは旋盤、フライス盤に向かうのは週に1時間ほどであった。最近は毎日2時間くらいであろうか。これくらい使えば減るかもしれない。ベルトは擦り切れて2回取り替えた。刃物の消耗はかなりあるが、最近はダイヤモンド砥石があるので、修正は簡単だ。
 
 建設中の博物館の車輛は、すべて密閉式ギヤボックスを持ち、軸受はボールベアリングである。それらは十分持つだろうと思う。問題はロッドである。ひと月に一度溶剤スプレィで洗い落とし、再注油する。洗うと黒いものがたくさん落ちる。これはロッドの金属粉なのだろう。
 数年に一回、ロッドの孔のスリーブを入れ替える必要があるかもしれない。これは比較的簡単な作業である。

 模型においては消耗ということを考えることは少ないが、博物館が開業するとそれは深刻な問題になりうる。そういう点ではLow-D車輪は減らないから良い。

 JRなどが開いている博物館のHOレイアウトでの車輛の消耗は相当なものである。どんどん下廻りを取り替えているらしい。
 しばらく前、3条ウォーム、コアレスモータ、Low-D車輪の組み合わせをHOでやりたいという人が現れ、図面を提供した。博物館のメンテナンス・コストを小さくするという触れ込みで、応札したらしいが、見事に負けたらしい。勝ったのは既存の模型店で、イニシアル・コストが低いからであったそうな。当然メンテナンスには多大な金がかかり、模型店は左うちわだそうだ。資源の浪費は著しい。困ったものだ。



2018年01月26日

砥粒

 フライス盤の改良記事中、「砥粒が落ちる・・・」と書いたところ、質問を戴いている。そんなに気にするようなことだろうか、ということである。

 筆者は大変気にする。摺動面がある機械では、摺動面に砂ぼこりが噛むと、たちまち磨り減る。送りネジはもっと気を遣う。

 旋盤工の仕事を見るのは面白かった。子供のころ、近くの工場でよく見ていた。最後にサンドペーパを当てる時に、油を塗った新聞紙をベッドの上に広げて、ホンの少しではあるが飛び散る可能性のある埃を受けていた。新聞紙の裏表は当然区別する。

 その仕事が終わると、丹念に埃を払い、新聞紙を丁寧に4つに畳む。筆者が質問すると、大事な旋盤を少しでも長持ちさせるためには当然のことだと言った。
 自分で旋盤やフライス盤を持つようになってからは、埃が掛からぬように気を付けるし、サンドペーパは極力使わぬようにしている。使うときは習った通り、油と新聞紙で防護し、電気掃除機を持ってきて、発生する時点で吸い取っている。

 職人の仕事は研究すべきなのだが、もはや職人はほとんどいなくなってしまった。旋盤の上で、サンドペーパを無頓着に使う人は、よく見る。やめるべきだと思う。
 筆者の子供時代は、職人たちが働いているのをよく観察できる時代であった。今思えば、貴重な授業を受けたことになる。そういう意味では現代の若者は不幸だ。なんでも教科書に書いてある通りにすれば出来ると思っている。なかなかそうはいかない。正解は、年月をかけた経験からしか得られない。
 Knowledge is from books, wisdom is from age. (知識は書物から、知恵は経験から。 )
 

2018年01月24日

終活

 就活かと思っていたら、終活という言葉があるそうで、少々驚いた。人生の終わりに近づくと、様々なものを整理する人もいるらしい。

 最近何人かの模型人が、工事中の博物館にいらして、
「うちに置いておくと、僕が死んだら捨てられてしまうから、事前にこちらに持ってきてよいか。」
とお聞きになる。お預かりするのは良いが、展示できるかどうかはやや難しい。ショウケースが足らない。3階が空いているので、それを展示スペイスにすれば何とかなるが、まだ先の話だ。内装工事やエアコン設置が必要である。場合によってはエレベータも必要だ。資金が要る。

 伊藤 剛氏は15年ほど前、面白いことをおっしゃった。
「そのうちに、鉄道模型は持ち主が死んだらどういう風に保存するかを考えねばならない日が来ます。宗教法人にするという手もありますよ。お寺が良いですな。
哲藻院 應迎寺 というのはどうですか。読み方?テツモイン オウゲイジですよ。
そういう宗教法人にして、お布施を戴いて永代供養するというのはどうでしょうな。」

 もちろん剛氏一流の冗談ではあるが、時が経つと現実味を増す。
 この博物館の建設が始まるときに、土屋巖氏は、
「いろいろな人が模型を持ってきて預かってくれという日が来るが、タダで受け取ってはいけないぞ。相応の保管料を貰って運営するのだ。」
とおっしゃった。その日が近づいてきたような気がする。

2018年01月22日

Z軸DRO

 フライス盤の動力系の改良が終わり、残るはZ軸のDROの取り付けだ。

 非常に困ったことに、クイルが、スピンドル本体の中で0.5度ほど回転する。DROを付けたら、捻られてしまう。 回転を止めるにはどうすれば良いか、考えているが、妙案が浮かばない。
 回転を許容して摺動するようにすると、どうしても1/20mm程度の誤差を認めなければならない。根本的に構造を改良するにはかなりの工事が必要で、そこまでやるほどの価値もない。

 このフライス盤は、いろいろな点で詰めが甘い設計で、経験の足らない人がやっつけ仕事でやったことは間違いない。つまらないところの剛性が必要以上に大きい一方、ここぞというところがダメである。

 この機種の拡大改良版は 幾つかあるが、どれも共通した欠点がある。筆者の自宅にある機械はその部分を徹底改良した。原型をほとんど留めていない。どうして売る側がそれに気がつかないかが不思議だ。

2018年01月20日

回転計とトルク計

tachometer and torque indicator フライス盤の改良で、回転計を用いて回転数を測定した。これはレーザ光を発し、反射光を数えるタイプである。アマゾンで安価にて購入した。写真中央下のものである。この話を教えて下さったのは、時々登場する Dr.Y である。氏は様々なモータを測定して、一覧表にされたのだ。100機種弱を整理されたデータで、非常に興味深い。
 電圧電流が直読できる安定化電源と、トルク計を用いれば測定できるとは言え、大変な労力を投入したデータであり、貴重だ。

 写真中央上はトルク計である。三爪チャックでモータの出力軸を掴み、所定の電圧で廻してバネ秤で直読する形式になっている。表示単位は昔懐かしい ”g重cm” である。 

 Dr.YはHOを楽しまれているので、モータのトルクはせいぜい 100 g重cm である。筆者に見せて下さった時、Oスケール用のものも測定してみよう、ということになった。しかし、たちまち振り切ってしまった。もっと大きなものが必要であった。

torque indicatorcalibration その後、ヤフオクで目を皿のようにして探し、ついに 600 g重cm のものを購入することに成功した。これらの写真をご覧になるとお分かりかと思うが、正逆回転に対応した目盛りになっている。
しかしこれでも振り切るものがいくつかあり、低電圧で測って高電圧のトルクを、外挿して求めることになった。筆者は商売柄 ”Nm” しか使わないので、980を掛けて何桁ずらすのだったか、再計算にやや手間取った。
 径が大きなものはモーメントが大きいので、概して高トルクである。マイティ800に付けてあるのは出力11.5 Wで、大人を載せた客車を牽いても、かなりの加速を示すはずである。もちろん客車にはボールベアリングを付けていることが条件だ。
 
 模型機関車用のモータとして適するのは、強力な界磁を持つ低回転モータで、負荷の掛かった時の回転数が落ちる率が小さい物である。吉岡精一氏が書かれた「モータ調書」のデータとよく一致する。昔から定評のあるEscapの低回転モータは、その点、抜群の性能を持つ。もちろん、伝達系は高効率であることは最低条件で、ろくに廻らないギヤトレインでは、話にならない。

 吉岡氏がデータを採られたのは25年前で、当時無かったモータもあるので、再度調べてみる。近々導入予定のパシフィックの強力機に搭載するモータを決める必要があるのだ。重量客車数輌を牽いて、15.6‰を駆け上がらねばならない。


2018年01月18日

X-1 micromill belt drive conversion kit の取付⑸

 ようやく体調が戻ってきたので、フライス盤の現物をばらして調整をした。結論としては、小プーリィを0.8 mm上げれば、すべて解決である。もちろん大プーリィは最大限下げておく。ガードとスピンドル・ロックを兼ねた角材に大プーリィの縁が当たるので、そこには 0.3 mm程度の隙間を空けておく。 

 製造元に聞いてみると、小プーリィの取付けもキィでできるのだが、キィを削ってするすると入るようにするという知識を持っている人が少なく、叩き込んで失敗する例を避けたいのだそうだ。大した力が掛かるわけでもないので、このような簡易キィでも十分だろう。組立て方は皆さんにお任せする。

small pulley 小プーリィの細く飛び出した軸穴部分は、ごく適当に削っても、バランスその他で問題が起きることは無い。筆者は旋盤で削るのが面倒だったので、手で回転させながら卓上型ベルトサンダで落とした。紙やすりの上で手で磨っても、すぐ完了である。

mortor ballbearing 面取りを施し、削り屑をブラシを通して掃除した。溶剤スプレィで洗って、ミシン油を塗って嵌め込んだ。キィは使わずに、ブラスのピンとネジで留めた。驚いたことに、差し込むとボール・ベアリングのインナレースの黒い油が均一に付いた。十分に平行に削れたということになる。削る部分の断面積が小さいので、アッという間に削れる。
 このベルトサンダは便利な道具で、ちょっとした調整はこれに限る。削れる速度が大きいので、保持するのも楽である。木材、スティール、ブラス、アルミ合金など、なんでも来い、である。

pulleys in correct height 試運転中の写真である。多少手間取ったが、ベルトは水平になり、最高速で廻してもモータ音しかしない。意外と、このモータはうるさい。ブラシがあるからだ。小さな三相モータを付けて、インヴァータで制御すると静かになりそうだ。あるいはブラシレス・モ−タだ。そうすると変速装置は不要となるかもしれない。そうなれば回転数は0〜5000 rpmまで無段変速である。出力も増大する。
 暇になったらやってみよう。しかし改良が無限に行われると、最終的には3軸マシニング・センタになってしまう。しかし、4軸ないと面白くないのだ。そうなると外注するほうが出来が良くなる。あまり考えない方が良さそうだ。

2018年01月16日

X-1 micromill belt drive conversion kit の取付⑷

belt drive⑺ ベルトを嵌めてみる。横から見て、完全に水平であれば、良しである。張力は1.5 Nほどだ。150 gw程である。強くすると損失が大きく、弱くすると滑り易い。刃物が噛んだ時に滑る程度にすれば良いので、そのあたりはご自分で調節願いたい。
 この写真を見ると、小プーリィが微妙に低い。モータ軸に対してより深く挿さねばならないから、少し削る必要がある。

 回転数は3段階で、無負荷最大値で、3010, 1840, 1020 rpmである。この数値は実測値である。元の状態よりはるかに速くなったから、細い刃物を使い易くなった。

⑻ ガードの内側のスピンドル・ロックを掛ける部分がプーリィに当たる可能性があるので、黒い中空ネジを外し、アルミ部分を0.5 mm程度削り、ロックをやや浅めに留める。これはスピンドルを駆動ユニット床板に対して中心に置いたから起こることである。もし基盤をやや手前に付けたなら、このような問題は起きないであろう。(下から挿すネジが、手前に引張った時、スピンドルのフランジの、両方の孔の手前の縁で当たっている状態なら良いという意味である)

⑼  ガードを下からネジ2本を締めて、固定する。ガードにはスピンドル・ロックが付いている。鋼製のロック機構を考えていたが、径の大きなところで押さえれば、小さい力で済むので、ブラス製部品にした。中にはスティールの棒が通っている。相手はアルミ合金だが、十分持つだろう。ミシン油を注しておくと良い。基本設計は筆者で、造形は任せた。なかなか良いと思う。

 これで機械的には終了で、筆者による組立て時間は、このマニュアルを書きながら、2時間半であった。すべての部品は小気味よく組上げられる。作業を始める時に、工具、材料をすべて用意しておくのが、時間節約の基本である。
 キィは使っても使わなくても良い。ただ、キィを使うときはバリを取って、するすると入るようにしておく必要がある。引っ掛かるようでは分解ができない。キィ使用の時は、一般的には軸方向の抜け留めが必要で、軸にスナップリング等で留めねばならない。それを使わないようにするためには、ネジでキィを押し付ける必要がある。ブラスの小片を使うときは、軸のキィ溝にそのブラスが喰い込むようにしている。


2018年01月14日

X-1 micromill belt drive conversion kit の取付⑶

installing motor mount⑹ モータを取り付けたモータ台を本体に組み付ける。ネジの組み立て手順は、この写真を参考にする。黒い大きなネジを締めて、ベルトを掛けた時、動かなければよいのだ。向かって左には、赤いファイバ製のワッシャを噛ませ、適度な締付トルクを与えながら、袋ナットを被せてロックナットにする。ブラスのシムには潤滑油を一滴落としておく。右の手で締めるネジには、大きな金属製ワッシャを挟む。

⑺ 紫の↑はガードがクイルに当たりそうで削ったものだ。実際は当たらないのだろうが、見掛け上、気になるので1 mmほど削った。

⑻ 赤の←の、コレット引きボルトを少し削って、細くした。寸法があまりにもぴったりで、締めると抜けて来ない。ということは締付トルクがかなり無駄になる。後で引抜く時も、喰い込んで面倒である。旋盤で0.05 mm削ったら解決した。
 dressing pullbolt headこの種のガタは、仕事を早く進ませるために必要なガタである。こういうところは、中国製らしい。経験がないのでわからないのである。薄くグリスを塗っておくと、締め易い。
 この引きボルトはM10である。筆者はインチサイズのMT2コレットをかなり持っているので、それ用の引きボルト(3/8”、約9.5 mm)を作る。普通の長尺の全ネジにナットを熔接して削り落とせばよいので簡単にできる。何本か作っておけば欲しがる人もいるだろう。

 それはそうと、旋盤の心押台延長の左ネジを欲しい人がかなり居る気配だ。筆者はU氏に作って戴いたのだが、同じ方法で作るのは大変である。専用の左ネジM10-P1.0のダイスを買えば訳なくできる。これも筆者の旋盤上で、ダイスホルダを使えば、あっという間にできるだろう。一人で買うと高いものだが、多人数で割れば、どうということもない。
 もちろんその後の加工はご自分でやって戴く。材料はS45Cだから、卓上旋盤では出力不足になりかねない。手回しクランクでやるのが良いだろう。 
 希望者がいらしたら、コメント欄で<私信>として連絡されたい。数がまとまれば動き出してみよう。

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