2019年04月25日

Original Whistle Stop

OSW アメリカからの帰りにロスアンジェルス近郊で一泊した。パサデナの近くなので、オリジナル・ウィッスル・ストップという模型屋に行った。店主のFred Hill氏とは長い付き合いだ。1985年に祖父江氏を案内してアメリカに行ったとき、ミルウォーキィのコンヴェンション会場で会ったのが最初だ。筆者の三条ウォームの機関車を見て驚嘆し、
「これを買いたい。輸出してほしい。」
と頼まれたのが最初だ。
その後、KTM-USAという怪しい会社が輸入元になったが、直ぐ倒産した。最初からこの男に決めれば良かった、とその後祖父江氏とはよく話をした。

 その後、様々な場所でよく会い、仲良くしていた。パサデナに行けば必ず寄ったし、友人を連れて行ったりした。
 15年ほど前、祖父江氏が最後のUP FEFを作ろうとしたが、ロストワックス鋳物の注文先を決定するのに難航した。良い部品が欲しかったので、国内の発注を避けて、アメリカで作ることにした。
 もちろん売り先も決めなければならないので、アメリカの買い手を確保した。フレッドは3輌欲しいと言った。そこで、祖父江氏はフレッドにロストワックスを発注しようと言った。要するに部品を作って送ってくれれば、機関車を渡そう、という取引だ。

 少々強引なところもあって気が引けたが、祖父江氏は彼なら引き受けると言った。それで筆者は交渉を始めたのであるが、意外にも彼は直ぐその話に乗ってくれた。
「私は祖父江氏の機関車には心酔している。その助けとなるなら、いくらでも金を出す。』と言ってくれた。祖父江氏は感激した。

 その1年後、完成した機関車を持って渡米し、渡したとき、フレッドも感激していた。素晴らしい出来の機関車であった。彼は1輌は手放したが、残りはまだ持っているはずだ。

 フレッドは日本にも時々来る。祖父江氏の工房を訪ねた数少ないアメリカ人の一人である。その時には通訳として呼ばれたのだが、都合がつかず、平井憲太郎氏にお願いしたと思う。

 今回店に行ったときに、最近の日本の様子を聞かれた。天賞堂の模型ビシネスが縮小される見込みだということは知っていた。
「ブラスモデルは壊滅的な様子なのはどこも同じだ。HOもひどいが、Oはおしまいだね。ウチの店もOスケールの扱いはやめた。」と言う。筆者の博物館の動画は見ていた。「見に行く。楽しみにしている。」と言ってくれた。

「1951年にこの店が始まった時、LAには19軒の模型屋があった。今は2軒だ。」と言う。フレッドたちがこの店を買い取ってからもう40年ほどだ。筆者は1988年に店に行ったときに場所が移動したように思った。改装したばっかりで、ペンキの臭いがした。以前はもう少し東にあったように思った。それからもう30年も経つ。 

 今回の買い物は、UPの黄色の塗料と、"Decal Set"だけである。このデカル固着剤は強力である。日本製のものとはずいぶん違う。ただ、塗料を侵すので、塗ったら触らないほうが良い。


 比較的軽い手術を受けることになり、入院している。短期間であるので、記事は自動で送り出されている。コメント類は多少の遅延があることを承知されたい。模型作りには不可欠の部位を修理(治療)して貰っている。 

2019年04月23日

ハンダ付けの補助具

soldering aid モハメイド氏の記事を見て、「オッ」と思わず声が出てしまった。この補助具は筆者も同様のものを持っている。30年以上前に作ったものだ。何度かの修整を経験しているが、捨てがたいものだ。いつも重宝している。


passemgercar errection 客車や貨車を組むときに使う。手前の一部は少し持ち上がっている。それはこの写真のように、裾がすぼまっている車輌があるからである。この部分は焦げたりして傷むから、時々ノミで剥がしとって、新しい板に交換する。この部分の無いものも作った。

 最近は炭素棒の出番が多いので、焦げる回数は減った。

 ハンダゴテを仕舞ってある棚を探すと、いろいろなものがあるので、ついでに紹介する。
square 直角ジグである。左は伊藤 剛氏のところから来たもので、井上大令氏の作られたものである。今では使ってはいけない石綿板が張ってある。これはよくある形だが、右は筆者の自作した貫通型である。45年ほど前に作った。
 アメリカの古い雑誌からアイデアを頂戴した。1950年代のModel Railroad Craftsman誌だったと思う。下の板はジグの下の隙間を貫通している。縦の板はクランプで軽く留めて倒れないようにしている。大きなコテで、さっと一息で、付けると傾かない。ハンダが片方だけにあると、それが縮んで傾くのだ。ハンダが浸み込んで、向こう側にも等量なければならない。これは祖父江氏から教わった。向こう側に出したくない事情があるときは、少し向こうに倒しておくと、固まった時に垂直になる。
 その角度はと聞くと、
「そんなもなぁ、メケンだよぉ。」
とのことだった。メケンとは目で見て、見当をつけることである。

 五月にあるKKCの展示会で、ハンダ付けの講習会の講師をせよ、と言われている。何かリクエストがあれば応じたい。炭素棒を主題としてやってくれ、とのことだ。


2019年04月21日

新しい台車を履く

UP caboose UPのカブースである。このカブースは塗装がおかしくて、すごく安かった。剥がして塗り替えるつもりなのだが、とりあえず埃を被せてごまかしてある。高速台車を付けてみると、こんな感じである。この時代に適合しないような気もするが、末期にはいろいろな組み合わせがあったので、これで良しとする。
 床下の道具箱がこんな色をしているわけがないので、とりあえずそこだけ塗ってみようと思っている。

Rath Reefer イリノイ州の田舎から来た冷蔵車である。せっかくの台車が見えにくいが、Nationalである。この貨車は、ハーマンのところから貰ったものだ。組み掛けだったので、意図を汲んで製作した。ドアヒンジがなかったので、これも3Dプリンタで作った。本物の図面から作ったので、そのものずばりの形である。現物はヘンリィ・フォード博物館で見てきた。
 扉の鎖錠装置はあり合わせのものだが、非常に良くない。これも作り直す。屋根の色はいわゆる roof brown である。昔はこんな色の貨車があったのだという例として古い塗装で作った。

B&O Crummy B&Oのカブースだ。今までアンドルーズの台車を履いていた。コイル・スプリングであったので気分が悪かった。自作改造の怪しいリーフ・スプリングの台車に付け替えてあったが、気に入らなかったのだ。これでようやく安心して走らせられる。
 手摺は好みで白にしてある。本物は黄色が多かった。

 台車を履き替えると、気分が変わる。今までの鬱の状態から解放されたような気がする。車輪はすべて当鉄道の様式に塗ってある。平軸受けの場合は外は油汚れの色、内側はさび色である。


2019年04月19日

続 3Dプリンタによる台車製作

national Nationalという会社の台車である。丸穴が面白い。二つの穴の中にもバネが仕込まれている。組立時に、どうやってバネを仕込むのかは興味深い。
 ボルスタ中にも大きなバネがあり、バネの中心は十文字である。下側のバネ座は台車枠だけであって、spring plank(バネ床)がない。当時のカタログを見ると、部品の少なさ、すなわち軽量化を謳っている。軽くなった分、積荷を増やして収入を増すことができる、と述べている。軸箱を分解すると、簡単に車軸を外せるという図も添えてある。要するに、車軸が無いと、左右の枠は水平面で自由にひねれるらしい。台車枠と枕梁との摺動する部分いわゆる摺り板がないからだ。ということはバネの横剛性だけで載っていることなのだろうか。バネ座が深いのは、そう考えれば理解できる。self-centering という名称もそれを示しているのだろうか。
 この台車はよく写真集で見るのだが、模型の製品としてはまずお目に掛からない。1940年代の貨車によく使われている。いくつか該当する車輛があるので、台車を交換するつもりである。

bet_cb カブース用の重ね板バネつきのベッテンドルフ台車である。揺れ枕内蔵のSwing Motion Truck である。人が乗る車輛は重ね板バネのダンピングが効いていないと、乗っている人がどうかなってしまう、ということだ。
 昔コンテナ列車にコキフが付いていた。車掌室側の台車だけをダンピングのよく効いた台車に履き替えていたという話を聞いた。当初の台車では車掌が参ってしまったらしい。この件について、詳しい情報をお持ちの方はお知らせ願いたい。 

 今回の試作品だけで10輌のカブースが正しい台車になる。

追記 
 うっかりして、古い原稿をそのまま出してしまったので、完全に新しいものと差し替えた。申し訳ない。


 コキフについてはお二方から情報を寄せて戴いている。
brass_solder氏から、 
 コキフ50000型は50000-50063まで前後ともコキ50000型と同じTR223を履きましたが、乗り心地の問題があり50064以降は車掌室側をバネの柔かいTR223Aに変更したそうです。その後やはり乗り心地が悪かったので、前後とも空気バネのTR203Sに交換したそうです。鉄道ピクトリアルNo.540 1991-3 に解説がありました。


kuma氏からは、
今回話題の件と関係があるかはわかりませんが、乗り心地の悪い車種があった様です。ここに記事があります。

 これらの記事を見る限り、ダンピングに言及しているわけではない。お二方には感謝する。 



2019年04月17日

3Dプリンタによる台車製作

3D printer S氏が製作した台車を持って来て下さった。今回は、ボルスタ・アンカ付きのカブース用高速台車、重ね板バネ付きのカブース用ベッテンドルフ、ナショナルの貨車用鋳鋼台車の3種である。試作品なので、これを実際に組んで、今後の設計に生かす。テクスチャはやや粗い。必要があれば細かくするが、今回はトライアルである。ナイロンは極性の大きな分子であるので、染色が容易だ。今回は自分でやろうと思っていたが、製造会社でやってくれるというので頼んだ。非常に安価だ。

highspeed caboose truckhighspeed trucks ボルスタ・アンカはしっかり飛び出していて、素晴らしい。これでなくっちゃ、という感じである。左は韓国製の不思議な形の製品である。
 ブラスのロッドを差し込んだ。穴はあけてあるのだが、詰まっているから、ドリルを手もみで通す。先端はニッパで傷をつけて押し込むと二度と抜けなくなる。
 ピボット穴は、例のドリルでさらって、モリブデングリスをほんの少量塗る。素晴らしい転がりだ。0.3%以下で転がる。ナイロンは弾力があるので、左右とボルスタは一体成型にしても問題なさそうだ。今回は回転できるようにしたが、バリ取りが面倒であった。良好な保線の施してある線路上なら、ひねりは極めて少ない。荷重の掛かっている状態で0.5 mmの板をレイル上に差し込んで様子を見たが、すべての車輪がよく密着している。イコライザは可動であるが、仮固定してその実験を行った。軸箱可動の必要性を感じない。

 重ね板バネも一体成型できた。透かして見ると気分が良い。コイルバネは細いケイディのバネを仮に入れてみた。飾りだから太い線でも良い。

 カブースは作りかけがたくさんあるのだが、すべて台車で引っ掛かっていた。重ね板バネの台車はろくなものがなく、作るのも大変で放置されていたのだが、もうこれで支障はなくなった。一気に完成に持ち込める。

cabooses この台車が来たので、現在6輌を製作中である。すでに2輌は塗装工場に入っている。

2019年04月15日

続々 遠藤機械の切断機をカスタマイズする

 大半の方は、そのまま組んでドンピシャリであったそうだ。シムを挟んで調節が必要であった方は数人である。下刃とテイブルが同じ高さでないと、ワークを滑らせたときに気分が良くない。

 U氏は自作された送り装置を付けられた。天板を外せば原型が現れるので、以前と同じ形で送り装置が使えるそうだ。この送り装置には筆者も興味があり、何回も図面を描いてはいるが、まだ形にはなっていない。
 いよいよ作りたいと思い、リニアガイドを入手した。送りネジは旋盤の心押台から外した左ネジを持っているので、それを使うつもりだ。その節にはU氏に助けて戴いたことを、感謝する。

lighting 切り刃の真上から光を当てて、ケガキ線を見たい。いつも専用の照明の下で切っていたが、あまり明るいとは言えない状態であった。それを見ていた友人のN氏が、
「ほら、これを作ったから使ってみてよ。」
と持って来て下さった。それは電池式のLEDライトである。バァ・ライトと電池箱をそれぞれ両面接着テープで留めれば良い。実によく光が廻って、切り間違いはなくなる。N氏のアイデアと実行力は素晴らしい。感謝する。

 当初の予定では昨年11月末に納品の予定であったが、かなり遅れてしまった。その間にいくつかのキャンセルが出て、それを処分したいことをクラブ内で告知したら、意外にもいくつか追加注文が来てしまった。少数を再生産することになったので、このブログの読者からも注文を受け付ける。
 希望者は手持ちの機械の情報を知らされたい。
‖臑里旅愼年および価格
⓶脚の上面から下刃の上面までの高さ(43 mmが多い)
Bの間隔(270 mmと330 mmがある)
げ漆呂良(切断面から手前の角までの距離)
をコメントで「私信」としてお知らせ願う。他に漏らしたりはしない。
納期は2か月、価格は11,000円前後だ。

2019年04月13日

続 遠藤機械の切断機をカスタマイズする 

underside 仕上げ無しで良いということは、工賃を抑えることができるわけだ。当初はフライスで仕上げることにしていたが、その必要は全く無くなった。ネジ孔を用意するだけで完成だ。その加工は外注した。さすがにM10のネジを切るのは、筆者の工房では無理だ。
 レーザ加工の工場の紹介でネジを切ってもらったが、安くはなかった。止り穴の場合は切り粉を出すのに苦労するので、横から孔をあけておいて、排出した。これは良いアイデアだと、加工工場で評判が良かった。

table top テイブルは二系統を一つにまとめたので、余分な穴が開いているが、それはお許し願った。



 テイブルの奥行は、下刃の手前側にぴったりくっつけたいところだったが、下刃の奥行きにもかなりのばらつきがあることが判った。最大のものに合わせたので、最大1 mm強の隙間ができる。気になる人がいるかもしれない、と危惧したが、今のところ苦情はない。黒皮の普通鋼板であるが、剛性があって平面度が良い。下刃との高さを合わせると、極めて作業性が良くなる。

shear table 直角定規(切断ガイド)は普通鋼板のつもりだったが、それでは曲がり易かった。用をなさないことが判ったので、高級な刃物用ステンレスを使用した。そのままでも包丁になる材料だ。熱を加えると極端に硬くなるので、下手に加工すると収拾がつかなくなる。水で冷やしながら砥石で磨る程度だ。

rule 矢印の部分は、機械の寸法のばらつきによって当たることもあるらしく、その場合は少し削らねばならない。M10を仮締めして、直角が出るか試切りで確認する。良ければM10を本締めして、できあがりである。


 本体の孔が多少ずれているものもあるらしく、どうしても直角が出ないという訴えがあった。電話で、ヤスリで本体の孔を僅か拡げて戴くようお願いして、解決した。どうもこの切断機は、手作り品のようだ。 


2019年04月11日

遠藤機械の切断機をカスタマイズする

00016070001607_3 しばらく前にこれらの写真をお見せした。これは熔接で出来ている。職人の腕で、段差が全くないものを作ってもらったのだ。これを所属クラブで披露すると、欲しいという方が多数あったので、それを増産することになった。

 困ったことに遠藤機械の製品は、40余年の月日のうちにどんどん寸法が変化していることが判った。クラブ員からの申告を分析すると、下刃の高さは39 mmから44 mm程度までの分布を示し、脚の間隔も270 mmと330 mmの二系統があった。組み合わせは計11通りあって、個別に対応するのは無理であった。出来たとしても価格が極端に高くなる。細かく検討した結果、大きく4種に分けられ、微妙な寸法の差はシムを挟むことによって逃すことにした。そのシムを挟む場所は二箇所にすれば、テイブルが高い場合と低い場合に対応できる。

 当初は熔接で作る予定であったが、溶接工の友人が突然入院してしまい、別方法で製作した。
 レーザ加工の工場が引き受けてくれたのだが、機械が故障し、新型に入れ替えるのに正月を挟んで一月ほど停止期間があった。再稼働し始めたが、初期故障もあり、また遅れを生じた。今野氏から一番低い事例としてお借りしていた機械は、3か月以上もこちらに留まり、大変なご迷惑をお掛けしてしまった。

stands 構成は、19 mmの鋼板をレーザで切って、その断面を使ってテイブルを直角に保持するというものである。技術の進歩はこういうところに出て来る。
 19 mmもの厚さの板を切れば、切り口はめちゃくちゃになって、その面で板が直立することなどありえないと思っていた。ところがレーザ加工工場の専務が、
「まあ見てください。ほらね。」
と立てて見せてくれたのだ。以前は13 mm厚程度でしか、このような芸当は出来なかったそうだが、今度の機械は19 mmでも完璧なのだ。


2019年04月09日

「蒸機を作ろう」

KKC 表題の書籍が出版された。仙台の今野喜郎氏が率いる 秘密結社?KKCがここ数年進めていたプロジェクトであった。ブラス製機関車を作る技法の集積である。
 過去に菅原道雄氏の「鉄道模型工作技法」という書籍があった。これは良い本だとは思ったが、さすがにもう古いと感じるようになってから久しい。菅原氏とは20年ほど前、親しくお話しする機会があった。Low-Dが開発された頃である。その現物や、高精度のギヤボックス、軸箱もお見せした。
「工作機械を導入せねば、精度の悪い模型しかできませんよ。」
すると菅原氏は、
「これは凄いですね。しかし、そういう本は私の手には負いかねます。貴方が書いてください。」
と言われた。そのことも、当ブログを始めたきっかけの一つになっている。
 
 今回のプロジェクトが始まってから、もう数年経つ。その間、出版社に刊行を依頼したが、何年も動かずに止まっていた。世の中の動きは速く、その間に情勢が変わって入手不能になる機械も出て来た。
 そこで今野氏は、「自費出版でやろう!」と執筆者に声を掛け、原稿の再編集に立ち上がったのだ。執筆者に原稿を差し戻し、すべてに再度手を入れて戴いた。筆者も微力ながら、お手伝いした。

 機関車をブラスで作るというのは、最近の若い模型人にとっては、かなり敷居が高いと感じる人が多いそうだ。しかし筆者たちの世代は、それが当然であった。プラスティック製、ダイキャスト製の機関車など、殆ど無かったのだから。
 高校生の時から、ブラス板を糸鋸で切りまくって現在に至る。ハンダゴテは20本くらい買っただろう。ヤスリは何グロスか使いつぶした。ハンダ付けのテクニックを磨くのには苦労したが、炭素棒を使えばそのようなテクニックは要らなくなる。工作機械を導入したのは40年位前だが、それから工作スピードはかなり上がった。
 この本では、工作機械を使った工作にかなりのページを割いている。機械を持てば、楽に、正確にできる。特に蒸気機関車の台枠、ロッドの工作は機械を使えば、簡単で確実である。
 機械の価格は、相対的に安くなった。ただし、中国製の感心しない機械であるから、全部ばらして、ネジの取換から始めるべきだ。締めると首が飛ぶような、粗悪なネジを使っていることがあるから、油断はできない。ネジ専門店で、日本製のネジを購入してこなければならない。
 このブログでも工作機械整備記事をいくつか書いた。機械本体の価格と同じくらいの投資をすると、実に良いものになる。そうして作り上げた工作機械は自分の体の一部のように働いてくれる。

 この本では、達人たちのテクニックが惜しみなく披露され、後進の人たちに勇気を与えている。
既製品を買い集めるのをしばらくやめて、工具に投資すれば、楽しい人生が送れる
というメッセージを送っているのだ。この本の価格が2,500円というのは、いささか安過ぎると感じている。

 直接購入を希望される方は、konno#m1.bstream.jp(#を@に交換)に連絡されたい。送料は360円である。

2019年04月07日

Forney

 船はニカラグアのCorintoという港に半日泊まった。ホンデュラスに行けなかったのは残念だった。実は拙宅は、ホンデュラス・マホガニィをかなり使って建てている。どんなところか見たかったのだ。

Forny (5)Forny (6)Forny (7) コリントォでは市内見物するのに輪タクを雇った。英語がほとんど通じないので、かなり困ったが一巡りして、機関車があるというところに連れて行ってもらった。
 3 ft 6 inゲージのフォーニィが置いてあった。ごく適当にクレーンで吊ったらしく、サイドロッドは曲がっていた。

Forny (12)Forny (10)Forny (3) 日本の国鉄と同じゲージなのだが、このナロゥ感はすごい。しかしゲージが広すぎる。 この矛盾した感覚が面白い。もともとは3 ft 用なのだろう。それを無理に拡げたのだ。ボイラの低さ、細さが、かわいらしい。日本に持って来て国鉄の線路に載せるとどんな感じなのだろう。

Forny (2)Forny (9)Forny (8) 従台車がこれ以上ないほど簡略化されている。模型の方がややこしいのではないか、と思えるほど簡単である。乗り心地はひどそうだ。

 これで思いがけず叶った中南米訪問の報告を終える。


2019年04月05日

運河の掘削

 パナマ運河は、当初水平式を計画したようだ。実際に掘り始めてはいるが、すぐに挫折した。スエズとは違って、途中の山を崩すのがあまりにも大変であったからだ。川を堰き止めて人口湖を作り、それでつなぐことにしたが、航路は屈曲している。最終的に峠を切り開かねばならなかった。ある程度真っ直ぐにしないと意味がないので、いくつかの山を削り取っている。

Culebra Cut その中で最大の難所が、この Culebra Cut である。ちょうど分水嶺になっている部分で、海水面からの高さは100mほどもあったろう。その山を全部掘り崩し、深く削ったのだ。工事は困難を極め、死傷者が続出した。岩が脆く、地滑りが起こりやすかったのだ。完成後にも何度か地滑りを起こし、運河は埋没したらしい。浚渫は何度も行われている。
 現在では特殊な杭(アンカー付き抑止杭を山に刺し、板で押さえて崩れないようにしてある。このあたりの説明を、船内の映画で何種類か見た。

 映画には当時の最新型の掘削機や、バケットを連続させたエクスカヴェ―タが登場した。すべて蒸気機関で動いている。ズリの運び出しにはダンプ機能を持つ貨車が初めて用いられた。斜面のガイドレイルに当てて、一編成を順次連続的にダンプする工夫で、今では常識的な手法だが、ここで用いられたのが最初らしい。

 工事に伴い病人が続出した。黄熱病、マラリアなど、蚊を媒介とする病気だ。それについては、世界で初めて、広大な地域全体を防除する体制が採られた。強い薬ではなく、特殊な油を薄く撒く方法である。蚊の親油性部分に付着して、生きていけなくする工夫であった。蚊は、水にぬれてはいけないところは水を弾くように出来ている。その部分は油にぬれやすいから、付着して呼吸できなくなる。
 その工夫は大きな効果を発揮し、病人は激減した。

 パナマ運河は、人類が成し遂げた大偉業であるというのは実感できる。現在の様子は、この動画で楽しめる。100倍速のタイム・ラプスで、数分で太平洋側からカリブ海へ抜ける全線が見られる。2分50秒辺りがクーレブラ・カットである。

2019年04月03日

mule

mulemule (2)mulesmules 1



 これらの電気機関車は mules と呼ばれている。ラバのことである。荷馬車を牽いて、もくもくと歩く動物だ。
 当初はGE製の機関車であった。運転台が前後にあるもので、三池炭鉱によく似たものがあった。当初は船が小さく、かなりいい加減な曳航でも問題はなかった。1970年頃日本製が納入され、再度新型が納入された。
 新型機は、精密機械である。船がどんどん大きくなり、パナマ運河の幅33 mに対し、32 m幅の船が大半になってしまった。要するに両側の隙間が50 cmしかないのだ。船がどちらにも偏らないように静々と進むのは、一種異様な雰囲気である。風の影響もあるだろうが、ほぼ無事故で毎日の業務をこなしている。先回紹介した事故は、かなり稀な例である。
 旧型機ではそういう仕事ができなくなってしまった。ウインチの張力を手加減で決めたり、速度を目測で合わせるようでは、現代の巨大船は運河壁に衝突してしまうのだ。

Panama canal (5)Panama Canal (4) 曳航索・巻取り装置は windlass という。発音はウィンドラスである。ワインドではない。この張力を一定にする装置の開発がキモであったようだ。一定速度での走行、均一な張力の二つが大切である。船の上から見ていると、運河壁との隙間は完全に一定で、文句のつけようが無い。

2019年04月01日

ラック式機関車の運用

 閘門が開くと、左右の機関車は協調しながら進む。ワイヤの張力は半自動で調整されるようになっている。いつもピンと張っていて、緩むことは無い。何万トンもある船の慣性は巨大だ。動き出したら止まらない。ぶつかると大破する。
 しばらく前に事故があったことを覚えていた。機関車が押し潰された写真が印象的であった。その動画を見つけ出すことができたので紹介する。向こう側の機関車がワイヤをもう少し強く巻上げていれば、防げたような気がする。船首に乗っている pilot 水先案内人 のミスであろう。最初から急角度で進入しているのはまずかった。


 キャブが潰されているが、運転していた人は無事だった。集電装置がショートし、煙が出ている。この種の事故があることは、ある程度想定されているので、クレーン車が用意されている。

turn tableturntable2crane クレーン車は、中央の線路に置いてある。ターンテイブルをポイント代わりにして出動する。このターンテイブルは全回転するものではなさそうだ。ラックが斜めに切られている。レイルも切られている。この部分の線路は、機関車に力が掛かる位置ではないので、このような方法でも良いのだろう。要するに、曳船機関車が走る全線に亘ってラックがある。また、クレーン車が置いてあるところにはラックは無い。牽引しないから、それで問題はない。

 集電装置は細い隙間の奥にある。隙間の周りは絶縁材でできている。シュウ自体には、ある程度の幅があるのだろう。雨が入るので、三相交流480Vで、低電圧である。饋電区間が短いし、出力が大きいわけでもないので、十分である。薄い集電装置の両側面とレイルとで集電しているように見える。ここに製造所の発表している記事があり、それによると、最高速度は10 mph(時速16 km)である。ギヤ比はかなり大きく、回送時にはウィーンと唸りながら走る。
 軌間は 5 ft で広軌である。標準軌より少し広い。昔のパナマ鉄道の軌間である。

2019年03月30日

パナマ運河

 小学校の時にパナマ運河の本を読んで以来、一度は行きたいと思っていたが、チャンスがなかった。しかし、今回思わぬことで夢が叶った。

New Canal 最近新しい運河が平行してできたのだが、あまりにも大きくて面白味がない。この写真の右側である。できれば旧運河を通りたいと思っていた。どちらを通るかは当日までわからないのだが、運よく、旧の方を通った。通行量は船の大きさによって決まる。客船の場合は乗客数によるらしい。この船で2000万円程度払うのだそうだ。
 小さい船は当然安い。今までで一番安かったのは、冒険家が泳いで通ったときだそうで、36セントだと言っていた。

Panama Canal 水平式のスエズ運河とは異なり、閘門式で、26 mほどの高低差を乗り越えていく。閘門の中はせいぜい300 mほどの長さで、幅は33 mほどである。船との隙間は1 mもないから、ぶつからないように両側から8輌の電気機関車で引っ張る。

 mule trackLock (2)mule閘門部は最大27度の勾配があるのでラック式の鉄道である。新しい機関車は、日本製である。超低速で安定した動きをする。

worn out レイル2本のうち、運河寄りのレイルがかなり磨り減っているのが分かる。機関車は常に張力を与えているのだから、当然である。前部の4輌のうち最前方2輌は勾配部分ではロープを緩めて駆け上がり、上で再度ロープを緊張させる。その間に、次の機関車が駆け上がる。その瞬間には最後部の2輌は軽く引っ張って、船が前に行かないようにする。このあたりの動きが実にきびきびしていて、頼もしい。船は左右に全く振れずに静々と進む。

619_0468619_0471619_0473 閘室への一回の注水で、12mも持ち上がるところがある。船の脇の地面に立つ照明灯が、数分のうちにめり込んでいったように見えた。船が持ち上がったのであるが、あまりにも静かに水面が上がるので、地面が下がったように感じたのだ。船が上下する時は、機関車からのロープは緩まないように少しずつ長さを調節する。

619_0491619_0494 閘室の水面が次の水面と一致すると、閘門が開く。油圧式で、二重になっている部分もある。修理のための予備かもしれない。
 閘門の上には渡り廊下があり、閉ると手摺りがパタパタと立ち上がるのが面白い。開くときは倒れるのである。


2019年03月28日

大陸横断鉄道というよりは

PCRC むしろ大洋連絡鉄道 inter-oceanic railroad と言った方が良いらしい。パナマ地峡を走る鉄道である。地峡は英語では isthmus という。(複数形はisthmi だったが、既に誰も使わない。)
  船内の案内映画で何回も音を聞いたが、筆者の思い込んでいた発音と一致せず、ピンと来なかった。thは読まないから発音は簡単だったのだ。7文字中5文字が子音という珍しい語である。子音が多いのはドイツ語やチェコ語にはよくあるが、英語には極めて珍しいパターンだ。喘息 asthma と同様、ギリシア語起源である。医学用語にはよくある。
 
 歴史的には世界最初の大陸横断鉄道であって、勝海舟らも乗った。長さはせいぜい 80 km弱である。昔はPanama Rail Road  PRRと言っていたが、最近はPanama Canal Railway Company  PCRCと言うらしい。旅客列車は両端に機関車を付けたプッシュプルである。短い区間を往復するので、そうしているのだろう。
 この鉄道は複線で、パナマ運河ができるまでは、世界で最も収益率の高い鉄道であったそうだ。これしかないので、とんでもない高額な運賃を取っていたのだ。通過貨物量も当時、世界最大であったという。今は単線である。
 
PCRC freight この鉄道は広軌であったはずだが、知らぬ間に標準軌化されていた。アメリカの鉄道会社が機関車、貨車を使いやすくするためだろう。旅客列車も走るが、コンテナを二段積みした貨物列車が走っている。長さは60輌程度が最大である。現在は単線である。いずれ複線電化が完成するだろう。

electrifying パナマ運河を巨大コンテナ船が通るのだから、船で運べば良い筈と思うのだが、実際には運河を通れない船もあるようで、鉄道の需要は大きい。輸入した2段積コンテナ貨車を使えば、運送コストが下がるのだろう。現在はKCS  Kansas City Southern Railway によって運行されている。KCSはメキシコにかなりの路線を持っている。  
 ディーゼル電気機関車が走るのだが、一部は架線柱が立ち、電化を目指しているようだ。この地域は水力発電が容易なので、電化のメリットが大きいと判断したのだろう。

 パナマ運河は長らく往復ニ線しかなかったが、新パナマ運河が平行してできたので、通行量は倍以上になったらしい。旧運河の幅は狭く、船の幅の広さは 32 mが最大であったが、新運河ではそれが49 m幅まで許される。しかも喫水が深くなったので、重い船も通れるようになった。

2019年03月26日

船の中

 このクルーズにはまったく期待しておらず、日本のフェリーみたいなものだと思っていたが、意外と面白かった。
  食事はおいしく、エンターテインメントも充実していたし、普通、行きにくい南米まで行けたのは、良い体験だった。  
  
main dining roommain dining room2  食堂の朝昼はかなり豪華なカフェテリア方式だが、給仕がついていて、何かと世話を焼いてくれる。いつもオムレツを焼いてもらった。このオムレツは、好みに応じて具は目の前で自由に指定できる。アメリカの高級ホテルの朝食でなければできない注文で、嬉しかった。夕食は船尾のダイニング・ルーム(2フロアある)で取る。いわゆる前菜、メイン、デザートといったフルコースで、贅沢である。酒類は、注文すると別途請求される。
  食事の好みは、伝えると反映してくれるところが素晴らしい。スープの塩加減も対応してくれた。尤も、それはシェフの失敗らしく、他にも指摘があったらしい。給仕の頭(かしら)は、この道45年という男で、実によく仕事のできる人であった。日本にも来ることがあるらしく、再会を約束した。

  毎晩のショウは面白く、クラッシック、洋楽、色々なジャンルの音楽を楽しむことができた。芸人は、停泊地で降りて、次の船に乗り換える。部屋では最新映画が楽しめる。TVドラマも充実しており、給仕頭が勧めてくれた“Young Sheldon”という、20回ほどの連続物を楽しんだ。
swiming pool 1 バァは見晴らしの良い最上階や、船尾のプール脇にあり、友人と鉄道談議が弾んだ。ちゃんと、生ビールが出てくるし、カクテルも好みに合わせて作ってくれる。プールは屋外だと思っていたが、中央のプールは天蓋が開け閉めできる。緯度が高くなると寒いので、閉めてごくわずかの隙間を開けていた。そうすると、日の当たる所に席を取りたい人が移動する。

 不便なことと言えば、インターネットが使えないことだ。かなりの高額料金を払えば衛星経由で可能だが、伝送速度が小さいし、天候によって左右される。 船は各地のリゾートに半日ずつ留まる。降りることができるから、降りたところでwifiスポットを探して繋いでいた。

dog relief  車椅子の人もかなり居るが、完全に対応できるようになっている。盲導犬もよく見たが、どこで用を足しているのかがわからなかった。散歩コースが指定されているので、歩いていると、それがあった。


  驚いたことは船の運営スタッフに白人の割合が少ないことだ。給仕、客室係の人たちのほとんどは、インドネシア人であった。彼らの英語にはかなりの訛りがあるが、意思の疎通には問題はない。これを見ると、日本の英語教育には大きな問題があると感じる。フィリピン人も居たが、彼らの英語は秀逸である。


2019年03月24日

大陸横断鉄道?

 仕事があってアメリカに行った。その後、フロリダの友人を訪ねた。建設中のレイアウトを見せて貰いがてら、しばらく居候する予定であった。
 日程調整をしていたら、メイルが来て、
「友人がキャンセルした。興味があればクルーズに行かないか?大陸横断鉄道を見よう。全線を1日で見られるんだぞ。」
と言う。筆者はクルーズなどには縁がなく、どんなものか見当もつかなかったが、破格の価格らしいのでOKし、パスポートのコピーを送り、飛行機の切符を押さえた。
cruise ships 結局、友人宅には1泊させてもらっただけで、港に行った。大きな船が4隻も居て、その中の最大の船に乗った。
 排水量は8万トンだという。乗客は2100人、乗員は800人だそうだ。船は巨大で、先回見た空母よりはるかに大きい。中は11階建で、劇場、プール2つ、食堂5つ、バー4つ、カジノ、テニスコート、ヘリポートその他なんでもある。エレヴェータは客用だけで14本ある。船内を一周するだけで1日掛かりである。
 食事はピザから中華料理、フランス料理のフルコースまで何でもあり、殆どが運賃の中に含まれている。酒類は注文して後日清算である。

 驚いたのは水がいくらでも使えることである。昔の客船は、プールがあってもその水は海水であったそうだが、これは真水である。船内で、海水から水を作り出しているのである。蒸発凝縮をさせるのではなく、逆浸透という方法であって、前者の1/80のエネルギィで作れる。
 トイレは飛行機のような真空吸引型で、食堂、洗濯室の排水と同時に船内の浄化槽で生分解して放出するらしい。

 表題の大陸横断鉄道については、最初、全く意味が分からなかった。それは彼の謎かけであった。さて何であろうか。

2019年03月22日

続々 質疑応答

 3週間以上留守をしていたが、昨日帰国した。留守中に入っていたコメントを記事として再掲することにした。質問(Q1)以降は、すべて森井義博氏からのものである。文字表現は統一した。
 小画面の端末しか持って行かなかったので、一部のコメントに目を通していないことが分かった。いずれすべて掲載する。

(Q4)「規格はすべて公差付きの数値で表されており、1/87の縮尺通りではありません。」とありますが、S-4.2のNは、(Nom.)しか記載が無く、公差は示されていません。以前は、Minがありましたが、どうして公差が無くなったのでしょうか。
NのMinが定義されていないと、極論すれば、車輪の薄い輪軸もS-4.2としての規格内ということになります。(S-3.2の規格に合わないので、脱線の頻発が予想されますが)

(A4) Minがなくなった理由は私にもわかりませんが、製造上の公差で構わないとのことでしょうか。このNの寸法チェックは、NMRAゲージで行われるのが通常ですので、薄くなるとすぐにわかりますので気にしていませんでした。


(Q5) 走る鉄道模型の輪軸、線路は、模型機械として動作可能な寸法と、互換性を確保するために、実物の縮尺通りにはできません。そのことは、NMRAのS-1.2に記載されています。では、何のためにS-1.2でNAME OF SCLAE、SCALE OF FOOT、PROPORTIONが書いてあるのでしょうか。私はS-1.2で、名前と縮尺、軌間の関係を定義しているものと考えています。

(A5) おっしゃる通りだと考えています。いわば各スケールの原点でしょうか。ばらばらの正式ではない規格をまとめたと思っています。


(Q6)「線路、車輪、車輌限界がそろって初めて一つの規格になります。」とありますが、現在のNMRAにおいて車輌限界の規格はどこにあるのでしょうか。
かつて、規格として定義されていたS-6,S-7,S-8は、RPとなり、規格では無くなってしまっています。

(A6) 車輌限界については、これも通常はNMRAゲージの出番です。私は3種類のゲージを持っていますが、少しずつ異なります。RPに移したのは改定の準備ですね。基本は変わらないと思っています。


(Q7) 輪軸、線路、車輛限界が同じであれば、縮尺が全く異なっても同じScaleなのでしょうか。

(A7) 今回の改定では同様に扱っていると思います。縮尺が全く異なれば、車輌限界が変わりますので異なるスケールになると思います。


(Q8)日本型の1/80模型とアメリカ型の1/87模型とでは車輛限界は同じなのでしょうか。私は、日本型1/80模型の方が、車輛限界は小さいと思っています。

(A8)
車輌限界とは最大値です。何分の一であるかは無関係です。外れればぶつかりますが、小さければぶつかりません。


(Q9)輪軸、線路、車輛限界が同じであれば縮尺は問われないとすると、模型鉄道としての縮尺はどうなるのでしょうか。建造物、自動車等の鉄道車輛模型以外の縮尺はどうなるのでしょうか。それから、私の周囲では、NMRA S-3、S-4の規格数値の誤りが多くあることで、話題になっています。

(A9)NMRA規格は鉄道模型規格で、鉄道模型以外の規格はありません。レイアウトでは、遠くの建築物は大きな縮尺で作る、など製作者によって決められると思います。この辺りは作者のセンスに任せるべきで、規格の出番ではないと思います。NMRA規格は10年近く前に改定されていますので、誤りはないと思っていましたが、もし誤りが多くあるとすれば、ぜひNMRAに教えてあげてください。きっと感謝されます。


2019年03月03日

続 質疑応答 

(Q1) S-1.2には、
4. On30 uses HO scale wheel and track geometries, as specified in S-3.2 and S-4.2.

と記載されており、「On30Oナローの19 mmゲージを、HOスケールの線路を使用することで生まれたスケールです。」のことだと思いますが、何故、これは、HOと呼ばずにOn30と呼ぶのでしょうか。

(A1)Oナローだからです。車輌限界がHOスケールではありません。

 

(Q2) S-3.2には、Scale Ratioとして、HOの場合は、1:87.1と記載されていますが、どのような理由で、「NMRA規格では縮尺に関する規格はなく」「Scale Ratioの表記は車輌限界と思います。」ということになるのでしょうか。

(A2) 規格はすべて公差付きの数値で表されており、1/87の縮尺通りではありません。1/87がすべてならば規格は不要です。

 

(Q3) S-3.2によれば、TTn42Nは同じ線路規格(S-1.2でも6. TTn42 uses N scale wheel and track geometries, as specified in S-3.2 and S-4.2.と記載)ですが、何故別のスケールとして分けられているのでしょうか。 

(A3) 車輌限界が違うからです。繰り返しになりますが、線路、車輪、車輌限界がそろって初めて一つの規格になります。




 しばらく、日本を離れている。
 休載させて戴くので、コメント等の掲載が、ある程度遅れることがあることを、お許し願いたい。

2019年03月01日

質疑応答

Q
 Empirebuilder様のお話に関して、理解できないところがあります。極めて基本的なこととは思いますが、私のような海外事情にも疎い初学者のために改めてご教示頂ければ、ありがたく存じます。 

・"最新のNMRA規格を元にしている" と書かれていますが、これは,S-3.2やS-4.2を指しておられるのでしょうか? 
・それらには,HO Scaleの "Scale Ratio" は,"1:87.1" と記されています。Empirebuilder様の "縮尺にこだわらない" ことは,どこを見れば分かるのでしょうか? 
・"scale"については、辞書には”(模型などの)実物に対する大きさの比率(proportion)”(ランダムハウス大英和)と書かれていますが、この解釈で良いのでしょうか? 

A

 S-2,S-3にはScale Ratioは示されていますが、規格ではありません。規格はその横に示されている数値です。数値は Scale Ratio どおりではありません。LSスケールにはVariedになっており、数種のRatioが書かれています。
 もし日本型HONMRA規格に採用されるとすると、Scale Ratio1/871/80が示されるでしょう。以前は日本型HOの規格がどこに当てはまるか見つかりませんでしたが、今回の改定で1/80を加えるだけとなりました。いずれにせよ縮尺が規格にならないことは、規格の数値が縮尺通りでないことより明らかです。
 

 ScaleHOについての規格のくくりのような意味になっていると思います。車輪、線路、車両限界に、その他の規格を加えた集合でしょうか。私はレイアウトを作っていますが、その時に線路をハンドスパイクしましたので、感覚的に理解できますが、車両のみを工作される方にはわかりにくいかもしれません。NMRA用語と言えると思います。    



2019年02月27日

続々 ゲージ論は終焉を迎えるか

  気になるのは、このように互換性のない規格を、「1/80はHOではありません」と言って、Jスケールなどと語り、HOとJとの違いをはっきりさせていないことです。いつの間にかHOではない製品を作り、今までのHO規格に合った製品を「HOではない」などと言うのは、暴論と言わずに何と言えばよいのでしょうか。

 Jは元々規格がありませんが、可能性としてはメーカー主導になり、その都合で先が読めなくなります。今までも特に電気関係で突然生産が中止され、互換性のない規格で使い物にならない製品がありました。また、メーカーごとに独自の規格が作られる可能性があります。いずれにせよ注意が必要です。 

 さらにLow-Dを例として説明しましたが、薄い車輪は走行性能を犠牲にして、部分的に縮尺を追及しています。NMRAにはProto規格がありますが、いわゆる量産化した製品が見当たりません。少なくとも線路を見たこともありません。「J用の専用線路が必要」と書きましたが、まだ見たことがありません。Jは高価ですので走行は考えないのでしょうか。 

 ゲージ論については規格に至る前の話と考えています。いろいろ議論され縮尺、ゲージが決まったら規格の出番です。規格作りにはゲージ論の経緯など無用です。したがって、ゲージ論を規格に持ち込むのは不可能と考えます。今までの反論にはゲージ論を根拠に、規格を論じるなど混同している場合がありました。規格はすでに存在しますので、その規格を前提に議論する必要があります。 

 12 mmはHO3½ではなく、無理やり独自に規格を作ろうとして妙なことになっている気がします。12 mmはNMRA規格外ですので、独自の規格を静かに目指してほしいものです。名称にHOと入れることは、混乱のもとになりますのでやめるべきです。

  私はHO規格以外の製品は買いませんので問題はありませんが、規格外れの製品を買っている方は、問題にはならないのでしょうか?メーカーも「1/80、16.5 mm」などという、あやふやな表記でなくHO規格に合っているならばHO、より薄い車輪を使っているならばJなどと、はっきり分けるべきです。最近のメーカーの人は規格を知らないのでしょうか?それとも知っていて、意識的にそうしているのでしょうか。    
        「終わり」(次号に質疑応答あり)



2019年02月25日

続 ゲージ論は終焉を迎えるか

 「1/80はHOではありません」は、NMRA規格から読み解くと、別の見方ができます。「車輪厚が小さい車輪を使用した日本型1/80は、HOではありません」と、なります。明らかにHO規格と異なる薄い車輪は、これまでのコメントにもありましたが、脱線しやすいなど問題があるようです。規格外ですので当然です。このタイプはNMRA規格にも見当たりませんので新規格となります。ですから、これをJスケールと呼ぼうが、何と呼ぼうが勝手です。ただしNMRA規格を連想させる表記は、使ってもらいたくありません。 

 HOと表記されている鉄道模型は、NMRA規格に合っていますので、問題なく走らせることができます。もし問題があればクレーム対象です。 

 現在は、HO規格外れの薄い車輪を使用した製品の名称はありません。その意味では、誤解を防ぐためJスケールでも良いと思います。この場合、1/80、16.5 mm日本型にはHOとJが存在することになります。即ち、同じ1/80、16.5 mmではあるが、互換性のない2種類の模型があることになります。1/80、16.5 mm表記では、メルクリンが以前発売したキハ58も含まれてしまいます。現状では安価なプラ製と高価な真鍮製の、互換性のない2種類でしょうか。 

 将来Jスケールには、専用の線路が必要になる可能性があると思います。「車輪だけ薄くなったが線路がない」とは、数十年前のMRスタッフの言葉ですが今も変わりませんね。コメントに、13 mmが同じ経緯で薄い車輪用の線路を作り、HO規格に沿った車輪を使った車両の走行をあきらめるとの話がありました。そうなると、当然同じ理屈で、HOでも同じ経緯をたどるでしょう。 

 HOとJとの大きな違いは、HOはグローバルスタンダードであり、Jは日本のみのガラパゴス規格となることです。当然価格には大きな違いが出てきます。シノハラ亡き後、Jはどのような線路を使うのでしょうか。余計な心配をしています。
                    
(続く)



2019年02月23日

ゲージ論は終焉を迎えるか

  ゲージ論のコメントは、静寂の状態が続いている。どなたからも反論がない。非常に主観的で、国粋主義的とも取れる情緒的なご意見は戴いたが、それらは掲載を控えている。

 Empirebuilder氏から、最終的と思われる意見が届いたので、3回に分けて紹介する。先のコメントに大幅加筆されたものである。

 いろいろなコメントを読ませていただきました。もう一度整理をしてみましょう。

 私の考えは最新の線路、車輪のNMRA規格を元にしています。米国の規格ですが、これはグローバル・スタンダードであると言えます。

 まず用語ですが、NMRAHO scale standardを、「HO規格」と書きます。HO guageHO規格に含まれますので使いません。注意していただきたいのは、scaleは縮尺ではありません。正しい訳は難しいですが規格かもしれません。縮尺はproportionです。繰り返しますが、HOゲージとHOスケールの違いなど議論する必要はありません。 

 NMRA規格は2010年ごろ改定されましたが、かなりドラスティックな改定でした。ある意味、現状追認型とも言えます。個人的にはLSスケール(NMRAGスケールをLSスケールと呼んでいますが定着していませんね)、On30の登場が影響したと思っています。この改定はそれ以前の縮尺、ゲージの考え方とは一線を画する内容です。今までのコメントでは、どなたもこの理解をされていないように感じました。 

 LSスケールでは現状追認の形で、一つのゲージに複数の縮尺を認めています。線路と車輪、車両限界をを共有することで、ナローから本線機関車まで同じ線路上を走っています。On30Oナローの19 mmゲージを、HOスケールの線路を使用することで生まれたスケールです。On3の線路の代わりに、全く縮尺の違う線路を使うこのアイデアは、市場に受け入れられ、本家のOn3を凌駕する勢いです。 

 このようにNMRA規格はゲージ、縮尺にこだわらない、模型的な発想の規格を容認する形に変貌しました。これを見れば、線路を共有することがいかに有効な戦略であるか、お分かりと思います。市販線路のないFine規格が伸び悩んでいるのとは、対照的です。 

 NMRA規格では縮尺に関する規格はなく、寸法で表されています。目標値、±公差が書かれています。公差はありますが、なるべく目標値に合わせて、と書いてあります。Scale Ratioの表記は車両限界と思います。 

 最初に線路と車輪の関係について書かれています。主にポイント通過時のレイルと車輪の位置関係が図示されています。この図を数値化したものがHO規格です。フログの欠線部に落ちる前に、ウィングレイルに車輪が乗り移ることが基本です。すなわち、フログ部分で車輪が落ち込まないようにするには、車輪の厚みが重要になります。以前のこのブログの記事に、NWSL ATLASと、Low-D を並べた写真がありましたが、明らかにLow-Dの車輪が一番厚いのがわかると思います。スケール感より、走行性能を重視しているからです。

 他にも規格がありますが、この線路と車輪の規格が今回の主題です。私はこの規格をもとに日本型、米国型が並んで走るレイアウトを製作中です。ともに問題なく同じ線路上を走っています。同じ規格でできた線路上を、米国型とともに走る日本型もHO規格です。NMRA規格上は、これらは同じHO規格です。縮尺はもともとNMRA規格にはありません。線路、車輪自体も縮尺通りではありません。

 それがHO規格なのです。これが準拠の理由です。もともとゲージを変え、縮尺を変えてHO規格に合わせたのですから当たり前なのですが。 

 もし私の考えに反論される場合は、NMRA規格のどの部分か指摘していただけると助かります。歴史的経緯は意味がありません。NMRA規格自体を否定される場合は、しかたがありませんね。(続く)



2019年02月21日

3Dプリンタ

 3Dプリンタでいろいろなものを作っている。S氏の協力は有難い。
sofas まず最初は室内の椅子であった。正直なところ、どんなものか見当もつかないので、強度に関係がない椅子を作ってみた。極めて素晴らしいものができた。塗装も全く問題なくでき、剥がれない。接着もスーパーXでよく付く。日光に当てる試験、油に漬ける試験もやっている。ソファの脚はT氏にレーザで切ってもらった。 
 問題が無ければ、三条ウォーム用ギヤボックスを作れる。モータ型に作れば、造形上もとても良い。

truck 次に作るのは台車である。この台車は、韓国製のロストワックス製台車があるが、話にならない作りで、見たくもない。ボルスタアンカの意味が分からない人が原型を作ったので、この金属棒が台車枠とは平行にはできていない。いや、あらぬ方向を向いている。真横からの写真を見て、原型を作ったのだ。ひどい商品を売るものだ。そんなものを付けたら、見た人に馬鹿にされそうだと思う。

 どうしても、良い台車が欲しかった。そこに3Dプリンタの話が来て、すぐ乗った。様々な工夫をして、Low-Dをはめ込む。イコライザは可動になる予定だ。これはインジェクションでは絶対に作れない構造をしている。重ね板バネも同時に作り込む。この図は初期の構想である。それからかなり進歩した。

 他にカブース用の重ね板バネ付きベッテンドルフも作る。


2019年02月19日

LVM の Big John

Big John's この貨車はエポックメイキングなものである。100トン積みのアルミ製ホッパ車はこれが最初である。Southern鉄道の発注により1963年に作られた。

 これらの模型はLVMのキットから作られた。二つ入手したので、何の問題もなく組まれるはずであった。ところが、部材の精度が極端に悪く、ブロックが直方体ではなかったし、側面の板がひどく湾曲して、矯正の方法が無かった。

 20年ほど、キットの箱の蓋を開け閉めしただけで、終わっていた。一念発起して新規に作ることにしたが、使った材料はハッチの蓋だけである。あとはフル・スクラッチだ。
 1輌目は20年ほど前に完成した。車体全体を無垢の木製にした。よく乾燥した材木(デッキの材料のカナダ産イェローシーダ)を正確に削って作った。側面は航空べニアであり、連結部近辺はブラス製である。塗装してすぐ完成した(写真左)。その後多少のウェザリングを施したが、この写真では判らない。

 よくできたと思ったが、無垢は重過ぎた。2輌目も削ってあったが捨てて、中空の箱にした。と言っても10 mm厚の板を組んだ箱である。これはさらに20年掛かって完成した。今回は台車まで塗った。優れたプライマであるミッチャクロンがあるからできることである。いずれ1輌目の台車も塗ることになる。

 このような製作の場合、キット組みになるのか、スクラッチ・ビルトになるのかよく分からない。使ったのは図面とハッチの鋳物である。

 ディカルはもう一組持っているので、いずれブラスで作ってみよう。それほど難しいものではない。最近は3Dプリンタがあるので、細かい部品は作れるからだ。構造体さえできれば、わけなく完成まで持って行ける。 

2019年02月17日

続々 神戸の行事

 ピギィバックは3種持って行った。本当は 89 ftを7輌持って行きたかったところだが、持って行く入れ物に余裕がなかった。

24ft trailer これは1960年ころ、UPが小口配送をしていた時のものだろう。 トレーラは 24 ft(7.2 m強)である。この模型は硬質ウレタンの鋳物だ。塗装は大変苦労したが、つるつるに仕上がった。あたかもブリキのおもちゃのようである。しかし、この種の材質の模型は、50年も経つと形が無くなっている可能性もある。それだけが残念である。
 この flatcar も、53ftである。

 89 ftの車には40 ftのトレーラを2台積んだ。J.B.Huntのロゴが鮮やかだった。

automobile carrier Autorack 自動車を3段積む貨車を塗った。こんなに透け透けでも塗料はたくさん要る。意外と表面積が大きな車体なのである。1,2段目に車を積むのは非常に難しい。載せてある車は植松宏嘉氏の愛車のジャガー2台と、1939年Hispano Suizaである。こんな高価な車を裸で運ぶわけはないが、縮尺が正しい車は手に入りにくいのだ。
 このUP塗装のものは珍しい。写真が載っている本を探し当てたので、それを参考にした。


2019年02月15日

続 神戸の行事

watermelon car ventilated car 通風車も完成したので持って行った。ガラリのところの仕上げは、皆さんご興味があり、手に取って見て戴いた。3Dプリンタの威力をしみじみと感じたようだ。手作業では、まずできない仕事だからだ。

 フライスを使って等間隔、等しい深さに溝を掘って丸線を浅く入れるというアイデアは、納得できるそうである。深さが綺麗に揃っているので評判が良かった。ウェザリングはこの程度で良いそうで、やり過ぎではないそうだ。積荷がないので、ベアリング玉をスイカ塗装にして入れると良い、とのアイデアを戴いた。

 3Dプリンタの話題は尽きない。N氏からは、仕事上の様々な事例を教えて戴いた。ナイロンは湿気に弱いそうである。濡れると強度がかなり落ちるということで、強度試験は濡らして行うと良いそうだ。

depressed center flat car depressed center flatcar は少し積荷を工夫していった。放熱器をスキッドに載せ、木の板を挟んで積み上げた。あとはワイヤで張力を与えるようにするだけである。ワイヤは turn buckle で締め上げるようだ。

48ft trailer これは 48 ft (14.4 m)のトレーラを運ぶ貨車だ。日本にはない長さである。この時期は、様々な大きさのトレーラが出て来た時期で、53 ftの貨車を使っている。様々なタイプの貨車が設計され、一つの貨車に積むことをやめ、二つの貨車にまたがった積み方をするもの(貨車2輌にトレーラ3輌を積む)すら現れた。そうすると分岐などで車体が折れ曲がると、タイヤは多少スリップする必要があった。ブレーキは掛かっているが、無事に通過していたようだ。


2019年02月13日

神戸の行事

 9日に神戸で行われた行事に参加した。都合20輌強を持って行った。どれも塗料が完全に固まっていず、臭いがプンプンする状態だった。筆者はエナメル系塗料を使う。触っても良いが、完全には固まっていない状態は1週間ほど続くのだ。酸素と結合して固まるので、時間が掛るのである。

wooden  gondola 古い貨車も用意した。この gondola 無蓋車は木製キットを組んだものだ。古いキットで、寸法が合わず大変苦労した。ソフトメタルの鋳物パーツも出来が良くなく、自作したものと取り替えているところがある。古い carcyclopedia を見て、ごく適当に作ったが、長い時間が掛った。足掛け20年以上かかっているが、ここで完成しておかないと出来そうもなかったので、思い切って完成させた。

 できたものがあまりにも綺麗で、そのままでは、人に見せるのが恥ずかしかった。適当に汚さねばならない。フロクイルのDust(埃)というのがあって、これは実に良い。もう売っていない。ストックは少なく、先行きが不安だ。

UP hoppers 多少ぶれていたので、まともな写真と取り替えた。ホッパを塗ることになっていたが、シカゴ近辺のものはたくさんある。当鉄道にはUP塗装が少ないことが分かったので、この色に塗った。ディカルはありあわせである。これも適当に汚した。車輪の外は車体色あるいは指定色(たいていは油でべとべと)、内側はさび色である。これは当鉄道のすべての車輛について、実行していることである。


dda40x at 02:13コメント(0)貨車 この記事をクリップ!

2019年02月11日

家畜車を塗る

13 UP cattle cars cattle car 家畜車を塗った。UP色はこれで13輌になった。もう十分である。プラスティック製が2輌、ブラス製が4輌、木製が7輌である。13というのは昔見たこの種の貨物列車が13輌だったからだ。それは1970年代前半のことである。UPの支線でGP9が牽いていた。カブースは側面にドアがあった。Droverが乗っていたのだ。ドローヴァとは、家畜の世話をする人である。この程度の輌数しか世話できないだろう。

 コンソリがある。これが走っているのを見たわけではないが、これに牽かせると似合う貨物列車だと思う。側線に留置しておける長さである。カブースをスクラッチから作り、コンソリを塗って完成させるのが今年の目標だ。

 木製の貨車は素晴らしい。組むのにかなりの手間がかかる。エポキシ接着剤もたくさん要る。塗装は下塗りが大変である。塗料が浸み込むので、サーフェサを浸み込ませて固めて置く。ある程度研いで、中塗りをし、上塗りという手順だ。ブラス製は塗装が楽であるが、金属製の家畜車は良くない。木板の部分を薄い材料で作るので、実感がないのだ。さりとて厚くすると重くて持てないだろうし、シアで切ると切り口がダレる。

 妻と屋根は渋い銀に塗り、赤い文字のディカルを貼る。このディカルもDr.Yに作って戴いたものだ。Champ のディカルはもう手に入らないのだ。

 筆者としては、もう家畜車を作ることは無いだろうと思う。木製キットを組むのは大変で、もうやりたくないというのが本音だ。

2019年02月09日

貨車の積荷

wheel car flatcarには何か積まないと、妙だ。ジャンク箱に車輪を積む cradle があった。ソフトメタルの怪しい鋳物である。クレイドルは「ゆりかご」であるが、ここでは車輪を載せる。積み下ろしをしていると塗装が剥げるので、下塗りを念入りに施した。ミッチャクロンは効果絶大である。2Lの缶入りを買ってきたので、惜しまず使える。

 O scaleの車輪を積むことにした。あっという間に完成だ。積荷はジャンクの怪しい韓国製の車輪を載せたのだが、フランジの形が気になって、結局のところ、Low-Dを載せている。この写真では、手前から、NWSL、 Low-D、韓国製の順である。積載量から考えると、車輪は2段、3段に積むべきだろう。

depressed center flatcar derpressed center flatcarという貨車がある。1950年代のModel RailroaderにHOのこの貨車を作る方法として、アクリルガラスを切り、木型に挟んでオヴンで加熱して塑性変形させる、という方法が紹介されていた。O scaleでもやってみたが、あまり芳しい出来ではなかった。
 All-Nationという模型屋は、アルミ鋳物を売っていた。価格は$9.99であった。出来が悪く、当時としては高いと感じ、買わなかった。昨年、O scaleのショウでジャンクで$9で買った。50年経つと1割引だ。出来が悪い鋳物で鬆(す)があった。
 パテで埋めて研いだが、感心しない。積荷で隠せばよいと気付き、HOの変圧器キットを組んだ。碍子その他は捨て、運送時の姿に作り替えた。時々、この変圧器キットを組んで、碍子付きで運んでいる模型を見るが、ありえないことである。振動で碍子が折れるだろう。この写真を見て、番号を貼り忘れたことに気が付いた。

 skidを組んで載せた。スキッドはパレットとは異なる。使い捨ての木の台のことのようである。家を建てる時に古い煉瓦を数トン輸入したが、スキッドに載せて来た。スキッドは壊して薪にした。
 冷却装置は外して積む必要がある。その木枠はまだ作っていない。仮にパレットに載せた。この冷却装置を付けたまま、積載した模型を見ることが多いが、ありえない。壊れてしまう。
 筆者が中学生のころ、郊外にかなり大きな変電所ができ、大型の変圧器が多数運ばれていくのを、毎日観察していた。たくさんの車輪を持つシキが使われ、それを運ぶ巨大なトレーラもよく見た。狭い道をうまく通り抜けて、運んでいった。

2019年02月07日

貨車を塗る 

 博物館の工事は少しずつ進捗している。今信号機を作っているところだ。今月中に配線までこぎつけたい。

 2月9日から神戸で行事があるので、何か新作を持って来いという話があった。未塗装の完成品が40輌ほどあるので、出来れば全部塗ってやろうと準備をした。
frozen 工程表では完成できるはずであったが、天候不順や突発的な事件があって6割程度の完成になった。急に雪が降って、軒先で乾かしていたものが凍結してしまったこともある。

 いずれも貨車で、今回は積荷を考えることが多かった。たかが積荷とは言え、調べると奥が深く、ある程度は見切り発車した。

 トレーラのキットをある程度の数、安く仕入れてあった。組んで形になってから10年以上経つ。手を入れて塗装すれば、立派なものになる。問題は後ろのドアのあたりの工作だ。木製キットだから、細かい造作は接着剤のイモ付けではいずれ壊れる。現に、30年前に組んだものは全て外れてしまっている。
 一念発起して、ドアの部分は薄いブラス製とし、細いワイヤをハンダ付けした。面倒な工作であった。数が多く、相手が木製で寸法が微妙に異なる。修正してきちんとはめるようにして合印を付けた。エポキシ接着剤で貼り付け、下塗りした。

piggyback トレーラは概してアルミ地肌の外装が多く、残りは大半が白だ。白の中ではこのJ.B.Huntが好きで、これを多数作った。ディカルは多少用意してあったが足らないので、Dr.Nに複製をお願いした。側面が滑面のもあるので、それは自作するつもりだ。トレーラはタイヤさえ手に入れば、いくらでもできる。そのタイヤはしばらく前に、ある程度の数安く入手してある。

 Piggybackという言葉は、日本語で言う「おんぶ」だ。決して小豚の背中ではない。ピギーックという発音、綴りを見ることが多いが、間違いである。


2019年02月05日

続々 ゲージ論始まる

車輪厚の薄いHO車輪については、思っていた通り、問題が多いようです。Fine規格ではなくStandard規格の線路用車輪となっています。しかし、規格通りの市販線路がありません。売る方も売る方ですが、買う方も買う方です。このような特殊な製品を使いこなすには経験と技術が必要と注意書きを添えるべきです。使う方も「線路を自作するなど当たり前と思って使うべきです。12 mm13 mmも同様です。非常に特殊な製品と理解し、誤解を招かないようにしたいものです。ほとんどの場合、既成線路を利用しているようですね。ゼロから作る意思がない方が多いようで、既製品を流用しているように思われます。実際にポイントを作って走行させると、すぐにわかると思います。メーカーの個々の都合に左右される状態のようです。これらは、メルクリンのように互換性のなく、自己完結の、ごく一部の人がマニアックに楽しむ特殊カテゴリーと認識すべき製品です。鉄道模型の規格外で、規格とは無縁の製品です。 

線路規格ゲージの名は、NMRA Standard gaugeが正しいようですが、普通NMRAゲージと呼んでいます。ハンドスパイクをしながらレイアウトを作っている私には、最も重要なツールです。店で見かけるとうれしくなってすぐ購入し、すでに数枚持っています。あると便利ではなく、無ければ何もできないレベルです。レイアウト、車両制作に必要な秘密?が詰まっています。これなしに規格を論ずるな、と言いたいぐらいです。日本の模型店にほとんど見かけないのは恥ずべきことです。ご自分の車両をこれでチェックしてみてください。これで調べて問題がなければHOスケールです。縮尺についてはこのゲージには何も書いてありません。

dda40x氏のおっしゃる通りです。12mm13mmの方は、線路規格ゲージを作って頒布してから、発言してほしいと思います。
                                                                                             (おわり)



2019年02月03日

続 ゲージ論始まる

KATOはさすがに輸出メーカーで、日本型にもHOと書かれています。「HOスケールで作られたレイアウト上を問題なく走行します」というしるしです。一方で「1/80 16.5 mmゲージと書け」という意見もあるようですが、これだけではどんな規格の線路、車両限界内を走行できるのか不明です。それは、国内でしか売ることを考えないガラパゴスです。商品ならば、HOと書くべきですから、これは正しいのです。もう一言付け加えるのであるならば、線路の規格に縮尺は不要です。縮尺ではなく、16.5 mmゲージの鉄道用線路を作るのです。その上を走る車両はそれぞれのスケールに合わせた車両限界が設定されます。線路に実物の寸法は関係ありません。実物と同じ理論が必要です。Fine規格はここに縮尺を持ち込み泥沼化しているようです。 

規格を理解していただければ、「1/80HOではありません。」などという勘違いは起こりません。確かその文章ではNMRA規格にも言及されていましたが、その後書き換えられ禅問答のような内容になっています。趣味の世界で重要なのは、メーカーの宣伝文句に騙されないことです。NMRAはメーカーも参加しますが、あくまでもオブザーバーです。決定権はありません。メーカー名が付いた○○規格などはあってはなりません。メーカーが言うことは自社PRとして受け取るべきであり、メーカーは自社PRのために規格を悪用してはいけません。面白い事例としてはカプラーがあります。NMRAとしてはいろいろカプラーの研究をしていたようですが、規格としてはできませんでした。ご存知の通りKadeeが絶対的な標準になっていますが、NMRAには規格としてありません。Kadeeが断ったと聞いています。
                                        (続く)



2019年02月01日

ゲージ論始まる

 筆者はゲージ論には興味があるが、深く立ち入ることは避けて来た。自分自身がOゲージャであり、HOについてはほとんど知識がないからだ。

 先日来話題を提供して下さっている Empirebuilder氏が、長文のゲージ論に関する手紙を寄せられた。興味深い内容なので、紹介したい。長いので3回に分けて掲載する。コメント等はすべてが終了してからお願いしたい。
 Empirebuilder氏は長いアメリカ在住経験のある方で、かの地の模型事情にも詳しい。(本物にはもっと詳しい。)

私はHOHOn3だけを楽しんで来ました。12 mm13 mmについては門外漢で、細かいことはわかりませんでしたが、いくつかのコメントを読ませていただき、勉強になりました。他ゲージのことにはほとんど興味がありませんが、HOゲージャーとしては最近勝手に新しいゲージ名が作られ、鉄道模型の規格についての知識不足と相まって、無用な議論がされてきたように思えます。HOそのものについても基本的な理解不足が目立ちます。 

日本型HOについては規格がないという人もいますが、NMRAの規格に準拠することが前提です。日本型のために必要な規格はありません。dda40x氏の記事中の1/481/45と同じです。簡単に言えば、日本型をNMRA規格のHOスケールに乗り入れするために16.5mmゲージを採用し、車体も1/87では小さすぎ、それこそ蟹股になることもあり1/80とされています。ナローではなくなりますが、標準ゲージとしてはバランスが取れています。私には蟹股に見えません。正面から見た時の軌間と車体のバランスは良いと思います。蟹股という方のデザインセンスがわかりません。標準ゲージの採用を前提として製作されてきた国鉄型ですので、当たり前ですが。

実際にはそれでもアメリカ型より小さめですが、同じ線路上を走行させても違和感がなく、その証拠に今でも多数の方が採用しています。NMRA規格では1/8716.5 mmゲージが採用されましたが、鉄道模型はすべて縮尺通りには製作できません。そのために規格が必要となり、設定されています。簡単に言うとNMRA規格のほとんどは当然ながら、1/87の縮尺通りではありません。線路があって、その上を走行する車輪があり、さらに車両限界が設定されています。この規格内で走行する車両すべてがHOスケールなどと呼ばれます。実物の乗り入れと同じです。(ただし実物の乗り入れ時のような共通化のためのドアの数、位置などの決めごとはありません。)できるだけ広く、多くの車両が乗り入れできるようになっています。HOスケールは線路、車輪、車両限界が規格内であることが、必要十分条件です。最近は行き過ぎたスケール重視から、日本型の1/80をJスケールとするなどとの暴言が聞こえてきますが、上記の通りHOスケール規格自体ほとんどが縮尺通りではありません。さらに古典機などは1/75などの縮尺で作られています。JスケールではなくKスケールでしょうか?自由形は何スケールですか?同じレイアウトを走行する車両にいろいろなゲージ名をつけてどうするつもりでしょうか。規格はすべてを規定するものではなく、できるだけ決める範囲を狭くして、自由度を増すものと思います。縮尺をどうするかは、車両限界内であれば設計者に任せるべきです。そのセンスが模型に表されます。古典機の設計は個性が出て楽しいものです。このセンスに縛りをかけるような、野暮なことはやめたいと思います。

                                         (続く)



2019年01月30日

線路規格ゲージ

 昔は線路用のゲージを売っていた。HO用なら、NMRAのも見た覚えがある。最近はあまり見ない。ほとんどの人が出来合いのポイントを買うからであろうか。それが正しく規格に基づいているかどうかなど分かりはしない。

 O scaleのNMRAの規格に則ったゲージは今でもある。昔買ったステンレス板打ち抜きのものである。建築限界全体も示す大型のゲージは、フロリダのメーカーがブラスの 1 mm強の板で作っていた。これはたくさんの板を重ねてボルトで締め、外形をフライス加工したものであった。ブラス製だから多少軟らかく、ポイント作成時に使うと磨り減る惧れがあった。

 13 mm や 24 mmゲージ、12 mmゲージの人たちは、身内でゲージの頒布を行っているだろうか。今ならステンレスの板をレーザで切り抜いたものを作るのは容易である。試作して実測寸法を調べて発注すれば良い。その程度の努力はするべきだ。

 ゲージ無しで正しいポイント作成は難しい。出来ないことは無いがやる気が失せる人も居るだろう。標準ゲージがあれば、市販品のポイントがいかにおかしいかも分かる。線路ゲージが狂っていることにも気が付く。

 枕木を切ってずらすくらい、訳はない。線路を中心で切って縦割りにし、打ち直せば良いのだ。直すのがポイント部だけなら、大した作業ではない。車輌工作に投入する手間の1/10で解決する。フログのウィングレールを太くする方法は簡単で効果が大きい。


2019年01月28日

よく走るためには

 たびたびこのブログで書いたことだが、走らなければ意味がない。みかけが多少良くできていても、脱線するようでは零点だ。 
 ポイントを滑らかに渡り、直線はまっすぐ走るだろうか。曲線を出て直線になっても首を振ったまま、斜めに走る機関車がたまにある。

 正しい規格に基づいて作られた線路であるなら、脱線は起こらない。もちろん、車輪も正しく作られているべきだ。
 
 こんな事は当たり前なのだが、実際に車輛を見るとそうでもないことが多い。先輪の厚みを見ればよく分かる。薄くする人の気が知れない。車輪のフランジが薄ければ、それは脱線機であって、脱線しないほうがおかしい。

 高性能な車輪を作ろうと思って、線路規格を読み込み、ある程度の試作品ができたので、吉岡精一氏のところに見せに行った。彼はこわい顔をして、
「新しい車輪を作るときは覚悟がいるぞ。万単位の車輪を作る自信があるか?そういう製造所はあるか?」
と問うた。
「あります。懇意の量産旋盤屋がやってくれます。」
と答えると、
「金が掛かるぞ。高級車が買えるほどの金を投資しなければならない。しかもそれをみんなが買ってくれなければ、何の意味もない。一挙にマジョリティになるしか方法はないのだ。」
「そのつもりです。私自身1千軸必要です。とりあえず3千軸の買い手はあります。アメリカにも2千軸ほど売れますし。」
と言うと、
「それなら良し。俺も500軸買おう。」
ということになった。

 それから、10年ほど経ち、
「2万軸を超えました。」と報告したところ、吉岡氏は満面の笑顔で、
「よくやった」
と褒めてくれた。既に日本ではde facto standard になったのだ。デファクトスタンダード(事実上の規格)になれたのはJORCのクラブ員が大量に買ってくれたからである。価格は安く、利益など無いも同然だ。その価格では模型店が手を出したくないからである。その後市場はほぼ飽和し、売れ行きは落ちたが、時々注文がある。アメリカからは「2000軸欲しい」などと言ってくる。
 祖父江氏の機関車にはこれが採用されている。

 その後売れ続けて3万軸を超えた。このLow-Dは新規格ではない既存の規格の中で、必要な条件を完全に満たす車輪だ。最高の性能を出すことができる。

 相も変わらず能天気な人たちは、筆者にProto48の車輪を作ってくれとか、タイヤの薄い車輪が欲しいと言ってくる。救いがたい人たちだ。

 新しい規格を話題にする方は、上記のことを思い出して戴きたい。覚悟が要るのである。たくさんの人が買わねばならない。


2019年01月26日

続 日本の”ファインスケール”という言葉

 たくさんの方からメイル、コメントを戴く。掲載不可とあるので、一部しか紹介できないのは残念だ。
 
 「それなら、軌間が縮尺通りというのを英語で何と言うか?」という質問が多い。それは、名詞なら ”correct gauge" 、文章なら "The gauge is true to prototype." であって、”fine” という言葉とは全く無縁である。

 各ゲージに規格は一つというのは賛否両論だ。先回の話は少々説明不足であったことは認めるが、全く筋違いの反論もあった。正直なところ、筆者はHOについての知識は少ない。しかし、O の1/48と1/45の違いがない話から、推測は出来る筈である。よく走る模型を作ろうと思えば、既存の規格を尊重すべきである。規格はmajority(大部分の利用者)が尊重しているものである。よりfineな規格を作ろうとしている人たちは、それがマジョリティではないし、多分マジョリティにはなりえないことを知っているにも拘わらず、こうあるべきだと説く。それはマジョリティの人から見れば、面倒なことをやっているとしか思われない。しかも車輪には熱心だが、線路を改良する人が少ない。線路をいじると、手持ちの車輛が走らなくなるからと言う。
 Low-Dは、既存の規格線路に完全に適合する最適値を導き出している。


 Empirebuilder氏が、「コメントの方は、何とかして日本向け規格を作りたいという意志が透けて見えます。非現実的な模型の話を持ち出しても仕方がありません。NEM規格も持ち出す必要はありません。無用な知識開示でしょう。」と書いてきた。

 
 さらに続く。

 日本のHOの車輪のことは、NMRA規格に準拠する規約がないことが問題ではなく、そういうつまらない車輪を流通させて、黙って見ている雑誌に大きな責任があると思います。製品を提供してもらって提灯紹介記事でやっている出版社に期待はできません。メーカーは客が欲しがる製品を作っているだけと思います。
 「
NMRA Standardに準拠したHOの線路とは規格が合わないので」とありますが、NMRA Standardに準拠したHOの線路がないことを知らないことにはびっくりします。TTのポイントが規格外とは気づいているようですが。 

 日本型12mmの経緯は知りませんが、TTの線路を使おうとしたことが、そもそもの間違いのもとのようです。羊頭狗肉のゲージですね。12mmゲージャーは、まんまと騙されているように思います。

 結論として筆者は、新しい規格を出される方は、車輪、線路を同時に、しかも大量に供給できるという前提で話を持ち出すべきであると思っている。そうでないと、線香花火のように消えて行ってしまう。
 
 様々な意見が飛び交っているが、稲葉氏が沈黙を保っているのは不思議である。



2019年01月24日

日本語の ”ファインスケール” という言葉

この題材を扱うようになってから、アクセス数が非常に増えて来た。コメント、メイルをたくさん戴いて、驚いている。

 先に結論を言おう。もう、「ファインスケール」という言葉を使うのをやめよう。理屈を理解している人にとっては迷惑千万である。「軌間が縮尺に近いとファインスケール」と言うべきかは、疑問が残る。「ファインである」という言い方は問題ない。コースに対するファインであることは疑いのない事実だ。

 ファインは細かいだ。美しいという意味もある。それにスケールを付ければ、なんとなく気分が良くなる人がいるのだろう。しかし、米語にはない使い方である。


 コメントを投稿して戴いたEmpirebuilder氏と意気投合したところは多々あるが、その中でも、「線路規格は縮尺を問わず一つである。」というところが大切である。

 HOでも16番でも、On30でも同じ規格であるべきなのだ。1/80の規格はNMRAの規格と異なるわけがないのだが、これらは違うと思っている人がたくさん居る。

 30年ほど前、JORC(Oゲージの団体)が発足するときに、1/45、32mmゲージの規格を決めようと言い出した人たちがいて、驚いた。筆者にも声が掛かって、規格委員になってしまった。
「冗談じゃないですよ。NMRAの規格と異なるものを作ったら、皆さんの持っているものは走らない可能性があります。」
と叫んだのだが、全く理解しない人が半分くらい居て、紛糾した。2年くらい訳の分からない事をやっていたようだが、結局何も決まらず(当たり前である)流れた。この時、正しいことを言ったのは、筆者の他に吉岡精一氏だけである。議事録を見ると、とんでもないことがたくさん書いてあった。筆者は、ばかばかしいので、最初の一回しか出ていない。

 その後、筆者の提供した車輪を大半の方が使って、何の問題も起こらなかった。線路はNMRA準拠のものを輸入したり作ったりしている。1/45 と 1/48 の線路が違う訳がないのだ。今でもおかしなことを言う人は、たまにいる。
 輪軸、線路の規格は足し算、引き算で理解できる、小学生の算数なのだ。これが分からない大人がいるというのは一体何なのだろう。

2019年01月22日

続 長文のコメント到来

 ファイン化について、HOの世界でも同じようなことが起こっています。車輪の厚さがだんだん薄くなり、ファイン規格よりファイン化してきました。あるメーカーの人に、HO規格から外れた車輪をどうして作るのか聞いたことがありますが、
「問題があるのは承知しているが、客の要望なので仕方がない。」
と言っていました。
 私はNMRA規格の車輪をできるだけ選んで使用しています。規格外れの車輪で問題がないのか気になっていましたが、やはり問題になっているようです。問題は車輪がファイン化しているにもかかわらず、線路は旧態依然していることです。フレキシブルレールが16.5 mmではなく17 mmであることは何とかなっても、ポイントはNMRA規格外(ファインと逆方向)です。あるブログのコメントに、車輌と線路の相性があり脱線する場合がある、と書いてありましたが、線路と車輪の物理的関係に相性があるとは笑止千万です。現在発売されているファイン形状に似た車輪は、バックゲージが変わっていないことを付け加えておきます。

 フログの欠線部については、NMRAの線路の規格でも”キモ”と言える部分で、結果としてハンドスパイク以外に対策はないと感じたところです。HOにおいても問題は同じで、既製品のポイント通過時は落ち込み、音がします。脱線の原因となることも多々あります。自作してフログを規格通りにすると、落ち込みもほどんどなく滑らかに走行します。OもHOも同じですね。ただ広いフランジウェイが当たり前になっているためか、バックゲージが狭い車輪が見かけられ、ガードレールにぶつかることがあります。入線前の車輪チェックは必須です。薄い車輪を何とか通過させるために、既製品はフランジウェイを埋めています。何十万円もする超精密機関車がフランジの先端で走行するわけです。プラレールと同じです。私にはまったく妥協できないところです。脱線にもつながります。私のレイアウトでは、ハンドスパイクのポイントでの脱線はほぼゼロになりました。既製品のポイントも使っていますが、いいろいろ調整しても安心できません。余談ですが、自作のポイントをヨーロッパのハイフランジが問題なく通過したのには、驚きました。フランジウェイを埋めていない成果?です。 

 貴ブログは、私の知っている限りでは、唯一、線路と車輪の関係を正しく理解して書かれていると思います。実際にやってみて得た私なりの結論が、こちらで理論的に証明されています。車輌偏重の日本の鉄道模型の弊害が、線路についての無理解となっているようです。
 ”フランジウェイを狭くすると、走行性能に犠牲云々”とウィキペディアにありますが、私の場合狭くしたので問題がなくなりました。

               <おわり>  



2019年01月20日

長文のコメント到来

 時々コメントを戴くEmpirebuilder氏から、長文のコメントを4つに分けて戴いた。それを、二回に分けて掲載する。ハイライト部は筆者(dda40x)による。 


 正縮尺だ、ファインスケールだ、と唱えられる方の多くは、縮尺や軌間といった判りやすい数字だけをうんぬんされていて、車輪の厚さやバックゲージといった走らせるための基本に無頓着なのは残念です。一度でも自分でポイントをスパイクしてみれば判る事なのですが…。
 HOn3のレイアウトを全線ハンドスパイクで作ったことがありますが、線路と車輪をNMRAゲージに合わせて作れば脱線皆無で、なるほど模型を走らせている国の規格だな、と感心しました。それに比べるとHOn2-1/2は、Nゲージの車輪寸法がメーカー毎にバラバラなので苦労します。車体寸法の1/80と1/87の差以前に車輪寸法の差が大問題なのですがね。
 
 私はHOゲージャーですが、ファインスケールをNMRA規格で知りました。よりスケールに近く、スタンダードと比べると実物に近く見えました。ただあまりに繊細で、見かけはいいのですが、採用を躊躇しました。その後、proto がさらにスケールを意識して出てきましたが、ファインを採用した模型を見かけることがない状態で、proto は鉄道模型としては居直りのように感じました。もはや鉄道模型ではなく博物館模型ですね。モーターを搭載してますけど。
 そのためか、写真で見ると実物と間違えます。またいずれの作例も、ディテール付きの線路上に車輌が置いてありました。したがって、私の理解ではファインは「縮尺に近い」という意味です。 

 12 mmが出てきたときファインスケールを名乗っていましたが、ファインスケールと名乗っていながら、レールはメーターゲージ、TT用を流用すると書かれており、NMRA規格のファインスケールの定義からすると、”新幹線車輌を作ってとりあえず京急の線路上を走らせること”と同じレベルと思いました。ただ1/87 だからファインと名乗ったようですね。NMRAの規格を知らなかったのでしょうか。同じ用語を違う意味で使われると混乱します。レールメーカーの社長が、
「『12 mmの線路を作れ』と言われるが規格が、出てこない」
と言って困惑していました。さすがにこの社長は規格を理解しているな、と感心しました。12 mmが12.5 mmにしなかった理由が線路の流用にあるとしたら、ファインをどういう意味で使ったのでしょうか。 


2019年01月18日

Finescale Railroader

Finescale Railroader 日本では、ほとんど知られていない雑誌である。 雑誌名が
Finescale であるから、正確に縮尺された軌間の模型ばかりかと思えば、そうでもない。
 手元に40冊ほどあるので、正月にパラパラと読んでみた。”縮尺と軌間が一致しているものをfinescaleと呼ぶ”、という記述には遭遇しなかった
「お前の英語力はあてにならないから、信じられない」
とおっしゃる方には御貸しするので、丹念に解読されたい。往復の送料はご負担願う。汚したり折ったりしないよう、お願いする。

 先日RM Modelsの10年ほど前の記事を見ていたら、13 mmゲージの秀作を紹介していた。
 確かによくできているのだが、フランジ、タイヤがまだ厚い。完全な縮尺模型ではない。その記事にはファインスケールと書いてある。これは単なる無知であろう。

 あるウェブサイトでは、自分の商品を売らんがために、そういうことを書いている。これは公正取引員会の仕事を増やすことにもなりかねない。優良誤認と言われても仕方がない。さすがにそれは一回きりで、続きがない。おそらく誰かに何か言われたに違いない。
 これは教養の問題である。その言葉がどういう場所に使ってあったかをよく検証してから、日本語に入れるべきだ。

 このアメリカの雑誌は、ひたすら細かく作り、なおかつ時代考証を正確にして、躍動感のある模型を作ろうという姿勢を保っている。一番多く出てくるのは、1/20.3サイズ、45 mmゲージである。これは縮尺と軌間が完全一致だ。とにかく大きい。博物館には15輌ほどある。 

2019年01月16日

続々 finescale とは

 ゲージは縮尺値に正確でなくても、筆者はあまり拘らない。ただ、広い場合には、蒸気機関車の設計で困ることが多い。タイヤ厚も本物より大きいので、ロッドの収まりが良くない。クロスヘッドを外に動かして、ピストンロッドの中心からわずか外に出す例が多い。そうしないと走らない。Oスケールは、実物より6%強広い。

 車輪の厚さについてこだわる人が多い。薄くなければファインではないと信じているのだろう。ポイントさえなければそれでも良いのだ。実際にはポイントがあるから、フログの欠線部のことを考えねばならない。

 Low-Dの設計では、欠線部で落ちないことが優先順序のかなり高いところにあった。だから、車輪厚さはやや厚い。既製品の中には意外と薄いものもある。それらは、ことごとくフログの欠線部にはまる。フログは削れて凹み、ますます落ち込む。それは、Oスケールでは決して無視できない。通過頻度の高い本線では深刻な問題だ。筆者のダブルスリップを滑らかに通過する動画を見て、
「ありえない静かさだ。」
と言った人は多いが、
「なぜか?」
と問うた人は少ない。

Wheelsets この写真をご覧戴きたい。NWSL や ATLASと、Low-Dとの違いである。アメリカ人は薄い車輪が好きな人が多い。それがどういう結果をもたらすか、は考えない人が多いようだ。説明してやっても、半分は上の空だ。しかし、現実にLow-Dだけの車輛群を走らせてやると、仰天する。あまりにも静かで、ポイントで動揺しないからだ。この写真を撮るとき、手前から向こうに並べたものを望遠レンズで斜めに撮っているので、上の方はより狭く見える。手前の三つは同じゲージである。

Proto48 vs HO wheel Proto48の車輪が少し見つかった。こんな感じである。右はHOの13.5 mm径車輪だ。フランジはHOより薄い。
 これが間違いなく走る線路を用意するのはなかなか大変なようだ。先日ポイントのフログは8番と書いたが、それは標準軌の場合である。狭軌ではもっと大きな番手が必要になる。作図して確かめられると良い。作図をしない人が多いらしく、この質問は多い。作図は必要最小限のことである。

 ファインスケールという言葉を持ち出す人は、自分の提唱している車輪規格を売り込みたいのだろう。それは他より優れている、と信じているのだろう。決してそうではないのだが気が付いていない。売り込みたいがゆえに、禁じ手に手を出している。ファインを考えるなら、線路規格と同時に考えねばならないのだが、そこまで頭は廻っていないとみえる。

 車輪の形状は長年の積み重ねで、このような状態に決まってきたわけだ。「よく走る」ということを考えると、ファインな車輪というのは、様々な点で問題が大きくなる。その点、大阪合運でお会いするHOJCのグループの方達は、よくやっていらっしゃると思う。筆者は、そこまではとてもできない。
 すべてをゼロから始めたからこそできるのだ。Oスケールには100年以上の歴史があり、ある程度形が決まってからの数十年の遺産があるので、それらとの共存を考えると Low-D しか方法がなかった。当博物館の線路はRP25が来ても通るようになっている。そこに Low-D を通している。非常に静かである。大きな軸重の機関車が来ると、ドスドスという音がするが、落ち込んでいるのではない。
 Proto48の連中はあまり深く考えずに、実物の完全縮尺をしたので、問題が噴出している。 

2019年01月14日

続 finescale とは

 早速いくつかコメントとメイルを戴いている。そのすべてが筆者が予想していた方達からであった。HOスケールとは何かという計算方法を教えてくださった方もあるが、その程度のことはわきまえている。
 3.5 / 304.8=1 / 87.08 である。有効数字という概念を理解していれば、同じことであるのは自明だ。

 森井氏は非常にいいところを突いて来られた。今回書こうと思ったところだ。先回は、筆者は意図的にフランジ高について書いた。そうすれば、それについてきっとたくさん書き込みがあるだろうと思っていたのだ。
 実は、ファインか否かはフランジ高にはあまり関係がない。フランジ厚さを論じなければならないのだ。厚さを決めると高さは必然的に決まる。この事は殆どの方が気が付いていない。NMRAのおかしなフランジ形状でなければすぐ決まってしまう。

 フランジ厚さが薄くなって、フランジウェイが狭くなるとファイン化するのである。back to back バックゲージは広くなる。Low-Dの形状を決める時は、そこで吉岡氏と意見が一致した。
「そこに気付いている模型人に会ったのは、君が初めてだ。」
と言われた。
 既存の車輪との整合性を保ちつつ、よりフログを狭めることができる。非対称フランジウェイを採用すれば、もっと良くなる。タイヤの厚さは、この際あまり関係がない。

 先回の写真をご覧になった方から、
「ATLASはファインなのですか?」
と聞かれた。ファインではないのだが、横のとんでもない車輪を見ると、ファインに見えてしまう。実はその比較が大切なのだ。
 鉄道模型が進歩してきた過程の中で、コースから脱却してより実感的な車輛、線路へと舵を切ったのだ。現在ほとんどの皆さんが楽しんでいる鉄道模型は、かなりファイン化しているのである。もちろん、Low-Dはファイン化しているが、いわゆるファインではない。走行性能向上を第一目的としているので、譲れないところもあるからだ。
 十分にファインであると感じるのは、コースとの対比をしているからである。
 
 ”fine” と ”ファイン”の違いについては意外な質問を戴いた。これについて、他意はない。お気づきの方もいらっしゃるだろうが、当ブログでは、話題になる概念について最初はローマ字綴りを書き、あとはカタカナで近い発音を示している。

2019年01月12日

finescale とは

 最近、表題の表現が気になる。何かおかしい。

 筆者はゲージ論には興味があるが、議論はしたくない。ルールを決めずに議論しても無駄だからだ。あちこちで罵り合いに近い論争を見聞きするが、不毛である。

 あるサイトで、こういう表記を見た。
「縮尺通りの軌間を持つ模型をファインスケールと呼ぶ。」
 一瞬、何を言っているかわからず、数秒経ってから、
「ああ、そういうことなのか。」
ということになった。そういうこと、というのは肯定ではない。自分の言いたいことを他に押し付けるための、洗脳の手段だということに気付いたのである。
 HOスケールの12 mmゲージについて言えば、
 1067 ÷ 87.08 = 12.25
であるからもう破綻している。この0.25 mm は実物なら、21 mm以上である。そしてフランジ高は実物の2倍弱だ。

 そういうことを言うなら、アメリカの1番ゲージの方が良い。1/32 で 44.85 mmゲージだ。
 1435 ÷ 32 = 44.84 mmとなる。しかし、これをファインスケールモデルだという人には、会ったことがない。フランジは高く、2.5 mm以上あるものが多い。実物なら0.8 mm程度だ。

coarse wheel sets "fine" という言葉は "coarse" の対語である。コースは荒っぽい、図太いなどと言う意味である。ライオネルなどの車輪を見ればわかる。イギリスのコース車輪の現物があるから写真をお見せする。これはOゲージなのだが、Nゲージの車輪を4倍に拡大するよりも、タイヤが厚いような車輪である。念のために申し上げるが、これらはすべて32 mmゲージを走る。しかし、コースの車輪は博物館の線路は走れない。フランジが高過ぎて枕木の上を走る。もちろん、ポイントも通れない。ライオネルの線路ならば、かろうじて通るが、フランジが当たっている。
 
 対する "fine" は実物を模したもので、フランジが薄く、低い。タイヤ厚もはるかに薄い。NMRA推奨値の車輪は、当然のことながら、"fine"ではない。コースとファインの中間よりも少しファイン側に寄っていると感じている。

 ファインの模型でなければならない、という人はたまに居る。これは非常によく整備されたレイアウトを持っていないと走行させられない。サスペンション(懸架装置)もよく工夫されていなければならないだろう。曲線半径は実物の縮尺通りでないと難しい。筆者の友人でProto48に凝っている人もいるが、小型機しか走らせられないとぼやく。アメリカでさえ、大型機の走るレイアウトが難しいということだ。半径3 m以上、フログは8番以上が必要だからだ。

 日本で一般人が楽しんでいる模型は、ほとんどの場合、ファインではないのだ。最近のウィキぺディアには、”広すぎる軌間を縮尺に近づける作業を含む場合もある。”と書いてある。誰が書いたのかはわからないが、早々に修正されることを望む。


2019年01月10日

鉛合金の鋳物

 コメントを戴いている。

 既存の模型雑誌に出ていた「ホワイトメタル」は、やはりソフトメタルのようですね。 
なんであんなに形が甘いのかと思ったら、収縮が第一要因なのですね。 
この一連の流れだとメーカーと言えど、押し湯を理解せずに作っていたのか、と思いました。 
遠心力や重力を使っていたら、ソフトメタルでもだいぶ出来栄えは違っていたのかもしれません。

 内容が、いま一つ掴み切れないが、おっしゃりたいことは分かる。鋳物の中に形が良くないものがあり、それが収縮によって角が出ていないということなのだろう。筆者は現代の日本製の部品を知らないので何とも言えないが、そういうものもあるのだろう。昔のことを言えば、床下器具のぼてっとした部品は押し湯が足りなかったのは明白だ。材料は活字金ではない安価な鉛合金を用いている。柔らかく、ニッパーで切ると、ねちっとする。活字金はぱちんと音が出て切れる。
 
 最近の部品は非常に細かくできているものが多い。それは遠心鋳造による。ホワイトメタルの部品はほとんどこの方法による。ゴム型を作る。円盤に放射状に作った原型をゴムに埋没し、ゴムを二つに分ける。原型を取り去り、その放射状の空洞部に遠心力で熔湯を流し込むと数秒で固まる。それをゴム型から取り出して、枝を切れば良い。枝の部分は融かして再利用している。
 この方法では圧力が大きくなるので、ゴム型の隅々まで湯が廻り、部品の角が完璧に出る。この遠心鋳造による方法は、ロストワックスによるブラス鋳物に比べ、はるかに安価である。


2019年01月08日

続 角倉彬夫氏の鋳造法 

 ほとんどの金属による鋳造では、湯口の円錐形の中に、大きな凹みができている。それが見えると、多分成功である。
 活字金ではそれが全くない。場合によっては少し膨れ上がる。ということは、湯口を無理やり急冷すると、圧力が鋳型の中に生じるわけだ。膨れると言っても大したことは無い。縮まないと表現したほうが間違いがないだろう。型の中に隅々まで注入されれば、何の心配もなく、素晴らしいものができる。

 角倉氏のは石膏型だが、シリコーンゴムを使えば、アンダーカット(Fig.1のB)があっても良いのだ。二回に分けてシリコーンを注型しなくても、一回でシリコーンゴムの中に埋没し、横からナイフでギザギザに切って、型を二つに分ければ良い。ギザギザが型のずれを防ぐだろう。空気抜きは、よく切れるナイフでV溝を付けても良いが、シリコーンゴム型を圧迫して隙間を無くすときに、何かのパウダを合わせ目に軽く塗るだけでも用は足りるだろう。

 実は今、上廻りがそれほど細かくできているわけではないイギリス型客車の台車を作ることを頼まれている。現状の台車はかなりひどいので、多少は良いものを作りたい。簡単に作れて線路追随性の良いものにする。暇を見て実行したい。

 台車枠にはネジを切って、枕梁を付ける。タップを立てるわけだが、うまく行くだろう。コメントの中に棒台枠を作りたいという話もあった。理論的には出来るだろうが、たくさん作るわけではないので、レーザカット、ワイヤカットを使うべきだろう。 

2019年01月06日

角倉彬夫氏の鋳造法

 先日のコメントでrailtruck氏からご指摘戴いた角倉氏の記事を開いて見た。昔読んだ覚えがあるが、忘れていた。
 角倉氏は活字金を使った鋳造の話をしているのだが、副題はどういう訳か、
石膏型とソフトメタルで” 
とある。編集部は活字金とソフトメタルが同じものだと思っていたのだ。これは記事の価値を損なっている。ひどい話だ。きっと角倉氏は怒っていたに違いない。

 ソフトメタルは鉛を主体とする低融合金で、スズ、アンチモン、ビスマスなどを添加している。その後、スズを主体とするものもたくさん出てきたが、それは装飾に使うものが大半で、模型用は鉛主体のものが多い。名前通り、それほど硬くないことはご存じだろう。凝固に際して体積変化は大きい。ほとんどが縮む。

casting1 角倉氏の記事は石膏型で、draft angle(抜き勾配)がないと不可能である。二つの石膏型の合わせ目に、剥がれるようにススを付けるところなど、時代を感じさせる。この記事では活字金で鋳込む他に、
”ルツボなどの便がある方は真鍮等でも構いません。”
とまで書いてある。すごい話である。できるだろうが、型の温度の設定などが難しい。簡単な型でなければ、遠心鋳造をしないと入らないかもしれない。

casting2 押し湯の件は間違いなく書いてある。空気抜き穴も紹介してあり、素人ではない。しかし活字金は縮まないということをもう少し大きく書くべきである。
一般論で言うと、押し湯ではその湯口の部分が最後に固まるようにするのである。そうすると凝固時の収縮が、その湯口の内部で融けている金属が湯口を通って鋳型内に注入されて補償されることが、期待される。


2019年01月04日

蒸気機関車の音の再生

618_0131 正月に音楽家の友人に招かれて、演奏を聞いた。彼は仕事をやめた後、専用の建物でジャズの教室、演奏会を開いている。設備は相当なものである。各種のオーディオ装置を完備し、レコードは1万枚弱を持っている。彼はもともと電気工学出身で、オーディオは専門家であった。
 レコード再生には非接触のレーザ光によるプレイヤを用い、 特殊な真空管アンプを通して聴く。スピーカはイギリス製の何とかという珍しいブランドだ。巨大な超低音再生スピーカもある。それを入れたり切ったりして、効果を確かめながら聞いた。

 筆者は、アンプはFETがベストという結論を持っているので、真空管アンプ至上主義者からは睨まれている。それは物理学的な考察の結果であり、情緒的なものではない。少なくともFETは安い。安くていい音がすれば良いではないかということだ。
 それはともかく、今回は彼のオーディオ装置を通して聞かせて貰うことになった。真空管アンプ特有の音がし、それはそれで楽しめた。

618_0129 筆者を招待したので、友人は蒸気機関車の音を収録したレコードを特別に用意して、待っていた。全員の前でそれを再生した。素晴らしい臨場感で、感動した。
 Santa Feの最終蒸気運転のレコードで、4-8-4がロスアンジェルスからパサディナを抜け、カホン峠を行く様子が収められている。B面にはデイライトとキャブ・フォワードの音も入っている。後者はスリップして、音がずれていく様子が分かる。
 我が家でいつも聞いているCD再生音とは、根本的に違うと感じた。ここからは彼の講釈である。

 CDは20,000 Hz以上の周波数をカットしている。しかしレコードはそうではない。極端な低周波も高周波も一応、物理的に可能な範囲を収録している。その部分はHi-Fiではないかもしれないが、ゼロではない。
 音響効果が考えてある部屋でそれを再生すると、様々なものに当り、共振させ、耳に入る。共振は倍音、半音その他いろいろな成分を持っている。それが総合されて耳に入るので、臨場感が生まれる。この音をヘッドフォンで聴くと、面白くない。反響、共鳴がほとんど期待できないからだ。


 臨場感は本物と同じという意味ではない。本物ではないが、聞いた人に「そうかもしれないという感じ」を与えるような響きを生じることらしい。彼の意見に完全に同意はできないが、かなり説得力のある説明であった。ちなみに筆者は聴力試験の結果、12,000Hz以上はほとんど聞こえていないらしいが、違いは感じた。

 帰宅後、手持ちの蒸気機関車の録音を全部聞いた。頭の中は排気音と汽笛で満たされた。DCCの再生音とは違う。もちろんPFM方式とも根本的に違う。
 
 余韻に浸っているうちに、様々なことが頭の中を巡り、しばらく前のMRに載っていたオーディオ方式を試してみたくなってきた。それは、車載DCC以外に、固定されたDCCからの音声のうち、重低音部分を重低音専用スピーカを経て、レイアウト全体にばらまくというアイデアだ。低音は指向性がないので、一箇所あれば有効だ。
 ディーゼル・エンジンの腹の皮がぶるぶると共振するような重低音を味わうことができる筈だが、隣の家のガラス戸が震えるかもしれない。面白そうだ。

2019年01月02日

謹賀新年

 また正月になってしまった。今年こそは開業するぞと張り切っても、何年もかかっている。先日来た友人は、
「ゼロから始めたにしては早いね。普通、レイアウト建設はもっと時間が掛るものだ。」
と言う。確かに最初のうちはとても進行速度が大きかった。だんだんと速度が低下している。やらねばならないことを一部先送りしてきたが、もうそういうわけにはいかない。

 あと、せねばならないことは、
 /号機
◆‥昭崑罎離灰鵐肇蹇璽
 レイアウト周囲に取り付ける有機ガラスのシールド
である。これらが完成すれば開業できる。

  については、現在鋭意工事中である。光検知システムのセンサの保護をする必要がある。ブラスのパイプを斜めに切って、赤外ビームの送受装置ホルダを作った。軽微な脱線で衝突しても何とか持つ程度の強度にしている。あまり頑丈にすると、二次被害が大きくなるからだ。
  はディジタルのコントロールの完成待ちである。もうすぐできるだろう。
  はかなり大変な作業である。アクリル板を取り付ける土台はようやく完成した。取り付け作業は3人がかりである。水平部分から勾配に差し掛かるところは微妙な調整が要り、その下準備だけでも大変だ。計算はしてあるが、大きなもので、さらに柔らかいものだから、どうやって保持して切り落とすかを考えねばならない。


2018年12月31日

続 活字金鋳造

 活字金は硬く、加工性が良い。フライスで削れるし、タップでネジも立つ。今野氏のブログにギヤボックスの蓋を鋳造で作られた件が紹介されている。うまい方法である。油が飛ぶから、ギヤボックスの底の部分には蓋が要るのだ。それを作るのは結構面倒だが、一つ作って型を取り、それを活字金で鋳物にすれば非常に良いものが簡単に大量にできる。採用したい。

 場合によっては、ギヤボックス全体を活字金で作っても問題ないだろう。そういう時には金型を作る方が良さそうだ。予熱しておかないと、最初のいくつかは失敗する可能性がある。冷えすぎるからだ。空気抜きの細孔もあると良いだろう。下手をすると押し湯で噴き出す可能性もあるから、理屈をよく考えて安全な構造の型を作るべきだ。

 人形とか、ストラクチュア関係の小物も活字金で作れば簡単だし、しかも丈夫である。シリコーン・ゴム型でも平気である。鉛では融解温度が高いので、壊れてしまう。3Dプリンタで原型を作ってゴム型を作り、それを活字金で複製するわけだ。かなり簡単にできそうである。
 今まで、活字金は比較的高価であった。しかし最近は値崩れしているから、いくらでも使える。この活字金の利用法をもっと考えるべきだ。

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