2017年06月27日

続 3軸台車

 レイアウトの作業中に、車輛工作のことを考える。帰り際の1時間に工作をする。

Walthers Pullman truck プルマンの台車がたくさん必要だ。とりあえず Walthers のキットを組んだものに数輌分取り付けねばならない。良い性能のイコライザ付き台車がないので、改造して作らねばならない。

Modofied Walther's truck 造形の点では、 Walthers のダイキャスト製がなかなか良いが、抜けるべき孔が抜けていないので、文鎮のような感じである。まずそれを糸鋸で抜いてしまう。細かい糸鋸は詰まりやすいので、最大限に粗いものを使う。電動糸鋸の金工用が具合が良い。この写真は一部切り抜いた状態だ。

spring attached ザクザク切って、ヤスリを掛ける。そこに細いコイルバネを貼り付けると、可動式だと勘違いする人が出てくるほどだ。


 文鎮からは脱したが、中間軸をどうするかだ。よくあるのは、中間軸受けを長穴にしてごまかす方法だが、走っているとき、車輪が踊るのが良く見えてしまい、みっともない。音も悪く、これは駄目だ。
 前後軸はイコライズするが、中間軸はバネで支えたい。側台枠がダイキャスト製なので、軸箱は動かせないのだ。

 なるべく簡単に解決したいので、内側軸受にして板バネで支えることにした。20年ほど前思い付いて、ある程度の部品は作ってあるのだ。Low-Dを開発しているときの試作車輪を用いたユニットを、いくつか持っている。それはボール・ベアリング入りである。キャノンボックスにバネをハンダ付けすればできあがりだ。

6-wheel truck 要するにイコライズしている2軸の中間にバネで圧着する中間軸を付けるのだ。この場合のバネの強さは事前に実験して決める。予定では、このプルマンの軸重は約200 gwだ。台車の質量が約170 gだから、バネだけで台車+30 gの分銅を支えなければならない。あとは自然に分配される。 
 このバネの負担力を先に計算するというのは、当たり前なのだが、意外と盲点であるそうだ。これを考えている人は少ないと思う。蒸気機関車の先従台車をバネ支持にしているときは、これを先に考えるべきなのだ。そうして、動輪がスリップするかどうかを計算し、補重量を決めるべきである。
 過去に完成させた機関車は、すべてそうやって決めて来た。大切なモータを焼いてはいけないからだ。


2017年06月25日

3軸台車

 模型の3軸台車で実物通りに動く物は少ない。

 イコライズしてあれば、イコライザの支点は2:1の点を押えているはずだ。実物がそうなっているから、模型にも間違いはない。
 ところが、Sunset の子会社のGolden Gate Modelsの客車の台車は、不思議だ。バネ支点位置は良いのだが、イコライザと3つの軸箱が一体なのである。折れないから、何とかして切り離してみようと思った。しかし、切ったら最後、どうやって収拾を付けるかが問題で、まだ手をつけてない。イコライザは亜鉛ダイキャストで、細いがかなり硬い。曲がらないこともないので、重い客車が載っていれば、ある程度は撓んで、何とかすべての車輪が密着しているようだ。
 心皿位置がネジ留めの都合上、ずれていて、軸重が一定でない。脱線しやすいから、これは許せない。心皿位置を支える滑り子を取り付けて、回転中心はずれているが、荷重は中心に掛かるようにした。脱線は皆無になった。
 アメリカ人は、よくあんな状態で我慢しているものだ。軸重が一定でないと、様々な条件で浮き上がりやすく、ろくなことはない。

Ace's 6-wheel truck この台車はAceと云う会社が1965年頃売っていたもので、ダイキャストのフレイムとホワイトメタルの軸受からなる。ちゃんと sprung であるが、軸が入るところはハトメが入っていた。減りにくいつもりなのだろうが、どちらかというと給油が完全であれば、ホワイトメタルの方が摩擦が少ないはずである。実感的とは言い難いが、まあよくできている。
 いずれ、ロストワックスの軸箱にボールベアリングを入れたものに取り換える。

USH working spring truck これはUS Hobbies (KTM製造)が出していた細密構造のダイキャスト台車である。揺れ枕まで動く凝った作りだが、車輪が亜鉛鋳物で話にならない。スケールを間違えているような気もする。大きいのだ。1/45.2かもしれない。しかし、「これでも正しい」という人もいる。大きい台車もあったと言うのだ。真偽は分からぬ。
 Dennisはこれをもとにロストワックス鋳物を作った。鋳縮みで、ちょうど良い大きさになったそうだ。

2017年06月23日

果報は寝て待て?!

 度重なる目の手術で、相当に参っている。内部の問題(白内障、緑内障)は全くなく、外部の問題なのだが、余分なもの(翼状片)が表面に出来て、それを切除している。瞳に掛かる前に取らないと、大変なことになる。今回もきわどいところだったようで、「来るのが遅い」と言われてしまった。それが成長すると、目のレンズが多少影響を受けて、歪むらしい。乱視が出てきたのはそのせいだという。
 今回も単に取り除くだけだろうと気楽に行ったら、根本的な原因を解決しないと再発が収まらない、というわけで長時間の手術となった。かなり深く切ってレーザで焼き切る。欠損部分(defect) を埋めるために、よその影響のなさそうな部分から切り取って来た組織を移植するということをしたようだ。手術室には、 新しいZEISSの手術用顕微鏡が装備されていた。
「前の器械はどうされたのですか。」と聞くと「捨てたよ。」とおっしゃる。「それ、欲しかったな。」と言うと、大笑いだ。あれがあれば、罫書き線に沿って切るのは訳ないし、様々な局面で役に立ったろう。

 鎮痛剤は3回分しか出ず、その後の痛みはかなりひどかった。3日間全く動けず寝ていた。好きなメンデルスゾーンの歌曲を100回ほど聞いた。目を瞑っていると、頭の中で 3D の設計図が出てくる。ターンテイブルの機構部分で悩んでいたが、3日も考えると、非常に良い案ができた。片眼でスケッチを描いて保存した。
 頭の中では、裏側からも簡単に見ることができ、下手に現物を見るよりも発想が豊かになることに気が付いた。この方法を、今後活用したい。


2017年06月17日

続 Model Railroader 1000号

 時を経ても価値のある記事、というのはある。筆者にも思い出がある。この記事のおかげで開眼したというものがあるのだ。

 筆者にとっては、Walk Aroundの記事である。その概念を知るまで、パワーパックで機関車をコントロールするものだという固定観念から抜け出せなかった。
 それが拭い去られてしばらくして、RMC(Railroad Model Craftsman)でSWAC IIの製作連載記事があった。すぐに基盤を注文し、日本製の部品でそれを作り上げた。
 たかだか7mほどしかない線路であったが、スロットルのジャックを差し替えてウォーク・アラウンドを実践した。それを見に来た魚田真一郎氏が、すっかり虜(とりこ)になってしまった。もう一台作って、それで遊んだ。
 我々は、日本で最初のウォーク・アラウンド実践者であろう。

 日本では相も変わらず、細密加工した模型を賛美している。走るかどうかも分からないものを鑑賞しても仕方あるまい。模型雑誌の記事を読んでも、走行性能を上げる話など、どこにもない。

 随分前の話だが、ボールベアリングをHOのギヤボックスに入れる話が載った。ウォームギヤのスラストに耐えるよう前進側の当たるところを2重にしている記事であった。残念ながら、大きなスラストは急停車時に発生するので、どちらかと言えば、逆転側を2重にするのが正解だった。一つでも壊れはしない。よほど強い力が掛かっても大丈夫だ。ただし、ベアリングのハウジングが、ガタガタだと弱いだろう。滑り嵌めできっちり作るべきだ。それをせずに、2重にするという発想がまずおかしい。その原稿をそのまま載せてしまうというところが、TMSらしいところである。
 たまには、模型界を引張るという気概を見せてほしいものだ。

 目の手術を受け、一週間の安静を言い渡されました。しばらく休載します。

2017年06月15日

Model Railroader 1000号

MR1000th Model Railroader の 1000号 を見ている。
「鉄道模型はこうなる」(The Future of Model Railroading )という記事が興味深い。この種の記事は、TMSではほとんどないところが悲しい。

  game changer (流れを変えてしまうもの)はDCCのようなコマンド・コントロールとサウンド・デコーダであるという。細かいディテール・パーツの発売などではない。新しいFシリーズの機関車の発売でもない、と書いているところには笑ってしまった。要するに細かいディテールなどを気にする人は、少なくなったということだ。

 今までは線路を流れて来た電子(電流と言わないところが面白い)で動いていたが、バッテリィで動く機関車が、いま調子良く使っているDCCと同様に動かせればよい。問題は電池容量である。HOの燃料タンクくらいの大きさで、1、2時間動くものが既にある。重連しているダミィの機関車の中に積めれば、もっと長い時間動く。充電の方法を考えれば、電池を外さずに充電できる。(もう少し踏み込んで書けば良いのにと思う。)

 Offboard sound (スピーカを車輛から外したサウンド・システム)要するに、スピーカを小さな車輛に積むのをやめて、線路からのDCC信号をサウンド・デコーダに直接つなぎ、その音声出力をヘッドホンに無線で送る、ということらしい。確かにいい音はするだろうが、機関車が向こうに行っても同じ大きさの音である。蒸気機関車についてはどうやるか分からない。
 O ゲージでは大きなスピーカが積めるので、それほど利点は感じない。 

2017年06月13日

本日、ブログ2000号

 表記の通知を受けた。思えばこの1000号は早かった。祖父江氏、土屋氏、吉岡氏の死去に伴う博物館の建設作業、伊藤剛氏の遺品の収蔵、雑誌への対応などで目が回るほど忙しかったので、「おや、また1000号?」という感じだ。

 以前は全く気にも留めなかった読者数を、毎月の集計でみている。毎日、正確に決まった数の人が読みに来て下さっていることが分かる。読者数の波がここ1年、全く同じである。決まった数のフォロワーがいるということは、評価が確立されたということであろう。筆者の提唱することにご興味のある方が、一定数存在するということであると解釈している。

 筆者のポリシィは一貫している。
摩擦の少ない車輛を、高効率の機関車でたくさん牽き、重量感のある動きを再現させる。」
 それだけである。それを実現するためなら、何でもする。つまらぬ(と言っては失礼か)ディテールには凝らない。ただ、見えるところはそれなりに処理する。見えないところはすべて無視する

 博物館を見せてくれという要望はかなりあるが、今のところ、ほとんどの場合お断りしている。セキュリティがまだ不完全で、大切な収蔵物に事故があってはならないということもあるが、それよりも、見学者に割く時間が惜しい。その時間を製作に振り向けたい。
 それとターンテイブルが未完成で、お見せできる状態ではない。早く完成させねばならない。


2017年06月11日

続 wireless control

detail_1318_no01 他にこんなのもある。これは単三電池1本で動くプラレールのようなおもちゃをラジコン化する装置である。単三電池を外して、単四電池をはめ込んだこの装置を、代わりに差し込めばできあがりだ。

 すぐに鉄道模型に使えるわけではないが、何かの補助装置を動かすディヴァイスとしては有効だ。連結解放装置にはすぐ使えそうだ。10チャンネルあるそうだから、目的の車輛以外には影響なく作動させることができる。

 先回のもそうだが、汎用を考えているので、もう少し絞ったものであれば、鉄道模型用として使いやすい。特許で縛られているようなものではないから、簡単に開発して市場に出せるはずだ。

 実は筆者も、その分野の専門家に話をしているところだ。ハードは既に確立されているので、ソフトの部分での様々なアイデアを検討している。問題は到達距離で、Oスケールだと20 mほど届いてくれないと意味がない。

 レイルからの給電を考えないと、さまざまな可能性が広がりそうだ。

2017年06月09日

wireless control

a216d9a0-0b8e-56c3-1a96-2555e9050b68 最近のラジコン技術の進歩には驚く。いつかは出るだろうと思っていたが、もう売っているものがある。このウェブサイトの製品は安くて簡単そうだ。小電力Bluetoothなので。到達距離は小さそうだが、とにかくすぐできる。

 すでに4チャンネルのproportional control(比例制御)である。これが数千円で買える。電圧が5.5Vなのは残念だが、実は6V用のモータが、いくつか手持ちにあるので、そのまま使えそうだ。
 設定はほとんど何もしなくてよい。そのまま動くはずだ。ただ、モータ出力2チャンネル、サーボ出力が4チャンネルもあって、それで何をしようかということになる。LED出力も4つある。

 電車ファンなら、左右のドアを開けて2チャンネル、連結器の解放で1チャンネル使える。iPadでもスマートフォンでもOKだ。
 
 どなたか電子工学にお強い方が、鉄道模型専用12 Vのディヴァイスを作られれば、きっと売れるであろうと思う。


 

2017年06月07日

WiFi control

WiFi 先日、関西で行われたOゲージの例会に行き、WiFi controlを披露した。線路の上では誰も気が付かないので、床の上を走らせた。出席の皆さんは非常に驚いたようだ。
「これは面白い、僕も欲しいな。」とおっしゃる方もあった。今後の発展が期待される。
 スウィッチを窓から指を入れて操作できるようにしてある。当初、取り付け板が 1 mm板を曲げて作ってあったので、指を入れてぐいと押したり引いたりしているうちに曲がってしまった。そうなるとスウィッチが何処にあるか分からなくなり、さらに指を出し入れしているうちに、余計曲がってしまい、操作できなくなった。ボディを取り付ける部材を避けているので、このような曲がり方にならざるを得ない。

switchswitch2 仕方がないので、スウィッチ取り付けスティを剛性のあるもので作った。厚手のアングル、チャンネルを組合わせた過剰品質のもので、とてつもない剛性がある。窓から指を入れると確実に on,offできる。
 博物館での運転で勾配を2往復したら電池が無くなったが、運転会場の平坦線では、かなり持つ。鎮目氏の客車10輌編成を牽いて、エンドレスを何周か廻った。その客車はLow-Dを付けていることもあって、摩擦が極端に少ない。そういうことを知らない方は、「006Pでもずいぶん持つものですね。」と驚いていた。普通の車輪なら、一周もできないはずだ。 

 無線制御方式はいくつか出ているようだ。 

2017年06月05日

続々々 Old Black Joe

OBJ's 年次総会には、完成した何台かが持ち寄られた。沢山つないで走ったが、モータ、ギヤが同じなので完全な協調運転ができる。
 各人が様々なサスペンション(懸架装置)を付けている。コイルバネにした人もいれば、硬い線バネで支えた人もいる。走らせるとそれぞれのバネの特性が出る。コイルバネで浮かせた構造にすると、ポイントのフログで電車のような軽やかな音がする。
  
 会場では負荷をかけての走行はしなかったが、博物館レイアウトの勾配上での負荷試験では、モータの唸りが聞こえた。おそらく、チェーンの伸びがその音の一部を作り出しているのだろう。
 チェーン駆動ではスプロケットの角速度とチェーン速度とが、完全には一致しない。それがうなりのように聞こえるようだ。悪い音ではない。以前書いたように、位相をずらした二本掛けにすると変わって来るだろう。

 筆者の機関車が一番重かった。他の皆さんは重くするとモータが焼けると思われたようだ。実は提供したモータは、大変強力な高級モータで、軸重650 g程度でスリップ限界である。鉛をそんなに積み込むことはできないので、どんな補重でも問題のない範囲に収まる訳である。
 事前に計算しておいたのだが、それを他の方に伝えるのを忘れていたのだ。申し訳なかった。

 側面のデカルは、Union Pacificにした。余っているデカルがたくさんあったからだ。他に理由はない。

2017年06月03日

続々 Old Black Joe 

Old Black Joe 伊藤剛氏のオリジナルはこんな形である。 外側三線式だ。その集電シュウが実によく出来ていて驚いた。適度な接触圧を持ち、垂れ下がらない。パンタグラフは戦前の朝日屋製を改造したような構造だ。

 フリーランスであるから、これを縮小して線路に載せると奇妙なものである。今回のOスケール化のポイントはそこである。本物を設計するつもりで、各部の寸法を決め、それを縮小した。基準となるのは車体幅である。幅が広くなると急にトイ・ライクになる。扉の大きさも大切な部分である。
 扉は開くようにもできる。筆者は開けないつもりだったが、簡便な方法を思いついたので、開閉可能にした。戻りバネを付けて、普段は閉じている。塗装時に気を付けないと、塗り残しが見えてしまうから、開けたままで塗って、その後外を塗った。

 小型機関車では、うっかり手を伸ばして感電ということが多いそうなので、パンタ台で持ち上げ、エアタンクでガードした。
 Sacramento Northernの本を読んでいると、庫内でパンタを上げる時の話が出ていて、それをやるつもりでポールを増設した。本物のポールは先端がT字の形をしていて、本当に接触させるだけの機能しか持たない。数十秒間補助コンプレッサが働くだけの集電機能である。HO用のポールがあったので使った。

 塗装は黒で、それにオレンジのトラ縞模様を付けた。塗装するつもりだったが、Dr.Yがデカルを印刷して下さったので、省力化できた。これをマスキングでやろうと思うと、かなり大変だ。 

2017年06月01日

続 Old Black Joe

OBJ 車体を仮組みした時の様子である。

 二軸機関車である。軸重はある程度大きい。バネを効かさねば、線路に大きな影響が出るし、音がやかましい。懸架方式は種々考えられたが、硬いバネを独立して付けることにした。本線上のフログを通過する時の車輪の上下量が0.5 mm以下であるので、イコライザの必要はないと結論した。コイルバネでは緩衝性がないので、ふわふわしてしまう。機関車であるから、どっしりとした動きが欲しい。
 
 話は変わるが、先日某所で二軸貨車をつないで走る場面を見た。ガラガラと走るのは仕方がないが、ポイントで飛び上がる様子が見えた。実にまずい。「重くすれば良くなりますよ。」と言う人もいるが、それは間違いだ。重くすれば、運転によって線路が傷むし、飛び上がりが無くなるわけでもない。極めてゆっくり動かせば、飛び上がりはしないが、それはもはや鉄道模型ではない。線路が傷むと言うと「そんな馬鹿な。」と言う人がいるが、これは事実である。フログが減る以外に振動でハンダが疲労し、導通不良を起こす。

 二軸貨車はリジッド(固定車軸)でよいという暴論を見たことがあるが、それは走らせていない人の意見だ。たとえ走らせていたとしても、節度のない走り方にも不満を感じない人であろう。二軸貨車こそバネが必要である。そこそこに硬いバネで、しかも緩衝性があれば、実に快適に走らせることができる。これは高校生の時に実験して確かめた。
 小サイズの模型の場合は、ゴムを使えばかなりコンパクトに収められると思う。しかもこの方法なら、前後の台車が多少捻られるようにするのは簡単なはずだ。イコライズ方式でも良いが、音の点ではバネ、ゴムには全く敵わない。


2017年05月30日

Old Black Joe

OBJ しばらくチラ見せしていたのは、これである。軸配置がまさか2軸とは思わなかった方が多いだろう。今月のTMSに載っているそうだ。筆者はまだ見ていないが、写真が一枚掲載されているとのこと。以前は写真を貸しただけでも掲載誌を送ってきたが、最近はそれもしないのだろうか。

 伊藤剛氏の1946年製の機関車である。元は35mmゲージだったらしい。それを32mmゲージにしたので、少々バランスが良くない、当時はそんなことを言う人はいなかった。
 戦争中、外地でイギリスの凸型機関車の写真からスケッチを起こし、それを日本に持ち帰ったらしい。その機関車はこんな形をしていたようだ。

 今年は名古屋模型鉄道クラブ結成70周年で、本来は伊藤剛氏の存命中にということで、75周年を5年早めて大規模な集会をするつもりだった。伊藤剛氏が、不慮の事故で他界され、少々淋しい年次総会ではあった。

OBJ on track 今年の競作は伊藤剛氏の記念作 ”Old Black Joe" を各ゲージで作るというもので、Oゲージ部会では、ステンレス板をレーザで切り抜いて頒布し、動力は筆者が提供した「3条ウォーム」 + 「コアレスモータ」で、すべて押して動くようにした。1台で数輌の機関車を牽引することができる。

 切り抜いた板を頒布できたのが少々遅くなり、実質2箇月で製作せねばならなかった。原作の雰囲気を残しつつ、スケール感を出している。設計は土橋和雄氏である。 

2017年05月28日

イギリスの機関車のブレーキ

 鉄道発祥の国のブレーキを調べている。

 古い機関車はほとんどニュートラルである。近代機は前進に対して明らかにリーディングである。

leading brake この機関車は3気筒の機関車で両抱きであるが、位置を工夫して、リーディングにしている。一つ目(右側)が接触した時の位置を支点として、二つ目(左)のシュウが接触する時の角度を見ると分かる。二つ目の角度が大きすぎて、喰い込まないかと心配するほどである。このリンク機構は興味深い。

leading brake 2 この機関車は4軸機である。これも明らかに前進に対してリーディングである。イギリスの機関車は、前抱きが多いのは日本と同じ理由なのかが知りたい。

 

neutral この機関車は戦後イギリスで建造された中国向けの機関車である。細かく見ると、アメリカの特許をたくさん使っている。補器類もすべてアメリカ製である。
 ブレーキはやはり後ろ抱きで、鋳鋼製のブレーキ・アームを用いている。支点の位置はニュートラルである。動輪が減ると少しずつリーディング方向に向かう。この理由が知りたい。

 
 
 

2017年05月26日

日本の蒸気機関車のブレーキ

 T氏から、さらにいろいろな機関車の調査結果を教えて戴いた。機種によっては、リーディングとトレーリングを混在させているらしい。 

 再検証した範囲では、以下の様だ。

・9600は前進で明らかにトレーリングである。
製造当時は最重量級の列車を牽いていたのだから、これは不思議である。
・8620とC56の第3動輪、C58の第2動輪は前進で明らかにトレーリングだ。いずれも軽量の中小型機なのでブレーキが強すぎると動輪が滑走しやすい可能性があるだろう。
・大型テンダー機のC51、C55、C57、C59〜C62、D51、D52は前抱きで前進リーディング(ただし、かなりニュートラルに近い)
C53は3シリンダの関係で軸距が独特なので、第1動輪だけ後ろ抱き、第3動輪は長いリンクで吊っているため、第3動輪だけ極端にリーディングだ。恣意的か、それとも単なるスペースの問題か?
・D50はかなりきわどいが、第4動輪だけはトレーリングに見える。

 蒸気機関車の動輪はすべて連結されているので、動輪群全体でブレーキ力確保という考え方かもしれない

 ともかく、前抱きはトレーリングというのが非常に浅い思考であったことは、反省している。


2017年05月24日

EMD SD45

SD45 pingpong table SD45は1970年頃導入された、当時としては最大級の単エンジン機関車だ。V型20気筒ディーゼルエンジンを搭載し、ラジエータ面積を稼ぐために斜めに配置したデザインは刺激的であった。長大なフレーム一杯に、長いフッドが載っている。
 音は独特で、遠くからでも認識できた。非常に低い音というよりも空気振動があり、腹の皮が共振した。KTMはインポータの US Hobbies からの発注でこの機関車を製作・輸出した。祖父江製作所製ではない。構成は明らかにGP7、SD7とは異なる。非常に簡素な作りである。
 
 これは1980年代にアメリカで購入した。当然のように中身は外して売却し、3条ウォームを搭載、慣性モーメントを稼ぐために巨大なフライホイールを搭載した。モータ軸よりも1.3倍ほど増速している。これ以上の増速はコマの効果が出て危険である。これは実験上求めた値だ。
 我が家の地下レイアウトでは、最高速でpower off すると、慣性でエンドレス(約30 m)を一周してきた。 軸重は500 gwである。運転は楽しい。

 実物はしばらく見ないと思ったら、キャブ上に卓球台みたいなものを載せて復帰した。しかも機番が1から始まっている。実物の機番はその時々の空き番号を付けるので、タービンが引退した後の番号を付けたのだ。実物の写真があるので、それを見て改造した。この機関車は”1”になる予定だ。
 屋根の上の”pingpong table”は無線による列車の総括制御のアンテナであった。

2017年05月22日

Alco RS3's

ALCO RS3's このRS3は、ケムトロンのキットから組んでいる。この板は30ミル (t0.75)で、比較的薄い。床フレームは、角棒を貼り足すので、大変重い。組むときはガスバーナが要る。
 キャブ妻板、フッドの妻、パイロットはロストワックス鋳物で、重厚である。このキットは、GP7の時代とは異なり、かなり洗練されている。手際よくまとめてあり、大量に売るつもりであったのだろう。しかし、これを完全に組める人の数は少なく、大抵の人は半分まで行ってギヴアップする。それを安く買ったのが、この2輌である。

RS3 cab cutout 台車はケムトロン・オリジナルのロストワックス一体のものと、韓国製のsprungと比較している。このキットで最も気になるところは、フッドを前後で一体にしていることである。アラインメントを考えるとそれは良いが、キャブの中にフッドがあるのは許せない。
 カッティング・ディスクで、無理矢理に拡げる。こうすれば床板が張れるし、運転台も置ける。

 フッドがあまりにも流麗で、その表面には何もない。本物にはヒンジ等があるから、ロストの部品を付けてみよう。つるりとした機関車ほど、多少の凹凸があると、実感味が増すものだ。


2017年05月20日

EMD SD7

SD7 このSD7は非常に珍しいものだ。これも祖父江氏のゴミ箱から再生したものである。祖父江氏いわく、「これは安達さんが作ったパイロット・モデルだよ。ロング・フッドの細かい造作はすべて手作りだ。このダイナミック・ブレーキ・グリルは、信じられねえ仕事がしてある。ほらご覧よ、全部薄板で組んであるから透けてるよ。あの人はこういう仕事は本当にうまいよねぇ。」 (この写真はしばらく前に撮ったものである。)

SD7 pilot model キャブやショート・フッドは無かったから、自作である。グリルは白眉で、向こうが透けて見える。本物のようだ。量産品はドロップで押しただけだから、透けていない。細かな造作もすべて手仕上げである。 細かな部品もすべて一つづつハンダで貼り付けてある。

SD7 floor 床板は安達庄之助氏が作ったもので、板に角材を貼ってある。台車はこれもアメリカ市場で購入したものだ。駆動部品は3条ウォームで、逆駆動できるようにしてある。ロストワックス部品はまだ高価であった時に購入したものを付けている。
 量産品も持っていたが、エッチング製であまり面白くなかったので、別の機関車とトレードした。

SD7 extended exhaust pipes 筆者としては看過できない間違いがあった。ダイナミック・ブレーキのブリスタ(膨らみ)の、内側の造形である。本物は凹んでいるのに、資料不足で、斜面を作ってしまったのだ。この種の修整はかなり手間が掛かる。切り抜いてL字型の板を張り、左右に隙間がないように三角の板を嵌める。この写真は修整後のものである。排気管の立っている場所が斜面だったのである。
 排気管は延長型に作り替えた。この種の仕事は伊藤 剛氏に手ほどきを受けた。
小さい物を付けようと思ってはいけませんよ。大きなものを付けておいて、それを小さくするのです。」
 パイプを焼き鈍してつぶし、切れ目を入れて二枚の板を差し込み、ハンダ付けする。それを削って修整すればすぐできてしまう。 2本が15分で完成だ。伊藤 剛氏のご指導の賜物である。



2017年05月18日

EMD GP7’s

GP7's  Kemtronのキットを組んだものがかなりある。GP7だけで5輌ある。うち1輌は祖父江製作所製の製品のジャンクから組んだものだ。ごみ箱に捨ててあったものを拾ってきて、作った。ロングフッドが曲げてなかったので、切り離して角に骨を入れてハンダ付けしたのち、やすって丸みを付けた。こういう工作は得意だ。
 ケムトロンのキットはエッチングだけなので、板金打抜きのパーツを足して、より凹凸を大きくしている。細かい部品はロストワックスだ。この頃はロストワックス部品が大暴落だ。買う人が居ないのである。バケツ一杯50ドルで買った。一昔前なら、2000ドルでは買えないものだった。
 おかげで、ホーン、ベル、ライトなど好きなものをテンコ盛りにできる。贅沢な限りだ。
(この写真はしばらく前に撮ったもので、車体の上下を締めてないので隙間が見える。)

 台車はカツミが輸出した祖父江製作所製を、アメリカの市場で手に入れたものだ。軸箱がブラス製のものは加工してそのまま使えるが、1970年頃輸出したものは、軸箱がダイキャストである。部品が微妙に膨らんで、中の篏合させてある焼結軸受合金が外れて来る。やはりダイキャストはダメである。それ以前のように割れることはないが、微妙に膨張するようだ。

 仕方がないから、軸箱をすべて捨て、フライス盤でムクのブラスから作った軸箱体に、ロストワックスで作った軸箱蓋をハンダ付けしたものと取替える。こうすれば1000年でも持つ。軸受にはボール・ベアリングを入れる。機関車は重いので、ボール・ベアリングの効果は大きい。
 ケムトロンの機関車は板が厚いので、素組みでも質量が1300gもある。ぶつかっても壊れない。走行音は重厚である。こうでなければならない。

2017年05月16日

H氏のWiFi制御

 このブログの開設当初からの読者のH氏が、特製のWiFi制御機関車を持って来られた。先日お渡しした機関車を加工して下さったものだ。プラスティック・ボディだが、金属ボディをかぶせても作動することが分かった。

iPadGP7-1demo 機関車の制御部分がWiFiの発信機である。機関車のSWをonにすると、電波が発信され、手元の iPad に届く。iPad の設定を開いて、WiFi設定をすると”GP7-1”が出ている。それをタッチするとつながる。

functions 画面のスロットルを触ると10段階で加減速する。減速を続けると符号が変わって逆行し、そのまま加速する。
 物理の法則の ma を実現しているような感触である。
 ファンクションは4chあるので、前照燈、尾灯、室内灯、ホーンの on, off ができることになる。

 電池は006P型ニッケル水素電池だ。少々出力が不足する可能性があるので、大きな電池を探している。先日の来訪時には、ブラス製の客車(ボールベアリング装備)9輌(約13 kg)を引張って1.9%の坂を登らせた。機関車に補重がしてないので、スリップしている。500gほど補重すると良いだろう。2往復すると電池が無くなった。仕事量としてはかなり大きく、小さな電池ではおのずから限界がある。
 隠しヤードから、多数の貨車を引張り上げて列車を仕立てるのだ。牽引力を稼ぐには重連が不可欠だ。もう一つの機関車はブラス製で、電池を積むようにする。単二型を8本積めるはずだ。重くなる。

 この方式は簡単に作れるそうだが、取り敢えず1チャンネルだけだ。重連を総括制御することは難しい。複数の機関車を同時に扱うには、手元にWiFiの受信ができる端末を複数並べることになる。1台の発信機で重連するにはジャンパ・ケーブルを渡して半永久連結として、電力、モータ出力、燈火出力を接続する必要がある。見栄えを考えると、連結部が賑やかになるのは避けたいが、仕方がない。


2017年05月14日

続 GP20's 

extending damaged areabrass fixing この手の補修は得意で、このような方法を採る。
 t1.5 のブラスの平角棒をフライスに取り付け、幅の半分を1 mm落とす。段を付けたブラスの棒をクランプで挟んで表面を面一(ツライチ)にし、フラックスを浸み込ませてハンダをコテで等間隔に盛る。あとはガスバーナで焙って浸み込ませると完全に付く。それをベルトサンダで注意して削っていく。

GP20's やり過ぎるとまた同じことになるので、+0.3 mm 程度で止めて、あとは大きなヤスリで少しずつ削る。最終的に、定盤の上に置いたサンドペーパで平面を出す。定盤は作業後、よく清掃しておかないと、傷がついて泣きを見る。出来上がると大したもので、失敗作とは思えない。この写真では中心部に隙間が見えているが、ネジを締めれば密着する。

 ブラス工作はこのようなことが簡単にできるというところが非常に優れている。部分的に切り外して、別の板を嵌め込み、ハンダで埋めてごまかすことも容易だ。これがダイキャストだったり、プラスティックではそうはいかない。
 アメリカの友人の失敗作をよく修理して上げたことがある。彼らは非常に驚き、
”これをビジネスにすると良い。”と言ってくれたが、そういう仕事ばかりやるとかなり疲れるだろうと思った。久し振りにやるとなかなか快感である。

 また、最近の韓国製のような薄い板の製品は勘弁してほしい。厚板でないと修理が完璧には行えない。これは40ミルであるが、以前は50ミル(1.27 mm)もあった。快削ブラスであって、フライスで調子よく削れる。

 筆者はこの種の機関車を2台ずつ持っている。70年代によく見た8重連、10重連を再現するためである。動力はそれぞれ片方に入れるだけで十分である。


2017年05月12日

GP20’s

GP20 2 1960年頃のディーゼル 電気機関車である。 ターボチャージで2000馬力になったばかりの、当時の新鋭機であった。EMDの既製品にUPが独自にタービンを搭載して実験したので”Omaha”と呼ばれていた。
 1970年代には既に老朽化して入替用に使われているものもあった。二台一組での運用が多かったように記憶する。Kemtron が模型化していたので、それを入手するチャンスを探っていた。

 ebayで一つ入手したのとほぼ同時にアメリカのショウでもう一台入手した。前者は150ドル程度、後者は100ドル程度であった。安くて良いのだが、後者には安い理由があった。エンジン側のフッドがおかしい。後端で4mm程度低くなっている。これでは安いわけだ。

GP20 1 組んだ人はフッドの下端の不揃いをベルトサンダで落としたのだろう。ベルトサンダの削り速度は非常に速い。うっかりよそ見をしたか、人と話しながらやってしまったのだろう。あっという間に削りすぎて、後ろに傾いた。ショートフッドが浮いたのでハンダ付けをずらしてゴマ化した。それでもキャブが当たるので削ってしまった。というのが想像できる顛末である。
 このケムトロンのキットは1.01 mm(40ミル)のブラス板に深くエッチングしてあり、とても堅く重い。筆者の好きなキットである。ハンダ付けは細いガスバーナで行うと全面ハンダ付けができる。写真はキャブ下に2 mmの角線を貼り付けた状態である。これを削って修整する。

 さて、買ったキットをホテルの部屋でばらし、動力機構をごっそり外して、次の日に売ったら80ドルで売れた。つまり、車体を20ドルほどで手に入れたことになる。先に買った方も同様に売却した。筆者はこのような形で、上廻りを廉価で入手している場合が大半である。車体は、現物が目の前にあった時代なので、それほど大きな間違いはない。


2017年05月10日

6-wheel trucks

6-wheel truck UPの流線形特急列車の荷物車、郵便車は重いので3軸台車が使われている。その製品を、アマチュアが作って売っていた。20年ほど前に見たのは、イコライズはするものの、構造をわかっていない人が作っていたので全く良くなく、一つ入手したがさらに欲しいとは思わなかった。

 これはテキサスのDennisが作ったもので、なかなか良い形をしている。構造を理解している人が簡略化しているからだ。既製品の2軸台車を切り継ぎ、新製した部品と組合せている。ハンダが多そうに見えるが、実はこれくらいがちょうど良く、鋳物のすその部分が表面張力でうまく表現できる。大きなコテで、多めのハンダを付けた。
 ここに部品の継ぎ目が見えると気分が悪い。そういう模型をよく見る。
 バネはぴったりのものがないので、間に合わせである。いずれ、旋盤で線を巻いて作る。適当な長さに切って、ベルトサンダで端面を落とせばできあがりだ。

 ブラスの線でも、巻けば加工硬化してちょうど良い硬さになり、へたらない。

 韓国製はわざわざ揺れ枕を作って、それがうまく作動しない。模型では揺れ枕はそれほど効果がない。人間が乗っていないので、効果があってもなくても一緒である。すなわち無くて構わない。

 当鉄道には3軸台車付きの車輌が3輌ある。どれもこれも重く、2kg近くあるから、ボールベアリングを付けている。レイルの継ぎ目の音が良い。


2017年05月08日

Hemmschuh

hemshoe 部品箱を探していると、思わぬものに遭遇する。もう20年近く忘れていたものだ。綴りは hem shoe と二つに分ける方法もあるようだ。英語ではないのだけど、英語風にしている。googleで検索すると、日本の会社が出している。これは商品名なのか、それとも一般名なのかが、わからない。日本語版WikipediaにはHemmschuhと言うドイツ語風の綴りが載っている。ドイツ語版Wikipediaには、最初にこの綴りがある。

 英語ではこれを何と言うのだろう。多分、skid(橇・そり)だ。

 日本の会社の商品は、上の写真とは微妙に異なる形である。このロストワックスの鋳物は、実際に作動する。レイル上に置いて、車輛を突っ込ませると、多少スリップして止まる。左右にガタがあるので、それを少し手直しするともっと確実に止まるだろう。
 片方のレイルだけではなく、両方であればより確実に、脱線もなく止まる。

 車止めが固定式なので、その前には置いておきたい。

  

2017年05月06日

続 ブレーキの設定 

 T氏から興味深い文章を送って戴いた。イギリスの蒸気機関車を設計する手法について述べた本のようだ。”How steam locomotives really work?”  という題の本であるそうだ
 

 servo brake という言葉が出ている。すなわち倍力装置のことである。要するにリーディングにするということだ。
 日本の文献には、今のところこの記述が見つかっていないという。日本型蒸気機関車が前抱きブレーキにしたのは、後ろ抱きにするとブレーキ・梃子(てこ)が圧縮荷重を受け、振動することを嫌ったためのようだ。アメリカ型の近代機では、ブレーキ・アームは極端に太く、圧縮に十分耐えるようになっている。

 ヨーロッパでは、前後進でブレーキ力が変化しないような設計を推奨しているようだ。タイヤが減ると、どうしてもどちらかに傾いていくだろう。よく見ると、磨り減っていくと、リーディングでもトレーリングでもないニュートラルのところに行くようだ。そこで取り換えるのだろう。

 久し振りに、頭をよく使って結論を導き出せた。何か非常に爽やかな気持ちだ。チャンスを与えてくれたT氏には感謝する。


2017年05月04日

ブレーキの設定

 よく考えてみれば、鉄道車輛にとってブレーキは生命にかかわる部分だから、細心の注意を払って設計されているはずだ。
 前に付いているからトレーリングだと信じ込んでしまったことは、恥ずかしい。物理的な考察をせずに、見かけだけで判断してしまったのだ。

self actuating brake 図を描けば、ぶら下がったブレーキと同じであることに気が付く。Aはリーディングであることは明白だ。B2はAと同じでリーディングである。ブレーキの腕には押す力が掛かる。B1は腕が引っ張られているだけの違いでこれもリーディングに相当する。物理で、「押すと引くは同じだ。向こうから見るかこちらから見るかだ。」と習ったのに、忘れてしまっている。この図ではB1とB2はつながっているように見えるが、別のものを考えている。

 またまたモップの絵を描くと右の図である。上を押すのと、下を引くのは結局は同じことだ。

 昨日から、いろいろな人と意見の交換をしていた。出てくる意見はどれも面白い。動輪が減るとどうなるかということを気にする人が複数いた。確かに接線が中心に近づくと支点を通るようになりかねない。おそらくその手前でタイヤを取り替えると思う。ブレーキ・シュウを取り替えても関係ない。ブレーキ支点を移動できれば良いのだが、そうなっているようには見えない。

 self-actuating (自己倍力装置)である前提で設計しているので、必要とされるブレーキ力を下回ることは許されない。おそらく、機関士はそういうことには極めて敏感だから、効きが悪ければすぐに報告されるだろう。特に高速で走る旅客用機関車にとっては、旅客の生命が掛かっているから、その整備は大切だ。

 昔はそのような伝承があったのだろうが、現在の数少ない保存機の場合は、「これはブレーキが効かないのではないか」とは、気が付かないだろう。タイヤの摩耗限界が、そのような基準で決められていたことも知らない世代に入ってしまったのではないかと危惧する。事故が起こらなければ良いが。

2017年05月02日

日本の蒸気機関車のブレーキはリーディングである。

 先回の記事が出た直後に、表題に示す連絡を受けた。連絡してきたのは、工学のエキスパートのT氏である。(leadingと言うよりも、むしろself-actuatingと言うべきかもしれない。)
 T氏は、鉄道車輌よりももう少し大きなものの姿勢を制御する専門家である。
 

 そんな筈はないとも思ったが、彼の言うことが間違っていたことは、過去に一度もない。食事の時も上の空で、皿と箸でシミュレートした。彼の意見は正しいことが分かった。わざわざ、ブレーキを効かないようにするはずはない。

leading 結論は出たが、どうやって説明するかである。極端に簡略化した絵を描くとこうなる。それを平面上のモップにすると、下の絵になる。
 モップを塀の上に載せて、下から横に引っ張ると、モップは質量と重力加速度によって生じる摩擦力以上の摩擦力を生じる。喰い込む方向に力が掛かるのだ。エスカレータのベルトを拭くときにこういう装置を付けると、喰い込んで止まってしまうかもしれない。 

JNR C62 leading brake 実物の機関車の写真をじっくり見た。これはC62である 。確かに支点は接線より中心に近いところにあることが分かる。
 これで井上氏がよく効くとおっしゃった意味が、ようやく分かった。

 この件に関するコメントを沢山戴いているが、トレーリングであるという前提のご意見ばかりなので、掲載は控えている。ヨーロッパの機関車には、支点を接線上に持って行って前後進でブレーキ力の変動が起きないような設計にしたものがある。

 それにしても、T氏の眼力には恐れ入った。実はT氏からは、例の”天秤棒イコライザ”に関する解析も戴いているので、いずれそれも紹介したい。イコライザではないということである。

 追記: 添付のC62のブレーキの写真は、提供者のmon氏のご厚意で、圧縮前の、より鮮明な写真と差替えました。  

2017年04月30日

leading or trailing

 自動車は前後進するので、リーディングだけだとブレーキ力が不足し、危ないことがある。
 最近は4輪ディスクが普通だが、40年ほど前までは乗用車もドラム式がかなりあった。前輪は2リーディング(二枚のブレーキ・シュウが両方ともリーディングになっている)であったが、後輪はリーディング・トレーリングであった。後退時にブレーキが効かないと事故を起こすからである。
 最近は、ディスク・ブレーキでもリーディングがあるらしい。英語の表現は、self actuating、self energizing などである。  
 
 
 バイクは前進しかしないので、2リーディングがふつうである。ところが、モトクロス用のバイクだけは、前輪にリーディング・トレーリングが採用されていた。逆に廻そうとする力が掛かる瞬間があるからだ。

 蒸気機関車は前進を旨としている。となると、ブレーキはリーディングが有利だ日本の機関車はトレーリングが多いのはなぜだろう。喰い込み過ぎて危ないのだろうか。
 アメリカの近代の機関車は、後ろから抱くリーディングがほとんどだ。この考察はK氏によるものだが、興味深い。

 井上豊氏は、
「列車のブレーキは大したことはないが、機関車のブレーキは良く効くんだ。カキッと止まるんだぜ。」とおっしゃった。バックの方がもっと効くという話は出なかった。そこを聞いておくべきであった。

追記 日本の機関車も、前から抱いているが、リーディングであると、指摘されました。次の記事を参照してください。

2017年04月28日

集電ブラシ

 今野氏のブログでしばらく前に話題になった件である。

 ブラシをどう作るかである。接触させる部分の構造を、皆さんあまり考えていないように思う。コメントに少し書いたのだが、本論に入る前に、打ち切られたのでその続きを書くことにする。

leading and trailing ブラシの接触圧は回転方向で力の掛かり方が変化する。これもリーディングとトレーリングの考え方である。バイクに乗っていた人はこの言葉をすぐ理解するだろう。要するに、押すか、引きずるかである。左の図は二軸貨車のブレーキを模式的に描いたものである。
 回転方向によって、ブレーキ・シュウが食い込むか、それとも逃げて行くか、という差が出る。シュウをぶら下げている支点がどこにあるかで、加えた力で生じる摩擦力が変化する。深く考えると、シュウのどの部分を押すかによっても変わってくる。

leading & trailing 丸いものは考えにくいので、円周の中心を無限遠に持って行くと平面になる。掃除をするとき、モップを押す(1)のと、引く(2)のとでは力の掛かり方が数倍違うことがある。支点を下げて床と平行にすれば、押し引きでも全く変わらない。つまり、円周で言えば、支点を接線上に置く(3)ことである。様々な模型を見るが、そこに気を付けている模型はまず見ない。これを守らないと、前進は良いが、後退時にガリガリ音がすることがある(その逆もある)。

 大きな模型では集電ブラシを板で作り、その先にニッケルを貼る。接触点を増やすために先端を櫛状にする。この櫛状にする方法はEscapのコアレスモータに使われている。ニッケルがなぜよいかは決定的な答はないが、適度に硬いこと、融点がかなり高いことと、酸化被膜に多少の通電性があり、それが取れ易いことだろう。この知見はアメリカやヨーロッパ製の製品から来たものと思われる。
 筆者の父親は、「当然だ」と言っていた。何が当然だったのか聞いておくべきであったが、もう遅い。少なくともステンレスの酸化被膜は硬く取れにくい。
 最近は銀合金が使われるようだ。 

2017年04月26日

OSR May/June 2017

 最近号の O Scale Resource にLow-D の記事が載っている。毎号載せてくれるのは有難いが、少し頻度が高すぎる。編集者の要望に応えて原稿を送っておいたものだ。まだほかにも、いくつか送ってある。
 また、99%以上、書いたそのままが載っている。"to" を一箇所抜いたのと、複数形を2箇所直しただけだ。編集者は良く書けていると褒めてくれるのだが、こちらとしては今様の英語にして欲しい。筆者が英語を勉強して50年近く経ち、アメリカから帰ってもう25年以上経つのだから。
 
 外国人の書いた英語の雰囲気を味わって欲しいらしい。 アメリカ人の友達に聞くと、古風な言い回しがあるそうだが、違和感はないとは言っている。しかし、筆者自身は読み返すと少々気になるところがある。今はこう言わないような気がする、と感じるのだ。自分の書いた英語なのだから責任を持て、と言う人もいるだろうが、原稿をコンピュータ画面で見るのと、このような冊子風になったものを見るのとは、少々感じ方が違うのはやむを得ない。

 ステンレスの摩擦係数が小さいから、フランジ角を小さくでき、その結果線路の不整による脱線が起こりにくくなったことを強調した。Big Boyなどのセンティピード・テンダが脱線しやすいのは、これを使えば直ると書いておいたのだが、果たしてどの程度の人が興味を持つのだろう。

 滑走データも付けておいた。最後の写真は非常に多くのことを語ってくれる。これを見てフランジが触っていないということが明白になる。過去にいろんなことを言ってきた人がいるが、これを見せるとたちまち黙ってしまう。それほど雄弁 (eloquent) な写真である。動かぬ証拠である。
 フランジの接触による損失は大きい。先日RP25を付けた車輌が1輌発掘されたので、よく整備して滑走させた。車輪は溶剤スプレイでよく洗い、油気をなくした。線路も溶剤でよく拭き、油気を取った。
 下り坂を滑走させたが、カーヴの途中でキーッという音がして驚いた。フランジの音だ。フランジが擦れてそんな音を立てたのだ。ステンレスの摩擦係数が小さいとは言え、音がするようでは、とんでもない損失を生んでいる。フランジでカーヴを曲がるのは、模型では避けるべき間違いだ。

2017年04月24日

再度 teasing

the engine しばらくここに停まっている。架線がないので動けない、というのは大ウソである。
 パンタグラフをひっかけたので、少しゆがんでいる。パンタグラフの最大上昇時の高さは 25 ftもある。アメリカの鉄道の架線高さの最大値は 24 ftなので、これでは高すぎる。少し工夫して、上がらないようにせねばならない。
 すでに信号橋には当たっている。相手が軽いプラスティックだから良かったものの、金属製を導入する予定だから、とても危険だ。 

 信号橋は複線用をつないで接着し、4線をまたぐようにしてあるが、非常に弱い。接着部がぽろぽろ剥がれて来る。副木(そえぎ)を当てているが、いずれ壊れることは見えている。
 新しく、スティール製にする予定だ。これはそう簡単には壊れないので、5線をまたぐようにするつもりだ。プロトタイプを物色している。
 4面トラスのタイプが良い。内部にはXブレイスがところどころ入る。信号機はすべて上に突き出させる。上面は人が歩けるようにし、手摺りもつける。

 倒れると重大な事故が発生するので、路盤に固定する。

2017年04月22日

通称「ガラ」

tapping しばらく前にこれを入手した。長年探していたものだ。行きつけのバッタ屋にたまたまあって、安く買うことができた。もうこんなものを見ても用途が分からない人が多いのだろう。

 洗い油できれいに洗って、乾かし、注油した。何十年か工場で使われたものなのだろう。良く使い込まれているが、ガタがある訳でもない。調子が良いのでアタリであった。

 ガラでタップを立てると、折り込むことがまずない。
 細いネジ穴を切るのはいつもヒヤヒヤであった。折るのではないか。折れたらまた何日かステンレス容器内で塩水漬けにしなければならない。そういうことを考えると、タップを立てるのに勇気が要る。ところがこれを使い始めると、ネジ立てはいくつでもできる。まず折れることは考えられない。

 今までは折れないようにするには、ボール盤のチャックに銜えて下ろし、そろそろと廻していた。専用のタップ立てジグも持っているが、細いものはやはり心配だ。手に持って廻すなど論外である。手の指が対称的でないので(要するに片方の手に親指が点対称で2本付いているのならば、問題ない)、廻すときに軸がずれてしまう。だから折れるのだ。回転力だけしかかからなければ、折れないものなのだ。
 以前E氏の工夫されたタッピングドリルを見せて戴いた。それは、自作の細い手持ち電動ドリルであった。ゆっくり廻ってトルクだけしか伝わらないから、折れない。

 この道具は軸が水平で、タップの捻じれ具合が分かる。負荷が掛かると捻じれるので、その具合を見て、戻したりする。相手がブラスとはいえども、厚い板に立てる時には、戻して切粉を出さねばならない。その時、切削用グリスを付けると、とても具合が良い。
 先日は1.25 mmの板にM1.4を30個ぐらい立てたが、あっという間である。ガラの下には切粉が積もって、山になり始めた。


2017年04月20日

床板取り付けジグ

床フランジ取り付けジグ お答がbrass_solder氏からだけだったのは、寂しい。写真の撮り方が悪かったのかもしれない。 

 タイトルを何と書いたら良いか、しばらく悩んだ。床板を取り付けるL字型の部品(アングル)を所定の高さに側板の内側に付けるジグである。床板そのものを取り付けるジグではない。
special clipsspcial clips2 厚い板を、屋根と側板を組んだ状態で載せ、アングルをバネで挟んで嵌める。アングルはバネの圧力で留まっているだけで、自由に動く。ここが筆者の工夫である。Oスケールは車体が大きいので、剛性が相対的に少ない。アングルを側板に密着させるのはなかなか難しい。洗濯バサミで締めると、側板が軽く曲がって密着する。洗濯バサミの先には、アングルをまたぐような加工がしてある。
working with jig 大きなハンダごてを当てれば、ハンダが浸み込む。こういう工作はハンダごてが 適する。見掛けは問題外なので、ハンダを100%流す。完成するととても堅い車体ができる。
 作業が進むにつれてこのハンダ付けジグをずらして、全長に亘って取り付ける。アングル高さはネジで自由に決められる。

 筆者はこの作業が好きである。頭を使わなくても、時間が経てばたくさん出来ているという感覚が良い。職人になった気分だ。アマチュアといえども、時間は貴重だ。
 ブラス製の不等長アングルは、足立健一氏に大量に作ってもらった。こういうものはたくさん持っていれば、作りながら在庫を数えなくてもよい。

2017年04月18日

Jig

the jig このジグは何だろう。クラフツマンならすぐわかるはずだ。そうでない人はそれなりに?
 しばらく使っていなかったが、最近必要になったので引出しの奥から出した。一度踏んづけて壊したので、片方は作り直している。寸法を測らずに作ったので、ネジ孔の位置が少し違う。
  短いほうの板の裏には硬いリン青銅の板が張ってある。弾力で何かを挟むのだ。

 かなり前に、祖父江氏のところで見たものを自分なりに改良したものだ。祖父江氏は、相当頑丈なものを使って、ワークに嵌め込んでいた。これは上から載せるだけである。
 

115_5415 この台車の枕梁が行くえ不明なので、 t0.3 のリン青銅板を細く切って作った。台車枠が捻れるようにしたのだが、まだ硬い。t0.25でもよかっただろう。t0.2では薄過ぎた。
 この台車はカブース用である。リーフ・スプリングがほとんど飛び出していない台車のバネを切り捨て、長いロストワックス鋳物をハンダ付けした。内側は見えないので、半分に切って節約した。これくらい飛び出していると気持ちが良い。 
 カブースは韓国製で必要以上に重かった。K氏のところから戴いたものなのだが、元の所有者が余計な改造をしようと思ったものの、点対称に間違えていたりして、収拾が付かない物であった。購入者のK氏もギヴアップしたものらしい。
 思い切っておかしなところはすべて切り外して捨て、作り直した。とにかく重い車輌である。740gもあるので、ボールベアリングを入れざるを得ない。重いから、グリースの抵抗など問題にならない。よく走る。 

2017年04月16日

motor bracket

 先日の写真で質問があった。モータ・ブラケットが意外と薄いのではないかというものである。確かに薄い。チェーンの張力などは知れているが、軽衝突の衝撃で曲がりそうに見えるかもしれないが、実は工夫がある。材料は t1.25 のブラス板である。本当は t3 を使いたいところだが、曲げるのに苦労する。専用の曲げる道具を持っているのだが、1つ2つを作るのに、引っ張り出してセッティングをするのが面倒だった。 

motor bracketmotor bracket2 t1.25 にV溝を掘って曲げてから、金鋸で切り目を入れて小さなブラス片を押し込み、ガスバーナであぶってハンダ付けする。それだけである。もちろんはみ出したところは削り取る。この方法が簡便にして丈夫である。
 見かけを気にする必要がないところだから、ジャンク箱から取り出した、汚い板である。工場で作るのなら、工程数が少ない厚板曲げが正解であろうが、アマチュアならこれでよい。あっという間にできる。

solderingchassis この種のちょっとした補強は効果的である。補強の種類がやや異なるが、祖父江氏の60年代の製品の床板にはこういう加工がしてある。
 長いものを一気にプレスで抜くのが大変なので、三つの部品に分けている。それを継ぐのに、重ね継ぎをしている。折り曲げているので加工硬化しているから強い。長いものを加工するのが面倒な場合に、使える技法である。それにしてもこのハンダ付けのテクニックは見事である。t1.5の板を組むのに、大きな焼きゴテでさっと流してある。 

2017年04月14日

続々々 radio controlled engine

H氏のWiFi制御 H氏から試作途中の写真が送られてきた。最近は006P型の蓄電池があるのだ。こんなに小さくてもかなり長時間走るようだ。

 制御部分の体積は小さく、補重が十分にできる。タイヤは鉄製であるから、牽引力は大きい。隠しヤードから1.9%の坂を、2輌で60輌引張り上げなければならない。計算すると、引張力はあるが、半径がやや小さい2600Rの曲線上であるから、抵抗が大きく、ぎりぎりだ。

 先日チラ見せの電気機関車は、付随車用のステンレス製Low-Dを使っているので、牽引力は少ない。軽編成専用であるから、それで十分なのである。

 ボディ・シェルが金属製であっても、短距離なら作動に問題はなさそうな雰囲気である。金属製の機関車とはいえども、窓もある。波長の1/10程度の窓なら通信は可能であろう。2.4GHzの波長は125mmであるから、O scaleの窓ならいけるだろう。電子レンジの波長を考えると、扉の窓のシールドの穴は相対的にかなり小さい。
 鉄道模型の場合はレイルにつながっている可能性があるので、それが有利になるのか、不利になるのかはわからない。

 今回はプラスティック製のボディ・シェルを付けての基礎実験であるから、順次ハードルを上げてみたい。

2017年04月12日

続々 radio controlled engine

 集電は、特定の場所で集電する方法と、走行レイルから取る方法がある。
 前者は簡単な話だ。床下に突起をつけ、レイル間の給電端子に接触させれば良い。許される停車位置の範囲を長くするには給電端子をレイル方向に延ばす必要がある。
 後者の場合は、DC運転とDCC運転の双方に対応するような整流および電圧調整装置が必要であるが、現代の電子工学では極めて簡単なことであろう。 
 非接触の給電方法もあるが、効率が悪そうだ。これは50年前に「子供の科学」の記事を基にやってみたことがある。当時の実験は商用周波数だったので、効率が悪いのは当然だ。周波数を上げると様々な問題が起こるだろう。最近の電話機の充電は非接触が多くなってきた。研究してみる価値がある。

 アメリカでは無線制御方式をいろいろなメーカが出している。屋外のレイアウトが多いという証左である。最初は”Dead Rail"という言葉を使っていた。要するに錆びて集電が不能な線路に対応するという意味だ。最近はあまり言わなくなった。
 筆者も受信機を買ったのだが、うっかりして送信機を買うのを忘れた。送信機は手元にある別のもので良いと思っていたのだが、指定のものが必要であった。

 博物館のレイアウトでこの方式を採用するが、それはDC, DCCをまたぐ入替え用である。すべての電源を落としておいて、渡り線を通らせる。いろんな方法を考えたがこれが一番楽である。長い列車を牽く可能性があるので、重連で対応する。そのつもりでGP7、2輌を用意した。2輌の機関車の引上げ線も作った。そこで充電するつもりだから、接触方式でもよいだろう。下からだと車輛限界以下に下がる可能性があるので、側面からの方が問題が少ないかもしれない。あるいは給砂装置のホースを模したもので、上からぶら下げても良いかもしれない。 

 40年以上前だが、この機関車が入替え用に働いているのを見ていた。それが再現されることになる。当時、既にこの機関車は旧型に属し、本線を走ることが無かった。ヤードと、工場や倉庫の間を縫う専用線だけを走っていた。問題は音声である。エンジン音、ホーン、ベル音をどう出すかだ。限られた範囲だけなら、線路の下に付けたスピーカで用が足りる。と言っても10mほどを動く。観客もいるので、それほどおかしな感じがしないようにせねばならないから、これはなかなか難しい。ホーンだけは擬音発生装置がある。

 本物を見た人は、ディーゼルエンジンの重低音に驚く。腹の皮が共振してぶるぶると動くあの感じが欲しい。低音は指向性がないので巨大スピーカを線路下に置くというアイデアは古くからあるが、日本でやっている人はあるのだろうか。 アメリカのショウでは見たことがある。

2017年04月10日

続 radio controlled engine

 柔らかいプラスティックのシェルに重い下廻りをどうやって付けるかは、大いに悩むところだ。

 中に完全に密着するかご状の直方体を入れて接着すれば、ネジを締めても良いかもしれない。しかし、強く締めれば壊れるだろう。締めないと、ネジが脱落する可能性がある。
 これを解決するためには、中のメネジを下廻りの床面と密着させねばならない。そうするとメネジを立てたブロックはどうやって留めるのだろう。この答がなかなか見つからなかった。

 ボディ・シェルの床板部分の厚さが1.6 mmであった。1/16インチだ。その部分に引っ掛かるようにブラスの角棒をフライスで加工した。それを接着すればよい。ただ、下廻りの床板の穴と一致しなければならない。後で加工すると熱と力で壊れる。事前に孔を開けたい。

Fixing body shell これを解決する方法を思いつくのにかなり時間が掛かった。図のオレンジ部分には2 mmのネジ穴がある。ブラス製床板にはネジが通る穴があけてある。 
 
 長いネジを作った。2 mmの丸棒をダイスに通し、長さ60 mmほどのネジを作ったのだ。それを差しておいて、接着剤を塗ったブラスの角棒を床板の裏から引き上げた。片方抜いてネジを締め、もう片方も抜いて締める。こうして半日待てば、メネジを立てたブラスの角棒は所定の位置に接着される。
 
 ネジを思い切り締めても、壊れることはない。金属同士が密着している。はみ出した接着剤で床板がくっつかないよう、薄く油を塗っておいた。もちろん後でよく洗った。
 スーパーXの接着力は素晴らしい。この方法は堅固でありながら、工作が簡単で確実である。

2017年04月08日

radio controlled engine

 これからの鉄道模型はどうなるかということについて、アメリカでは論議がなされている。結論を言うと、ラジコン化である。電源を自分で持ち、無線で直接制御する。

 鉄道模型はレイルが2本あるので、集電しなければならないという強迫観念がある。電池の性能が良くなってきたので、機関車内に積める程度の大きさでも十分持つ。走りながら集電して充電することもできるだろう。あるいは特定の場所に停車すれば充電できるようにしてもよい。

 こうなってくると機関車の効率改善はとても大切である。起動に何アンペアも喰うような機関車では、すぐ電池が消耗する。筆者の機関車はすべて、単機なら起動電流が 50 mA 程度である。フルスリップでも0.6 Aほどである。おそらく一回の充電で数時間走るであろう。

GP9 plastic shellGP9 mechanism 友人のH氏が、WiFiによるコントロールを試験中である。Oスケールの機関車を貸してくれと、依頼があった。条件としてはボディがプラスティック製であることだ。筆者のところにはプラスティック製の機関車は1輌もない。あわててプラスティック製キットを組んでボディ・シェルを作った。下廻りは伝統的なブラス製である。チェーン・ドライヴにして、強力コアレス・モータを搭載した。

 金属製下廻りに、プラスティック製のボディ・シェルをきちんと取り付けるのは意外と難しい。 

2017年04月06日

International Harvester Co.

International Harvester このホッパも自作である。と言っても側面の板だけは安達製作所製のプレス部品である。このpanel side というホッパは、1929年あたりから製造され始めている。非常に賢い発想で、プレスで加工硬化させて強度を出し、同時に容量を増やしている。

 先回紹介したoff-set hopperよりも作るときの工程数がはるかに少なく、ほぼ同様の容量を持つ。安達製作所製のプレス板は焼き鈍し板を使っているので、曲がっているところは硬いが、真ん中あたりは軟らかい。本物のようだ。

 この板が何十枚かあった。プレスの不良品は捨て、15輌以上完成させた。切り継いで3-bayにしたものもいくつかある。ホッパの自作は、側面さえあれば簡単なのだ。
 それ以外の部品はほとんどが長方形で、あとはプレスの骨だけである。骨の数は厳密に数えて、管理してきた。足らなくなると組めないからである。しかし現実にはかなり足らなくなって、骨を自作して足した。骨は帯板に角線を貼って作る。それほど面倒でもない。床下のホッパは展開図を作ったので、板を切り抜いて曲げればできる。床に接する部分を僅かに長めに作り、ベルトサンダで落とすと楽である。アングルはかなり予備があり、その点は楽であった。角の丸みを作る金具は貴重品で、これだけは無いと作れない。 

 インターナショナル・ハーヴェスタという会社は元々は農業機械の会社だが、自動車分野に進出してトラックなどに大きなシェアを持っていた。トレーラ・トラクタ、四輪駆動車、消防車などでよく見た。現在は他の会社と合併して、名前は聞かなくなった。労働争議が原因でつぶれたと聞いた。 

2017年04月04日

Ford open top hopper

Ford open hoppers 以前デカルがだめになって困っていた、あのデカルが手に入った。northerns484氏のご努力で字体を復元でき、Y氏がデカルを印刷してくれたのだ。しかも3輌分作って戴いたので、予定を変更して、3輌作った。

 安達製作所製の新品のホッパがハーマン宅から来ていたので、まずそれを仕上げた。次にキット組みが2輌あったので、大至急仕上げて塗った。このキットは最近は組む人がいないので、捨て値で取引されている。筆者は延べ20輌ほど組んだ。一部はアメリカの友人のところに行った。同じ作りのものを同時に複数台作るのは、本当に楽だ。
 アメリカ仕様では感心しない部分があるので、そこは新しい材料を切って作る。材料と工具がふんだんにあるというのは非常に幸せなことである。

 この貨車は、デトロイトのフォードの工場の主原動機である6000馬力の蒸気機関を動かすのに必要であった。そういう意味では1輌ではおかしなものだ。本当は10輌ほどの一群が居たはずだ。この車両については、資料となる写真が少ない。筆者も何かの本で1枚しか見ていない。カーサイクロは確認したが載っていないから、他の本だ。

 これらのオープン・ホッパは側板の外に骨が出ている。この改良型がオフセット・ホッパだ。それは骨を内側に持ってきて、外板を平坦にしている。すなわち、骨の厚さ分だけ断面積が増す。
 その二つを並べると、容量が同じだが、高さがかなり低くなっている。より重心が低くなるわけだ。 

2017年04月02日

一区切り

unique user このひと月のアクセス数を表すグラフを見て、あまりにも平坦で、驚いた。こんなことはめったにない。確かに、今月はあまりセンセイショナルな話題がなかった。淡々と、祖父江氏の記事と、競作の記事を並べただけだからだ。
 隔日更新なので、その波がひたひたと感じられる。途中5日に更新設定を誤って、6日に更新しているのが唯一のイレギュラな点で、如実に表れている。あとは平凡そのものである。このグラフはUUを示している。この原稿を書いているのが22時なのでまだ少し増える筈で、規則的な波であることは間違いない。お読みになる方が固定化しているということだろう。
 このひと月で一番アクセス数が多かったのは例の仮定法の話題だ。グーグルで検索して来られた方が多いが、集中しているわけではないので、グラフからは読み取りにくい。その方たちは模型の範疇外の方であろう。いくつかコメントを戴いたが、ここに載せるほどのこともないので直接ご返事差しあげた。親しい英語の教師に聞くと、やはりそのあたりの実力が怪しい教師が多いそうだ。要するに会話ができない人が多いのだ。会話の中には仮定法はいくらでも使われている。

 もしここに話題を呼ぶような記事を出すと、いっぺんに山の高さが数倍になる。実は、今月はいろいろな点で忙しく、あまり熱心に記事を書いていない。というよりも書く暇がなかったのだ。
 定年のある仕事ではなかったのだが、一応仕事をすべて辞めることにした。その節目に本を出さねばならなかった。校正その他がどっさり来て忙殺されたが、ようやく出版された。引き続き、町内会長と連合会長を引き受けているので、年度末は眼が廻るほど忙しかったのだ。実際に過労で少し休んでいた。

 博物館レイアウトに掛ける時間はいつもの半分以下である。しかし、家でもできる作業をかなりした。もうないと思っていたブラス貨車の組み掛けが、書斎の書庫からどさっと出てきて、それをかなり完成させた。今月は10輌近く作った。最近作業の速度がかなり速くなったのを感じる。この1週間で5輌作った。博物館に行けない日は、工作に充てる時間が長い。貨車であるから、少々荒っぽい作りだ。ハンダは削ってない。鏝を上向きに使って吸い取る程度だ。それで十分である。ハンダは200 gほど使った。スズを足して共晶にして使っている。ハンダはあと数kgある。

 石炭ホッパをたくさん作った。安達製作所から側面の板をもらったのをベースに、ごく適当に板とアングルを組合せて作る。本物の図面を見て補強を入れるので、製品より多少出来が良くなる。このサイズのアングルは売るほど持っていたが、ほとんど使い尽くした。 

2017年03月31日

客車ヤードの延長

 車輛工作もしたが、レイアウトの方をサボっているわけでもない。車輛工作は1日1時間と決めている。例の競作は製作時間16時間と踏んでいたが、最終日の2日前に丸一日使ったので、製作時間は23時間ということになる。長いほうだ。筆者は工作時間を短くするように工夫している。考えながら作ることは、時間の無駄であると思う。工程表を作って部品を集め、工具を確認してから作り始める。工具が見つからないときは作業しないことにしている。趣味なのだが、時間は大切だからだ。

extended yard 客車ヤードの延長をした。終端には車止めを付けた。これが難物で、意外に時間が掛かる。立体を支え無しで作らねばならない。ある程度の角度でハンダで仮留めして、犬釘で押さえて修正しながら付ける。
 本当は木型を作ってそれに沿わせてハンダ付けするのが正しいだろうが、5つしか作らないのだからよかろうと思ったのだ。それが間違いであった。
 一つに20分ほども掛かる。アメリカで買った見本を参考にした。

extended yard2 本物を見たが、実にいい加減な作りで、熔接もへたくそだ。だからというわけでもないが、ごく適当な作りである。左右のレイルが導通しているから、両ギャップで切り離しておく。片ギャップでは心配だ。日本では車止めの手前で止めるが、アメリカではどういうわけか接触させている場合が多い。
 写真を撮ってから、少々時間が経っている。 

2017年03月29日

パンタグラフとポール

OBJX パンタグラフは台の上に載っている。このような背の低い機関車では、乗務員が手を伸ばしたときにパンタグラフに触って、感電することがある。それを防ぐためになるべく高くするのがふつうである。

 パンタ台はアングルを組んで作るが、そのアングルを作らねばならなかった。ジャンク箱で見つけたアングルは 、なんとエッチングで溝を掘って曲げたものだった。くたくたでパンタ台の用をなさない。よくもこんな役に立たない商品を作るものだ。ジャンク箱から全部出して点検すると、そういうものが何種類か出て来た。一部は捨て、残りは角の内側に角線をハンダ付けして保管した。
 アングルは曲げたものでないと硬さがない。加工硬化が必要なのだ。例のベンダを持ってきて、t0.4板を曲げた。曲げたものをシャアで切り落として、50 mm程度のものを10本ほど作った。多少反るから、修正して使う。

 パンタ台ごと外せるように、台の下にネジを出し、屋根を貫通させた。当然パンタグラフ本体を固定するネジは余分を切り落とした。この径の超硬のドリルは持っていなかったので、普通のハイスのドリルを、ステンレス用の切削油を用いて使用した。切粉が硬く、手に刺さると痛い。すぐに始末した。このステンレスは磁石に付かない組成のものだが、切粉は付く。熱で構造が変化するのだ。強力な磁石でほとんど拾い集めることができる。

 ジャンク箱からHO用のポールが見つかった。壊れたところを修理すると使えそうだ。Sacramento Northern の一部の機関車は構内で始動時にポールを使用している。大型のパンタグラフは重く、バネ上昇ではない。空気圧で上げなければならないのだが、その圧縮空気を作るのに補助コンプレッサを始動する。その電源を取るためのものだ。一度パンタグラフが上がれば必要がなくなり、走行時には降ろしている。この写真では、ポールのネジがまだ締めてないので、傾いている。  

2017年03月27日

懸架装置

spring 板バネはすぐに用意できたが、バネ鞍その他の部品を作らねばならない。バネ鞍は扁平角パイプを見つけたので、それを輪切りにしたのち、一部を欠き取ってわずかに開き、無理矢理にフレイムにかぶせた。押出し材であるからとても硬くて都合が良い。細い孔をあけて、下から釘を差し、上で軽くハンダ付けする。その時、バネを巻くバンドも同時にくっつける。上の方は見えないので実にいい加減だ。機能すればよいので、外見には拘らない。

高速ドリル 板バネの先にはカマボコ型の部品をハンダ付けし、それに巻き付かせるバンドを作った。これらの部品は精度がないと不揃いが目立つので、全て機械加工で作った。細い薄板に小さな穴を開ける必要があり、高速ボール盤を使った。普通のボール盤では食い込んで滅茶苦茶になる。
 銘柄はSEIKOSHAの"Micro Star"である。ずいぶん前に買ったものだ。1万2千回転出るので具合が良い。高校生のころ、細いドリルを普通の電気ドリルに付けて孔をあけていたが、よく折った。それを見て、父が、
「無駄な努力だな。高速ドリルを使わないと駄目だよ。切削速度には最適域があるんだ。」
と言った。それで、中古の良品を買った。全体の上下が、カラムのボールねじ風の大きな握りを廻してできるのが気に入っている。ステンレスでも超硬のドリルで一発でOKだ。もちろん、切削油はステンレス用のものを選ぶ。ふつうのドリルビットではすぐダメになる。

 作ったバネ関係の部品をフレイムに取り付けるには長いリンクを介している。イコライザがないので、本当はこんなリンクは要らないのだが、フレイムの下の方に孔があいているので仕方がない。
 作った台枠に、軸重500 gw になるように錘を取り付け、走らせてみたところ、フログでドスドスという音をさせて通過した。合格である。ストロークは、0.7 mm程度である。軸距離が短いので、十分なのである。錘は鉛で鋳造した。鋳型は10 mm厚のバルサである。
 バルサは軟らかく弾力があるので、クランプで締めて、台の木に釘で打つと漏れない。 また、熱にも強く、焦げても強い臭いがないのが良い。

2017年03月25日

ステンレスのハンダ付け

 ステンレスの車体をハンダ付けするのは簡単である。コツとしては塩酸を多少含むフラックスを使うことだけである。塩化亜鉛だけではぬれが悪い。表面の酸化被膜が堅いのである。塩化亜鉛だけの時は、接合面をヤスって新しい面を出す必要がある。
 小さなコテでも熱が逃げないので楽に付けられる。しかも素手で持っていても熱くない。いつもは熱絶縁を考えて木片等で押さえていたが、今回はそのまま手で握って付けた。バケツに水を張ってその上で付け、終わったら即、水に漬けて冷やす。こうすれば火傷もせず、効率的である。

BlogPaint 車体に部品をイモ付けするのは簡単である。ブラス車体の時は穴を開けて部品を差し、裏から大きな鏝で留めるのがふつうであった。ステンレス車体の場合は、表面から細い55Wの鏝を添わせるだけで、完全にハンダが廻る。エアタンクの台座(t1.5ブラス板をフライスで加工)を屋根に付ける時にその方法を採ったが、実に簡単で驚いた。炭素棒の出番は、ほとんどなかった。この写真は、余分のハンダを削る前の状態である。 

 手違いで一部の部品が足らなくなった。10台分を作って配分したのだが、自分の分の妻板が無い。仲間に一人ずつ電話して問い合わせるより、作った方が早いと判断して、洋白板で作った。その時、手間を省くために、ヘッドライト穴を無くした。その結果、ヘッドライトは外に設置することになった。
 ステンレスは洋白よりも一桁以上硬いので、ステンレスの窓枠を付けておいて、それをガイドにヤスリで窓を仕上げた。実に簡単で、これは技法として使えると思った。

2017年03月23日

動力機構

 サスペンションはバネ付きでないとフログが壊れ易い。軸重は500gwであるから、硬い軸バネが必要である。Big Boy用のが見つかったので、枚数を減らして使った。

 機関車であるから、牽引力を必要とする。ステンレス車輪であるから、かなり損である。多少重くするから、バネが効いていないと壊れてしまうし、音がひどくなる。モータはエスキャップのΦ18の高級品である。これは同径では当時世界最高の起動トルクを誇った。低回転型で、模型には極めて適するが、非常に高価であった。出力を最大限に利用すべく、出力曲線をもとにギヤ比を選定した。
 設定としては 10 V で動輪がスリップするようにした。こうしておけば、焼けることはありえない。16‰の勾配を、標準貨車12輌を牽いて楽に登れる。

OBJ Drive 動軸は連動しないと牽引力が損なわれる。実物の構造に拘って、1軸1モータにするのは賢明とは言い難い。モータは水平にウォーム軸と平行に置き、チェーン・ドライヴで駆動する。このチェーンはプラスティック製で、アメリカでは40年も前から売っている。Bill Wolfer氏が使っていたので、分けてもらったのが最初だ。トルクが少ないので1本だが、出力が大きい時には2本、3本を平行掛けにして、位相を1/2歯あるいは1/3歯ずらすと効率が良くなるはずだ。これは金属製ではないので、伸びを考えたときの推論だ。 

 モータはブラスの板を巻いて作ったホルダに収めた。ホルダはギヤボックスにハンダ付けした台座にネジ留めである。長穴にしてあるので、微調整が効く。

2017年03月21日

競作

 珍しいことに電気機関車を作ることになった。50年ぶりである。チラ見せする。最近はやりの teasing advertising(じらし広告)である。  

OBJ 1 所属クラブの70周年記念例会に、伊藤剛氏追悼の電気機関車を作ろうということになった。剛氏が作られた原型を各ゲージでアレンジして、好きなように作るというのが主題である。
 Oゲージ部会では、ステンレス板をレーザで切って作ることになった。車体にレーザ加工板を使うのは初めてである。車体寸法を決めるのに、時間が掛かった。元が自由形なので、縮尺を変えるだけでは意味がない。Oゲージの車体幅は63 mmを超えると、ろくなことが無い。手摺りなどの突起物を考えると車体幅は61 mmとなった。基本設計は土橋和雄氏が担当し、工場に渡すプログラムは、例によってnortherns484氏にお願いした。


 伝導装置は筆者が設計して、提供した。強力コアレスモータと3条ウォームギヤ軸をチェーンドライブする少々贅沢な組み合わせである。車輪はΦ25のLow-Dがあったので、配布した。軸箱はフライス盤で切り出したボール・ベアリング用を用いた。ロストワックス製のものを好む人もいるので、その方達には、ボール・ベアリング用の穴を開けてお渡しした。

Sacramento Northern 654 and 652 10-3-09rr 外観は全く自由なので、筆者はアメリカン・スタイルにした。実はSacramento Northernの電機に惚れていたのである。いつか、ものにしたかったのだが、作ることはあるまい、とも思っていた。
 ジャンク箱をかき回して、カウ・キャッチャを見つけた。大きさは良いのだが、一つしかない。仕方がないので採寸して図面を描き、作る準備をした。そこまでやったところで、もう一つ見つかったので、図面は投げ捨てた。

 さて軸配置は何であろうか。BrassSolder氏は、一発で当ててしまわれた。

2017年03月19日

英語表現

 英語の記事を紹介してすぐに、質問を複数の方から戴いた。皆さん、よく見ていらっしゃるので驚いた。
 p.31の下から8行目に、
"No one was able to do what he did."
という文がある。どうしてここでcanの過去形の could を使わないのですか、というものだ。

 日本の英語教育では、canの過去形は could と習う。私もそう習ったが、アメリカで手厳しい批判を受けた。could は仮定法の時に使うものだ、と言うのだ。そんな馬鹿な、とは思ったが、確かにその通りであった。
 仮定法を英語の時間に習って、うんざりした人も多いだろうが、婉曲表現とか反語表現などの別の表記だったら分かり易いと思うのは、筆者だけだろうか。

 You could do that. は 「あなたはそれをできた。」ではない。 「できるかもしれない(けど、多分しない)。」という感じである。場合によっては、なじっているのかもしれない。

 過去の話であることが時間の関係を示す語でわかる文章なら could でよいが、そうでないときは、
I was able to do that. 私はそれができた。  
である。このことを日本の学校ではほとんど教えていないように思う。

 ついでに、よくある誤りとして、「やったね!」という誉めるときに使う言葉を、
”You could do it.” と言う人がいる。これでは「やればできるものを(どうしてやらないの?)。」になってしまう。
 正解は、”You did it."
である。 
 日本の英語教育で最も怪しいところが、この仮定法の部分である。英語教師もわかっていないと思われる節がある。 

2017年03月17日

Kimpei Sofue’s life  (9)

 祖父江氏のハンダ付けのテクニックは白眉である。常に完璧なハンダ付けをするから、彼の模型でハンダ付けが外れるということはない。 
 棚にハンダは何種類もストックがあった。また、ブラスの材料も何種類かあり、より楽にかつ、正確に工作できるものを用意していた。
 最終期の特製品には、彼独特の仕上げ加工が随所にみられる。ブラスの針金を切ると、すぐにヤスリでその断面は面取りされる。シャァで剪断加工された板は、全ての切断面をヤスリで加工して直角にする。彼は大量のヤスリを持っていた。すべてのヤスリは使用前にsafety edgeを油砥石で擦って、準備する。そうしないと、削れて欲しくないところが削れてしまうからだ。
 足踏みのシャァは完璧に研がれ、薄いティッシュの一枚を置くと、真っ二つになる。彼の工房はすべて整頓され、美しかった。

 25年前、私は再度アメリカに居て、祖父江氏の望むものを送って差し上げていた。日本に戻って、彼に会いに行った。祖父江氏はドイツの機関車のスポーク動輪の原型を作っていた。私と話をしていても、手を休めない。眼はこちらに向いているのだが、糸鋸でブラスの円盤を切り続けていた。指に目が付いているのか!と思ったほどだ。
 お茶と菓子を戴きながら話をするのだが、彼の手はテーブルの下で動いている。突然彼は、言った。
「ほら、できた!」
 彼は小さなキサゲを用い、手の感触だけでスポークの断面の丸味を付けていたのだ。

 アメリカの模型人で、祖父江氏の工房を訪ねたのは二人で、ペンシルヴァニアのBill Pierson氏と、Original Whistle Stop のFred Hill氏だけである。 

 祖父江氏はKTMで長く働いたが、要求される以上のことをしていた。それは彼のプライドである。彼は世界最高の機関車が作りたかった。そして、彼はそれを成し遂げたのである。

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